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JP5421286B2 - 心房頻脈性不整脈の低エネルギー停止の方法および装置 - Google Patents

心房頻脈性不整脈の低エネルギー停止の方法および装置 Download PDF

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Description

本発明は、心房細動(「AF」)および心房粗動(「AFl」)のような心房性不整脈の治療一般に関する。より詳細には、本発明は、AFおよびAFlを維持するリエントリー機構を不安定にして停止させるためにフェーズド・アンピニング・遠隔電場治療(phased unpinning far-field therapy)を提供する埋め込み型装置からの低エネルギーの電気刺激を用いた装置および方法に関連する。
心房頻脈性不整脈は、現在約230万人の米国人が罹患していると推測される、最も一般的な心房性不整脈である。心房頻脈性不整脈には、AFおよびAFlという2つの主な型が存在し、それらの型は、慢性型において、それぞれ約10:1の相対的な発生率を有する。現在の予測では、2050年までに、約1200〜1500万人の米国人がAFに罹患するであろうことが予想されている。その問題の影響力の大きさは、血栓塞栓性卒中、うっ血性心不全(「CHF」)、認知機能障害や、場合により、死亡率の増加といった、そのよく述べられている臨床的帰結によって拡大される。
様々な因子が、AFおよびAFlの開始および維持を促進し得る。冠動脈疾患、心膜炎、僧帽弁疾患、先天性心疾患、CHF、甲状腺中毒性心疾患および高血圧を含むいくつかの心疾患は、患者をAFに罹患し易くし得る。これらのうちの多くは、心房内圧を増大させることにより、および/または心房拡張を引き起こすことにより、AFを促進すると考えられる。AFはまた、いかなる疾患または全身性疾患の徴候も有さない患者、すなわち「孤立性AF」として知られている状態、においても生じ、これは主として自律神経系に関わっている。
AFおよびAFlの双方はリエントリー(興奮旋回)機構によって維持される。具体的には、心房組織が自身を持続的に興奮させて、リエントリー性の、すなわち円形または竜巻状の興奮パターンを生じる。AFlは、一般に、機能的または解剖学的ブロックラインの回りを回転し得るマクロリエントリー回路として定義される。右心房の上大静脈と下大静脈との間の領域、および左心房の肺静脈領域を含む主な器官は、通常、1つまたはいくつかの同時に存在するリエントリー回路を決めることに関与する。リエントリーの周期長(「CL」)が比較的長いままである場合には、一対一伝搬が心房全体にわたって存続し得、AFlが観察され得る。しかしながら、リエントリー回路のCLが十分に短い場合には、リエントリー回路によって生成された興奮波は周囲の心房組織で壊れ、AFが結果として起こり得る。AFl中またはAF中の電気記録図の形態は、不整脈をもたらすリエントリー回路の解剖学的位置および頻度に依存する。
AFとAFlとの間には明白な相互作用がある。AFlは、単一の一定で安定したリエントリー回路の存在として定義される。他方では、AFは、リーディングサークルタイプ(マザーローター)の多重リエントリー波が、局所的な興奮性、不応性、および解剖学的構造によって決定される方向に連続的に循環する、無作為な活性化に起因し得る。AFは、自発的に、または薬剤投与、DC電気除細動または心房ペーシングのような介入の結果として、AFlに転換され得、そして逆もまた同様である。
AFは、世界で最も一般的な臨床的不整脈であり、高齢化により、ますます増大する罹患率および死亡率の原因になる可能性を有する。一部の患者、特に発作性AFを有する患者には、薬剤治療に対するいくつかの選択肢が存在するが、薬物療法は効果がないことがある。さらに、抗不整脈薬は深刻な催不整脈性副作用を有し得る。従って、AFの非薬物
治療が必要とされている。
AFの薬物治療の1つの代替案は、心臓アブレーション処置である。アブレーション技術においては多くの進歩があったが、これらの処置は危険を伴わないわけではない。そのような危険性としては、心穿孔、食道損傷、塞栓症、横隔神経損傷および肺静脈狭窄を挙げることができる。現在、市場には心房頻脈性不整脈の治療用の埋め込み型装置も存在する。これらの装置のうちのいくつかは、抗頻脈ペーシング(「ATP」)としても知られる近傍電場オーバードライブ・ペーシング、従来の高エネルギーの遠隔電場除細動ショック、またはそれらの組み合わせを適用する。ATPは、リエントリー回路の興奮間隙を刺激するために、爆発的なペーシング刺激を、一つのペーシング部位において、経験的に選択した周波数で与え、回路を途絶させて、停止させることにより作用する。ATPはより遅いAFIには有効となり得るが、ATPの有効性は、約200ミリセカンド(「ms」)未満のCLに対して減少し得、より速いAFlおよびAFには効果がないことがある。ATPの失敗は、ペーシングリードがリエントリー回路から離れて位置し、ペーシングに誘発された波頭が、前記回路に到達する前に消滅する場合に起こり得る。これは、より速い不整脈に対して、かなり可能性が高いシナリオであり得る。
心房性不整脈が治療されてきた別の方法は、除細動ショックを与える間に患者は鎮静状態にさせられる標準的な体外除細動器によるものである。心房性不整脈に用いるために特に設計された、特許文献1に開示されているような、外部除細動システムも存在した。しかしながら、不整脈を効果的に停止させることができる外部ショックを、身体上に外部から配置される電極によって提供するために、そのようなシステムは埋め込み型装置によって必要とされるよりも高いエネルギーショックを提供しなければならない。さらに、外部から印加されるショックは必然的により多くの骨格筋系を動員し、患者により多くの疼痛および不快感をもたらす可能性がある。
再発性持続的AFを有する患者に対する別の治療法は、チャームズに付与された特許文献2、ミロウスキーに付与された特許文献3、およびアダムズに付与された特許文献4に記載されているような、植え込み型心房除細動器(「IAD」)である。初期の臨床試験は、IADがAFに対して高い特異性および感度を有しており、安全で有効なショックをもたらすことを示したが、好結果の電気除細動に必要とされるエネルギーレベルは痛覚閾値を超えることがある。0.1Jを超える心内膜電気除細動ショックエネルギーは不快であるとされており(非特許文献1)、患者はこれより高いエネルギーレベルを識別することはできない。痛覚閾値は、自律神経性系の緊張、薬剤の存在、電極の位置およびショック波形を含む多くの因子に依存する。さらに、痛覚閾値は患者毎に異なり得る。
様々な手法が、有効な心房細動に必要なエネルギーレベルを低減しようと努力してきた。例えば、ケンナイトに付与された特許文献5、ペンデカンティらに付与された特許文献6〜8、スウらに付与された特許文献9〜10のような多くのシステムは、心房除細動ショックに必要なエネルギーレベルを低減するための心房ペーシングパルスの印加を開示している。ペーシングパルスによってもたらされるエネルギーは、除細動ショックと比べて、比較的僅少である。モンジェオンらに付与された特許文献11は、心房性不整脈を停止するために、心房に低エネルギーのパルスバーストのサイクルを適用することを開示している。ワーマンらに付与された特許文献12は、心房除細動パルスを与える前に、低レートの心室ペーシングを適用することを開示している。スウらに付与された特許文献13〜14は心房除細動パルスを与える前に、心房ペーシングパルスおよび心室ペーシングパルスの双方を与えることを開示している。クーパーら付与された特許文献15は、1つのより大きなエネルギーの除細動パルスの代わりに、2つの低エネルギーの連続した除細動パルスを与えること開示している。
他のシステムは、患者の心房除細動ショックに関連する疼痛の感知を低減しようとしてきた。例えば、アダムズに付与された特許文献16は、ショックから生じる疼痛信号の伝達を妨げるために、ショックの領域の神経構造の磁気刺激を適用する。スウェドレーらに付与された特許文献17およびクロールらに付与された特許文献18は、衝撃パルスによって引き起こされる感知される疼痛および驚愕反応を軽減するために、高電圧衝撃パルスの適用する前に、「プレパルス」を適用することを開示している。クロールらに付与された特許文献19は、心房細動の検知した際に疼痛を抑制するために、抗頻拍ペーシングと組み合わせた薬物送達システムを開示している。ベンサーに付与された特許文献20は、様々なショックレベルに応答して、意識消失の患者の物理的変位を測定し、過度の不快感を引き起こさないショックを提供するように、不整脈治療装置をプログラムする。
米国特許第5,928,270号 米国特許第3,738,370号 米国特許第3,942,536号 米国特許第5,265,600号 米国特許第号5,797,967号 米国特許第6,081,746号 米国特許第6,085,116号 米国特許第6,292,691号 米国特許第6,556,862号 米国特許第6,587,720号 米国特許第5,620,468号 米国特許第5,840,079号 米国特許第6,246,906号 米国特許第6,526,317号 米国特許第6,327,500号 米国特許第5,792,187号 米国特許第6,711,442号 米国特許第7,155,286号 米国特許第5,925,066号 米国特許第7,142,927号
ラドウィグ、ケイ.エイチ.(Ladwig, K.H.)、マルテン−ミッターク、ビー.( Marten-Mittag, B.)、レーマン、ジー.(Lehmann, G.)、グンデル、エイチ.(Gundel, H.)、サイモン、エイチ.(Simon, H.)、アルト、イー.(Alt, E.)、「Absence of an Impact of Emotional Distress on the Perception of Intracardiac Shock Discharges」、International Journal of Behavioral Medicine、2003年、10(1):第56〜65頁
これらの努力にもかかわらず、所与の患者の痛覚閾値を超えることなく、また薬物治療またはアブレーション治療に頼ることなく、好結果の電気的治療を可能にする改善された心房性不整脈治療方法および装置の要求が依然として存在する。
本開示の方法および装置は、所定の患者の痛覚閾値を超えることなく、埋め込み型シス
テムと共に、AFおよびAF1の好結果の治療を可能にする仮想電極分極(「VEP」)を利用することができる。これは、ペーシング電極近傍の1つだけの小領域ではなく、心房組織の複数の領域を同時に遠隔電場によって興奮させることによって、可能となる。前記興奮はAFlおよびAFの双方に対してより効果的であり得る。前記方法は、典型的には、1つのみの高エネルギーの(約1〜約7ジュール)単相もしくは二相ショック、または遠隔電場電気刺激の2つの異なるベクトルからの2つの連続した単相ショックを用いる従来の除細動治療とは異なり得る。患者の痛覚閾値の相違を考慮するために、埋め込み型の装置の較正および操作の間に痛覚閾値を推定する際に、患者に対するリアルタイムフィードバックが提供され得る。
本開示の実施形態の方法および装置は、低電圧フェーズド・アンピニング・遠隔電場治療を用いて、大静脈間領域または繊維化領域などの心筋の不均質部に固定化しているマザーローターのコアを不安定化するか、または停止させることができる。このアンピニングピン留め解消方法によれば、従来の高エネルギー除細動と比較して、除細動エネルギーにおいて20倍の低減を得ることができ、したがって、患者の痛覚閾値を超えることなく、好結果の電気除細動を可能にする。
時間領域および周波数領域の適正範囲における遠隔電場低エネルギー電場刺激の印加は、リエントリーのコア近傍の興奮間隙を選択的に興奮させることにより、リエントリー回路を中断し停止させることができる。回路のコア近傍の興奮間隙の刺激により、リエントリーは途絶され、停止させられ得る。リエントリー回路は、リエントリーのコアを構成する機能的または解剖学的不均質領域に固定されている。不均質領域近傍の領域(リエントリーのコアの領域を含む)は、印加される電場に応じて、周囲のより均質な組織と比較して、より大きな分極を経験するであろう。したがって、リエントリーのコア近傍の領域を、非常に小さな電場によって優先的に興奮させて、固定したリエントリー回路を不安定にするか、または停止させることができる。一旦不安定になったならば、後続のショックはより容易に不整脈を停止させ、正常洞調律を回復することができる。
仮想電極興奮は、リエントリーのコア近傍のリエントリー経路または興奮間隙の臨界部分を脱分極化するために、局所的な抵抗性不均質部において用いることができる。本発明の態様に従った心房性不整脈を停止させるためのフェーズド・アンピニング・遠隔電場治療のための様々なショックプロトコルが考えられる。一態様において、リエントリーは直接停止させられるか、または不安定にさせられて、次いで付加的な刺激によって停止させられる。低エネルギー刺激は痛覚閾値を下回ることができ、それにより、患者に不安や不快な副作用を生じさせ得ない。別の態様において、フェーズド・アンピニング・遠隔電場治療は、検知された心房性不整脈に応答して与えられ、フェーズド・アンピニング・遠隔電場治療に対するフォローアップ療法として治療後ペーシングが行われる。
この低エネルギーの停止方法をさらに最適化するために、多重電場構成を用いて、リエントリーのコア近傍の興奮間隙を最適に興奮させて、リエントリー回路を途絶させることができる。これらの電場構成は、いくつかの除細動リード/電極を、冠状静脈洞(遠位電極および近位電極の双方によって)、右心耳、および上大静脈に配置することにより行うことができる。別の実施形態では、電極を心房中隔に配置することができる。電場は、これらの電極のうちの任意の2つ以上のものの間、並びにこれらの電極のうちの1つと、装置自体との間(ホット・キャン構成(hot can configuration))に与えられ得る。別の態
様では、電極セグメントのうちの1つ以上に選択的にエネルギーを与える能力を備えたセグメント化電極を用いることができる。次に、電場ベクトルの調整を用いて、一組のショックの印加内において、または、試行毎に、心房全体の最大の適用範囲を達成することができる。使用される最適な電場および適正な場のシーケンスもまた、各患者に対して試行錯誤によって探ることができる。
本発明の別の態様では、治療のために痛覚閾値プロトコルが実施される。前記装置および複数の除細動リードは、鎮静状態または麻酔下の患者に埋め込まれる。患者が鎮静または麻酔薬の効果から完全に解放されると、前記装置は、埋め込みリードに個々に問い合わせるように指示され、刺激は双方のリードの間、および前記キャンとリードとの間で活性化される。患者は、各刺激に対して不快感のレベルを示すように求められる。刺激エネルギーは、初期には低い値に設定され、次いで、ランプアップモードで増大される。また、患者は、いつ彼らの痛覚閾値に達したかを示すように求められる。装置に予め保存されているデフォルトの最大刺激エネルギーレベルは、このプロトコルを通じて決定されたカスタム値と置き換えられ、装置は、治療をこれらのカスタム値より低いエネルギーレベルに制限するようにプログラムされる。
本発明の別の態様において、治療の特定の態様を容易にするために、リエントラントループの推定位置に関する、様々な供給源、例えば患者の心電図または磁気共鳴画像からの前治療外部情報が用いられ得る。そのような外部情報は、アブレーションまたは薬物療法のような代替治療と比べて、前記処置に対する患者の適応性を判定するため、およびリード選択および配置を決定するため、または初期リードエネルギー印加パターンを決定するために、用いることができる。
本発明の別の態様において、不整脈の電気記録図の形態は、文書化され、保存され、予め保存された形態と比較することができる。リエントリー回路の解剖学的位置は、各患者に特有である心房の特定の解剖学的構造および生理学的リモデリングによって判定され得る。前記実施形態は、心房性不整脈のいくつかの形態は他のものより高い周波数を有して生じる傾向にあるという観測を利用する。治療法のパルスシーケンスの最適化は、各電気記録図形態に対して別々に行われ、将来の不整脈の停止のためにメモリに保存され得る。不整脈が検知されると、その不整脈の電気記録図の形態は既知であるかが判定され得る。既知である場合には、その不整脈を変換するために、メモリに保存された最適化した治療法を適用し得る。
本発明の態様において、心房頻脈性不整脈を不安定化および停止するための方法は、心房の電気的活動の感知から、心房頻脈性不整脈の開始を検知することと、最小のまたは支配的な不整脈CLを推定することと、心室の電気的活動を感知して、心室R波を検知することと、1サイクルまたは数サイクルのAF/AFl中に、検知されたR波と同期して、遠隔電場による心房電気ショック/刺激を、2〜10パルスのパルス列として与えることと、任意で、感知した心房細動周期長(「AFCL」)最小値の概ね約20%〜約99%のCLで心房ペーシングを与えることと、(a)R波検知を用いて心室受攻期を判定して、心房のショックにより、心室性細動の誘発を防止または抑制することと、(b)異なる埋め込み心房除細動リードを通じて電気ショックを印加し、続いて心房興奮を感知することによって、心房興奮閾値を決定することと、(c)埋め込みおよび較正手順の双方の間、および装置学習アルゴリズムの実行の間に、患者によって提供される情報を用いるフィードバック回路によって痛覚閾値を決定することと、(d)異なる埋め込み心房除細動リードを通じて電気ショックを印加し、続いて心室興奮を感知することにより、心室遠隔電場興奮閾値を決定することと、(e)心房興奮閾値を上回るエネルギーでいくつかのパルスを連続して与えることにより、心房に遠隔電場の刺激を与えることと、前記埋め込みリードの各々における電流は、最小AFCLの約20%〜約99%の割合で与えられることと、遠隔電場ショックによって不整脈の停止が達成されない場合には、該方法は、さらに、感知したAFCL最小値の約20%〜約99%のCLを有する近傍(または遠隔電場)心房ペーシングを与えることをさらに含むことと、(f)不整脈の停止が達成されたかを判定することと、(g)工程(f)で判定した際に、不整脈の停止が達成されていない場合には、心房除細動が達成されるまで、工程(d)、工程(e)および工程(f)は、よ
り高振幅の電流および/または異なるリード構成および刺激パラメータで、1回以上繰り返されることとを含む。
本発明の別の態様において、心房除細動を必要とする心房を治療するための埋め込み型心臓治療装置は、電気記録図信号を生成するために異なる位置に配置された1つ以上の埋め込み電極を備えた1つ以上のセンサーと、異なる心房部位の近傍電場ペーシングのために異なる位置に配置された1つ以上のペーシング埋め込み電極と、遠隔電場からの電流送出のために異なる位置に配置された1つ以上の埋め込み除細動電極と、電気ショックのパルス列を与えることができ得る埋め込み型装置または外部装置とを備える。
1つの例示的な実施形態において、埋め込み型装置は左鎖骨のすぐ下に埋め込まれる。この位置は、装置を心臓の長手方向の解剖学的軸線(心尖および心室中隔と交差する心臓の中心を通る軸線)と概ね整合させて配置する。電極がこのように埋め込まれる場合、装置および電極の配置は、傘の頂部に構成が類似している。すなわち、装置は傘の石突きを構成し、電極は傘の骨を構成する。装置の電極は、刺激の電場を達成する連続した順番でエネルギーを与えられる。その順番は、傘の布地の三角形を、時計回りまたは反時計回りのいずれかで、またはカスタムシーケンスで、次々に「刺激する」ことに類似している。一態様において、右心室リードは埋め込みの一部として配置される。別の態様では、心室リードを配置せず、リードの埋め込み中にリードが心臓弁を通過する必要性を排除する。リードは能動的な固定であってもよいし、または受動的な固定であってもよい。
別の態様において、前記装置は、完全に自動的であり得る、すなわち、心房性不整脈が検知されると、ショックプロトコルを自動的に与える。別の態様において、前記装置は手動でショックを与えることができる、すなわち、前記装置は、医師に装置がショックプロトコルを与えることを許可させるように患者を促すことができ、または、装置は、検知し不整脈を停止するために、ショックプロトコルを与えるように装置に自分で指示するように患者を促すことができる。別の態様において、装置は半自動的であり得る、すなわち、「ベッドサイド」監視ステーションを用いて、心房性不整脈が検知された場合に、ショックプロトコルを開始するための遠隔装置の許可を可能することができる。
本発明は、添付の図面に関連する以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を参酌して、より完全に理解され得る。
ヒト心臓、並びに埋め込み型除細動リードおよび感知電極の解剖学的位置の概略を示す後面図。 ヒト心臓、並びに埋め込み型除細動リード、および右心室に配置された随意のリードを備えた感知電極の解剖学的位置の概略を示す後面図。 本開示の実施形態の治療方法を示すフローチャート。 フォトダイオードアレイで視野を光学的にマッピングした、ランゲンドルフ潅流されたウサギ心臓におけるアセチルコリン(ACh)誘発AFlおよびAF中の後部心房の蛍光光学マッピングの標本の写真。 図3AのAFLおよびAF中の活性化マップおよび光学的活動電位(OAP)を表す図。 フォトダイオードアレイで視野を光学的マッピングした、イヌの分離された心房におけるアセチルコリン誘発AFlおよびAF中の右心房の心内膜の蛍光光学マッピングの標本の写真。 図4AのAFLおよびAF中の活性化マップおよびOAPを表す図。 ヒト心臓、埋め込み型除細動リードおよび電極の解剖学的位置、並びに第1ショック/パルス列の方向を表す簡素化された後面図。 ヒト心臓、埋め込み型除細動リードおよび電極の解剖学的位置、並びに第2ショック/パルス列の方向を表す簡素化された後面図。 ヒト心臓、埋め込み型除細動リードおよび電極の解剖学的位置、並びに第3ショック/パルス列の方向を表す簡素化された後面図。 本開示の実施形態の治療方法を示すフローチャート。 不整脈の可能性がある位置を示すヒト心臓の簡素化された概略図。 6つのイヌ右心房の実験に対するショック振幅の概要を示す図。 図5A、図5Bおよび図5Cに示したように配置された電極によって図7中の領域へ提供される治療に対して可能な電場シーケンスのリスト。
本発明は様々な修正および代替形態を受け入れるが、それらのうちの特定のものを例として図面に示し、詳細に説明する。しかしながら、本発明は本発明を記載する特定の実施形態に限定するものではないことを理解すべきである。むしろ、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内にあるすべての変更物、均等物、および代替物を対象とするものとする。
本開示の実施形態の除細動方法は、埋め込み型装置からのフェーズド・アンピニング・遠隔電場治療としての仮想電極分極を与えること、および解剖学的リエントリー性頻拍性不整脈を不安定にし、続いて停止させる方法に基づく。この方法は、大静脈間領域または繊維化領域のような心筋の不均質部に固定化しているマザーローターのコアを不安定にするか、または停止させる低電圧ショックを含む。このアンピニング方法によれば、従来の高エネルギー除細動と比較して、除細動エネルギーにおいて20倍の低減を得ることができる。心室頻拍において、6.1±1.0Jから0.3±0.1Jへの低減、p<0.001が観察された。心臓組織の解剖学的構造は本質的に不均質であり得る。中程度の大きさのこれらのシンシチウム不均質性でさえ、遠隔電場興奮プロセスの一因となる有意な機構を表し得る。フィッシャー、エム.ジー.(Fishier, M.G.)、ヴェーパ ケイ.(Vepa K)、「Spatiotemporal Effects of Syncytial Heterogeneities on Cardiac Far-field Excitations during Monophasic and Biphasic Shocks」、Journal of Cardiovascular Electrophysiolgy、1998年、9(12):第1310〜24頁、該文献は参照によって
本願に援用される。
本出願の目的のために、「近傍電場」という用語は刺激電極に極めて近接している効果に関連し得る。すなわち、距離は、心臓組織のいくつかの空間定数(ラムダ)によって制限され、それは典型的には数ミリメートルまでである。近傍電場の効果は、電極からの距離に強く依存し得る。他方では、「遠隔電場」という用語は、電極からの距離とは概して無関係であるか、または電極からの距離にそれほど依存しない効果に関連し得る。遠隔電場は、空間定数(ラムダ)よりはるかに大きい距離において生じ得る。
時間領域および周波数領域の一定範囲における近傍電場の低エネルギー電場刺激の印加は、リエントリーのコア近傍の興奮間隙を選択的に興奮させることにより、リエントリー回路を中断し停止させることができる。高周波遠隔電場電気刺激は、近傍電場ATPと比較して、有意に高い除細動の成功を有する。リエントリー回路は、リエントリーのコアを構成する機能的または解剖学的不均質領域に固定化され得る。電場による心筋の興奮に関する仮想電極理論は、前記コア近傍の領域は、印加される電場に応じて、周囲のより均質な組織と比較して、より大きな分極を経験するものと予測している。心房性不整脈を停止させる様々なショックプロトコルが考えられる。したがって、一態様において、リエントリーのコア近傍の領域を、非常に小さな電場によって優先的に興奮させて、固定化されたリエントリー回路を不安定にするか、または停止させることができる。一旦、不安定にされたならば、後続のショックはより容易に不整脈を停止させ、正常洞調律を回復すること
ができる。
従来の高電圧除細動治療において、切断指数二相性波形は、単相ショックと比較して、より低い除細動エネルギーを有する。しかしながら、フェーズド・アンピニング・遠隔電場治療(「PUFFT」)の場合には、多重二相波形に比較して多重単相波形の使用が、ウサギモデルにおける心室性不整脈を停止させるのにより有効であることが最近判明した。この差は、最適な二相性除細動波形は、膜分極における位相逆転の非対称効果のために、VEPを生成しないためである。イェヒーモフ、アイ.アール(Efimov, I.R.)、チェン、ワイ.(Cheng, Y.)、ヴァン ワゴナー、ディ.アール.(Van Wagoner, D. R.)、マズ
ガレフ、ティ.(Mazgalev, T.)、チョウ、ピー.ジェイ.(Tchou, P. J.)、「Virtual Electrode-Induced Phase Singularity: A Basic Mechanism of Defibrillation Failure」、Circulation Research、1998年、82(8):第918〜25頁、該文献は参照によって本願に援用される。VEPは、イェヒーモフ、アイ.アール(Efimov, I.R.)、チェン、ワイ.エヌ.(Cheng, Y.N.)、ビールマン、エム.(Biermann, M)、ヴァン ワゴナー、ディ.アール.(Van Wagoner, D. R.)、マズガレフ、ティ.エヌ.(Mazgalev, T.N.)、チョウ、ピー.ジェイ.(Tchou, P. J.)、「Transmembrane Voltage Changes Produced by Real and Virtual Electrodes During Monophasic Defibrillation Shock Delivered by an Implantable Electrode」、Journal of Cardiovascular Electrophysiolgy、1997年、8(9):第1031〜45頁;チェン、ワイ.エヌ.(Cheng, Y.N.)、モウレイ
、ケイ.エイ.(Mowrey、K.A.)、ヴァン ワゴナー、ディー.アール.(Van Wagoner, D.
R.)、チョウ、ピー.ジェイ.(Tchou, P. J.)、イェヒーモフ、アイ.アール.(Efimov,
I.R.)、「Virtual Electrode-Induced Reexcitation: A Mechanism of Defibrillation
」、Circulation Research、1999年、85(11):第1056〜66頁;およびフィッシャー、エム.ジー.、「Syncytial Heterogeneity as a Mechanism Underlying Cardiac Far-Field Stimulation During Defibrillation-Level Shocks」、Journal of Cardiovascular Electrophysiolgy、1998年、9(4):第384〜94頁においてさらに検討されている。前記文献のすべては、参照によって本願に援用される。
心室除細動閾値(「DFT」)は、直交して回転する電流場によって著しく低減され得る。ツケルマン、ビー.エム.(Tsukerman、B.M.)、ボグダノフ(Bogdanov)、キウ、コン
、エム.ブイ.(KIu, Kon, M.V.)、クリウコフ、ブイ.エイ.(Kriukov、V.A.)、ヴァン
ディアエフ、ジー.ケイ.(Vandiaev、G.K.)、「Defibrillation of the Heart by a Rotating Current Field」、Kardiologiia、1973年、13(12):第75〜80頁、
該文献は参照によって本願に援用される。2つの連続ショックを回転する電場ベクトルと組み合わせることにより、標準的なリード構成(右心房から遠位冠状静脈洞)の心房除細動閾値(「ADFT」)は、心房中隔に沿って、近位冠状静脈洞およびSVCまたはバッハマン束のいずれかにおける電極間に与えられる第2ショックが続けられる場合に、有意に低減され得る。チェン、エックス.(Zheng, X.)、ベンサー、エム.イー.(Benser, M.E.)、ウォルコット、ジー.ピー.(Walcott, G.P.)、スミス、ダブリュ.エム.(Smith, W.M.)、イデカー、アール.イー.(Ideker、R.E.)、「Reduction of the Internal Atrial Defibrillation Threshold with Balanced Orthogonal Sequential Shocks」、Journal
of Cardiovascular Electrophysiolgy、2002年、13(9):第904〜9頁、前
記文献は参照によって本願に援用される。ADFTは、均衡のとれた連続ショックによってさらに低減され得る。
仮想電極興奮は、リエントリーのコア近傍のリエントリー経路または興奮間隙の臨界部分を脱分極化するために、局所的な抵抗性不均質部において用いることができる。したがって、リエントリーは直接停止されるか、または不安定にされ得、次いで、リエントリーは付加的な刺激によって停止させられ得る。この技術は埋め込み型外部装置において利用することができ、前記装置は、心房頻脈性不整脈を感知すると、低エネルギー刺激を、い
くつかの異なるタイミング間隔で、適正なタイミングが達成されて不整脈を停止させることができるまで、印加することができる。心房性不整脈は直ちに生命を脅かすわけではないので、この「試行錯誤」方式を用いることができる。また、低エネルギーの刺激は、痛覚閾値を下回るものと思われ、よって患者に不安や不快な副作用を生じさせ得ない。
前記低エネルギーの停止方法をさらに最適化するために、多重電場構成を用いて、リエントリーのコア近傍の興奮間隙を最適に興奮させて、リエントリー回路を途絶させることができる。図1Aおよび図1Bを参照する。これらの場の構成は、いくつかの埋め込み型除細動電極11を、近位および遠位の冠状静脈洞(「Cs」)12,13、右心耳(「RAA」)14、および上大静脈(「SVC」)15内に配置することによって行われ得る。一態様において、右心室リードは埋め込みの一部として配置される(図1B)。別の態様では、心室リードを配置せず(図1A)、リードの埋め込み中にリードが心臓弁を通過する必要性を排除する。リードは能動的または受動的な固定であり得る。図1から分かるように、心臓の左側にはリードは配置されず、それにより埋め込みに必要な時間を低減する。
電場は、これらの電極のうちの任意の2つ以上のものの間、並びにこれらの電極のうちの1つと装置自体16との間(ホットキャン構成)に与えられ得る。電場ベクトルの調整を用いて、心房全体の最大の適用範囲を達成し、不整脈の全サイクルにわたって最適な仮想電極分極を維持することができる。使用される最適な電場および場の適正なシーケンスは、各患者に対して試行錯誤によって探ることもできるし、またはリエントリー回路の可能性がある部位に関する外部情報に基づいて推定することもできるし、または双方の組み合わせに基づくこともできる。
ここでは、一連の3連続の遠隔電場アンピニングショックのベクトルの時計回りの回転を示している図5A、図5Bおよび図5Cを参照する。各ショックは、電気パルスの列から構成され得る。この実施例において、多重の単相ショックは、不整脈周期長の関数としての間隔で印加され得る。一例において、遠隔電場アンピニングショックは、持続時間10msの方形波であり得る、前記方形波の電圧およびベクトルは、最小停止電圧を決定するために変更されるであろう。他の実施形態において、遠隔電場アンピニングショックまたはパルスは、丸味を帯びていてもよいし、ジグザク状であってもよいし、上昇してもよいし、下降してもよく、二相性であってもよいし、多相性であってもよいし、またはそれらの変形例であってもよい。一例において、パルス列の各パルスのエネルギーの範囲は、0.02〜0.1ジュールである。
図5Aにおいて、第1遠隔電場アンピニングショック40は、右心耳に位置する電極(b)と装置(a)との間に印加される。図5Bにおいて、第2遠隔電場アンピニングショック42は、冠状静脈洞内において遠位に位置する電極(e)と、上大静脈内の電極(c)との間に印加される。図5Cでは、第3遠隔電場アンピニングショック44は、装置(a)と、冠状静脈洞内において近位に位置された電極(d)との間に印加される。
AFlおよびAFの治療にはアルゴリズムが用いられてもよい。心房が粗動にあるか、または細動にあるかを判定するために、前記装置は、第1に不整脈のCLを推定し得る。例えば、平均の心房の心CLが250ms未満であるが150msを越える場合、心房はAFlの状態にあると見なされる。AFおよびAFlの特有の特徴は、患者毎に変化する。したがって、これらのClパラメータは、患者の必要性に基づいて、プログラム可能であり得る。AFとAFlとを識別する例は、米国特許第5,814,081号に記載されている。前記文献は参照によって本願に援用される。さらに、アルゴリズムは、この情報をフェーズド・アンピニング・遠隔電場治療の患者特有および形態特有の最適化に用いるために、心房の電気記録図の形態を特徴づけて分類するために用いることができる。心周期に関してフェーズド・アンピニング・遠隔電場治療を適用する最適の時間は、RVまた
は遠隔電場R波検知を含む、心室感知電極から決定され得る。遠隔電場ショックの安全でない回数を見出す例もまた、米国特許第5,814,081号に記載されている。
また、後続の停止に関する治療を最適化するために、学習アルゴリズムを用いてもよい。患者が心房頻脈性不整脈を停止させるために最適なタイミングおよび場の設定が行われたならば、これらの設定は、AFl/AFの次の発作の停止のための起点となる。
AFl/AFは直ちに生命を脅かす不整脈ではないので、治療法は、治療法を各患者に合わせるために、学習アルゴリズムと組み合わせた試行錯誤の手法を用いて、最適化することができる。最適化は、2つの目的、すなわち、(a)不整脈を停止させること、および(b)疼痛に関連する強度を回避することを含む。
上述したように、痛覚閾値は、自律神経性系の緊張、薬剤の存在、電極の位置およびショック波形を含む多くの因子に依存する。疼痛および/または不快感が最初に一般に経験されるエネルギー値として、0.1Jの値が、ラドウィグ、ケイ.エイチ.(Ladwig, K.H.)、マルテン−ミッターク、ビー.(Marten-Mittag, B.)、レーマン、ジー.(Lehmann, G.)、グンデル、エイチ.(Gundel, H.)、サイモン、エイチ.(Simon, H.)、アルト、イー.(Alt, E.)、「Absence of an Impact of Emotional Distress on the Perception of Intracardiac Shock Discharges」、International Journal of Behavioral Medicine、2003年、10(1):第56〜65頁によって報告されている。前記文献は参照によって本願に援用される。しかしながら、前記値は患者毎に異なり得る。したがって、装置の埋め込みまたは較正のいずれかの間、または最適化学習アルゴリズムの実行の間に、痛覚閾値を推定する際に、患者に対するリアルタイムフィードバックが提供され得る。
ここで図6を参照すると、痛覚閾値プロトコル200が記載されている。心房性不整脈治療装置は、外科的処置202中に、鎮静状態または麻酔下にある患者に埋め込まれる。埋め込まれた装置は、埋め込み型治療発生器と、前記埋め込み型治療発生器に作動可能に接続された少なくとも2つのリードとを備え、各リードは、患者の心臓の心房に近接して配置されるのに適合した少なくとも2つの電極を有する。外科的処置の完了後、患者に完全に意識があり、鎮静または麻酔薬の効果から完全に解放されたら、心房性不整脈治療装置は構成される(204)。前記装置は、電極の遠隔電場構成によって、心房性不整脈の検知に応答して、患者にPUFFT治療を適用するように指示され(206)、前記PUFFT治療は治療パラメータの第1セットを有する。次に、患者は、PUFFTに応答して、痛覚の表示を行う(208)。心房性不整脈のPUFFT治療の有効性について査定がなされる(210)。PUFFT治療の有効性および痛覚の表示に関して評価がなされる(212)。疼痛の表示および治療の有効性の査定の双方に応じて、前記治療パラメータのセットおよび電極の遠隔電場構成のうちの少なくとも1つについて調整が行われる(214)。心房性不整脈の有効な治療を患者にとって耐えられる痛覚で患者に提供する治療パラメータのセットおよび電極の遠隔電場構成が決定されるまで、工程206〜212が繰り返される。次に、心房性不整脈治療装置は、装置によって検知された心房性不整脈を自動的に治療する際に装置によって用いられるように、工程206〜214から決定された前記治療パラメータのセットおよび電極の遠隔電場構成によって、プログラムされる(216)。
図2を参照して、装置が埋め込まれたら、最初にいくつかの測定が行われる(P101〜P103)。心房興奮および心室興奮の双方に対する場興奮閾値は、先に記載したような各リードの組み合わせから測定される(P101)。これらの値は最小刺激強度となり、変化に関して、装置によって周期的に試験され得る。患者がショックを感知して疼痛を感じるまで、刺激強度を増大させることもできる。この特定部位に対する痛覚閾値に対応するこの最大ショック振幅を記録するために、患者のフィードバック機構を用いることが
できる。これらの最小値および最大値は、装置の動作範囲の境界を示す。
埋め込みの後、前記装置は、心房頻脈性不整脈を感知するために感知モードに入る(21)。不整脈が感知されると、すべての感知電極から最小AFl/AF CLが決定され得る。次に、最小AFl/AF Clは刺激周波数を計算するために用いられ得る(23b)。刺激周波数は、最小AFl/AF CLの約20%〜約99%にわたり得る。次に、前記装置は、その不整脈が埋め込み後のAFl/AFの最初の発作であるかを判定する(24)。最初の発作である場合には、先に測定したような最小刺激強度と組み合わせた刺激パラメータのデフォルトの組み合わせが、第1の除細動試行に用いられ得る(P103),(26)。刺激パラメータの組み合わせ(23)は、刺激の回数(23a)、刺激の周波数(23b)、電場構成の数(23c)、電場構成のシーケンス(23d)、電場強度(23e)、および波形形態(23f)を含む。パラメータのデフォルトの組み合わせは、AFl/AFの動物モデルにおいて見られた実験的証拠、この技術による以前の経験、または埋め込み時の患者特有の試験結果に基づくことができる。その不整脈が埋め込み後のAFl/AFの最初の発作でない場合には、以前の刺激の印加から保存されたパラメータが、第1の除細動試行に用いられ得る(25)〜(26)。次に、心室性不整脈の誘発を防止するために、前記装置は、次の感知されたR波を待って、心房除細動治療を与える。そのとき、適切な刺激パラメータが与えられる(28)。
除細動の試行の後、次に、その試行が好結果であったか否かを判定するために、再び検知が用いられる(29)。その試行が失敗であり、AFl/AFの持続時間が最大許容持続時間を超えていない場合(30)、刺激パラメータ(23)は変更され、別の除細動試行が行なわれ得る(25)〜(29)。多数の刺激パラメータ(23)があるため、パラメータのシーケンスおよび最適化を制御するために、装置内においてニューラル・ネットワークが用いられ得る。除細動の試行は、不整脈が停止されるか、AFl/AFの最大持続時間に達するまで(30)、継続する(25)〜(29)。長引くAFl/AFは血液凝固を促進し、他の合併症と共に患者の発作の危険性を増大し得るので、必要であれば、より高エネルギーの救助ショック(31)を与えることができ、次のAFl/AFの発作の際には、低エネルギーの最適化を継続することができる。
パラメータの好結果の組み合わせが判明した場合には、その刺激パラメータは保存され(36),(25)、次のAFl/AFの発作の際に用いられる。刺激パラメータの特定の組み合わせが多くのAFl/AFの発作に対して好結果であること(すなわち、>5回の好結果な停止)が判明した場合(33)、前記装置は、エネルギーをさらに低減することができるかを判定するために「連続最適化アルゴリズム」(34)に入ることができる。刺激パラメータは、別の好結果の組み合わせを見つけることを試みるために、より低いエネルギーにおいて変更され得る(35),(23)別のそのような組み合わせが決定されない場合には、前記装置は前記好結果の組み合わせの使用に戻ることができる。
一実施形態において、不整脈の電気記録図の形態は、文書化され、保存され、先に保存された形態と比較され得る。リエントリー回路の解剖学的位置は、各患者に特有である、心房の特定の解剖学的構造および生理学的リモデリングによって判定され得る。したがって、前記形態は、リエントリー回路の特定の解剖学的位置を示すことができる。前記治療法のパルスシーケンスの最適化は、各電気記録図形態に対して別々に行われ、将来の不整脈の停止のためにメモリに保存され得る。
図7を参照すると、リエントリー回路が固定化され得る様々な位置302が表されている。位置302は、破線によって示される5つの区域310,320,330,340,350に分けられる。一実施形態においては、各区域に位置するリエントリー回路に対して、デフォルトの治療シーケンスが開始され得る。例えば、不整脈の形態が、リエントリ
ー回路は区域310に位置することを示す場合、印加される電場のシーケンスは、図5Aに示すように、電極(b)と電極(a)(装置上)の間において開始し得る。次に、前記シーケンスは、電極(e)と電極(c)との間の電場(図5B)、その後に電極(a)と電極(d)の間の電場(図5C)を続ける。図9の表は、図7の各区域310,320,330,340,350に対して可能なデフォルトの治療シーケンスの一例を提供する。所与の区域におけるデフォルトの治療シーケンスが不整脈を停止させらない場合には、付加的な治療シーケンスが続いて適用され得る。
この装置は、実施形態において、一連の電場刺激を立て続けに与える必要があり得るので、通常、一般にICDに用いられるような従来の埋め込み型パルス発生器は、該装置には不適切であることがある。従来の埋め込み型パルス発生器は、キャパシタを充電するために充電期間(秒単位の)を費やし、その後、キャパシタを急速に放電してショックを印加する。次のショックの印加の前に、キャパシタは再度充電される必要があり得る。この装置では、各治療に対して、数回の低エネルギー遠隔電場アンピニングショック(2〜10回)が立て続けに(わずか10〜300msの間隔で)印加され得る。従って、この装置の埋め込み型パルス発生器は、各除細動の試行の前に同時に充填する、いくつかのより小さなキャパシタを備える。与えられる各刺激に対して、単一のキャパシタが適正量のエネルギーで放電し、続いて、適切な回数の刺激が与えられるまで、別のキャパシタからの放電が順次行われる。その後、キャパシタはすべて、次の除細動の試行の前に充填される。適切なリード構成の全域において適切な刺激を生成するために、高速スイッチングネットワークを用いて、異なるキャパシタ間において放電エネルギーを切り替え、同様に印加エネルギーを適正な電極へ切り替えることができる。パルスの前処理は、米国特許第5,366,485号および同第5,314,448号にさらに記載されている。前記特許文献は双方とも、参照によって本願に援用される。
実験結果
図3Aおよび図3Bを参照すると、一連の実験を行った。ランゲンドルフ灌流されたウサギ心臓(n=9)の右心房および左心房(RAおよびLA)の後部心外膜および肺静脈(PV)領域を、制御下でAch潅流(2.5−100μM)しながら、同時に光学的にマップした。図3Aには、フォトダイオードアレイで視野を光学的にマッピングした、ランゲンドルフ灌流したウサギ心臓におけるアセチルコリン誘発AFlおよびAF中の後部心房の蛍光光学マッピングが示されている。前記図中、(1)正常洞調律心拍動の起点の位置は、青/紫の円によって示されており、(2)細い灰色の楕円は、正常洞調律の間およびペーシングの間に確認されるような大静脈間伝導ブロックのライン、すなわち、心房粗動中または心房細動中にリエントリー回路に対するピン留め部位(pinning site)とし作用する可能性が高い抵抗性不均質の部位、を示しており、(3)矢印を有する黒破線は、リエントリー回路の位置および方向を示しており、また(4)白破線は、結紮された血管を示している。図3Bには、図3AのAFLおよびAF中の活性化マップおよび光学的活動電位(OAP)が表されている。前記図中、(1)細い灰色の楕円は、大静脈間伝導ブロックのライン、すなわち抵抗性不均質の部位を示しており、(2)白破線は、リエントリー回路の位置および方向を示しており、また等時マップは4.0msの段階で表されている。
不整脈を単一の早期刺激またはバーストペーシングによって引き起こした。低エネルギーのショックを、心臓の両側に位置し、心臓の垂直軸に対し平行に向けた2つの大きなメッシュ電極から与えた。体動アーチファクトを防止または抑制するために、ブレビスタチン(BB)を用いた。BBはミオシンIIアイソフォームの高度に特異的な阻害剤である。制御条件下では、AFは誘発されず、持続性AFlが1つの心臓においてのみ誘発された。AChは、洞調律を低下させ、右心耳、上肺静脈、および下大静脈領域から93±7msの連結期を有する心房性期外収縮(「APB」)を引き起こした。APBは、3つの
心臓において、特発性AFを生じた。8つの心臓において、単一の早期刺激またはバーストペーシングが、7±2μMおよび20±8μMのAChで、持続性AFlおよびAF(>10分)をそれぞれ誘発した。
再度図3Bを参照すると、AFlおよびAFは、SVCとIVCとの間の伝導ブロックの領域のまわりの単一のマクロリエントリー回路(CL=79±10ms)、または多重リエントリー回路(CL=48±6ms)によって、それぞれ維持された。ほとんどの場合、AFは、RA(75%)および/またはLA(25%)の櫛状筋におけるマザーローターマイクロリエントリーと関連していた。図3Bは、AF中の活性化の例を表す。AFは、右心耳における安定したマザーローター(8字形)に関連していた。稀に、さらなるローターのいくつかの完全な回転がLAにおいて観察されたが、このローターは概して持続的ではなかった。
不整脈を停止させるために、外部メッシュ電極から、単相の5msのショックを与えた。AFlの種々の相の全体にわたって単一の刺激を印加するか、または、1つのAFlのCL内において、多重(3〜5)ショックを印加した。右心耳電極またはIVC領域電極から、抗頻脈ペーシング(ATP、8パルス、AFlのCLの50〜100%)も適用した。
単一刺激が0.9±0.4V/cmの除細動閾値(DFT)でAFlを停止させた統計的に有意な相ウィンドー(phase window)が見られた。30%の事例において、AFlの停止は、短期間(<1秒)のAFの発生が先行した。それらは、その完全な停止の前のリエントリーの不安定化を現す例である。多重ショックは0.7±0.1V/cmの低い停止強度を有した。ATPのみは、それが適用された6つの心臓のうちの4つのみにおいてAFlを停止させ、停止の15%はAFが先行し、適用の11%は持続性AFを生じた。従来の時間非依存性単相ショックは、最小強度4.7±0.9V/cmのみで持続性AFを停止させた。ATPの低い効果は、低エネルギー場刺激がAFlの治療のためのATPの代替になり得ることを示唆している。
実験プロトコルをウサギモデルからイヌAFモデルに移した。分離され、アセチルコリン(3.8±3.2μM)存在下で冠状動脈灌流したイヌ右心房(n=7)において、AFlまたはAFを電気的に誘発した。AFlおよびAFのCLは、それぞれ、130.7±30.7msおよび55.6±7.9msであった。図4Aおよび図4Bを参照すると、光学的マッピング(16×16フォトダイオードアレイ)を用いて、AFlおよびAFは、洞房結節領域のまわりの単一のマクロリエントリー回路、または多重リエントリー回路によって、それぞれ維持されていると判定された。図4は、フォトダイオードアレイで視野を光学的マッピングした、イヌの分離された心房におけるアセチルコリン誘発AFlおよびAF中における右心房心内膜の蛍光光学マッピングの標本を示している。前記図中、(1)抵抗性不均質であり、しばしば心房粗動中のリエントリー回路のピン留め位置(pinning location)として作用する洞房結節は濃青色/紫の楕円によって示されており、(2)矢印付き白破線は、心房粗動中のリエントリー回路を示しており、(3)矢印付き黒破線は、心房細動中のリエントリー回路(別の抵抗性不均質部にピン留めされている)を示している。図4BはAFLおよびAF中の活性化マップおよびOAPを示している。(1)矢印付き白破線は、心房粗動中のリエントリー回路を示しており、(2)矢印付き黒破線は、心房細動中のリエントリー回路(別の抵抗性不均質部にピン留めされている)を示している。AFリエントリーコアは、櫛状筋およびSVC/IVC領域の機能的および解剖学的不均質部に位置していたことが理解され得る。ウサギ実験装置を用いて、単一または多重の単相の10msのショックを、組織浴中で平行なメッシュ電極から印加した。
閾値を超えた仮想陰極が局所的な抵抗性不均質部において誘導されるとき、興奮の遠隔
電場心拡張期閾値は、0.14±0.12V/cm(0.005±0.0001J)で達した。単一刺激ADFTは、AFlに対して、AFと対比して、有意に低かった(0.2±0.06対7.44±3.27V/cm、または0.018±0.001対2.6±0.78J、p<0.05)。しかしながら、最適なパルス間の連結間隔で与えられた2パルスまたは3パルスの印加は、AFに対するADFTの有意な低減を可能にした:それぞれ、2パルスおよび3パルスに対して、3.11±0.74V/cmおよび3.37±0.73V/cm、または0.44±0.04および0.48±0.03J(p<0.05対1パルス)。連結間隔の最適化はAFのCLの20〜190%の範囲において行なった。最適な連結間隔は、2パルスおよび3パルスに対して、それぞれ、87.3±18.6%および91.3±17.9%であった。図8の表は、6つのイヌの心房標本において収集されたこれらの結果の概要を提供する。
さらに、低電圧ショック(0.1〜1V/cm)はAFをAFlに転換した。したがって、心房除細動は、二段階のプロセス、すなわち(a)AFのAFLへの転換および(b)AFlの停止、によって最も良好に行われる。双方の段階は、0.02〜0.1Jにわたるエネルギーを有する多重パルスによって行われる。
双方のモデルにおいて、AFおよびAFlについて類似したADFT値が見られ、ウサギモデルのイヌでの実験およびさらなる応用に対する関連性を示している。複数の電場方向が用いられる場合、並びに適時ショックまたは多重ショックが用いられる場合に、より低いADFTを得ることができる。
上述した方法は本発明の一態様に従った方法の例である。上記の方法は内部埋め込み型装置によって行われてもよい。上記方法は、本発明に従って電気的心臓刺激を与えるために、いかなる数、および心内膜、心外膜、静脈内、埋め込み型、外付け型、または任意のそれらの組み合わせのようないかなる構成の電極配置を用いてもよい。多重経路電極構成は、米国特許第5,306,291号および同第5,766,226号に示されるような現在の一部の実施形態と共に使用されることが考えられる。前記特許文献の各々は参照によって本願に援用される。
本発明の方法は、他のペーシングおよび除細動治療と、一緒に、または別個に、用いられ得ることが考えられる。例えば、本発明は、本発明の方法が心不整脈を成功裡に変換することができない場合に、高電圧除細動ショックを与えることができるICDの一部として実施することができる。これに代わって、本発明は、患者生存の機会を増大する、患者におけるVT/VF症状に対する緊急対応を提供するために、従来のペースメーカーの一部として実施され得る。
本発明の方法はまた、電気刺激パルスについて、任意の数の配置および波形および波の形状の構成の使用を企図する。既知の単相、二相、三相、および相互位相の刺激パルスが用いられ得る。一実施形態において、本発明は、ク、エフ.(Qu, F.)、リ、エル.(Li, L.)、ニコルスキー、ブイ.ピー.(Nikolski, V.P.)、シャルマー、ブイ.(Sharma, V.)、イェヒーモフ、アイ.アール.(Efimov, I.R.)、「Mechanisms of Superiority of Ascending Ramp Waveforms: New Insights into Mechanisms of Shock-induced Vulnerability
and Defibrillation」、American Journal of Physiology - Heart and Circulatory Physiology、2005年、289:H569−H577の論文に記載されているような上行性ランプ波形の使用を企図する。前記文献の開示は、参照により本願に援用される。
本発明の方法はまた、フェーズド・アンピニング・遠隔電場電気刺激パルスの生成について、任意の数の配置および構成の使用を企図する。本発明に従って低エネルギー刺激パルスを生成するために、従来の高圧コンデンサ放電回路構成を用いてもよいが、例えば、
例えば米国特許第5,199,429号、同第5,334,219号、同第5,365,391号、同第5,372,605号、同第5,383,907号、同第5,391,186号、同第5,405,363号、同第5,407,444号、同第5,413,591号、同第5,620,464号および同第5,674,248号に記載されているような積層キャパシタ、スイッチトキャパシタ、セカンダリーキャパシタ、充電式バッテリー、チャージポンプおよび電圧ブースタ回路などの低電圧キャパシタ構成を含む代替構成を用いることができることも考えられる。上記特許文献の各々の開示は、参照によって本願に援用される。本発明の実施形態によるフェーズド・アンピニング・遠隔電場治療の生成は、ペーシングパルスを生成するための既知の方法を含む任意の数の方法によって行うことができる。同様に、任意の数の心不整脈検知のための既知の技術が本発明の方法に従って用いられ得る。
上記の実施形態は、例証となるものであり、限定するものではない。付加的な実施形態は特許請求の範囲内に存する。さらに本発明の態様は特定の実施形態に関して説明されているが、当業者には、特許請求の範囲によって定義されるような、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、型および詳細において変更がなされ得ることが分かるであろう。
当業者には、本発明が上述した任意の個々の実施形態において示したよりも少ない特徴を備えてもよいことが分かるであろう。本願に記載した実施形態は、本発明の様々な特徴が組み合わされ得る方法を網羅的に表すものではない。従って、実施形態は特徴の互いに排他的な組み合わせではなく、むしろ、本発明は、当業者には理解されるように、異なる個々の実施形態から選択された異なる個々の特徴の組み合わせを備え得る。
上記文書の参照による任意の援用は、本願における明白な開示に反する主題は援用されないように制限される。上記文書の参照による任意の援用は、さらに、前記文書に含まれる特許請求の範囲が参照によって本願に援用されないように制限される。上記文書の参照による任意の援用は、さらに、明らかに本願に含まれていない限り、前記文書において提供されるいかなる定義も参照によって本願に援用されないように制限される。
本発明の特許請求の範囲を解釈する目的のために、特定の用語「〜のための手段」または「〜のための工程」が請求項に挙げられていない限り、米国特許法第112条第6段落の規定が行使されるべきではないことが明らかに意図される。

Claims (11)

  1. 心房性不整脈治療装置であって、
    者に埋め込まれるのに適した埋め込み型治療発生器(16)を備え、前記埋め込み型治療発生器(16)は、
    心房性不整脈を検知するための手段と、
    ペーシング閾値より高く、かつ患者の痛覚閾値より低いエネルギーレベルを有するフェーズド・アンピニング・遠隔電場治療を生じるための手段と、
    心房性不整脈の検知に応答して、フェーズド・アンピニング・遠隔電場治療を与えることを制御するための手段と、
    前記埋め込み型治療発生器(16)に作動可能に接続された少なくとも2つのリードとを備え、前記リードのそれぞれは患者の心臓の心房に近接して配置されるのに適合した少なくとも2つの電極(11)を有し、前記電極を通じてフェーズド・アンピニング・遠隔電場治療が心臓の心房に選択的に与えられ
    前記埋め込み型治療発生器(16)は、前記電極の間および前記電極と前記埋め込み型治療発生器(16)との間に少なくとも3つの固有な電極構成にそれぞれ関連する少なくとも3つの異なる電場を生成するように、前記電極(11)を選択的に起動して、回転する一組のフェーズド・アンピニング・遠隔電場を与えるように、構成され、
    前記回転する一組のフェーズド・アンピニング・遠隔電場の各々は、1以上のパルスにより構成されるパルス列によって確立される、心房性不整脈治療装置。
  2. 第1の電場が、右心耳に位置する電極から前記埋め込み型治療発生器(16)に向けられており、
    第2の電場が、冠状静脈洞に位置する電極から上大静脈に位置する電極に向けられており、
    第3の電場が、前記埋め込み型治療発生器(16)から冠状静脈洞に位置する電極に向けられる、請求項1に記載の装置。
  3. 所与のパルス列における第1のパルスが、第1の電極および第2の電極を備える第1の電極対によって与えられ、
    前記所与のパルス列における第2のパルスが、第3の電極および第4の電極を備える第2の電極対によって与えられ、
    前記所与のパルス列における第3のパルスが、第5の電極および第6の電極を備える第3の電極対によって与えられる、請求項1に記載の装置。
  4. 前記第2の電極と前記第5の電極とは、同一の電極である、請求項3に記載の装置。
  5. 前記第1の電極は、右心耳に位置する電極を含み、
    前記第2の電極は、前記埋め込み型治療発生器(16)のハウジングを含み、
    前記第3の電極は、冠状静脈洞において遠位に位置する電極を含み、
    前記第4の電極は、上大静脈に位置する電極を含み、
    前記第6の電極は、冠状静脈洞において近位に位置する電極を含む、請求項4に記載の装置。
  6. 前記第1の電場は、右心耳から前記埋め込み型治療発生器(16)に向けられており、
    前記第2の電場は、冠状静脈洞から上大静脈に向けられており、
    前記第3の電場は、前記埋め込み型治療発生器(16)から前記冠状静脈洞に向けられる、請求項2に記載の装置。
  7. 前記回転する一組のフェーズド・アンピニング・遠隔電場の各々は、2〜10のパルスにより構成されるパルス列によって電気的に確立され、心房性ペーシング閾値が、心房性不整脈の最小周期である20%〜99%の範囲を有する、請求項1に記載の装置。
  8. 前記パルス列は、心房性不整脈の一周期内に与えられる、請求項1に記載の装置。
  9. 前記パルス列の各パルスのエネルギーの範囲は、0.02〜0.1ジュールである、請求項1に記載の装置。
  10. 前記電極のうちの1つが、第1のパルスのための陽極および第2のパルスのための陰極として機能する、請求項1に記載の装置。
  11. 前記回転する一組のフェーズド・アンピニング・遠隔電場は、患者の心臓の所定のゾーンに与えられる、請求項1に記載の装置。
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