JP5421157B2 - 半導体モジュールの製造方法 - Google Patents
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Description
このような手段として、一般的には、半導体素子からの発熱をすばやく奪い去るためのヒートスプレッダと呼ばれる部材の上面側に前記半導体素子を搭載させてモジュール内に配する方法が知られている。
なお、このヒートスプレッダには、通常、すばやい熱拡散性と十分な熱容量とが求められることから金属ブロックのような部材が採用されている。
しかし、ヒートスプレッダの温度が上がるにつれて半導体素子からの熱を奪うスピードが減少し半導体素子に温度上昇をもたらすおそれを有する。
このようなことから、従来の半導体モジュールなどにおいては、半導体モジュールの外表面に露出する面を有し、該露出面から内部の熱をモジュール外に放出させるためのヒートシンクと呼ばれる部材がヒートスプレッダの下面側に備えられたりしている。
このヒートシンクは、広い放熱面積を確保する必要があることから、通常、ヒートスプレッダよりも大きな金属板等で形成されており、多くの場合、半導体モジュールの下面全面にわたる大きさの金属板で形成されている。
このようなことから、無機物粒子(無機フィラー)が充填されて熱伝導性の向上が図られた熱硬化性樹脂組成物からなる絶縁シートをヒートスプレッダとヒートシンクとの間に介挿させ、該絶縁シートでヒートスプレッダとヒートシンクとを接着させることが行われている。
なお、この特許文献1の金属シート層は、金属箔で形成されておりヒートシンクとしての機能が十分ではないために、この種の半導体モジュールには、前記金属シート層の表面(下面)に放熱グリスなどを介して別途放熱フィンなどの放熱器が取り付けられて用いられる。
なお、放熱性の向上には絶縁シートにおける無機フィラーの高充填率化が有効ではあるが、通常、無機フィラーが高充填された絶縁シートは、割れが生じやすく絶縁性が損なわれやすいという問題を有している。
例えば、ヒートスプレッダとヒートシンクとの間に絶縁シートによって絶縁層を形成させる場合には、沿面距離の関係から、ヒートスプレッダの下面よりも広範囲な面積にわたってヒートシンクの上面が絶縁シートによって覆われていることが求められる。
しかし、このような絶縁シートをヒートシンクとヒートスプレッダとの間に介装させた状態で熱プレスなどによる加圧接着をさせようとするとヒートスプレッダによって絶縁シートが加圧される領域の外側に加圧がなされない領域が形成されることになり、ヒートスプレッダの外縁部において応力集中が生じて絶縁シートに割れが発生するおそれを有する。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、絶縁信頼性の低下を抑制しつつ放熱性の向上が図られ得る半導体モジュールの製造方法を提供することを課題としている。
したがって、ヒートスプレッダの外縁部に応力が集中することを抑制させることができ絶縁シートに割れが生じるおそれを抑制させることができる。
すなわち、沿面距離を確保しつつも絶縁シートが割れることを防止することができる。
まず、本発明の製造方法によって製造される半導体モジュールについて一例を挙げて説明する。
図1は、本実施形態の半導体モジュールの断面を示した図であり、この図1にも示されているように本実施形態の半導体モジュール1は、扁平な直方体形状を有しており、当該半導体モジュール1の側壁部を構成する角筒状のケーシング80の内側には、半導体素子50がモールド樹脂90によってモールドされた状態で収容されている。
該半導体素子50は、その発する熱を除去させるべく、扁平直方体形状を有する角型の金属製ブロックからなるヒートスプレッダ30の上面にハンダ40によって接合されており、その上面にはリードフレーム70の端子部に一端部が接合されたボンディングワイヤ60の他端部が接合されている。
また、前記ヒートスプレッダ30には、他のリードフレーム70が接合されており、該ヒートスプレッダ30は、当該半導体モジュール1の動作時において前記半導体素子50の熱を奪う役割を担っているばかりでなく電気が流れる電路としての機能も果たしている。
また、前記ヒートシンク20は、半導体モジュール1の下面の略全域において露出されており、この露出させた露出面21を半導体モジュール1から系外に熱を放熱するための放熱面として機能させるものである。
この絶縁シート10は、無機フィラーを含む熱硬化性樹脂組成物で形成されており、熱伝導性に優れた絶縁層を形成させている。
すなわち、本実施形態に係る半導体モジュール1は、半導体素子50が発した熱が、ヒートスプレッダ30から絶縁シート10を通じて前記ヒートシンク20にすばやく伝達されて、前記露出面21から系外に放出されうるように形成されている。
しかも、本実施形態に係る半導体モジュール1は、前記ヒートスプレッダ30と前記ヒートシンク20との間が前記絶縁シート10によって絶縁されているために前記ヒートスプレッダ30に通電がされた場合において前記露出面21に人が触れても感電することがないように形成されている。
そして、前記ヒートスプレッダ30は、絶縁シート10よりもさらに小さく形成されており、その下面、すなわち、絶縁シート10との接着面が当該絶縁シート10よりも小さくなるように形成されている。
したがって、この絶縁シート10は、ヒートスプレッダ30の接着面よりも外側に延出した状態でヒートシンク20の上面に接着されており、この絶縁シート10が延出している長さの分だけ、ヒートスプレッダ30からヒートシンク20までの沿面距離が確保され絶縁性が確保されている。
また、前記絶縁シート10の厚みが薄いほどヒートスプレッダ30からヒートシンク20への熱の伝導性が良好となる。
さらには、ヒートスプレッダ30と絶縁シート10との接着面A1や絶縁シート10とヒートシンク20との接着面A2においてより良好なる接着がなされていることによって界面の接触熱抵抗が低減できて、ヒートスプレッダ30からヒートシンク20への熱の伝導性が良好となる。
前記熱硬化性樹脂組成物のベースポリマーとしては、高い絶縁信頼性や優れた耐熱性を有すること、さらに、ヒートシンク20やヒートスプレッダ30といった金属体に対する優れた接着力を示すことからエポキシ樹脂を用いることが好適である。
しかも、常温固体のエポキシ樹脂が好ましい。
この常温固体のエポキシが好ましいのは、常温液体状のエポキシ樹脂を用いた場合には、ヒートシンク20とヒートスプレッダ30とを接着すべく絶縁層10を加熱するなどした際に、エポキシ樹脂の粘度が低下しすぎて、ヒートスプレッダ30の端縁部から外にエポキシ樹脂が大きく滲み出してしまうおそれがあるためである。
このエポキシ樹脂の滲み出しが激しい場合には、絶縁性シート10の厚みが減少して絶縁信頼性を確保することが難しくなるおそれを有する。
絶縁シート10を形成する樹脂組成物に適度な流れ性を付与して、これらの問題をより確実に抑制させ得る点において、このエポキシ樹脂としては、エポキシ当量450〜2000g/eqの常温固体のビスフェノールA型エポキシ樹脂と、エポキシ当量160〜220g/eqの多官能の常温固体で87℃から93℃の間に軟化点を有するノボラック型エポキシ樹脂とが(ビスフェノールA型エポキシ樹脂/ノボラック型エポキシ樹脂)=40/60〜60/40となる質量比率で混合されているものを用いることが好ましい。
なお、このエポキシ当量は、JIS K 7236により求めることができる。
この硬化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、トリエチレンテトラミンなどのアミン系硬化剤、フェノールノボラック樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、ナフタレン型フェノール樹脂、ビスフェノール系フェノール樹脂などのフェノール系硬化剤、酸無水物などを用いることができる。
中でも、電気特性における信頼性を確保し易い点において、フェノールノボラック樹脂、ジアミノジフェニルスルホンが好適である。
前記硬化促進剤としては、特に限定されるものではないが、イミダゾール類や、トリフェニルフォスフェイト(TPP)、三フッ化ホウ素モノエチルアミンなどのアミン系硬化促進剤が保存性などにおいて好適である。
しかも、窒化ホウ素の板状の一次粒子が凝集した粒子(凝集粒子)を用いることが好ましい。
この凝集粒子としては、全体顆粒状を呈する状態に形成された凝集粒子(顆粒状粒子)や窒化ホウ素の一次粒子の鱗片状構造が区別できる程度に集合された集合状態を呈する凝集粒子(集合状粒子)などを用いることができる。
なお、この“平均粒径”については、例えば、レーザー回折法での粒度分布測定などを実施してD50値を測定することにより求めることができる。
さらには、絶縁シート10aと金属ブロック30aとの界面の接触熱抵抗や、絶縁シート10aと金属板20aとの界面の接触熱抵抗の低減を図るべく、熱プレスによるプレス圧を増大させるほど先のようなエッジ部30eでの割れの発生確率を高めてしまうことになる。
したがって、絶縁シート10aの硬化反応を予め進行させておくことも考え得るが、その場合には、接着性が低下して、ヒートシンク20aと絶縁シート10aと間の界面の接触熱抵抗やヒートスプレッダ30aと絶縁シート10aとの界面の接触熱抵抗を増大させる可能性が高くなる。
すなわち、従来の導体モジュールの製造方法では、絶縁信頼性を低下させることを抑制しつつ放熱性の向上を図ることが困難である。
そうして、この積層体LXの上からパッキングフィルムSHを載せて該パッキングフィルムSHの外縁部を前記ステージSTに止着する。
すなわち、板状ステージSTの上においてパッキングフィルムSHで積層体LXを覆って封止した状態にさせる。
その後、前記ステージSTの下側に設けられ、前記圧力容器CMの内部空間と隔離された空間の空気を排気することで、前記ステージSTを厚み方向に貫通する貫通孔Hを通じて、ステージSTの上面と前記パッキングフィルムSHとの間の空気を除去し、前記パッキングフィルムSHを前記積層体LXの表面形状に沿わせる形で密着させる。
そうしておいて、窒素ガスなどの加熱・加圧のためのガスを前記圧力容器CMに導入し、前記パッキングフィルムを通じて積層体LXを加圧する。
しかも、オートクレーブによって加圧することでヒートスプレッダ30bとヒートシンク20bとの接着を行うことから、この図2にも示しているように、数個の積層体LXを一度に加圧しても、個々の積層体LXに圧力の違いが生じ難くなる。
例えば、図4に示すような上下2面の熱盤を有するプレスにおいて一度に数個のプレスを実施させた場合には、仮に、クッションシートなどを介装させたとしてもそれぞれに加わる圧力にバラツキを生じやすく最終的に得られる半導体モジュール間に特性のバラツキを生じさせやすくなるが本実施形態の方法のようにオートクレーブを利用することで、半導体モジュール間に特性のバラツキが生じることを抑制させうる。
また、この圧力については、良好なる接着性とより確実な割れ防止とを図る意味において3MPa〜10MPaであることが好ましい。
また、熱硬化性樹脂組成物のベースが常温固体のエポキシ樹脂であるような場合において加圧時における温度や時間に関しては、用いる硬化剤の種類や配合量にもよるが、通常雰囲気温度は、通常、150℃〜200℃とされ、加圧時間は、通常、60分〜300分とされる。
また、例えば、熱硬化性樹脂組成物を有機溶剤に分散させたワニスをヒートシンク20bとして用いられる金属板にスクリーン印刷して該金属板上で乾燥させ、その上にヒートスプレッダ30bを搭載するような方法で絶縁シート10bをヒートスプレッダ30bとヒートシンク20bとの間に介装させて前記積層体LXを形成させてもよい。
特に、高さの異なるヒートスプレッダを一つのヒートシンクに接着させるような場合においては、本発明の半導体モジュールの製造方法のごとくオートクレーブによってヒートスプレッダ側から加圧する手法が特に有効なものとなる。
すなわち、図4の熱プレス方法では、高さの異なるヒートスプレッダをヒートシンクに接着させる場合には、それぞれ、別工程で接着させるか、適切なスペーサを介装させることが必要になるが、本実施形態においては、特段の手間をかけることなく一度の工程でこれらの接着を行うことができ、工程の簡略化を図り得る。
例えば、本実施形態においては、板状のヒートシンクを例示しているが、下面(露出面)側にフィンやピンが立設されて空冷性能を向上させたようなヒートシンクを採用する場合も本発明が意図する範囲のものである。
無機フィラー(窒化ホウ素)を50体積%含有するエポキシ樹脂組成物を有機溶媒に分散させてワニスを形成し、これを厚み105μmの銅箔に塗布・乾燥して金属シート付絶縁シート(絶縁層の厚み200μm)を作製した。
上面側に半導体素子を搭載したヒートスプレッダの下面にこの金属シート付絶縁シートを仮接着させ、ケーシングをセットし、このケーシング中にモールド樹脂を射出成形することによって図3(a)に示すような半導体モジュール半製品を作製した。
この半製品を加熱して前記エポキシ樹脂組成物のポストキュアを実施した後に、下面に露出している銅箔に放熱グリスを塗布してヒートシンクを取り付けた。
得られた半導体モジュールの「半導体素子」から「ヒートシンク」までの熱抵抗値を測定したところ1.0℃/Wであった。
また、リードフレームとヒートシンクとの間の耐電圧試験を実施したところ、絶縁破壊電圧は、10kVであった。
ヒートスプレッダに金属シート付絶縁シートを仮接着させずにヒートスプレッダの下面を露出させる形でモールド樹脂の射出成形を行った後、このヒートスプレッダの露出面に比較例1と同じ金属シート付絶縁シートを加熱加圧して図3(b)に示すような半導体モジュール半製品を作製した。
この半製品の下面に露出している銅箔に放熱グリスを塗布してヒートシンクを取り付け比較例1と同様に熱抵抗を測定するとともに絶縁破壊電圧を測定したところ、それぞれ1.2℃/Wと10kVとの値が得られた。
前記金属シート付絶縁シートの作製に用いたものと同じワニスを使用して、ヒートシンクに前記金属シート付絶縁シートの絶縁層厚みと同等の厚みとなるように絶縁層(絶縁シート)を形成させた。
これに、ヒートスプレッダを載せて、熱プレスによって接着させた。
その後、このヒートスプレッダに半導体素子をハンダ付けして、図1に示されるような半導体モジュールを作製した。
得られた、半導体モジュールを比較例1と同様に熱抵抗を測定するとともに絶縁破壊電圧を測定したところ、それぞれ0.5℃/Wと2kVとの値が得られた。
すなわち、低い熱抵抗値が観測されたものの絶縁破壊電圧を大きく低下させることになった。
熱プレスに代えてオートクレーブによってヒートスプレッダ側からの加圧を行い、該ヒートスプレッダの下面から外方に延出している絶縁層にまで圧力が加わるようにして、ヒートスプレッダとヒートシンクとの接着を行ったこと以外は上記比較例3と同様に半導体モジュールを作製した。
得られた、半導体モジュールを比較例1と同様に熱抵抗を測定するとともに絶縁破壊電圧を測定したところ、それぞれ0.5℃/Wと10kVとの値が得られた。
このことからも本発明によれば絶縁信頼性の低下を抑制しつつ放熱性に優れた半導体モジュールを製造しうることがわかる。
10 絶縁シート
20 ヒートシンク
30 ヒートスプレッダ
40 ハンダ
50 半導体素子
60 ボンディングワイヤ
70 リードフレーム
80 ケーシング
90 モールド樹脂
Claims (2)
- 上面側に半導体素子が搭載され該半導体素子が発する熱が伝達されるヒートスプレッダを有し、該ヒートスプレッダの下面側に絶縁シートを介して前記熱をモジュール外に放熱させるためのヒートシンクが接着されており、前記ヒートスプレッダが前記ヒートシンクよりも小さく、該ヒートスプレッダとの接着面よりも外側に延出した状態で前記絶縁シートが前記ヒートシンクの上面に接着されている半導体モジュールを作製する半導体モジュールの製造方法であって、
無機フィラーを含む熱硬化性樹脂組成物で形成された絶縁シートが前記ヒートシンクと前記ヒートスプレッダとの間に介装されている積層体を加熱して前記絶縁シートを熱硬化させ、しかも、前記積層体をオートクレーブで前記ヒートスプレッダの側から加圧しつつ前記加熱することにより、前記ヒートスプレッダの外側に延出している前記絶縁シートに対しても前記ヒートシンクに向けた加圧を実施して前記ヒートスプレッダと前記ヒートシンクとを接着させることを特徴とする半導体モジュールの製造方法。 - 前記絶縁シートには前記無機フィラーが50%体積以上含有されている請求項1記載の半導体モジュールの製造方法。
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