図1に示すように、電子内視鏡システム11は、電子内視鏡12、プロセサ装置13、及び光源装置14からなる。電子内視鏡12は、被検者の体内に挿入される可撓性の挿入部16と、挿入部16の基端部分に連設された操作部17と、プロセッサ装置13及び光源装置14に接続されるコネクタ18と、操作部17‐コネクタ18間を繋ぐユニバーサルコード19とを有する。挿入部16の先端(以下、先端部という)20には、被検体内撮影用のCMOS型イメージセンサ(図2参照。以下、CMOSセンサという)21が設けられている。
操作部17には、先端部20を上下左右方向に湾曲させるためのアングルノブや、挿入部16の先端からエアーや水を噴出させるための送気/送水ボタン、観察画像を静止画記録するためのレリーズボタン、モニタ22に表示された観察画像を拡大/縮小を指示するズームボタンといった操作部材が設けられている。また、操作部17の先端側には、電気メス等の処置具が挿通される鉗子口が設けられている。鉗子口は、挿入部16内の鉗子チャネルを通して、先端部20に設けられた鉗子出口に連通している。
プロセッサ装置13は、光源装置14と電気的に接続され、電子内視鏡システム11の動作を統括的に制御する。プロセッサ装置13は、ユニバーサルコード19や挿入部16内に挿通された伝送ケーブルを介して電子内視鏡12に給電を行い、CMOSセンサ21の駆動を制御する。また、プロセッサ装置13は、伝送ケーブルを介して、CMOSセンサ21から出力された撮像信号を取得し、各種画像処理を施して画像データを生成する。プロセッサ装置13で生成された画像データは、プロセッサ装置13にケーブル接続されたモニタ22に観察画像として表示される。
図2に示すように、先端部20には、観察窓23、照明窓24、タイミングジェネレータ(以下、TGという)26、CPU27、温度センサ30等が設けられている。観察窓23の奥にはレンズ群及びプリズムからなる対物光学系25によって被検体内の像が撮像領域51(図3参照)に結像されるようにCMOSセンサ21が配置されている。照明窓24からは照明光が被検体内に照射される。照明光は、光源装置14から電子内視鏡12に供給され、ユニバーサルコード19及び挿入部16に挿通されたライトガイド28によって導光されて、出射端に配置された照明レンズ29によって照明窓24を介して被検体内に照射される。
CMOSセンサ21は、対物光学系25によって撮像領域51に結像される被検体内の像を光電変換し、撮像信号として出力する。CMOSセンサ21は、対物光学系25によって被検体の像が結像される前面(撮像面)に、所定配列の複数の画素からなる撮像領域51を有する。撮像領域51は、中央の受光部と、受光部を囲むように設けられたオプティカルブラック(OB)部とからなる。受光部は、被検体内の撮像に用いられる開口された画素が配列された領域であり、各画素に複数の色セグメントからなるカラーフィルタ、例えばベイヤー配列の原色(RGB)あるいは補色(CMYまたはCMYG)カラーフィルタが形成されている。OB部は、遮光された画素からなる領域であり、暗電流ノイズに応じたデータ(画素値)を出力する。CMOSセンサ21が出力する撮像信号には、受光部から出力されるデータとともにOB部から出力されたデータが含まれる。CMOSセンサ21が出力する撮像信号は、ユニバーサルコード19及びコネクタ18を介してプロセッサ装置13に入力され、DSP32(後述)の作業メモリに一旦格納される。その後、撮像信号に対して各種信号処理を施され、観察画像が生成される。
温度センサ30は、例えばサーミスタからなり、CMOSセンサ21に取り付けられる。温度センサ30は、CMOSセンサ21の温度が上昇すると、これに応じて抵抗値が増大し、CMOSセンサ21の温度が下降すると、これに応じて温度センサの抵抗値が減少する。温度センサ30の抵抗値を示す信号は、温度信号としてDSP32に入力され、CMOSセンサ21の温度に換算される。なお、ここでは温度センサ30としてサーミスタを用いる例を説明するが、熱電対等、他の温度センサを用いても良い。
TG26には、CMOSセンサ21にクロック信号を与える。CMOSセンサ21は、TG26から入力されるクロック信号に応じて撮像動作を行ない、撮像信号を出力する。なお、TG26は、CMOSセンサ21内に設けられていても良い。CPU27は、電子内視鏡12とプロセッサ装置13とが接続された後、プロセッサ装置13のCPU31からの動作開始信号に基づいてTG26を駆動させる。
プロセッサ装置13は、CPU31、デジタル信号処理回路(以下、DSPという)32、デジタル画像処理回路(以下、DIPという)33、表示制御回路34、操作部35等を有する。
CPU31は、図示しないデータバスやアドレスバス、制御線を介して各部と接続されており、プロセッサ装置13全体の動作を統括的に制御する。ROM36には、プロセッサ装置13の動作を制御するための各種プログラム(OS,アプリケーションプログラム等)やデータ(グラフィックデータ、温度センサ30の特性データ、先端部20の熱特性データ(後述)等)が記憶される。CPU31は、ROM36から必要なプログラムやデータを読み出して、作業メモリであるRAM37に展開し、読み出したプログラムを逐次処理する。また、CPU31は、検査日時、被検体や術者の情報等の文字情報といった検査毎に変わる情報を、後述する操作部35やLAN等のネットワークより取得し、RAM37に記憶する。
DSP32は、CMOSセンサ21から入力される撮像信号に対して,色分離、色補間、ゲイン補正、ホワイトバランス調整、ガンマ補正等の各種信号処理を施し、画像データを生成する。DSP32で生成された画像データは、DIP33の作業メモリに入力される。また、DSP32は、例えば生成した画像データの各画素の輝度を平均した平均輝度値等、ALC制御(後述)に必要なALC制御用データを生成し、CPU31に入力する。
さらに、DSP32は、CMOSセンサ21の温度を測定する測定部41、CMOSセンサ21の温度に基づいて先端部20の先端の面(以下、先端面という)42の温度を推定する先端面温度推定部43を備える。
測定部41は、温度センサ30から入力される温度信号(サーミスタの抵抗値)が入力される。測定部41は、既知の温度センサ30の特性データに基づいて温度信号を温度に換算することにより、CMOSセンサ21の温度T1(以下、CMOS温度という)を測定する。測定部41によるCMOS温度T1の測定は所定時間間隔Δt毎に行われ、測定部41は測定したCMOS温度T1から前回測定したCMOS温度T1を減算することにより、時間間隔Δt間におけるCMOS温度T1の変化量ΔT1を算出する。測定部41によって測定されたCMOS温度T1は、先端面温度推定部43における先端面温度の推定値の算出や、ALC制御に用いられる。また、CMOS温度T1と、その変化量ΔT1は、先端面温度の推定値の算出に用いられる。
先端面温度推定部43は、測定部41から入力されるCMOSセンサ21の温度と熱特性データ44に基づいて、先端面42の温度(以下、先端面温度という)T2を算出(推定)する。熱特性データ44には、CMOSセンサ21近傍の熱容量C、CMOSセンサ21から内視鏡雰囲気A(例えば温度Ta=37℃雰囲気に設定される。図5参照。)への熱抵抗R1、CMOSセンサ21から先端面42までの熱抵抗R1、駆動状態に応じたCMOSセンサ21の発熱量Q等が含まれ、各々の値が予め測定され、ROM36に記憶されている。先端面温度推定部43によって推定された先端面温度T2は、ALC制御に用いられる。
DIP33は、DSP32で生成された画像データに対して、電子変倍、色強調処理、エッジ強調処理等の各種画像処理を施す。DIP33で各種画像処理を施された画像データは、観察画像として表示制御回路34に入力される。
表示制御回路34は、DIP33から入力される観察画像を格納するVRAMを有する。また、表示制御回路34は、CPU31からROM36及びRAM37のグラフィックデータ等を受け取る。グラフィックデータ等には、観察画像のうち被写体が写された有効画素領域のみを表示させる表示マスク、検査日時、被検体や術者の情報等の文字情報、GUIといったものがある。表示制御回路34は、VRAMに格納した観察画像に対して、グラフィックデータ等の重畳処理を行うとともに、モニタ22の表示形式に応じたビデオ信号(コンポーネント信号、コンポジット信号等)に変換してモニタ22に出力する。これにより、モニタ22に観察画像が表示される。
操作部35は、プロセッサ装置13の筐体に設けられる操作パネル、マウスやキーボード等の周知の入力デバイスであり、電子内視鏡12の操作部17にあるボタン等も含む。CPU31は、操作部35からの操作信号に応じて、電子内視鏡システム11の各部を動作させる。
プロセッサ装置13には、上記の他にも、画像データに所定の圧縮形式(例えばJPEG形式)で画像圧縮を施す圧縮処理回路や、レリーズボタンの操作に連動して、圧縮された画像をリムーバブルメディアに記録するメディアI/F、LAN等のネットワークとの間で各種データの伝送制御を行うネットワークI/F当が設けられている。これらは、データバス等を介してCPU31と接続されている。
光源装置14は、光源45、絞り機構46、波長選択フィルタ47、CPU48を有する。
光源45は、赤色から青色までのブロードな波長の光(例えば、主に400nm以上800nm以下の波長帯の光、以下、通常光という)を発生する。光源45は例えばキセノンランプからなり、一定の光量の通常光を発光する。光源45で発生した通常光の光量は、絞り機構46によって調節される。また、光源45で発生した通常光は、波長選択フィルタ47によって特定の狭い波長帯の光(以下、特殊光という)に制限されて被検体内に照射される場合がある。こうして光源45から発せられた照明光(通常光または特殊光)は、集光レンズ49で集光されてライトガイド28の入射端に導光される。
絞り機構46は、後述するように絞り開口64(図4参照)や絞り開口64を開閉する絞り羽根65(図4参照)等からなり、照明光の光量を調節する。絞り機構46は、撮影の様態やCMOS温度T1、先端面温度T2等に応じて、CPU48によって自動的に制御される。
波長選択フィルタ47は、光源45から発せられた通常光を特殊光に制限するフィルタである。波長選択フィルタ47は、例えば円盤の半分が切り欠かれた半円状の形状を有し、光源45と集光レンズ49の間を横切るようにモータ回転される。また、波長選択フィルタ47には、その回転位置を検出するセンサが設けられている。波長選択フィルタ47が光源45と集光レンズ49の間を横切っている間は特殊光が照射され、波長選択フィルタ47の切り欠き部分が光源45と集光レンズ49の間を横切っている間は通常光が照明光として被検体内に照射される。特殊光としては、例えば、450nm、500nm、550nm、600nm、780nm近傍の波長の光が上げられる。
450nm近傍の特殊光による撮影は、表層の血管やピットパターン等の被観察部位表面の微細構造の観察に適している。500nm近傍の照明光では、被観察部位の陥凹や隆起等のマクロな凹凸構造を観察することができる。550nm近傍の照明光は、ヘモグロビンによる吸収率が高く、微細血管や発赤の観察に適し、600nm近傍の照明光は、肥厚の観察に適している。深層血管の観察には、インドシアニングリーン(ICG)等の蛍光物質を静脈注射し、780nm近傍の照明光を用いることで明瞭に観察することができる。
なお、ここでは波長選択フィルタ47を用いるが、波長選択フィルタ47に代えて、あるいは波長選択フィルタ47に加えて、41として波長帯が異なる光を発するLEDやLD等を複数備えておき、これらの点灯と消灯を制御することにより通常光と特殊光を切り替えても良い。また、青色レーザー光源、及び青色レーザー光の照射により緑色〜赤色の励起光を発する蛍光体を用いて通常光を発生させ、さらに波長選択フィルタで特殊光を発生させても良い。
CPU48は、プロセッサ装置13のCPU31と通信し、絞り機構46及び波長選択フィルタ47の動作制御を行う。CPU48による絞り機構46の制御は、撮影の様態等に応じて自動的に照明光の光量を調節するALC(Auto Light Control)制御である。CPU48の行うALC制御は、DSP32で生成されたALC制御用データに基づいて行われる。また、CPU48は、ALC制御を行う際に、プロセッサ装置13のCPU31を介して、CMOS温度T1と先端面温度T2を所定のタイミングで取得する。そして、CMOS温度T1及び先端面温度T2に応じて照明光量の上限を所定値に制限し、この上限以下の光量となる範囲内でALC制御を行う。
電子内視鏡システム11では、CMOS温度T1に対して閾値TA1,TA2(TA1>TA2)が予め設定され、先端面温度T2に対して閾値TB1,TB2(TB1>TB2)が予め設定される。また、CMOS温度T1に対して照明光量の上限値(以下、光量上限という)Lmin1が予め定められており、CMOS温度T1と閾値TA1,TA2の大小関係によって光量上限がLmin1に制限されることがある。同様に、先端面温度T2に対して光量上限Lmin2が予め定められており、先端面温度T2と閾値TB1,TB2の大小関係によって光量上限がLmin2に制限されることがある。なお、光量上限Lmin1,Lmin2は任意に設定できるが、ここでは光量上限Lmin1よりも光量上限Lmin2の方が小さいとする(Lmin1>Lmin2)。そして、CMOS温度T1と閾値TA1,TA2の大小関係に基づいて光量上限をLmin1に制限する必要があり、これと同時に、先端面温度T2と閾値TB1,TB2の大小関係に基づいて光量上限をLmin2に制限する必要が生じた場合、電子内視鏡システム11はより小さい光量上限Lmin2を採用する。
CMOS温度T1に対する高温の閾値TA1は例えば60℃であり、CMOS温度T1がこれを超えると、観察画像に白傷が目立つようになり、診察に支障をきたしやすくなる。また、CMOS温度T1に対する低温の閾値TA2は例えば50℃であり、CMOSセンサ21の温度が十分に下がったことを判断する基準として用いられる。
先端面温度T2に対する高温の閾値TB1は例えば60℃であり、先端面温度T2がこれを超えて上昇すると、被検体に違和感を覚えさせてしまったり、被検体内に火傷を負わせる危険が増す。先端面温度T2に対する低温の閾値TB2は例えば37℃であり、先端面温度T2が十分に下がったことを判断する基準として用いられる。
照明光の光量上限は、後述するように、CMOS温度T1と閾値TA1,TA2の大小関係、及び先端面温度T2と閾値TB1,TB2の大小関係に応じて、ALC制御される照明光量の上限値を定めるものである。ALC制御において照明光の光量に上限が設定されない場合には、絞り開口64の大きさが照明光の最大光量Lmaxである。
CPU48は、例えばCMOS温度T1が閾値TA1より小さく、かつ、先端面温度T2が閾値TB1よりも小さい場合に、照明光の光量上限を開放し、最大光量Lmax以下の範囲内でALC制御を行う。また,例えば、CMOS温度T1が閾値TA1を超えた場合、または先端面温度T2が閾値TB1を超えた場合に、CPU48は照明光量の上限を光量上限Lmin1またはLmin2に制限し、これ以下の範囲内でALC制御を行い、先端部20の発熱を抑える。また、CPU48は、照明光量の上限を光量上限Lmin1またはLmin2に制限した場合、CMOS温度T1が閾値TA2を下回り、かつ、先端面温度T2が閾値TB2を下回ったときに、照明光量の上限を最大光量Lmaxに開放する。
ライトガイド28は、例えば、複数の石英製光ファイバーを巻回テープ等で集束してバンドル化したものである。ライトガイド28の出射端に導かれた照明光は、照明レンズ29によって拡散された被検体内に照射される。
図3に示すように、CMOSセンサ21は、垂直走査回路56、相関二重サンプリング(CDS)回路57、列選択トランジスタ58、水平走査回路59、及び出力回路61から構成される。
撮像領域51には、画素62がマトリクス状に配列されている。画素62は、フォトダイオードD1、増幅用トランジスタM1、画素選択用トランジスタM2、およびリセット用トランジスタM3を有する。フォトダイオードD1は、光電変換によって、入射光量に応じた信号電荷を生成するとともに、これを蓄積する。フォトダイオードD1に蓄積された信号電荷は、増幅用トランジスタM1によって撮像信号として増幅され、画素選択用トランジスタM2によって、所定のタイミングで画素62外に出力される。また、フォトダイオードD1に蓄積された信号電荷は、所定のタイミングでリセット用トランジスタM3を介してドレインに排出される。画素選択用トランジスタM2、およびリセット用トランジスタM3はNチャンネルトランジスタであり、ゲートにHighレベル“1”が印加されるとオン、Lowレベル“0”が印加されるとオフとなる。
撮像領域51には、垂直走査回路56からから水平方向(X方向)に行選択線L1および行リセット線L2が配線されているとともに、CDS回路57から垂直方向(Y方向)に列信号線L3が配線されている。行選択線L1は、画素選択用トランジスタM2のゲートに接続されており、行リセット線L2は、リセット用トランジスタM3のゲートに接続されている。また、列信号線L3は、画素選択用トランジスタM2のソースに接続され、CDS回路57を介して、対応する列の列選択トランジスタ58に接続されている。
CDS回路57は、垂直走査回路56によって選択された行選択線L1に接続された画素62の撮像信号を、TG26から入力されるクロック信号に基づいて保持し、ノイズ除去を行う。水平走査回路59は、TG26から入力されるクロック信号に基づいて水平走査信号を発生し、列選択トランジスタ58のオン、オフ制御を行う。
列選択トランジスタ58は、出力回路61に接続された出力バスライン63とCDS回路57との間に設けられており、水平走査信号に応じて、出力バスライン63に撮像信号を転送させる画素を選択する。
出力回路61は、CDS回路57から出力バスライン63に順に転送される撮像信号を増幅し、A/D変換して出力する。出力回路61による撮像信号の増幅率は、CPU27から出力回路61にゲイン調節信号を入力することにより調節される。その後、出力回路61は、撮像信号をA/D変換してDSP32に出力する。
図4に示すように、絞り機構46は、絞り開口64を開閉する絞り羽根65と絞り開口87を閉じる位置に絞り羽根65を付勢するスプリング66とを備えている。絞り羽根65は、モータ67から与えられるトルクによってスプリング66の付勢力に抗して絞り開口64の開口量が大きくなる方向(時計方向)に回転し、トルクの大きさとスプリング66の付勢力が釣り合う位置で停止する。トルクが大きいとスプリング66の付勢力に抗する力も大きくなるので、絞り開口64の開口量も大きくなる。トルクが小さいとスプリング66の付勢力に抗する力が小さくなるので絞り開口64の開口量が小さくなる。モータ67のトルクは、PWM値(後述)の増加と共に大きくなり、PWM値が下がると減少する。
光源装置14のCPU48は、DSP32によって算出されたALC制御用データに基づいて、絞り羽根65とスプリング66からなる絞り調節機構68を制御する。CPU48は、ALC制御用データに応じて、モータ67のトルクを決定するPWM(パルス幅変調)値を算出し、モータドライバ(図示しない)によってPWM値に応じた駆動パルスを発生させてモータ67を駆動する。PWM値は、モータ67の駆動パルスのデューティ比(パルス幅をパルス周期で割った値)を決定するもので、モータ67のトルクを決定する。CPU48は、ALC制御用データが増加を要求する信号である場合には、増加分に応じてPWM値を上げ、減少を要求する信号である場合には、減少分に応じてPWM値を下げることにより、CPU48はALC制御を行う。
図5に示すように、先端部20内において熱が伝達する様態は、CMOSセンサ21が熱抵抗R1と熱容量Cを並列に介して内視鏡雰囲気A(被検体内。以下、温度Taの恒温状態にあるものとする)に熱接続され、先端面42に熱抵抗R2を介して先端面42に熱接続されるものとしてモデル化することができる。先端面温度推定部43は、この熱回路網モデル71にしたがってCMOS温度T1と熱特性データ44から先端面温度T2の推定値を算出する。
熱回路網モデル71は、下記数1の式で表される。数1の式において、CMOS温度T1は先端面温度T2の推定時に先端面温度推定部43に入力される変数であり、熱抵抗R1及びR2,熱容量C,CMOSセンサ21の発熱量Qは既知量として熱特性データ44から取得される。熱抵抗R1及びR2,熱容量Cは、先端部20内の物(CMOSセンサ21やライトガイド29)の配置や素材等によって定まるので、電子内視鏡システム11の使用前に予め測定(あるいは算出)される。CMOSセンサ21の発熱量Qは、CMOSセンサ21を駆動することによってCMOSセンサ21自身から生じる熱量であり、駆動電圧やフレームレート等の具体的な駆動状態毎に予め測定される。なお、熱回路網モデル71では、ライトガイド28や照明レンズ29等の照明系からの発熱量Q’は、推定する先端面温度T2に直接反映される。
数1:
(T1−Ta)/R1+(T1−T2)/R2+CdT1/dt=Q
数1は、キルヒホッフの法則により、直接的に温度を測定可能なCMOSセンサ21からの流出熱量(左辺)が発熱量Qに等しいことに基づいて、熱回路網モデル71を定式化したものである。CMOSセンサ21からの熱流出は、温度を推定する先端面42を介した経路と、先端面42を介さない経路(先端部20の側面等からの熱流出)、CMOSセンサ21の周囲に蓄熱される経路がある。第1項は、CMOSセンサ21から先端面42を介さずに内視鏡雰囲気Aに流出する熱量q1を表す項であり、CMOS温度T1と内視鏡雰囲気温度Taの差に比例し、CMOSセンサ21‐内視鏡雰囲気A間の熱抵抗R1に反比例する。第2項は、CMOSセンサ21から先端面42に流出する熱量q2を表す項であり、CMOS温度T1と先端面温度T2の差に比例し、CMOSセンサ21‐先端面42間の熱抵抗R2に反比例する。第3項は、過渡的にCMOSセンサ21の周囲に蓄熱される熱量q3を表す項であり、内視鏡雰囲気温度Taが時間変化しないものとして、CMOS温度T1の時間微分と熱容量Cの積で表される。
数1の式を、所定時間間隔Δt、Δt間のCMOS温度T1の変化量ΔT1として、微分項(dT1/dt)を差分近似し、推定する先端面温度T2を、入力されるCMOS温度T1及び既知量R1,R2,C,Qで表すように整理すると、T2=T1+R2・(T1−Ta)/R1+C・R2・ΔT1/Δt−R2・Qと書ける。したがって、CMOS温度T1を所定時間間隔Δt毎に測定することによって、CMOS温度T1と時間間隔Δt間のCMOS温度の変化量ΔT1から、先端面温度T2の推定値が算出される。
熱抵抗R1及びR2は、図6に示すように予め同定される。まず、電子内視鏡12を恒温槽等の第1所定温ta(例えば、被検体内を想定した37℃)雰囲気内に配置して、少なくとも先端部20の全体が熱平衡状態になるのを待つ(ステップS11)。このとき、CMOSセンサ21や光源45はオフにしておく。
先端部20が第1所定温度taで熱平衡状態になったら、先端面42に第2所定温度t2の熱源を接触させる(ステップS12)。熱源は、例えば、アルミニウム等からなるブロック状の高熱伝導部材であり、先端部20よりも熱容量が十分に大きくなる体積を有し、先端面42に接触したことによる熱源自身の温度変化をほぼ無視できるものを用いる。また、熱源の温度t2は、先に先端部20を熱平衡状態にした第1所定温度ta(37℃)に対して適度に差がある温度(例えば+5〜10℃程度)に設定することが好ましい。熱源は、温度t2を自在に調節できるものであることが好ましい。
その後、第1所定温度ta雰囲気中で、先端面42に第2所定温度の熱源を接触させた状態で、先端部20が熱平衡状態になったら、CMOS温度T1を測定する(ステップS13)。このとき、測定されるCMOS温度T1をt1とする。また、CMOSセンサ21は給電されておらず、発熱量Q=0であり、熱平衡状態なのでdT1/dt(≒ΔT1/Δt)=0である。さらに、第1所定温度Taが第1所定温度taに等しく、先端面温度T2は第2所定温度t2であって既知である。これらのことから、数1の式より、熱抵抗比R2/R1=(t2−t1)/(t1−ta)によって算出する(ステップS14)。
次に、CMOSセンサ21を所定条件で駆動して(ステップS21)、再び熱平衡状態になるのを待ち、CMOS温度T1を測定する(ステップS22)。このとき測定されるCMOS温度T1をt1’とする。また、熱平衡状態なので微分項は0であり、先端部温度T2=t2であるが、CMOSセンサ21は所定条件で駆動されているので、CMOSセンサ21は発熱量Q≠0で発熱している。したがって、R1,R2,t1’,t2,ta,Qは、数1の式より、(t1’−t2)/R2+(t1’−ta)/R1)=Qの関係を満たす。この式と、ステップS14で算出した熱抵抗比R2/R1の値から、熱抵抗R1及びR2が各々算出される(ステップS23)。
熱容量Cは、熱抵抗R1,R2が上述のようにして算出され、既知量であることを前提として、図7に示すようにして同定される。まず、電子内視鏡12を恒温槽等の第1所定温度ta雰囲気内に配置して、少なくとも先端部20の全体が熱平衡状態になるのを待つ(ステップS31)。このとき、CMOSセンサ21や光源45はオフにしておく。そして、先端部20が第1所定温度taで熱平衡状態になったら、先端面42に第2所定温度t2の熱源を接触させる(ステップS32)。その後、熱源の温度t2を段階的に変化させながら(あるいは熱源を段階的に交換しながら)、CMOS温度T1を測定する(ステップS33)。
数1の式から、CMOS温度T1の温度変化(T1−Taの温度変化)は1次遅れ応答を示し、時定数τはτ=C・R1・R2/(R1+R2)である。したがって、時定数τは、ステップS33で熱源の温度t2(=先端面温度T2)を段階的に変化ささせながら測定したCMOS温度T1の変化様態から算出する(ステップS34)。そして、算出した一次遅れ応答の時定数τを用いて、熱容量C=τ・(1/R1+1/R2)を算出する(ステップS35)。
上述のように構成される電子内視鏡システム11の作用について説明する。電子内視鏡12で被検体内を観察する際、術者は、電子内視鏡12とプロセッサ装置13及び光源装置14を接続し、プロセッサ装置13及び光源装置14の電源をオンにする。そして、操作部35を操作して、被検体に関する情報等を入力するとともに、挿入部16を被検体内に挿入して、検査を開始する。検査が開始されると、電子内視鏡システム11は、先端部20の照明窓24から照明光(例えば通常光)を照射しながら、CMOSセンサ21によって被検体内を撮像し、CMOSセンサ21から出力される撮像信号に基づいて生成される観察画像をモニタ22に表示する。
図8に示すように、電子内視鏡12によって被検体内を所定光量の照明光で照明しながら撮影すると(ステップS51)、所定時間間隔Δt毎に、温度センサ30はCMOSセンサ21の温度に応じて温度信号を出力し、測定部41は、温度センサ30の特性データに基づいて温度信号を温度に換算することによりCMOS温度T1、及び所定時間間隔Δt間におけるCMOS温度T1の変化量ΔT1を測定する(ステップS52)。
先端面温度推定部43は、測定されたCMOS温度T1,CMOS温度T1の変化量ΔT1,熱特性データ44を取得し、前述の数1の式に基づいて先端面温度T2の推定値を算出する(ステップS53)。
その後、光源装置14のCPU48は、プロセッサ装置13のCPU31を介してCMOS温度T1及び先端面温度T2を取得し、これらの値と、閾値TA1,TA2,TB1,TB2の大小関係に基づいて、ALC制御における照明光量の上限を定める(ステップS54)。ALC制御における照明光量の上限は、絞り開口64の開口の大きさによって定まる最大光量Lmax、または、予め定められた光量上限Lmin1,Lmin2のいずれかに設定される。
そして、CPU48は、撮影時にDSP32で算出されるALC制御用データを取得して、設定した光量上限の範囲内に照明光の光量が収まるように、ALC制御用データに基づいて絞り機構46を制御することにより、ALC制御を行う(ステップS55)。上述の動作は、検査(観察)が終了するまで繰り返し行われる(ステップS56)。
図9に示すように、CMOS温度T1により定める照明光の光量上限の関係は、CMOS温度T1が上昇する場合と、下降する場合とで異なる。検査開始直後等でCMOS温度T1が上昇する場合、CPU48は、光量上限を最大光量Lmaxに設定し、CMOS温度T1がTA1(高温閾値)までこの光量上限を維持する。そして、CMOS温度T1がTA1を超えると、光量上限を光量上限Lmin1に制限する。一方、光量上限L1が一旦光量上限Lmin1に制限された後、CMOS温度T1が下降する場合、CMOS温度T1が十分に下がってTA2(低温閾値)になるまで、光量上限L1は光量上限Lmin1に制限される。そして、CMOS温度T1がTA2を下回ったときに、光量上限が最大光量Lmaxに開放される。
図10に示すように、先端面温度T2により定める照明光の光量上限の関係は、先端面温度T2が上昇する場合と、下降する場合とで異なる。検査開始直後等で先端面温度T2が上昇する場合、CPU48は、光量上限L2を最大光量Lmaxに設定し、先端面温度T2がTB1(高温閾値)までこの光量上限を維持する。そして、先端面温度T2がTB1を超えると、光量上限を光量上限Lmin2に制限する。一方、光量上限L2が一旦光量上限Lmin2に制限された後、先端面温度T2が下降する場合、先端面温度T2が十分に下がってTB2(低温閾値)になるまで、光量上限L2は光量上限Lmin2に制限される。そして、先端面温度T2がTB2を下回ったときに、光量上限が最大光量Lmaxに開放される。
ALC制御における照明光量の上限は、前記のCMOS温度T1により定まる光量上限と、前記の先端面温度T2により定まる光量上限の、いずれか低い方を採用する。
さらに、電子内視鏡システム11は、CMOS温度T1と先端面温度T2の双方に基づいたALC制御により照明光量を調節するので、先端部20の温度としてCMOS温度T1または先端面温度T2を代表して用いる場合と比較して、より好適に照明光量を調節することができる。
例えば、先端面42から水を噴出して観察窓23や照明窓24を洗浄すると、先端面温度T2は即座に低下するが、水の噴出量によってはCMOS温度T1は低下しなかったり、CMOS温度T1が低下するにしても先端面温度T2の低下タイミングからタイムラグが生じたりする。この場合に、先端部20の温度として先端面温度T2を代表して用いたALC制御を行うと、先端面温度T2の低下に連動して照明光量が増大されることになるので、CMOS温度T1が白傷が目立つ温度(閾値TA1)を超えてしまいやすい。しかし、電子内視鏡システム11は、CMOS温度T1及び先端面温度T2を同時に正確に取得し、これらの双方を参照して照明光量の上限を設定するので、上述のように先端面温度T2だけが低下した場合であっても、CMOS温度T1が上昇しすぎないように適切なALC制御を行うことができる。
また、先端部20の温度としてCMOS温度T1を用いてALC制御を行うと、CMOS温度T1が白傷が目立たない程度に低温(例えば閾値TA1以下の温度)であれば、使用状態等によっては先端面温度T2が被検体内に火傷等を負わせる高温にまで温度上昇してしまう危険性がある。しかし、電子内視鏡システム11は、CMOS温度T1及び先端面温度T2を同時に正確に取得し、これらの双方を参照して照明光量の上限を設定するので、CMOS温度T1が観察画像の取得に適切な範囲内に収まり、かつ、先端面温度T2が被検体内に火傷等を負わせない範囲内に収まるように、照明光量を自動調節することができる。
なお、上述の実施形態では、温度センサ30をCMOSセンサ21に設ける例を説明したが、図11に示すように電子内視鏡システム72先端面42に設けても良い。こうして先端面42に温度センサ30を設ける場合の熱回路網モデル73は、先端面42‐内視鏡雰囲気A間の熱抵抗R3、先端面42近傍の熱容量C’、先端面42における発熱量Q’を用いて、図12に示すように表せる。したがって、先端面42における発熱量Q’と、先端面42からCMOSセンサ21へ熱抵抗R2を介して流出する熱量q2,先端面42から内視鏡雰囲気Aへ熱抵抗R3を介して流出する熱量q4,熱容量C’を介して内視鏡雰囲気Aへ流出する熱量q5の和が均衡すること定式化すれば、熱回路網モデル73は数1の式とほぼ同様に表すことができる。このため、熱抵抗R2,R3、熱容量C’、照明光量に応じた先端面42における発熱量Q’を熱特性データ44として予め求めておくことにより、先端面温度T2及び先端面温度T2の時間変化ΔT2に基づいて、CMOS温度T1の推定値を算出することができる。但し、先端面42は、電子内視鏡12の使用中にも観察窓23や照明窓24の洗浄のために水が吹きかけられることにより冷却されることがあり、洗浄用水の噴出量等によって先端面42から奪われる熱量は異なる。このため、先端面42に温度センサ30を設けても、CMOS温度T1に直接影響する先端面42での発熱量Q’だけを反映した先端面温度T2を常に正確に測定することは難しい。したがって、上述の実施形態のように、CMOSセンサ21に温度センサ30を設け、CMOS温度T1及び時間変化ΔT1を測定し、これらに基づいて先端面温度T2の推定値を算出することが好ましい。
なお、上述の実施形態では、CMOS温度T1と先端面温度T2を測定(算出)する例を説明したが、これに限らない。例えば、CMOS温度T1を測定し、ライトガイド28の出射端温度の推定値を算出しても良い。また、CMOS温度T1を測定し、先端部20側面の温度の推定値を算出しても良い。こうした場合にも、上述の実施形態の熱回路網モデル71とほぼ同様に各々の場合の熱回路網をモデル化し、定式化することができる。
なお、上述の実施形態では、CMOS温度T1と先端面温度T2の2箇所の温度を測定(算出)する例を説明したが、先端部20の3箇所以上の温度を測定(算出)しても良い。こうした場合には、上述の実施形態よりもより複雑な熱回路網モデルが必要となるが、上述の実施形態で説明した熱回路網モデル71とほぼ同様にしてモデル化し、定式化することができる。
なお、上述の実施形態では、先端部20の構成を熱回路網モデル71(図5参照)によってモデル化する例を説明したが、熱回路網モデルはこの例に限らない。例えば、図13に示すように、CMOSセンサ21‐内視鏡雰囲気A間の熱抵抗R1、CMOSセンサ21近傍の熱容量C、CMOSセンサ21‐先端面42間の熱抵抗R2、先端面42‐内視鏡雰囲気A間の熱抵抗R3、先端面42近傍の熱容量C’、CMOSセンサ21の発熱量Q、先端面42における発熱量Q’を用いた熱回路網モデル74を用いても良い。この熱回路網モデル74を用いる場合にも、数1式と同様にして、発熱量QとCMOSセンサ21から流出する熱量q1,q2,q3が均衡するように、かつ、発熱量Q’と先端面42から流出する熱量q2,q4,q5が均衡するように定式化し、CMOS温度T1及び時間変化量ΔT1から先端面温度T2の推定値を算出することができる。但し、上述の実施形態で説明した熱回路網モデル71の方が、必要な熱特性データ44の少なく、推定する先端面温度T2の精度も良い。
なお、上述の実施形態では、先端部20の構成を熱回路網モデル71(図5参照)によってモデル化し、内視鏡挿入部の先端における熱抵抗及び熱容量を熱特性データとして用いる例を説明したが、より簡便な熱回路網モデル用いても構わない。例えば、図5における熱容量を無視した熱回路網モデルを用いても良い。この場合、熱特性データとしてR1とR2をあらかじめ同定した値を用い、Cはゼロを用いて数1式に基き先端面温度を推定演算すればよい。この場合、より簡便かつ高速な演算にて先端面温度T2を推定することができる。
なお、上述の実施形態では、CMOS温度T1及び先端面温度T2に対して各々2つの閾値を設けてALC制御を行うとともに、照明光量を開放(最大光量Lmax)と光量上限Lのいずれかに制限する例を説明したがこれに限らない。例えば、CMOS温度T1や先端面温度T2に対して3以上の閾値を設けたALC制御を行うようにしても良い。また、光量上限も開放と光量上限の2段階の制限ではなく、2以上の光量上限を設定し、開放を含めた3以上の光量上限を用いて、CMOS温度T1及び先端面温度T2に応じて照明光量の上限を順に切り替えるようにしても良い。こうして複数の光量上限を設定することにより、より滑らかに照明光量を調節することができるようになり、ハンチングを防止し、観察画像の視認性を向上させることができる。
なお、上述の実施形態では、熱特性データ44(熱回路網モデル71における熱抵抗R1,R2、熱容量C)を同定する方法の一例を説明したが、数1の式にしたがって任意の方法で熱特性データ44を同定することができる。例えば、上述の実施形態では、必要に応じて熱源を先端面42に接触させるが、熱特性データ44の同定時にだけ外部から先端面42に温度センサを設置し、これによって先端面温度T2を直接測定できるようにしても良い。また、上述の実施形態では、熱抵抗R1,R2の同定時に、CMOSセンサ21をオフにするが、CMOSセンサ21を駆動させたままでも、異なる駆動条件下で測定を繰り返す等により熱抵抗R1,R2を同定することができる。照明光についても同様である。
なお、上述の実施形態では、電子内視鏡12について熱特性データ44を予め同定しておく例を説明したが、部品や素材等が等しい同機種の電子内視鏡12については熱特性データ44も等しくなるので、必ずしも個々の電子内視鏡12について熱特性データ44を個別に同定しておく必要はなく、熱特性データ44は機種毎に同定すれば良い。
なお、上述の実施形態では、予め熱特性データ44を記憶しておき、これに基づいて先端面温度T2の推定値を算出する例を説明したが、これに限らない。例えば、熱特性データ44のかわりに、CMOS温度T1に対応する先端面温度T2のデータをテーブル形式等で予め保持しておき、測定したCMOS温度T1を先端面温度T2に直接換算しても良い。また、こうしてCMOS温度T1に対応する先端面温度T2のデータを予め保持しておくと、予め保持したデータの中に実測したCMOS温度T1に対応した先端面温度T2がないこともあり得るが、こうした場合にはテーブル内のデータを保管して実測したCMOS温度T1に対応した先端面温度T2を算出することが好ましい。
なお、上述の実施形態では、撮像素子(イメージセンサ)としてCMOSイメージセンサ21を用いる例を説明したが、CCD型のイメージセンサ等、他の周知のイメージセンサを用いることができる。
なお、上述の実施形態では、CMOSセンサ21に温度センサ30を設置する例を説明したが、これに限らない。CMOSセンサ21は、暗電流補正を行うために遮光された画素群(いわゆるオプティカルブラック)を有している。オプティカルブラックが出力するデータは暗電流を反映したものであり、暗電流はCMOSセンサ21の温度が高いほど顕著になる。したがって、CMOSセンサ21からオプティカルブラックが出力するデータを取得し、これをCMOSセンサ21の温度に換算するようにすれば、CMOSセンサ21自身を温度センサとして用いることができる。こうしてCMOSセンサ21を温度センサとして用いる場合、CMOSセンサ21の温度を測定するために温度センサ30を設ける必要もなくなるので、挿入部16(先端部20)をより細径化しながらも、CMOS温度T1と先端面温度T2を同時に正確に測定することができるようになる。CMOSセンサ21のかわりに、CCD型のイメージセンサ等、他のイメージセンサを用いる場合も同様である。
なお、上述の実施形態では、各画素62にRGBのカラーフィルタが設けられ、カラーの撮像信号を得る方式(いわゆる同時式)を用いる例を説明したが、画素62にカラーフィルタを設けず、照明光の色をRGBに順に切り替えてフレーム毎に各色の撮像信号を得る方式(いわゆる面順次式)を採用しても良い。
なお、上述の実施形態では、光源45としてキセノンランプを用いる例を説明したが、光源45はLDやLED等他の周知の光源を好適に用いることができる。上述の実施形態では、絞り機構46によって照明光量を調節する例を説明したが、LDやLED等の光量調節の容易な光源を用いる場合には、LDやLEDの出力を調節することによって照明光量を調節するようにしても良い。また、LDやLEDを照明光の光源として用いる場合には、これを先端部20に設けても良い。
なお、上述の実施形態では、照明光量を調節して先端部20の発熱を低減させる例を説明したが、これに限らない。例えば、CMOS温度T1及び先端部温度T2に応じて撮像信号の増幅率を変動させ、ALC制御用データの内容を調節することによって間接的にALC制御による照明光の光量を調節しても良い。
なお、上述の実施形態では、CMOS温度T1と先端部温度T2に応じて照明光量の上限を設定する例を説明したが、CMOS温度T1が閾値TA1(あるいは別途定めた所定閾値)を超えた場合に、撮像信号に暗電流補正を施すようにし、白傷の発生を抑止することが好ましい。また、CMOS温度T1は、専ら暗電流補正のオンオフの切り替えに用いるようにしても良い。
なお、上述の実施形態では、所定時間間隔Δt毎にCMOS温度T1を測定する例を説明したが、CMOS温度T1を測定する時間間隔Δtは、CMOSセンサ21のフレーム(例えば30fpsや60fps)毎でも良く、また、数フレーム毎でも良い。