[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP5408379B2 - 溶銑の予備処理方法 - Google Patents

溶銑の予備処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5408379B2
JP5408379B2 JP2013118015A JP2013118015A JP5408379B2 JP 5408379 B2 JP5408379 B2 JP 5408379B2 JP 2013118015 A JP2013118015 A JP 2013118015A JP 2013118015 A JP2013118015 A JP 2013118015A JP 5408379 B2 JP5408379 B2 JP 5408379B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hot metal
slag
treatment
desiliconization
dephosphorization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013118015A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013189714A (ja
Inventor
陽三 岩城
鎮彦 池野
厚知郎 江嶋
健司 石井
正規 錦織
直樹 菊池
祐一 内田
太 小笠原
泰志 小笠原
直敬 佐々木
高太郎 田中
和人 山本
涼 川畑
紀彦 鈴木
政臣 妹尾
学 田野
裕法 福島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2013118015A priority Critical patent/JP5408379B2/ja
Publication of JP2013189714A publication Critical patent/JP2013189714A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5408379B2 publication Critical patent/JP5408379B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
  • Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)

Description

本発明は、溶銑の予備処理方法、特に、1つ(同じ)の転炉型容器にて脱珪処理と脱燐処理の両方を行なう方法に関する。
溶銑は、これを転炉で脱炭精錬するのに先立って、この溶銑中の珪素や燐を予め除去する溶銑予備処理を行なうことが一般的である。その溶銑予備処理は、精錬用フラックス使用量の低減や溶鋼の高純度化、転炉操業時の過酸化防止によるマンガン歩留りの向上、精錬スラグ量の低減などを目的として実施されており、脱炭工程の処理も含めた様々な方法が提案されている。
ところで、溶銑予備処理時には精錬スラグが発生するが、この精錬スラグを各種の用途に利用するとき、その用途によってはフッ素などが溶出しないようにすることが求められる。そこで、従来、脱燐反応効率を高める目的で使用されるフッ素源である蛍石(CaF)を使用しないで溶銑予備処理を行なう方法が検討されてきた。また、近年では、製鉄業に対し、温室効果ガス排出量の削減要求もある。そのため、酸化鉄を還元するのに大きなエネルギーを必要とする高炉溶銑の使用割合を低減させる一方、鉄スクラップなどの冷鉄源の使用割合を増大させる精錬方法について検討されている。このような背景の下で、近年の溶銑予備処理については、精錬方法の改善を図りつつ、冷鉄源の使用比率を増大させる傾向にあることがわかる。
ところで、溶銑の脱珪や脱燐を行なう溶銑予備処理の1つとして、溶銑に対して生石灰などの精錬剤(媒溶材)を添加すると共に気体酸素や酸化鉄等の固体酸素源を加えることにより、溶銑中の珪素や燐をスラグ中に除去する方法がある。また、溶銑処理のための容器としては、トーピードカーや高炉鍋などの搬送容器または転炉型容器(精錬炉)などを用いるが、多量のスクラップを使用するためには、炉容積の大きい転炉型容器を用いることが有利である。
特許文献1には、転炉を使用して脱珪処理と脱燐処理とを行なう転炉の精錬方法において、転炉内で脱珪処理後に中間排滓を行なってから、引き続き脱燐処理を行なう方法が開示されている。この方法では、スラグ組成を制御することで、脱珪後の復燐を抑制すると共に、その後の脱燐処理を容易にする方法を提案している。
また、特許文献2は、転炉型の反応容器を用いて脱珪処理を行ない、そして、出湯−排滓後、脱珪した溶銑を再びその反応容器内に戻して脱燐処理を行なう溶銑予備処理方法を開示している。この溶銑予備処理方法は、脱珪処理後の溶銑中の珪素濃度やスラグの塩基度および酸化鉄濃度を適正化することにより、蛍石を使用しない方法で効率よく脱燐すること、及び脱珪処理時および/または脱燐処理時にスクラップを溶解する方法である。
さらに、特許文献3には、転炉型容器を使って溶銑の脱珪処理と脱燐処理とを連続的に行なう予備処理方法において、前チャージの脱燐処理後のスラグの40〜60mass%を容器内に残留させて、これを脱珪、脱燐処理に利用することによりスラグ発生量を減少させる方法が開示されている。
特開2001−271113 特開2002−129221 特開2002−256325
ところで、特許文献1に開示されている方法では、脱珪処理後のスラグ塩基度を0.9〜1.1、T.Feを15〜20mass%程度となるようにスラグ組成を制御して、脱珪後の復燐の抑制を図っている。しかし、この開示技術の場合、スラグ塩基度0.9〜1.1では、T.Feが15mass%以下になると復燐し、出湯溶銑の燐濃度が高くなるという問題がある。
また、特許文献2に開示されている方法は、脱珪処理後に転炉型容器から溶銑出湯おおよび排滓を行なった後、再び、その容器内に脱珪した溶銑を戻して脱燐処理を行なうため、溶銑中の燐濃度の低減には有利である。しかし、出湯と溶銑装入とが繰り返されるため、1つ(同じ)の転炉型容器を用いて実施すると生産性が著しく劣るという問題がある。一方、2つの転炉型容器を用いることもできるが、この場合には多くの設備費用がかかると共に、炉体からの放散熱による熱ロスが増大するという問題もある。また、脱珪処理および脱燐処理において大量の媒溶材を添加することが必要になることから精錬コストの増大を招くと共に、媒溶材の吸熱による熱ロスが増大するという問題もある。
さらに、この文献2に開示の方法は、脱燐処理時に、滓化促進や脱燐反応効率の向上のために鉄鉱石などの酸化鉄を投入している。そのため、酸化鉄分解反応に伴う吸熱や中間出銑による熱ロスが大きく、大量のスクラップを溶解するための十分な熱量が確保できないという問題がある。特に、この方法においては、塩基度が比較的高いため、脱燐処理終了時点でもスラグ中の固相比率が高くなって流動性が劣り、溶銑の液滴がスラグ中に混入して分離されないまま炉外に排滓されて凝固する。従って、地金ロスの増大を招くという問題があった。即ち、その地金の一部は、スラグを粉砕後、磁選することにより鉄源として回収できるが、スラグに混入した細かい鉄粒子までは回収できず、大部分がスラグと共に土木用途などに廻されることになり、地金のロスが大きい。
特許文献3については、1つの転炉型容器で脱珪処理と脱燐処理を連続して行なうと共に、脱燐処理後スラグの40〜60mass%のみを排出して、残りを次チャージの脱珪、脱燐処理に使用することにより、媒溶材使用量、スラグ発生量を低減させる予備処理方法を提案しており、熱ロスの低減が期待される。しかし、この文献3には、脱珪処理および脱燐処理におけるスラグ組成や処理温度の好適範囲が示されていない。しかも、大量に生成する脱珪スラグを炉内に残留させたまま脱燐処理を行なうことから、低燐銑を溶製する際は、スラグ塩基度調整用に多量の石灰系媒溶材が必要となる。そのため、脱珪スラグこそ発生しないが、炉内の脱燐スラグ量が増大して反応効率が低下し、脱燐スラグの排出量はむしろ増大することになり、脱燐スラグ中への地金ロスの問題も残されたままであった。
本発明の主たる目的は、溶銑の脱珪および脱燐処理を少量の媒溶材使用量で効率よく行なう方法を提案することにある。本発明の他の目的は、低燐銑の溶製コストが抑制できると共にスクラップ使用量を増やすことができ、さらに、スラグ中への地金ロスを低減することができる溶銑の予備処理方法を提案することにある。
発明者らは、脱珪、脱燐、脱炭のプロセスにおいて、媒溶材使用量を抑制しても燐濃度を効率よく低減することができると共に、スクラップ溶解のための熱源を十分に確保することで、鉄歩留りを向上させることのできる方法について種々検討した。その結果、溶銑の脱珪処理および脱燐処理を行なう予備処理段階において、炉内に残留させて次工程に持ち越すスラグの量およびスラグの組成や温度などの処理条件を適正化することにより、前記の目的を実現できることを見い出し、本発明に係る溶銑の予備処理方法に想到した。
即ち、本発明は、溶銑の脱珪処理および脱燐処理を転炉型容器を用いて行なう際に、まず、高炉から出銑した溶銑を転炉型容器内に装入して脱珪処理を行ない、次いで、溶銑および脱珪処理後のスラグの一部を該容器内に残留させる中間排滓の処理を行ない、引き続き、該容器内に残留させた脱珪後の溶銑およびスラグに対して石灰系媒溶材を添加すると共に酸素を吹精することによって溶銑の脱燐処理を行なう方法において、
前記転炉型容器内に、スラグの塩基度が1.2以上である脱燐処理後スラグのうちの30mass%以上を残留させ、
次いで、脱燐処理後スラグを収容したその容器内に未処理の溶銑と冷鉄源を装入し、かつその装入に当たっては、該溶銑と該冷鉄源との合計重量当たり、下記式;
Figure 0005408379
Y:230〜270、
[%Si]:装入溶銑中珪素濃度(mass%)、
i:装入溶銑温度(℃)、
s:冷鉄源原単位(kg/t)
を満足する量の冷鉄源を装入し、
次いで、脱珪処理終了時における溶銑の珪素濃度を0.2mass%以下とし、
次いで、脱珪処理後スラグを炉外に排出する中間排滓を行ない、
その後、同じ前記容器にて脱燐処理を行なう溶銑の予備処理方法である。
また、本発明においては、
(1)前記中間排滓は、脱珪処理後スラグの40mass%以上を炉外に排出すること、
(2)前記脱珪処理後スラグの塩基度は、0.5以上1.5以下とすること、
(3)前記脱珪処理終了時の溶銑温度は、1240℃以上1400℃以下とすること、
(4)脱燐処理後スラグの塩基度は、3.0以下とすること、
(5)脱燐処理後スラグは、脱燐処理時に生成した量の60mass%以上を容器内に残留させること、
(6)脱珪処理後スラグは、スラグ塩基度を0.8以上1.5以下、T.Feを5mass%以上25mass%以下にすること、
(7)前記脱珪処理は、転炉型容器内に高炉から出銑した溶銑の他、冷鉄源を装入して酸素吹精し、この処理終了時の溶銑温度を1260℃以上1350℃以下にすること、
(8)脱珪処理終了時における溶銑の珪素濃度は、0.1mass%以下とすること、
(9)前記脱珪処理は、転炉型容器内に、酸化物でない珪素として珪化鉄、金属珪素、炭化珪素あるいは窒化珪素溶銑と冷鉄源の合計重量当たり2〜10kg/t装入もしくは添加すること、
(10)前記脱燐処理は、中間排滓後の転炉型容器内に、冷鉄源と溶銑の合計重量当たり4〜20kg/tの脱珪処理後スラグを残留させると共に、石灰系媒溶材を添加し、脱燐処理後のスラグ塩基度が1.2以上3.0以下、かつ、この脱燐処理終了後の溶銑温度が1280℃以上1360℃以下となるように酸素吹錬すること、
(11)前記脱燐処理は、上吹きランスより、粉状の石灰、炭酸カルシウム、酸化鉄のうち少なくとも1種類以上の成分を含有する精錬剤を、溶湯に向けて噴射する、
が好ましい解決手段である。
(1)前記のような構成を有する本発明に係る溶銑予備処理方法によれば、脱燐処理後スラグ中の石灰分を次チャージの脱珪処理における石灰源として活用できる他、脱珪処理における復燐を抑制できることから、溶銑予備処理プロセス全体での石灰系媒溶材の使用量削減が可能になる。
(2)本発明によれば、脱珪処理後に中間排滓し引き続き同じ容器で脱燐処理を行なうので、精錬容器の移し替えによる放熱相当分を冷鉄源溶解のための熱源とすることができると共に、前チャージで生成した高温の脱燐処理後スラグを媒溶材として活用できるので、常温の媒溶材を添加する場合と比較すると、その吸熱分を冷鉄源溶解のための熱として活用することができる。その結果、冷鉄源(スクラップ)使用量の増大を図ることができる他、地金ロスの低減を図ることができる。
(3)本発明によれば、脱珪処理と脱燐処理との間で、脱珪処理で生成した塩基度の低いスラグを炉外に排出するので、比較的高い塩基度((mass%CaO/mass%SiO)=1.2〜3.0)で行なう必要のある脱燐処理における石灰系媒溶材の使用量を低減させることができ、溶製コストを抑制できる。
本発明による溶銑の予備処理方法を実施する際に用いる転炉型容器(精錬炉)の略線図である。 本発明に係る溶銑の予備処理方法を工程順に示す概略図である。 スラグの塩基度と排滓率およびスラグ粘性との関係を示す図である。 吹錬進行度と炉内計算塩基度との関係を示す図である。
以下、本発明について図面を参照して説明する。
本発明に係る溶銑の予備処理方法では、転炉型容器の例として、図1に示すような上底吹き可能な転炉型精錬炉1を用いる。この精錬炉1において上吹きは昇降可能な上吹きランス2の先端から酸素ガス12を溶銑9に向けて吹き付けることによって行なう。ここで、酸素ガス12としては工業用純酸素が用いられる。また、底吹きは、この精錬炉1の底部に設けられた底吹き羽口3を使って行なう。底吹きガス13としては、酸素ガスを含むガス、あるいはArガスや窒素ガスなどの不活性ガスが一般的であるが、溶銑中に吹き込むことにより溶銑9の攪拌を強化して冷鉄源の溶解を促進する機能を有するガス、さらには搬送用ガスと共に溶銑中に媒溶材を吹き込む機能を有するようなガスであってもよい。なお、図中の符号4は、精錬後の溶銑9を出湯するための出湯口である。
本発明において、溶銑の精錬には、2基以上の転炉型精錬炉1を用い、そのうちの少なくとも1基の転炉型精錬炉1を本発明に係る溶銑予備処理に使用し、残りの1基を、本発明方法の適用によって溶銑予備処理が施された溶銑の脱炭精錬に使用する。例えば、溶銑予備処理用の転炉型精錬炉1にて予備処理を行ない、そして予備処理後の溶銑を脱炭精錬用の転炉型精錬炉に移し替えて脱炭処理を行なうようにすることが好ましい。
転炉型精錬炉1を用いる本発明に係る溶銑の予備処理方法は、図2のフローに示すように、(A)溶銑装入、(B)脱珪処理、(C)中間排滓、(D)脱燐処理、(E)出銑、の順に行なうものであり、特に、同一炉においてこれらの工程を繰返し実施することにより、効率的な溶銑の予備処理が可能となる。
(1)まず、溶銑装入工程(A)について説明する。
この工程(A)では、転炉型精錬炉1内に前回の溶銑の予備処理において生成した脱燐処理終了後のスラグ(以下、単に「脱燐処理後スラグ」という)17を残留させたまま、装入鍋14より新たな溶銑9を装入するか、または、その溶銑装入前に鉄スクラップなどの冷鉄源11を装入した後に溶銑9を装入する。予め装入する冷鉄源11としては、日本鉄源協会の「鉄スクラップ検収統一規格」に規定されている鉄スクラップの他、直接還元鉄、冷銑などの鉄を主成分とするものでもよい。
ここで、次回の精錬に備え、精錬炉1内に残留させておく前回の脱燐処理後スラグ17は、後に続く脱珪処理時のスラグ塩基度を調節する目的で使用されるものである。この脱燐処理後スラグの塩基度(mass%CaO/mass%SiO)(以下、単に「塩基度」という)は1.2以上、好ましくは1.4以上とする。その理由は、この前回の脱燐処理終了時の脱燐処理後スラグ17の塩基度が1.2未満では、このスラグを残留させても脱珪処理における塩基度調節には不十分であり、多量の石灰系媒溶材を添加することが必要になるからである。なお、前記脱燐処理後スラグの塩基度の上限については特に限定しないが、通常の溶銑脱燐処理でのスラグ塩基度は3.0程度以下であるので、これ以上に塩基度を高める必要はない。
また、炉内に残留させておく前回の脱燐処理後スラグ17の量は、塩基度の調節を効果的に行なうためには、前回の溶銑の脱燐処理時に生成したスラグ量の30mass%以上が必要であり、60mass%以上とすることがより好ましい。本発明では脱燐処理を経て出銑した後、炉内に残留させたスラグの全量を新たな溶銑の脱珪処理に活用すれば脱珪処理での塩基度調節にさらに効果的である。その上、このような方法を継続的に行えば、排出される溶銑予備処理スラグは脱珪処理後スラグのみで均質なものとなり、塩基度の高い脱燐処理後スラグが混入しないため、水和反応によるスラグの膨張やアルカリの溶出といった問題も生じない。従って、スラグの利材化を図る上でも本発明方法は極めて有効である。
なお、前記脱燐処理後スラグは、比較的高塩基度で、比較的低温(1350℃程度以下)であることから流動性は小さい。そのため、この脱燐処理後スラグ上に冷鉄源を装入しても、冷鉄源がスラグに捕まって溶解が遅れるようなことはなく、いわゆる脱炭スラグを炉内に残留させておくときのように多量の冷却材を添加して固化させるような、熱収支上および物質収支上非効率的な操作は必要なくなる。また、この脱燐処理後スラグは、上記の特性から固相に富んで流動性が低いことから、組織内に大量の微細な金属鉄を含有しており、スラグを粉砕後磁選処理した後でも、10mass%程度以上の金属鉄を含んでいる。従来、このスラグを系外に排出していたが、本発明によれば、この脱燐処理後スラグを次チャージに持ち越すことができるので、この脱燐処理後スラグ中の金属鉄の大部分を溶銑中に回収して、鉄ロスを削減する効果もある。
なお、脱珪処理終了時のスラグ(以下、「脱珪処理後スラグ」という)については、流動性が比較的高いため、該スラグ中の金属鉄分が粗大化しやすい。従って、このようなスラグは、スラグの粉砕および磁選処理後に回収されずにスラグ中に残留するような金属鉄分は少ない。それ故、本発明方法では、溶銑予備処理全体を通じてスラグ中への鉄ロスを削減できる。
(2)次に、図2(B)に示す脱珪処理工程(B)について説明する。
この工程(B)は、転炉型精錬炉1を直立させ、上吹きランス2を介して溶銑9に酸素ガス12を供給し、脱珪を行なう処理である。この脱珪処理においては、ホッパー5に収容された珪素源15およびホッパー7に収容された石灰系媒溶材16を、それぞれシュート6およびシュート8を介して転炉型精錬炉1内に装入する他、熱源となる炭材や珪素源あるいは酸素源となる酸化鉄なども同様に装入する。脱珪処理のための酸素源としては、多量の冷鉄源11を溶解させる観点からは、吸熱量の大きい酸化鉄を用いずに酸素ガス12のみを用いることが好ましい。
この脱珪処理において、溶銑9中に含まれる珪素あるいは珪素源15および冷鉄源11に含有していて溶解により溶銑中に移行する珪素は、酸素源と反応(Si+O→SiO)して脱珪されるため、その後の脱燐処理における反応効率を高めるのに役立つ。この脱珪処理反応時に酸化熱が発生し、この酸化熱で溶銑温度が上昇して溶銑中の冷鉄源11の溶解が促進される。
この脱珪処理段階でのスラグの組成は、炉内に予め残留させた前回の脱燐処理後スラグ17の量およびその組成の推定値と、上記反応により生成する二酸化珪素の生成量とを考慮して決定する。
即ち、脱珪処理中のスラグの塩基度は、0.8以上1.5以下に調整することが好ましい。その理由は、脱珪処理中のスラグ塩基度が0.8よりも小さいと、図4に示すように、溶銑Simass%によっては、脱燐処理後スラグ17の脱燐能低下によって復燐する現象が見られるからである。例えば、図4は、溶銑中Siが0.45mass%、0.46mass%と0.55mass%の3パターンを示しているが、夫々のパターンにおける脱珪処理前後の燐濃度は、表3の実施例10〜12からわかるように、溶銑中Siが0.45mass%の場合は0.121mass%から0.100mass%に、溶銑中Siが0.46mass%の場合は0.122mass%から0.105mass%に脱燐されている。しかし、溶銑中Siが0.55mass%の場合は0.120mass%から0.145mass%になった。それは脱珪処理中の塩基度が0.8未満であったため、脱珪後の燐濃度が上昇して復燐を起こしたのである。一方、このスラグ塩基度が1.5よりも大きいと、未滓化CaOの増大による固相率が上昇するために、脱燐処理後スラグ17の流動性が悪くなり、このスラグを排滓できない場合が生じる。好ましいスラグ塩基度の上限は1.2程度である。
なお、図4に示す脱珪処理中の炉内計算塩基度(C/S)は、下記式(1)に基づいて算出した計算値である。この(1)式は、炉内残留脱燐スラグ中に含まれるCaO量と当該チャージで時間T[s]までに発生したCaOを足した数値とを、残留脱燐スラグ中のSiO量と当該チャージで時間T[s]までに発生したSiO量を足した数値とにより塩基度(CaO/SiO)を求めるものである。なお、当該チャージで発生するCaO量は、
CaO量=副原料のCaO含有量×炉内滞留時間×溶解速度
を投入副原料毎に計算し足し算した数値である。
また、SiO量は、送酸速度×(SiO分子量)/(Si原子量)/(酸素1Nmで燃焼する理論Si量)×脱Si酸素効率
を時間Tまで足し算した数値である。
Figure 0005408379
上掲のCaO%aは、生石灰、炭酸カルシウムやリサイクルスラグ中のCaO分を計算したものである。また、転炉型精錬炉などの精錬炉では、炉内の溶銑や溶鋼に対してバッチ式で精錬を施しており、この1つの単位の精錬を「チャージ」と称している。
次に、脱珪処理終了時のスラグの塩基度は、0.5以上1.5以下になるように調節することが好ましい。この段階でのスラグ(脱珪処理後スラグ)の塩基度が0.5未満では、炉内に残留させた前回の脱燐処理後スラグ17から復燐して溶銑中燐濃度の上昇を招き、後工程での脱燐負荷が大きくなって効率的でないからである。従って、脱珪処理終了時の脱珪処理後スラグの塩基度は0.5以上、好ましくは0.8以上とする。また、この段階でのスラグ塩基度が1.5より高くなると、スラグの流動性が低下するため、次の中間排滓時の排滓量が少なくなったり排滓量の制御が難しかったりする問題があり、石灰系媒溶材を削減するうえでも効率的でないため、脱珪処理終了時のスラグ塩基度は1.5以下、好ましくは1.2以下とする。なお、塩基度の調節には、生石灰や石灰石、ドロマイトなどの石灰系媒溶材の他、脱炭スラグや脱燐スラグ、取鍋スラグなどから選ばれる製鋼スラグを媒溶材として用いる。
脱珪処理終了時の溶銑温度は、好ましくは1240℃以上1400℃以下に、より好ましくは1260℃以上1350℃以下に調節する。それは1400℃よりも高温になると、炉内に残留させた脱燐スラグから復燐を起こして溶銑中燐濃度の上昇を招くため、後工程での脱燐負荷が大きくなって効率的でないだけでなく、内張りのマグネシアカーボンレンガの損耗を防止するためにスラグ中のマグネシア濃度を上昇させることも必要となってコスト高となるからである。一方、1240℃未満では、スラグの流動性が低下し、次の中間排滓時の排滓量が少なくなったり排滓量の制御が困難になったりする問題があることに加え、スクラップの溶解速度が低下するからである。
また、この段階での溶銑温度というのは、次の脱燐工程において、脱燐を効率よく行なうためにも制御することが必要である。例えば、脱珪処理終了時の溶銑温度を1350℃以下とすれば、脱燐処理において温度調節のために添加する鉄鉱石などの冷却材を大幅に削減することができる。なお、同一炉において脱珪処理と脱燐処理を続けて行なう場合、脱燐処理前にもスクラップを装入することは作業時間の点で困難であるという事情もある。また、処理中に炉上から装入できる冷鉄源は、整粒された高価なものであったり、製鉄所内で発生する地金など量的に限られたものであったりするため、定常的に大量に使用することは難しく、実際には炉上投入装置で使用できる副原料の種類数の制約から、冷鉄源を炉上から装入しないこともある。要するに、従来、脱燐処理工程において利用している冷却材は、鉄鉱石などの酸化鉄に限られていて、スクラップなどの安価な冷鉄源を十分に活用できないのが普通である。
一般に、脱珪処理段階というのは、安価なスクラップの使用量を増大させることは比較的容易であり、これによって脱珪処理後の溶銑温度を1350℃以下とすることができる。このことにより、脱燐処理段階での酸化鉄の使用量を大幅に削減することができるようになる。その結果、酸化鉄の分解反応による大きな吸熱分を削減でき、その熱量分を脱珪処理での冷鉄源溶解に振り分けることができるようになる。なお、脱珪処理後の温度が低下すると、スクラップが溶け残るおそれはあるが、溶け残ったスクラップは溶銑と共に炉内に保持されて、次の脱燐処理段階までに溶解を進行させることが可能である。即ち、冷鉄源については、脱燐処理終了時までに溶解が完了していれば操業上の問題は生じない。
なお、脱珪処理後の溶銑温度は、熱電対等による測定値を用いてもよいし、熱収支からの推算値を用いてもよい。例えば、熱収支からの推算方法として、下記式(2)に基づいて推算できるが、必ずしもこれに限定されない。それは、個別の装置条件や操業条件に応じて係数を調節したり、変数を追加あるいは削除したりして適用するためである。なお、脱珪処理後にスクラップの溶け残りがあると、測定値の方が推算値よりも若干高くなる傾向はあるが、誤差程度であって差し支えない。
Figure 0005408379
T:脱珪処理後溶銑温度(℃)
i:装入溶銑温度(℃)
:溶銑原単位(kg/t)(溶銑重量と冷鉄源重量の合計1t当たり、以下同様)
:冷鉄源原単位(kg/t)
Si:酸化物となる珪素原単位(kg/t)(溶銑、冷鉄源および添加物に含有される
ものの合計)
:添加物中炭素原単位(kg/t)
ore:酸化鉄原単位(kg/t)
O2:気体酸素原単位(Nm/t)
:媒溶材原単位(kg/t)
W:転炉溶鉄容量(t)
:前チャージ出銑から脱珪処理終了までの時間(分)
ここで、酸化物となる珪素は、溶銑、冷鉄源および添加物に含まれるものの合計である。そのうち、溶銑中の珪素濃度は、毎チャージ装入前の溶銑から採取した試料の迅速分析値を用いる。ただし、高炉の出銑成分など他の分析値を用いて演算するなどして代用する方法を用いてもよい。また、各種冷鉄源中の珪素濃度は、例えば、ロット毎の代表試料の分析値が用いられるが、冷銑では溶銑と同程度の濃度で安定している場合が多い。また、スクラップ中の珪素濃度は、発生源による変動はあるものの、平均的には銑鉄の1/10程度以下の濃度で安定しているためこれを代表値としても用いてよいし、無視しても差し支えはない。
また、上記添加物中には、上記酸化物となる珪素(酸化可能な形態で存在する珪素として、酸化物でない珪素がある。これは珪化鉄や金属珪素、炭化珪素あるいは窒化珪素のような珪化物を指すが、代表的な添加物としては、フェロシリコンの他、炭化珪素を約60mass%含む粉体をブリケットに成型したもの(以下、炭化珪素ブリケットという)などをあげることができる。
添加物中の酸化物でない珪素の分析方法としては、JIS G 1312に記載されたフェロシリコンの分析方法の他、全珪素分析、酸可溶珪素分析、全炭素分析、全酸素分析、全窒素分析、熱質量分析、温度履歴を調整した燃焼法による炭素分析、その他の含有元素の分析、X線回折法による化合物の分析などを組み合わせて推定することができる。
添加物中にはその他に炭素を含有するが、この炭素としては、コークスあるいは土状黒鉛などの炭材の他、前述の炭化珪素などの炭化物中の炭素が用いられる。また、媒溶材としては、生石灰や軽焼ドロマイト、マグネシアクリンカなどの副原料が使用される。その他、脱燐スラグ、脱炭スラグ、取鍋スラグなどのスラグも酸化カルシウム源あるいは酸化マグネシウム源として使用できる。また、安価な副原料の例としては、カルシウムあるいはマグネシウムの炭酸化物や水酸化物などを利用してもよいが、これらは吸熱量が大きいため大量に使用する場合は他の媒溶材と区別して上掲の(2)式を修正することが望ましい。
冷鉄源使用量の増量と精錬コストの抑制を図りつつ、脱珪処理後の溶銑温度を前述の1240〜1400℃の範囲とするためには、冷鉄源と溶銑との合計重量(t)当たりの冷鉄源原単位Xs(kg/t)を、下記(3)式に基づいて算出されるYの値が230以上、270以下となる範囲にすることが好ましい。その理由は、Yが230未満だと、土状黒鉛などの炭材を熱源として添加して吹錬時間を延長したり、フェロシリコンなどの高価な熱源を大量に使用した上で、スラグ塩基度を調節するための酸化カルシウム源の追加が必要となるため、精錬コストの上昇や生産性の低下を招くことになり望ましくない。一方、下記(3)式中のYの値が270よりも大きい範囲では、温度を制御するために鉄鉱石などの冷却材を使用することになり、冷鉄源の使用量を最大化する観点からは好ましくない。
Figure 0005408379
ここで、
Y:230〜270、
[%Si]:装入溶銑中珪素濃度(mass%)、
i:装入溶銑温度(℃)、
s:冷鉄源原単位(kg/t)
次に、本発明では、前記のようにして冷鉄源原単位を調節するが、短時間で多量の冷鉄源を溶解させるために、発熱量の大きい珪素を熱源として適量使用してもよい。この場合、装入時あるいは脱珪処理時に添加する酸化物でない珪素の合計量を、装入する溶銑と冷鉄源の合計重量当たり2〜10kg/tの範囲、より好ましくは4〜8kg/tの範囲とすることが好ましい。この点に関し、珪素量が10kg/tを超えるように添加すると、脱珪処理での珪酸生成量が過大となって、前チャージの脱燐処理後スラグを全量炉内に残したまま脱珪処理を行っても、さらに塩基度調節のための酸化カルシウム源を多量に添加する必要が生じて、炉内スラグ量も多くなり、精錬コストなどの観点から好ましくない。また、珪素量が2kg/t未満では、珪素の酸化反応による発熱量が小さくて冷鉄源の溶解に効果的でない。そのうえ脱珪処理段階で珪酸の生成量が減少し、塩基度の高い脱燐処理後スラグを多量に炉内に残留させた場合に、脱珪処理後の塩基度が高くなり、その後の排滓に障害となり、熱的にも資源としても無駄な珪酸源を添加して塩基度を調節する必要が生じて好ましくない。この点、珪素量が4〜8kg/tであれば、脱珪処理後の塩基度を調整するうえでも、また冷鉄源溶解のための熱源を確保するうえでも、好ましい範囲と言える。
添加する珪素源としては、フェロシリコンの使用が可能であるが、より安価な炭化珪素を主成分とする炭化珪素ブリケットや炭化珪素を主成分とする廃棄耐火物などを使用することが好ましい。なお、熱源としてこの珪素源のみを使用する必要はなく、生産性が低下しない範囲で炭材などの他の熱源を併用してもよい。その炭材は、脱珪処理終了時の溶銑中炭素濃度が3.3mass%以上となるように、脱炭量等を予測して添加することが望ましい。それは3.3mass%未満では、その後に続く脱燐および脱炭の工程において熱源が不足すると共に、スクラップ等の冷鉄源表面での浸炭速度が低下し、溶解速度の低下を招くからである。
このように、本発明に好適な脱珪処理にあっては、脱珪処理後の溶銑温度を適切な範囲に制御すると共に、珪素を熱源として利用するので、溶銑と冷鉄源の合計重量(t)当たり100〜250kg/tという多量の冷鉄源を使用しても生産性の低下や精錬コストの上昇を招くことなく、冷鉄源の溶解と溶銑の予備処理精錬を効率よく行なうことができる。ただし、冷鉄源原単位が250kg/t以上では、さらなる熱源が必要となってコストの上昇を招いたり、吹錬時間が長くなって生産性が低下する問題がある。また、冷鉄源の装入設備の制約からも使用量をさらに増やすことは効率的でない。
なお、後で詳述するが、脱珪処理後スラグ10の排滓性を高めるためには、転炉精錬炉1内でスラグに適度なフォーミングを起こさせることが好ましい。そのためには溶銑中の炭素とスラグ中の酸化鉄の反応によって発生するCOガスの発生速度を高めることが有効である。従って、次の排滓工程において安定した排滓率を得るためには、溶銑中および添加した珪素源中の珪素を酸化するのに必要な化学量論以上の酸素を供給することが好ましい。
脱珪処理中に溶銑に供給する酸素の原単位は、化学量論的に脱珪に必要な量に2Nm/t以上、望ましくは4Nm/t以上を加えた量とすることが好適である。本発明では、このような送酸を行なって脱珪処理終了時における溶銑中珪素濃度を0.2mass%以下、好ましくは0.1mass%以下、より好ましくは0.05mass%以下とする。このことによって、脱珪処理後に排滓する際にもフォーミング状態を維持して排滓性を良好に保つことができると共に、スラグから溶銑への復燐を抑制することができるようになる。発明者らの研究では、脱珪処理のための酸素吹錬は、上吹き送酸速度が1〜2Nm/min・t、底吹きガスの吹き込み速度は0.02〜0.2Nm/min・t程度のときに、前記の効果が得られることを確認している。
なお、珪素濃度の制御は、前記のスラグ塩基度の制御および溶銑温度の制御と組み合わせることによって、前回の処理における脱燐処理後スラグを全量炉内に残したまま溶銑の脱珪処理を行なっても、復燐を招くことなく脱燐処理後スラグ中の石灰分を有効に活用することができる。また、この珪素濃度、スラグ塩基度および溶銑温度の制御を組合わせると共に、前回の処理における脱燐処理後スラグを炉内に残留させることによって、スラグ中の燐酸濃度を高めることができ、このことによってもスラグのフォーミングは促進される。とくに、このスラグ中の燐酸はスラグの表面張力を低下させる効果があり、溶銑との反応や微細気泡の分散を促進することから、(T.Fe)が10mass%程度といった比較的低い酸化鉄濃度においても、スラグのフォーミングを維持して排滓性を良好に保つことができるものと考えられる。
(3)次に、図2−(C)に示す中間排滓工程(C)について説明する。
本発明に係る溶銑の予備処理方法では、上述した脱珪処理工程の後に排滓工程を設けることにより、前記脱珪処理時に発生した大量のSiOを含む低塩基度の脱珪処理後スラグを該転炉型精錬炉1から排出する中間排滓の処理を行なう。脱珪処理後スラグ10の中間排滓は、次工程の脱燐処理において、適切なスラグ塩基度に調節するための石灰系媒溶材の使用量を低減するために有効である。また、前回の溶銑予備処理時に生成しした脱燐処理後スラグを大量に炉内に残留させたまま新たな溶銑の脱珪処理を行なう本発明に係る溶銑の予備処理方法の場合、スラグから溶銑への復燐を防止するように脱珪処理するため、脱珪スラグ中の燐酸濃度が従来よりも高くなる。脱珪スラグを大量に残留させた場合、次の脱燐処理工程における炉内スラグ中の燐酸量が過大になって脱燐効果が低下することから、これを防止する上でも重要である。
本発明に係る溶銑の予備処理方法において特徴的なことは、前述した工程(A)〜(E)の処理を繰返し連続して実施する場合において、脱珪処理後スラグの排出が不十分だと燐酸の炉内への蓄積が進むことから注意を要する。それは、脱燐処理段階において炉内スラグ中の燐酸量が多くなりすぎると、スラグ中の燐酸濃度の上昇により脱燐反応効率が低下して処理後の溶銑中燐濃度が上昇したり、脱燐反応のために必要な石灰系媒溶材の使用量が増大したりするからである。
そこで、本発明において、脱珪処理後スラグの排滓率(mass%)=(排出スラグmass%)×100/(脱珪処理終了時炉内スラグmass%))は、少なくとも40mass%以上、望ましくは60mass%以上とすることが好ましい。それは排滓率が40mass%未満では、前記のように次工程の脱燐処理における石灰系媒溶材の使用量が増大するからであり、また、これによってスラグ量が増大するとスラグフォーミングを抑制することができなくなり、脱燐処理時に炉口からのスラグ噴出が発生し、スラグ噴出による操業障害を招くことがある。
このように、本発明に係る溶銑の予備処理方法では、脱珪処理後スラグの塩基度を0.5〜1.5の範囲内となるように、脱珪処理工程終了時の溶銑温度が1240℃以上1400℃以下となるように、さらに酸素原単位を適性化してスラグフォーミングを促進するようにしたことなどにより、良好なスラグの流動性とガスホールドアップを確保することができ、脱珪処理終了後に炉体を傾動して炉口からスラグを流出させるだけで良好な排滓率を行なうことができるようになる。溶鉄を流出させないように炉体の傾動角度を調節してスラグを流出させる場合、ある程度のスラグ量は炉内に残留させざるを得ないが、フォーミングしているスラグの容積率は1/10程度であり真比重に比べて嵩比重が低下しているため、炉内に残留するスラグ量を低めに制御できる。なお、スラグのフォーミングが沈静化してしまった場合、スラグの排滓率の低下を招くため、脱珪処理終了から排滓のための炉体傾動開始までの時間は4分以内で行なうことが好ましい。
この排滓工程の段階において求められる脱珪処理後スラグの塩基度は、図3に示すように、0.5未満ではスラグの粘性が高くなり、良好な排滓率を確保することができない。一方、この脱珪処理後スラグの塩基度が1.5を超えると、固相スラグが生じてスラグの流動性が低下し、排滓率が低下する。ただし、このように、スラグの排滓性および排滓率を確保するという観点からは、スラグの塩基度を0.5〜1.5程度にすれば十分であるが、脱珪処理工程におけるスラグからの復燐防止や石灰系媒溶材の使用量を削減させるという観点からは、スラグの塩基度を0.8〜1.2の範囲に調整することがより好ましい。
また、排滓工程の段階における脱珪スラグ中の(T.Fe)、すなわち酸化鉄と溶銑、もしくはスラグ中に懸濁する炭素を含有する粒鉄との反応により生成する微細なCO気泡によってスラグフォーミングが進行する。適正な(T.Fe)濃度範囲を検証するため、別途確認したところ、(T.Fe)<5mass%の場合、スラグフォーミングが不十分であるため、転炉傾動によりスラグ排出する際の駆動力が小さく、十分な排出が困難であった。一方、(T.Fe)>25mass%の場合、流滓中のCO気泡発生が急激に進行し、突沸現象が確認されたため、スラグ排出作業を中断するなどを余儀なくされた。このようにして、脱珪終了時、すなわち排滓工程におけるスラグ中の(T.Fe)の適正範囲を、(T.Fe)=5〜25mass%とした。
また、この排滓工程の処理において、脱珪処理後スラグの温度が低い(1260℃未満)と固相スラグの生成に伴うスラグ粘性の上昇、液相スラグの粘性上昇を招き、スラグの流動性が低下して排滓率の低下を招く。従って、使用する溶銑の初期条件によって、冷鉄源原単位を調節すると共に、炭化珪素やフェロシリコンなどの熱源添加量および酸素原単位のうち少なくとも一つを調節して、脱珪処理終了時の溶銑温度を1260℃以上とすることにより、スラグ温度も1260℃以上となる。
ただし、生成した脱珪処理後スラグのほとんどを排滓してしまうと、次工程の脱燐処理において新たに添加する石灰系媒溶材の滓化が遅れ、脱燐反応の阻害要因となる。これに対しは、蛍石を添加して滓化を促進させることができる。しかし、それでは、上述したように、スラグの用途が制約を受け、スラグの利用が阻害されることになる。また、鉄鉱石などの酸化鉄を添加して滓化を促進する方法もあるが、この方法だと酸化鉄の分解吸熱反応による熱ロスが大きく、冷鉄源の溶解に利用できる熱量が減少するので得策ではない。
従って、脱燐処理段階において蛍石や酸化鉄を使用しないで石灰系媒溶材の滓化を促進するには、炉内に適度な量の好ましい組成・温度の前記脱珪処理後スラグを残留させ、そのスラグ中の二酸化珪素や酸化鉄を利用して滓化を促進することも有効である。なお、脱珪処理後スラグを排出する際には、好適な前記脱珪スラグの排滓率は40%以上、より好ましくは60%以上を維持しつつ炉体の傾転角度を調節することにより4〜20kg/tの該脱珪処理後スラグが炉内に残留するように排出することが好ましい。これにより、脱燐処理段階で酸化鉄を使用しなくても脱燐反応を効率よく促進でき、酸化鉄の分解吸熱による反応熱分を間接的に脱珪処理での冷鉄源溶解のための熱として活用することが可能となる。この点、脱珪処理後スラグの残留量が4kg/t未満では、次の脱燐工程において石灰系媒溶材の滓化促進のために酸化鉄を使用することが必要となる。一方、これが20kg/tを超えると、石灰系媒溶材の使用量が増大したり、脱燐操業が阻害されたりする問題がある。
(4)次に、図2(D)に示す脱燐処理工程(D)について説明する。
前記排滓工程(C)の後は、同じ転炉型精錬炉1内に残留させた溶銑に石灰系媒溶材を添加すると共に、酸素源となる酸素吹錬を行なって、溶銑の脱燐処理を行なう。この脱燐処理工程において使用する酸素源は、上吹きランス2からの酸素ガス12のみを使用することが熱ロスを低減するうえで好ましい。溶銑中の燐は、供給される酸素源中の酸素により酸化されて燐酸化物(P)となり、この燐酸化物が、石灰系媒溶材の滓化によって生成するスラグ中に安定的に取り込まれて、溶銑の脱燐が進行する。脱燐反応を効率よく進めるには、脱燐処理後のスラグ(今回チャージの脱燐処理後スラグ18)の塩基度は1.2以上3.0以下となるように石灰系媒溶材を添加し、かつ送酸によって脱燐処理終了後の溶銑温度が1280℃以上1360℃以下となるようにして脱燐処理を行なうことが好ましい。
この脱燐処理時に生成した脱燐処理スラグ17のスラグ塩基度が1.2未満あるいは溶銑温度が1360℃超では、スラグの脱燐能が低下して、処理後の溶銑中燐濃度を十分に低下できない場合がある。一方、そのスラグ塩基度が3.0を超えると石灰系媒溶材の滓化が困難となり、石灰系媒溶材のコストが上昇し、溶銑温度が1280℃未満でも、やはり石灰系媒溶材の滓化が困難となり、後工程の脱炭処理時の熱量が不足する。そして、脱炭工程の段階における熱量を十分に確保するには、脱燐処理終了後の溶銑温度を1280℃以上1360℃以下とすると共に、脱燐処理終了時の溶銑中炭素濃度が2.8mass%以上となるように、脱珪処理および脱燐処理での酸素使用量および/または炭素添加量を調節することが望ましい。
本発明方法に従う操業を行なうに当たり、溶銑のSi濃度、P濃度、温度が変化し、脱珪処理後の溶銑温度が低いケース、もしくは溶銑のP濃度が高く脱燐負荷が大きいケースが生じる。その場合、脱燐工程における石灰の溶解促進を図るため、粉状の石灰もしくは炭酸カルシウム等の石灰源を上吹きランスから酸素ガスもしくは不活性ガスにより溶湯面に吹付けることが有効である。上吹き酸素が溶湯面に照射された領域では、直接脱炭反応や鉄酸化が生じることにより、2000℃程度の高温になっており、その領域に粉状の石灰源が添加されることで、溶融が促進される。
本発明に従う溶銑の予備処理方法では石灰の溶融に寄与するSiO含有スラグを脱珪処理後に排出するため、粉状石灰源の投射による早期溶解が有効となる。また、この方法では、溶銑中のSiの酸化熱を利用し、冷鉄源の溶解を促進される。従って、溶銑中のスクラップの溶解速度については、より高温での操業が好ましい。しかし、脱珪処理中の復燐、脱燐処理については高温はむしろ不利になる。そこで、本発明では上記の上吹き酸素が噴射される領域に粉状の酸化鉄を同時に上吹きすることにより、酸化鉄の分解反応(吸熱反応)によって反応領域のみを局所的に冷却し、マクロ的には高温である条件において、脱燐もしくは復燐の抑制を図ることが可能となる。ここで、石灰や炭酸カルシウムを含有する副原料としては、それぞれ単体だけでなく、転炉脱炭吹錬時に発生するスラグなどの再利用物等でも構わない。また、酸化鉄についても鉄鉱石等の単体だけでなく、圧延スケール、焼結鉱粉、集塵ダストなどの再利用物を使用してもよい。
(5)次に、図2(E)に示す出銑工程(E)について説明する。
この工程(E)では、前記の脱燐工程を経て溶銑中の燐濃度が所定の値にまで低下したとき、該転炉型精錬炉1を出湯口が設置された側に傾転させて、転炉型精錬炉内の溶銑を溶銑保持容器(図示せず)に出湯する。なお、前記所定の燐濃度としては、0.030mass%以下とすることが好ましい。
以上説明したように、本発明に係る溶銑予備処理方法においては、溶銑の脱燐処理終了後に出銑した後に、炉内に残留させた脱燐後処理スラグの少なくとも一部を排出しないまま残し、そこに新たな溶銑を装入して脱珪処理を行なうという連続的な処理になる。従って、転炉型精錬炉(予備処理炉)から排出されるスラグの多くは脱珪処理後スラグとなり、比較的塩基度の高い脱燐処理後スラグの混入を低減することができる。それは、脱燐処理後スラグが混入していると、アルカリの溶出や水和反応による膨張のおそれがあってスラグの用途が制約されるのを避けるためである。特に、脱燐処理後スラグを全く排出しない方法では、このような問題が全く生じないため、スラグの処理を単純化できるうえ、高付加価値の用途にも適用が可能となる。これは溶銑の予備処理を本発明のように1つの転炉を使って連続して繰返し行なうようにする方法の場合、特にその効果が大きい。
図1に示すような容量250トンの転炉型精錬炉1を用いて本発明に係る溶銑予備処理を実施した。この処理では、上吹きランス2から酸素ガスを浴面(溶銑)に向けて吹き付けると共に、炉体底部に設けた5個の底吹き羽口からは溶銑中に攪拌用の窒素ガスを吹き込んだ。表1に示す全ての実施例および表2に示す一部の比較例において、前工程の溶銑の脱燐処理で生成した脱燐処理後スラグの一部あるいは全部を炉内に残留させたままの転炉型精錬炉内に、まず冷鉄源を装入し、次いで、その炉内に溶銑を装入し、その後、酸素を上吹きして脱珪処理を開始した。一部の操業では、脱珪処理における熱源である珪素源としてSiCブリケットと非酸化物Siを使用し、塩基度調節のための石灰系媒溶材として生石灰を使用し、これらを炉上から添加した。そして、脱珪処理終了後は速やかに炉体を傾動して排滓作業を行なった。引き続いて、生石灰と酸素ガスを供給し、一部の操業については鉄鉱石も添加して脱燐処理を行った。脱珪処理の開始から脱燐処理終了後の出湯完了までの時間は30分程度であった。
前記冷鉄源としては、日本鉄源協会の「鉄スクラップ検収統一規格」に規定されている鉄スクラップを使用した。
表1に本発明を適用した実施例を、そして、表2に比較例の操業条件および操業結果をそれぞれ示す。いずれの操業も、脱珪処理においては酸化鉄を使用していないが、脱珪処理後の排滓工程において転炉型精錬炉から排出されるスラグの塩基度は比較例3を除き目的とする値となっており、スラグは十分に滓化されていた。
Figure 0005408379
Figure 0005408379
実施例1、2、5〜9では、前回の溶銑の脱燐処理後の脱燐処理後スラグの全量を炉内に残留させて次の溶銑の予備処理を行なった例であり、比較例1は、前回の溶銑の脱燐処理後スラグを全量排出した例であり、これらの比較を試みた。また、比較例2は脱珪処理後の脱珪処理後スラグを全く排出せず、続けて脱燐処理を行なった例である。
本発明方法に適合する実施例1〜9では、脱燐処理後スラグおよび脱珪処理後スラグの塩基度や炉内残留量(残留率あるいは排出率)、脱珪処理後の温度、溶銑中珪素濃度などの条件を種々変更したが、いずれの条件においても約5〜7.7kg/tという少ない生石灰使用量で、脱燐処理後の溶銑中燐濃度は約0.03mass%未満と低く、スクラップの使用量も比較例1に比較して多い結果となった。これに対して比較例1は、前回の溶銑の脱燐処理後スラグおよび脱珪処理後スラグを全量排出するようにしたため処理後の溶銑中燐濃度は低いが、生石灰使用量が増大し、しかも、脱燐処理時に滓化するための鉄鉱石が多量に必要となったことから、スクラップ使用量も少ないという結果となっている。
とくに、比較例2は、脱珪処理後のスラグを排出しないまま脱燐処理を行なうようにしたため、脱燐処理後スラグ量が大幅に増大すると共に生石灰使用量も多くなっている。また、比較例3は、脱珪処理後のスラグ塩基度が0.5未満に低下したため、復燐を招いたと考えられ、脱燐処理での塩基度調節のための生石灰使用量も多くなっている。比較例4は、脱珪処理後の温度が1380℃よりも高くなってしまったために、復燐を招いたと考えられ、脱燐処理での塩基度調節のための生石灰使用量も多くなっている。比較例5は、脱珪反応が十分に進行しないままに脱珪処理を終了したために、スラグフォーミングが沈静化し易くなり、脱珪処理後スラグの排出率が悪くなった例であり、生石灰使用量が多くなっている。
さらに、スラグの排滓性に及ぼす処理条件の違いを明確にするために、脱珪処理工程後に排滓を行うのではなく、脱珪+脱燐処理後に炉傾動による排滓試験を実施した。溶銑のSi濃度を考慮し、脱珪+脱燐後に塩基度(Ca/SiO)1.5となるように調整し、(T.Fe)=10〜30mass%、処理後[Si]=Tr.、[P]=0.050〜0.070mass%、溶銑温度は1340〜1360℃であった。スラグフォーミングは殆どなく、固相比率の高いスラグが排出され、炉傾動により排出量を制御するのが困難であった。即ち、脱珪工程後と脱珪+脱燐後のスラグ排出においてはスラグ性状、フォーミング状況が異なるため、スラグ組成の適正条件は適用できないことが分かった。
実施例1と比較例4との比較からは、スクラップ使用量を増大して、脱珪処理後温度を低下することにより、スラグからの復燐を抑制しつつ、生石灰使用量を削減して、効率よく脱燐処理を実施できることがわかった。
次に、表1、2の試験と同様にして、脱珪処理中の塩基度の影響を調査した。その結果を表3に示す。表3に示したとおり、脱珪処理中の塩基度が0.8〜1.5を満足した実施例11、12は復燐も起こらず脱燐後の燐濃度が良好であった。これに対し、脱珪処理中の塩基度が0.8〜1.5を外れた実施例10は復燐が生じ脱燐後の燐濃度が若干高くなった。
Figure 0005408379
また、表1、2の試験と同様にして、脱珪終了時のT.Feの中間排滓時間に対する影響等を調査した。その結果を表4に示す。表4に示したとおり、実施例13〜16から明らかなように、全ての実施例においてスクラップの多量使用ができ、また生石灰の使用量も低減できた。特に、脱燐工程で粉状石灰、炭酸カルシウム、酸化鉄を上吹きランスから供給する実施例13、14は、石灰の滓化・溶融速度が増加し、同一生石灰量にて処理後の燐濃度が[P]<0.020mass%と低位であった。また、排滓工程での脱珪処理後スラグ中(T.Fe)が5〜25mass%である実施例13、14の方法では中間排滓時間を短縮でき、中間排滓性も良好であることがわかった。これに対し、実施例15は、排滓工程での脱珪処理後スラグ中(T.Fe)が低く、中間排滓時間が実施例13、14と比較しで時間を要した。一方、実施例16は、排滓工程での脱珪処理後スラグ中(T.Fe)が高く、突沸現象が生じたためスラグを沈静化するための時間を要したために排滓時間が増加した。
Figure 0005408379
本発明に係る溶銑予備処理技術は、フラックス使用量や発生スラグ量を抑制しつつ効率的にリン濃度を低減できると共に、鉄スクラップや冷銑などの冷鉄源の溶解を効率的に行なうことのできる。この技術は、転炉型精錬炉を利用する場合だけでなく、同様の構成を有する他の精錬容器での処理においても適用が可能である。
1 転炉型精錬炉
2 上吹きランス
3 底吹き羽口
4 出湯口
5 ホッパー
6、8 シュート
7 ホッパー
9 溶銑
10 脱珪処理後スラグ
11 冷鉄源
12 酸素ガス
13 底吹きガス
14 装入鍋
15 珪素源
16 石灰系媒溶材
17 脱燐処理後スラグ

Claims (12)

  1. 溶銑の脱珪処理および脱燐処理を転炉型容器を用いて行なう際に、まず、高炉から出銑した溶銑を転炉型容器内に装入して脱珪処理を行ない、次いで、溶銑および脱珪処理後のスラグの一部を該容器内に残留させる中間排滓の処理を行ない、引き続き、該容器内に残留させた脱珪後の溶銑およびスラグに対して石灰系媒溶材を添加すると共に酸素を吹精することによって溶銑の脱燐処理を行なう方法において、
    前記転炉型容器内に、スラグの塩基度が1.2以上である脱燐処理後スラグのうちの30mass%以上を残留させ、
    次いで、脱燐処理後スラグを収容したその容器内に未処理の溶銑と冷鉄源を装入し、かつその装入に当たっては、該溶銑と該冷鉄源との合計重量当たり、下記式;
    Figure 0005408379
    Y:230〜270、
    [%Si]:装入溶銑中珪素濃度(mass%)、
    i:装入溶銑温度(℃)、
    s:冷鉄源原単位(kg/t)
    を満足する量の冷鉄源を装入し、
    次いで、脱珪処理終了時における溶銑の珪素濃度を0.2mass%以下とし、
    次いで、脱珪処理後スラグを炉外に排出する中間排滓を行ない、
    その後、同じ前記容器にて脱燐処理を行なうこと、
    を特徴とする溶銑の予備処理方法。
  2. 前記中間排滓は、前記脱珪処理後スラグの40mass%以上を炉外に排出することを特徴とする請求項1に記載の溶銑の予備処理方法。
  3. 前記脱珪処理後スラグの塩基度は、0.5以上1.5以下とすることを特徴とする請求項1または2に記載の溶銑の予備処理方法。
  4. 前記脱珪処理終了時の溶銑温度は、1240℃以上1400℃以下とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の溶銑の予備処理方法。
  5. 脱燐処理後スラグの塩基度は、3.0以下とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の溶銑の予備処理方法。
  6. 脱燐処理後スラグは、脱燐処理時に生成した量の60mass%以上を容器内に残留させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の溶銑の予備処理方法。
  7. 脱珪処理後スラグは、スラグ塩基度を0.8以上1.5以下、T.Feを5mass%以上25mass%以下にすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の溶銑予備処理方法。
  8. 前記脱珪処理は、転炉型容器内に高炉から出銑した溶銑の他、冷鉄源を装入して酸素吹精し、この処理終了時の溶銑温度を1260℃以上1350℃以下にすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載の溶銑の予備処理方法。
  9. 脱珪処理終了時における溶銑の珪素濃度は、0.1mass%以下とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1に記載の溶銑の予備処理方法。
  10. 前記脱珪処理は、転炉型容器内に、酸化物でない珪素として珪化鉄、金属珪素、炭化珪素あるいは窒化珪素溶銑と冷鉄源の合計重量当たり2〜10kg/t装入もしくは添加することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1に記載の溶銑の予備処理方法。
  11. 前記脱燐処理は、中間排滓後の転炉型容器内に、冷鉄源と溶銑の合計重量当たり4〜20kg/tの脱珪処理後スラグを残留させると共に、石灰系媒溶材を添加し、脱燐処理後のスラグ塩基度が1.2以上3.0以下、かつ、この脱燐処理終了後の溶銑温度が1280℃以上1360℃以下となるように酸素吹錬することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1に記載の溶銑の予備処理方法。
  12. 前記脱燐処理は、上吹きランスより、粉状の石灰、炭酸カルシウム、酸化鉄のうち少なくとも1種類以上の成分を含有する精錬剤を、溶湯に向けて噴射することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1に記載の溶銑の予備処理方法。
JP2013118015A 2012-01-19 2013-06-04 溶銑の予備処理方法 Active JP5408379B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013118015A JP5408379B2 (ja) 2012-01-19 2013-06-04 溶銑の予備処理方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012008811 2012-01-19
JP2012008811 2012-01-19
JP2013118015A JP5408379B2 (ja) 2012-01-19 2013-06-04 溶銑の予備処理方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013005194A Division JP5408369B2 (ja) 2012-01-19 2013-01-16 溶銑の予備処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013189714A JP2013189714A (ja) 2013-09-26
JP5408379B2 true JP5408379B2 (ja) 2014-02-05

Family

ID=49390252

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013118015A Active JP5408379B2 (ja) 2012-01-19 2013-06-04 溶銑の予備処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5408379B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6172194B2 (ja) * 2014-07-23 2017-08-02 Jfeスチール株式会社 溶銑の予備処理方法
CN107002154A (zh) * 2014-12-16 2017-08-01 杰富意钢铁株式会社 铁液的预处理方法
JP6361885B2 (ja) * 2015-09-07 2018-07-25 Jfeスチール株式会社 溶銑の精錬方法
JP7004015B2 (ja) * 2019-02-01 2022-01-21 Jfeスチール株式会社 転炉精錬方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10152714A (ja) * 1996-11-25 1998-06-09 Nippon Steel Corp 溶銑の精錬方法
JP2001271113A (ja) * 2000-03-27 2001-10-02 Nippon Steel Corp 遊離石灰含有量の低い製鋼スラグを副生する転炉精錬法
JP2002241829A (ja) * 2001-02-20 2002-08-28 Nippon Steel Corp 溶銑脱珪方法
JP2004190101A (ja) * 2002-12-12 2004-07-08 Nippon Steel Corp 溶銑の予備処理方法
JP5487959B2 (ja) * 2009-12-28 2014-05-14 新日鐵住金株式会社 溶銑の脱Si脱P処理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013189714A (ja) 2013-09-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5408369B2 (ja) 溶銑の予備処理方法
JP5954551B2 (ja) 転炉製鋼法
JP5418733B2 (ja) 溶銑の精錬方法
JP6164151B2 (ja) 転炉型精錬炉による溶鉄の精錬方法
JP6693536B2 (ja) 転炉製鋼方法
JP5408379B2 (ja) 溶銑の予備処理方法
JP2004190101A (ja) 溶銑の予備処理方法
JP6665884B2 (ja) 転炉製鋼方法
JP5983492B2 (ja) 溶銑の予備処理方法
JP6361885B2 (ja) 溶銑の精錬方法
JP5272378B2 (ja) 溶銑の脱燐処理方法
JP3790414B2 (ja) 溶銑の精錬方法
JP4695312B2 (ja) 溶銑の予備処理方法
JP2006009146A (ja) 溶銑の精錬方法
JP2006265623A (ja) 溶銑の予備処理方法
JP2005068533A (ja) 溶銑の脱燐方法
JP4639943B2 (ja) 溶銑の脱硫方法
JP4701752B2 (ja) 溶銑の予備処理方法
JP2011058046A (ja) 溶銑の脱燐処理方法
JP5453794B2 (ja) 溶銑の脱燐処理方法
JP2013167010A (ja) 溶銑の脱りん処理方法
JP2021036063A (ja) 溶銑の脱燐処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20130619

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130702

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130716

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130813

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130823

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131008

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131021

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5408379

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250