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JP5400512B2 - 断熱管 - Google Patents

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  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
  • Gas Or Oil Filled Cable Accessories (AREA)
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Description

本発明は、超電導ケーブルに用いる断熱管に関する。
超電導ケーブルは、常電導ケーブルと比較して大容量の電流を低損失で送電できることから、省エネルギー技術として期待されている。最近では、実用化に向けて超電導ケーブルの実証試験が実施されている。
一般に、この超電導ケーブルは、コアを収納する断熱管を備える。コアは、中心から外周側に向かって順に、フォーマ、超電導導体層、絶縁層、超電導シールド層、保護層を備える。そして、断熱管とコアとの間の空間に液体窒素などの冷媒をポンプなどの圧送手段を用いて流通させることで超電導導体層を冷却して超電導状態とする。
一方、断熱管は、通常、内管を外管に収納した二重管構造であり、内外管のいずれも同じ厚みのステンレス鋼で構成されたコルゲート管である。両管の間は、真空引きされ真空状態となっている。
特開2008−130298号公報 図1
超電導ケーブルの送電線路を長距離にわたり構築するには、単位長のケーブル同士を接続する中間接続部が必要になる。中間接続部を構成するには、接続部材が必要な上、中間接続部を形成する作業が必要なため、送電線路での中間接続部の数を減らしたいという要望がある。ところが、この要望に応えるべく、ケーブルの単位長を長くすると、ポンプ出力を増大し、高圧力で冷媒を流通する必要がある。その結果、内管の内圧が高まり、その内圧に対応した構造の断熱管とすることが求められる。
しかし、従来技術において、より高圧力で冷媒を流通することに対応し、断熱管全体としての構成材料の増大を抑制するための具体的な断熱管の構成が提案されていない。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、高圧力で冷媒を流通することに対応し、断熱管全体としての構成材料の増大を抑制できる断熱管を提供することにある。
本発明の断熱管は、超電導導体を備えるコア及びコアを冷却する冷媒の双方を収納する内管と、この内管の外側に真空層を形成する外管とを備える。そして、この断熱管は、内管及び外管がステンレス鋼で構成され、内管の厚さは、0.8mm以上であり、外管の厚さは、前記内管の厚さより薄いことを特徴とする。
ステンレス鋼製の内管の厚みを0.8mm以上にすることにより、内管の機械的強度を向上させることができ、より高圧での冷媒の流通が可能になる。一方、外管は、真空層の真空維持に必要な機械的強度を有すればよいため、内管ほど高い機械的強度は求められない。そのため、外管の厚みを内管よりも薄くすることで、断熱管全体としての構成材料の増大を抑制できる。
本発明の断熱管において、内管は、SUS304L又はSUS316Lからなり、外管は、SUS304又はSUS316からなることが好ましい。
ステンレス鋼の中でもSUS304又はSUS316は、塑性加工性が良く、溶接性に優れるため断熱管の製造が行い易く、耐食性と、極低温における機械的特性とに優れるため、断熱管の使用時の耐久性に優れる。特に内管は、SUS304及びSUS316に比べ炭素の含有量が少ないSUS304L又はSUS316Lを用いることにより、溶接の際に粒界腐食が起きにくいことに加え、屈曲性がよくなり内管の製造が行い易い。
本発明の断熱管において、内管の外表面に補強層を設けることが挙げられる。補強層は、ステンレス鋼で構成されたメッシュテープで構成する。
補強層を設けることにより、断熱管の機械的強度を向上でき、さらに高圧の冷媒流通に対応できる。また、補強層は、内管と同じステンレス鋼からなることにより、異種金属同士の接触に伴う一方の材質の摩耗や腐食の問題が実質的にない。さらに、メッシュテープを用いることにより、補強層を内管の屈曲や伸縮に追従させやすく、内管の厚みを大きくすることに比べ、軽量でかつ断熱管の屈曲性に優れる。
本発明の断熱管において、内管及び外管は、内外表面が平滑なフラット管部と、このフラット管部の両端部に接続される波付け管部とを備えることが挙げられる。
内管及び外管の大部分がフラット管部で構成されるため、断熱管全体として製造し易い。この断熱管は、例えば超電導ケーブル線路のうち、屈曲のない直線区間や、緩やかな曲げしかない近似直線区間への利用が期待される。特に、この構成の断熱管は、単位長が短い超電導ケーブルで曲げの少ない区間を構築する場合に好適に利用できる。そして、両端部に波付け管部を備えるため、内管及び外管にかかる熱収縮を波付け管部で吸収することができ、断熱管の長手方向にかかる張力を吸収できる。
本発明の断熱管において、内管及び外管は、波付け管であることが挙げられる。
内管及び外管は、波付け管にすることで、断熱管が全てフラット管で構成される場合に比べて屈曲性がよくなる。
本発明断熱管によれば、内管の厚みを大きく採ることにより高圧力で冷媒を流通することに対応し、外管の厚みを内管の厚みより薄くすることで断熱管全体としての構成材料の増大を抑制することができる。
本発明の実施形態1に係る断熱管の横断面図である。 本発明の実施形態2に係る断熱管の横断面図である。 本発明の実施形態3に係る断熱管の縦断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。下記の各実施形態において、同一部材には同一符号を付している。
[実施形態1]
図1を参照して、超電導ケーブルに用いる本発明断熱管の実施形態1について説明する。超電導ケーブル1は、1心以上のコア10(ここでは3心)を断熱管20の内部に収納した構造である。コア10は、ポンプ(図示略)などの圧送手段を用いて、断熱管20とコア10との間の空間に流通される液体窒素などの冷媒により臨界温度以下の極低温に冷却される。本発明の最も特徴とするところは、断熱管20の構成にあるが、以下、コア10の構成も含めて断熱管20の構成をより詳しく説明する。
<コア>
コア10は、中心から外周側に向かって順に、フォーマ101、超電導導体層103、絶縁層105、超電導シールド層107、保護層109を備える。フォーマ101は、例えば、銅などの常電導材料からなる素線を撚り合せて形成される。また、超電導導体層103及び超電導シールド層107は、それぞれ、フォーマ101及び絶縁層105の外周に複数の超電導線材を螺旋状に巻回して形成されている。超電導線材には、Bi系銀シース線材やRE123系薄膜線材が利用できる。絶縁層105及び保護層109の各々は、超電導導体層103及び超電導シールド層107の個々の上に、それぞれPPLP(登録商標)及びクラフト紙などを巻回して形成している。
<断熱管>
断熱管20は、内管20aと外管20bからなる二重管構造である。これら内管20aと外管20bとの間には、断熱性を良くするために真空層が形成される。本例で用いる内管20aと外管20bは、ステンレス鋼で構成される波付け管からなる。この波付け管には、螺旋状に凹凸加工したコルゲート管や、細径部と太径部が断熱管の長手方向に交互に繰り返すベロー管などが利用できる。ステンレス鋼は、塑性加工性が良く、溶接性に優れ、管の製造が行い易い材種を好適に選択することができる。具体的には、SUS304、SUS316、SUS304L、及びSUS316Lから選択される1種又は2種の材料が挙げられる。内管20a及び外管20bの構成材料は、同一の材料でも異なる材料でも構わない。両管の材種を異ならせる場合、冷媒の内圧が作用する内管20aの材種は、外管20bの材種よりも機械的特性や耐食性に優れるものとすることが好ましい。
(内管)
内管20aは、その内部にコア10が収納され、内管20aとコア10との間に、コア10を冷却する冷媒が流通される。この冷媒の流通により、内管20aには冷媒の内圧がかかる。そのため、内管20aの材質には、ステンレス鋼の中でもSUS304L又はSUS316Lを用いることが好ましい。SUS304L及びSUS316Lは、SUS304及びSUS316に比べ炭素の含有量が少なく、クロム炭化物の析出に伴うクロム欠乏層の生成を抑制できるため、溶接の際に粒界腐食が起きにくいことに加え、屈曲性がよく内管の製造が行い易くなる。
内管20aは、冷媒による圧力に対応するように、0.8mm以上の厚みを適宜選択する。また、内管20aは、強度だけを考慮すると厚い方が良いが、厚過ぎると剛性が高まり、布設現場に搬送するためにドラムに巻き取っておいた際の巻きぐせを除去することが難しくなるため、最大の厚みを3mm程度とすることが好ましい。本例での内管20aは、SUS304Lを用いて厚みを1mmとしている。これにより、冷媒の常時使用圧力を0.3〜1.5MPa程度とした超電導ケーブル線路を構築できる。その際、一つの冷媒循環システムにつながれる超電導ケーブルの長さは、300〜500m程度とすることができる。
(外管)
外管20bは、真空層の内圧と大気の外圧との差圧に耐えられ、ケーブル製造、布設時の牽引、屈曲に耐えられる機械的強度を有する厚さを選択する。具体的には、外管の厚さは0.5mm〜1mmとする。そして、内管20aほど高い機械的強度は求められないため、外管20bは、SUS304又はSUS316を用いて、厚みを内管20aよりも薄くする。本例の外管20bは、SUS304を用いて構成し、厚みは0.8mmとした。
<その他>
その他の断熱管20の構成として、内外管20a、20bの間隔を保持するために内外管20a、20bの間に配されるスペーサ(図示略)と、真空層内に配置されて輻射熱の侵入を抑制する断熱層(図示略)とが挙げられる。スペーサ及び断熱層は、いずれも帯状部材が好適に利用できる。特に、断熱層は、スーパーインシュレーション(商品名)が好適に利用できる。さらに、通常、外管20bの外側には、防食層20cが形成される。防食層20cには、ポリ塩化ビニルなどの樹脂が好適に利用できる。
<組立方法>
以上の本発明断熱管は、例えば、次のようにして組み立てられる。
まず、厚み1mmの板状のSUS304Lを連続して管状に変形させながら端部を溶接して直管を作製し、その直管に波付け加工を行って内管20aを作製する。得られた内管20aの外周に、スーパーインシュレーションなどの帯状の断熱材を巻回して積層し、断熱層を形成する。次に、上記断熱材を巻回した内管20aの外側にテープ状のスペーサを螺旋状に巻回又は縦添えして配置する。続いて、断熱層とスペーサが形成された内管20aの外側に、厚み0.8mmの板状のSUS304を連続して管状に変形させながら端部を溶接して直管を作製し、その直管に波付け加工を行って外管20bを作製する。そして、外管20bの外周に、押出により防食層20cを形成する。その後、内外管20a、20bの間を真空引きして、真空層を形成する。
<効果>
本例の断熱管20によれば、従来に比して内管20aの厚みを大きくすることにより高圧力で冷媒を流通することに対応できる。また、内管20aの厚みと外管20bの厚みが同じ場合に比べ、外管20bを薄くできるため、断熱管全体としての構成材料の増大を抑制することができる。
[実施形態2]
次に、図2を参照して、超電導ケーブルに用いる本発明断熱管であって、実施形態1とは構成が異なる実施形態2について説明する。実施形態1との主たる相違点は、内管20aの外周に補強層30を備えることである。その他の点は、実施形態1とほぼ共通の構成なので、以下の説明は相違点を中心に行う。
<補強層>
補強層30は、メッシュテープで構成される。補強層30は、冷媒による内圧が内管20aに加わることで内管20aが外周方向に膨張するのを防ぐため利用する。内管20aにメッシュテープを巻回する際は、波付け加工された内管の山間隔や谷間隔よりも幅の広いメッシュテープを用い、内管20aの外表面を覆うように重ね巻きすることが補強特性の確保や巻回の効率性からも好ましい。その場合、内管20aの谷部にメッシュテープが接触しなくてもよいが、内管20aの外表面の全面にメッシュテープが沿うように巻回されていると、冷媒の内圧に対して高い補強特性を得ることができる。メッシュテープの巻回ピッチは、波付け加工された内管20aの山間隔や谷間隔に応じて、適宜選択する。このメッシュテープは、金属線の編組材が好適に利用できる。具体例としては、補強層30に伸縮性を持たせるため、1mm以下の直径にまで冷間伸線加工した金属線をメリヤス編みにし、テープ状に形成したメッシュテープが挙げられる。本例では、異種金属同士の接触に伴う一方の材質の摩耗や腐食の問題が起きにくい内管20aと同じステンレス鋼からなるメッシュテープを補強層30に用いる。
<効果>
この補強層30を用いることにより、より高圧力で冷媒を流通することに対応した断熱管を構成できる。また、メッシュテープで補強層30を構成することで、内管20aの屈曲に追従させやすく、内管の厚みを大きくすることに比べ、断熱管20の屈曲性に優れる。
[実施形態3]
次に、図3を参照して、超電導ケーブルに用いる本発明断熱管であって、実施形態1とは構成が異なる実施形態3について説明する。実施形態1との主たる相違点は、断熱管40が、内管40a及び外管40bの内外表面が平滑なフラット管部41と、波付け加工された波付け管部43とを備えることである。その他の点は、実施形態1とほぼ共通の構成なので、以下の説明は相違点を中心に行う。
<断熱管>
断熱管40は、その大半を占めるフラット管部41と、このフラット管部41の両端部に形成される波付け管部43とを備える。
フラット管部41は、板状のステンレス鋼を連続して管状に変形させながら端部を溶接して直管を形成すればよく、波付け加工を行う必要がないため製造し易い。
一方、波付け管部43は、断熱管40(内管40a、外管40b)にかかる伸縮、特に冷却時の熱収縮を吸収し、断熱管の長手方向にかかる張力を吸収できる。
このような断熱管40は、例えば、フラット管部41と波付け管部43を別々に形成したのち、両者を溶接などで接続することで得られる。その他、直管を形成後、その直管の両端部を波付け加工し、波付け加工しなかった箇所をフラット管部41とし、波付け加工した箇所を波付け管部43としてもよい。この場合、フラット管部41と波付け管部43を溶接する必要がない。そして、本例の断熱管40を用いて超電導ケーブル線路を構築する場合、波付け管部43は、超電導ケーブルの中間接続部又は終端接続部に接続される。
<効果>
本例の断熱管40を用いることにより、全長を波付け管にする場合に比べて断熱管の製造が行い易い。特に、本例の断熱管40は、超電導ケーブル線路のうち、屈曲のない直線区間や、緩やかな曲げしかない近似直線区間に利用できる。
なお、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、本発明の範囲は上述した実施形態に限定されるものではない。
本発明断熱管は、超電導ケーブルの断熱管に好適に利用できる。特に、この断熱管は、高圧力で冷媒を流通することに対応し、断熱管全体としての構成材料の増大を抑制した超電導ケーブル用の断熱管に好適に利用できる。
1 超電導ケーブル
10 コア
101 フォーマ 103 超電導導体層 105 絶縁層
107 超電導シールド層 109 保護層
20、40 断熱管
20a、40a 内管 20b、40b 外管 20c 防食層
30 補強層
41 フラット管部 43 波付け管部

Claims (4)

  1. 超電導導体を備えるコア及び前記コアを冷却する冷媒の双方を収納する内管と、
    前記内管の外側に真空層を形成する外管とを備える断熱管であって、
    前記内管は、SUS304L又はSUS316Lからなり、
    前記外管は、SUS304又はSUS316からなり、
    前記内管の厚さは、0.8mm以上であり、
    前記外管の厚さは、前記内管の厚さより薄い断熱管。
  2. さらに、前記内管の外表面に補強層を備え、
    前記補強層は、ステンレス鋼で構成されたメッシュテープからなる請求項1に記載の断熱管。
  3. 前記内管及び前記外管は、
    各管の内外表面が平滑なフラット管部と、
    このフラット管部の両端部に接続される波付け管部とを備える請求項1又は請求項2に記載の断熱管。
  4. 前記内管及び前記外管は、波付け管である請求項1又は請求項2に記載の断熱管。
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