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JP5497362B2 - パンツタイプ使い捨ておむつ - Google Patents

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JP5497362B2 JP2009180101A JP2009180101A JP5497362B2 JP 5497362 B2 JP5497362 B2 JP 5497362B2 JP 2009180101 A JP2009180101 A JP 2009180101A JP 2009180101 A JP2009180101 A JP 2009180101A JP 5497362 B2 JP5497362 B2 JP 5497362B2
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Description

本発明は、パンツタイプ使い捨ておむつに関するものである。
乳幼児用の使い捨ておむつには、主にテープタイプ、パンツタイプ(例えば特許文献1〜3参照)、パッドタイプの三種類があり、一般に、ハイハイをし出す前はテープタイプが使用し易く、その後はパンツタイプが使用し易い。パッドタイプはトレーニング用途や吸収量増加等の補助用途で用いられる。このような選択がなされる理由の一つに、おむつ交換の容易性を挙げることができる。例えば、パンツタイプの場合、装着中の使用済みおむつの両側部を破って身体から取り去るか又はずり下ろして脚から抜き取った後、新しいおむつに脚を通して股間部まで引き上げるといった手順が一般的であり、これはハイハイ以降の動きの激しい子供における交換に好適なものである。
しかしながら、従来のパンツタイプ使い捨ておむつは他のタイプのものと比べれば交換作業は容易であるといえるが、新しいおむつを穿かせる際、器用に動かせない装着者の足をおむつの脚開口部に通すのが容易ではなく、この点では交換作業に困難性が残されていた。
この問題点を解決するものとして、特開2008−104874号公報(特許文献4)に記載されているように、おむつ幅方向両側部の接合部(サイドシール)のうち一方側のみ、テープタイプのように止着式とすることも提案されている。このように構成されていると、装着に際して両足を通す必要が無く、片足のみを通すだけであるため、素早く簡単に脚通しを行うことができ、脚通し後には、止着手段による側部の連結が必要になるが、これも片方だけであるため素早く簡単に行うことができる。また、片側とはいえ、止着手段を用いて連結するため、体型に合わせて胴回りの締め付け度合いを調整することにより、フィット性を向上させることができるようになる。
しかし、この先行例では、止着側の側部では前身頃と後身頃とが身体表面に沿って重なるだけであるため、前身頃と後身頃との一体性が乏しく、一方の身頃が他方の身頃に対してズレ易く、この点でパンツタイプのフィット性(追従性)の良さが損なわれるという問題点があった。また、上記先行例では、装着の際に前身頃及び後身頃の両方を掴んで合わせる必要があり、締め付けの微調整作業が容易とはいえなかった。
特開平9−262250号公報 特開平11−299829号公報 特開2000−102560号公報 特開2008−104874号公報 特開2001−46427号公報 特表2002−518095号公報 特表2003−532432号公報
そこで、本発明の主たる課題は、フィット性に優れるものでありながら、脚を通し易く、穿かせ易いパンツタイプ使い捨ておむつを提供することにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
股間部で連続する前身頃と後身頃とを有し、これら前身頃と後身頃とが幅方向両側部で連結されることにより、ウエスト開口部及び左右一対の脚開口部が形成された、パンツタイプ使い捨ておむつにおいて、
少なくとも幅方向一方における前身頃の側部及び後身頃の側部に、対向する身頃の外面に止着される連結バンドがそれぞれ設けられており、
これら連結バンドは、前記身頃の側部に固定された基端部と、この基端部から延出する延出部と、この延出部に設けられた、前記対向する身頃の外面に止着可能である止着部と、この止着部と前記基端部との間の中間部に設けられた、先端側と基端側とを繋ぐ紐状部分が縦方向に複数本並設されてなる交差部分とを、それぞれ有しており、
一方の連結バンドにおける交差部分と他方の連結バンドにおける交差部分とは、一方の紐状部分と他方の紐状部分とが縦方向に互い違いとなるように交差され、この連結バンドの交差により前記前身頃と後身頃との連結が構成されており、
各身頃の連結バンドにおける、対向する身頃の連結バンドの外側に抜け出た部分に前記止着部が設けられている、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このような連結バンドの交差によりおむつ側部の連結を構成すると、両連結バンドの交差位置をスライド移動させることができ、この交差位置の移動により、紐状部分の長さの分だけ、胴周り部分の連続性を維持したまま胴周り寸法を長短変化させることができる。よって例えば、おむつを穿く際には、連結バンドの交差位置を連結バンドの先端側に移動させて胴周り寸法を長くすることにより脚開口部径を大きくし、もって脚を通し易くすることができ、またその後は、おむつを胴部まで引き上げてから連結バンドの交差位置を連結バンドの基端側に移動させて胴周り寸法を短くし、各連結バンドの止着部を対向する身頃の外面に止着することにより、装着者の胴周りに適合させて装着することができる。しかも、連結バンド同士は、複数本の紐状部分同士が縦方向に互い違いに交差されているため、両連結バンドによる連結部分の一体性は非常に高いものとなり、両側部が接合された一般的なパンツタイプ使い捨ておむつにより近いフィット性(追従性)が得られる。さらに、一方の連結バンドを止着した状態で、他方の連結バンドのみを引っ張る又は戻すだけで連結バンドの交差位置を移動することができるため、締め付けの微調整作業も容易である。
<請求項2記載の発明>
股間部で連続する前身頃と後身頃とを有し、これら前身頃と後身頃とが幅方向両側部で連結されることにより、ウエスト開口部及び左右一対の脚開口部が形成された、パンツタイプ使い捨ておむつにおいて、
少なくとも幅方向一方における前身頃及び後身頃のうち、いずれか一方の身頃の側部に、当該一方の身頃の外面に止着される連結バンドが設けられるとともに、他方の身頃の側部に、バンド挿通部が設けられており、
前記連結バンドは、前記一方の身頃の側部に固定された基端部と、この基端部から延出する延出部と、この延出部に設けられた、前記一方の身頃の外面に止着可能である止着部と、この止着部と前記基端部との間の中間部に設けられた、先端側と基端側とを繋ぐ紐状部分が縦方向に複数本並設されてなる交差部分とを有しており、
前記バンド挿通部は、前記他方の身頃の側部に固定された基端部と、この基端部から延出する延出部と、この延出部に設けられた、先端側と基端側とを繋ぐ紐状部分が縦方向に複数本並設されてなる交差部分とを有しており、
前記連結バンドにおける交差部分と前記バンド挿通部における交差部分とは、連結バンドの紐状部分とバンド挿通部の紐状部分とが縦方向に互い違いとなるように交差され、この連結バンドとバンド挿通部の交差により前記前身頃と後身頃との連結が構成されており、
前記連結バンドにおけるバンド挿通部の外側に抜け出た部分に前記止着部が設けられている、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このような連結バンドとバンド挿通部との交差によりおむつ側部の連結を構成すると、交差位置のスライド移動により、胴周り部分の連続性を維持したまま胴周り寸法を長短変化させることができる点等は、前述の連結バンド同士の組み合わせと同じであり、基本的に同様の利点を有する。違いは、止着部を有する連結バンドは前後いずれか一方のみであること、その一方のみの連結バンドを引っ張る又は戻すだけで締め付け調整(交差位置をずらすこと)ができ、片手でも操作できること、連結バンドはバンド挿通部で折り返され、連結バンドを有する身頃に止着されること、並びに連結バンドを前身頃に設ければ被装着者が自分で締め付けて装着できることである。
<請求項3記載の発明>
前記連結バンドの紐状部分における、前記止着部と同じ側の面に、おむつ外面に止着可能である補助止着部が設けられている、請求項1または2記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このように、紐状部分に補助止着部を設けると連結部分がズレ難くなり、連結部分の一体性がより一層のものとなる。特に、左右対称構造では連結部分にズレが発生しても左右がバランスするようにずれるため違和感が発生し難いのに対して、非対称構造では、一方側の側部はずれが発生しないように接合されており、他方側の側部のみがずれるため、これが発生した場合には装着バランスが崩れることで著しい違和感がもたらされる。よって、上記補助止着部はこのような非対象構造の場合に好適である。
<請求項4記載の発明>
前記紐状部分が伸縮性不織布で形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このように紐状部分が弾性伸縮する伸縮性不織布で構成されていると、簡素な構造でフィット性がより一層のものとなる。
<請求項5記載の発明>
前記止着部が、面ファスナーの雄材により形成されており、前記おむつの外面における少なくとも前記止着部が止着される部位が前記フック材の係合する不織布で形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
連結バンドによる止着は、面ファスナーの雄材とおむつ外面を構成する不織布により行う形態が、簡素、安価であるため好ましい。
以上のとおり、本発明によれば、フィット性に優れるものでありながら、脚を通し易く、穿かせ易いパンツタイプ使い捨ておむつとなる、等の利点がもたらされる。
連結バンド未連結の状態のパンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 連結バンド未連結の状態のパンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 図1の3−3断面図である。 図1の4−4断面図である。 図1の5−5断面図である。 連結バンドの分解組立図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの要部のみを示す、断面図である。 連結バンドを緩めた状態のパンツタイプ使い捨ておむつの概略斜視図である。 連結バンドを締めて止着した状態のパンツタイプ使い捨ておむつの概略斜視図である。 他の形態の連結バンド及びバンド挿通部の分解組立図である。 他の形態の連結バンドを緩めた状態の概略斜視図である。 他の形態の連結バンドを締めて止着した状態の概略斜視図である。 さらにまた他の形態の連結バンドの断面図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。
<第1の形態>
図1〜図9は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例100を示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ100は、製品外面(裏面)をなす外装シート12と、外装シートの内面に貼り付けられた内装体200とから構成されているものである。内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装シート12は着用者に装着するための部分である。なお、断面図における点模様部分は各構成部材を接合する接合部分を示しており、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、カーテン、サミットまたはスパイラル塗布などにより形成されるものである。なお、「前後(縦)方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつ100の装着状態、すなわちおむつ100の前身頃両側部と後身頃両側部を重ね合わせるようにおむつ100を股間部で2つに折った際に胴回り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部WO側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3〜図5に示されるように、身体側となる表面シート30と、不透液性バックシート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、表面シート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、表面シート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に設けられた、身体側に起立するバリヤーカフス60を示している。
(表面シート)
表面シート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、表面シート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、表面シート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
バリヤーカフス60を設ける場合、表面シート30の両側部は、不透液性バックシート11とバリヤーカフス60との間を通して、吸収要素50の裏側まで回りこませ、液の浸透を防止するために、不透液性バックシート11及びバリヤーカフス60に対してホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。
(中間シート)
表面シート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、表面シート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、表面シート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、表面シート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.2〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
(不透液性バックシート)
不透液性バックシート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。不透液性バックシート11には、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。このほかにも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、不透液性バックシート11として用いることができる。
不透液性バックシート11は、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回りこませて吸収要素50の表面シート30側面の両側部まで延在させことができる。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
また、不透液性バックシート11の内側、特に吸収体56側面に、液分の吸収により色が変化する排泄インジケータを設けることができる。
(バリヤーカフス)
バリヤーカフス60は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。本実施の形態のバリヤーカフス60は、内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
より詳細には、バリヤーカフス60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のバリヤーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸張状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。バリヤーカフス60のうち幅方向において折り返し部分と反対側の端部は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、突出部分66のうち前後方向両端部は、取付部分65から内装体200の側部を通り表面シート30の側部表面まで延在し且つこの表面シート30の側部表面に対してホットメルト接着剤やヒートシールによる前後固定部67固定された付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返され且つ付け根側部分に固定された先端側部分とからなる。突出部分のうち前後方向中間部は非固定の自由部分(内側自由部分)とされ、この自由部分に前後方向に沿う細長状弾性部材63が伸張状態で固定されている。
バリヤーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。細長状弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。また、図示のように、二つに折り重ねたバリヤーシートの間に防水フィルムを介在させることもできる。
バリヤーカフス60の自由部分に設けられる細長状弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは3〜10mmが適当である。このように構成すると、細長状弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にも細長状弾性伸縮部材63を配置しても良い。
バリヤーカフス60の取付部分65の固定対象は、内装体200における表面シート30、不透液性バックシート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができる。
かくして構成されたバリヤーカフス60では、細長状弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが図3に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍においてバリヤーカフス60が幅方向外側に開くように起立するため、バリヤーカフス60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
バリヤーカフス60の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば図7に示すように、バリヤーカフス60の起立高さ(展開状態における突出部分66の幅方向長さ)W6は15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。また、バリヤーカフス60をトップシート30表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離W3は60〜190mm、特に70〜140mmであるのが好ましい。
なお、図示形態と異なり、内装体200の左右各側においてバリヤーカフスを二重に(二列)設けることもできる。
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は長方形形状でも良いが、図6にも示すように、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部とを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体とバリヤーカフス60の、脚回りへのフィット性が向上するため好ましい。
また、吸収体の寸法は適宜定めることができるが、前後方向及び幅方向において、内装体の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。たとえば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻き付け、且つその前後縁部を吸収体56の前後から食み出させ、この食み出し部分を表裏方向に潰してホットメルト接着剤等の接合手段により接合する形態が好ましい。
(外装シート)
外装シート12は、股間部から腹側に延在する前身頃Fをなす部分と、股間部から背側に延在する後身頃Bをなす部分とを有し、これら前身頃Fの両側部と後身頃Bの両側部とが連結されて、図8に示すように、装着者の胴を通すための胴開口部WO及び脚を通すための左右一対の脚開口部LOが形成されているものであり、特徴的には幅方向一方では前身頃F及び後身頃Bの側部同士が接合されて接合部12A(以下、この部分をサイドシールともいう)が形成され、幅方向他方では、前身頃F及び後身頃Bの側部同士が本発明の連結バンド80により連結されている。なお、股間部とは、展開状態における前身頃のウエスト端縁から後身頃のウエスト端縁までの前後方向中央を意味し、それよりも前側の部分及び後側の部分が前身頃F及び後身頃Bをそれぞれ意味する。
外装シート12は、胴開口部WOから脚開口部LOの上端に至る前後方向範囲として定まる胴周り部Tと、脚開口部LOを形成する部分の前後方向範囲として定まる中間部Lとを有する。胴周り部Tは、概念的に「ウエスト側端部」Wと「胴周り下部」Uとに分けることができる。これらの前後方向の長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト側端部Wは15〜40mm、胴周り下部Uは65〜120mmとすることができる。一方、中間部Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うように括れており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。この結果、外装シート12は、全体としては略砂時計形状をなしている。外装シート12の括れの程度は適宜定めることができ、図1〜図8に示す形態のように、すっきりとした外観とするために最も幅が狭い部分では内装体200の幅より狭くすることが好ましいが、最も幅が狭い部分でも内装体200の幅以上となるように定めてもよい。
外装シート12は、図3〜図5に示されるように、二枚のシート基材12S,12Hをホットメルト接着剤等の接着剤により張り合わせて形成されるものであり、内側に位置する内側シート基材12Hはウエスト開口部WOの縁までしか延在していないが、外側シート基材12Sは内側シート基材12Hのウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されており、この折り返し部分12rは内装体200のウエスト側端部上までを被覆するように延在されている。
シート基材12S,12Hとしては、シート基材であれば特に限定無く使用できるが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その坪量は10〜30g/m2程度とするのが好ましい。
また、外装シート12を通して後述する印刷シート25のデザインを製品外面から良好に視認できるように、外装シート12の総目付けは20〜60g/m2程度であるのが好ましく、外装シート12のJIS K 7105に規定される全光線透過率が40%以上、特に50%以上となっているのが好ましい。
そして、外装シート12には、胴回りに対するフィット性を高めるために、両シート基材12S,12H間に糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材15〜19が所定の伸張率で設けられている。細長状弾性伸縮部材15〜19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。外装シート12の両シート基材12S,12Hの貼り合せや、その間に挟まれる細長状弾性伸縮部材15〜19の固定には種々の塗布方法によるホットメルト接着またはヒートシールや超音波接着を用いることができる。外装シート12全面を強固に固定するとシートの風合いを損ねるため好ましくない。これらを組合せ、細長状弾性伸縮部材15〜19の接着は強固にし、それ以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。
より詳細には、後身頃B及び前身頃Fのウエスト端部(上端部)Wにおける内側シート基材12Hの内側面と外側シート基材12Sの折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数のウエスト部弾性伸縮部材17,18が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。また、ウエスト部弾性伸縮部材17,18のうち、胴周り下部Uに隣接する領域に配設される1本または複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト弾性伸縮部材17,18としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸張率150〜400%、特に220〜320%程度で固定するのが好ましい。また、ウエスト部弾性伸縮部材17,18は、その全てが同じ太さと伸張率にする必要はなく、例えばウエスト側端部Wの上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸張率が異なるようにしてもよい。
また、前身頃F及び後身頃Bの胴周り下部Uにおける内側シート基材12Hの外側面と外側シート基材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の細長状弾性伸縮部材15,19が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。
胴回り下部Uの細長状弾性伸縮部材15,19としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸張率200〜350%、特に240〜300%程度で固定するのが好ましい。
また、前身頃F及び後身頃Bの中間部Lにおける内側シート基材12Hの外側面と外側シート基材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の細長状弾性伸縮部材16が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。
中間部Lの細長状弾性伸縮部材16,18としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸張率150〜300%、特に180〜260%で固定するのが好ましい。
なお、図示のように、胴回り下部U及び中間部Lの細長状弾性伸縮部材15,19,16,18が、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、内装体200が幅方向に必要以上に収縮することがなく、モコモコと見た目が悪かったり吸収性が低下したりすることがないため好ましい。この形態には、幅方向両側にのみ弾性伸縮部材が存在する形態の他、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで弾性伸縮部材が存在しているが、内装体200と重なる幅方向中央部では弾性伸縮部材が切断され、伸縮力が作用しない(実質的には、弾性伸縮部材を設けないことに等しい)ように構成されている形態も含まれる。もちろん細長状弾性伸縮部材15,19,16,18の配設形態は上記例に限るものではなく、胴回り下部Uの幅方向全体にわたり伸縮力が作用するように、胴回り下部Uの細長状弾性伸縮部材15,19,16,18の一部または全部を、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで設けることもできる。
また、細長状弾性伸縮部材15〜19が後述する印刷シート25を横切る場合において、細長状弾性伸縮部材15〜19として酸化チタンを含有するゴムを用いる場合には、酸化チタンの含有量が低い(例えば2%以下の)ものあるいは酸化チタンを含有しないものを用いるのが好ましい。
(後処理テープ)
外装シート12の後身頃Bの外面における幅方向中央部には、後処理テープ70(固定手段)を設けることができる。後処理テープ70は、おむつ100を表面シート30が内側に且つ前身頃Fが内側となるように丸め若しくは折り畳んだ状態で固定するためのものである。一般的な後処理テープ70は、図5に示すように、基端部71が外装シート12の外面に接着剤等により固定されるとともに、この基端部71よりも先端側の部分は三つ折り(断面Z字状)や二つ折りで折り畳まれて、折り重なり部分間が仮止め接着剤72により剥離可能に固定(仮固定)されている。また、先端部に白色等の不透明色に着色された摘み部73を有するとともに、この摘み部73を除く部分が透明または半透明であり、この後処理テープ70における透明または半透明の部分を通して、後処理テープ70の外面側から後述するデザインが視認可能になっている。具体的な構造は適宜構成することができるが、図示形態では、全体を透明又は半透明の複数の基材を長手方向に連結して形成するとともに、摘み部73に着色テープ74を張り合わせた構造を採用している。
廃棄時には、おむつ100を表面シート30が内側になるとともに前身頃Fが内側となるように丸め若しくは折り畳んだ後、後処理テープ70の折り重なり部分を剥離して展ばし、丸めた若しくは折り畳んだおむつ100の後身頃Bからウエスト開口部WOを越えて反対側の外面まで巻き付けるようにして接着剤により固定する。後処理テープ70は、不使用時にはコンパクトに折り畳まれ、使用時には長尺状に展開できる三つ折り形状のものが特に好適である。
後処理テープ70等の固定手段は、前身頃Fに設けてもよく、後身頃Bと前身頃Fの両方に設けてもよい。
(印刷シート)
不透液性バックシート11と外装シート12との間(外装シート12の層間を含む)には、印刷によりデザインの施された印刷シート25が設けられている。外装シート12を省略し、印刷シート25が外面に露出する形態とすることもできる。また、図示例の印刷シート25は、それが配置される身頃よりも小さい面積を有しており、前身頃F及び後身頃Bに個別に設けられているが、前身頃Fから股間部を通り後身頃Bまで一体的に連続するように設けることもできる。
印刷シート25の寸法・形状は特に限定されないが、機能を十分なものとするためには十分に面積を大きくするのが好ましく、例えば、印刷シート25の幅は吸収体56の幅の50〜120%程度であるのが好ましく、印刷シート25の長さは少なくとも腹側及び背側の片側で物品全長Yの15〜30%程度であるのが好ましい。また、印刷シート25の形状はトリムロスが発生しない点では図示例のような矩形であるのが好ましいが、円形や楕円形、三角形、六角形等の幾何学形状、若しくはデザインの周囲に沿う形状にカットしても良い。
印刷シート25のシート基材としては、プラスチックフィルムや不織布、紙などを用いることができるが、嵩高く通気性の高い素材が好ましい。プラスチックフィルムを用いる場合は、ムレ防止のため透湿性を有することが望ましい。不織布や紙は透湿性を有するため好ましく、デザイン印刷を施す場合、不織布にあっては平滑性が高く印刷しやすいもの、紙にあっては強度が高くインクの滲み難いものを用いるのが好ましい。特に好ましいものとしては、目付け15〜35g/m2程度、厚み0.1〜0.3mm程度のクレープ紙(薄葉紙)や、目付け10〜25g/m2程度、厚み0.1〜0.3mm程度の不織布(特にスパンボンド部の繊度が1.0〜3.0dtex程度のスパンボンド不織布やSMS不織布)を挙げることができる。クレープ紙を用いる場合は、クレープ率は5〜20%程度、特に5〜15%程度のものを用いるのが好ましい。クレープ率が20%以上であると、インクの定着量は大きくなるが滲みが生じてデザイン印刷には適さない。クレープ率が5%以下であるとインクが浸透しにくいため定着量が少ない。
(外装シート分割構造)
上述の例では、前身頃Fから後身頃Bまでを一体的な外装シート12により連続的に覆っているが、外装シートが、装着者の胴回りのうち腹側を覆う腹側外装シートと背側を覆う背側外装シートとに分割されており、腹側外装シートの幅方向中央部内面に内装体の前端部がホットメルト接着剤等により連結されるとともに、背側外装シートの幅方向中央部内面に内装体の後端部がホットメルト接着剤等により連結されており、腹側外装シートと背側外装シートとが股間側で連続しておらず、離間されている形態も採用することができる。この離間距離は150〜250mm程度とすることができる。この場合、内装体における不透液性バックシートの裏面には、内装体の裏面全体を覆うように、あるいは腹側外装シートと背側外装シートとの間に露出する部分全体を覆うように、股間部外装シートを固定することもできる。股間部外装シートとしては、前述した外装シートに用いられるものと同様の資材を用いることができる。股間部外装シートも本発明の外装シートに相当する。
(連結バンド)
特徴的には、幅方向一方における前身頃Fの側部及び後身頃Bの側部に、対向する身頃の外面に止着される連結バンド80がそれぞれ設けられている。連結バンド80は、身頃の側部に固定された基端部81と、この基端部81から延出する延出部82とからなり、この延出部82には、先端部に対向する身頃の外面に止着可能である止着部83が設けられ、この止着部83と基端部81との間の中間部には、先端側と基端側とを繋ぐ紐状部分84が縦方向に間隔を空けて複数本並設されてなる交差部分85が設けられている。止着部83の先端側に延出する部分は摘み部89である。
連結バンド80の縦方向寸法は、サイドシール12Aと同程度、具体的にはおむつ全長Yの20〜30%程度とするのが好ましい。連結バンド80の横方向長さは外装シート12の幅の20〜40%程度とするのが好ましく、紐状部分84の長さは外装シート12の幅の15〜30%程度とするのが好ましい。さらに、紐状部分84の本数は3〜6本程度が好ましい。
連結バンド80の詳細な構造は図6に示されている。連結バンド80のうち一方の連結バンド80(図示例では(a)が後身頃B)は、主に基端側の本体シート86と、その先端側に継ぎ合わされた止着部シート87とから構成されている。各部材間の固定はホットメルト接着剤等の接着剤の他、ヒートシール、超音波シール等の溶着手段により行うことができる(以下の他の接合、固定、張り合わせ部分に同じ)。
本体シート86及び止着部シート87は適宜の素材で構成することができ、ポリオレフィン系樹脂等からなるプラスチックシートや、外装シートと同様の不織布等を好適に用いることができる。図示例では、本体シート86はバンド長手方向に沿う矩形状のスリット88が縦方向に一本又は複数本形成されており、このスリット88の縦方向両側の部分が紐状部分84をなしている。また、止着部シート87は、スリット88よりも先端側の内面に止着部83が縦方向全体にわたり設けられている。止着部83は、粘着剤の塗布層により形成することもできるが、面ファスナー(メカニカルファスナー)の雄材(フック材)により形成することもできる。なお、止着部シート87は省略することもできる。この場合、本体シート86の先端部に直接止着部83を設ければよく、先端縁を残すことにより摘み部89を形成することもできる。
他方の連結バンド80(図示例では(b)が前身頃F)は、一方の連結バンド80に対して次述の紐状部分84の交差係合を可能とするために、スリット88が本体シート86の一端まで突き抜けて開口しており、この開口から一方の連結バンド80の紐状部分84をスリット88内に通すことが可能となっている以外は、一方の連結バンド80と同様である。この場合、スリット88の開口側の端部の固定部分は強度が弱くなるため、スリット88の開口側の端部を接合対象のシート(図示例の場合、外装シート12)との間で挟むように補強シート81Sを張り合わせるのが好ましい。図示例では本体シート86が開口しているのは基端部81側だが、先端部側が開口していてもよい。この場合は、補強シート81Sと止着部シート87との間にスリット88の開口側の端部の固定部分を挟めばよいが、シート材からなる止着部83を補強シート81Sとして用いるのが好ましい。このように補強シート81Sを設けるようにすればスリット88の開口側の端部の固定強度は十分なものとなるため、本体シート86の両側が開口するようにしてもよい。そうすると、複数の紐状部材を間隔を置いて並列するだけで紐状部分84を形成することができ、また紐状部分84をスリット88内に通さなくても各部材を適当な順に重ねていけば上記の交差構造を得ることも可能となるため、製造が容易である。
そして、図8に示すように、一方の連結バンド80における交差部分85と他方の連結バンド80における交差部分85とは、一方の紐状部分84と他方の紐状部分84とが縦方向に互い違いとなるように交差され、この連結バンド80の交差により前身頃Fと後身頃Bとの連結が構成されるとともに、各身頃の連結バンド80における、対向する身頃の連結バンド80の外側に抜け出た部分に前述の止着部83が設けられている。換言すれば、各身頃の連結バンド80における交差部分85の各紐状部分84が、対向する身頃の連結バンド80における交差部分85の対応する紐状部分84間(スリット88)にそれぞれ通されることにより、各身頃の連結バンド80における交差部分85と対向する身頃の連結バンド80における交差部分85とが係合状態で交差しており、各身頃の連結バンド80の各紐状部分84は、対向する身頃の連結バンド80の外側に抜け出た部分で一体化されている。
このような連結バンド80の交差によりおむつ側部の連結を構成すると、両連結バンド80の交差位置をスライド移動させることができ、この交差位置の移動により、紐状部分84の長さの分だけ、胴周り部分の連続性を維持したまま胴周り寸法を長短変化させることができる。よって、図8に示すように、おむつを穿く際には、連結バンド80の交差位置を連結バンド80の先端側に移動させて胴周り寸法を長くすることにより脚開口部LOの径を大きくし、もって脚を通し易くすることができる。また、おむつの脚開口部LOに脚を通し、おむつを胴部まで引き上げた後は、図9に示すように、連結バンド80の交差位置を連結バンド80の基端側に移動させて胴周り寸法を短くし、各連結バンド80の止着部83を対向する身頃の外面に止着することにより、装着者の胴周りに適合させて装着することができる。ここで、連結バンド80同士は、複数本の紐状部分84同士が縦方向に互い違いに交差されているため、両連結バンド80による連結部分の一体性は非常に高いものとなり、両側部が接合された一般的なパンツタイプ使い捨ておむつにより近いフィット性(追従性)が得られる。さらに、一方の連結バンド80を止着した状態で、他方の連結バンド80のみを引っ張る又は戻すだけで連結バンド80の交差位置を移動することができるため、締め付けの微調整作業も容易である。
<第2の形態>
第1の形態は、前身頃F及び後身頃Bの両者が連結バンド80であり、それぞれ対向する身頃の外面に止着する必要があるため、前後バランス良くしっかりと締め付けることができる半面、操作が若干煩雑となる。そこで、図10〜図12に示される第2の形態も提案される。すなわち、第2の形態は、幅方向一方における前身頃F及び後身頃Bのうち、いずれか一方の身頃(図示例では(b)が前身頃F)の側部に、当該一方の身頃の外面に止着される連結バンド80が設けられるとともに、他方の身頃(図示例では(a)が後身頃B)の側部に、連結バンド80を挿通させるためのバンド挿通部90が設けられているものである。
連結バンド80の縦方向寸法は、サイドシール12Aと同程度、具体的にはおむつ全長Yの20〜30%程度とするのが好ましい。連結バンド80の横方向長さは外装シート12の幅の20〜50%程度とするのが好ましく、紐状部分84の長さは外装シート12の幅の15〜40%程度とするのが好ましい。さらに、紐状部分84の本数は3〜6本程度が好ましい。
バンド挿通部90の横方向長さは20〜50mm程度とするのが好ましく、バンド挿通部90の紐状部分94の長さは5〜20mm程度とするのが好ましい。さらに、バンド挿通部90の紐状部分94の本数は連結バンド80の紐状部分84の本数より一本以上多くする。
連結バンド80は、止着部83が外面に形成される以外は、第1の形態と同様である。この相違は、後述するように、バンド挿通部90で折り返されて当該連結バンド80を有する身頃の外面に止着されることに起因するものである。一方、バンド挿通部90は、連結バンド80から止着部83や摘み部を省略した構造であり、他方の身頃の側部に固定された基端部91と、この基端部91から延出する延出部92と、この延出部92に設けられた、先端側と基端側とを繋ぐ紐状部分94が縦方向に複数本並設されてなる交差部分95とを有するものである。よって、第1の形態の連結バンド80における本体シート86と同様の構造の本体シート96のみで形成することができる。
そして、図11に示すように、連結バンド80における交差部分85とバンド挿通部90における交差部分95とは、連結バンド80の紐状部分84とバンド挿通部90の紐状部分94とが縦方向に互い違いとなるように交差され、この連結バンド80とバンド挿通部90の交差により前身頃Fと後身頃Bとの連結が構成されており、連結バンド80の止着部83はバンド挿通部90の外側に抜け出た部分に設けられている。換言すれば、連結バンド80における交差部分85の各紐状部分84が、バンド挿通部90における交差部分95の対応する紐状部分94間(スリット98)にそれぞれ通されることにより、連結バンド80における交差部分85とバンド挿通部90における交差部分95とが係合状態で交差しており、連結バンド80の各紐状部分84は、バンド挿通部90の外側に抜け出た部分で一体化され、バンド挿通部90の各紐状部分94は、連結バンド80の外側に抜け出た部分で一体化されている。
このような連結バンド80とバンド挿通部90との交差によりおむつ側部の連結を構成すると、図11のバンドを緩めた状態、及び図12のバンドを締めつけて装着した状態からも判るように、交差位置のスライド移動により、胴周り部分の連続性を維持したまま胴周り寸法を長短変化させることができる点等は、第1の形態と同じであり、基本的に同様の利点を有する。違いは、止着部83を有する連結バンド80は前後いずれか一方のみであること、その一方のみの連結バンド80を引っ張る又は戻すだけで締め付け調整(交差位置をずらすこと)ができ、片手でも操作できること、連結バンド80はバンド挿通部90で折り返され、連結バンド80を有する身頃に止着されること、並びに連結バンド80を前身頃Fに設ければ被装着者が自分で締め付けて装着できることである。
図示形態では、前身頃Fに連結バンド80を設けて非装着者自身で連結バンド80を締め付け可能に構成したが、幼児の場合、勝手に連結バンド80の止着を外されると困る場合もあるため、反対に、後身頃Bに連結バンド80を設け、前身頃Fにバンド挿通部90を設け、連結バンド80を後身頃Bに折り返して、後身頃B外面に止着するように構成することもできる。
その他は、第1の形態と同様である。
<他の形態>
(イ)図13(a)に第1の形態の変形例、図13(b)に第2の実施形態の変形例を示すように、連結バンド80の紐状部分84における、止着部83と同じ側の面に、おむつ外面に止着可能である補助止着部100を設けると、連結部分がズレ難くなり、連結部分の一体性がより一層のものとなる。特に、左右対称構造では連結部分にズレが発生しても左右がバランスするようにずれるため違和感が発生し難いのに対して、上記第1及び第2の実施形態のような非対称構造では、一方側の側部はずれが発生しないように接合されており、他方側の側部のみがずれるため、これが発生した場合には装着バランスが崩れることで著しい違和感がもたらされる。よって、上記補助止着部100は上記第1及び第2の実施形態のような非対象構造の場合に好適である。
補助止着部100は、上述の止着部83と同様に、面ファスナーの雄材等により構成することができ、上述の止着部83と同じ手段を採用する他、上述の止着物83と異なる手段を採用することもできる。また、補助止着部100の代わりにエラストマー樹脂等を設け、紐状部分84における止着部83と同じ側の面の摩擦抵抗を高くすることでずれを防止するなどの手段を採用することもできる。
(ロ)上記例における紐状部分84,94は伸縮性を有しない素材で形成されていても良いが、少なくとも長手方向の伸縮性を有する部材、特に伸縮性不織布で形成されていると、簡素な構造でフィット性がより一層のものとなるため好ましい。
(ハ)上記例は、幅方向一方の側部にのみ本発明の交差連結構造を採用しているが、幅方向両側部に本発明の交差連結構造を採用することもできる。
本発明は、上記例のようなパンツタイプ使い捨ておむつに利用できるものである。
11…不透液性バックシート、12…外装シート、12r…折り返し部分、25…印刷シート、200…内装体、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…側部バリヤーカフス、62…バリヤーシート、80…連結バンド、90…バンド挿通部。

Claims (5)

  1. 股間部で連続する前身頃と後身頃とを有し、これら前身頃と後身頃とが幅方向両側部で連結されることにより、ウエスト開口部及び左右一対の脚開口部が形成された、パンツタイプ使い捨ておむつにおいて、
    少なくとも幅方向一方における前身頃の側部及び後身頃の側部に、対向する身頃の外面に止着される連結バンドがそれぞれ設けられており、
    これら連結バンドは、前記身頃の側部に固定された基端部と、この基端部から延出する延出部と、この延出部に設けられた、前記対向する身頃の外面に止着可能である止着部と、この止着部と前記基端部との間の中間部に設けられた、先端側と基端側とを繋ぐ紐状部分が縦方向に複数本並設されてなる交差部分とを、それぞれ有しており、
    一方の連結バンドにおける交差部分と他方の連結バンドにおける交差部分とは、一方の紐状部分と他方の紐状部分とが縦方向に互い違いとなるように交差され、この連結バンドの交差により前記前身頃と後身頃との連結が構成されており、
    各身頃の連結バンドにおける、対向する身頃の連結バンドの外側に抜け出た部分に前記止着部が設けられている、
    ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。
  2. 股間部で連続する前身頃と後身頃とを有し、これら前身頃と後身頃とが幅方向両側部で連結されることにより、ウエスト開口部及び左右一対の脚開口部が形成された、パンツタイプ使い捨ておむつにおいて、
    少なくとも幅方向一方における前身頃及び後身頃のうち、いずれか一方の身頃の側部に、当該一方の身頃の外面に止着される連結バンドが設けられるとともに、他方の身頃の側部に、バンド挿通部が設けられており、
    前記連結バンドは、前記一方の身頃の側部に固定された基端部と、この基端部から延出する延出部と、この延出部に設けられた、前記一方の身頃の外面に止着可能である止着部と、この止着部と前記基端部との間の中間部に設けられた、先端側と基端側とを繋ぐ紐状部分が縦方向に複数本並設されてなる交差部分とを有しており、
    前記バンド挿通部は、前記他方の身頃の側部に固定された基端部と、この基端部から延出する延出部と、この延出部に設けられた、先端側と基端側とを繋ぐ紐状部分が縦方向に複数本並設されてなる交差部分とを有しており、
    前記連結バンドにおける交差部分と前記バンド挿通部における交差部分とは、連結バンドの紐状部分とバンド挿通部の紐状部分とが縦方向に互い違いとなるように交差され、この連結バンドとバンド挿通部の交差により前記前身頃と後身頃との連結が構成されており、
    前記連結バンドにおけるバンド挿通部の外側に抜け出た部分に前記止着部が設けられている、
    ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。
  3. 前記連結バンドの紐状部分における、前記止着部と同じ側の面に、おむつ外面に止着可能である補助止着部が設けられている、請求項1または2記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
  4. 前記紐状部分が伸縮性不織布で形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
  5. 前記止着部が、面ファスナーの雄材により形成されており、前記おむつの外面における少なくとも前記止着部が止着される部位が前記フック材の係合する不織布で形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
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