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JP5495034B2 - 多層構成のマイクロニードルパッチ - Google Patents

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JP5495034B2 JP2010053712A JP2010053712A JP5495034B2 JP 5495034 B2 JP5495034 B2 JP 5495034B2 JP 2010053712 A JP2010053712 A JP 2010053712A JP 2010053712 A JP2010053712 A JP 2010053712A JP 5495034 B2 JP5495034 B2 JP 5495034B2
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Description

本発明は皮膚表層及び/又は皮膚角質層に修飾効果及び/又は機能効果を与えるためのマイクロニードルパッチに関する。
薬物を人の体内に投与する手法として、注射投与法、経口的投与と経皮的投与がよく用いられている。注射は医師・看護師のような専門家の手を煩わせねばならず、苦痛を伴い、更にエイズやB型肝炎などの感染もあり得る、多くの人にとって歓迎すべからざる手法である。これに対し、最近マイクロニードルアレイを利用した、苦痛を伴わない経皮的投与法が注目されてきた(特許文献1)。
薬物の経皮的投与の際、皮膚角質層は薬物透過のバリアとして働き、単に皮膚表面に薬物を塗布するだけでは透過性は必ずしも十分ではない。これに対し微小な針、すなわちマイクロニードルを用いて角質層を穿孔することにより、塗布法より薬物投与効率を格段に向上させることができる。このマイクロニードルを基板上に多数集積したものがマイクロニードルアレイである。また、マイクロニードルアレイに、マイクロニードルアレイを皮膚に付着させるための粘着テープや使用まで無菌状態を維持するためのカバーシートなど各種テープを付加して使用しやすい製品としたものをマイクロニードルパッチという。
ここにテープとは、フィルムに粘着剤を塗布したものをいう。
マイクロニードルの素材として糖質などの体内で代謝により消失する物質を用いてマイクロニードルを作成すれば、仮にニードルが折れ皮膚内に残存したとしても事故とはならない。そればかりか、糖質中に薬物を含ませておくならば刺入されたマイクロニードルが体内で溶解されることにより、容易に薬物を皮内や皮下に投与することができる(特許文献2)。
特に、ヒアルロン酸やコラーゲンなどの生体溶解性高分子物質からなるマイクロニードルは、皮膚に適用すると皮膚内水分が針部に拡散し、皮膚に差し込まれた針部が膨潤しその後溶解する。針部の溶解によるヒアルロン酸やコラーゲンの皮膚内拡散により抗しわ作用を発現し、あるいは針部に前もって溶解させている薬物や有価物質を皮膚内に放散する(特許文献3、4)。
マイクロニードルアレイを皮膚に長時間安定的に保持するためには、アレイよりも大面積の粘着性保護テープにより裏打ちしその粘着性によってアレイを皮膚へ密着させることが必要である。しかしながらこの粘着性保護テープは針部の溶解性に大きな影響を与える。
マイクロニードルアレイを皮膚に密着保持するため、どのような粘着テープを用いるかは、マイクロニードルパッチ設計上の重要な問題である。
すなわち水蒸気透過性の高い粘着保護テープを用いると、皮膚からの水分蒸散を保護テープが押さえることができず、針部が十分に水分膨潤しない。また、皮膚に面する側の基板側とその反対側の基板との間に膨張性の差を生じ、マイクロニードルアレイが皮膚から反り返るという不都合な現象が起こる。
水蒸気透過性が低い粘着保護テープを用いると皮膚からの水分蒸散をテープが抑え、マイクロニードルアレイの反り返りを防ぎ、しかも針部の膨潤と溶解を促進し、マイクロニードルの効果の発現が早まるとの利点を有する。しかし、皮膚からの水分蒸散を抑えるため皮膚刺激が強くなる欠点を有する。
マイクロニードルアレイの基板にも問題点があった。
マイクロニードルアレイの基板を薄くすると皮膚から吸湿により曲がりやすく、端部のニードルが皮膚から抜けて効果を生じることができなくなる。これを避けるためには基板を厚くして機械的に丈夫にしなければならないが、基板を厚くすると剛直な平板形状とならざるを得ず、皮膚の微妙な曲面にフィットできなくなり、サイズが小さくせざるを得なくなる点である。
マイクロニードルを利用する化粧品は、コスメディ製薬により世界で初めて商業的に製造され、2008年10月より発売された(非特許文献1)。
特表2002−517300号公報 特開2003−238347号公報 特開2009−273872号公報 特開2010−029634号公報
権英淑、神山文男「マイクロニードル製品化への道程」、薬剤学、社団法人日本薬剤学会、平成21年9月、第69巻、第4号、p.272−276
本発明が解決しようとする課題は、従来技術の問題点を解決し、弾力性ある皮膚に広範囲にわたって確実にマイクロニードルアレイを投与できるマイクロニードルパッチを提供することである。
このためにはマイクロニードルアレイからの水分の蒸散を調節し、アレイの反り返りを防ぐと共に薬物の透過を促進し、かつ皮膚刺激を低減するマイクロニードルパッチを開発することが必要である。
上記課題を解決するためになされた本発明に係るマイクロニードルパッチは、生体内溶解物質を素材としたマイクロニードルアレイの背部を水分低透過性の層で覆い、その背面をさらに水分高透過性の粘着保護テープで被覆することを特徴とする。
水分低透過性の層はマイクロニードルの背部と同じ大きさの水分低透過性テープから構成され、水分高透過性テープはマイクロニードルアレイの背部外縁より各方向に3−20mm広がっているよう構成することが好都合である。
しかし、水分低透過性の層はテープではなく、マイクロニードルアレイ背部の被覆膜であっても良い。
水分低透過性のフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の水蒸気透過率が100g/m(24hr/0.1mm)以下であるフィルムが適当である。下記の水分高透過性フィルムであってもその厚さを増大させれば水分低透過性フィルムとしての使用が可能である。水分高透過性フィルムとしては、セロハン、酢酸セルロース、ポリウレタン等の水蒸気透過率が200g/m(24hr/0.1mm)以上のフィルムが適当である。上記の水分低透過性フィルムであってもその厚さを極めて薄くすれば水分高透過性フィルムとしての使用が可能である。これらのフィルムに粘着剤を塗布しテープとした。本発明は、水分低透過性テープと水分高透過性テープの特性を使い分け、重ね合わすことにより大きな効果を得たことが特徴である。
マイクロニードルパッチは、マイクロニードルアレイにまず水分低透過性テープを貼付し、つづいて水分高透過性テープを貼付して、3層に積層するのが製造上好都合である。
粘着剤の水蒸気透過性もフィルム材料と同様に針部溶解性に影響する。アクリル粘着剤は水蒸気透過性はゴム系粘着剤に比べて良好である。また、アクリル粘着剤の中でも親水性アクリル粘着剤はより好ましい。
本発明のマイクロニードルは、ヒアルロン酸やコラーゲンのような生体内溶解物質を素材とし、針部長さは30−1000μmとした。
マイクロニードルアレイの基板の面積は、特に限定する必要はないが、典型的には0.5−200cmとした。また、その厚みは5−3000μmとすることができる。
水分低透過性テープは、基本的にはマイクロニードルと同型同大であるが、若干大きくても良い。厚さは3−500μmとした。
水分高透過性テープは、厚さは5−200μmとし、その面積は皮膚への粘着性を確保し、マイクロニードルアレイを皮膚上に密着保持するためマイクロニードルアレイより大きい。マイクロニードルアレイの外縁から3−20mm程度大きくすることが適当である。粘着剤としては皮膚刺激の小さいアクリル粘着剤が適当である。
従来は、マイクロニードルアレイの背部のテープは1層であった。そのテープを水分低透過性とすると、針の溶解性は良好であるが、皮膚の赤みなどの皮膚刺激が発生しやすい。また水分高透過性とすると、皮膚刺激は少ないが、針部の膨潤と溶解が遅く、効果発現が悪く、アレイの反り返りも起こる。両種のテープを用いて3層構造とすることによりこのような欠点を防止することができる。
この結果マイクロニードルアレイが反ることを防止でき、これらの3層構造はマイクロニードルアレイを大面積とする時極めて優れた効果を発揮する。かつ皮膚刺激を最小限とすることができ、1枚のマイクロニードルパッチの使用で皮膚の広い範囲のしみやしわを改善することができる。
3層構成のマイクロニードルパッチの概略図。
次に、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
本発明のマイクロニードルアレイは、鋳型を用いて製造した。感光性樹脂に光照射するリソグラフィ法により円錐台型のマイクロニードルパターンを形成した後、電鋳加工することにより円錐台型のマイクロニードルパターンを転写した円錐台型のマイクロニードル形成用凹部が形成された鋳型を用いた。
マイクロニードル形成用凹部は根元の直径が0.2mm、先端直径が0.04mm、深さ0.8mの円錐台状であり、0.8mm間隔に格子状に配列されており、1cmあたり144個形成されている。又、マイクロニードル形成用凹部は直径30mmの円形に形成されている。
ヒアルロン酸水溶液層は、重量平均分子量10万の高分子量ヒアルロン酸(紀文フードケミカル社製、商品名「FUH−SU」)、培養由来)13.5重量部と重量平均分子量1万の低分子量ヒアルロン酸(キューピー社製、商品名「ヒアルオリゴ」、培養由来)1.5重量部を水85重量部に溶解して得られたヒアルロン酸水溶液を鋳型上に流延して形成した。
次に、加熱してヒアルロン酸水溶液層の水分を蒸発させた後、鋳型から剥離した。
マイクロニードルアレイの背部に、マイクロニードルアレイと同型同大のポリエチレンテレフタレート(PET)テープを貼付した。さらにその上からマイクロニードルアレイ各周辺より10mm広いポリウレタンテープを貼付した。
このようにして得られたマイクロニードルパッチを図1に示す。但し、図ではニードルの数が多くないが、実際は上記したように1cmあたり144個形成されている。
得られたマイクロニードルパッチを被験者の額に軽く押し当てると、マイクロニードルアレイは皮膚に容易に刺入された。60分間刺入したがその間基板の反り返りは観察されなかった。60分後にマイクロニードルパッチを剥離したが基板の軟化が観察された。基板を顕微鏡で観察したところ、皮膚内刺入部(マイクロニードルアレイ)は皮膚内で溶解して形をとどめなかった。
比較例
マイクロニードルアレイと同型同大のポリエチレンテレフタレート(PET)テープを使用しなかった以外は全く実施例と同様なマイクロニードルパッチを作製し被験者の額に軽く押し当てると、マイクロニードルアレイは皮膚に容易に刺入された。60分間刺入したがその間基板の著しい反り返りが観察された。60分後にマイクロニードルパッチを剥離したが基板はまだ硬かった。基板を顕微鏡で観察したところ、皮膚内刺入部(マイクロニードルアレイ)は皮膚内で先端部が溶解していたが全体的に形をとどめていた。
本発明によるマイクロニードルパッチは、医療や美容の分野において広く利用されるものと期待される。
2……マイクロニードルアレイ
3……水分低透過性テープ
4……水分高透過性テープ

Claims (2)

  1. 生体内溶解物質を素材としたマイクロニードルアレイの背部を水分低透過性の層で覆い、その背面をさらに水分高透過性の粘着保護テープで被覆することを特徴とするマイクロニードルパッチ。
  2. 水分低透過性の層がマイクロニードルの背部と同じ大きさの水分低透過性テープから構成され、水分高透過性テープはマイクロニードルアレイの背部外縁より各方向に3−20mm広がっていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
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