以下、本発明を実施するための形態について述べる。プロジェクタ10は、図1乃至図3に示すように、光源ユニット60と、表示素子51と、光源ユニット60からの光を表示素子51に導光する導光光学系170と、表示素子51から射出された画像をスクリーンに投影する投影側光学系220と、光源ユニット60や表示素子51を制御するプロジェクタ制御手段と、を備えている。
そして、この光源ユニット60は、励起光照射装置70と、回転駆動される蛍光ホイール101を有する蛍光発光装置100と、赤色光源装置120と、青色光源装置300と、光源側光学系140と、を備える。励起光照射装置70は、蛍光ホイール101に青色波長帯域の励起光を照射する励起光源71を備える。蛍光発光装置100の蛍光ホイール101は、円板状の金属基材に緑色蛍光体の層が形成される円環状の蛍光発光領域を有する。そして、この蛍光発光領域には、光を反射する反射面が形成され、この反射面上に励起光を受けて緑色波長帯域の蛍光光を発する緑色蛍光体の層が形成されている。
したがって、励起光照射装置70からの青色波長帯域光が蛍光発光領域に照射されると、青色光を励起光として吸収した緑色蛍光体の層から緑色波長帯域の光が射出される。つまり、蛍光ホイール101は、ホイールモータ110により回転駆動される金属基材から成り、基材に形成される円環状の蛍光発光領域に励起光を受けることで緑色波長帯域の蛍光光を発する蛍光板として機能する。
赤色光源装置120は、赤色の波長帯域光を発する半導体発光素子である赤色光源121を有する。青色光源装置300は、青色の波長帯域光を発する半導体発光素子である青色光源301を有する。光源側光学系140は、蛍光ホイール101及び赤色光源装置120、青色光源装置300から発せられる各色光の光軸を変換して、各色の光線束を所定の一面であるライトトンネル175の入射口に集光する構成とされ、ダイクロイックミラーや集光レンズ等を有する。
これにより、光源ユニット60は、プロジェクタ制御手段における光源制御手段が、励起光照射装置70、赤色光源装置120及び青色光源装置300の発光を個別に制御することで、当該光源ユニット60から順次赤色、緑色、青色の波長帯域光を射出させることができる。そして、プロジェクタ10の表示素子51であるDMDがデータに応じて各色の光を時分割表示することにより、スクリーンにカラー画像を生成することができる。
半導体光源装置である赤色光源装置120は、図6に示すように、熱拡散板122と、該熱拡散板122の一方面に配置される半導体発光素子である赤色光源121と、熱拡散板122の他方面に配置される熱電素子としてのペルチェ素子123と、ヒートシンク130と、冷却風を送風する冷却ファン261と、を備える。
ペルチェ素子123は、表面に絶縁層を有し、この絶縁層を介してヒートシンク130及び熱拡散板122と熱接続されている。そして、ヒートシンク130は、ペルチェ素子123に接触する基部131から複数枚の薄肉金属板が上下方向に並設されて成り、複数枚の金属板が夫々放熱フィン132として機能する。そして、冷却ファン261は、このヒートシンク130の側方に配置されて、冷却風をヒートシンク130に送風する。
また、この赤色光源装置120は、ペルチェ素子123、熱拡散板122及び赤色光源121をヒートシンク130の基部131に固定する保持部材136と、該保持部材136とヒートシンク130とを接続させる接続部材としてのばね付ネジ129と、を備える。また、この保持部材136は、赤色光源121側に形成される位置決め部としての複数本の位置決めピン138を有し、赤色光源121の発光光を集光するレンズを保持するものである。
そして、保持部材136がばね付ネジ129によりヒートシンク130に固定されることで、赤色光源121、熱拡散板122及びペルチェ素子123は、ヒートシンク130に熱接続された状態で固定される。また、赤色光源121の発光部121aが所定位置に配置されるように、当該赤色光源121が固定される。具体的には、ばね付ネジ129により保持部材136をヒートシンク130に固定するとともに、複数本の位置決めピン138を赤色光源121の発光部121aを保持する本体部121cの周囲に配置させ、位置決めピン138の端部により赤色光源121の基板部121bを押圧して、赤色光源121の基板部121bが熱拡散板122に当接するように固定され、更に、該熱拡散板122がペルチェ素子123に当接するように固定され、且つ、該ペルチェ素子123がヒートシンク130の基部131に当接するように固定されている。
ここで、ばね付ネジ129は、弾性部材としてのコイルばねにネジが貫装されたものであり、ばね付ネジ129は、保持部材136の接続部における貫通孔を貫通して、ヒートシンク130の接続部におけるねじ穴に螺着される。これにより、ばね付ネジ129は、保持部材136をヒートシンク130に固定し且つコイルばねによって保持部材136をヒートシンク130方向に付勢し、保持部材136の位置決めピン138が赤色光源121を所定の位置に固定しつつ熱拡散板122に押圧するため、赤色光源121、熱拡散板122及びペルチェ素子123に対して、均一に圧力をかけて固定することができる。
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。図1は、プロジェクタ10の外観斜視図である。なお、本実施例において、プロジェクタ10における左右とは投影方向に対しての左右方向を示し、前後とはプロジェクタ10のスクリーン側方向及び光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。また、光源ユニットの赤色光源装置における前後とは、赤色光源装置から射出される光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。
そして、プロジェクタ10は、図1に示すように、略直方体形状であって、プロジェクタ筐体の前方の側板とされる正面パネル12の側方に投影口を覆うレンズカバー19を有するとともに、この正面パネル12には複数の吸気孔18を設けている。さらに、図示しないがリモートコントローラからの制御信号を受信するIr受信部を備えている。
また、筐体の上面パネル11にはキー/インジケータ部37が設けられ、このキー/インジケータ部37には、電源スイッチキーや電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、投影のオン、オフを切りかえる投影スイッチキー、光源ユニットや表示素子又は制御回路等が過熱したときに報知をする過熱インジケータ等のキーやインジケータが配置されている。
さらに、筐体の背面には、背面パネルにUSB端子や画像信号入力用のD−SUB端子、S端子、RCA端子等を設ける入出力コネクタ部及び電源アダプタプラグ等の各種端子20が設けられている。また、背面パネルには、複数の吸気孔が形成されている。なお、図示しない筐体の側板である右側パネル、及び、図1に示した側板である左側パネル15には、各々複数の排気孔17が形成されている。また、左側パネル15の背面パネル近傍の隅部には、吸気孔18も形成されている。さらに、図示しない下面パネルにおける正面、背面、左側及び右側パネルの近傍にも、吸気孔あるいは排気孔が複数形成されている。
次に、プロジェクタ10のプロジェクタ制御手段について図2のブロック図を用いて述べる。プロジェクタ制御手段は、制御部38、入出力インターフェース22、画像変換部23、表示エンコーダ24、表示駆動部26等から構成され、入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバス(SB)を介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に出力される。
また、表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶させた上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
表示駆動部26は、表示素子制御手段として機能するものであり、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜フレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動するものであり、光源ユニット60から射出された光線束を導光光学系を介して表示素子51に照射することにより、表示素子51の反射光で光像を形成し、後述する投影側光学系を介して図示しないスクリーンに画像を投影表示する。なお、この投影側光学系の可動レンズ群235は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動が行われる。
また、画像圧縮伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADCT及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体とされるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行う。さらに、画像圧縮伸長部31は、再生モード時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、この画像データを画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力し、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の表示を可能とする処理を行なう。
制御部38は、プロジェクタ10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。
筐体の上面パネル11に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成されるキー/インジケータ部37の操作信号は、直接に制御部38に送出され、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36で復調されたコード信号が制御部38に出力される。
なお、制御部38にはシステムバス(SB)を介して音声処理部47が接続されている。この音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
また、制御部38は、光源制御手段としての光源制御回路41を制御しており、この光源制御回路41は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光が光源ユニット60から射出されるように、光源ユニット60の励起光照射装置、赤色光源装置及び青色光源装置の発光を個別に制御する。
さらに、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源ユニット60等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファンの回転速度を制御させている。また、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等によりプロジェクタ本体の電源OFF後も冷却ファンの回転を持続させる、あるいは、温度センサによる温度検出の結果によってはプロジェクタ本体の電源をOFFにする等の制御も行う。
次に、このプロジェクタ10の内部構造について述べる。図3は、プロジェクタ10の内部構造を示す平面模式図である。プロジェクタ10は、図3に示すように、右側パネル14の近傍に制御回路基板241を備えている。この制御回路基板241は、電源回路ブロックや光源制御ブロック等を備えてなる。また、プロジェクタ10は、制御回路基板241の側方、つまり、プロジェクタ筐体の略中央部分に光源ユニット60を備えている。さらに、プロジェクタ10は、光源ユニット60と左側パネル15との間に光学系ユニット160を備えている。
光源ユニット60は、プロジェクタ筐体の左右方向における略中央部分であって背面パネル13近傍に配置される励起光照射装置70と、この励起光照射装置70から射出される光線束の光軸上であって正面パネル12の近傍に配置される蛍光発光装置100と、この蛍光発光装置100から射出される光線束と平行となるように正面パネル12の近傍に配置される青色光源装置300と、励起光照射装置70と蛍光発光装置100との間に配置される赤色光源装置120と、蛍光発光装置100からの射出光や赤色光源装置120からの射出光、青色光源装置300からの射出光の光軸が夫々同一の光軸となるように変換して各色光を所定の一面であるライトトンネル175の入射口に集光する光源側光学系140と、を備える。
励起光照射装置70は、背面パネル13と光軸が平行になるよう配置された励起光源71と、励起光源71からの射出光の光軸を正面パネル12方向に90度変換する反射ミラー群75と、反射ミラー群75で反射した励起光源71からの射出光を集光する集光レンズ78と、励起光源71と右側パネル14との間に配置されたヒートシンク81と、を備える。
励起光源71は、複数の青色レーザーダイオードがマトリクス状に配列されてなり、各青色レーザーダイオードの光軸上には、各青色レーザーダイオードからの射出光を平行光に変換するコリメータレンズ73が夫々配置されている。また、反射ミラー群75は、複数の反射ミラーが階段状に配列されてなり、励起光源71から射出される光線束の断面積を一方向に縮小して集光レンズ78に射出する。
ヒートシンク81と背面パネル13との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261とヒートシンク81とによって励起光源71が冷却される。さらに、反射ミラー群75と背面パネル13との間にも冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって反射ミラー群75や集光レンズ78が冷却される。
蛍光発光装置100は、正面パネル12と平行となるように、つまり、励起光照射装置70からの射出光の光軸と直交するように配置された蛍光ホイール101と、この蛍光ホイール101を回転駆動するホイールモータ110と、蛍光ホイール101から背面パネル13方向に射出される光線束を集光する集光レンズ群111と、を備える。
蛍光ホイール101は、円板状の金属基材であって、励起光源71からの射出光を励起光として緑色波長帯域の蛍光発光光を射出する環状の蛍光発光領域が凹部として形成され、励起光を受けて蛍光発光する蛍光板として機能する。また、蛍光発光領域を含む蛍光ホイール101の励起光源71側の表面は、銀蒸着等によってミラー加工されることで光を反射する反射面が形成され、この反射面上に緑色蛍光体の層が敷設されている。
そして、蛍光ホイール101の緑色蛍光体層に照射された励起光照射装置70からの射出光は、緑色蛍光体層における緑色蛍光体を励起し、緑色蛍光体から全方位に蛍光発光された光線束は、直接励起光源71側へ、あるいは、蛍光ホイール101の反射面で反射した後に励起光源71側へ射出される。また、蛍光体層の蛍光体に吸収されることなく、金属基材に照射された励起光は、反射面により反射されて再び蛍光体層に入射し、蛍光体を励起することとなる。よって、蛍光ホイール101の凹部の表面を反射面とすることにより、励起光源71から射出される励起光の利用効率を上げることができ、より明るく発光させることができる。
なお、蛍光ホイール101の反射面で蛍光体層側に反射された励起光において蛍光体に吸収されることなく励起光源71側に射出された励起光は、後述する第一ダイクロイックミラー141を透過し、蛍光光は第一ダイクロイックミラー141により反射されるため、励起光が外部に射出されることはない。そして、ホイールモータ110と正面パネル12との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって蛍光ホイール101が冷却される。
赤色光源装置120は、励起光源71と光軸が平行となるように配置された赤色光源121と、赤色光源121からの射出光を集光する集光レンズ群125と、を備える。そして、この赤色光源装置120は、励起光照射装置70からの射出光及び蛍光ホイール101から射出される緑色波長帯域光と光軸が交差するように配置されている。また、赤色光源121は、赤色の波長帯域光を発する半導体発光素子としての赤色の発光ダイオードである。さらに、赤色光源装置120は、赤色光源121の右側パネル14側に配置されるヒートシンク130を備える。そして、ヒートシンク130と正面パネル12との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって赤色光源121が冷却される。赤色光源装置120の詳細については後述する。
青色光源装置300は、蛍光発光装置100からの射出光の光軸と平行となるように配置された青色光源301と、青色光源301からの射出光を集光する集光レンズ群305と、を備える。そして、この青色光源装置300は、赤色光源装置120からの射出光と光軸が交差するように配置されている。また、青色光源301は、青色の波長帯域光を発する半導体発光素子としての青色の発光ダイオードである。さらに、青色光源装置300は、青色光源301の正面パネル12側に配置されるヒートシンク310を備える。そして、ヒートシンク310と正面パネル12との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって青色光源301が冷却される。
そして、光源側光学系140は、赤色、緑色、青色波長帯域の光線束を集光させる集光レンズや、各色波長帯域の光線束の光軸を変換して同一の光軸とさせるダイクロイックミラー等からなる。具体的には、励起光照射装置70から射出される青色波長帯域光及び蛍光ホイール101から射出される緑色波長帯域光の光軸と、赤色光源装置120から射出される赤色波長帯域光の光軸と、が交差する位置に、青色及び赤色波長帯域光を透過し、緑色波長帯域光を反射してこの緑色光の光軸を左側パネル15方向に90度変換する第一ダイクロイックミラー141が配置されている。
また、青色光源装置300から射出される青色波長帯域光の光軸と、赤色光源装置120から射出される赤色波長帯域光の光軸と、が交差する位置に、青色波長帯域光を透過し、緑色及び赤色波長帯域光を反射してこの緑色及び赤色光の光軸を背面パネル13方向に90度変換する第二ダイクロイックミラー148が配置されている。そして、第一ダイクロイックミラー141と第二ダイクロイックミラー148との間には、集光レンズが配置されている。また、ライトトンネル175の近傍には、このライトトンネル175の入射口に光源光を集光する集光レンズ173が配置されている。
光学系ユニット160は、励起光照射装置70の左側方に位置する照明側ブロック161と、背面パネル13と左側パネル15とが交差する位置の近傍に位置する画像生成ブロック165と、光源側光学系140と左側パネル15との間に位置する投影側ブロック168と、の3つのブロックによって略コの字状に構成されている。
この照明側ブロック161は、光源ユニット60から射出された光源光を画像生成ブロック165が備える表示素子51に導光する導光光学系170の一部を備えている。この照明側ブロック161が有する導光光学系170としては、光源ユニット60から射出された光線束を均一な強度分布の光束とするライトトンネル175や、ライトトンネル175から射出された光を集光する集光レンズ178、ライトトンネル175から射出された光線束の光軸を画像生成ブロック165方向に変換する光軸変換ミラー181等がある。
画像生成ブロック165は、導光光学系170として、光軸変換ミラー181で反射した光源光を表示素子51に集光させる集光レンズ183と、この集光レンズ183を透過した光線束を表示素子51に所定の角度で照射する照射ミラー185と、を有している。さらに、画像生成ブロック165は、表示素子51とするDMDを備え、この表示素子51と背面パネル13との間には表示素子51を冷却するためのヒートシンク190が配置されて、このヒートシンク190によって表示素子51が冷却される。また、表示素子51の正面近傍には、投影側光学系220としての集光レンズ195が配置されている。
投影側ブロック168は、表示素子51で反射されたオン光をスクリーンに放出する投影側光学系220のレンズ群を有している。この投影側光学系220としては、固定鏡筒に内蔵する固定レンズ群225と可動鏡筒に内蔵する可動レンズ群235とを備えてズーム機能を備えた可変焦点型レンズとされ、レンズモータにより可動レンズ群235を移動させることによりズーム調整やフォーカス調整を可能としている。
次に、半導体発光素子の冷却構造について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、本実施例に係る半導体光源装置である赤色光源装置120の簡略斜視図である。図5は、本実施例に係る半導体光源装置である赤色光源装置120の一部断面を示す平面模式図である。図示するように、赤色光源装置120は、半導体発光素子である赤色光源121と、熱拡散板122と、熱電素子としてのペルチェ素子123と、ヒートシンク130と、冷却ファン261と、保持部材136と、該保持部材136とヒートシンク130とを接続させる接続部材としてのばね付ネジ129と、を備える。
発熱源である赤色光源121としての半導体発光素子は、絶縁シートや絶縁グリス等の絶縁部材を介することなく熱拡散板122の一方面に配置される。また、この赤色光源121は、発光部121aと、該発光部121aを保持する本体部121cと、該本体部121cが配設される板状の基板部121bと、から構成されるものである。熱拡散板122は、赤色光源121としての半導体発光素子に対して広い面積を有する薄肉の金属板であり、熱伝導率の高い銅や、アルミニウム等から成る。
ペルチェ素子123は、熱拡散板122の他方面(半導体発光素子が配置される面と反対側の面)に配置される。さらに、このペルチェ素子123は、ヒートシンク130と接するように配置される、つまり、ペルチェ素子123は、ヒートシンク130と熱拡散板122との間に配置される。
このペルチェ素子123は、二種類の金属の接合部に電流を流すと、一方の金属から他方の金属へ熱が移動するというペルチェ効果を利用した板状の熱電素子である。したがって、ペルチェ素子123の吸熱面側に熱拡散板122を配置し、放熱面側にヒートシンク130の基部131を配置させることで、半導体発光素子である赤色光源121からの熱は、熱拡散板122に拡散され、その後、ペルチェ素子123を介してヒートシンク130に移送される。ヒートシンク130に移送された熱は、ヒートシンク130に送風される冷却風により複数枚の放熱フィン132から効率よく放熱される。
ここで、ペルチェ素子123は、表面(放熱面と吸熱面)に絶縁層を有している。したがって、ペルチェ素子123は、この絶縁層を介してヒートシンク130及び熱拡散板122と熱接続されている。なお、この絶縁層は、例えば、エポキシ樹脂やシリコン樹脂に熱伝導性の良好なボロンナイトライド、窒化アルミニウムなどの微粒子を混合した接着剤などにより形成することができる。
そして、この赤色光源121としての半導体発光素子、熱拡散板122及びペルチェ素子123は、ヒートシンク130の基部131と保持部材136とにより挟み込まれるように保持されて所定位置に固定される。この保持部材136は、樹脂等により形成されるものであって、赤色光源121の発光光を集光する集光レンズ群125を保持するレンズ保持部137を有し、このレンズ保持部137から赤色光源121側に突出するように形成される位置決め部としての複数本の位置決めピン138を有している。
そして、赤色光源121である半導体発光素子は、発光部121aを保持する本体部121cの周囲における基板部121bに当接される位置決めピン138により、所定位置に固定される。具体的には、複数本の位置決めピン138が、本体部121cの周囲を囲むようにして配置されて、本体部121cが位置ズレしないように規制する。これにより、発光部121aが所定の位置に配置されるように基板部121bを固定することができる。
また、保持部材136は、レンズ保持部137のヒートシンク130側にプロジェクタ10における前後及び上下方向に延在する覆い部134が形成され、この覆い部134のプロジェクタ10内の上下及び前後方向の外縁に側板139が垂設されている。そして、プロジェクタ10内の上下方向に設けられる側板139は、ヒートシンク130の基部131まで延在し、端部が基部131に近接している。また、この覆い部134は、赤色光源121、熱拡散板122及びペルチェ素子123を赤色光源装置120における前方側から覆う部材であり、上下の側板139の全体やプロジェクタ10の前後方向における側板139の一部などの複数箇所で赤色光源121、熱拡散板122及びペルチェ素子123の周囲を囲っている。
そして、側板139に設けられた接続部とヒートシンク130の基部131に設けられた接続部とがばね付ネジ129により接続されることで、赤色光源121、熱拡散板122及びペルチェ素子123は、ヒートシンク130に熱接続された状態で固定される。具体的には、保持部材136がばね付ネジ129によりヒートシンク130に固定されるとともに、位置決めピン138により赤色光源121を所定の位置に固定するように押圧し、赤色光源121が熱拡散板122に当接するように固定され、更に、該熱拡散板122がペルチェ素子123に当接するように固定され、且つ、該ペルチェ素子123がヒートシンク130の基部131に当接するように固定されている。
ここで、ばね付ネジ129は、弾性部材としてのコイルばねにネジが貫装されたものであり、ばね付ネジ129は、保持部材136の接続部における貫通孔を貫通して、ヒートシンク130の接続部におけるねじ穴に螺着される。これにより、ばね付ネジ129は、保持部材136をヒートシンク130に固定し且つコイルばねによって保持部材136をヒートシンク130方向に付勢し、保持部材136の位置決めピン138が赤色光源121を所定の位置に固定しつつ熱拡散板122に押圧するため、赤色光源121、熱拡散板122及びペルチェ素子123に対して、均一に圧力をかけて固定することができる。
したがって、本発明によれば、保持部材136をばね付ネジ129によりヒートシンク130の基部131に取付けることで、赤色光源121である半導体発光素子の発光部121aの光軸と集光レンズ群125の光軸とを同軸上に位置させるとともに、赤色光源121である半導体発光素子、熱拡散板122及びペルチェ素子123を順に熱接続した状態でヒートシンク130に固定することのできるシンプルな構成の半導体光源装置である赤色光源装置120を提供することができる。
また、熱拡散板122とヒートシンク130との間に絶縁層を有するペルチェ素子123を配設することで赤色光源121とした半導体発光素子がショートして機能しなくなることを防止するとともに、効率よく赤色光源121を冷却して明るく発光させることのできる半導体光源装置である赤色光源装置120と、この赤色光源装置120を備えたプロジェクタ10と、を提供することができる。
さらに、複数本の位置決めピン138が、本体部121cの周囲を囲むようにして配置されるため、本体部121cの位置ズレを防止するとともに、容易に発光部121aの位置決めをすることのできる組立性に優れた赤色光源装置120を提供することができる。
そして、この赤色光源装置120における保持部材136は、赤色光源121としての半導体発光素子、熱拡散板122及びペルチェ素子123のみならず、集光レンズ群125も保持する機能を有しているため、この赤色光源装置120を取付けるプロジェクタ10を部品点数の削減されたシンプルな構成とすることができる。
さらに、本実施例における赤色光源装置120は、プロジェクタ10における前後方向の側板139(冷却ファン261側の側板139及び冷却ファン261と反対側の側板139)に、夫々開口139aが形成されており、冷却ファン261側の一方からの冷却風を流入させて、他方へ排出することができるようになっている。
ヒートシンク130は、ペルチェ素子123に接触する基部131から複数枚の薄肉金属板が赤色光源装置120の後方に突出するように上下方向に並設されて成り、複数枚の金属板が夫々放熱フィン132として機能する。そして、冷却風をヒートシンク130に送風する冷却ファン261は、このヒートシンク130の側方であるプロジェクタ10内の前方に配置される。また、このヒートシンク130は、冷却ファン261と反対側の端部に側壁133を有しており、ヒートシンク130に送風される冷却風を90度方向を変えて排気する。したがって、プロジェクタ10の正面パネル12の吸気孔18から冷却ファン261によりヒートシンク130へ流入した外気は冷却風とされてヒートシンク130を通過し、複数枚の放熱フィン132から熱を奪ってプロジェクタ10における右方(赤色光源装置120における後方)へ放出され、制御回路基板241等を冷却した後、右側パネル14の排気孔17から排出される(図3参照)。
そして、図4及び図5に示したように、冷却ファン261の送風口端部と保持部材136との間には仕切板135が配設される。このように仕切板135を設けることで、冷却ファン261からの冷却風は、ヒートシンク130のみならず、赤色光源121の発光光の出射面側にも分岐して流れることになる。これにより、赤色光源121の発光光の出射面側であって、保持部材136の覆い部134とヒートシンク130との間隙に冷却風が送風され、プロジェクタ10において赤色光源装置120の周辺に配置される赤色光源121以外の発熱源からの熱を遮断することができる。つまり、保持部材136とヒートシンク130の基部131との間隙に断熱用空気流路が形成されて、赤色光源121以外の発熱源からの熱をペルチェ素子123に吸熱させることなく、効率よく赤色光源121のみを冷却することができる。また、ペルチェ素子123の放熱面側からの熱の回り込みも防止することができる。
したがって、本実施例によれば、対象発熱源以外からの熱を空気により遮断して、効率よく半導体発光素子としての赤色光源121を冷却して明るく発光させることのできる半導体光源装置である赤色光源装置120と、この赤色光源装置120を備えたプロジェクタ10を提供することができる。また、冷却ファン261からの送風により断熱ができるため、別途断熱材などの別部材を追設することなくシンプルな構成として、コストの低減及び小型化を図ることができる。
次に、本実施例に係る半導体光源装置である赤色光源装置120の別の形態について図6を参照して説明する。図6は、本実施例に係る別の形態の赤色光源装置120の平面模式図である。この赤色光源装置120は、仕切板135が冷却ファン261側から、保持部材136の前面側(即ち、赤色光源121の発光光の出射面側)に延在するように配設される。つまり、仕切板135と保持部材136との間隙が断熱用空気流路として形成されており、冷却ファン261からの冷却風はこの間隙を通って排気される。なお、集光レンズ群125から射出される光が仕切板135を透過するように、仕切板135の集光レンズ群125に対向する部位が透明のガラス又は樹脂材料で構成された透過窓135aとされている。
また、赤色光源121とした半導体発光素子、熱拡散板122及びペルチェ素子123は、保持部材136の覆い部134及び側板139に覆われるようにして、保持部材136及びヒートシンク130の基部131に挟み込まれている。つまり、この赤色光源装置120における保持部材136の覆い部134の外縁に垂設される全ての側板139は、ヒートシンク130の基部131の方向へ延在されて、側板139の端部が基部131に当接され、赤色光源121やペルチェ素子123などを閉じた空間に収容している。これにより、保持部材136とヒートシンク130との間隙に冷却ファン261からの冷却風が直接に流入することがなく、また、プロジェクタ10の前方から吸入された低温の外気の一部が赤色光源121の周囲を囲むように保持部材136の外面に沿って流れるとともに、吸入された低温の外気の多くが、ヒートシンク130の放熱部分である放熱フィン132同士の間隙を通過する。
したがって、冷却風としての外気を、赤色光源121に直接当てることなく、プロジェクタ10内の他の発熱源からの熱を遮断することができるため、赤色光源121をペルチェ効果により外気温以下の温度まで下げようとするように効率よく冷却することができる。
また、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。例えば、青色光源装置300に上記した冷却構造を採用してもよい。また、発光ダイオードのみならず、レーザーダイオードの冷却構造として上記構成を採用することもできる。
さらに、各光学部品のレイアウトも、上記した構成(図3参照)に限ることなく様々なレイアウトを採用することができる。そして、上記した冷却構造を有する半導体光源装置は、プロジェクタ10に搭載する場合に限定されることなく、露光装置や多数の半導体光源装置から構成されるイルミネーション照明装置、単色のスポットライトを照射可能な照明装置等種々の照明装置や表示装置に実装して用いることもできる。