JP5489561B2 - 発泡電線及びこれを有する伝送ケーブル - Google Patents
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Description
はじめに内部導体1を準備する。内部導体1としては、例えば銅線、銅合金線、アルミニウム線等の金属線が挙げられる。また、上記金属線の表面にスズや銀等のめっきを施したものを内部導体1として用いることもできる。また内部導体1としては、単線または撚線を用いることができる。
次に、内部導体1上に発泡絶縁層2を形成する。
次に上記のようにして得られた発泡電線5を包囲するように外部導体3を形成する。外部導体3としては、従来より使用されている公知のものを使用することができる。例えば外部導体3は、導線や、導電シートを樹脂シートの間に挟んで構成したテープなどを絶縁層2の外周に沿って巻くことなどによって形成することができる。また、外部導体3は、コルゲート加工、即ち波形成形した金属管で構成することもできる。この場合には、発泡電線5の屈曲性を向上させることができる。
最後にシース4を形成する。シース4は、外部導体3を物理的又は化学的な損傷から保護するものであり、シース4を構成する材料としては、例えばフッ素樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂が挙げられるが、環境性等の観点からポリエチレン樹脂等のハロゲンフリー材料が好ましく用いられる。
まずベース樹脂として、エチレン−プロピレン共重合体(商品名:FB5100、融点(以下、「mp」と略称する):165℃、MFR:1g/10min、日本ポリプロ株式会社製。以下、「EP共重合体」と呼ぶ)を用意した。
混練温度:140℃
スクリュー速度:20rpm
ベース樹脂とMB樹脂との配合比率を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡電線を作製した。
ベース樹脂とMB樹脂との配合比率を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡電線を作製した。
ベース樹脂を、FB5100から、EPブロック共重合体であるFB3312(商品名、mp:165℃、MFR:2g/10min、日本ポリプロ株式会社製)に変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡電線を作製した。
ベース樹脂を、FB5100から、FB5100とEPブロック共重合体であるJ704UG(商品名、mp:165℃、MFR:4g/10min、プライムポリプロ株式会社製)との混合物に変更し、FB5100とJ704UGとMB樹脂との配合比率を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡電線を作製した。
ベース樹脂を、FB5100から、FB5100とF227D(商品名、mp:150℃、MFR:6g/10min、プライムポリプロ株式会社製)との混合物に変更し、FB5100とF227DとMB樹脂との配合比率を表1に示す通りとし、ベース樹脂とマスターバッチとを以下のようにして混練したこと以外は実施例1と同様にして発泡電線を作製した。即ちベース樹脂とマスターバッチとの混練は、押出機の第1部分を145℃に設定し、そのさらに下流側の第2部分を180℃に設定することにより、第1部分でマスターバッチ中のMB樹脂を溶融させた後、第2部分でADCAを熱分解させるようにして行った。
ベース樹脂を、FB5100から、FB5100とホモポリプロピレンであるF113G(商品名、mp:165℃、MFR:2g/10min、プライムポリプロ株式会社製)との混合物に変更し、FB5100とF113GとMB樹脂との配合比率を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡電線を作製した。
MB樹脂を、タフマーXM−5100からタフマーXM−5070(商品名、mp:75℃、MFR:5g/10min、三井化学株式会社製)に変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡電線を作製した。
ベース樹脂を、FB5100から、FB5100とEPブロック共重合体であるJ704UGとの混合物に変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡電線を作製した。
ベース樹脂とMB樹脂との配合比率を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡電線を作製した。
MB樹脂を、タフマーXM−5100から、低密度ポリエチレン(LDPE)であるF522N(商品名、mp:110℃、宇部興産株式会社製)に変更し、ベース樹脂とMB樹脂との配合比率を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡電線を作製した。
ベース樹脂を、FB5100から、FB5100とJ704UGとの混合物(配合比率は表1を参照)に変更し、MB樹脂を、実施例1のベース樹脂として用いたFB5100に変更し、MB樹脂とADCAとの混練温度を180℃に変更したこと以外は実施例1と同様にしてマスターバッチの作製を試みた。しかし、マスターバッチを作製する過程でマスターバッチ中のADCAが熱分解して発泡し、マスターバッチを作製することができず、その結果、発泡電線を作製することもできなかった。
実施例1〜10及び比較例1で得られた発泡電線について、以下の特性を評価した。
実施例1〜10及び比較例1で得られた発泡電線について以下のようにして破断時における溶融張力を測定した。
実施例1〜10及び比較例1で得られた発泡電線から発泡絶縁層の一部を切り取り、その発泡絶縁層の断面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察し、無作為に選択した100個の発泡セルのそれぞれについてセル径を下記式:
セル径=(最長セル径+最短セル径)/2
に基づいて測定した。そして、100個の発泡セルのセル径の平均値を「平均発泡セル径」として算出した。結果を表1に示す。なお、表1において、平均発泡セル径が40μm以下である発泡絶縁層を有する発泡電線を合格とし、平均発泡セル径が40μmを超える発泡絶縁層を有する発泡電線を不合格とした。
実施例1〜10及び比較例1で得られた発泡電線について以下のようにして柔軟性を評価した。
即ち実施例1の発泡電線の柔軟性は、実施例1のMB樹脂と実施例1のベース樹脂との混合樹脂をシート化し、この樹脂シートの柔軟性を評価することによって行った。このとき、上記混合樹脂には発泡剤を含めなかった。また樹脂シートの柔軟性の評価は、指標として硬度(ショアD)を用いて行った。硬度は、ASTMD2240規格によって作製した樹脂シートに対して、JIS規格K7215に準じて測定した。そして、樹脂シートの硬度については、硬度の合格基準との関係を容易とするため、下記式:
硬度の合格基準達成率(%)=100×[硬度の合格基準/硬度]
により硬度の合格基準達成率に換算した。実施例2〜10及び比較例1についても上記と同様にして樹脂シートを作成し、硬度の合格基準達成率を算出した。結果を表1に示す。なお、硬度の合格基準は68とし、硬度が68以下である樹脂シートについては硬度の合格基準達成率が100%以上となり、柔軟性が高いことになるので合格とした。また硬度が68を超える樹脂シートについては、硬度の合格基準達成率が100%未満となり、柔軟性が低いことになるため、不合格とした。
実施例1〜10及び比較例1で得られた長さ2000mの発泡電線について、外径の最大値及び最小値を、外径測定器(キーエンス社製高速高精度デジタル測定器LS−7000シリーズ)を用いて測定し、下記式:
外径変動幅=最大値−最小値
により外径変動幅を算出した。結果を表1に示す。
耐熱性は、実施例1〜10及び比較例1の発泡電線について加熱変形試験を行うことによって評価した。加熱変形試験は、東洋精機製作所株式会社製の「三個掛加熱変形試験機型番W−3」の加熱変形試験機を用いることによって行った。具体的には、直径9mm、長さ5.0mmの円柱ジグの上に、長さ5cmに切断した発泡電線を載せて1時間予熱した後、この発泡電線を円柱ジグに押し付けるように121℃に加熱しながら250gの荷重を1時間にわたってかけることにより行った。そして、加熱変形率は、下記式:
に従って算出した。結果を表1に示す。
実施例1〜10及び比較例1で得られた発泡電線を、スズめっきされた編組からなる外部導体で被覆した後、外部導体を、オレフィン系ノンハロ材ANA9897N(商品名、リケンテクノス社製)からなるシースで押出被覆して同軸ケーブルを作製した。こうして得られた同軸ケーブルを切断し、2mの同軸ケーブルを10本用意した。そして、これら10本の同軸ケーブルについて、ネットワークアナライザ8722ES(商品名、アジレントテクノロジー株式会社製)を用いてVSWRを測定し、その測定値の平均値を算出した。このとき、周波数範囲は100MHz〜5GHzとした。結果を表1に示す。
実施例1〜10及び比較例1で得られた発泡電線を2本平行に配列させ、これらをドレインワイヤとともに、アルミニウム層とポリエチレンテレフタレート層との積体からなる厚さ22μmのラミネートテープで巻回した。次に、これを、外径0.8mmの2本の電力線とともに、厚さ25μmのアルミニウムテープ層で巻回した後、編組層で覆い、さらにオレフィン系ノンハロ材ANA9897N(商品名、リケンテクノス社製)からなるシースで被覆した。こうしてTwinaxタイプの伝送ケーブルを作製した。こうして得られた伝送ケーブルを切断し、2mの伝送ケーブルを10本用意した。そして、これら10本の伝送ケーブルについて、TDR TDS8000(商品名、日本テクトロニクス株式会社製)を用いてスキューを測定し、その平均値を算出した。結果を表1に示す。
発泡度は下記式:
発泡度(%)=[1−(発泡後の発泡絶縁層の比重/発泡前の樹脂の比重)]×100
に基づいて算出した。その結果、実施例1〜10及び比較例1で得られた発泡電線の発泡絶縁層における発泡度はすべて40%であった。ここで、「発泡前の樹脂」とは、押出機に投入する前のベース樹脂及びMB樹脂の混合樹脂、又はベース樹脂のことを言う。
Claims (3)
- 導体と、前記導体を被覆する発泡絶縁層とを備える発泡電線であって、前記発泡絶縁層が、150℃以上の融点を有する高融点プロピレン系樹脂からなるベース樹脂と、熱分解型化学発泡剤及び、80℃以下の融点を有し、ベースモノマーであるα−オレフィンとコモノマーであるα−オレフィンとを共重合させたα−オレフィンコポリマーを含むマスターバッチとを混練し、前記α−オレフィンコポリマーを溶融させた後、前記熱分解型化学発泡剤を熱分解させて発泡させることにより得られるものであり、前記α−オレフィンコポリマーは前記ベースモノマーと前記コモノマーとが互いに異なる炭素原子数を有するα−オレフィンで構成されるとともに、メタロセン触媒を用いて共重合されたものであって、前記高融点プロピレン系樹脂及び前記α−オレフィンコポリマーからなる樹脂全体における前記α−オレフィンコポリマーの配合比率が5〜15質量%であること、を特徴とする発泡電線。
- 前記ベース樹脂を構成する前記高融点プロピレン系樹脂がプロピレンとα−オレフィンとのブロック共重合体であること、を特徴とする請求項1に記載の発泡電線。
- 請求項1又は2に記載の発泡電線を有する伝送ケーブル。
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