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JP5479094B2 - 同期モータの制御方法及び制御装置 - Google Patents

同期モータの制御方法及び制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、界磁に永久磁石を用いる同期モータの制御方法及び制御装置に関する。
サーボモータに使われる同期モータは、永久磁石で界磁磁束を作り、界磁磁束と合成ベクトルが直交するように3相電機子電流を流すことによって、推力を発生させる。サーボモータのシステムのブロック図を図7に示す。同期モータ31と、それに電力を供給する電圧型PWMインバータ等の電力変換器32、電力変換器32が同期モータ31に供給する電圧、あるいは流す電流の位相を決定するための位相検出器33、及び電流制御を行うための電流制御器34が基本構成になる。速度制御を行う場合はそのための速度検出器35、さらに位置制御を行う場合はそのための位置検出器36が付加される。位相検出器33、速度検出器35、位置検出器36は共用されることが多い。
同期モータの回路方程式の中で最も扱い易いのは、電圧、電流などを直流量であるd−q座標で表したものである。d−q座標においては、界磁の作る磁束の方向がd軸であり、d軸に対してπ/2進んだ位相がq軸である。可動部に働く推力はq軸電機子に流れる電流に比例する。位相検出器33を用いた従来のサーボモータにおいて、q軸電機子電流は、必要なトルクが得られるように制御される。d軸は、界磁の磁束の方向であるので、d軸電機子電流は、通常は流れないように制御される。電流制御器34は、位相検出器33から現在の磁極の位置(d軸の位置)を算出し、磁極位置からπ/2ずれた位置にあるq軸電機子へ電流を流し、可動部が滑らかに動作するように制御する。サーボモータを用いると、正確な位置決め制御ができるし、トルクに応じて電流の大小を制御できるので、モータ効率がよく、消費電力を小さくすることができるという利点がある。
しかし、d−q座標を用いたフィードバック制御を行うためには、エンコーダやパルスジェネレータなどの高価な位置検出器(又は磁気センサなどの位相検出器)が必要になる。磁極の位置(d軸の位置)を知らないと、3相交流/d−q座標変換器37が、3相交流電流をd軸,q軸電機子電流に座標変換することができないし、d−q座標/3相交流変換器38が、d軸,q軸電機子電流を3相交流電流に座標変換できないからである。
位置検出器を用いることなく、同期モータの位置を制御する回路として、位置センサレス制御回路が知られている(例えば特許文献1参照)。位置センサレス制御は、モータに流れるモータ電流を検出し、モータ電流を用いてモータの回転子位置を推定し、モータを指令に応じた回転速度で回転させるための信号をPWMインバータに与える。
この他にも、位置検出器を用いることなく、モータの位置を制御する方法として、駆動回路への入力パルス数によって、モータの回転角度をオープンループ制御するパルスモータも知られている。
特開2006−67656号公報
しかし、位置センサレス制御回路においては、実軸(d−q座標軸)上での電圧方程式を制御軸(δ−γ座標軸)上の電圧方程式に座標変換するなどの必要があり、制御が複雑になるという問題がある。
また、パルスモータは、正確な位置決めを実現できるものの、歯車状の特殊な回転子を必要とするので、モータ自体が高価になったり、大型化したりするという問題がある。
そこで、本発明は、位置検出器を不要とし、制御も容易な新たな同期モータの制御装置及び方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、界磁の作る磁束の方向をd軸とし、d軸に対してπ/2進んだ位相をq軸とするd−q座標を用いた同期モータの制御方法において、上位からの位置指令から駆動させる永久磁石の磁極位置指令であるd軸指令を算出し前記d軸指令に基づいて、同期モータの帰還電流をd軸電機子電流及びq軸電機子電流に変換し、d軸電機子に一定の電流が流れ、かつq軸電機子に電流が流れないように、d軸電機子電流及びq軸電機子電流を制御して、前記永久磁石の磁極位置を前記磁極位置指令に引き付け、前記上位からの前記位置指令を変化させることによって、前記同期モータを駆動させる同期モータの制御方法である。
請求項2に記載の発明は、界磁の作る磁束の方向をd軸とし、d軸に対してπ/2進んだ位相をq軸とするd−q座標を用いた同期モータの制御装置において、上位からの位置指令から駆動させる永久磁石の磁極位置指令であるd軸指令を算出する位相生成手段と、同期モータに流れる3相交流電流を検出する電流検出器と、前記位相生成手段が算出した前記d軸指令に基づいて、前記電流検出器が検出した3相交流電流を、d軸電機子電流及びq軸電機子電流に座標変換する3相交流/d−q座標変換手段と、d軸電機子に一定の電流が流れ、かつq軸電機子に電流が流れないように、d軸電機子電流及びq軸電機子電流を制御して、前記永久磁石の磁極位置を前記磁極位置指令に引き付ける電流制御手段と、を備え、前記上位からの前記位置指令を変化させることによって、前記同期モータを駆動させる同期モータの制御装置である。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の同期モータの制御装置において、さらに、前記同期モータの位置を検出する位置検出器と、位置指令と前記検出器が検出した前記同期モータの位置とを比較して、前記同期モータが位置指令のとおりに動いていないときに、前記d軸電機子に流れる電流値を大きくするか、又はd軸の電気角を変化させる位置判定手段と、を備えることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の同期モータの制御方法によって制御された同期モータである。
本発明によれば、位置指令に対応した電気角を生成し、d軸電機子に電流を流し、q軸電機子に電流を流さないように制御するので、位置指令の電気角に磁極の位置(d軸の位置)を引き付けて止めることができる。そして、電気角を連続的に変化させることによって、同期モータを駆動させることができる。
本発明の実施例である回転界磁形の同期モータを示す概略図 本発明の実施例である可動コイル型の同期リニアモータを示す概略図 本発明の実施例であるd−q座標で表した同期モータの等価回路 本発明の第一の実施形態の、d−q座標系を用いた制御装置のブロック図 本発明の実施例であるd−q座標で表された同期モータの動作図(図中(a)は従来の同期モータの動作図を示し、図中(b)は本実施形態のモータの動作図を示す) 本発明の第二の実施形態の制御装置のブロック図 従来のサーボモータのシステムのブロック図
符号の説明
11…位置制御器
12…q軸電機子電流制御器(電流制御手段)
13…d軸電機子電流制御器(電流制御手段)
14…位相検出器(位相生成手段)
15…電力変換器
16…ベクトル回転器・3相交流/d−q座標変換器
17…電流検出器
19…ベクトル回転器・d−q座標/3相交流変換器
20…同期モータ
21…位置検出器
24…位置判定器(位置判定手段)
以下添付図面に基づいて本発明の一実施形態の同期モータの制御装置を詳細に説明する。制御の対象となる同期モータには、界磁に永久磁石を使用する永久磁石同期モータを使用する。永久磁石同期モータには、図1に示されるような回転界磁形の同期モータを用いてもよいし、図2に示されるような可動コイル型の同期リニアモータを使用してもよい。回転界磁形の同期モータにおいては、電機子巻線1に3相交流電流を流すことによって、界磁をつくる永久磁石2が回転する。可動コイル型同期リニアモータにおいては、固定子3側にN極とS極の永久磁石4が交互に配置され、可動子5側にU,V,W相のコイル6が巻かれる。コイル6に3相電機子電流を流すことによって、直線的に移動する移動界磁が発生し、可動子5が固定子3に対して直線的に移動する。
界磁が回転する回転界磁形の同期モータでも、界磁が直線的に移動する可動コイル型の同期リニアモータでも、回転座標のd−q座標系を用いて、d,q軸電機子電流を制御することができる。同期モータの固定された部分と可動する部分をともに、回転する直交座標へ変換するのがd−q変換であり、その座標系がd−q座標系である。q軸はd軸に対してπ/2進んだ位相にある。同期モータの場合、d軸は界磁の作る磁束の方向に採るのが一般的である。
図3は、d−q座標で表した同期モータの等価回路である。図3において、vda,vqaはd,q軸電機子電圧、ida,iqaはd,q軸電機子電流,φfaは電機子巻線鎖交磁束数,Rは電機子巻線抵抗,Lは電機子巻線の自己インダクタンスである。この等価回路から電圧、電流、インピーダンスの関係式、すなわち回路方程式を求めると、
Figure 0005479094
となる。この式の右辺第2項は、永久磁石の界磁によってd,q軸電機子巻線に誘起する速度起電力eda,eqaを表しており、eda=0,eqa=ωreφfaである。図3は、電機子巻線がDCモータのように整流子に接続されて半径方向に無数にあり、それらに界磁と同じ速度で回転するd,q軸上に配置されたブラシを通してvda,vqaが印加され、ida,iqaが流れるということを示している。vda,vqaを直流電圧にすれば、ida,iqaも直流電圧になり、2軸直流で扱える。
数1式を状態方程式(微分方程式)に変形すると、
Figure 0005479094
が得られる。
この式は、d,q軸電機子電圧であるvdaとvqaで、d,q軸電機子電流であるida,iqaを制御できることを意味している。
図4は、本発明の第一の実施形態の、d−q座標系を用いた制御装置のブロック図を示す。本実施形態の制御装置は、同期モータを駆動するにあたり、位置検出器を使用せず、同期モータのd軸(永久磁石の磁束の方向)に一定の電流を常時流し、オープンループで同期モータを駆動する。
制御装置は、位置指令を受ける位置制御器11、q軸,d軸電機子電流を制御する電流制御手段であるq軸,d軸電機子電流制御器12,13、位置指令に応じた電気角を生成する位相生成手段である位相検出器14、q軸,d軸電機子電圧指令に応じて、同期モータに電力を供給する電圧形PWMインバータなどの電力変換器15を備える。
コンピュータなどの上位制御装置から、位置指令θ rmが位置制御器11に与えられる。位置制御器11は、位置指令θ rmを位相検出器14に出力する。位相検出器14は、位置指令に対応した電気角θ reを算出し、電気角θ reを3相交流/d−q座標変換手段であるベクトル回転器・3相交流/d−q座標変換器16に出力する。ベクトル回転器・3相交流/d−q座標変換器16は、電気角θ reに基づいて、電流検出器17からの3相帰還電流値iu,iv,iwを、q軸電機子電流iqaとd軸電機子電流idaに変換する。
q軸電機子電流制御器12は、q軸電機子電流指令とq軸電機子電流iqaとの偏差を取り、q軸電機子電圧の指令値v qaを演算する。ここで、q軸電機子電流指令は、0に設定される。q軸電機子電流制御器12は、q軸電機子電流iqaが0になるように、q軸電機子電流iqaを制御する。従来のサーボモータにおいては、必要とするトルクに応じてq軸電機子電流指令が可変していたが、本実施形態では、q軸電機子電流指令が常に0に設定されることに特徴がある。
d軸電機子電流制御器13は、d軸電機子電流指令とd軸電機子電流idaとの偏差を取り、d軸電機子電圧の指令値v daを演算する。ここで、d軸電機子電流指令は一定の電流値、例えば同期モータの定格電流に設定される。定格電流とは、同期モータに長時間電流を流しても同期モータが焼けない電流値である。従来のサーボモータにおいては、d軸電流指令i daは通常0に設定されるが、本実施形態では、一定の電流値に設定されることに特徴がある。
ベクトル回転器・d−q座標/3相交流変換器19は、これらの電圧指令v da,v qa及び電気角θ reに基づいて、3相電圧指令v ,v ,v を出力する。電力変換器15は、これらの電圧指令に基づいて、出力電圧をPWM制御し、同期モータ20に流れる電流を制御する。
図5は、実施形態であるd−q座標で表された同期モータの動作図を示す。図5(a)が位置検出器を用いた従来のフィードバック制御の動作図を示し、図5(b)が位置検出器を使用しない本実施形態のオープンループ制御の動作図を示す。従来のフィードバック制御においては、d軸電機子電流を0にし、q軸電機子電流を必要なトルクに合わせた値になるように制御していた。q軸電機子に電流を流すことで、トルクが発生し、同期モータ20の永久磁石23が回転していた((a1)→(a2)→(a3))。d軸の位置(磁極位置)は、位置検出器が検出した位置情報から算出されていた。
これに対して、本実施形態のオープンループ制御においては、まず、位置指令から駆動させる永久磁石23の磁極位置指令22(d軸指令)を算出する。そして、d軸電機子に一定の電流を流し、q軸電機子に電流が流れないように、d軸電機子電流及びq軸電機子電流を制御する。そうすると、永久磁石23の磁極位置(d軸の位置)は、磁極位置指令22に引き付けられて磁極位置指令22の位置で止まる。図5(b)中(b1)→(b2)→(b3)と順番に磁極位置指令22を変化させると、永久磁石23が回転することになる。停止時には、同期モータ20に定格電流を流したときの保持力が発生する。
本実施形態のオープンループ制御においては、q軸電機子に電流を流していないので、同期モータ20に発生するトルクが小さい。このため、同期モータ20に負荷がかかっているときは、電気角の変化に同期モータ20が追従しない恐れがある。しかし、同期モータ20に定格電流を流すことで、同期モータ20のトルクを大きくすることができる。また、電気角を+5度、+10度、+15度等徐々に大きくするにつれて、同期モータ20には徐々に大きなトルクが働くので(電気角を+90度にするときに、最も大きなトルクが働く)、電気角を大きくすることで同期モータを動作させることができる。同期モータが一旦動作したときは、後はその慣性によって同期モータが動作し続けるので、最終的に電気角に近づくことができる。
図6は、本発明の第二の実施形態における制御装置のブロック図を示す。この実施形態の制御装置においては、同期モータ20を確実に動作させるために、上記第一の実施形態の制御装置にさらに、同期モータ20の位置を検出するエンコーダ等の位置検出器21、同期モータ20が動作していないとき同期モータ20のトルクを大きくする位置判定手段である位置判定器24を付加している。その他の、位置制御器11、d軸,q軸電機子電流制御器12,13、ベクトル回転器・3相交流/d−q座標変換器16、ベクトル回転器・d−q座標/3相交流変換器19、位相検出器14、電力変換器15の構成は、上記第一の実施形態と同一なので、同一の符号を付してその説明を省略する。
同期モータ20が動作していないとき、同期モータ20を動作させるためには、同期モータ20に流す電流を増加させるか、または同期モータ20の電気角を変化させる必要がある。例えば、電気角を+5度にするよりも+90度にするほうが大きなトルクが発生する。
位置判定器24は、位置指令と位置検出器21が検出した同期モータ20の位置とを比較する。そして、同期モータ20が位置指令のとおりに動作していないとき、d軸電機子電流の電流指令を増加させるか、又はd軸の電気角を変化させる。d軸の電気角を変化させる場合、位相検出器14を操作して、例えばベクトル回転器を+90度にする指令を送る。同期モータ20に流す電流を増加させるか、または同期モータ20の電気角を変化させることで、同期モータ20のトルクが大きくなるので、同期モータ20を動作させることができる。
同期モータ20は一旦動作したら、後はその慣性によって所定の電気角まで回転する。位置判定器は、同期モータ20の動作を確認したならば、d軸電機子電流を一定の電流値に戻したり、電気角を位置指令に対応した元の電気角に戻したりすればよい。
なお、本発明は上記実施形態に限られることなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な実施形態に変更できる。例えば、サーボモータは、アナログサーボ系であっても、ソフトウェアサーボ系であってもよい。ソフトウェアサーボ系の場合、制御装置には、制御を行うマイクロコンピュータが組み込まれる。

Claims (4)

  1. 界磁の作る磁束の方向をd軸とし、d軸に対してπ/2進んだ位相をq軸とするd−q座標を用いた同期モータの制御方法において、
    上位からの位置指令から駆動させる永久磁石の磁極位置指令であるd軸指令を算出し
    前記d軸指令に基づいて、同期モータの帰還電流をd軸電機子電流及びq軸電機子電流に変換し、
    d軸電機子に一定の電流が流れ、かつq軸電機子に電流が流れないように、d軸電機子電流及びq軸電機子電流を制御して、前記永久磁石の磁極位置を前記磁極位置指令に引き付け、
    前記上位からの前記位置指令を変化させることによって、前記同期モータを駆動させる同期モータの制御方法。
  2. 界磁の作る磁束の方向をd軸とし、d軸に対してπ/2進んだ位相をq軸とするd−q座標を用いた同期モータの制御装置において、
    上位からの位置指令から駆動させる永久磁石の磁極位置指令であるd軸指令を算出する位相生成手段と、
    同期モータに流れる3相交流電流を検出する電流検出器と、
    前記位相生成手段が算出した前記d軸指令に基づいて、前記電流検出器が検出した3相交流電流を、d軸電機子電流及びq軸電機子電流に座標変換する3相交流/d−q座標変換手段と、
    d軸電機子に一定の電流が流れ、かつq軸電機子に電流が流れないように、d軸電機子電流及びq軸電機子電流を制御して、前記永久磁石の磁極位置を前記磁極位置指令に引き付ける電流制御手段と、を備え
    前記上位からの前記位置指令を変化させることによって、前記同期モータを駆動させる同期モータの制御装置。
  3. 前記同期モータの制御装置はさらに、
    前記同期モータの位置を検出する位置検出器と、
    位置指令と、前記検出器が検出した前記同期モータの位置と、を比較して、前記同期モータが位置指令のとおりに動いていないときに、前記d軸電機子に流れる電流値を大きくするか、又はd軸の電気角を変化させる位置判定手段と、
    を備えることを特徴とする請求項2に記載の同期モータの制御装置。
  4. 請求項1に記載の同期モータの制御方法によって制御された同期モータ。
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