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JP5472242B2 - 窒化物半導体素子の製造方法 - Google Patents

窒化物半導体素子の製造方法 Download PDF

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本発明は紫外域から橙色まで発光可能な発光ダイオードやレーザーダイオード、さらには高温においても駆動可能な3-5族半導体素子の製造方法に係わり、特に、基板上に窒化物半導体積層された半導体ウエハーから窒化物半導体素子を分割する製造方法に関する。
今日、高エネルギーバンドギャップを有する窒化物半導体(InXGaYAl1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を利用した半導体素子が種々開発されつつある。窒化物半導体を利用したデバイス例として、青色、緑色や紫外がそれぞれ発光可能な発光ダイオードや青紫光が発光可能な半導体レーザが報告されている。さらには高温においても安定駆動可能かつ機械的強度が高い各種半導体素子などが挙げられる。
通常、赤色、橙色、黄色などが発光可能なLEDチップなどの半導体素子として利用されるGaAs、GaPやInGaAlAsなどの半導体材料が積層された半導体ウエハーの場合は、半導体ウエハーからダイサーやダイヤモンドスクライバーによりチップ状に切り出され形成される。ダイサーとは刃先をダイヤモンドとする円盤の回転運動により半導体ウエハーをフルカットするか、又は刃先巾よりも広い巾の溝を切り込んだ後(ハーフカット)、外力によりカットする装置である。一方、ダイヤモンドスクライバーとは同じく先端をダイヤモンドとする針により半導体ウエハーに極めて細い線(スクライブ・ライン)を例えば碁盤目状に引いた後、外力によってカットする装置である。GaPやGaAs等のせん亜鉛構造の結晶は、へき開性が「110」方向にある。そのため、この性質を利用してGaAs、GaAlAs、GaPなどの半導体ウエハーを比較的簡単に所望形状に分離することができる。
しかしながら、窒化物半導体を利用した半導体素子は、GaP、GaAlAsやGaAs半導体基板上に形成させたGaAsP、GaPやInGaAlAsなどの半導体素子とは異なり単結晶を形成させることが難しい。結晶性の良い窒化物半導体の単結晶膜を得るためには、MOCVD法やHDVPE法などを用いサファイアやスピネル基板など上にバッファーを介して形成させることが行われている。そのため、サファイア基板などの上に形成された窒化物半導体層ごと所望の大きさに切断分離することによりLEDチップなど半導体素子を形成させなければならない。
サファイアやスピネルなどに積層される窒化物半導体はヘテロエピ構造である。窒化物半導体はサファイア基板などとは格子定数不整が大きく熱膨張率も異なる。また、サファイア基板は六方晶系という結晶構造を有しており、その性質上へき開性を有していない。さらに、サファイア、窒化物半導体ともモース硬度がほぼ9と非常に硬い物質である。
したがって、ダイヤモンドスクライバーのみで切断することは困難であった。また、ダイサーでフルカットすると、その切断面にクラック、チッピングが発生しやすく綺麗に切断できなかった。また、場合によっては基板から窒化物半導体層が部分的に剥離する場合があった。
そのため窒化物半導体ウエハーは所望のチップごとに分割する方法として特開平8−274371号などに記載されているようにダイヤモンドスクライバーやダイサーを組み合わせて使用する方法が考えられている。具体的一例として、図5(A)から図5(D)に窒化物半導体素子を製造する工程を示す。図5(A)は、サファイア基板501上に窒化物半導体502が形成された半導体ウエハー500を示す。図5(B)はサファイア基板501の下面側から窒化物半導体502に達しない深さでダイサー(不示図)による溝部503を形成する工程を示す。図5(C)は、溝部にダイヤモンドスクライバーでスクライブ・ライン504を形成する工程を示す。図5(D)は、スクライブ工程の後、半導体ウエハー500をチップ状510に分離する分離工程を示してある。これにより、切断面
のクラック、チッピングが発生することなく比較的綺麗に切断することができるとされている。
しかしながら、あらかじめダイサーなどで半導体ウエハー500の厚みを部分的に薄くさせた溝部503を形成し、溝部503にダイヤモンドスクライバーでスクライブ・ライン504を形成させる場合、ダイヤモンドスクライバーの刃先が溝部503の底に接触しなければならない。
即ち、通常ダイサーの円盤幅よりもダイヤモンドスクライバーの刃先の方が大きい。そのため図6の如く、ダイヤモンドスクライバーの刃先601が半導体ウエハー500に形成された溝部503の底面に届かない場合がある。この状態でスクライバーを駆動させると半導体ウエハーの平面では図7の如き、所望のスクライブ・ライン703が形成されず歪んだスクライブ・ライン704が形成される傾向にある。これらを防止する目的でダイヤモンドスクライバーの刃先が溝部503の底に接触するためにはダイサーで形成した溝部503の幅を広くする必要がある。溝部503が広くなると半導体ウエハーからの半導体素子の採り数が減少する。
他方、溝の幅を狭くした場合は刃先が溝の底に接触させるために溝部503の深さを浅くする必要がある。溝部503を浅くすると半導体ウエハーの分離部の厚みが厚くなり半導体ウエハーを正確に分離することが困難になる傾向がある。したがって、何れも正確により小さい窒化物半導体素子を形成することができないという問題があった。
より小さい窒化物半導体素子を正確に量産性よく形成させることが望まれる今日においては上記切断方法においては十分ではなく、優れた窒化物半導体素子の製造方法が求められている。窒化物半導体の結晶性を損傷することなく半導体ウエハーを正確にチップ状に分離することができれば、半導体素子の電気特性等を向上させることができる。しかも、1枚の半導体ウエハーから多くの半導体素子を得ることができるため生産性をも向上させられる。
したがって、本発明は窒化物半導体ウエハーをより小さいチップ状に分割するに際し、切断面のクラック、チッピングの発生をより少なくする。また、窒化物半導体の結晶性を損なうことなく、かつ歩留りよく所望の形、サイズに分離された窒化物半導体素子を量産性良く形成することができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、基板上に窒化物半導体が形成された半導体ウエハーを窒化物半導体素子に分割する窒化物半導体素子の製造方法であって、前記窒化物半導体の一部を除去して、前記半導体ウエハーの厚みが部分的に薄い分離部を形成する工程と、前記分離部内にレーザーを照射して、前記基板の内部にブレイク・ラインを形成する工程と、前記ブレイク・ラインに沿って前記半導体ウエハーを分離する工程と、を有する窒化物半導体素子の製造方法である。
本発明の窒化物半導体素子の製造方法において、前記窒化物半導体は、前記基板上にn型層及びp型層を順に備え、前記分離部において、前記n型層が露出されていることが好ましい。
本発明の窒化物半導体素子の製造方法において、前記分離部において、前記基板の表面が露出されていることが好ましい。
本発明の窒化物半導体素子の製造方法において、前記基板は、サファイア、スピネル、炭化珪素、酸化亜鉛、窒化ガリウムから選択されることが好ましい。
本発明の窒化物半導体素子の製造方法において、前記レーザー照射前に、前記基板を研磨して前記基板の厚みを薄くする工程を有することが好ましい。
本発明は半導体ウエハーの基板に達する溝部を形成し、その溝部にレーザー照射によるブレイク・ラインを形成する。これにより刃先消耗等による加工精度の劣化を引き起こすことなく、より幅が狭くかつ深い溝部に、加工バラツキのない高精度のブレイク・ライン形成を可能にし、容易にかつ正確にブレイク・ラインに沿って窒化物半導体素子を分割することが可能となる。そのため、形状の揃った製品供給、及び製品歩留りの向上が可能となる。
また、レーザー照射により半導体ウエハーに対して非接触でブレイク・ラインを形成することにより、従来のようなスクライブ・カッターの劣化、交換により発生していた加工コストの低減が可能となる。
さらに、半導体層面側から基板に達する溝部を、あらかじめ窒化物半導体が除去された半導体ウエハーに形成することで、溝部形成による半導体への損傷がなく信頼性の高い素子を製造することが可能となる。
窒化物半導体積層面側の凹部をレーザー照射により形成することで、より幅の狭い溝部を形成することですむ。このため半導体ウエハーからの窒化物半導体素子の採り数を向上させることが可能となる。
図1は本発明の実施例1における半導体ウエハーの分離方法を示した模式的部分断面図である。 図2は本発明の実施例2における半導体ウエハーの分離方法を示した模式的部分断面図である。 図3は本発明の実施例3における半導体ウエハーの分離方法を示した模式的部分断面図である。 図4は本発明の実施例4における半導体ウエハーの分離方法を示した模式的部分断面図である。 図5は本発明と比較のために示す窒化物半導体ウエハーの切断方法を示した模式的部分断面図である。 図6は窒化物半導体ウエハーをダイヤモンドスクライバーにより切断する時の模式的部分断面図である。 図7は本発明と比較のために示す窒化物半導体ウエハーのスクライブライン形成時に生じる歪みを示した模式的部分平面図である。
本発明者らは種々実験の結果、窒化物半導体素子を製造する場合において半導体ウエハーの特定箇所にレーザーを照射することにより、半導体特性を損傷することなく量産性に優れた窒化物半導体素子を製造することができることを見いだし本発明を成すに到った。
本発明の方法による分離端面がブレイク・ラインに沿って平坦に形成される理由は定かではないが溝部形成に伴って溝部近傍に内部応力が生ずること及びその内部応力とブレイク・ラインが切断端面形状に大きく関係していると考えられる。
即ち、ダイサーやダイヤモンドスクライバーなどにより機械的に削りとられた溝部は、その溝部形成時に内部応力が生ずる。特に、溝部の底面に沿ってダイヤモンドスクライバーによるスクライブ・ラインを形成する工程においてはスクライバーの刃先にかかる加重で溝部底以外にも広く歪みが増幅される。そのため、溝部形成後にダイヤモンドスクライバーで分離させると半導体ウエハー内に保持された応力によって所望通りの端面が形成されず、より正確に窒化物半導体ウエハーが分離できないと考えられる。
本発明はダイサーにより生じた内部応力に依存することなくレーザースクライバーにより分割に寄与する局所的な応力を発生させる。これにより端面が綺麗(平滑)であり量産性の良い窒化物半導体素子を製造することができると考えられる。また、窒化物半導体素子を分離させるためには半導体ウエハーの厚みが部分的に薄い溝部を形成させる。その溝部よりも狭いブレイク・ラインをレーザー照射により形成することで、極めて細いブレイク・ラインを所望の深さまで深く形成することができ量産性の良い窒化物半導体素子を分離できるものである。以下、本発明の製造方法例について説明する。
半導体ウエハーとして、LD(laser diode)となる構成の窒化物半導体層をスピネル基板上に形成させた。具体的には、スピネル基板上に、GaNのバッファー層、n型GaNのコンタクト層、n型AlGaNのクラッド層、n型GaNの光ガイド層、SiをドープしInの組成を変化させた多重量子井戸構造となるInGaNの活性層、p型AlGaNのキャップ層、p型GaNの光ガイド層、p型AlGaNのクラッド層及びp型GaNのコンタクト層が積層されている。この半導体ウエハーのスピネル基板側をウエットエッチングにより半導体ウエハー表面に溝部を縦横に形成させる。CO2レーザーを溝部の底面に照射してスピネル基板内部に加工変質部としてブレイク・ラインを溝部に沿って縦横に形成させた。ブレイク・ラインに沿ってローラーによる加圧により窒化物半導体素子として分離させる。分離された窒化物半導体素子は何れも端面が綺麗に形成されている。以下、本発明の工程に用いられる装置などについて詳述する。
(窒化物半導体ウエハー)
窒化物半導体ウエハーとしては、基板上に窒化物半導体層が形成されたものである。窒化物半導体の基板としては、サファイア、スピネル、炭化珪素、酸化亜鉛や窒化ガリウム単結晶など種々のものが挙げられるが量産性よく結晶性の良い窒化物半導体層を形成させるためにはサファイア基板、スピネル基板などが好適に用いられる。サファイア基板などは劈開性がなく極めて硬いため本発明が特に有効に働くこととなる。
窒化物半導体(InXGaYAl1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)はMOCVD法やHVPE法などにより種々形成することができる。窒化物半導体にPN接合、PIN接合、MIS接合を形成させることにより半導体素子として利用することができる。半導体の構造もホモ接合、ヘテロ接合やダブルへテロ接合など種々選択することができる。また、半導体層を量子効果が生じる程度の薄膜とした単一量子井戸構造や多重量子井戸構造とすることもできる。
窒化物半導体はバンドギャップが比較的大きく熱に強いことから紫外から赤色系まで発光可能な発光ダイオード、DVDなどに利用可能な短波長レーザーなどの発光素子、光センサーや比較的高起電力を有する太陽電池などの受光素子、耐熱性を持つトランジスターなど種々の半導体素子として利用することができる。
基板の厚さとしてはレーザー加工機の加工精度や出力により種々選択することができるがレーザーにより大きい溝(深い溝)を形成させる場合はダイサーに比べて時間が掛かること及び長時間の加熱による部分的な破壊などの観点からレーザー加工による溝部などを大きく形成させすぎないことが好ましい。
また、ダイサーなどにより半導体ウエハーに形成される溝部としては、歩留りよく所望の形、サイズに量産性良く形成する観点から溝部の幅が35μm以下が好ましく30μm以下がより好ましい。更に好ましくは25μm以下である。下限については特に制限はないがダイサーで形成する場合、あまり薄くし過ぎると刃先がぶれるため溝部を細くかつ深く形成しがたい傾向にある。したがって、10μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましい。さらに、好ましくは20μm以上である。また、溝部の深さは半導体ウエハーの厚みにもよるが量産性や分離のし易さから3.7μm以上が好ましく、より好ましくは4.5μm以上である。更に好ましくは5.2μm以上である。上限値は特に制限はないが量産性を考慮して100μm以下であることが望ましい。同様に、溝部が幅35μm以下深さ5.2μm以上、より好ましくは幅30μm以下深さ4.5μm、更に好ましくは幅25μm以下深さ3.7μm以上の範囲においてはダイヤモンドスクライバーでは溝部に図6の如く半導体ウエハーの分割に寄与するスクライブ・ラインを形成することができないため本発明の効果が特に大きい。
なお、窒化物半導体ウエハーに単に溝を形成する方法としては、ウエットエッチング、ドライエッチング、ダイサー、ダイヤモンドスクライバーやレーザーの加工さらにはこれらの組合せにより形成することができる。しかしながら、ある程度の幅を持ち効率よく半導体ウエハーの厚みを部分的に薄くさせるためにはダイサーを用いることが好ましい。特に、ダイサーを用いて溝部を形成させた場合は、チップ状に分割した時の端面の綺麗さ(平滑性)の差が顕著に出る傾向にある。即ち、ダイサーを用いて溝部を形成させた後にレーザーを用いて半導体ウエハーを分離したものと、ダイサーを用いて溝部を形成させた後にダイヤモンドスクライバーにより分離させたものとをそれぞれ比較するとレーザーにより凹部を形成させたものの方が分離端面が綺麗に形成される傾向にある。このような平滑性は、透光性絶縁層であるサファイア基板を利用した光学設計をする場合には顕著な違いとなる場合がある。
窒化物半導体が積層されたサファイア基板を分離させる場合、切断端面を量産性良く切断させるために窒化物半導体ウエハーの最も薄い分離部の厚みは100μm以下が好ましい。100μm以下だとチッピングなどが少なく比較的容易に分離することができる。また、基板の厚さの下限は特に問わないが、あまり薄くすると半導体ウエハー自体が割れやすく量産性が悪くなるため30μm以上であることが好ましい。
窒化物半導体層が単一量子井戸構造や多重量子井戸構造などの薄膜を含む場合、レーザー照射による半導体接合や半導体層の損傷を防ぐ目的で予めレーザーが照射される窒化物半導体層をエッチングなどにより予め除去することもできる。
発光ダイオード用の窒化物半導体ウエハーとする場合、基板で通常200から500μmの厚みがあり、pn接合を持つ窒化物半導体層で数μmから数十μmの厚みがある。したがって、半導体ウエハーのほとんどが基板の厚みで占められることとなる。レーザーによる加工を行いやすくするために基板の厚みを研磨により薄くすることができる。このような研磨は、窒化物半導体を形成させてから薄くしても良いし薄く研磨した基板上に窒化物半導体を形成させることもできる。
なお、レーザーが照射された窒化物半導体ウエハーは、その焦点となる照射部が選択的に飛翔する或いは微視的なマイクロ・クロックの集合である加工変質部になると考えられる。また、本発明のブレイク・ラインは半導体ウエハーの溝部表面を除去しても良いし基板の溝部よりも内部側に加工変質部を形成させても良い。さらに、本発明は溝部近傍に形成されたレーザー加工によるブレイク・ラインに加えて半導体ウエハーの総膜厚の中心をレーザー加工させても良い。
(レーザー加工機)
本発明に用いられるレーザー加工機としては、ブレイク・ラインとなる凹部、加工変質部などが形成可能なものであればよい。具体的には、YAGレーザー、CO2レーザーやエキシマ・レーザーなどが好適に用いられる。特に、YAGレーザーは熱の変質が少なくブレイク・ラインを形成することができる。また、CO2レーザーはパワーを挙げることができるため切断能力に優れる。
レーザー加工機によって照射されるレーザーはレンズなどの光学系により所望により種々に焦点を調節させることができる。したがって、レーザー照射により半導体ウエハーの任意の焦点に窒化物半導体を損傷させることなく凹部、加工変質部などを形成させることができる。また、レーザーの照射面は、フィルターを通すことなどにより真円状、楕円状や矩形状など所望の形状に調節させることもできる。
レーザー加工機によるブレイク・ラインの形成にはレーザー照射装置自体を移動させても良いし照射されるレーザーのみミラーなどで走査して形成させることもできる。さらには、半導体ウエハーを保持するステージを上下、左右、90度回転など種々駆動させることにより所望のブレイク・ラインを形成することもできる。以下、本発明の実施例について詳述するが実施例のみに限定されるものでないことは言うまでもない。
(実施例1)
厚さ200μmであり洗浄されたサファイアを基板101としてMOCVD法を利用して窒化物半導体を積層させ窒化物半導体ウエハーを形成させた。窒化物半導体は基板を分割した後に発光素子110として働くよう多層膜として成膜させた。まず、510℃において原料ガスとしてNH3(アンモニア)ガス、TMG(トリメチルガリウム)ガス及びキャリアガスである水素ガスを流すことにより厚さ約200オングストロームのバッファー層を形成させた。
次に、TMGガスの流入を止めた後、反応装置の温度を1050℃に挙げ再びNH3(アンモニア)ガス、TMGガス、ドーパントガスとしてSiH4(シラン)ガス、キャリアガスとして水素ガスを流すことによりn型コンタクト層として働く厚さ約4μmのGaN層を形成させた。
活性層は、一旦、キャリアガスのみとさせ反応装置の温度を800℃に保持し後、原料ガスとしてNH3(アンモニア)ガス、TMGガス、TMI(トリメチルインジウム)及びキャリアガスとして水素ガスを流すことにより厚さ約3nmのアンドープInGaN層を堆積させた。
活性層上にクラッド層を形成させるため原料ガスの流入を停止し反応装置の温度を1050℃に保持した後、原料ガスとしてNH3(アンモニア)ガス、TMA(トリメチルアルミニウム)ガス、TMGガス、ドーパントガスとしてCp2Mg(シクロペンタジエルマグシウム)ガス及びキャリアガスとして、水素ガスを流しp型クラッド層として厚さ約0.1μmのGaAlN層を形成させた。
最後に、反応装置の温度を1050℃に維持し原料ガスとしてNH3(アンモニア)ガス、TMGガス、ドーパントガスとしてCp2Mgガス及びキャリアガスとして水素ガスを流しp型コンタクト層として厚さ約0.5μmのGaN層を形成させた(なお、p型窒化物半導体層は400℃以上でアニール処理してある。)。
半導体ウエハーに、RIE(Reactive Ion Etching)によって窒化物半導体表面側から溝部が形成されるサファイア基板との境界面が露出するまでエッチングさせ複数の島状窒化物半導体層が形成された半導体ウエハーを用いる。なお、エッチング時にpn各半導体が露出するようマスクを形成させエッチング後除去させてある。また、pn各半導体層には、電極120がスパッタリング法により形成されている(図1(A))。
こうして形成された窒化物半導体ウエハー100のサファイア基板101を100μmまで研磨した後、半導体ウエハー100のサファイア基板面111が上になるように水平方向に自由駆動可能なテーブル上に真空チャックを用いて固定させた。ブレード回転数30,000rpm、切断速度3mm/secでステージを移動させることによりサファイア基板101の底面に幅約30μm、深さ約15μmの溝を縦横に形成し溝部103とさせる。溝部103は、窒化物半導体ウエハー100のサファイア基板露出面側111から見るとエッチング面130と略平行に形成されておりそれぞれがその後に窒化物半導体素子となる300μm角の大きさに形成させてある(図1(B))。
次に、ダイサーの刃先など駆動部のみレーザー(356nm)が照射可能なYAGレーザー照射装置と入れ替えた(不示図)。窒化物半導体ウエハー100の固定は維持したままレーザーの焦点を窒化物半導体ウエハーの溝部103底面に結ばれるようレーザーの光学系を調節させる。調節したレーザー光線を16J/cm2で照射させながらステージを移動させることにより溝部103の底面に沿って深さ約3μmの更なる溝としての凹部104をブレイク・ラインとして形成する(図1(C))。
ブレイク・ラインに沿って、ローラー(不示図)により荷重をかけ、窒化物半導体ウエハー100を切断分離することができる。分離された窒化物半導体素子110の端面はいずれもチッピングやクラックのない窒化物半導体素子を形成することができる(図1(D))。
こうして形成された窒化物半導体素子であるLEDチップに電力を供給したところいずれも発光可能であると共に切断端面にはクラックやチッピングが生じているものはほとんどなかった。また、発生していたチッピングも極めて小さいものであり、歩留りは98%以上であった。
これにより、ブレイク・ラインの形成をレーザーで行うため、ダイヤモンドスクライバーを利用したものと異なりカッターの消耗、劣化による加工精度のバラツキ、刃先交換のために発生するコストを低減することができる。製造歩留りを高め、形状のバラツキが低減できる。特に、切り代を小さくし、半導体素子の採り数を向上させることが可能となる。
(実施例2)
実施例1のレーザー照射装置における焦点深さをレーザーの光学系を調整させて深くさせた以外は実施例1と同様にしてブレイク・ラインを形成させた。形成されたブレイク・ラインは基板201の表面となる溝部203に凹部は形成されていないが基板201内部に加工変質部として形成されている(図2(C))。
ブレイク・ラインの形成を溝部203底面でなく基板201内面に形成させても実施例1のLEDチップとほぼ同様の歩留りを形成することができる。
(実施例3)
厚さ150μmであり洗浄されたサファイアを基板301としてMOCVD法を利用して窒化物半導体を積層させ窒化物半導体ウエハー300を形成させた。窒化物半導体は基板上に多層膜として成膜させた。まず、510℃において原料ガスとしてNH3(アンモニア)ガス、TMG(トリメチルガリウム)ガス及びキャリアガスである水素ガスを流すことにより厚さ約200オングストロームのバッファー層を形成させた。
次に、TMGガスの流入を止めた後、反応装置の温度を1050℃に挙げ再びNH3(アンモニア)ガス、TMGガス、ドーパントガスとしてSiH4(シラン)ガス、キャリアガスとして水素ガスを流すことによりn型コンタクト層として働く厚さ約4μmのGaN層を形成させた。
活性層は、一旦、キャリアガスのみとさせ反応装置の温度を800℃に保持し後、原料ガスとしてNH3(アンモニア)ガス、TMGガス、TMI(トリメチルインジウム)及びキャリアガスとして水素ガスを流すことにより厚さ約3nmのアンドープInGaN層を堆積させた。
活性層上にクラッド層を形成させるため原料ガスの流入を停止し反応装置の温度を1050℃に保持した後、原料ガスとしてNH3(アンモニア)ガス、TMA(トリメチルアルミニウム)ガス、TMGガス、ドーパントガスとしてCp2Mg(シクロペンタジエルマグシウム)ガス及びキャリアガスとして、水素ガスを流しp型クラッド層として厚さ約0.1μmのGaAlN層を形成させた。
最後に、反応装置の温度を1050℃に維持し原料ガスとしてNH3(アンモニア)ガス、TMGガス、ドーパントガスとしてCp2Mgガス及びキャリアガスとして水素ガスを流しp型コンタクト層として厚さ約0.5μmのGaN層を形成させた(図3(A))。(なお、p型窒化物半導体層は400℃以上でアニール処理してある。)形成させた半導体ウエハー300を窒化物半導体が形成された表面321を上にして水平方向に自由移動可能なステージ上に真空チャックを用いて固定させた。ダイサー(不示図)によりブレード回転数30,000rpm、切断速度3mm/secで窒化物半導体積層面側321から基板301まで半導体ウエハー300の主面に縦横の溝部303を形成させる。ダイサーにより形成された溝部303は、幅25μmであり溝部303の底面と窒化物半導体が形成されていないサファイア基板露出面側311との間隔が、50μmでほぼ均一になるように形成させる(図3(B))。
次に、ダイサーの刃先など駆動部のみレーザー(356nm)が照射可能なYAGレーザー照射装置と入れ替えた(不示図)。窒化物半導体ウエハー300の固定は維持したままレーザーの光学系を調節して形成された溝部303底面に焦点が合うようにさせる。調節したレーザー光線を16J/cm2で照射させながらステージを移動させることにより溝部303に沿って深さ約3μmの凹部304をブレイク・ラインとして形成する(図3(C))。
ブレイク・ラインに沿って、ローラー(不示図)により荷重を作用させ、窒化物半導体ウエハー300を切断分離することができる。分離された窒化物半導体素子310の端面はいずれもチッピングやクラックのほぼない窒化物半導体素子を形成することができる(図3(D))。こうして形成された窒化物半導体の切断端面にはクラックやチッピングが生じているものはほとんどなかった。
(実施例4)
実施例1と同様にして形成させた半導体ウエハー400のサファイア基板401をさらに80μmまで研磨して鏡面仕上げされている。この半導体ウエハー400を窒化物半導体積層側421を上にして実施例3と同様のステージ(不示図)に固定配置させた(図4(A))。
実施例4においては予めエッチングされたエッチング面430に沿ってダイサーにより窒化物半導体積層面側421から幅約25μm、深さ約10μmの溝部403を形成させる(図4(B))。
次に、ダイサーの刃先など駆動部のみレーザー(356nm)が照射可能なYAGレーザー照射装置と入れ替えた(不示図)。窒化物半導体ウエハー400の固定は維持したままレーザーの光学系を調節して形成された溝部403底面に焦点が合うようにさせる。調節したレーザー光線を16J/cm2で照射させながらステージを移動させることにより溝部403に沿って深さ約3μmの凹部404をブレイク・ラインとして形成する(図4(C))。
ブレイク・ラインに沿って、ローラー(不示図)により荷重を作用させ、窒化物半導体ウエハー400を切断分離することができる。分離された端面はいずれもチッピングやクラックのほとんどない窒化物半導体素子410を形成することができる(図4(D))。
分離された窒化物半導体素子であるLEDチップ410に通電させたところ何れも発光可能であり、その端面を調べたところチッピングやクラックが生じているものはほとんどなかった。歩留りは98%以上であった。
(実施例5)
実施例1のYAGレーザーの照射の代わりにエキシマ・レーザーを用いた以外は実施例1と同様にして半導体ウエハーを分離してLEDチップを形成させた。実施例1と同様、形成されたLEDチップの分離端面はいずれも発光可能でありチッピングやクラックのない綺麗な面を有している。
(比較例1)
レーザー加工の代わりに溝部に沿ってダイヤモンドスクライバーにより繰り返し3回スクライブした以外は実施例1と同様にして半導体ウエハーを分離させた。比較例1の分離された窒化物半導体素子は部分的にクラックやチッピングが生じていた。また、図7の如き歪んだスクライブ・ラインが形成され約75%の歩留りであった。
100、200、300、400、700・・・半導体ウエハー
101、201、301、401・・・基板
102、202、402・・・島状窒化物半導体
103、203、303、403・・・基板表面に形成された溝部
104、304、404・・・溝部底面に形成した凹部によるブレイク・ライン
204・・・基板内部に形成した加工変質部によるブレイク・ライン
302・・・窒化物半導体
110、210、310、410・・・窒化物半導体素子
111、311、411・・・基板露出面側
120、220、420・・・電極
121、321、421・・・窒化物半導体積層側
130、430・・・エッチング面
500、600・・・半導体ウエハー
501・・・基板
502・・・窒化物半導体層
503、603・・・サファイア基板に形成した溝部
504、604・・・溝部底面に形成したスクライブ・ライン
510・・・窒化物半導体素子
601・・・ダイヤモンドスクライバーの刃先
703・・・正常に形成されたスクライブ・ライン
704・・・歪んで形成されたスクライブ・ライン

Claims (5)

  1. 基板上に窒化物半導体が形成された半導体ウエハーを窒化物半導体素子に分割する窒化物半導体素子の製造方法であって、
    前記窒化物半導体の一部を除去して溝部を形成することにより、前記半導体ウエハーの厚みが部分的に薄い分離部を形成する工程と、
    前記溝部よりも内部側の前記基板に焦点を調節したレーザーを前記分離部内に照射して、前記基板の内部にブレイク・ラインを形成する工程と、
    前記ブレイク・ラインに沿って前記半導体ウエハーを分離する工程と、を有する窒化物半導体素子の製造方法。
  2. 前記窒化物半導体は、前記基板上にn型層及びp型層を順に備え、
    前記分離部において、前記n型層が露出されている請求項1に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
  3. 前記分離部において、前記基板の表面が露出されている請求項1に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
  4. 前記基板は、サファイア、スピネル、炭化珪素、酸化亜鉛、窒化ガリウムから選択される請求項1乃至3のいずれか1項に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
  5. 前記レーザー照射前に、前記基板を研磨して前記基板の厚みを薄くする工程を有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
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