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JP5468589B2 - 超音波診断装置および超音波画像生成方法 - Google Patents

超音波診断装置および超音波画像生成方法 Download PDF

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Description

この発明は、超音波診断装置および超音波画像生成方法に係り、特に、アレイ状に配列された複数のトランスデューサを用いて超音波の送受信を行う超音波診断装置に関する。
従来から、医療分野において、超音波画像を利用した超音波診断装置が実用化されている。一般に、この種の超音波診断装置は、超音波プローブのアレイトランスデューサから被検体内に向けて超音波ビームを送信し、被検体からの超音波エコーを超音波プローブのアレイトランスデューサで受信して、その受信信号を電気的に処理することにより超音波画像が生成される。
通常、超音波プローブのアレイトランスデューサで得られる受信信号を検波した後、位相整合することでサンプルデータが生成され、このサンプルデータに基づいて超音波画像を表示するための画像信号が作成される。
このとき、受信信号の検波および位相整合は、超音波プローブの主ローブ最大音圧方向における周波数特性に基づいて行われていた。
ところが、超音波プローブのアレイトランスデューサは、1次元又は2次元のアレイ状に配列された複数のトランスデューサを有しているので、被検体内の1つの反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度がトランスデューサ毎に異なり、反射点から戻ってくる超音波エコーは複数のトランスデューサに対してそれぞれ異なる角度で入射することとなる。このため、複数のトランスデューサで得られる受信信号は、超音波エコーの入射角度に応じて、互いに、中心周波数、帯域幅、感度等が異なったものであり、このような受信信号を位相整合することで、超音波画像の画質の低下をもたらしていた。
例えば、特許文献1には、異なる送受信角度で超音波ビームを送受信して得られた受信データを合成して超音波画像を得るコンパウンド走査を行う際に、超音波の送受信角度に応じて中心周波数を調整することにより、超音波画像の画質の向上を図る超音波診断装置が開示されている。
特開2005−58321号公報
しかしながら、特許文献1の装置は、送受信における超音波ビームの角度に応じて複数のトランスデューサに対して一様に中心周波数を変化させるものであり、異なる送受信角度で超音波ビームを送受信するコンパウンド走査に対しては有効であるものの、同じ反射点から戻ってくる超音波エコーが個々のトランスデューサに互いに異なる角度で入射することに対しては、何ら効を奏するものではない。
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、被検体内の反射点とアレイトランスデューサの各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度がトランスデューサ毎に異なることに起因する超音波画像の画質の低下を抑制することができる超音波診断装置および超音波画像生成方法を提供することを目的とする。
この発明に係る第1の超音波診断装置は、アレイトランスデューサから被検体に向けて超音波が送信されると共に被検体による超音波エコーを受信したアレイトランスデューサから出力される受信信号に基づいて超音波画像を生成する超音波診断装置であって、アレイトランスデューサの各トランスデューサに駆動信号を供給して被検体に向けて超音波を送信する送信回路と、被検体に含まれる所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じて、各トランスデューサから出力される受信信号を補正してサンプルデータを生成する受信回路と、受信回路で生成されたサンプルデータを整相加算して得られた音線信号に基づいて超音波画像を生成する画像生成部とを備え、受信回路は、所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じた中心周波数の変化に合わせて、各トランスデューサから出力される受信信号に対する遅延を調整することによりサンプルデータを生成するものである。
好ましくは、受信回路は、所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じて測定深度が異なることによる減衰の変化に起因した周波数の変化も加味して遅延の調整を行う。
また、第2の超音波診断装置は、アレイトランスデューサから被検体に向けて超音波が送信されると共に被検体による超音波エコーを受信したアレイトランスデューサから出力される受信信号に基づいて超音波画像を生成する超音波診断装置であって、アレイトランスデューサの各トランスデューサに駆動信号を供給して被検体に向けて超音波を送信する送信回路と、被検体に含まれる所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じて、各トランスデューサから出力される受信信号を補正してサンプルデータを生成する受信回路と、受信回路で生成されたサンプルデータを整相加算して得られた音線信号に基づいて超音波画像を生成する画像生成部とを備え、受信回路は、所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じた周波数帯域の変化に合わせると共に測定深度が異なることによる減衰の変化に起因した周波数の変化も加味して、各トランスデューサから出力される受信信号に対する透過フィルタ特性を調整することによりサンプルデータを生成するものである。
第3の超音波診断装置は、アレイトランスデューサから被検体に向けて超音波が送信されると共に被検体による超音波エコーを受信したアレイトランスデューサから出力される受信信号に基づいて超音波画像を生成する超音波診断装置であって、アレイトランスデューサの各トランスデューサに駆動信号を供給して被検体に向けて超音波を送信する送信回路と、被検体に含まれる所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じて、各トランスデューサから出力される受信信号を補正してサンプルデータを生成する受信回路と、受信回路で生成されたサンプルデータを整相加算して得られた音線信号に基づいて超音波画像を生成する画像生成部とを備え、送信回路が、所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じた中心周波数の変化に合わせて、各トランスデューサに供給する駆動信号の波形を調整するものである
受信回路は、被検体に含まれる所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じた補正テーブルを用いて受信信号の補正を行うことができる。
アレイトランスデューサは、複数の無機圧電素子からなる第1のアレイトランスデューサと、複数の有機圧電素子からなる第2のアレイトランスデューサとを有し、受信回路は、第1のアレイトランスデューサと第2のアレイトランスデューサに対して互いに異なる補正テーブルを用いて受信信号の補正を行うように構成してもよい。
この発明に係る第1の超音波画像生成方法は、アレイトランスデューサから被検体に向けて超音波が送信されると共に被検体による超音波エコーを受信したアレイトランスデューサから出力される受信信号に基づいて超音波画像を生成する超音波画像生成方法であって、アレイトランスデューサの各トランスデューサに駆動信号を供給して被検体に向けて超音波を送信し、被検体に含まれる所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じた中心周波数の変化に合わせて、各トランスデューサから出力される受信信号に対する遅延を補正してサンプルデータを生成し、生成されたサンプルデータを整相加算して得られた音線信号に基づいて超音波画像を生成する方法である。
第2の超音波画像生成方法は、アレイトランスデューサから被検体に向けて超音波が送信されると共に被検体による超音波エコーを受信したアレイトランスデューサから出力される受信信号に基づいて超音波画像を生成する超音波画像生成方法であって、アレイトランスデューサの各トランスデューサに駆動信号を供給して被検体に向けて超音波を送信し、被検体に含まれる所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じた周波数帯域の変化に合わせると共に測定深度が異なることによる減衰の変化に起因した周波数の変化も加味して、各トランスデューサから出力される受信信号に対する透過フィルタ特性を調整することによりサンプルデータを生成し、生成されたサンプルデータを整相加算して得られた音線信号に基づいて超音波画像を生成する方法である。
第3の超音波画像生成方法は、アレイトランスデューサから被検体に向けて超音波が送信されると共に被検体による超音波エコーを受信したアレイトランスデューサから出力される受信信号に基づいて超音波画像を生成する超音波画像生成方法であって、アレイトランスデューサの各トランスデューサに駆動信号を供給して被検体に向けて超音波を送信し、被検体に含まれる所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じた中心周波数の変化に合わせて、各トランスデューサに供給する駆動信号の波形を調整することによりサンプルデータを生成し、生成されたサンプルデータを整相加算して得られた音線信号に基づいて超音波画像を生成する方法である。
この発明によれば、被検体に含まれる所定の反射点とアレイトランスデューサの各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じて、各トランスデューサから出力される受信信号を補正してサンプルデータを生成するので、反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度がトランスデューサ毎に異なることに起因する超音波画像の画質の低下が抑制され、高画質の超音波画像を生成することが可能となる。
この発明の実施の形態1に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。 実施の形態1で用いられた受信信号処理部の内部構成を示すブロック図である。 被検体内の反射点とアレイトランスデューサの各トランスデューサとの位置関係を模式的に示す図である。 被検体内の反射点とアレイトランスデューサの各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じた中心周波数の変化を示すグラフである。 実施の形態2で用いられた受信信号処理部の内部構成を示すブロック図である。 実施の形態3における超音波プローブの内部構成を示すブロック図である。 実施の形態4で用いられた超音波探触子の構造を示す部分断面図である。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に、実施の形態1に係る超音波診断装置の構成を示す。超音波診断装置は、超音波プローブ1と、この超音波プローブ1に接続された診断装置本体2とを備えている。
超音波プローブ1は、1次元又は2次元のアレイ状に配列された複数のトランスデューサ3を有し、これらトランスデューサ3に送信回路4と受信回路5が接続されている。
送信回路4は、複数のトランスデューサ3に接続された送信駆動部6と、送信駆動部6に接続された送信制御部7を有している。
受信回路5は、複数のトランスデューサ3にそれぞれ対応して接続された複数の受信信号処理部8を有し、これら複数の受信信号処理部8にデータ格納部9を介して整相加算部10が接続されている。また、複数の受信信号処理部8に受信信号補正部11が接続され、複数の受信信号処理部8、整相加算部10および受信信号補正部11に受信制御部12が接続されている。
そして、送信回路4の送信制御部7と受信回路5の受信制御部12にプローブ制御部13が接続されている。
一方、診断装置本体2は、超音波プローブ1の整相加算部11に接続された信号処理部21を有し、この信号処理部21にDSC(Digital Scan Converter)22、画像処理部23、表示制御部24および表示部25が順次接続されている。画像処理部23には、画像メモリ26が接続され、信号処理部21、DSC22、画像処理部23および画像メモリ26により画像生成部27が形成されている。信号処理部21、DSC22および表示制御部24に本体制御部28が接続されており、本体制御部28に操作部29および格納部30がそれぞれ接続されている。
また、超音波プローブ1のプローブ制御部13と診断装置本体2の本体制御部28が互いに接続されている。
複数のトランスデューサ3は、それぞれ送信回路4の送信駆動部6から供給される駆動信号に従って超音波を送信すると共に被検体からの超音波エコーを受信して受信信号を出力する。各トランスデューサ4は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミックや、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)またはポリフッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体等の高分子圧電素子、PMN−PT(マグネシウムニオブ酸・チタン酸鉛固溶体)に代表される圧電単結晶等からなる圧電体の両端に電極を形成したトランスデューサによって構成される。
そのようなトランスデューサの電極に、パルス状又は連続波の電圧を印加すると、圧電体が伸縮し、それぞれのトランスデューサからパルス状又は連続波の超音波が発生して、それらの超音波の合成により超音波ビームが形成される。また、それぞれのトランスデューサは、伝搬する超音波を受信することにより伸縮して電気信号を発生し、それらの電気信号は、超音波の受信信号として出力される。
送信回路4の送信駆動部6は、例えば、複数のパルサを含んでおり、送信制御部7によって選択された送信遅延パターンに基づいて、複数のトランスデューサ3から送信される超音波が被検体内の組織のエリアをカバーする幅広の超音波ビームを形成するようにそれぞれの駆動信号の遅延量を調節して複数のトランスデューサ3に供給する。
受信回路5の複数の受信信号処理部8は、それぞれ受信制御部12の制御の下で、対応するトランスデューサ3から出力される受信信号に対して直交検波処理又は直交サンプリング処理を施すことにより複素ベースバンド信号を生成し、複素ベースバンド信号をサンプリングすることにより、組織のエリアの情報を含むサンプルデータを生成する。受信信号処理部8は、複素ベースバンド信号をサンプリングして得られるデータに高能率符号化のためのデータ圧縮処理を施すことによりサンプルデータを生成してもよい。
データ格納部9は、メモリ等によって構成され、複数の受信信号処理部8で生成された少なくとも1フレーム分のサンプルデータを格納する。
整相加算部10は、受信制御部12において設定された受信方向に応じて、予め記憶されている複数の受信遅延パターンの中から1つの受信遅延パターンを選択し、選択された受信遅延パターンに基づいて、サンプルデータによって表される複数の複素ベースバンド信号にそれぞれの遅延を与えて加算することにより、受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、超音波エコーの焦点が絞り込まれたベースバンド信号(音線信号)が生成される。
受信信号補正部11は、受信制御部12の制御の下で、被検体に含まれる所定の反射点と各トランスデューサ3における音響放射面のなす角度に応じて、各トランスデューサ3で得られた受信信号が補正されるように複数の受信信号処理部8を調整する。
プローブ制御部12は、診断装置本体2の本体制御部28から伝送される各種の制御信号に基づいて、超音波プローブ1の各部の制御を行う。
診断装置本体2の信号処理部21は、超音波プローブ1の整相加算部10により生成された音線信号に対し、超音波の反射位置の深度に応じて距離による減衰の補正を施した後、包絡線検波処理を施すことにより、被検体内の組織に関する断層画像情報であるBモード画像信号を生成する。
DSC22は、信号処理部21で生成されたBモード画像信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換(ラスター変換)する。
画像処理部23は、DSC22から入力されるBモード画像信号に階調処理等の各種の必要な画像処理を施した後、Bモード画像信号を表示制御部24に出力する、あるいは画像メモリ26に格納する。
表示制御部24は、画像処理部23によって画像処理が施されたBモード画像信号に基づいて、表示部25に超音波診断画像を表示させる。
表示部25は、例えば、LCD等のディスプレイ装置を含んでおり、表示制御部24の制御の下で、超音波診断画像を表示する。
操作部29は、操作者が入力操作を行うためのもので、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパネル等から形成することができる。
格納部30は、動作プログラム等を格納するもので、ハードディスク、フレキシブルディスク、MO、MT、RAM、CD−ROM、DVD−ROM、SDカード、CFカード、USBメモリ等の記録メディア、またはサーバ等を用いることができる。
本体制御部28は、操作者により操作部29から入力された各種の指令信号等に基づいて、診断装置本体2内の各部の制御を行うものである。
なお、信号処理部21、DSC22、画像処理部23および表示制御部24は、CPUと、CPUに各種の処理を行わせるための動作プログラムから構成されるが、それらをデジタル回路で構成してもよい。
ここで、超音波プローブ1の受信回路5内における各受信信号処理部8の内部構成を図2に示す。受信信号処理部8は、対応するトランスデューサ3に接続された入力保護回路81を有し、入力保護回路81にプリアンプ82および可変利得アンプ83が順次接続され、可変利得アンプ83にローパスフィルタ84を介してA/Dコンバータ85が接続されている。さらに、A/Dコンバータ85に、遅延回路86が接続されている。そして、遅延回路86に受信信号補正部11が接続されている。
入力保護回路81は、トランスデューサ3からプリアンプ82に設定値を超える電圧の信号が入力されることを防止する。プリアンプ82は、トランスデューサ3から出力された受信信号を静的に増幅し、可変利得アンプ83は、動的に利得の調整を行う。
ローパスフィルタ84は、プリアンプ82および可変利得アンプ83で増幅された受信信号から信号検出に用いられない高周波成分を除去する。A/Dコンバータ85は、受信制御部12から入力される変換開始信号に基づき、ローパスフィルタ84で高周波成分が除去されたアナログの受信信号をデジタル信号に変換する。
遅延回路86は、A/Dコンバータ85でA/D変換された受信信号を、受信信号補正部11から指令された時間だけ遅延させる。
図3に、超音波プローブ1の複数のトランスデューサ3と被検体内の所定の反射点Rとの位置関係を示す。チャンネルch1〜ch5のトランスデューサ3が1次元のアレイ状に配列されると共に互いに平行な音響放射面3aを有し、1つの反射点Rがこれらトランスデューサ3の音響放射面3aに対向して位置している。このため、反射点Rと各トランスデューサ3における音響放射面3aのなす角度は、トランスデューサ3毎に異なったものとなる。すなわち、トランスデューサ3の音響放射面3aと反射点Rとを結ぶ直線と、音響放射面3aにおける法線との間の角度を、反射点Rとそのトランスデューサ3における音響放射面3aのなす角度とすると、チャンネルch1〜ch5のトランスデューサ3の音響放射面3aが反射点Rとなす角度は、それぞれθ1〜θ5となる。
このように、反射点Rから戻ってくる超音波エコーの入射角度がトランスデューサ3毎に異なることから、それぞれのトランスデューサ3で得られる受信信号は、超音波エコーの入射角度に応じて異なる中心周波数を有する。例えば、図4に示されるように、反射点Rと音響放射面3aのなす角度がθ3であるチャンネルch3のトランスデューサ3で得られる受信信号の中心周波数F3に対し、θ3よりも大きな角度θ2およびθ1をなしているチャンネルch2およびch1のトランスデューサ3で得られる受信信号は、チャンネルch3のトランスデューサ3における中心周波数F3より低い中心周波数F2およびF1を有することとなる。
中心周波数が異なる受信信号をそのまま位相整合して音線信号を生成したのでは、超音波画像の画質の低下を来してしまうので、受信信号補正部11は、超音波エコーの入射角度すなわち反射点Rとトランスデューサ3における音響放射面3aのなす角度に応じた補正量が記された補正テーブルを予め内蔵しており、この補正テーブルを用いてそれぞれのトランスデューサ3で得られる受信信号の補正を行う。
実施の形態1では、補正量として、受信信号に対する遅延量が補正テーブルに記されており、受信信号補正部11は、反射点Rと各トランスデューサ3における音響放射面3aのなす角度に対応した遅延量を補正テーブルから読み出し、中心周波数の変化が補償されるように各受信信号処理部8の遅延回路86に指令を出して受信信号に対する遅延を調整する。
次に、この実施の形態1の動作について説明する。
まず、超音波プローブ1の送信駆動部6から供給される駆動信号に従って複数のトランスデューサ3から超音波が送信され、被検体からの超音波エコーを受信した各トランスデューサ3から出力された受信信号がそれぞれ対応する受信信号処理部8に供給される。
受信信号は、受信信号処理部8の入力保護回路81を通り、プリアンプ82および可変利得アンプ83で増幅され、ローパスフィルタ84で不要な高周波成分が除去された後、A/Dコンバータ85でA/D変換される。このとき、各トランスデューサ3の音響放射面3aへの超音波エコーの入射角度の相違に起因して各受信信号処理部8に供給される受信信号の中心周波数は互いに異なったものとなるが、受信信号補正部11が、内蔵された補正テーブルを参照して、被検体内の反射点と各トランスデューサ3における音響放射面3aのなす角度に応じ、中心周波数の変化が補償されるように、各受信信号処理部8の遅延回路86により受信信号に対する遅延を調整する。A/Dコンバータ85でA/D変換された受信信号は、遅延回路86で遅延が調整された後、サンプルデータとして出力される。
このようにして生成されたサンプルデータがデータ格納部9に格納される。さらに、データ格納部9から1フレーム分のサンプルデータが読み出され、整相加算部10で音線信号が生成された後、診断装置本体2の画像生成部27で画像信号が生成され、この画像信号に基づいて表示制御部24により超音波画像が表示部25に表示される。
以上のように、被検体内の反射点と各トランスデューサ3における音響放射面3aのなす角度に応じた中心周波数の変化に合わせて、各トランスデューサ3から出力される受信信号に対する遅延を調整することにより、各トランスデューサ3の音響放射面3aへの超音波エコーの入射角度の相違に起因する超音波画像の画質の低下が抑制され、高画質の超音波画像を生成することが可能となる。
特に、超音波プローブ1のアレイトランスデューサとの間の距離が短い被検体の表在組織を診断する場合には、反射点と各トランスデューサ3における音響放射面3aのなす角度がトランスデューサ3毎に大きく変化するので、受信信号補正部11による受信信号の補正の効果が顕著となり、画質を大幅に向上させることができる。
なお、被検体内の反射点と各トランスデューサ3における音響放射面3aのなす角度に応じて、反射点までの測定深度がトランスデューサ3毎に異なるため、超音波の減衰もトランスデューサ3毎に異なるものとなる。このため、受信信号補正部11は、超音波の減衰の変化に起因した周波数の変化も加味して、受信信号に対する遅延の調整を行うことが望ましい。
実施の形態2
上記の実施の形態1では、補正量として受信信号に対する遅延量を採用し、受信信号補正部11は、反射点Rと各トランスデューサ3における音響放射面3aのなす角度に応じて受信信号処理部8の遅延回路86により受信信号に対する遅延を調整したが、これに限るものではない。例えば、反射点Rと各トランスデューサ3における音響放射面3aのなす角度に応じて、受信信号に対する透過フィルタ特性を調整することもできる。
実施の形態2における受信回路5内の各受信信号処理部8aの内部構成を図5に示す。受信信号処理部8aは、図2に示した実施の形態1における受信信号処理部8において、遅延回路86を省略すると共にローパスフィルタ84に受信信号補正部11を接続したものである。
実施の形態2に係る超音波診断装置は、このような受信信号処理部8aを受信信号処理部8の代わりに用いた点を除いて、図1に示した実施の形態1の超音波診断装置と同様の構成を有している。
受信信号補正部11は、反射点Rとトランスデューサ3における音響放射面3aのなす角度に応じた透過フィルタ特性が補正量として記された補正テーブルを予め内蔵しており、この補正テーブルを用いてそれぞれのトランスデューサ3で得られる受信信号の補正を行う。
動作時には、被検体からの超音波エコーを受信した各トランスデューサ3から出力された受信信号がそれぞれ対応する受信信号処理部8の入力保護回路81を通り、プリアンプ82および可変利得アンプ83で増幅された後、ローパスフィルタ84に入力する。このとき、各トランスデューサ3の音響放射面3aへの超音波エコーの入射角度の相違に起因して各受信信号処理部8に供給される受信信号の中心周波数は互いに異なったものとなるが、受信信号補正部11が、内蔵された補正テーブルを参照して、被検体内の反射点と各トランスデューサ3における音響放射面3aのなす角度に応じ、中心周波数の変化が補償されるように、ローパスフィルタ84における透過フィルタ特性を調整する。受信信号は、ローパスフィルタ84を透過した後、A/Dコンバータ85でA/D変換され、サンプルデータとして出力される。
このようにして生成されたサンプルデータに基づいて、整相加算部10で音線信号が生成され、診断装置本体2の画像生成部27で画像信号が生成され、表示制御部24により超音波画像が表示部25に表示される。
以上のように、被検体内の反射点と各トランスデューサ3における音響放射面3aのなす角度に応じた中心周波数の変化に合わせて、各トランスデューサ3から出力される受信信号に対する透過フィルタ特性を調整することによっても、各トランスデューサ3の音響放射面3aへの超音波エコーの入射角度の相違に起因する超音波画像の画質の低下が抑制され、高画質の超音波画像を生成することが可能となる。
なお、受信信号補正部11は、透過フィルタ特性として、ローパスフィルタ84における透過帯域の上限周波数、下限周波数、帯域幅等を調整することができる。
また、被検体内の反射点と各トランスデューサ3における音響放射面3aのなす角度に応じて、反射点までの測定深度がトランスデューサ3毎に異なるため、超音波の減衰もトランスデューサ3毎に異なるものとなる。このため、受信信号補正部11は、超音波の減衰の変化に起因した周波数の変化も加味して、受信信号に対する透過フィルタ特性の調整を行うことが望ましい。
実施の形態3
実施の形態3における超音波プローブ1aの内部構成を図6に示す。この超音波プローブ1aは、図1に示した実施の形態1で用いられた超音波プローブ1において、送信回路4の代わりに、駆動信号補正部14を内蔵した送信回路4aを用いたものであり、図1に示した診断装置本体2に接続されて使用される。
送信回路4a内において、送信駆動部6に駆動信号補正部14が接続され、この駆動信号補正部14に送信制御部7が接続されている。
駆動信号補正部14は、送信制御部7の制御の下で、被検体に含まれる所定の反射点と各トランスデューサ3における音響放射面のなす角度に応じた中心周波数の変化に合わせて、中心周波数の変化が補償されるように、送信駆動部6から各トランスデューサ3に供給される駆動信号の波形を調整する。
駆動信号補正部14は、反射点とトランスデューサ3における音響放射面3aのなす角度に応じた波形調整量が記された補正テーブルを予め内蔵しており、反射点と各トランスデューサ3における音響放射面3aのなす角度に対応した波形調整量を内蔵の補正テーブルから読み出し、送信駆動部6に指令を出して駆動信号の波形を調整する。
このような駆動信号補正部14を備えて、駆動信号の波形を調整することにより、各トランスデューサ3の音響放射面3aへの超音波エコーの入射角度の相違に起因する超音波画像の画質の低下が抑制され、さらに高画質の超音波画像を生成することが可能となる。
実施の形態4
上記の実施の形態1〜3では、超音波プローブ1または1aが、超音波探触子として、複数のトランスデューサ3からなる1つのアレイトランスデューサを有していたが、図7に示されるように、複数の無機圧電素子からなる第1のアレイトランスデューサ31と、複数の有機圧電素子からなる第2のアレイトランスデューサ32とを有する超音波探触子を用いてもよい。
バッキング材33の表面上に第1のアレイトランスデューサ31が形成され、第1のアレイトランスデューサ31の上に音響整合層34を介して第2のアレイトランスデューサ32が形成され、第2のアレイトランスデューサ32の上に音響レンズ35が接合されている。
第1のアレイトランスデューサ31の無機圧電素子は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)に代表される圧電セラミックまたはマグネシウムニオブ酸・チタン酸鉛固溶体(PMN−PT)に代表される圧電単結晶から形成された無機圧電体を有し、第2のアレイトランスデューサ32の有機圧電素子は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはポリフッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体等の高分子圧電素子から形成された有機圧電体を有している。
例えば、第1のアレイトランスデューサ31から被検体に向けて超音波が送信され、被検体から戻ってきた超音波エコーが第2のアレイトランスデューサ32により受信される、あるいは、第1のアレイトランスデューサ31と第2のアレイトランスデューサ32の双方により受信される。
無機圧電素子と有機圧電素子とでは、受信特性が互いに異なっており、複数の有機圧電素子からなる第2のアレイトランスデューサ32を用いることにより、高調波成分を精度よく受信することができる。
このような超音波探触子を使用する場合には、受信信号補正部11は、第1のアレイトランスデューサ31に対応して作成された第1の補正テーブルと、第2のアレイトランスデューサ32に対応して作成された第2の補正テーブルとを別々に内蔵し、第1のアレイトランスデューサ31に対しては、第1の補正テーブルを参照した補正値を適用し、第2のアレイトランスデューサ32に対しては、第2の補正テーブルを参照した補正値を適用することが望ましい。
同様に、実施の形態3における駆動信号補正部14も、第1のアレイトランスデューサ31に対応して作成された第1の補正テーブルと、第2のアレイトランスデューサ32に対応して作成された第2の補正テーブルとを別々に内蔵することが望ましい。
なお、上述した実施の形態1〜4で用いられた補正テーブルは、実際に所定の反射点と各トランスデューサ3における音響放射面3aのなす角度を変化させて実測したデータに基づいて作成してもよく、あるいは、中心周波数の角度依存性を考慮して計算により作成することもできる。
また、被検体内の反射点と各トランスデューサ3における音響放射面3aのなす角度は、反射点が存在する被検体内の測定部位の深度に大きく依存するので、代表的な測定部位毎に補正テーブルを作成しておき、診断に係る測定部位に合わせて補正テーブルを選択して使用することも可能である。
なお、超音波プローブ1または1aと診断装置本体2との接続は、有線による接続および無線通信による接続のいずれの形態をとることもできる。
1,1a 超音波プローブ、2 診断装置本体、3 トランスデューサ、3a 音響放射面、4,4a 送信回路、5 受信回路、6 送信駆動部、7 送信制御部、8,8a 受信信号処理部、9 データ格納部、10 整相加算部、11 受信信号補正部、12 受信制御部、13 プローブ制御部、14 駆動信号補正部、21 信号処理部、22 DSC、23 画像処理部、24 表示制御部、25 表示部、26 画像メモリ、27 画像生成部、28 本体制御部、29 操作部、30 格納部、31 第1のアレイトランスデューサ、32 第2のアレイトランスデューサ、33 バッキング材、34 音響整合層、35 音響レンズ、81 入力保護回路、82 プリアンプ、83 可変利得アンプ、84 ローパスフィルタ、85 A/Dコンバータ、86 遅延回路。

Claims (9)

  1. アレイトランスデューサから被検体に向けて超音波が送信されると共に被検体による超音波エコーを受信した前記アレイトランスデューサから出力される受信信号に基づいて超音波画像を生成する超音波診断装置であって、
    前記アレイトランスデューサの各トランスデューサに駆動信号を供給して被検体に向けて超音波を送信する送信回路と、
    被検体に含まれる所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じて、各トランスデューサから出力される受信信号を補正してサンプルデータを生成する受信回路と、
    前記受信回路で生成されたサンプルデータを整相加算して得られた音線信号に基づいて超音波画像を生成する画像生成部と
    を備え、
    前記受信回路は、前記所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じた中心周波数の変化に合わせて、各トランスデューサから出力される受信信号に対する遅延を調整することにより前記サンプルデータを生成することを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記受信回路は、前記所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じて測定深度が異なることによる減衰の変化に起因した周波数の変化も加味して遅延の調整を行う請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. アレイトランスデューサから被検体に向けて超音波が送信されると共に被検体による超音波エコーを受信した前記アレイトランスデューサから出力される受信信号に基づいて超音波画像を生成する超音波診断装置であって、
    前記アレイトランスデューサの各トランスデューサに駆動信号を供給して被検体に向けて超音波を送信する送信回路と、
    被検体に含まれる所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じて、各トランスデューサから出力される受信信号を補正してサンプルデータを生成する受信回路と、
    前記受信回路で生成されたサンプルデータを整相加算して得られた音線信号に基づいて超音波画像を生成する画像生成部と
    を備え、
    前記受信回路は、前記所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じた周波数帯域の変化に合わせると共に測定深度が異なることによる減衰の変化に起因した周波数の変化も加味して、各トランスデューサから出力される受信信号に対する透過フィルタ特性を調整することにより前記サンプルデータを生成することを特徴とする超音波診断装置。
  4. アレイトランスデューサから被検体に向けて超音波が送信されると共に被検体による超音波エコーを受信した前記アレイトランスデューサから出力される受信信号に基づいて超音波画像を生成する超音波診断装置であって、
    前記アレイトランスデューサの各トランスデューサに駆動信号を供給して被検体に向けて超音波を送信する送信回路と、
    被検体に含まれる所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じて、各トランスデューサから出力される受信信号を補正してサンプルデータを生成する受信回路と、
    前記受信回路で生成されたサンプルデータを整相加算して得られた音線信号に基づいて超音波画像を生成する画像生成部と
    を備え、
    前記送信回路は、前記所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じた中心周波数の変化に合わせて、各トランスデューサに供給する駆動信号の波形を調整することを特徴とする超音波診断装置。
  5. 前記受信回路は、被検体に含まれる所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じた補正テーブルを用いて受信信号の補正を行う請求項1〜4のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  6. 前記アレイトランスデューサは、複数の無機圧電素子からなる第1のアレイトランスデューサと、複数の有機圧電素子からなる第2のアレイトランスデューサとを有し、
    前記受信回路は、前記第1のアレイトランスデューサと前記第2のアレイトランスデューサに対して互いに異なる補正テーブルを用いて受信信号の補正を行う請求項5に記載の超音波診断装置。
  7. アレイトランスデューサから被検体に向けて超音波が送信されると共に被検体による超音波エコーを受信した前記アレイトランスデューサから出力される受信信号に基づいて超音波画像を生成する超音波画像生成方法であって、
    前記アレイトランスデューサの各トランスデューサに駆動信号を供給して被検体に向けて超音波を送信し、
    被検体に含まれる所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じた中心周波数の変化に合わせて、各トランスデューサから出力される受信信号に対する遅延を補正してサンプルデータを生成し、
    生成されたサンプルデータを整相加算して得られた音線信号に基づいて超音波画像を生成する
    ことを特徴とする超音波画像生成方法。
  8. アレイトランスデューサから被検体に向けて超音波が送信されると共に被検体による超音波エコーを受信した前記アレイトランスデューサから出力される受信信号に基づいて超音波画像を生成する超音波画像生成方法であって、
    前記アレイトランスデューサの各トランスデューサに駆動信号を供給して被検体に向けて超音波を送信し、
    被検体に含まれる所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じた周波数帯域の変化に合わせると共に測定深度が異なることによる減衰の変化に起因した周波数の変化も加味して、各トランスデューサから出力される受信信号に対する透過フィルタ特性を調整することによりサンプルデータを生成し、
    生成されたサンプルデータを整相加算して得られた音線信号に基づいて超音波画像を生成する
    ことを特徴とする超音波画像生成方法。
  9. アレイトランスデューサから被検体に向けて超音波が送信されると共に被検体による超音波エコーを受信した前記アレイトランスデューサから出力される受信信号に基づいて超音波画像を生成する超音波画像生成方法であって、
    前記アレイトランスデューサの各トランスデューサに駆動信号を供給して被検体に向けて超音波を送信し、
    被検体に含まれる所定の反射点と各トランスデューサにおける音響放射面のなす角度に応じた中心周波数の変化に合わせて、各トランスデューサに供給する駆動信号の波形を調整することによりサンプルデータを生成し、
    生成されたサンプルデータを整相加算して得られた音線信号に基づいて超音波画像を生成する
    ことを特徴とする超音波画像生成方法。
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