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JP5464635B2 - 半導体ウエハ加工用粘着シートおよびその使用方法 - Google Patents

半導体ウエハ加工用粘着シートおよびその使用方法 Download PDF

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JP5464635B2 JP2008087738A JP2008087738A JP5464635B2 JP 5464635 B2 JP5464635 B2 JP 5464635B2 JP 2008087738 A JP2008087738 A JP 2008087738A JP 2008087738 A JP2008087738 A JP 2008087738A JP 5464635 B2 JP5464635 B2 JP 5464635B2
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Description

本発明は、半導体ウエハ加工用粘着シートに関する。特に、半導体ウエハの裏面を加工する際に回路表面を保護するため、あるいは半導体ウエハのダイシング時にウエハを保持するために好適に使用される半導体ウエハ加工用粘着シートに関する。
半導体ウエハは、表面に回路が形成された後、ウエハの裏面側に研削加工を施し、ウエハの厚さを調整する裏面研削工程や、ウエハを所定のチップサイズに個片化するダイシング工程が行われる。また、裏面研削工程に続いて、さらに裏面にエッチング処理などの発熱を伴う加工処理が施されることがある。
裏面の研削時、エッチング時には回路を保護するために、ウエハの回路表面にはバックグラインドテープと呼ばれる粘着シートが貼付される。またウエハのダイシング時には、ダイシングより形成されるチップの飛散を防止するため、ウエハ裏面側にダイシングテープと呼ばれる粘着シートが貼付される(以下、このような粘着シートを総称して、「半導体ウエハ加工用粘着シート」または「ウエハ加工用粘着シート」と記載することがある)。
これらのウエハ加工用粘着シート、特にバックグラインドテープにおいては、
回路やウエハ本体へのダメージを防止すること、
剥離後の回路上に粘着剤等の残留物(汚染物質)がないこと、
裏面研削時に発生する研削屑の洗い流しや研削時に発生する熱を除去するための研削水が回路面に浸入することを防止すること、
研削後のウエハの厚み精度を充分に保つこと、などが要求される。
また、さらに裏面に発熱や加熱を伴う加工処理を施す際には、粘着剤層から揮発成分が発生しないことが求められる。
また、ダイシングテープにおいては、
ダイシング時にはウエハを充分な接着力で保持できること、
チップのピックアップ時には、チップをダイシングテープから容易に剥離できること、
ピックアップされたチップ裏面に粘着剤等の残留物がないこと、などが要求される。
このようなウエハ加工用粘着シートとしては、樹脂フィルムからなる基材上に紫外線などのエネルギー線により硬化するエネルギー線硬化型粘着剤層が設けられた粘着シートが広く用いられている。エネルギー線硬化型粘着シートによれば、ウエハの裏面研削時、ダイシング時には強い接着力でウエハ(チップ)を保持できるため、回路面への切削水の浸入やチップの飛散を防止できる。また、裏面研削終了後あるいはダイシング終了後には、粘着剤層にエネルギー線を照射することで粘着剤層が硬化し、接着力が低減されるため、糊残りすることなく、ウエハ(チップ)を粘着シートから剥離できる。
エネルギー線硬化型粘着剤としては、アクリル系の粘着ポリマーに、比較的低分子量のエネルギー線硬化性樹脂および光重合開始剤を配合してなる粘着剤が知られている。しかし、かかる粘着剤においては、低分子量化合物を含むため、エネルギー線硬化を行っても、低分子量化合物が未反応で残留し、粘着剤層の硬化不全を招くことがある。また、ウエハの裏面研削やダイシング時には、発生する熱や切屑を除去するために、水を噴霧するが、水によって低分子量化合物が流失してしまうこともある。低分子量のエネルギー線硬化性樹脂あるいは光重合開始剤が流失すると、粘着剤層の硬化不全が起こり、ウエハに粘着剤が残着する。
低分子量化合物、特に低分子量のエネルギー線硬化性樹脂に伴うウエハの汚染問題を解消するため、アクリル系の粘着ポリマーにエネルギー線重合性基を含む化合物を反応させ、粘着ポリマーの分子内にエネルギー線重合性基を導入したエネルギー線重合性粘着ポリマー(以下、「重合性基アダクト型粘着剤」と記載することがある)と、光重合開始剤とからなるエネルギー線硬化型粘着剤層を有するウエハ加工用粘着シートが提案されている(特許文献1)。このような重合性基アダクト型粘着剤によれば、エネルギー線重合性基が粘着剤層内に均一に分散し、また低分子量物質も少ないため、硬化不全や低分子量物質による汚染が低減される。
また、光重合開始剤は、エネルギー線の照射により開裂し、ラジカル種を発生させ、このラジカル種が重合開始のトリガーとなる。しかし、重合反応の終了後には、ラジカル種の残渣が低分子量化合物として残留し、ウエハやチップの汚染原因となる。また、ラジカル種発生時には、強い臭気を発生し、作業衛生の点でも問題がある。さらに、上述したように、低分子量の光重合開始剤は、粘着シートの使用時に噴霧される水によって流出することがある。また、粘着シートの製造時には、粘着剤を溶剤に希釈した後に塗布・乾燥し、粘着剤層を形成している。乾燥時には低分子量の光重合開始剤が揮発してしまい、設計した組成の粘着剤層が得られない場合があった。
このような低分子量の光重合開始剤に伴う諸問題を解消するため、特許文献2には、エネルギー線硬化型粘着剤に、ポリマー化した光重合開始剤を配合したウエハ加工用粘着シートが開示されている。
しかし、特許文献2におけるエネルギー線硬化型粘着剤は、アクリル系の粘着ポリマー(ベースポリマー)に、比較的低分子量のエネルギー線硬化性樹脂(放射線重合性化合物)を配合してなる粘着剤である。このため、上記したようなエネルギー線硬化性樹脂の流失による硬化不全や未反応の低分子量化合物による汚染等の課題はなお解決されていない。
特開平9-298173号公報 特開平10-279894号公報
上記特許文献1に記載の重合性基アダクト型粘着剤を使用するエネルギー線硬化型粘着剤においては、重合性基アダクト型粘着剤とともに、低分子量の光重合開始剤が配合される。また、特許文献2のエネルギー線硬化型粘着剤では、低分子量のエネルギー線硬化性樹脂が使用されている。
エネルギー線硬化型粘着剤層は、上記の成分を溶剤で希釈した後に、基材や剥離シート上に塗工、乾燥して得られる。ところがエネルギー線硬化型粘着剤中に低分子量化合物が含まれている場合には、乾燥時に低分子量化合物が揮発してしまい、設計した組成の粘着剤層が得られない場合があった。
また、要求物性の高度化により、粘着剤層に様々な付加機能を付与するために、ウエハ加工用粘着シートの粘着剤層を多層化することがある。たとえば、エネルギー線硬化型粘着剤層に加えて、軟質な中間樹脂層を設ける場合などがある。この際、エネルギー線硬化型粘着剤層に低分子量化合物が含まれていると、低分子量であるがゆえ移動しやすい低分子量化合物が中間樹脂層に移行することがあり、粘着剤層の物性が経時的に変化するなどの問題がある。
さらに、ウエハ加工用粘着シートを用いてウエハ加工を行う際には、半導体ウエハに加熱を行ったり、ドライエッチングのような発熱を伴う加工を行う場合がある。この際に、粘着剤層中の低分子量化合物が揮発し、粘着剤層の物性が変化することがある。また、ウエハの裏面研削やダイシング時には、発生する熱や切屑を除去するために、水を噴霧するが、水によって低分子量化合物が流失してしまうこともある。
さらにまた、所定の加工処理を終えた後、エネルギー線を照射して粘着剤層を硬化する際に、従来から使用されている低分子量の光重合開始剤では、強い臭気が発生し、作業衛生上問題がある。また、粘着剤層の硬化後に、ウエハ加工用粘着シートを剥離しても、低分子量化合物が被着体に移行し、ウエハやチップを汚染するという問題もあった。
したがって、本発明は、ウエハ加工用粘着シートに用いられるエネルギー線硬化型粘着剤において、該粘着剤に含まれる低分子量化合物の移行や揮発に伴う諸問題を解消することを目的としている。
このような課題の解決を目的とした本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)基材と、その上に形成されたエネルギー線硬化型粘着剤層とからなり、前記エネルギー線硬化型粘着剤層が、
主鎖または側鎖に、エネルギー線重合性基が結合されてなるエネルギー線硬化型粘着性重合体と、
重量平均分子量400〜100000の光重合開始剤とを含有する、半導体ウエハ加工用粘着シート。
(2)エネルギー線硬化型粘着性重合体の重量平均分子量が10万以上である(1)に記載の半導体ウエハ加工用粘着シート。
(3)上記(1)に記載の半導体ウエハ加工用粘着シートのエネルギー線硬化型粘着剤層に、表面に回路が形成された半導体ウエハの回路表面を貼付し、該ウエハの裏面加工を行う、半導体ウエハの加工方法。
(4)上記(1)に記載の半導体ウエハ加工用粘着シートのエネルギー線硬化型粘着剤層に、表面に回路が形成された半導体ウエハの裏面を貼付し、ウエハのダイシングを行う、半導体ウエハの加工方法。
本発明によれば、ウエハ加工用のエネルギー線硬化型粘着シートにおいて、粘着剤に含まれる低分子量化合物量が著しく低減されるため、低分子量化合物の移行や揮発に伴う諸問題を解消することができる。
以下、本発明の好ましい態様について、その最良の形態も含めて、さらに具体的に説明する。本発明の半導体ウエハ加工用粘着シートは、基材と、その上に形成されたエネルギー線硬化型粘着剤層とからなり、前記エネルギー線硬化型粘着剤層が、主鎖または側鎖に、エネルギー線重合性基が結合されてなるエネルギー線硬化型粘着性重合体(A)と、重量平均分子量400〜100000の光重合開始剤(B)とを含有することを特徴としている。
[(A)エネルギー線硬化型粘着性重合体]
本発明のエネルギー線硬化型粘着性重合体(A)は、主鎖または側鎖に、エネルギー線重合性基が結合されてなる。
粘着性重合体の主骨格は特に限定はされず、粘着剤として汎用されているアクリル系共重合体であってもよく、またエステル型、エーテル型の何れであっても良いが、合成および粘着物性の制御が容易であることから、アクリル系共重合体を主骨格とすることが特に好ましい。
粘着性重合体の主鎖または側鎖に結合するエネルギー線重合性基は、たとえばエネルギー線重合性の炭素−炭素二重結合を含む基であり、具体的には(メタ)アクリロイル基等を例示することができる。エネルギー線重合性基は、アルキレン基、アルキレンオキシ基
ポリアルキレンオキシ基を介して粘着性重合体に結合していてもよい。
このような重合性基の具体例は、以下に説明するエネルギー線硬化型粘着性重合体の製法からさらに明らかになる。
重合性基が結合されたエネルギー線硬化型粘着性重合体(A)の重量平均分子量は、好ましくは100,000以上であり、好ましくは100,000〜1,500,000であり、特に好ましくは150,000〜1,000,000である。またエネルギー線硬化型粘着性重合体(A)のガラス転移温度は、通常−70〜30℃程度である。
[エネルギー線硬化型粘着性重合体(A)の製造]
エネルギー線硬化型粘着性重合体(A)は、官能基を含有する粘着性重合体と、該官能基と反応する置換基を有する重合性基含有化合物とを反応させて得られる。
エネルギー線硬化型粘着性重合体(A)の主骨格の構造は特に限定はされないが、粘着剤として汎用されている各種のアクリル系共重合体が好ましい。
以下、エネルギー線硬化型粘着性重合体(A)の製法について、特にアクリル系共重合体を主骨格とする例について詳述するが、本発明のエネルギー線硬化型粘着性重合体(A)は下記製法により得られるものに限定はされない。
重合性基が結合されたエネルギー線硬化型アクリル系粘着性重合体(A)は、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)と、該官能基に反応する置換基を有する重合性基含有化合物(a2)とを反応させることによって得られる。
アクリル系共重合体(a1)を形成する官能基含有モノマーは、重合性の二重結合と、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基を分子内に有するモノマーであり、好ましくはヒドロキシル基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物が用いられる。
このような官能基含有モノマーのさらに具体的な例としては、2-ヒドロキシメチルアクリレート、2-ヒドロキシメチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート等のヒドロキシル基含有アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有化合物があげられる。上記の官能基含有モノマーは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系共重合体(a1)は、上記官能基含有モノマーから導かれる構成単位と、(メタ)アクリル酸エステルモノマーあるいはその誘導体から導かれる構成単位とからなる。(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられる。(メタ)アクリル酸エステルモノマーの誘導体としては、ジメチルアクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジエチルメタクリルアミド等のジアルキル(メタ)アクリルアミドがあげられる。これらの中でも、特に好ましくはアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ジメチルアクリルアミド等である。
アクリル系共重合体(a1)は、上記官能基含有モノマーから導かれる構成単位を通常3〜100重量%、好ましくは5〜40重量%、特に好ましくは10〜30重量%の割合で含有し、(メタ)アクリル酸エステルモノマーあるいはその誘導体から導かれる構成単位を通常0〜97重量%、好ましくは60〜95重量%、特に好ましくは70〜90重量%の割合で含有してなる。
アクリル系共重合体(a1)は、上記のような官能基含有モノマーと、(メタ)アクリル酸エステルモノマーあるいはその誘導体とを常法にて共重合することにより得られるが、これらモノマーの他にも、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、スチレン、ビニルアセテート等が共重合されていてもよい。
アクリル系共重合体(a1)の製造方法については、特に限定されるものではなく、例えば溶剤、連鎖移動剤、重合開始剤等の存在下で溶液重合する方法や、乳化剤、連鎖移動剤、重合開始剤、分散剤等の存在下の水系でエマルション重合する方法にて製造される。
上記官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)を、該官能基に反応する置換基を有する重合性基含有化合物(a2)と反応させることにより、重合性基が結合されたエネルギー線硬化型アクリル系粘着性重合体(A)が得られる。
重合性基含有化合物(a2)には、アクリル系共重合体(a1)中の官能基と反応しうる置換基が含まれている。この置換基は、前記官能基の種類により様々である。たとえば、官能基がヒドロキシル基またはカルボキシル基の場合、置換基としてはイソシアナート基、エポキシ基等が好ましく、官能基がカルボキシル基の場合、置換基としてはイソシアナート基、エポキシ基等が好ましく、官能基がアミノ基または置換アミノ基の場合、置換基としてはイソシアナート基等が好ましく、官能基がエポキシ基の場合、置換基としてはカルボキシル基が好ましい。このような置換基は、重合性基含有化合物(a2)1分子毎に一つずつ含まれている。
また重合性基含有化合物(a2)には、エネルギー線重合性炭素−炭素二重結合が、1分子毎に1〜5個、好ましくは1〜2個含まれている。このような重合性基含有化合物(a2)の具体例としては、メタクリロイルオキシエチルイソシアナート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアナート、メタクリロイルイソシアナート、アリルイソシアナート、グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸等が挙げられる。また、ジイソシアナート化合物またはポリイソシアナート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアナート化合物;ジイソシアナート化合物またはポリイソシアナート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアナート化合物などがあげられる。
また重合性基含有化合物(a2)としては、下記式(1)のような重合性基含有ポリアルキレンオキシ化合物も使用することができる。
Figure 0005464635
式中、Rは水素またはメチル基、好ましくはメチル基であり、R〜Rはそれぞれ独立に水素または炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましくは水素であり、またnは2以上の整数であり、好ましくは2〜4である。複数存在するR〜Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。すなわち、nが2以上であるため、上記(1)式で表される重合性基含有ポリアルキレンオキシ基には、Rが2以上含まれる。この際、2以上存在するRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。R〜Rについても同様である。NCOはイソシアナート基を示す。
重合性基含有化合物(a2)は、上記アクリル系共重合体(a1)の官能基含有モノマー100当量当たり、通常10〜100当量、好ましくは15〜95当量、特に好ましくは20〜90当量の割合で用いられる。
アクリル系共重合体(a1)と重合性基含有化合物(a2)との反応は、通常は、室温程度の温度で、常圧にて、24時間程度行なわれる。この反応は、例えば酢酸エチル等の溶液中で、ジブチル錫ラウレート等の触媒を用いて行なうことが好ましい。
この結果、アクリル系共重合体(a1)中の側鎖に存在する官能基と、重合性基含有化合物(a2)中の置換基とが反応し、重合性基含有基がアクリル系共重合体(a1)中の側鎖に導入され、エネルギー線硬化型アクリル系粘着性重合体(A)が得られる。
また、重合性基含有ポリアルキレンオキシ化合物を使用した場合には、重合性基がポリアルキレンオキシ基を介して結合したエネルギー線硬化型アクリル系粘着性重合体(A)が得られる。エネルギー線硬化型アクリル系粘着性重合体(A)中にポリアルキレンオキシ基を導入することにより、エネルギー線硬化型アクリル系粘着性重合体(A)のエネルギー線硬化後の破断伸度が向上し、ウエハ加工用粘着シートの剥離時における糊残りが低減する。
[(C)架橋剤]
本発明で用いられるエネルギー線硬化型粘着剤は、上記のようなエネルギー線硬化型アクリル系粘着性重合体(A)単独で形成されていてもよいが、これを架橋剤(C)にて部分架橋して用いてもよい。架橋剤(C)としては、有機多価イソシアナート化合物、有機多価エポキシ化合物、有機多価イミン化合物等があげられる。
上記有機多価イソシアナート化合物としては、芳香族多価イソシアナート化合物、脂肪族多価イソシアナート化合物、脂環族多価イソシアナート化合物およびこれらの有機多価イソシアナート化合物の三量体、ならびにこれらの有機多価イソシアナート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアナートウレタンプレポリマー等をあげることができる。有機多価イソシアナート化合物としては、たとえば2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、1,3−キシリレンジイソシアナート、1,4−キシレンジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアナート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアナート、トリメチロールプロパンアダクトトルイレンジイソシアナート、リジンイソシアナートなどがあげられる。
上記有機多価エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)ベンゼン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)トルエン、N,N,N',N'-テトラグリシジル-4,4-ジアミノジフェニルメタン等をあげることができる。
上記有機多価イミン化合物としては、N,N'-ジフェニルメタン-4,4'-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオナート、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオナート、N,N'-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等をあげることができる。
このような架橋剤(C)の使用量は、エネルギー線硬化型アクリル系粘着性重合体(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、特に好ましくは1〜10重量部程度である。
[(B)光重合開始剤]
本発明におけるエネルギー線硬化型粘着剤層は、上記エネルギー線硬化型粘着性重合体(A)と、重量平均分子量400〜100000、好ましくは500〜50000、さらに好ましくは600〜10000の光重合開始剤(B)を含有する。
このような高分子量の光重合開始剤を用いると、光などの放射線を照射して粘着剤層を硬化させる際に、この粘着剤層が発熱したときでも、熱による揮散や分解などに起因した臭気の発生がみられなくなり、また粘着剤層が適度な凝集力を有するものとなって、剥離時にウエハへの糊残りが少なくなり、ウエハ汚染が防がれる。
このような光重合開始剤としては、ベンゾイン型、カルボニル型などを用いるのが好ましく、これらの基が高分子中に複数個あるもの、たとえば、ポリビニルベンゾイン系、ポリビニルケトン系などが好適に用いられる。市販品としては、シーベルヘグナー社の「ESACURE KIP100」、「ESACURE KIP150」などが挙げられる。「ESACURE KIP150」は、下記の構造式(2)で表される、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}である。
Figure 0005464635
上記以外の光重合開始剤として、下記の構造式(3)〜(8)で表される化合物も使用することができる。これらの詳細は、たとえばJ.Polyme.Sci Apolymer chem 24.875(‘86)、Tetrahedron Lett 323(‘74)、Eur.Polymer J.14.317(‘78)、J.Polyme.Sci chem,ed.,19.855(‘81)などに記載されている。
Figure 0005464635
Figure 0005464635
Figure 0005464635
Figure 0005464635
Figure 0005464635
Figure 0005464635
光重合開始剤(B)は、エネルギー線硬化型粘着性重合体(A)の合計100重量部に対して0.1〜10重量部、特には0.5〜5重量部の範囲の量で用いられることが好ましい。
[エネルギー線硬化型粘着剤]
エネルギー線硬化型粘着剤は、上記した重合性基が結合されたエネルギー線硬化型粘着性重合体、好ましくは前述したエネルギー線硬化型アクリル系粘着性重合体(A)を主成分として含有し、かつ高分子量の光重合開始剤(B)を含有するため、エネルギー線照射により、接着力が激減する。エネルギー線としては、具体的には、紫外線、電子線等が用いられる。
本発明において用いられるエネルギー線硬化型粘着剤層は、エネルギー線照射前には、充分な接着力を有し、ウエハの裏面研削時にはウエハを確実に保持し、またウエハのダイシング時にはチップの飛散を防止する。
上記エネルギー線硬化型粘着剤層は、エネルギー線の照射により硬化し、接着力が激減する。たとえば、半導体ウエハ鏡面に対する接着力は、エネルギー線の照射前には、好ましくは2000〜16000mN/25mm、さらに好ましくは5000〜12000mN/25mm程度であるのに対し、照射後には、照射前の1〜50%程度にコントロールできる。
本発明で用いるエネルギー線硬化型粘着剤は、重合性基が結合されたエネルギー線硬化型粘着性重合体(A)またはその架橋物と、高分子量の光重合開始剤(B)からなる。したがって、エネルギー線硬化型粘着性重合体(A)自体が、重合性化合物としての機能を有するため、エネルギー線硬化型粘着性重合体(A)にさらに、重合性化合物などの低分子量化合物を添加する必要がない。このため、本発明のエネルギー線硬化型粘着剤によれば、粘着剤に含まれる低分子量化合物量が著しく低減され、低分子量化合物の移行や揮発に伴う諸問題を解消することができる。
したがって、上記エネルギー線硬化型粘着剤には、低分子量のエネルギー線硬化性樹脂や光重合開始剤を配合する必要はなく、実質的に、エネルギー線硬化型粘着性重合体(A)またはその架橋物と、高分子量の光重合開始剤(B)のみからなることが好ましい。
しかしながら、本発明の目的を損なわない範囲で、炭酸カルシウム、シリカ、雲母などの無機フィラー、鉄、鉛等の金属フィラーを添加してもよい。さらに、上記成分の他にも、粘着剤には顔料や染料等の着色剤、粘着付与剤、レベリング剤等の添加物が含有されていてもよい。また、さらに粘着剤層には、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル等の汎用の粘着剤が含まれていても良い。なお、上記添加物は、重量平均分子量が400未満でないことが好ましい。すなわち、添加物を配合する場合には、その重量平均分子量は400以上であることが好ましい。エネルギー線硬化型粘着剤層に重量平均分子量が400未満のものを含まないことにより、本発明の顕著な効果が期待できる。これらの添加剤および汎用粘着剤は、粘着剤層中にエネルギー線硬化型粘着性重合体(A)100重量部に対し20重量部以下の割合で含まれていても良い。
[ウエハ加工用粘着シート]
本発明に係るウエハ加工用粘着シートは、前述した重合性基が結合されたエネルギー線硬化型粘着性重合体、好ましくはエネルギー線硬化型アクリル系粘着性重合体(A)と高分子量の光重合開始剤(B)とからなるエネルギー線硬化型粘着剤層が基材上に設けられてなる。
本発明のウエハ加工用粘着シートの基材としては、特に限定はされないが、たとえば後述するように、粘着剤を硬化するために照射するエネルギー線として紫外線を用いる場合には、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢ビフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等の紫外線に対して透明なフィルムが用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。
また、エネルギー線として電子線を用いる場合には、透明である必要はないので、上記の透明フィルムの他、これらを着色したフィルム、または不透明フィルム等を用いることができる。
本発明のウエハ加工用粘着シートは、該エネルギー線硬化型粘着剤をロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーターなど一般に公知の方法にしたがって各種の基材上に適宜の厚さで塗工して乾燥させて粘着剤層を形成し、次いで必要に応じ粘着剤層上に剥離シートを貼り合わせることによって得られる。また粘着剤層を剥離シート上に設け、これを上記基材に転写することで製造してもよい。本発明のエネルギー線硬化型粘着剤によれば、粘着剤に含まれる低分子量化合物量が著しく低減されるため、粘着剤層作成時における低分子量化合物の揮発に伴う組成変化は起こらない。
粘着剤層の厚さは、用途によって様々であるが、通常は10〜50μm、好ましくは20〜40μm程度であり、粘着剤層の厚さが薄くなると粘着性や表面保護機能が低下するおそれがある。また、基材の厚さは、通常は50〜500μm、好ましくは100〜300μm程度であり、基材の厚さが薄くなると操作性や表面保護機能が低下するおそれがある。
粘着剤層に様々な付加機能を付与するために、ウエハ加工用粘着シートの粘着剤層を多層化することがある。すなわち、エネルギー線硬化型粘着剤層に加えて、エネルギー線硬化型粘着剤層とは組成が異なる他の層、たとえば軟質な中間樹脂層を設ける場合などがある。
このような他の層は、基材とエネルギー線硬化型粘着剤層との間に形成されていてもよく、またエネルギー線硬化型粘着剤層上に積層されていてもよい。
[ウエハ裏面加工方法]
次に、本発明のウエハ加工用粘着シートの使用例として、粘着シートを用いたウエハ裏面加工方法について説明する。
ウエハの裏面研削においては、表面に回路が形成された半導体ウエハの回路面にウエハ加工用粘着シートを貼付して、回路面を保護しつつウエハの裏面を研削し、所定厚みのウエハとする。
半導体ウエハは、シリコンウエハであってもよく、またガリウム・砒素などの化合物半導体ウエハであってもよい。表面に所定の回路が形成されたウエハの研削前の厚みは特に限定はされないが、通常は650〜750μm程度である。
ウエハの裏面研削時には、ウエハ表面の回路を保護するために、回路面に本発明のウエハ加工用粘着シートを貼付する。裏面の研削は、グラインダーおよびウエハ固定のための吸着テーブル等を用いた公知の手法により行われる。
裏面研削工程後、ウエハ加工用粘着シートにエネルギー線を照射し、粘着剤を硬化させ、粘着力を低減した後、回路面からウエハ加工用粘着シートを剥離する。本発明のウエハ加工用粘着シートによれば、エネルギー線照射前には、充分な接着力を有し、ウエハの裏面研削時にはウエハを確実に保持し、また切削水の回路面への浸入を防止できる。また、エネルギー線照射による硬化後の粘着剤は、接着力が著しく低減される。この結果、回路面から容易に剥離でき、回路面への糊残りを低減することができる。
さらに本発明のエネルギー線硬化型粘着剤によれば、粘着剤に含まれる低分子量化合物量が著しく低減されるため、切削水による低分子量化合物の流失がなく、また低分子量化合物の移行によるウエハの汚染も防止できる。また、熱による低分子量化合物の揮散や分解などに起因した臭気もなく、作業環境を良好に保つことができる。
また、上記の裏面研削工程に続いて、ウエハ裏面に種々の加工が施されることがある。
たとえば、ウエハ裏面にさらに回路パターンを形成するため、エッチング処理等の発熱を伴う処理を行うことがある。また、ウエハ裏面に、ダイボンドフィルムを加熱圧着することもある。
この際に、本発明のウエハ加工用粘着シートにより回路パターンを保護しておくことで、所定の加工が終了した後の粘着シートの除去が容易である。また粘着剤層には低分子量化合物が実質的に含まれていないため、加工中の発熱、加熱による低分子量化合物の揮発も防止される。
[ウエハダイシング方法]
本発明のウエハ加工用粘着シートは、エネルギー線照射により接着力が激減する性質を有するため、ダイシングシートとして使用することもできる。
ダイシングシートとして使用する場合には、ウエハの裏面に本発明のウエハ加工用粘着シートを貼付する。ダイシングシートの貼付は、ローラーを備えたマウンターと呼ばれる装置により行われるのが一般的だが、特に限定はされない。
半導体ウエハのダイシング方法は特に限定はされない。一例として、ウエハのダイシング時には、ウエハを貼付したダイシングテープの周辺部を、リングフレームにより固定した後、ダイサーなどの回転丸刃を用いるなどの公知の手法により、ウエハのチップ化を行う。また、レーザー光を用いたダイシング法であってもよい。
次いで、ウエハ加工用粘着シートにエネルギー線を照射し、粘着剤を硬化させ、粘着力を低減した後、チップを粘着シートからピックアップする。ピックアップされたチップは、その後、常法によりダイボンド、樹脂封止がされ半導体装置が製造される。本発明のウエハ加工用粘着シートによればチップ裏面への糊残りや、低分子量化合物による汚染が低減され、チップ裏面の残留物による悪影響は生じない。また、熱による低分子量化合物の揮散や分解などに起因した臭気もなく、作業環境を良好に保つことができる。
[その他の使用形態]
また、本発明のウエハ加工用粘着シートは、ダイシング・ダイボンド兼用シートとして用いることもできる。この場合、粘着剤層には、エネルギー線硬化型粘着性重合体(A)、架橋剤(C)、光重合開始剤(B)に加えて、さらにエポキシなどの熱硬化性樹脂、および熱硬化性樹脂の硬化促進剤を配合する。また、基材としては、粘着剤層が形成される面の表面張力が、40mN/m 以下のフィルムを使用することが望ましい。
ウエハ加工用粘着シートをダイシング・ダイボンド兼用シートとして使用する場合には、まず、該シートをダイシング装置上に、リングフレームにより固定し、半導体ウエハの一方の面をシートの粘着剤層上に載置し、軽く押圧し、ウエハを固定する。
次いで、ダイシングソーなどの切断手段を用いて、上記のウエハを切断しチップを得る。この際に粘着剤層も同時に切断する。次いで粘着剤層にエネルギー線を照射する。その後、チップのピックアップを行うと、切断された粘着剤層をチップ裏面に固着残存させて基材から剥離することができる。
次いで、粘着剤層を介してチップを基板上のダイパッド部に載置し、加熱する。加熱により熱硬化性樹脂が接着力を発現し、チップとダイパッド部とを強固に接着することができる。本発明のウエハ加工用粘着シートによれば、熱硬化時の熱による低分子量化合物の揮発がないため、より強固な接着力を得ることができる。
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、各成分の配合量(含有量)は、断りがない限りすべて固形分での値とする。
なお、以下の実施例および比較例において「残留パーティクル」および「耐流失性」は下記のように評価した。
「残留パーティクル測定」
実施例および比較例で得られた粘着シートを、5インチシリコンウエハの鏡面に貼付し、23℃、50%RH環境下に24時間放置した。その後、粘着シートの基材側から紫外線を照射し(照度220mW/cm、光量160mJ/cm)、ウエハから粘着シートを剥離した。このときウエハ表面に残留した粒径0.27μmφ以上のパーティクルの数をレーザー表面検査装置(LS66000、日立電子エンジニアリング社製)により測定した。
「耐流失性」
(ブランク試験)
粘着シートをリングフレームに貼付し、上記と同条件で紫外線を照射し粘着剤層を硬化した。
硬化前後の粘着剤層をFT−IRにより分析し、アクリロイル基に由来する吸収ピーク強度を求め、硬化前後の強度比(硬化後のアクリロイル基に由来のピーク強度/硬化前のアクリロイル基に由来のピーク強度)を求めた。以下、この強度比をブランク強度比と呼ぶ。
(流失試験)
粘着シートをリングフレームに貼付し、粘着剤層に純水を30分間噴霧し、乾燥後、上記と同条件で紫外線を照射し粘着剤層を硬化した。
上記と同様にして、硬化前後の強度比(硬化後のアクリロイル基に由来のピーク強度/硬化前のアクリロイル基に由来のピーク強度)を求めた。以下、この強度比を流失後強度比と呼ぶ。
流出後強度比とブランク強度比との比(流出後強度比/ブランク強度比)[%]から、重合に関与する化合物の流失程度を評価した。すなわち、この値が高いほど、未反応のアクリロイル基の残留したことを意味する。これは光重合開始剤が流失した結果、重合不全が起きたことを意味する。
(実施例1)
(エネルギー線硬化型粘着剤の作成)
n−ブチルアクリレート85重量部、官能基含有モノマーとして2−ヒドロキシエチルアクリレート15重量部を用いて酢酸エチル溶媒中、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを重合開始剤として溶液重合し、重量平均分子量600000のアクリル系共重合体を生成した。このアクリル系共重合体100重量部に対し、メタクリロイルオキシエチルイソシアナート16重量部(アクリル系共重合体の官能基であるヒドロキシル基100当量に対して80当量)とを反応させ、重合性基が結合してなるアクリル系粘着性重合体(エネルギー線硬化型アクリル系粘着性重合体)を得た。
エネルギー線硬化型アクリル系粘着性重合体100重量部に対し、架橋剤として多価イソシアナート化合物(コロネートL(日本ポリウレタン社製))1重量部と、高分子量の光重合開始剤としてKIP150(シーベルヘグナー社製、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、重量平均分子量800)4重量部を混合し、架橋されたエネルギー線硬化型アクリル系粘着性重合体とKIP150とからなるエネルギー線硬化型粘着剤組成物を得た。
(粘着シートの作成)
エネルギー線硬化型粘着剤組成物を溶媒(酢酸エチル)で30重量%溶液となるよう濃度を調整し、ロールナイフコーターを用いて、乾燥後の塗布厚が20μmとなるように、剥離シートとして表面をシリコーン剥離処理した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面に塗布し、100℃で1分間乾燥した後、得られた粘着剤層に、基材として厚さ110μmのポリエチレンフィルムを積層し、粘着シートを得た。得られた粘着シートを用いて下記の測定をした。結果を表1に示す。
(実施例2)
2−エチルヘキシルアクリレート35重量部、ビニルアセテート45重量部、官能基含有モノマーとして2−ヒドロキシエチルアクリレート20重量部を用いて酢酸エチル溶媒中、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを重合開始剤として溶液重合し、重量平均分子量680000のアクリル系共重合体を生成した。このアクリル系共重合体100重量部に対し、メタクリロイルオキシエチルイソシアナート21重量部(アクリル系共重合体の官能基であるヒドロキシル基100当量に対して80当量)とを反応させ、重合性基が結合してなるアクリル系粘着性重合体(エネルギー線硬化型アクリル系粘着性重合体)を得た。得られたエネルギー線硬化型アクリル系粘着性重合体を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
光重合開始剤として、KIP150に代えて、ESACURE ONE(シーベルヘグナー社製、重量平均分子量1200)4重量部を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
光重合開始剤として、KIP150に代えて、イルガキュアー184(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、分子量204.3)4重量部を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
n−ブチルアクリレート84重量部、メチルメタクリレート8重量部、アクリル酸3重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5重量部を用いて酢酸エチル溶媒中、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを重合開始剤として溶液重合し、重量平均分子量650000のアクリル系共重合体を生成した。
このアクリル系共重合100重量部に対して、低分子量のエネルギー線硬化性樹脂として、UV−3210EA(2〜3官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量約8000)120重量部、架橋剤として多価イソシアナート化合物(コロネートL(日本ポリウレタン社製))1重量部、高分子量の光重合開始剤(KIP150、シーベルヘグナー社製)4重量部を混合し、架橋されたアクリル系粘着性重合体とウレタンアクリレートオリゴマーとKIP150とからなるエネルギー線硬化型粘着剤組成物を得た。
得られたエネルギー線硬化型粘着剤組成物を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
光重合開始剤として、KIP150に代えて、イルガキュアー184を4重量部使用した以外は、比較例2と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005464635

Claims (4)

  1. 基材と、その上に形成されたエネルギー線硬化型粘着剤層とからなり、前記エネルギー線硬化型粘着剤層が、
    主鎖または側鎖に、エネルギー線重合性基が結合されてなる重量平均分子量が10万以上のエネルギー線硬化型粘着性重合体と、
    重量平均分子量600〜1200の光重合開始剤とを含有する、半導体ウエハ加工用粘着シート。
  2. 請求項1に記載の半導体ウエハ加工用粘着シートのエネルギー線硬化型粘着剤層に、表面に回路が形成された半導体ウエハの回路表面を貼付し、該ウエハの裏面加工を行う、半導体ウエハの加工方法。
  3. 請求項1に記載の半導体ウエハ加工用粘着シートのエネルギー線硬化型粘着剤層に、表面に回路が形成された半導体ウエハの裏面を貼付し、ウエハのダイシングを行う、半導体ウエハの加工方法。
  4. 基材と、その上に形成されたエネルギー線硬化型粘着剤層とからなり、前記エネルギー線硬化型粘着剤層が、
    主鎖または側鎖に、ポリアルキレンオキシ基を介してエネルギー線重合性基が結合されてなるエネルギー線硬化型粘着性重合体と、
    重量平均分子量600〜100000光重合開始剤とを含有する、半導体ウエハ加工用粘着シート。
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