JP5460927B2 - 複合フィルム並びに複合フィルムを製造する方法並びに少なくとも１つの複合フィルムから成るフィルム結合体を製造する方法並びに複合フィルムを製造する装置 - Google Patents

Description

背景技術
本発明は、各独立請求項の上位概念に記載の形式の複合フィルム並びに複合フィルムを製造する方法並びに少なくとも１つの前記複合フィルムから成るフィルム結合体を製造する方法に関する。本発明はさらに、複合フィルムを製造する装置に関する。

このような形式の複合フィルムは特に、食品・食産業により公知であり、この場合、それぞれ所定の量の食品若しくは食物を包含する包装を製造するために用いられる。特にこのような複合フィルムは、いわゆるチューブ状袋包装を製造するものとして公知である。このようなチューブ状袋包装は、１つの複合フィルムの互いに反対側の２つの縁部領域を又は２つの別個の複合フィルムを互いに向かい合わせて配置し、熱及び圧力をかけながら、複合フィルムの互いに向かい合わせて配置されたシール層の両縁部領域を互いに溶着することにより製造される。複合フィルムはこの場合、異なる融点を有する互いに結合された複数の層から成っている。シールの際に、低い融点を有するフィルム層がまず溶融する。従って、複合フィルムを溶着する際には、最も低い融点を有する層をシール層として包装内面に配置するのが普通である。

経済的な考慮に基づき、この場合、包装の内側層としても形成されるシール層として特にポリエチレン（ＰＥ）が重要である。ＰＥよりも高い融点を有する別のプラスチック、例えばポリアミド（ＰＡ）又はポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）をシール層として使用することはできない。何故ならばこれらのポリマの融点は高すぎて、包装分野においては、経済的に溶着することができず、若しくは溶着シーム強度が十分ではないからである。さらに、ＰＡ又はＰＥＴのようなプラスチックを包装内面に使用すると、これよりも低い融点を有するプラスチックを同時に使用することは不可能である。何故ならば、比較的高い融点を有する包装内面における層が溶融することなく、より低い融点を有する層がまず溶融するからである。

付言すると、例えばミネラルウォーターのような敏感な食品のための包装として、充填物に接触する最も内側の包装材料層に特にポリエチレン（ＰＥ）を使用することは、その高い移行性（マイグレーション性）に基づき適していない。

発明の開示
先行技術を起点とする本発明の課題は、各独立請求項の上位概念の形式の複合フィルム並びに複合フィルムを製造する方法並びに少なくとも１つの複合フィルムから成るフィルム結合体を製造する方法を改良して、包装の内側層として、その他の層に対して最も低い融点を必ずしも有するわけではない材料を使用することができるようにすることである。これにより特に、ポリエチレン（ＰＥ）の代わりに選択的なポリマを使用することができる。この課題は、請求項１の特徴を有する複合フィルムにより解決される。このような複合フィルムを製造する方法及び少なくとも１つの本願発明による複合フィルムから成るフィルム結合体を製造する方法は、各従属請求項に記載されている。

この場合、本発明の根底を成す思想は、充填物と接触する内側層として、最初に溶融する（シール）層よりも高い融点を有する材料、特にポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）を使用し、内側層は、この層よりも低い融点を有するシール層によって覆われる少なくとも１つの貫通孔を有していることにある。シールシーム若しくは溶着シームの領域における密な結合部は特に、シール層の溶融の際に、シール層の材料が、ＰＥＴ内側層の貫通孔を通って進入し、反対側のシール層と作用結合することにより得られる。同時に、溶着パラメータ及びシール工具によっては、シールジョーの圧力作用下で内側層における貫通孔が破断されるので、貫通孔の領域には、好ましくは全面的な、特に線状の結合区域が得られる。

本発明による複合フィルム、並びに複合フィルムを製造する方法、並びに少なくとも１つの複合フィルムから成るフィルム結合体を製造する方法の有利な別の構成は、各従属請求項に記載されている。請求の範囲、発明の詳細な説明及び／又は図面に開示された特徴の少なくとも２つから成る全ての組み合わせは本発明の範囲である。

特に包装のための内側層としてＰＥＴを使用することは有利であり、例えば水のような敏感な食品の場合に、このような複合フィルムは、このような敏感な食品を僅かな移行性に基づきＰＥＴで包装するのに適している。

シール層と第１の層との間に、バリヤ層として働く第３の層が配置されていると特に有利である。このようなバリヤ層は、例えば、包装への紫外線の侵入を阻止することができ、従って、食品若しくは食物の品質保持性を拡大することができる。

第２の層に、互いに等間隔を置いて配置されている複数の貫通孔が形成されていると特に好ましい。この構成により、本発明による複合フィルムを特に、エンドレス包装材料ウェブとして貯え、特に簡単に加工することができる。

特に液状又はペースト状の充填物の流出を確実に阻止しなければならない特に密なチューブ状袋包装を形成するために、本発明の特に好適な構成では、少なくとも２列の貫通孔が設けられており、これらの列の間に、貫通孔を有さないストリップ状の区域が形成されていて、貫通孔の両列は、前記ストリップ状の区域の領域で複合フィルムを折り曲げ、折り縁部を形成しながら両区分を互いに対向させる際に、互いに対向させられた両第２の層の貫通孔が互いに重なり合って配置されるように、互いに方向付けられている。

シール層がポリエチレン（ＰＥ）から成っていて、その層厚さが３０μｍ〜１００μｍ、特に５０μｍ〜９０μｍであって、第２の層の厚さが８μｍ〜２０μｍ、特に１２μｍ〜１８μｍであるならば、チューブ状袋における包装の特性に関して十分な結果が得られる。

本発明のさらなる利点、特徴、詳細は、以下の有利な実施例の説明並びに図面に記載されている。

食品・食物のためのチューブ状袋包装として形成された包装を示す斜視図である。 図１のＩＩ−ＩＩ線に沿った断面図である。 図１の包装で使用するための別の層を備えた複合フィルムを、溶着シームによって結合された縁部領域で示す斜視図である。 図３の複合フィルムの一部をシール層並びに内側層の領域で示した斜視図である。 ＰＥＴ内側層に貫通孔を形成するための装置を簡略化して示した図である。

図１には特に食品産業若しくは食産業において使用可能である包装１が示されている。この包装１は、特に液状、ペースト状、又は塊状の充填物、例えば、牛乳、水、ケチャップ等を包装するために用いられる。感覚的に敏感な食品、例えば水を包装するためには、複合フィルムの使用が特に好ましい。

包装１はこの実施例では、枕状に形成されていて特に、ストリップ状の上方溶着シーム２と同様にストリップ状の下方溶着シーム３とを有している。このような形式の包装１は実際にはいわゆるチューブ状袋機械によって製造され、この機械では、エンドレス包装材料ウェブとして貯えられた少なくとも１つの複合フィルムが所定のサイクルで又は継続的に、引き出され、折られ、充填され、溶着される。この場合、このような形式のチューブ状袋機械は、唯１つの包装材料ウェブ又は２つの別個の包装材料ウェブを用いて作業する。唯１つの包装材料ウェブの場合、送り方向に関して長手方に沿って間隔を置いて配置された両端部領域が互いに向かい合って配置され、２つの包装材料ウェブの場合、これらは重ね合わせられる。従って両場合とも、図１には示されていないが、別のいわゆる長手方向溶着シームが必要である。

補足すると、本発明の範囲においては勿論、枕状の包装１ではなく別の形状の包装１、例えばスタンド型袋包装、ピラミッド型包装等を設ける若しくは使用することもできる。重要であるのは、このような形式の全ての包装１が溶着シーム２，３を有していることだけである。

溶着シーム２，３の製造は、先行技術により公知のいわゆるシール工具によって行われる。シール工具は、シールジョーを有しており、これらのシールジョーの間に、少なくとも１つの包装材料ウェブの互いに向かい合わせられた両区分が、熱及び圧力の作用下で互いに溶着される。

包装１は、図３に示した本発明による複合フィルム１０を使用して製造される。この複合フィルム１０は上述した包装材料ウェブを成す。複合フィルム１０は少なくとも３つの異なる層１１，１２，１３を有している。第１の層１１を成す、包装１の外側層１１としてはこの場合、必須ではないが好ましくはポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）が使用される。これに対する選択肢は、例えば、ポリアミド（ＰＡ）の使用も考えられる。第１の（外側）層１１には第２の層としてシール層１２が続く。このシール層は特にポリエチレン（ＰＥ）から成っている。外側層１１はシール層１２よりも高い融点を有している。シール層１２にはさらに、前記外側層１１とは反対の側に、内側層１３として働く第２の層が続いている。内側層１３もこの場合特にポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）から成っている。この場合重要であるのは、シール層１２が、内側層１３よりも低い融点を有していることである。

シール層１２の層厚さが３０μｍ〜１００μｍ、特に５０μｍ〜９０μｍを有しており、内側層１３が８μｍ〜２０μｍ、特に１２μｍ〜１８μｍを有していると、包装１に関して実際に満足できる結果が得られた。

図３に示されているように、特に、外側層１１とシール層１２との間に少なくとも１つの付加的なバリヤ層１５を配置することも可能である。バリヤ層１５の材料としては、この場合、複合フィルム１０で使用されている全てのバリヤ層１５が考慮の対象となる。複合フィルム１０全体は、互いに結合された複数のシートから成っていても良い。重要であるのは、食品に接触する内側層１３が、この内側層１３と協動するシール層１２よりも高い融点を有していることだけである。

本発明により重要であるのは、内側層１３に少なくとも１つのパーフォレーション若しくは少なくとも１つの貫通孔１７が形成されていることである。図４には例えば、異なる３つの形式の貫通孔１７が示されている。即ち、貫通孔１７ａは円形貫通孔１７ａとして形成されており、貫通孔１７ｂは矩形横断面を有している。貫通孔１７ｃはジグザグパターンとして形成されている。貫通孔１７ａと１７ｂを使用する場合、これは特に、互いに隣接する若しくは互いに前後して配置された複数の貫通孔１７ａ若しくは１７ｂとして配置若しくは形成されている。

本発明による複合フィルム１０により包装１を形成する場合、図３に示したように（この場合、唯１つの複合フィルム１０を使用する例が示されている）、複合フィルム１０を縁部１８の領域で折り曲げて、内側層１３の互いに対向する区分の貫通孔１７が互いに整合して配置されるようにする。貫通孔１７と縁部１８との間には、貫通孔１７が形成されていない区域１９が形成される。

図３に示した実施例では、整合するように配置された２列の貫通孔１７を備えた１つの領域のみが示されている。勿論、このような形式の複数列の貫通孔１７が縁部１８に対して平行に配置されているものも、本発明の範囲に含まれる。

貫通孔１７の領域に溶着シーム２，３を形成する場合、上記のシール若しくは溶着工具によって、熱と圧力を溶着シーム２，３の領域に付与する。この場合、シール層１２は溶融されて、図２に示されているようにシール層１２から出た材料が貫通孔１７を通って行き、特に反対側のシール層１２の材料と一体化して、堅固な結合を形成するようになる。

さらに、溶着パラメータとシール工具の構成に応じて、貫通孔１７の破断若しくは拡開が行われ、両シール層１２が、全面的に密な結合を形成する特にストリップ状の結合区域が形成され、これにより場合によっては、縁部１８を形成するための複合フィルム１０の折り曲げを省くことができる。

図５には、内側層１３に貫通孔１７を形成するための装置２０が極めて簡略に示されている。この装置２０は、複合フィルム１０を製造するための装置（図示せず）の一部である。この場合、内側層１３は矢印２１の方向で所定のサイクルで又は継続的に装置２０の下方に沿って送られる。この場合、装置２０は内側層１３に貫通孔１７を形成する。装置２０としては、この場合、特にレーザービーム装置、打ち抜き装置、又は少なくとも１つのナイフを備えた装置２０が考慮の対象となる。このように形成された内側層１３は次いで、公知の形式で、装置によって、外側層１１、シール層１２、場合によってはバリヤ層１５に結合され、この場合、シール層１２は少なくとも貫通孔１７の領域を覆う。別の装置２０も考えられる。従って、例えば、レーザー装置によって、既に製造された複合フィルム１０に後から貫通孔１７を形成することができ、この場合、場合によっては、例えば注出開口の形成を容易にするため、又はその取り扱いを容易にするために、複合フィルムに付加的な脆弱部を形成することができる。

Claims (14)

1. シール可能な材料から成る少なくとも１つのシール層（１２）を有しており、該シール層（１２）は、外側層として作用する第１の層（１１）に少なくとも間接的に結合されており、前記シール層（１２）は前記第１の層（１１）よりも低い融点を有していて、前記シール層（１２）の、前記第１の層（１１）とは反対の側に、前記シール層（１２）と作用結合する、内側層（１３）として作用する第２の層（１３）が配置されており、該第２の層（１３）は、前記シール層（１２）よりも高い融点を有しており、前記第２の層（１３）は、前記シール層（１２）によって覆われる少なくとも１つの貫通孔（１７；１７ａ，１７ｂ，１７ｃ）を有している複合フィルム（１０）であって、
   前記第２の層（１３）に複数の貫通孔（１７；１７ａ，１７ｂ，１７ｃ）が形成されており、これらの貫通孔が互いに均一な間隔を置いて配置されていて、少なくとも２列の貫通孔（１７；１７ａ，１７ｂ，１７ｃ）が設けられており、前記両列の間に前記貫通孔（１７；１７ａ，１７ｂ，１７ｃ）を有さないストリップ状の区域（１９）が形成されており、前記貫通孔（１７；１７ａ，１７ｂ，１７ｃ）の両列は、前記ストリップ状の区域（１９）の領域で前記複合フィルム（１０）を折り曲げ、折り縁部（１８）を形成しながら前記複合フィルム（１０）の両区分を互いに対向させる際に、互いに対向させられた両第２の層（１３）の前記貫通孔（１７；１７ａ，１７ｂ，１７ｃ）が互いに重なり合って配置されるように、互いに方向付けられていることを特徴とする複合フィルム。
2. 前記第２の層（１３）はポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）から成っている、請求項１記載の複合フィルム。
3. 前記シール層（１２）と前記第１の層（１１）との間に、バリヤ層として作用する少なくとも１つの第３の層（１５）が配置されている、請求項１又は２記載の複合フィルム。
4. 前記シール層（１２）がポリエチレン（ＰＥ）から成っていて、３０μｍ〜１００μｍの層厚さを有しており、前記第２の層（１３）が８μｍ〜２０μｍの厚さを有している、請求項１から３までのいずれか１項記載の複合フィルム。
5. 前記シール層（１２）の層厚さが５０μｍ〜９０μｍであって、前記第２の層（１３）の厚さが１２μｍ〜１８μｍの厚さを有している、請求項４記載の複合フィルム。
6. 食品産業又は食産業における包装（１）のためのものである、請求項１から５までのいずれか１項記載の複合フィルム。
7. 外側層として作用する第１の層（１１）と、シール層（１２）と、内側層として作用する第２の層（１３）とを互いに面状に結合して、請求項１から６のいずれか１項記載の複合フィルム（１０）を製造する方法であって、前記シール層（１２）よりも高い融点を有する前記第２の層（１３）に、前記シール層（１２）と結合する前に少なくとも１つの貫通孔（１７；１７ａ，１７ｂ，１７ｃ）を形成し、前記シール層（１２）を、少なくとも前記貫通孔（１７；１７ａ，１７ｂ，１７ｃ）の領域に配置し、これにより前記シール層（１２）によって少なくとも１つの前記貫通孔（１７；１７ａ，１７ｂ，１７ｃ）を覆うことを特徴とする、複合フィルムを製造する方法。
8. 請求項１から６までのいずれか１項記載の複合フィルム（１０）を使用して、少なくとも１つの複合フィルム（１０）から成るフィルム結合体（１）としての包装を製造する方法であって、少なくとも１つの前記複合フィルム（１０）の２つの区分を互いに向かい合うように配置し、熱及び圧力の付与により少なくとも１つのシール層（１２）を活性化し、前記両区分の前記シール層（１２）を作用結合させ、互いに向かい合いって位置する前記両区分を互いに結合する方法において、
   少なくとも１つの前記複合フィルム（１０）に熱若しくは圧力を付与することにより、内側層として作用する第２の層（１３）の互いに重なるように方向付けられた貫通孔（１７；１７ａ，１７ｂ，１７ｃ）の領域に、前記シール層（１２）の材料を少なくとも押し込み、これにより前記両シール層（１２）の前記材料を作用結合させることを特徴とする、少なくとも１つの複合フィルム（１０）から成るフィルム結合体（１）としての包装を製造する方法。
9. 熱及び圧力の作用下でシールする際に、前記内側層（１３）の前記貫通孔（１７；１７ａ，１７ｂ，１７ｃ）の広がりが拡大し、若しくは前記貫通孔（１７；１７ａ，１７ｂ，１７ｃ）が破断し、全面的に密な結合を形成する、請求項８記載の方法。
10. 唯１つの複合フィルム（１０）を使用する場合、該複合フィルム（１０）を、前記第２の層（１３）における前記貫通孔（１７；１７ａ，１７ｂ，１７ｃ）を有さないストリップ状の区域（１９）の領域で、折り縁部（１８）を形成しながら折り、互いに対向させ、これにより前記貫通孔（１７；１７ａ，１７ｂ，１７ｃ）を互いに整合するように配置する、請求項８又は９記載の方法。
11. 少なくとも１つの貫通孔（１７；１７ａ，１７ｂ，１７ｃ）を、第２の層（１３）に形成する装置（２０）を設けることを特徴とする、請求項１から６までのいずれか１項記載の複合フィルム（１０）を製造する装置。
12. 前記貫通孔が、互いに均一な間隔を置いて配置された複数の貫通孔（１７；１７ａ，１７ｂ，１７ｃ）である、請求項１１記載の装置。
13. 前記第２の層（１３）がポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）から成っている、請求項１１又は１２記載の装置
14. 前記装置（２０）がレーザー装置又は打ち抜き装置として形成されている、又は少なくとも１つのナイフを有している、請求項１１から１３までのいずれか１項記載の装置。

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