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JP5459054B2 - 車両用ボデー部材 - Google Patents

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JP5459054B2 JP2010109487A JP2010109487A JP5459054B2 JP 5459054 B2 JP5459054 B2 JP 5459054B2 JP 2010109487 A JP2010109487 A JP 2010109487A JP 2010109487 A JP2010109487 A JP 2010109487A JP 5459054 B2 JP5459054 B2 JP 5459054B2
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Description

本発明は、車両用ボデー部材に関する。
車両用ボデー部材は、車両の走行時の加速度等によって発生する荷重を受けることができるように設けられているが、従来の車両用ボデー部材では、車両の衝突時における車体の変形を最小限に留めるために、衝突時に発生する荷重による応力に対する強度を確保しているものがある。例えば、特許文献1に記載のセンターピラー構造では、センターピラーのうち、曲げモーメントが大きな箇所に補強部材を設けることによりセンターピラーの強度を確保し、車両の衝突時における変形を低減している。
特開2005−247002号公報
しかしながら、大きな応力が発生する箇所に補強部材を設けて強度を確保した場合、質量が増加するため、車両の走行性能の低下や燃費の悪化の要因になる場合があった。また、補強部材を設けることにより強度を確保した場合、製造コストが上昇する場合があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、補強部材を増加させることなく、強度を大きくすることのできる車両用ボデー部材を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係る車両用ボデー部材は、車両のボデーを構成する部材である車両用ボデー部材において、長手方向に延びる稜線のうち、前記ボデーに作用する荷重による曲げモーメントが最大となる部分に対応する前記稜線の曲率が、他の部分に対応する前記稜線の曲率よりも大きくなっていることを特徴とする。
また、上記車両用ボデー部材において、アウタパネルと補強材とを有しており、少なくとも前記補強材の前記稜線の曲率が最大になる部分が、前記曲げモーメントが最大となる部分に対応していることが好ましい。
また、上記車両用ボデー部材において、前記車両のピラーの長手方向に延びる稜線の曲率が最大になる部分が、前記ピラーの前記曲げモーメントが最大となる部分に対応していることが好ましい。
また、上記車両用ボデー部材において、前記車両のバンパの長手方向に延びる稜線の曲率が最大になる部分が、前記バンパの前記曲げモーメントが最大となる部分に対応していることが好ましい。
また、上記車両用ボデー部材において、前記バンパの前記稜線の曲率が最大になる部分は、前記車両の幅方向における中央から離れた2箇所に位置していることが好ましい。
また、上記車両用ボデー部材において、前記車両の前後方向に延びる部材である前後方向骨格部材の長手方向に延びる稜線の曲率が最大になる部分が、前記前後方向骨格部材の前記曲げモーメントが最大となる部分に対応していることが好ましい。
また、上記車両用ボデー部材において、前記前後方向骨格部材の前記稜線の曲率が最大になる部分は、前記車両のピラーと前記前後方向骨格部材との接合部に位置していることが好ましい。
また、上記車両用ボデー部材において、前記車両のフロントサイドメンバにおけるキックアッパ部の長手方向に延びる稜線の曲率が最大になる部分が、前記キックアッパ部の前記曲げモーメントが最大となる部分に対応していることが好ましい。
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係る車両用ボデー部材は、車両のピラーを形成する車両用ボデー部材において、前記車両が有する窓枠の下端の上方の部分の曲率が、他の部分の曲率よりも大きくなっていることを特徴とする。
本発明に係る車両用ボデー部材は、補強部材を増加させることなく、強度を大きくすることができる、という効果を奏する。
図1は、本発明の実施形態1に係るセンターピラーが設けられた車両の概略図である。 図2は、図1に示す車両のフレーム材の斜視図である。 図3は、センターピラーの斜視図である。 図4は、センターピラーの分解斜視図である。 図5は、センターピラーの曲率分布を示す説明図である。 図6は、曲率が小さい部材に曲げモーメントが入力された場合における断面図である。 図7は、曲率が大きい部材に曲げモーメントが入力された場合における断面図である。 図8は、部材の曲率と曲げモーメントとの関係を示す説明図である。 図9は、実施形態2に係るセンターピラーの説明図である。 図10は、図9のA部詳細図である。 図11は、図10のB−B断面図である。 図12は、図10のC−C断面図である。 図13は、図9に示すインナパネルをピラーリインフォースの方向から見た場合における斜視図である。 図14は、実施形態3に係るバンパリインフォースを示す平面図である。 図15は、図14に示すバンパリインフォースの斜視図である。 図16は、実施形態4に係るバンパリインフォースを示す平面図である。 図17は、図16に示すバンパリインフォースの斜視図である。 図18は、実施形態5に係るロッカーレールを示す平面図である。 図19は、図18に示すロッカーレールが有するアウタリインフォースの斜視図である。 図20は、図18に示すロッカーレールが有するロッカインナをアウタリインフォース側から見た場合における斜視図である。 図21は、実施形態6に係るロッカーレールを示す平面図である。 図22は、図21に示すロッカーレールが有するアウタリインフォースの斜視図である。 図23は、実施形態7に係るロッカーレールを示す平面図である。 図24は、図23に示すロッカーレールが有するアウタリインフォースの斜視図である。 図25は、実施形態8に係るキックアッパ部を示す側面図である。 図26は、図25に示すキックアッパ部に備えられるフロントサイドメンバの斜視図である。 図27は、図25に示すキックアッパ部に備えられるキックアッパリインフォースの斜視図である。 図28は、図25のD−D断面図である。 図29は、図25のE−E断面図である。 図30は、実施形態9に係るルーフレールを示す平面図である。 図31は、図30に示すルーフレールの斜視図である。 図32は、図30のF−F断面図である。
以下に、本発明に係る車両用ボデー部材の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
〔実施形態1〕
図1は、本発明の実施形態1に係るセンターピラーが設けられた車両の概略図である。図2は、図1に示す車両のフレーム材の斜視図である。同図に示す車両1は、本発明に係る車両用ボデー部材の実施形態1であるセンターピラー13を備えており、この車両1は、ボデー2の強度を確保するフレーム材10を有してボデー2が構成されている。フレーム材10は、強度が高い金属材料により形成されており、ボデー2の骨格を成している。このように設けられるフレーム材10は、ボデー2の下面側に位置するフロア11と、車両1の幅方向におけるフロア11の両端に位置し、車両1の前後方向に延びる部材であるロッカーレール12と、車両1が有する複数のピラーのうちの一部を形成し、且つ、車両1の前後方向におけるロッカーレール12の中間部付近に接合されるセンターピラー13と、センターピラー13におけるロッカーレール12に接合されている側の端部の反対側の端部に接合されるルーフレール14と、を有している。
このうち、センターピラー13は、ロッカーレール12と同様に車両1の幅方向における両側に配設されており、2箇所のセンターピラー13は、車両1の幅方向における両側に配設される双方のロッカーレール12にそれぞれ接合され、車両1の前後方向におけるロッカーレール12の中間部付近から車両1の上方に延びて設けられている。また、ルーフレール14は、ロッカーレール12やセンターピラー13と同様に車両1の幅方向における両側に配設されており、2箇所のルーフレール14は、車両1の前後方向における中間部付近が、車両1の幅方向における両側に配設される双方のセンターピラー13にそれぞれ接合されている。
フレーム材10が有するロッカーレール12と、センターピラー13と、ルーフレール14とは、これらのように設けられているため、ロッカーレール12は、車両1のフロントドア3やリアドア4の下端付近に配設されている。また、ルーフレール14は、車両1の幅方向におけるルーフ8の両端に位置して車両1の前後方向に延びており、フロントドア3やリアドア4の上端付近に配設されている。また、センターピラー13は、フロントドア3とリアドア4との間に位置して車両1の上下方向に延びており、ルーフレール14とロッカーレール12とを接続している。即ち、センターピラー13はリアドア4の前端付近に配設されており、リアドア4を開閉する際におけるヒンジ(図示省略)は、このセンターピラー13に接続されている。
図3は、センターピラーの斜視図である。センターピラー13は、このように両端部がロッカーレール12とルーフレール14とに接合しているが、詳しくは、センターピラー13が有する補強材であるピラーリインフォース20が、ロッカーレール12とルーフレール14とに接合している。このピラーリインフォース20は、車両1の上下方向に見た場合における断面形状が、開口側が車両1の幅方向の内側方向になる略ハット型の形状で形成されている。
これに対し、ピラーリインフォース20が接合されるロッカーレール12とルーフレール14とは、共に複数の部材を組み合わせることにより内側に中空部分を有するパイプ状の形状で形成されている。ピラーリインフォース20は、このように形成されるロッカーレール12やルーフレール14に対して、車両1の幅方向における外方から、ロッカーレール12やルーフレール14の一部を覆うように係合することにより、ロッカーレール12やルーフレール14に接合している。
図4は、センターピラーの分解斜視図である。また、センターピラー13は、さらに、アウタパネル25とインナパネル26とを有している。このうち、アウタパネル25は、車両1の幅方向における外方からセンターピラー13を覆っており、さらに、ロッカーレール12やルーフレール14の一部も覆っている。また、インナパネル26は、車両1の幅方向におけるセンターピラー13の内方に配設されており、略ハット型に形成されているピラーリインフォース20の開口部分を塞いでいる。このため、センターピラー13は、ピラーリインフォース20とインナパネル26とにより、車両1の上下方向に見た場合における断面形状が、角型のパイプ状の形状となって形成されている。
図5は、センターピラーの曲率分布を示す説明図である。センターピラー13は、このようにロッカーレール12とルーフレール14とに接合されているが、このように設けられるセンターピラー13は、ピラーリインフォース20、アウタパネル25、インナパネル26が、共に湾曲して形成されている。このセンターピラー13の湾曲の方向は、車両1の幅方向における外方に凸になる方向になっている。
湾曲して形成されているセンターピラー13は、車両1の高さ方向における位置によって曲率が変化しており、詳しくは、ピラーリインフォース20が、車両1の高さ方向における位置によって曲率が変化して湾曲しており、アウタパネル25とインナパネル26とは、センターピラー13に沿って形成されている。また、車両1の高さ方向における位置によって曲率が変化しているピラーリインフォース20は、ベルトラインBLの範囲内に、曲率が最大となる部分である最大曲率部Cmaxが位置している。
なお、ここでいうベルトラインBLは、フロントドア3やリアドア4に設けられるドアガラス5の下端部分の、車両1の高さ方向における高さであるドアガラス下端高さから上下方向にそれぞれ100mmの範囲内をいう。つまり、ベルトラインBLは、フロントドア3やリアドア4の板金部分と、ドアガラス5を閉めた状態におけるドアガラス5の下端部分との上下方向の境界から上下にそれぞれ100mmの範囲内を指す。
また、好ましくは、ピラーリインフォース20は、車両1が有するドアガラス5の枠である窓枠の下端の上方の部分の曲率が、他の部分の曲率よりも大きくなっているのが好ましい。つまり、アウタパネル25の最大曲率部と、ピラーリインフォース20の最大曲率部Cmaxとをずらすと共に、ピラーリインフォース20の強度をアウタパネル25の強度よりも大きくし、ピラーリインフォース20の最大曲率部Cmaxを、ベルトラインBLの範囲内において、ドアガラス5を閉めた状態におけるドアガラス5の下端部分よりも上方に位置させるのが好ましい。
ピラーリインフォース20は、車両1の幅方向における外方に凸となる方向に湾曲すると共に、最大曲率部CmaxがこのベルトラインBLに位置しており、最大曲率部Cmaxから車両1の上下方向に離れるに従って、徐々に曲率が小さくなる方向に変化している。
より具体的には、ピラーリインフォース20は、少なくとも、断面形状であるハット型の凸となっている部分、或いは、インナパネル26側から見た場合における溝底に位置する部分の壁部である底壁21と、断面視において底壁21の両側に位置して底壁21と交差する側壁22との接続部分である稜線23が、このように湾曲している。つまり、ピラーリインフォース20は、少なくとも底壁21と側壁22とにより形成されることによりセンターピラー13の長手方向に延びる稜線23が、車両1に幅方向における外方に凸となる方向に湾曲すると共に、最大曲率部CmaxがベルトラインBLに位置し、最大曲率部Cmaxから車両1の上下方向に離れるに従って、徐々に曲率が小さくなる方向に変化している。
このように形成されるピラーリインフォース20の曲率の変化は、連続的に変化しており、ピラーリインフォース20を車両1の前後方向に見た場合の形状は、明確な折れ点等が存在せずに湾曲している。
アウタパネル25とインナパネル26とは、このように湾曲しているピラーリインフォース20に沿って形成されており、アウタパネル25とインナパネル26とは、共にピラーリインフォース20と同様に、車両1幅方向における外方に凸となる方向に湾曲している。
この実施形態1に係るセンターピラー13は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。実施形態1に係るセンターピラー13を有する車両1は、主にフレーム材10によってボデー2の剛性を確保しており、車両1の走行中における加速度等によって発生する荷重の多くをフレーム材10で受ける。
例えば、車両1の幅方向におけるフロア11の両端に位置して車両1の前後方向に延びるロッカーレール12は、フロア11の強度を確保し、フロア11の前後方向の撓みやフロア11の捻れを抑制している。また、車両1の幅方向におけるルーフ8の両端に位置して車両1の前後方向に延びるルーフレール14は、ルーフ8の強度を確保し、ルーフ8の前後方向の撓みやルーフ8の捻れを抑制している。また、車両1の上下方向に延びてロッカーレール12とルーフレール14とに接合され、双方を接続しているセンターピラー13は、ルーフ8とフロア11とを接続することにより、ボデー2全体の剛性を向上させている。これらにより、車両1の走行時には、走行時に発生する荷重によるボデー2の撓み等の変形を最小限に留め、走行時における安定性を確保している。
車両1の走行時に発生する荷重は、このように強度を有するフレーム材10によって主に受けるが、車両1には、通常の走行によってボデー2に作用する荷重以外の荷重を受ける場合がある。例えば、車両1の走行時や、自車が停車している場合に、車両1の側面に他の車両等が衝突する場合がある。このような側面衝突が発生した場合において、他の車両等がセンターピラー13付近に衝突した場合、ボデー2には、この衝突のエネルギーによって作用する荷重が作用し、センターピラー13でも衝突時の荷重を受けるが、この衝突時における荷重は、車両1の通常の走行時における荷重よりも大きな荷重である場合が多くなっており、センターピラー13は大きな荷重を受けることになる。
このような側面衝突にセンターピラー13が受ける荷重について説明すると、側面衝突時には、他の車両等が衝突した側のセンターピラー13には、車両1の外方から内方への大きな負荷が作用する。センターピラー13は、両端部がロッカーレール12とルーフレール14とに接続されているため、両端部が固定された状態で衝突時における荷重が付与されることになり、これにより、センターピラー13には、曲げモーメントが入力される。つまり、側面衝突が発生した場合には、センターピラー13には、両端を固定した状態で長さ方向における中央付近に、ピラーリインフォース20の底壁21に交差する方向の荷重が入力されるため、この荷重の入力によって、センターピラー13には、荷重の入力方向の反対方向に向かって、両端を押し曲げる方向の曲げモーメントが発生して入力される(図5、矢印参照)。
曲げモーメントは、モーメントアームが長くなるに従って大きくなるので、このように両端を押し曲げる方向の力によって発生する曲げモーメントは、端部から、長さ方向における中央に向かうに従って大きくなる。このため、側面衝突時にセンターピラー13に付与される荷重によって発生し、センターピラー13に入力される曲げモーメントは、端部から、長さ方向における中央に向かうに従って大きくなる(図5、曲げモーメント分布図参照)。つまり、側面衝突時には、センターピラー13には、ベルトラインBLに大きな曲げモーメントが作用する。
これに対し、センターピラー13が有するピラーリインフォース20は、最大曲率部CmaxがベルトラインBLに位置している。つまり、ピラーリインフォース20は、ボデー2に作用する荷重による曲げモーメントが最大となる部分に対応する稜線23の曲率が、他の部分に対応する稜線23の曲率よりも大きくなっている。このため、センターピラー13は、ベルトラインBLでは大きな強度を有しているため、側面衝突時には、このようにベルトラインBLの強度が大きくなっているセンターピラー13で、側面衝突時の大きな荷重による曲げモーメントを受けることができる。
図6は、曲率が小さい部材に曲げモーメントが入力された場合における断面図である。ここで、部材に曲げモーメントが入力された場合における、部材の曲率ごとの強度について説明する。まず、断面形状が角型のパイプ状の形状で形成される部材210において、部材210の曲率が小さかったり、直線状に形成されていたりする場合に、部材210を曲げる方向の力を付与すると、部材210の断面形状は、曲げる方向に直交する方向に形成されている部分が、曲げる方向に対して凹む方向に変形する。つまり、部材210を曲げる力を部材210に対して入力した場合、曲げる方向の外側に位置する面には引張り力が作用し、曲げる方向の内側に位置する面には圧縮力が作用するが、この部材210の曲率が小さい場合には、この引張り力が作用する面も圧縮力が作用する面も、共に部材210の内側方向に凹む方向に変形する。
このため、曲げる力を入力することによる最大曲げモーメントの発生時における断面形状は、図6に示すように、曲げる力を入力していない初期の形状に対して、曲げ方向に潰れる方向に変形する。従って、曲率が小さかったり、直線状に形成されていたりする部材210では、曲げモーメントが入力された場合には、断面係数が小さくなる方向に変形する。
図7は、曲率が大きい部材に曲げモーメントが入力された場合における断面図である。これに対し、断面形状が上記の部材210と同じ形状で、大きい曲率で湾曲して形成されている場合に、曲率が付いている方向の反対方向、即ち、曲率を小さくする方向に部材200を曲げる方向の力を付与すると、部材200の断面形状は、曲げる方向に直交する方向に形成されている部分が、曲げる方向に対して膨らむ方向に変形する。つまり、大きい曲率で湾曲している部材200に対して、曲率を小さくする方向に部材200を曲げる力を入力した場合、湾曲の外側に位置して圧縮力が作用する面は、部材200の外側方向に膨らむ方向に変形する。また、湾曲の内側に位置して引張り力が作用する面は、湾曲している部分が伸ばされることになるため、この面も部材200の外側方向に膨らむ方向に変形する。
このため、曲げる力を入力することによる最大曲げモーメントの発生時における断面形状は、図7に示すように、曲げる力を入力していない初期の形状に対して、曲げ方向に膨らむ方向に変形する。従って、大きい曲率で湾曲して形成されている部材200では、曲率が付いている方向の反対方向への曲げモーメントが入力された場合、つまり、曲げの圧縮側が、湾曲の凸となっている方向になる曲げモーメントが入力された場合には、断面係数が大きくなる方向に変形する。
図8は、部材の曲率と曲げモーメントとの関係を示す説明図である。部材を曲げる方向の力を付与した場合、部材の曲率によって、このように断面の変形の仕方が異なり、断面係数の変化の仕方が異なるため、曲げモーメントが入力された場合における部材の強度は、部材の曲率によって異なる。詳しく説明すると、部材に曲げモーメントが入力された場合、曲げモーメントが、部材の材質や形状に応じて異なった大きさで発生する部材の強度を上回ると、部材は急激に変形し、いわゆる座屈が発生する。この座屈は、部材の曲率が小さかったり、部材が直線状に形成されていたりした場合には、曲げモーメントが入力された場合には、断面が潰れて断面係数が小さくなる方向に断面形状が変化する。このため、この場合は、部材は弾性領域で座屈することになり、弾性座屈が生じる。
これに対し、曲率が大きい部材に対して、曲率が付いている方向の反対方向への曲げモーメントが入力された場合には、断面が膨らんで断面係数が大きくなる方向に断面形状が変化する。このため、部材は弾性領域では座屈せずに曲げモーメントを受けることができ、曲げモーメントが部材の座屈領域の大きさまで大きくなった場合に、部材は座屈する。このように、曲率が大きい部材に対して、曲率が付いている方向の反対方向への曲げモーメントを入力した場合には、部材は弾性領域よりも大きい応力を発生することができる塑性領域の大きさまでの曲げモーメントを受けることができ、塑性領域での座屈である塑性座屈によって部材は座屈する。
曲率が大きい部材では、このように塑性座屈によって座屈をするため、弾性座屈によって座屈をする曲率が小さい部材と比較して、座屈をする際における曲げモーメントが大きくなる。このため、図8に示すように、曲率が大きい部材Clagでは、曲率が小さい部材Csmlと比較して、座屈を発生しないで部材で受けることができる最大曲げモーメントが大きくなっている。
なお、図8は、力が付与されていない状態の部材に対して曲げモーメントを入力し、入力された曲げモーメントが大きくなるに従って、部材の曲げ角度が大きくなり、部材が座屈をした以降は、部材で受けることのできる曲げモーメントが小さくなりながら部材の曲げ角度が大きくなる状態を示している。このため、図8で示されている各曲線において、曲げモーメントが一番大きくなっている部分が、その部材で受けることのできる最大曲げモーメントであり、それ以上大きい曲げモーメントを入力した場合には、部材が座屈することを示している。
この図8で示すように、曲率が大きい部材Clagの方が、曲率が小さい部材Csmlよりも、大きな曲げモーメントを受けることができ、曲げモーメントが入力された際における強度が高くなっている。つまり、曲率が大きい部材Clagは、弾性領域よりも応力が大きい塑性領域で座屈をするので、座屈をする際における実質的な応力が、曲率が小さい部材Csmlと比較して大きくなり、座屈強度が大きくなるため、曲率が大きい部材Clagは曲率が小さい部材Csmlと比較して、座屈をせずに大きな曲げモーメントを受けることができる。
曲率が大きい部材では、このように大きな曲げモーメントを受けることができるが、センターピラー13が有するピラーリインフォース20は、ベルトラインBLに最大曲率部Cmaxが位置しており、側面衝突時にセンターピラー13に作用する曲げモーメントも、ベルトラインBLに大きな曲げモーメントが作用する。即ち、センターピラー13は、側面衝突時に大きな曲げモーメントが発生し易いベルトラインBLに、ピラーリインフォース20の最大曲率部Cmaxが位置しており、ベルトラインBLの座屈強度が大きくなっている。従って、側面衝突時に、この側面衝突による荷重がセンターピラー13に入力されることによってセンターピラー13に曲げモーメントが入力された場合、大きな曲げモーメントを、座屈が発生し難い状態で、ピラーリインフォース20で受けることができる。
以上のセンターピラー13は、センターピラー13の長手方向に延びるピラーリインフォース20の稜線23のうち、曲げモーメントが最大となる部分に対応する稜線23の曲率が、他の部分に対応する稜線23の曲率よりも大きくなっているので、曲率を設けることによりセンターピラー13の座屈強度を大きくすると共に、曲げモーメントが最大になることにより大きな強度が必要な部分の強度を、より確実に大きくすることができる。これにより、センターピラー13に新たに補強部材を設けることなく、ピラーリインフォース20を湾曲させて曲率を設けることのみで、入力される荷重に対する所望の強度を確保することができる。この結果、補強部材を増加させることなく、センターピラー13の強度を大きくすることができる。
また、センターピラー13は、アウタパネル25とピラーリインフォース20を有しており、ピラーリインフォース20の稜線23の曲率が最大になる部分が、曲げモーメントが最大となる部分に対応している。これにより、ピラーリインフォース20のみによって、曲げモーメントに対する強度を確保することができ、アウタパネル25は、外観のデザインに沿った形状にすることができるため、車両1の外観を所望のデザインにしつつ、入力される荷重に対する所望の強度を確保することができる。この結果、車両1の外観への影響を与えることなく、センターピラー13の強度を大きくすることができる。
また、センターピラー13の長手方向に延びるピラーリインフォース20の稜線23の曲率が最大になる部分が、センターピラー13の曲げモーメントが最大となる部分に対応しているので、側面衝突時に大きな荷重が入力されるセンターピラー13の強度を、より確実に大きくすることができる。この結果、補強部材を増加させることなく、車両1の側面衝突時に入力される荷重に対するセンターピラー13の強度を大きくすることができる。
また、ピラーリインフォース20は、最大曲率部Cmaxから離れるに従って、徐々に曲率が小さくなる方向に変化しているため、効果的に所望の位置での強度を大きくすることができる。つまり、ピラーリインフォース20は、アウタパネル25とインナパネル26との間に配設されているため、車両1の幅方向の厚さに対する制約を有している。このため、この制約の中でピラーリインフォース20における曲率の差を大きくするため、最大曲率部CmaxはベルトラインBLに位置させ、最大曲率部Cmaxから離れるに従って曲率を小さくすることにより、ピラーリインフォース20の位置ごとの曲率の差を大きくすることができる。これにより、ピラーリインフォース20の所望の位置の強度を、他の位置と比較して、より確実に相対的に大きくすることができる。この結果、補強部材を増加させることなく、センターピラー13の強度を大きくすることができる。
また、ピラーリインフォース20の窓枠の下端の上方の部分の曲率を、他の部分の曲率よりも大きくした場合には、アウタパネル25の最大曲率部を、車両1のデザイン上、窓枠の下端に位置させた場合でも、所望のデザインを維持しつつ、入力される荷重に対する所望の強度を確保することができる。この結果、車両1の外観に影響を与えることなく、センターピラー13の強度を大きくすることができる。
[実施形態2]
実施形態2に係るセンターピラー30は、実施形態1に係るセンターピラー13と略同様の構成であるが、インナパネル32に、ピラーリインフォース20の湾曲方向とは反対方向の湾曲部37を設けている点に特徴がある。他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
図9は、実施形態2に係るセンターピラーの説明図である。本発明に係る車両用ボデー部材の実施形態2であるセンターピラー30は、実施形態1に係るセンターピラー13と同様に、端部がロッカーレール12とルーフレール14とに接合されるピラーリインフォース20を有している。また、センターピラー30は、車両1の幅方向における外方からピラーリインフォース20を覆って配設されるアウタパネル25と、車両1の幅方向におけるピラーリインフォース20の内方に配設されるインナパネル32とを有している。このうち、ピラーリインフォース20は、車両1の幅方向における外方に凸となる方向に湾曲しており、ベルトラインBLの範囲内に、最大曲率部Cmaxが位置している(図5参照)。
図10は、図9のA部詳細図である。図11は、図10のB−B断面図である。図12は、図10のC−C断面図である。図13は、図9に示すインナパネルをピラーリインフォースの方向から見た場合における斜視図である。車両1の幅方向における外方に凸となって湾曲しているピラーリインフォース20に対し、インナパネル32は、車両1の幅方向における内方に凸となって湾曲している部分を有する溝部33を有している。詳しくは、インナパネル32には、車両1の内側方向から見た場合に、ピラーリインフォース20が位置する側の方向、即ち、車両1の外側方向に凹んだ形状で、インナパネル32の長手方向に延びる溝部33が形成されている。
インナパネル32は、大部分がピラーリインフォース20に沿って形成されるため、概ね車両1の幅方向における外方に凸となって湾曲しており、溝部33も同様に、概ね車両1の幅方向における外方に凸となって湾曲しているが、溝部33は、一部が車両1の幅方向における内方に凸となる方向に湾曲している。
つまり、溝部33は、車両1の幅方向における外方に凸となって湾曲しながらインナパネル32の長手方向に延びる溝底34の一部が、車両1の幅方向における内方に凸となる方向に湾曲しており、溝部33におけるこの部分は、湾曲部37として形成されている。インナパネル32が有する溝部33は、このように湾曲部37を有しているが、この溝部33が有する湾曲部37は、ピラーリインフォース20と同様に、湾曲の曲率が最大となる部分である最大曲率部Cmaxが、ベルトラインBLの範囲内に位置している。
即ち、溝部33は、当該溝部33の溝底34と、この溝底34に交差する溝壁35との接続部分である稜線36が、センターピラー30の長手方向に延びると共に、湾曲部37の部分の稜線36が車両1に幅方向における内方に凸となる方向に湾曲し、その湾曲の最大曲率部Cmaxが、ベルトラインBLに位置している。
この実施形態2に係るセンターピラー30は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。車両1に側面衝突が発生した場合は、車両1の幅方向に凸となる方向に湾曲すると共に、最大曲率部CmaxがベルトラインBL内に位置することにより、側面衝突時にセンターピラー30に入力される荷重に対する強度を発生する。
また、他の車両との衝突時等に、車両1が横転した場合、横転によって発生する荷重がルーフレール14に作用し、ルーフレール14からセンターピラー30に対して入力される場合がある。この場合に、センターピラー30に対して入力される荷重の方向は、側面衝突時にセンターピラー30に対して入力される荷重の方向とは異なり、ルーフレール14側の端部が、車両1の幅方向における内側方向で、且つ、車両1の下方に向かう方向になる(図9、矢印参照)。つまり、車両1の横転時にセンターピラー30に入力される荷重の方向は、湾曲しているセンターピラー30の曲率を大きくする方向になる。
車両1の横転時には、このようにセンターピラー30に対しては、センターピラー30の曲率を大きくする方向への荷重が入力されるが、センターピラー30が有するインナパネル32に形成される溝部33には、車両1の幅方向における内方に凸となる方向に湾曲した湾曲部37が形成されている。このため、この湾曲部37は、センターピラー30の曲率を大きくする方向への荷重による曲げの圧縮側が、湾曲の凸方向になっている。つまり、センターピラー30の曲率を大きくする方向への荷重が入力された場合には、この荷重はインナパネル32に対しては、溝部33の溝底34に交差する方向の荷重となって入力され、湾曲部37の湾曲の凸側が圧縮側となり、湾曲部37の曲率が小さくなる方向の荷重として入力される。
従って、センターピラー30の曲率を大きくする方向への荷重がセンターピラー30に入力された場合には、インナパネル32における湾曲部37が位置する部分では、インナパネル32はピラーリインフォース20から離れる方向に変形する。これにより、この場合における湾曲部37が位置する部分では、断面係数が大きくなる方向にセンターピラー30の断面形状が変形し、座屈強度が大きくなる。このため、車両1の横転時に、この横転による荷重がセンターピラー30に入力されることによってセンターピラー30に曲げモーメントが入力された場合には、座屈が発生し難い状態で、曲げモーメントをインナパネル32によって受けることができる。
また、車両1の横転時におけるセンターピラー30には、横転によって入力される荷重によってこのように曲げモーメントが入力されるが、この場合における曲げモーメントも、側面衝突時における曲げモーメントと同様に、ベルトラインBL内に最大曲げモーメントが位置する。これに対し、インナパネル32に形成される溝部33の湾曲部37は、最大曲率部CmaxがベルトラインBL内に位置している。これにより、車両1の横転時にセンターピラー30に入力される曲げモーメントに対する強度を適切に大きくし、より座屈が発生し難い状態で、曲げモーメントをインナパネル32によって受けることができる。
以上のセンターピラー30は、インナパネル32に、車両1の幅方向における内方に凸となる方向に湾曲した湾曲部37を有する溝部33を形成している。これにより、センターピラー30に対して、湾曲部37の曲率を小さくする方向の曲げモーメントが入力された場合における座屈強度を大きくすることができる。この結果、補強部材を増加させることなく、センターピラー30の強度を大きくすることができる。
また、センターピラー30は、ピラーリインフォース20は、車両1の幅方向における外方に凸となる方向に湾曲させ、インナパネル32の湾曲部37は、車両1の幅方向における内方に凸となる方向に湾曲させている。これにより、センターピラー30の端部を車両1の幅方向における外方に曲げる方向の曲げモーメントと、センターピラー30の端部を車両1の幅方向における内方に曲げる方向の曲げモーメントとの、双方の曲げモーメントに対する座屈強度を大きくすることができる。この結果、荷重の入力方向に関わらず、より確実にセンターピラー30の強度を大きくすることができる。
[実施形態3]
本発明に係る車両用ボデー部材の実施形態3では、実施形態1に係るセンターピラー13とは異なり、車両1に設けられるバンパリインフォース40が、本発明に係る車両用ボデー部材の実施形態3となっている。このバンパリインフォース40を有する車両1の他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
図14は、実施形態3に係るバンパリインフォースを示す平面図である。図15は、図14に示すバンパリインフォースの斜視図である。本発明に係る車両用ボデー部材の実施形態3であるバンパリインフォース40は、車両1の前端と後端とに位置するバンパ6(図1参照)に設けられている。詳しくは、バンパリインフォース40は、バンパ6の外形を構成するアウタパネル7(図1参照)の内側に配設されており、バンパ6の強度を確保する部材として設けられている。バンパリインフォース40は、このように前端に位置するバンパ6と後端に位置するバンパ6とに設けられているが、以下の説明では、前端に位置するバンパ6に設けられるバンパリインフォース40について説明する。
このように設けられるバンパリインフォース40は、車両1に装着された場合に、前端、または後端に位置して垂直方向に形成される面である垂直面41と、この垂直面41の上方と下方とに位置し、垂直面41と交差する方向、即ち、水平方向に形成されて垂直面41と接続される面である水平面42とを有している。バンパ6のアウタパネル7は、このバンパリインフォース40を覆うように形成されている。
また、バンパリインフォース40は、概ね車両1の前方に凸となる方向に湾曲して形成されており、さらに、曲率が大きくなっている部分である湾曲部45が2箇所に形成されている。この2箇所の湾曲部45は、車両1の幅方向における中心である車幅中心線を中心として線対称となる部分、或いは、左右対称となる部分に位置している。
また、このように左右対称となる2箇所に形成される湾曲部45は、曲率が最も大きくなっている部分である最大曲率部Cmaxを、それぞれ有している。このため、バンパリインフォース40は、最大曲率部Cmaxを2箇所有しており、2箇所の最大曲率部Cmaxは、湾曲部45と同様に、車幅中心線を中心として線対称となる部分、或いは、左右対称となる部分に位置している。
このように、左右対称の2箇所に位置する最大曲率部Cmaxは、共に所定の範囲内に位置しており、詳しくは、車幅中心線を中心とした場合における車幅の10%以上で、且つ、車幅の30%以下となる範囲内に位置している。換言すると、2箇所の最大曲率部Cmaxは、共に車幅中心線からの距離が、車幅の5%以上で、且つ、車幅の15%以下となる範囲内の部分に位置している。車両1の前方に凸となる方向に湾曲しているバンパリインフォース40は、この範囲内に位置する2箇所の最大曲率部Cmaxから離れるに従って、徐々に曲率が小さくなる方向に連続的に変化している(図14、曲率分布図参照)。
つまり、バンパリインフォース40は、垂直面41と水平面42との接続部分である稜線43が、バンパ6の長手方向に延びると共に、稜線43においても曲率が最大になる部分である最大曲率部Cmaxが、車両1の幅方向における中央から離れた2箇所に位置している。
この実施形態3に係るバンパリインフォース40は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。バンパ6は、車両1が前方や後方から他の車両等に衝突したり、他の車両等が車両1の前方や後方から衝突したりした場合に、衝突時の衝撃を低減するために設けられているが、他の車両等が、バンパ6の全域に渡って衝突するのではなく、バンパ6の一部に対して衝突した場合には、大きな衝撃が発生し易くなる。例えば、車両の中心同士がずれた状態での正面衝突であるオフセット衝突の場合、車幅方向において衝突した側に位置するバンパ6に、衝突による大きな荷重が作用する。
このように、オフセット衝突により、大きな荷重がバンパ6に入力された場合、この荷重は、バンパリインフォース40にも入力される。この場合に、バンパリインフォース40にも入力される荷重の方向は、前方に凸となる方向に湾曲している湾曲部45、後方に押す向きの荷重になる。このため、バンパリインフォース40には、この荷重によって、湾曲部45の曲率が小さくなる方向の曲げモーメントが入力されることになる。つまり、オフセット衝突により、大きな荷重がバンパ6に入力された場合には、この荷重はバンパリインフォース40に対しては、垂直面41に交差する方向の荷重となって入力され、湾曲部45の湾曲の凸側が圧縮側となり、湾曲部45の曲率が小さくなる方向の荷重として入力される。
また、オフセット衝突によって湾曲部45付近に大きな荷重が入力された場合、バンパリインフォース40の両端部は、ボデー2における位置の変化が小さく、湾曲部45のボデー2における位置の変化が大きくなる。このため、オフセット衝突によって入力される曲げモーメントは、湾曲部45で大きくなり、最大曲率部Cmax付近で最大になる。このため、バンパリインフォース40の最大曲率部Cmaxは、オフセット衝突による曲げモーメントが最大となる位置に対応しており、曲げモーメントが最大となる部分の座屈強度が大きくなっている。
つまり、車両1のバンパ6の長手方向に延びる稜線43の曲率が最大になる部分が、バンパ6の曲げモーメントが最大となる部分に対応しており、稜線43の湾曲方向は、曲げモーメントによる曲げの圧縮側が、湾曲の凸方向になっている。このため、オフセット衝突によってバンパリインフォース40に曲げモーメントが入力された場合には、バンパリインフォース40は、断面係数が大きくなる方向に変形し、曲げモーメントが最大となる部分の座屈強度が大きくなる。
従って、オフセット衝突時に、このオフセット衝突による荷重がバンパリインフォース40に入力されることによってバンパリインフォース40に曲げモーメントが入力された場合、大きな曲げモーメントを、座屈が発生し難い状態で、バンパリインフォース40で受けることができる。
以上のバンパリインフォース40は、バンパ6の長手方向に延びる稜線43の曲率が最大になる部分が、バンパ6の曲げモーメントが最大となる部分に対応している。これにより、曲率を設けることによりバンパリインフォース40の座屈強度を大きくすると共に、曲げモーメントが最大になることにより大きな強度が必要な部分の強度を、より確実に大きくすることができる。これにより、バンパ6に新たに補強部材を設けることなく、バンパリインフォース40を湾曲させて曲率を設けることのみで、入力される荷重に対する所望の強度を確保することができる。この結果、補強部材を増加させることなく、バンパリインフォース40の強度を大きくすることができる。
また、バンパ6の稜線43の曲率が最大になる部分は、車両1の幅方向における中央から離れた2箇所に位置しているため、この車両1の幅方向における中央から離れた2箇所のバンパ6の強度を大きくすることができる。これにより、オフセット衝突時のような、車両1の幅方向における一方側に入力される大きな荷重に対する強度を確保することができる。この結果、補強部材を増加させることなく、オフセット衝突時に入力される荷重に対するバンパリインフォース40の強度を大きくすることができる。
[実施形態4]
実施形態4に係るバンパリインフォース50は、実施形態3に係るバンパリインフォース40と略同様の構成であるが、バンパリインフォース50にビード51を設けている点に特徴がある。他の構成は実施形態3と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
図16は、実施形態4に係るバンパリインフォースを示す平面図である。図17は、図16に示すバンパリインフォースの斜視図である。本発明に係る車両用ボデー部材の実施形態4であるバンパリインフォース50は、実施形態3に係るバンパリインフォース40と同様に、車両1のバンパ6に設けられている。また、実施形態3に係るバンパリインフォース40では、バンパリインフォース40全体を所望の形状に湾曲させていたのに対し、実施形態4であるバンパリインフォース50では、溝状に形成されたビード51を形成し、ビード51の形状を所望の形状に湾曲させている。
詳しく説明すると、ビード51は、車両1の前後方向におけるバンパリインフォース50の少なくとも前方側の面に、バンパリインフォース50の長手方向に沿って溝状の形状で形成されている。このように車両1に前後方向における前方側の面に形成されるビード51は、バンパリインフォース50の長手方向における位置、即ち、車両1の幅方向における位置によって、溝深さが異なって形成されている。
具体的には、溝状の形状で形成されるビード51の溝底であるビード底部52が、車両1の前方に凸となる方向に湾曲して形成されており、このようにビード底部52の湾曲した部分である湾曲部55は、互いに離れた2箇所に形成されている。この2箇所の湾曲部55は、実施形態3に係るバンパリインフォース40の湾曲部45と同様に、車幅中心線を中心として左右対称となる部分に位置しており、このため、2箇所に形成される湾曲部55は、曲率が最も大きくなっている部分である最大曲率部Cmaxが、車幅中心線を中心として左右対称となる部分に位置している。
さらに、このように左右対称の2箇所に位置する最大曲率部Cmaxは、車幅中心線を中心とした場合における車幅の10%以上で、且つ、車幅の30%以下となる範囲内に位置している。湾曲部55を有すると共に、この範囲内に最大曲率部Cmaxを有するビード51は、最大曲率部Cmaxから離れるに従って、徐々に曲率が小さくなる方向に連続的に変化している。
つまり、バンパリインフォース50に形成されるビード51は、ビード底部52と、このビード底部52と交差するビード壁部53との接続部分である稜線54が、バンパ6の長手方向に延びると共に、稜線54においても曲率が最大になる部分である最大曲率部Cmaxが、車両1の幅方向における中央から離れた2箇所に位置している。
この実施形態4に係るバンパリインフォース50は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。このバンパリインフォース50には、ビード51が形成されており、このビード51は、実施形態3に係るバンパリインフォース40が有する湾曲部45と同様な形態で湾曲している湾曲部55を有している。このため、オフセット衝突により、大きな荷重がバンパ6に入力された場合には、この荷重はバンパリインフォース50に対しては、ビード底部52に交差する方向の荷重となって入力され、湾曲部55の湾曲の凸側が圧縮側となり、湾曲部55の曲率が小さくなる方向の荷重として入力される。
また、ビード51は、湾曲部55の最大曲率部Cmaxの位置が、オフセット衝突による曲げモーメントが最大となる位置に対応している。このため、バンパリインフォース50は、オフセット衝突時にバンパリインフォース50に入力される荷重による曲げモーメントが最大となる部分の座屈強度が、ビード51の湾曲部55によって大きくなっている。従って、オフセット衝突時に、このオフセット衝突による荷重がバンパリインフォース50に入力されることによってバンパリインフォース50に曲げモーメントが入力された場合、大きな曲げモーメントを、座屈が発生し難い状態で、バンパリインフォース50で受けることができる。
以上のバンパリインフォース50は、ビード51の稜線54の曲率が最大になる部分が、バンパ6の曲げモーメントが最大となる部分に対応している。これにより、曲げモーメントが最大になることにより大きな強度が必要な部分の強度を、より確実に大きくすることができる。従って、バンパ6に新たに補強部材を設けることなく、ビード51に湾曲部55を設けることのみで、入力される荷重に対する所望の強度を確保することができる。この結果、補強部材を増加させることなく、バンパリインフォース50の強度を大きくすることができる。
また、バンパリインフォース50に溝状のビード51を設け、このビード51を湾曲させて曲率を大きくすることにより強度を大きくしているので、バンパリインフォース50の外形の形状に影響を与えることなく、曲げモーメントに対する強度を確保することができる。これにより、バンパ6のアウタパネル7は、外観のデザインに沿った形状にし、バンパリインフォース50は、このように形状が定められたアウタパネル7に合わせた形状にしつつ、入力される荷重に対する所望の強度を確保することができる。この結果、車両1の外観への影響を与えることなく、バンパリインフォース50の強度を大きくすることができる。
[実施形態5]
本発明に係る車両用ボデー部材の実施形態5では、実施形態1に係るセンターピラー13等とは異なり、車両1に設けられるロッカーレール60が、本発明に係る車両用ボデー部材の実施形態5となっている。このロッカーレール60を有する車両1の他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
図18は、実施形態5に係るロッカーレールを示す平面図である。図19は、図18に示すロッカーレールが有するアウタリインフォースの斜視図である。図20は、図18に示すロッカーレールが有するロッカインナをアウタリインフォース側から見た場合における斜視図である。本発明に係る車両用ボデー部材の実施形態5であるロッカーレール60は、実施形態1に係るセンターピラー13を有するフレーム材10に設けられるロッカーレール12と同様に、フレーム材10に設けられている。このロッカーレール60は、車両1の前後方向に延びる部材である前後方向骨格部材として設けられており、このロッカーレール60には、ロッカーレール60の長手方向における中央付近に、センターピラー13が接合されている。また、ロッカーレール60は、車両1の幅方向における外側に位置するアウタリインフォース61と、車両1の幅方向における内側に位置するロッカインナ71とが組み合わされることにより形成されている。
このように設けられるロッカーレール60は、車両1の幅方向における当該ロッカーレール60の側面に、深さ方向が車両1の幅方向となり、車両1の前後方向に延びる溝状の形状で形成されたビードが形成されている。このビードは、アウタリインフォース61と、ロッカインナ71との双方に形成されており、アウタリインフォース61に形成されるビードはアウタ側ビード62となっており、ロッカインナ71に形成されるビードはインナ側ビード72となっている。
これらのアウタ側ビード62とインナ側ビード72とは、共に車両1の幅方向における外側方向に凸となる方向に湾曲して形成されている。つまり、アウタ側ビード62は、溝状の形状で形成されるアウタ側ビード62の溝底であるアウタ側ビード底部63が、車両1の幅方向における外側方向に凸となる方向に湾曲して形成されている。同様に、インナ側ビード72は、溝状の形状で形成されるインナ側ビード72の溝底であるインナ側ビード底部73が、車両1の幅方向における外側方向に凸となる方向に湾曲して形成されている。
このため、アウタ側ビード62とインナ側ビード72とは、共にロッカーレール60の長手方向における位置によって、深さが異なっており、アウタ側ビード62は、アウタ側ビード底部63が、車両1の幅方向における外側方向に向かうに従って、深さが浅くなる。反対に、インナ側ビード72は、インナ側ビード底部73が、車両1の幅方向における外側方向に向かうに従って、深さが深くなる。
このように、湾曲して形成されるアウタ側ビード62とインナ側ビード72とは、共にロッカーレール60の長手方向における位置によって曲率が異なっており、ロッカーレール60の長手方向において、センターピラー13と接合している位置の曲率が、最も大きくなっている。つまり、アウタ側ビード62とインナ側ビード72とは、曲率が最大となる部分である最大曲率部Cmaxが、ロッカーレール60とセンターピラー13との接合部に位置している。
つまり、ロッカーレール60に形成されるアウタ側ビード62とインナ側ビード72とは、共にロッカーレール60の長手方向に延びるアウタ側ビード62とインナ側ビード72との稜線の曲率が最大になる部分が、センターピラー13とロッカーレール60との接合部に位置している。
具体的には、アウタリインフォース61に形成されるアウタ側ビード62は、アウタ側ビード底部63と、このアウタ側ビード底部63と交差するアウタ側ビード壁部64との接続部分である稜線65が、ロッカーレール60の長手方向に延びると共に、稜線65においても曲率が最大になる部分である最大曲率部Cmaxが、センターピラー13とロッカーレール60との接合部に位置している。
同様に、ロッカインナ71に形成されるインナ側ビード72は、インナ側ビード底部73と、このインナ側ビード底部73と交差するインナ側ビード壁部74との接続部分である稜線75が、ロッカーレール60の長手方向に延びると共に、稜線75においても曲率が最大になる部分である最大曲率部Cmaxが、センターピラー13とロッカーレール60との接合部に位置している。
この実施形態5に係るロッカーレール60は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。このロッカーレール60には、アウタ側ビード62とインナ側ビード72とが形成されており、これらのアウタ側ビード62とインナ側ビード72とは、車両1の幅方向における外側方向に凸となる方向に湾曲している。さらに、アウタ側ビード62とインナ側ビード72とは、ロッカーレール60の長手方向における位置によって曲率が異なっており、センターピラー13とロッカーレール60との接合部の部分に、最大曲率部Cmaxが位置している。これにより、ロッカーレール60は、車両1の幅方向における外方から内方に向かう方向に入力される荷重に対する強度を発生する。
例えば、側面衝突が発生し、センターピラー13に対して、車両1の幅方向における外方から内方に向かう方向の荷重が入力され、この荷重がロッカーレール60に入力された場合、ロッカーレール60には、センターピラー13との接合部を、車両1の幅方向における内方に向かわせる方向に荷重が入力される。ロッカーレール60に、この方向の荷重が入力された場合、この荷重は、アウタ側ビード62の湾曲の曲率や、インナ側ビード72の湾曲の曲率を小さくする方向の曲げモーメントとしてロッカーレール60に入力される。
つまり、側面衝突によってセンターピラー13からロッカーレール60に入力される荷重は、アウタ側ビード底部63やインナ側ビード底部73に交差する方向の荷重となって入力される。また、この方向の荷重が入力された場合、アウタ側ビード62とインナ側ビード72との湾曲の凸側に位置するアウタ側ビード62側が、これらのビードの曲率を小さくする方向に入力される曲げモーメントによる曲げの圧縮側となる。このため、アウタ側ビード62の湾曲の曲率やインナ側ビード72の湾曲の曲率を小さくする方向の曲げモーメントが入力された場合には、アウタ側ビード62はインナ側ビード72から離れる方向に変形する。
これにより、センターピラー13とロッカーレール60との接合部では、断面係数が大きくなる方向に、アウタ側ビード62とインナ側ビード72とを含むロッカーレール60の断面形状が変形し、座屈強度が大きくなる。このため、側面衝突時に、この衝突による荷重がセンターピラー13の接合部からロッカーレール60に入力されることによってロッカーレール60に曲げモーメントが入力された場合には、座屈が発生し難い状態で、曲げモーメントをロッカーレール60によって受けることができる。
また、側面衝突時におけるロッカーレール60には、センターピラー13から入力される荷重によって、このように曲げモーメントが入力されるが、この場合における曲げモーメントは、ロッカーレール60とセンターピラー13との接合部に、最大曲げモーメントが位置する。これに対し、アウタリインフォース61に形成されるアウタ側ビード62や、ロッカインナ71に形成されるインナ側ビード72は、最大曲率部Cmaxが、ロッカーレール60とセンターピラー13との接合部の部分に位置している。つまり、車両1の前後方向に延びるロッカーレール60の長手方向に延びるアウタ側ビード62の稜線65の曲率が最大になる部分と、ロッカーレール60の長手方向に延びるインナ側ビード72の稜線75の曲率が最大になる部分とが、ロッカーレール60の曲げモーメントが最大となる部分に対応している。これにより、側面衝突時にセンターピラー13からロッカーレール60に入力される曲げモーメントに対する強度を適切に大きくし、より座屈が発生し難い状態で、曲げモーメントをロッカーレール60によって受けることができる。
以上のロッカーレール60は、アウタ側ビード62やインナ側ビード72の稜線65、75の曲率が最大になる部分が、ロッカーレール60の曲げモーメントが最大となる部分に対応している。これにより、曲げモーメントが最大になることにより大きな強度が必要な部分の強度を、より確実に大きくすることができる。従って、ロッカーレール60に新たに補強部材を設けることなく、アウタ側ビード62やインナ側ビード72を湾曲させて曲率を設けることのみで、入力される荷重に対する所望の強度を確保することができる。この結果、補強部材を増加させることなく、ロッカーレール60の強度を大きくすることができる。
また、アウタ側ビード62やインナ側ビード72の稜線65、75の曲率が最大になる部分は、センターピラー13とロッカーレール60との接合部に位置しているので、ロッカーレール60に対してセンターピラー13から入力される大きな荷重を、ロッカーレール60で受けることができる。これにより、側面衝突など、センターピラー13に大きな荷重が入力される場合でも、ロッカーレール60の変形を抑制しつつ、センターピラー13を支持することができる。この結果、補強部材を増加させることなく、車両1の全体の強度を大きくすることができる。
[実施形態6]
実施形態6に係るロッカーレール80は、実施形態5に係るロッカーレール60と略同様の構成であるが、ロッカーレール80にはビードが設けられておらず、アウタリインフォース81が湾曲している点に特徴がある。他の構成は実施形態5と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
図21は、実施形態6に係るロッカーレールを示す平面図である。図22は、図21に示すロッカーレールが有するアウタリインフォースの斜視図である。本発明に係る車両用ボデー部材の実施形態6であるロッカーレール80は、実施形態5に係るロッカーレール60と同様に、アウタリインフォース81とロッカインナ88とが組み合わされることにより形成されており、ロッカーレール80の長手方向における中央付近には、センターピラー13が接合されている。また、本実施形態6に係るロッカーレール80には、アウタ側ビード62やインナ側ビード72が設けられておらず、アウタリインフォース81が、湾曲した部分を有して形成されている。
具体的には、アウタリインフォース81は、車両1の幅方向における外側に位置する部分である垂直面82が、車両1の幅方向における外側方向に凸となる方向に湾曲している。このように湾曲している垂直面82は、ロッカーレール80の長手方向における位置によって曲率が異なっており、ロッカーレール80の長手方向において、センターピラー13と接合している位置の曲率が、最も大きくなっている。つまり、湾曲している垂直面82は、曲率が最大となる部分である最大曲率部Cmaxが、ロッカーレール80とセンターピラー13との接合部に位置している。
つまり、ロッカーレール80のアウタリインフォース81は、垂直面82と、この垂直面82と交差する水平面83との接続部分である稜線84が、ロッカーレール80の長手方向に延びると共に、稜線84においても曲率が最大になる部分である最大曲率部Cmaxが、センターピラー13とロッカーレール80との接合部に位置して形成されている。
この実施形態6に係るロッカーレール80は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。このロッカーレール80は、アウタリインフォース81の垂直面82が、車両1の幅方向における外側方向に凸となる方向に湾曲している。さらに、この垂直面82は、ロッカーレール80の長手方向における位置によって曲率が異なっており、センターピラー13とロッカーレール80との接合部の部分に、最大曲率部Cmaxが位置している。これにより、ロッカーレール80は、車両1の幅方向における外方から内方に向かう方向に入力される荷重に対する強度を発生する。
このため、例えば、側面衝突が発生し、センターピラー13からロッカーレール80に対して、車両1の幅方向における外方から内方に向かう方向の荷重が入力された場合、この荷重は、アウタリインフォース81に対しては垂直面82に交差する方向の荷重となって入力される。このため、この荷重がロッカーレール80に入力された場合は、アウタリインフォース81の垂直面82の湾曲の凸側が圧縮側となり、この垂直面82の湾曲の曲率を小さくする方向の曲げモーメントとして入力される。このように、アウタリインフォース81の垂直面82の湾曲の曲率を小さくする方向の曲げモーメントが入力された場合には、アウタリインフォース81の垂直面82は、ロッカインナ88から離れる方向に変形する。
これにより、センターピラー13とロッカーレール80との接合部では、断面係数が大きくなる方向にロッカーレール80の断面形状が変形し、座屈強度が大きくなる。このため、側面衝突時に、この衝突による荷重がセンターピラー13の接合部からロッカーレール80に入力されることによってロッカーレール80に曲げモーメントが入力された場合には、座屈が発生し難い状態で、曲げモーメントをロッカーレール80によって受けることができる。
また、側面衝突時には、ロッカーレール80とセンターピラー13との接合部に、最大曲げモーメントが位置するが、アウタリインフォース81の垂直面82は、最大曲率部Cmaxが、ロッカーレール80とセンターピラー13との接合部の部分に位置している。つまり、車両1の前後方向に延びるロッカーレール80の長手方向に延びるアウタリインフォース81の稜線84の曲率が最大になる部分が、ロッカーレール80の曲げモーメントが最大となる部分に対応している。これにより、側面衝突時にセンターピラー13からロッカーレール80に入力される曲げモーメントに対する強度を適切に大きくし、より座屈が発生し難い状態で、曲げモーメントをロッカーレール80によって受けることができる。
以上のロッカーレール80は、アウタリインフォース81の稜線84の曲率が最大になる部分が、ロッカーレール80の曲げモーメントが最大となる部分に対応している。これにより、曲げモーメントが最大になることにより大きな強度が必要な部分の強度を、より確実に大きくすることができる。従って、ロッカーレール80に新たに補強部材を設けることなく、アウタリインフォース81の垂直面82を湾曲させて曲率を設けることのみで、入力される荷重に対する所望の強度を確保することができる。この結果、補強部材を増加させることなく、ロッカーレール80の強度を大きくすることができる。
また、ロッカーレール80にビードを設けずに、アウタリインフォース81の垂直面82を湾曲させて曲率を設けることのみで所望の強度を確保するので、容易に強度を確保することができる。この結果、より容易に、補強部材を増加させることなくロッカーレール80の強度を大きくすることができる。
また、アウタリインフォース81の稜線84の曲率が最大になる部分は、センターピラー13とロッカーレール80との接合部に位置しているので、ロッカーレール80に対してセンターピラー13から入力される大きな荷重を、ロッカーレール80で受けることができる。これにより、側面衝突など、センターピラー13に大きな荷重が入力される場合でも、ロッカーレール80の変形を抑制しつつ、センターピラー13を支持することができる。この結果、補強部材を増加させることなく、車両1の全体の強度を大きくすることができる。
[実施形態7]
実施形態7に係るロッカーレール90は、実施形態5に係るロッカーレール60と略同様の構成であるが、ビードの曲率が、センターピラー13が接合されている部分で変化している点に特徴がある。他の構成は実施形態5と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
図23は、実施形態7に係るロッカーレールを示す平面図である。図24は、図23に示すロッカーレールが有するアウタリインフォースの斜視図である。本発明に係る車両用ボデー部材の実施形態7であるロッカーレール90は、実施形態5に係るロッカーレール60と同様に、アウタリインフォース91とロッカインナ98とが組み合わされることにより形成されており、ロッカーレール90の長手方向における中央付近には、センターピラー13が接合されている。また、本実施形態7に係るロッカーレール90には、ロッカインナ98にはビードが形成されておらず、アウタリインフォース91にのみビード92が形成されている。
このように、アウタリインフォース91に形成されるビード92は、概ね、車両1の幅方向における外側方向に凸となる方向に湾曲して形成されているが、このビード92は、ロッカーレール90にセンターピラー13が接合されている部分で、曲率が変化し、凹凸を有している。詳しくは、ビード92は、ロッカーレール90とセンターピラー13との接合部付近に、溝状に形成されるビード92の溝底であるビード底部93が、車両1の幅方向における外側方向に凸となって形成される部分である凸部96を2箇所に有しており、この2箇所の凸部96の間に、ビード底部93が、車両1の幅方向における内側方向に凸となって形成される部分である凹部97を有している。
この凸部96と凹部97とのうち、凸部96は、ロッカーレール90に接合されているセンターピラー13における、車両1の前後方向の両端部分が位置する部分、即ち、センターピラー13における、車両1の前後方向の両端の壁面が位置する部分に設けられている。これに対し、凹部97は、車両1の前後方向における2つの凸部96の間に設けられており、ロッカーレール90に接合されているセンターピラー13における、車両1の前後方向の両端の壁面同士の間の位置に設けられている。
アウタリインフォース91に形成されるビード92は、このように2つの凸部96と1つの凹部97とを有しているため、ロッカーレール90の長手方向における位置によって曲率が異なっているが、この曲率が最大となる部分である最大曲率部Cmaxは、2つの凸部96の部分に位置している。即ち、最大曲率部Cmaxは、2箇所に設けられている。また、曲率が小さくなっている部分である低曲率部Clowは、凹部97の部分に位置している。
また、このように、最大曲率部Cmaxは2つの凸部96の部分に位置しており、低曲率部Clowは凹部97の部分に位置しているため、最大曲率部Cmaxは、センターピラー13における、車両1の前後方向の両端の壁面が位置する部分に位置しており、低曲率部Clowは、センターピラー13における、車両1の前後方向の両端の壁面同士の間の部分に位置している。
つまり、アウタリインフォース91に形成されるビード92は、ビード底部93と、このビード底部93に交差するビード壁部94との接続部分である稜線95が、ロッカーレール90の長手方向に延びると共に、稜線95においても曲率が最大になる部分である最大曲率部Cmaxが、センターピラー13における、車両1の前後方向の両端の壁面が位置する部分に位置している。また、稜線95においても、曲率が小さくなっている部分である低曲率部Clowは、センターピラー13における、車両1の前後方向の両端の壁面同士の間の部分に位置している。
この実施形態7に係るロッカーレール90は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。このロッカーレール90は、アウタリインフォース91のビード92が、概ね車両1の幅方向における外側方向に凸となる方向に湾曲している。さらに、このビード92は、ロッカーレール90の長手方向における位置によって曲率が異なっており、ロッカーレール90に接合されるセンターピラー13における、車両1の前後方向の両端の壁面が位置する部分に、最大曲率部Cmaxが位置している。これにより、ロッカーレール90は、車両1の幅方向における外方から内方に向かう方向に入力される荷重に対する座屈強度が大きくなっている。
このため、例えば、側面衝突が発生し、センターピラー13からロッカーレール90に対して、車両1の幅方向における外方から内方に向かう方向の荷重が入力された場合には、この荷重はビード底部93に交差する方向の荷重となって入力され、ロッカーレール90全体で見た場合には、ビード92の凸部96が圧縮側となって凸部96の曲率が小さくなる方向の曲げモーメントとして入力される。このように、ビード92の凸部96の曲率を小さくする方向の曲げモーメントがロッカーレール90に入力された場合には、ビード92の凸部96が圧縮側となることにより、座屈が発生し難い状態で、曲げモーメントをロッカーレール90によって受けることができる。
つまり、側面衝突時には、センターピラー13とロッカーレール90との接合部から、ロッカーレール90に対して大きな荷重が入力されるが、ロッカーレール90の形状は、ロッカーレール90の長手方向に延びるビード92の稜線95の曲率が最大になる部分が、ロッカーレール90に入力される曲げモーメントが大きくなり易い部分に対応している。これにより、側面衝突時にセンターピラー13からロッカーレール90に入力される曲げモーメントに対する強度を適切に大きくし、座屈が発生し難い状態で、曲げモーメントをロッカーレール90によって受けることができる。
また、センターピラー13からロッカーレール90に入力される荷重が、ロッカーレール90の耐力を超える大きさの場合には、ビード92の凹部97に位置し、湾曲の曲率が小さくなっている部分である低曲率部Clowの部分で、ロッカーレール90は変形をする。つまり、低曲率部Clowは、センターピラー13からロッカーレール90に入力される荷重による曲げモーメントに対する座屈強度が低くなっているため、ロッカーレール90に入力される荷重が所定の大きさよりも大きい場合には、ロッカーレール90における他の部分よりも先に、この座屈強度が低くなっている低曲率部Clowから変形する。
センターピラー13からロッカーレール90に対して大きな荷重が入力された場合には、低曲率部Clowから変形し始めるが、車両1の前後方向における低曲率部Clowの両側には、最大曲率部Cmaxが位置している。この最大曲率部Cmaxは、座屈強度が高くなっており、大きな荷重が入力された場合でも変形し難くなっているため、低曲率部Clowが変形し始めた場合でも、ロッカーレール90の変形は、低曲率部Clowの両側に位置する最大曲率部Cmaxで抑えられる。
つまり、ロッカーレール90に設けられるビード92の稜線95の曲率が小さい部分が、ロッカーレール90に入力される曲げモーメントが大きくなり易い部分に対応しており、且つ、この稜線95の曲率が小さい部分は、曲率が高い部分に挟まれている。これにより、側面衝突時にセンターピラー13からロッカーレール90に入力される曲げモーメントが所定以上になった場合に、所望の位置でロッカーレール90を変形させることができると共に、変形が広がることを抑えることができる。
以上のロッカーレール90は、ビード92の稜線95の曲率が最大になる部分が、ロッカーレール90の曲げモーメントが大きくなる部分に対応している。これにより、大きな強度が必要な部分の強度を、より確実に大きくすることができ、ロッカーレール90に新たに補強部材を設けることなく、入力される荷重に対する所望の強度を確保することができる。この結果、補強部材を増加させることなく、ロッカーレール90の強度を大きくすることができる。
また、ビード92に低曲率部Clowを設け、低曲率部Clowを2つの最大曲率部Cmaxで挟んでいるので、センターピラー13からロッカーレール90に大きな荷重が入力された場合、低曲率部Clowでロッカーレール90を変形させると共に、この低曲率部Clowを起点とする変形が広がることを、最大曲率部Cmaxで抑えることができる。これにより、ロッカーレール90に大きな荷重が入力された場合に、所望の位置で変形させることにより、この荷重によるロッカーレール90全体の応力を逃がすことができ、且つ、ロッカーレール90の変形が広がることを抑制することにより、荷重に対する強度を有する状態を維持することができる。従って、センターピラー13からロッカーレール90に入力される大きな荷重を、ロッカーレール90全体が大きく変形しない状態で、ロッカーレール90で、より確実に受けることができる。この結果、より確実に、補強部材を増加させることなく、ロッカーレール90の強度を大きくすることができる。
[実施形態8]
本発明に係る車両用ボデー部材の実施形態8では、実施形態1に係るセンターピラー13等とは異なり、車両1に設けられるキックアッパ部100が、本発明に係る車両用ボデー部材の実施形態8となっている。このキックアッパ部100を有する車両1の他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
図25は、実施形態8に係るキックアッパ部を示す側面図である。本発明に係る車両用ボデー部材の実施形態8であるキックアッパ部100は、実施形態1に係るセンターピラー13を有するフレーム材10の前方に配設されてフレーム材10に接続され、フレーム材10よりも前方側のボデー2の強度を確保するフロントサイドメンバ101に設けられている。このように、フレーム材10の前方に配設されるフロントサイドメンバ101は、車両1の前輪や、前輪の支持部材、前輪の操舵部材等を避けるため、フレーム材10側から車両1の前方側に向かう方向における所定の位置で、上方に跳ね上がっており、この部分がキックアッパ部100となっている。このため、キックアッパ部100は、略水平に形成されている部分と、上方に跳ね上がっている部分とは、90°〜180°の範囲内の所定の角度を有して形成されている。
また、キックアッパ部100は、このように前輪の支持部材等の近傍に位置しているため、キックアッパ部100には、例えば前輪のサスペンションメンバを支持する部材であるサスペンションブラケット118等の部材が取り付けられている。
このキックアッパ部100は、このようにフロントサイドメンバ101が跳ね上がって形成されているため、この部分を補強する補強材であるキックアッパリインフォース111が設けられている。このキックアッパリインフォース111は、フロントサイドメンバ101におけるキックアッパ部100の内側部分、即ち、跳ね上がって形成されているフロントサイドメンバ101の内角側に、フロントサイドメンバ101に沿って設けられている。これにより、キックアッパリインフォース111もフロントサイドメンバ101に沿って跳ね上がった形状となっている。
図26は、図25に示すキックアッパ部に備えられるフロントサイドメンバの斜視図である。図27は、図25に示すキックアッパ部に備えられるキックアッパリインフォースの斜視図である。図28は、図25のD−D断面図である。図29は、図25のE−E断面図である。このように形成されているキックアッパ部100のフロントサイドメンバ101とキックアッパリインフォース111とには、共に溝状に形成されたビードが設けられている。これらのビードのうち、フロントサイドメンバ101に設けられるビードであるメンバ側ビード102は、キックアッパ部100において跳ね上がって形成されているフロントサイドメンバ101の外角側に、車両1の前後方向に延びて形成されている。即ち、メンバ側ビード102は、下方に開口した下向きのビードとなっている。また、キックアッパリインフォース111に設けられるビードであるリインフォース側ビード112は、キックアッパ部100において跳ね上がって形成されているキックアッパリインフォース111の内角側に、車両1の前後方向に延びて形成されている。即ち、リインフォース側ビード112は、上方に開口した上向きのビードとなっている。
これらのように、キックアッパ部100に形成されるメンバ側ビード102とリインフォース側ビード112とは、共にキックアッパ部100の内角側に凸となる方向、或いは、上方に凸となる方向に湾曲して形成されている。つまり、メンバ側ビード102は、溝状の形状で形成されるメンバ側ビード102の溝底であるメンバ側ビード底部103が、キックアッパ部100の内角側に凸となる方向に湾曲して形成されている。同様に、リインフォース側ビード112は、溝状の形状で形成されるリインフォース側ビード112の溝底であるリインフォース側ビード底部113が、キックアッパ部100の内角側に凸となる方向に湾曲して形成されている。
このため、メンバ側ビード102とリインフォース側ビード112とは、共にキックアッパ部100の長手方向における位置、或いは、車両1の前後方向における位置によって、深さが異なっており、メンバ側ビード102は、メンバ側ビード底部103が、キックアッパ部100の内角方向に向かうに従って、深さが深くなる。反対に、リインフォース側ビード112は、リインフォース側ビード底部113が、キックアッパ部100の内角方向に向かうに従って、深さが浅くなる。
このように、湾曲して形成されるメンバ側ビード102とリインフォース側ビード112とは、共にキックアッパ部100の長手方向における位置によって曲率が異なっており、キックアッパ部100の長手方向において、キックアッパ部100の頂点の位置の曲率が、最も大きくなっている。つまり、メンバ側ビード102における曲率が最大となる部分である最大曲率部Cmaxと、リインフォース側ビード112における曲率が最大となる部分である最大曲率部Cmaxとは、キックアッパ部100の長手方向における位置が、ほぼ同じ位置になっており、共にキックアッパ部100の頂点の位置とほぼ同じ位置になっている。
つまり、キックアッパ部100に形成されるメンバ側ビード102とリインフォース側ビード112とは、共にキックアッパ部100の長手方向に延びるメンバ側ビード102とリインフォース側ビード112との稜線の曲率が最大になる部分が、キックアッパ部100の長手方向においてほぼ同じ位置になっている。
具体的には、フロントサイドメンバ101に形成されるメンバ側ビード102は、メンバ側ビード底部103と、このメンバ側ビード底部103と交差するメンバ側ビード壁部104との接続部分である稜線105が、キックアッパ部100の長手方向に延びると共に、稜線105においても曲率が最大になる部分である最大曲率部Cmaxが、キックアッパ部100の頂点付近に位置している。
同様に、キックアッパリインフォース111に形成されるリインフォース側ビード112は、リインフォース側ビード底部113と、このリインフォース側ビード底部113と交差するリインフォース側ビード壁部114との接続部分である稜線115が、キックアッパ部100の長手方向に延びると共に、稜線115においても曲率が最大になる部分である最大曲率部Cmaxが、キックアッパ部100の頂点付近に位置している。
メンバ側ビード102とリインフォース側ビード112とは、共に最大曲率部Cmaxがキックアッパ部100の頂点付近に位置し、最大曲率部Cmaxからキックアッパ部100の長手方向に離れるに従って、連続的に曲率が小さくなっている。また、メンバ側ビード102における車両1の前方側の端部は、サスペンションブラケット118と重なる位置に設ける。
この実施形態8に係るキックアッパ部100は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。フロントサイドメンバ101は、主に車両1のフレーム材10よりも前側の強度を確保するが、このフロントサイドメンバ101には、上方に跳ね上げられて形成されたキックアッパ部100が設けられている。このキックアッパ部100には、メンバ側ビード102とリインフォース側ビード112とが形成されており、これらのメンバ側ビード102とリインフォース側ビード112とは、キックアッパ部100の内角方向に凸となる方向に湾曲している。さらに、メンバ側ビード102とリインフォース側ビード112とは、キックアッパ部100の長手方向における位置によって曲率が異なっており、キックアッパ部100の頂点の部分に、最大曲率部Cmaxが位置している。これにより、キックアッパ部100は、キックアッパ部100の角度を小さくする方向に入力される荷重に対する強度を発生する。
例えば、正面衝突が発生し、車両1の前方から後方への大きな荷重が入力された場合、キックアッパ部100には、跳ね上がっている部分に対して、車両1の前方から後方への荷重が入力される。この向きで入力された荷重は、キックアッパ部100の角度を小さくする方向の荷重として、キックアッパ部100に入力される。キックアッパ部100に、この方向の荷重が入力された場合、この荷重は、メンバ側ビード102の湾曲の曲率や、リインフォース側ビード112の湾曲の曲率を小さくする方向の曲げモーメントとしてキックアッパ部100に入力される。
つまり、正面衝突によってキックアッパ部100に入力される荷重は、メンバ側ビード底部103やリインフォース側ビード底部113に交差する方向の荷重となって入力される。また、この方向の荷重が入力された場合、メンバ側ビード102とリインフォース側ビード112との湾曲の凸側に位置するリインフォース側ビード112側が、これらのビードの曲率を小さくする方向に入力される曲げモーメントによる曲げの圧縮側となる。このため、リインフォース側ビード112の湾曲の曲率やメンバ側ビード102の湾曲の曲率を小さくする方向の曲げモーメントが入力された場合には、リインフォース側ビード112はメンバ側ビード102から離れる方向に変形する。
これにより、キックアッパ部100の頂点付近では、断面係数が大きくなる方向に、フロントサイドメンバ101とキックアッパリインフォース111との断面形状が変形し、座屈強度が大きくなる。このため、正面衝突時に、この衝突による荷重がキックアッパ部100に入力されることによってキックアッパ部100に曲げモーメントが入力された場合には、座屈が発生し難い状態で、曲げモーメントをキックアッパ部100によって受けることができる。
また、正面衝突時におけるキックアッパ部100には、正面衝突時の荷重によって、このように曲げモーメントが入力されるが、この場合における曲げモーメントは、キックアッパ部100の頂点付近に、最大曲げモーメントが位置する。これに対し、フロントサイドメンバ101に形成されるメンバ側ビード102や、キックアッパリインフォース111に形成されるリインフォース側ビード112は、最大曲率部Cmaxが、キックアッパ部100の頂点付近の部分に位置している。つまり、車両1の前後方向に延びるキックアッパ部100の長手方向に延びるメンバ側ビード102の稜線105の曲率が最大になる部分と、キックアッパ部100の長手方向に延びるリインフォース側ビード112の稜線115の曲率が最大になる部分とが、キックアッパ部100の曲げモーメントが最大となる部分に対応している。これにより、正面衝突時にキックアッパ部100に入力される曲げモーメントに対する強度を適切に大きくし、より座屈が発生し難い状態で、曲げモーメントをキックアッパ部100によって受けることができる。
以上のキックアッパ部100は、メンバ側ビード102やリインフォース側ビード112の稜線105、115の曲率が最大になる部分が、キックアッパ部100の曲げモーメントが最大となる部分に対応している。これにより、曲げモーメントが最大になることにより大きな強度が必要な部分の強度を、より確実に大きくすることができる。従って、キックアッパ部100の板厚を厚くしたり、新たに補強部材を設けたりすることなく、メンバ側ビード102やリインフォース側ビード112を湾曲させて曲率を設けることのみで、入力される荷重に対する所望の強度を確保することができる。この結果、補強部材を増加させることなく、キックアッパ部100の強度を大きくすることができる。
[実施形態9]
本発明に係る車両用ボデー部材の実施形態9では、実施形態1に係るセンターピラー13等とは異なり、車両1に設けられるルーフレール120が、本発明に係る車両用ボデー部材の実施形態9となっている。このルーフレール120を有する車両1の他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
図30は、実施形態9に係るルーフレールを示す平面図である。図31は、図30に示すルーフレールの斜視図である。本発明に係る車両用ボデー部材の実施形態9であるルーフレール120は、実施形態1に係るセンターピラー13を有するフレーム材10に設けられるルーフレール14と同様に、フレーム材10に設けられている。このルーフレール120は、車両1の前後方向に延びる部材である前後方向骨格部材として設けられており、このルーフレール120には、ルーフレール120の長手方向における中央付近に、センターピラー13が接合されている。また、ルーフレール120は、車両1の幅方向における外側に位置するアウタリインフォース121と、車両1の幅方向における内側に位置するレールインナ128とが組み合わされることにより形成されている。
これらのアウタリインフォース121とレールインナ128とは、共に車両1の幅方向における外側方向に凸となる方向に湾曲して形成されている。このように、湾曲して形成されるアウタリインフォース121とレールインナ128とは、共にルーフレール120の長手方向における位置によって曲率が異なっており、ルーフレール120の長手方向において、センターピラー13と接合している位置の曲率が、最も大きくなっている。つまり、アウタリインフォース121とレールインナ128とは、曲率が最大となる部分である最大曲率部Cmaxが、ルーフレール120とセンターピラー13との接合部に位置している。つまり、ルーフレール120は、当該ルーフレール120の長手方向に延びる稜線124の曲率が最大になる部分が、センターピラー13とルーフレール120との接合部に位置している。
図32は、図30のF−F断面図である。具体的には、アウタリインフォース121は、複数の面が組み合わされて形成されており、センターピラー13は、このアウタリインフォース121の複数の面のうち、車両1の幅方向における外側方向に面する面である接合面122と接合している。また、アウタリインフォース121は、この接合面122と、この接合面122と交差する交差面123との接続部分である稜線124が、ルーフレール120の長手方向に延びており、さらに、稜線124においても曲率が最大になる部分である最大曲率部Cmaxが、センターピラー13とルーフレール120との接合部に位置している。
この実施形態9に係るルーフレール120は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。このルーフレール120は、少なくともアウタリインフォース121が、車両1の幅方向における外側方向に凸となる方向に湾曲している。さらに、このアウタリインフォース121は、ルーフレール120の長手方向における位置によって曲率が異なっており、センターピラー13とルーフレール120との接合部の部分に、最大曲率部Cmaxが位置している。これにより、ルーフレール120は、車両1の幅方向における外方から内方に向かう方向に入力される荷重に対する強度を発生する。
このため、例えば、側面衝突が発生し、センターピラー13からルーフレール120に対して、車両1の幅方向における外方から内方に向かう方向の荷重が入力された場合、この荷重は、アウタリインフォース121に対しては接合面122に交差する方向の荷重となって入力される。このため、この荷重がルーフレール120に入力された場合は、アウタリインフォース121の接合面122の湾曲の凸側が圧縮側となり、この接合面122の湾曲の曲率を小さくする方向の曲げモーメントとして入力される。このように、アウタリインフォース121の接合面122の湾曲の曲率を小さくする方向の曲げモーメントが入力された場合には、アウタリインフォース121の接合面122は、レールインナ128から離れる方向に変形する。
これにより、センターピラー13とルーフレール120との接合部では、断面係数が大きくなる方向にルーフレール120の断面形状が変形し、座屈強度が大きくなる。このため、側面衝突時に、この衝突による荷重がセンターピラー13の接合部からルーフレール120に入力されることによってルーフレール120に曲げモーメントが入力された場合には、座屈が発生し難い状態で、曲げモーメントをルーフレール120によって受けることができる。
また、側面衝突時には、ルーフレール120とセンターピラー13との接合部に、最大曲げモーメントが位置するが、アウタリインフォース121は、最大曲率部Cmaxが、ルーフレール120とセンターピラー13との接合部の部分に位置している。つまり、車両1の前後方向に延びるルーフレール120の長手方向に延びるアウタリインフォース121の稜線124の曲率が最大になる部分が、ルーフレール120の曲げモーメントが最大となる部分に対応している。これにより、側面衝突時にセンターピラー13からルーフレール120に入力される曲げモーメントに対する強度を適切に大きくし、より座屈が発生し難い状態で、曲げモーメントをルーフレール120によって受けることができる。
以上のルーフレール120は、アウタリインフォース121の稜線124の曲率が最大になる部分が、ルーフレール120の曲げモーメントが最大となる部分に対応している。これにより、曲げモーメントが最大になることにより大きな強度が必要な部分の強度を、より確実に大きくすることができる。従って、ルーフレール120に新たに補強部材を設けることなく、アウタリインフォース121を湾曲させて曲率を設けることのみで、入力される荷重に対する所望の強度を確保することができる。この結果、補強部材を増加させることなく、ルーフレール120の強度を大きくすることができる。
また、アウタリインフォース121の稜線124の曲率が最大になる部分は、センターピラー13とルーフレール120との接合部に位置しているので、ルーフレール120に対してセンターピラー13から入力される大きな荷重を、ルーフレール120で受けることができる。これにより、側面衝突など、センターピラー13に大きな荷重が入力される場合でも、ルーフレール120の変形を抑制しつつ、センターピラー13を支持することができる。この結果、補強部材を増加させることなく、車両1の全体の強度を大きくすることができる。
なお、上述した実施形態1〜9では、本発明に係る車両用ボデー部材として、センターピラー13、30、バンパリインフォース40、50、ロッカーレール60、80、90、キックアッパ部100、ルーフレール120を用いて説明しているが、本発明に係る車両用ボデー部材は、上述した各実施形態を組み合わせてもよく、また、各実施形態以外の構成を用いてもよい。曲げモーメントが最大となる部分に対応する部分の曲率が、他の部分の曲率よりも大きくなって形成されていれば、その形態や用途は、実施形態の構成にとらわれない。
以上のように、本発明に係る車両用ボデー部材は、車両のボデーの強度を確保するために用いられる部材に有用であり、特に、部材が座屈をするまでの強度を確保する場合に適している。
1 車両
2 ボデー
3 フロントドア
4 リアドア
5 ドアガラス
6 バンパ
8 ルーフ
10 フレーム材
12、60、80、90 ロッカーレール
13、30 センターピラー
14、120 ルーフレール
20 ピラーリインフォース
23、36、43、54、65、75、84、95、105、115、124 稜線
25 アウタパネル
26、32 インナパネル
33 溝部
37、45、55 湾曲部
40、50 バンパリインフォース
51、92 ビード
61、81、91 アウタリインフォース
62 アウタ側ビード
71、88、98 ロッカインナ
72 インナ側ビード
96 凸部
97 凹部
100 キックアッパ部
101 フロントサイドメンバ
102 メンバ側ビード
111 キックアッパリインフォース
112 リインフォース側ビード
121 アウタリインフォース
128 レールインナ

Claims (4)

  1. 車両のボデーを構成する部材である車両用ボデー部材において、
    前記車両の前後方向に延びる部材である前後方向骨格部材の長手方向に延びる稜線のうち、前記ボデーに作用する荷重による曲げモーメントが最大となる部分に対応する前記稜線の曲率が、他の部分に対応する前記稜線の曲率よりも大きくなっており、前記前後方向骨格部材の長手方向に延びる稜線の曲率が最大になる部分が、前記前後方向骨格部材の前記曲げモーメントが最大となる部分に対応していることを特徴とする車両用ボデー部材。
  2. 前記前後方向骨格部材の前記稜線の曲率が最大になる部分は、前記車両のピラーと前記前後方向骨格部材との接合部に位置していることを特徴とする請求項に記載の車両用ボデー部材。
  3. 車両のボデーを構成する部材である車両用ボデー部材において、
    前記車両のフロントサイドメンバにおけるキックアッパ部の長手方向に延びる稜線のうち、前記ボデーに作用する荷重による曲げモーメントが最大となる部分に対応する前記稜線の曲率が、他の部分に対応する前記稜線の曲率よりも大きくなっており、前記キックアッパ部の長手方向に延びる稜線の曲率が最大になる部分が、前記キックアッパ部の前記曲げモーメントが最大となる部分に対応していることを特徴とする車両用ボデー部材。
  4. アウタパネルと補強材とを有しており、少なくとも前記補強材の前記稜線の曲率が最大になる部分が、前記曲げモーメントが最大となる部分に対応していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ボデー部材。
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