以下、本発明の実施形態を図1乃至9に基づき説明する。本実施形態では、電子写真方式でタンデム型のカラーのプリンタ1(画像形成装置に相当)を例に挙げ説明する。但し、本実施形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(画像形成装置の概略構成)
まず、図1及び2を用いて、本発明の実施形態に係るプリンタ1の概略を説明する。図1は、本発明の実施形態に係るプリンタ1の概略構成を示す断面図である。図2は、本発明の実施形態に係る各画像形成部3の拡大断面図である。そして、本実施形態にかかるプリンタ1は、図1に示すように、本体内に、シート供給部2a、搬送路2b、画像形成部3、露光装置4、中間転写部5、定着部6等が設けられる。
シート供給部2aは、中間転写部5等に向け、例えば、コピー用紙、OHPシート、ラベル用紙等の各種シートを収容し、モータ等の駆動機構(不図示)により回転する給紙ローラ21でシートを搬送路2bに送り出す。そして、搬送路2bは、プリンタ1内でシートを搬送し、供給されたシートを、中間転写部5、定着部6を経て排出トレイ22まで導く。搬送路2bは、搬送ローラ対23やガイド24及び搬送されるシートを中間転写部5の手前で待機させ、タイミングをあわせて送り出すレジストローラ対25等を有する。
そして、図1及び図2に示すように、プリンタ1は、画像データに基づき、それぞれ色の異なるトナー像を形成する部分として、4色分の画像形成部3を備える。具体的に、プリンタ1は、ブラックの画像を形成する画像形成部3a(帯電装置7a、現像装置8a、除電装置31a、清掃装置32a等を具備)と、イエローの画像を形成する画像形成部3b(帯電装置7b、現像装置8b、除電装置31b、清掃装置32b等を具備)と、シアンの画像を形成する画像形成部3c(帯電装置7c、現像装置8c、除電装置31c、清掃装置32c等を具備)と、マゼンタの画像を形成する画像形成部3d(帯電装置7d、現像装置8d、除電装置31d、清掃装置32d等を具備)と、を備える。
ここで、図2に基づき、各画像形成部3a〜3dを詳述する。尚、各画像形成部3a〜3dは、形成するトナー像の色が異なるだけで、いずれも基本的に同様の構成である。そこで、下の説明では、各画像形成部3内のa、b、c、dの符号は、特に説明する場合を除き省略する(尚、図2では、画像形成部3a、3b、3c、3d内の各部材に、識別的にa、b、c、dの符号を付すこととする。)
各感光体ドラム9は、周面にトナー像を担持し、例えば、アルミニウム製のドラムの基体の外周面上に正帯電のアモルファスシリコンの感光層を有し、駆動装置(不図示)によって所定のプロセススピードで紙面反時計方向に回転駆動される。
各帯電装置7(帯電部に相当)は、帯電ローラ71を有し、感光体ドラム9を一定の電位で帯電させる。各帯電ローラ71は、各感光体ドラム9に接し、感光体ドラム9に合わせ回転する。又、各帯電ローラ71には、帯電電圧印加部72(図5参照)により直流と交流が重畳された電圧が印加され、感光体ドラム9は、所定の正極性の電位(例えば、200V〜300V、暗電位)に均一に帯電される。尚、各帯電ローラ71の表面の清掃用の清掃ブラシ73(例えば、軸に樹脂製ブラシ等を巻き付けたもの)が設けられる。又、帯電装置7は、コロナ放電や帯電ブラシ等を用いるものでも良い。
各現像装置8は、トナーと磁性体のキャリアを含む現像剤(いわゆる2成分現像剤)を収納する(現像装置8aはブラック、現像装置8bはイエロー、現像装置8cはシアン、現像装置8dはマゼンタの現像剤を収納)。各現像装置8は、現像ローラ81と、磁気ローラ82と、搬送部材83とを有する。各現像ローラ81は、それぞれ感光体ドラム9に対向し、所定のギャップ(例えば、1mm以下)を設けて配される。そして、各磁気ローラ82は、各現像ローラ81の右斜め上方に対向し、隙間を設けて配される。そして、各搬送部材83は、各磁気ローラ82の上方に設けられる。
各現像ローラ81と各磁気ローラ82のローラ軸811、821は固定される。又、現像ローラ81と磁気ローラ82の内部のローラ軸811、821には、軸線方向にのびる磁石813、823が取り付けられる。そして、各現像ローラ81と各磁気ローラ82は、それぞれ磁石813、823を覆う円筒状のスリーブ812、822を有し、画像形成時、後述の調整時、このスリーブ812、822が回転する(図3参照)。又、磁石813と磁石823は、各スリーブ812、822の最接近位置で異極が向かい合う。
これにより、各現像ローラ81と、各磁気ローラ82間には、磁性体キャリアで磁気ブラシが形成される。磁気ブラシと磁気ローラ82のスリーブ822の回転や磁気ローラ82への電圧印加(磁気ローラバイアス印加部84:図5参照)等で、現像ローラ81に、トナーが供給され、現像ローラ81にトナーの薄層が形成される。又、現像後に残留したトナーは、磁気ブラシで現像ローラ81から引き剥がされる。各搬送部材83は、例えば、軸に対しスクリューが螺旋状に設けられ、現像剤を各現像装置8内で搬送、撹拌し、トナーを所定のレベルに帯電させる(本実施形態では、トナーは正帯電)。
各清掃装置32は、感光体ドラム9の清掃を行い、例えば、外周部分に弾性を有する円筒状の素材の清掃部材33を有し、清掃部材33は、各感光体ドラム9に当接し、ドラム表面の転写残トナーを除去、回収する。又、各清掃装置32の下方に、感光体ドラム9に対し光を照射して除電を行う除電装置31(例えば、アレイ状のLED)が設けられる。
各画像形成部3の上方の露光装置4(露光部に相当)は、入力されるカラー色分解された画像信号をレーザ出力部(不図示)にて光信号にそれぞれ変換し、変換された光信号であるレーザ光(破線で図示)を出力し、帯電後の感光体ドラム9の走査露光を行って、静電潜像を形成する。尚、露光装置4は、多数のLEDからなるもの等を用いてもよい。露光装置4は、半導体レーザ装置(レーザダイオード)、ポリゴンミラー(ポリゴンモータにより回転)、fθレンズ、ミラー等の光学系部材(不図示)を備え、レーザ光を各感光体ドラム9に照射し、画像データに併せた静電潜像を感光体ドラム9上に形成する。具体的に、本実施形態の各感光体ドラム9は正帯電し、光の照射部分は電位が下がり(例えば、ほぼ0V)、電位の低下部分に正帯電トナーが付着する(例えば、ベタ塗り画像の場合、全ライン、全画素にレーザ光を照射)
図1に戻り、中間転写部5は、感光体ドラム9からトナー像の1次転写を受けて、シートに2次転写を行い、各1次転写ローラ51a〜51d、中間転写ベルト52、駆動ローラ53、従動ローラ54、55、56、2次転写ローラ57、ベルト清掃装置58等で構成される。各1次転写ローラ51a〜51dは、無端状の中間転写ベルト52を介して各感光体ドラム9に当接し、転写用の電圧を印加する転写電圧印加部59(不図示)に接続され、トナー像を中間転写ベルト52に転写する。
中間転写ベルト52は、駆動ローラ53、従動ローラ54、55、56に張架され、モータ等の駆動機構(不図示)に接続される駆動ローラ53の回転駆動により図1では反時計方向に周回する。又、駆動ローラ53は、中間転写ベルト52を介して2次転写ローラ57と当接し、2次転写部を形成する。シートへのトナー像転写を説明すると、各画像形成部3で形成されたトナー像(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各色)は、各1次転写ローラ51への所定の電圧を印加により、順次、中間転写ベルト52に1次転写される。この時、各色のトナー像は、ずれなく重畳されるように、タイミングを取られつつ1次転写される。そして、各色重ね合わされたトナー像は、所定の電圧を印加された2次転写ローラ57により、シートに転写される。尚、2次転写後に中間転写ベルト52上に残った残トナー等は、ベルト清掃装置58で除去されて回収される(図1参照)。
前記定着部6は、2次転写部の転写材搬送方向の下流側に配され、シートに2次転写されたトナー像を加熱・加圧して定着させる。そして、定着部6は主として、発熱源を内蔵する定着ローラ61と、これに圧接される加圧ローラ62とで構成され、ニップが形成される。そして、トナー像の転写されたシートは、ニップを通過すると加熱・加圧され、その結果、トナー像がシートに定着する。尚、定着後のシートは、排出トレイ22に排出され画像形成処理が完了する。
(放電検出用の構成)
次に、本発明の特徴となる各現像ローラ81への現像バイアス印加と各感光体ドラム9間の放電検出に関する構成を説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る現像ローラ81への現像バイアス印加と感光体ドラム9間の放電発生検出に関する現像ローラ81周辺の構成図である。ただし、図3は1つの画像形成部3についてのみ示し、画像形成部3ごとに直流電圧印加部85、交流電圧印加部86、検出部14、アンプ15が設けられ、各アンプ15の出力が、後述する制御部10のCPU11に入力される。ここで、直流電圧印加部85、交流電圧印加部86、検出部14、アンプ15のそれぞれについて、画像形成部3の区別を示すa、b、c、dの符号を付しても良いが、各画像形成部3では同様のものが設けられるので、記載の煩雑さを回避するため、以下では、a、b、c、dの符号は省略して説明する。
図3に示すように、感光体ドラム9にギャップが設けられつつ対向する現像ローラ81は、ローラ軸811、画像形成時にトナーを担持するスリーブ812、キャップ814を有する。ローラ軸811はスリーブ812を挿通され、スリーブ812の両端に円形のキャップ814が嵌入される。又、現像ローラ81のローラ軸811には、感光体ドラム9へのトナーの供給のため、直流電圧印加部85と、交流電圧印加部86が接続される。
直流電圧印加部85は、現像ローラ81に印加する直流成分を発生させる回路であり、その出力は交流電圧印加部86に入力される。そして、直流電圧印加部85は、出力制御部87を有し、出力制御部87は、直流電圧印加部85が出力するバイアスの値をCPU11の指示に応じて制御する。
直流電圧印加部85は、プリンタ1内の電源装置16(図4参照)からの直流電力の供給を受け、CPU11の指示に応じ、出力制御部87の制御により、出力電圧が可変な回路である(例えば、出力電圧が異なる出力端までの経路を複数有し、画像形成時と放電検出時で、その経路の選択を変える等)。これにより、現像ローラ81に印加する交流電圧をバイアスさせることができる。
又、交流電圧印加部86は、例えば、矩形波状(パルス状)であり、直流電圧印加部85の印加する直流電圧を平均値とする交流電圧を出力する回路である。そして、交流電圧印加部86は、Vpp制御部88およびデューティ比/周波数制御部89を有する。Vpp制御部88は、交流電圧のピーク間電圧(ピークトゥピーク)をCPU11の指示に応じて制御する。また、デューティ比/周波数制御部89は、交流電圧のデューティ比及び周波数をCPU11の指示に応じて制御する。
例えば、交流電圧印加部86は、スイッチング素子等を備え、出力の正負をスイッチングにより反転させ、交流電圧を出力する。そして、デューティ比/周波数制御部89は、例えば、交流電圧印加部86の出力の正負のスイッチングのタイミングを制御して、交流電圧のデューティ比や周波数を制御することができる。又、Vpp制御部88は、現像ローラ81に印加すべき交流電圧のピーク間電圧とデューティ比とに基づき、電源装置16から入力される直流電圧の昇降圧等により、交流電圧における正側のピーク値と負側のピーク値を、CPU11の指示に応じ、可変させる。尚、交流電圧印加部86の構成や、交流電圧のピーク間電圧、デューティ比、周波数を可変させる構成は、ピーク間電圧、デューティ比、周波数を変化できればよい。
そして、交流電圧印加部86内には、例えば、昇圧用トランス等による昇圧回路を出力段に備えることができ、昇圧後の直流と交流の重畳された現像バイアスが、例えば、現像ローラ81のローラ軸811に印加される。これにより、スリーブ812にも現像バイアスが印加され、スリーブ812に担持される帯電トナーが飛翔する。
検出部14は、現像ローラ81と感光体ドラム9間での放電発生時に流れる電流を電圧信号に変換し、現像ローラ81と感光体ドラム9間での放電の発生を検出する回路であり、変換した電圧信号をアンプ15に出力する。アンプ15は、検出部14からの電圧信号を増幅しCPU11に出力する。CPU11は、アンプ15からの電圧信号をA/D変換する。このA/D変換されたアンプ15の出力から、CPU11は、放電の発生や放電の大きさ(流れた電流の大きさ)を認識することができる。
(プリンタ1のハードウェア構成)
次に、図4に基づき、本発明の実施形態に係るプリンタ1のハードウェア構成を説明する。図4は、本発明の実施形態に係るプリンタ1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、本実施形態に係るプリンタ1は、内部に制御部10を有する。制御部10は、プリンタ1の各部を制御し、検出部14の出力が入力され放電発生を認識する。例えば、制御部10は、CPU11、記憶部12等から構成される。CPU11は、中央演算処理装置であり、記憶部12に格納され、展開される制御プログラムに基づきプリンタ1の各部の制御や演算を行う。記憶部12は、ROM、RAM、フラッシュROM等の不揮発性と揮発性の記憶装置の組み合わせで構成される。例えば、記憶部12は、プリンタ1の制御プログラム、制御データ等を記憶する。尚、本発明に関し、放電検出や現像ローラ81に印加する交流電圧の設定、調整用プログラムも記憶部12に記憶される。
そして、制御部10は、シート供給部2a、搬送路2b、画像形成部3、露光装置4、中間転写部5、定着部6等と接続され、記憶部12の制御プログラムやデータに基づき、適切に画像形成が行われるように各部の動作を制御する。
又、制御部10には、印刷を行う画像データの送信元となるユーザ端末100(パーソナルコンピュータ等)等が接続され、制御部10は、受信した画像データを画像処理し、露光装置4に送信し、露光装置4はその画像データに基づき、感光体ドラム9に静電潜像を形成する。又、図4に示す、磁気ローラバイアス印加部84は、磁気ローラ82に、交流と直流を重畳した電圧を印加する回路である。又、帯電電圧印加部72は、帯電ローラ71に帯電用の電圧を印加する回路である。
又、本発明に関し、制御部10(CPU11)は、検出部14(アンプ15)が接続される。又、本発明の実施時、CPU11は、現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧等を変える指示を交流電圧印加部86に与えつつ、検出部14(アンプ15)の出力から放電発生の有無の検出や、放電の大きさを判断する。そして、放電発生を検出した場合、制御部10は、その時の直流電圧や交流電圧のピーク間電圧等の値に基づき、放電発生時の現像ローラ81の感光体ドラム9の電位差の把握し、画像形成時に放電が生じないように、画像形成動作時に印加すべき現像バイアスの設定を決定する。尚、現像バイアスの設定値は記憶部12に記憶できる。
又、本発明に関し、各画像形成部3には、例えば、履歴データを記憶するチップ状のメモリ34(記憶部に相当)が搭載される。ここで、履歴データとは、画像形成部3の寿命管理の観点から累計印刷枚数や、印刷実行日時とその枚数や、使用時間(稼働時間)を示すデータなどを含むことができる。又、履歴データには、後述する現像ローラ81に印加する交流電圧の調整を行った日時のデータを含むこともできる。又、先の交流電圧の調整からの現在までの各画像形成部3の使用時間をデータとして記憶しても良いし、調整後に印刷された枚数に、1枚あたりに要する時間を乗じて換算(例えば、CPU11が演算)して、先の調整からの使用時間が記憶されても良い。この画像形成部3に関する使用や調整の履歴に関する履歴データは、制御部10の記憶部12に記憶しても良い。
(現像ローラ81に印加する交流電圧の初期設定)
次に、図5及び図6に基づき、現像ローラ81に印加する交流電圧の初期設定方法の一例を説明する。図5は、本発明の実施形態に係る現像ローラ81に印加する交流電圧の初期設定方法の一例を示すフローチャートである。図6は、本発明の実施形態に係る現像ローラ81に印加する交流電圧の詳細を説明するタイミングチャートである。尚、この初期設定動作は、各画像形成部3について、1つずつ順に行われ、計4回行われる。
尚、この初期設定は、例えば、初期不良発見や初期設定として製造時や、プリンタ1の設置時、現像装置8や感光体ドラム9の交換時に行える。又、プリンタ1の設置時に行うのは、設置環境の標高によって気圧が変化し(例えば、日本国内とメキシコの高地との差)、放電が発生する電圧に差があるためである。現像装置8等の交換時に行うのは、感光体ドラム9と現像ローラ81とのギャップが交換前と変わるためである。尚、上記の例に限られず、実施タイミングは、適宜設定することは可能である。
まず、操作部(不図示)において所定の操作がされ、初期設定制御が開始されると(スタート)、CPU11の指示で、不図示の駆動機構により、感光体ドラム9、現像ローラ81、中間転写ベルト52等の画像形成部3と中間転写部5での各種回転体の回転が開始される(ステップS1)。この各回転体の駆動は初期設定が終了するまで継続する。
次に、初期設定を行うにあたり、予備的動作としての初期動作が行われる(ステップS2)。例えば、初期動作では、現像ローラ81と磁気ローラ82にそれぞれ、交流と直流の電圧が印加される。この初期動作での磁気ローラ82への電圧印加により、少量のトナーが磁気ローラ82から現像ローラ81に供給される。放電発生検出では、基本的に、現像ローラ81にトナーを担持させないが、全くトナーを担持させないと、感光体ドラム9とこれに接する回転部材(中間転写ベルト52等)との摩擦が大きくなりすぎる等、弊害が生じうるので、若干量、感光体ドラム9にトナーが供給される。
次に、放電の発生を検出するための準備状態に移行する(ステップS3)、例えば、準備状態では、CPU11の指示により、帯電電圧印加部72が、帯電装置7に電圧印加を開始する。尚、初期設定動作が終了するまで、帯電装置7に印加される電圧はONとすることができる。又、現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧が、予め定められた最初の値となるように高められる(例えば、設定可能な最低値)。
放電検出状態に移行し、CPU11はアンプ15の出力電圧が所定の閾値を越えた回数をカウントする(ステップ♯4)。具体的には、制御部10は、準備状態で設定された交流電圧、又は、後述する条件変更状態で設定された交流電圧を印加させ、検出部14の出力から放電の発生を検出、認識する。又、この時、CPU11の指示により、露光装置4が露光を継続して行う(感光体ドラム9全面を露光して、表面電位をほぼゼロVまで落とし、安定させるため)。尚、本実施形態のプリンタ1では、トナーと感光体ドラム9の帯電極性が正極性であり、露光部分にトナーがのるので、継続した露光は、ベタ塗り画像の静電潜像形成と同じである。従って、放電検出状態では、例えば、制御部10から露光装置4に、ベタ塗りの画像データ(例えば、記憶部12が記憶)が送り込まれる。
ここで、図6に基づき、放電検出状態で現像ローラ81に印加される電圧について説明しておく。画像形成時のタイミングチャートにおける矩形波は、現像ローラ81に印加される現像バイアス(交流+直流)の波形の一例である。そして、「Vdc1」は、直流電圧印加部85のバイアスの電位を示す。「V0」は、感光体ドラム9の露光装置4による露光後の電位(ほぼ0V=明電位)を示す。「V1」は、感光体ドラム9の帯電後の電位(露光しない部分の電位。例えば、200〜300V程度)を示す。「V+1」は、V0と、画像形成時の現像バイアスの正のピーク値との電位差を示す。「V-」は、V1と現像バイアスの負のピーク値との電位差を示す。「Vpp1」は、画像形成時の現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧を示す。又、「T1」は、矩形波におけるHigh状態(正極性状態)の時間である。「T01」は、矩形波の周期を示す。
一方、放電検出状態のタイミングチャートにおける矩形波は、で、現像ローラ81に印加される現像バイアスの波形を示す。「Vdc2」は、検出時の直流電圧印加部85のバイアスの電位を示す。又、「V0」は、図6上段と同様、感光体ドラム9の露光装置4による露光後の電位(ほぼ0V)を示す。「V+2」は、検出時の現像バイアスの正のピーク値とV0との電位差を示す。「Vpp2」は、検出時の現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧を示す。「T2」は、矩形波におけるHigh状態(正極性状態)の時間である。「T02」は、矩形波の周期である。
まず、放電検出状態では、CPU11の指示により、出力制御部87は直流電圧印加部85の出力を、放電検出状態用の設定値Vdc2(例えば、100V〜200V)に設定する。又、CPU11の指示で、Vpp制御部88は交流電圧印加部86の出力する交流電圧のVpp2を設定する。又、CPU11の指示で、デューティ比/周波数制御部89は、交流電圧印加部86の出力する交流電圧のデューティ比D2(周期T02に対するHighの時間T2の比、T2/T02)を放電発生検出用の設定値に設定し、交流電圧印加部86の出力する交流電圧の周波数f2(=1/T02)を放電発生検出用の設定値に設定する(図6下段)。
ここで、デューティ比D2(条件:50%未満)は、画像形成時のデューティ比D1(周期T01に対するHighの時間T1の比、T1/T01)より小さく設定される(例えば、D1=40%、D2=30%)。そして、周波数f2は、交流電圧のプラス側時間が画像形成時と放電発生検出時で同じとなるよう設定される(即ち、T1=T2。例えば、D1=40%、D2=30%の場合、画像形成時の周波数f1=4kHzであれば、f2=3kHz)。これにより、画像形成時と同じ時間だけ、正極性の電圧が現像ローラ818に印加される。
放電検出状態で、デューティ比D2を画像形成時よりも小さくすることで、交流電圧の平均値(Vdc2)との関係で、現像ローラ81での正側のピーク値とVdc2の電位差の方が、負側よりも大きくなる。本実施形態の感光体ドラム9の感光層は、正帯電のアモルファスシリコンであり、現像ローラ81の電位が感光体ドラム9よりも低い状態では、理由は多々考えられるが、放電時に大電流が流れやすい特性があることが経験的に得られている。しかし、本実施形態の放電検出状態では、現像ローラ81の電位を感光体ドラム9よりも大きくし、放電時に大電流が流れ難くして、感光体ドラム9の損傷(例えば、放電で感光体ドラム9に微少な穴が開く等)が防がれる。
図5に戻り、説明を続ける。ステップ♯4の後、制御部10は、カウント数が0回でないかを確認し(ステップS5)、0回で無ければ(ステップS5のNo)、放電発生ありとして、ステップ♯8に移行する(詳細は後述)。尚、この時、放電発生時の交流電圧のピーク間電圧から所定の刻み幅ΔV1だけ減少させた後、ΔV1よりも小さい所定の刻み幅ΔV2だけ増加させ、放電検出状態と条件変更状態(後述のステップ♯7)を繰り返し、放電が発生するピーク間電圧をより細かく探し当ててもよい。
一方、0回であれば(ステップS5のNo)、放電発生なしとして、現状のピーク間電圧が設定可能な最大値(例えば、1500〜3000V)に達しているかをCPU11が確認し(ステップS6)、達していれば(ステップS6のYes)、ステップS8に移行する(詳細は後述)。一方、達していなければ(ステップS6のNo)、条件変更状態に移行する。この条件変更状態では、CPU11の指示で、Vpp制御部88が、交流電圧印加部86の出力する交流電圧のピーク間電圧を現状より所定の刻み幅ΔV1(例えば、30〜100Vなど)だけ増加させる設定が行われる(ステップS7)。その後、放電検出状態に戻る(ステップ♯3へ)。これにより、放電発生が認められるまで、条件変更状態と放電検出状態が繰り返され、繰り返しの間、基本的に、段階的に一定の刻み幅で現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧が高められる。
次に、ステップS8について、詳述する。放電発生検出時(ステップS5のNo)や、設定可能な最大ピーク間電圧でも検出できなかった場合(ステップS6のYes)、CPU11は、最大ピーク間電圧、又は、放電が発生すると認めたピーク間電圧Vpp2、周波数f2、デューティ比D2、バイアス設定値Vdc2から、図6に示す電位差V+2(放電検出時又は設定可能な最大値でのVpp2印加時の感光体ドラム9と現像ローラ81の電位差)を求める(ステップS8)。
ここで、V+2は容易に求めることができる。CPU11は、ピーク間電圧の大きさを指定してVpp制御部88に指示を出す。従って、制御部10は、放電発生を検出した場合、その時のVpp2を把握している。又、設定値としてのデューティ比D2と、Vdc2を基準とし、正側と負側の面積を等しくすることに基づき、Vpp2の正側のピーク値とVdc2の電位差が求められる。この電位差に、Vdc2とV0との電位差(V0は、ほぼ0Vなので、Vdc2と扱える)を加えれば、V+2が求められる(図6参照)。
具体的に、放電発生検出動作時のVpp2は、段階的に変更され、デューティ比D2、バイアス設定値Vdc2を一定とすれば、各Vpp2の大きさ応じ、予めV+2を算出しておき、ルックアップテーブルとしてデータ化し、CPU11がそのテーブルを参照し、V+2が求められても良い。尚、このテーブルは、例えば、記憶部12に記憶しておけばよい。
次に、求められたV+2に基づき、CPU11は、図5に示したV+1と、V-がいずれも求められたV+2よりも、小さくなるように、画像形成時に現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧Vpp1を設定し、制御部10は記憶部12のフラッシュROM等に不揮発的に記憶させる(ステップS9)。具体的に、Vpp1の決定方法は多様であるが。例えば、V+1とV-をV+2よりも、どれほど小さくすれば放電が発生しないか(マージンをどれほどとるべきか)は、使用トナーにより異なる等の事情から、開発時の実験に基づき、例えば、求められたV+2に対し、画像形成時に放電が発生しないと認められるVpp1の値をテーブル化し、CPU11がそのテーブルを参照し、Vpp1が定められても良い。尚、このテーブルも記憶部12に記憶しておけばよい。これにより、画像形成時、放電が発生しないできるだけ大きな交流電圧を印加できる。そして、このVpp1の設定が完了すれば、画像形成時の現像ローラ81に印加する交流電圧Vpp1の設定は終了する(エンド)。そして、プリンタ1は、制御完了後、画像形成可能な状態に復帰する。
(現像ローラ81に印加する交流電圧の調整)
次に、図7及び図8に基づき、経時変化に対応する現像ローラ81に印加する交流電圧の調整の一例を説明する。図7は、本発明の実施形態に係る現像ローラ81に印加する交流電圧の調整の制御の一例を示すフローチャートである。図8は、本発明の実施形態に係る現像ローラ81に印加する交流電圧の調整におけるタイミングチャートである。
尚、図8での「現像ローラ(交流)」は、交流電圧印加部86が現像ローラ81に交流電圧を印加するタイミングを示す。「Vpp」は、現像ローラ81への交流電圧のピーク間電圧の大きさの変化を示す。「現像ローラ(直流)」は、直流電圧印加部85が現像ローラ81に直流電圧を印加するタイミングを示す。又、「帯電ローラ」は、帯電装置7が感光体ドラム9を帯電させるタイミングを示す。「露光」は、露光装置4での感光体ドラム9の露光(レーザ光照射)タイミングを示す。「放電検出(検出部14出力)」は、検出部14による放電発生検出タイミングを示す。
ここで、経時変化と現像ローラ81に印加する交流電圧の調整の必要性を説明する。感光体ドラム9や現像ローラ81の使用で、感光体ドラム9や現像ローラ81のギャップ長が変化する場合がある。例えば、各部材(例えば、帯電ローラ71)との摩擦で、感光体ドラム9等の感光層の層厚が変化した場合や、ジャム処理やメンテナンスで感光体ドラム9等に力が加わったため、ギャップ長が微妙に変わった場合や、感光体ドラム9と現像ローラ81のギャップの維持部材(例えば、感光体ドラム9等の回転軸を支える支軸部材等)が摩耗した場合や、落下等のプリンタ1に衝撃があった場合などが考えられる。
そして、ギャップ長は、感光体ドラム9と現像ローラ81間で、放電が生ずる交流電圧の大きさに影響を与える。従って、ギャップ長が変化すれば、放電の生ずる交流電圧の大きさが変化する。尚、設置環境での気圧、気温、湿度等の環境や、現像ローラ81に交流電圧を印加する回路の劣化等も、放電開始電圧が変化する要因となり得る。
従って、図5や図6を用いて説明したように、初期設定として、放電が発生せず、かつ現像効率が高くなるように、現像ローラ81に印加する交流電圧を精度良く定めても、経時変化の影響により、初期設定が、将来にわたり、現像ローラ81に印加すべき交流電圧として最適であるとは限らない。従って、経年変化に対応して、画像形成時に印加すべき交流電圧を調整(キャリブレーション)する必要がある。
そこで、制御部10が、所定のタイミングで、現像ローラ81に印加する交流電圧を変化させつつ放電の発生の有無を確認して、画像形成時に現像ローラ81に印加する交流電圧の調整の一例を説明する。尚、この調整は所定のタイミングで行われるが、そのタイミングとしては、主電源投入後の立ち上げ時、前回の放電発生検出動作から所定枚数(例えば、数十枚〜数百枚)印刷を行った時、画像形成開始時、画像形成が終了してから画像形成の指示がない状態が所定時間継続した時(例えば、スリープモードに入る直前等)のいずれか、若しくは、これらの時の複数の組み合わせを実行タイミングとして、調整を実行することができる。
そして、図7のスタートは、交流電圧の調整を実行する所定のタイミングに至り、制御部10が、交流電圧の調整制御を開始した時点である(スタート)。そして、制御部10は画像形成部3や中間転写部5等の各種回転体の回転を開始させる(ステップ♯21)。
次に、制御部10は、交流電圧の調整時に最初に現像ローラ81に印加すべき交流電圧を決定する(ステップ♯22)。ここで、本実施形態では、感光体ドラム9の損傷回避のため、調整時も、現像ローラ81の電位が高い状態で放電させ、放電電流が一方向でのみ流れるようにする。そこで、本実施形態では、交流電圧の調整時に最初に現像ローラ81に印加する交流電圧は、現在の画像形成時に印加する交流電圧(図6におけるVpp1)から、テーブル等やVpp1を求めた際の逆演算を例えばCPU11が行って、交流電圧の調整時用(初期設定と同様)の交流電圧Vpp2を決定する(図6参照)。
言い換えると、制御部10の記憶部12には、現在の画像形成時に現像ローラ81に印加する交流電圧の情報が、設定データ(例えば、ピーク間電圧、直流バイアス値、デューティ比、周波数等の各パラメータ)として記憶されており、その設定データに基づき、テーブル等を参照し、調整時の放電検出において、最初に現像ローラ81に印加すべき交流電圧が決定される。例えば、上述の初期設定後では、設定データの内容は、初期設定によって決定された画像形成時に現像ローラ81に印加する交流電圧に関してのデータとなる。又、後述するように、交流電圧の調整により、画像形成時に現像ローラ81に印加すべき交流電圧の変更があれば、設定データは、変更後の交流電圧に関してのデータとなる。尚、設定データには、現在の画像形成時に現像ローラ81に印加する交流電圧の情報だけでなく、交流電圧の調整時に最初に現像ローラに印加すべき交流電圧の情報そのものが含まれていても良い。
そして、帯電装置7の動作開始や、交流電圧印加部86の出力電圧を、調整時に現像ローラに最初に印加する交流電圧値(設定データにより定められる)にまで高める準備状態に移行する(ステップ♯23、図8参照)。本制御での準備状態は、初期設定時の準備状態と基本的に同様である(図5参照)。その後、露光装置4が露光を継続して行う等の、放電検出状態に移行し(図8参照)、CPU11はアンプ15の出力電圧が所定の閾値を越えた回数をカウントする(ステップS24)。尚、本制御での放電検出状態は、デューティ比、直流バイアス値等、初期設定時の放電検出状態と基本的に同様である(図5、図6参照)。そして、制御部10は、カウント数が0回かを確認する(ステップS25)。
もし、放電を検出しなければ(ステップ25のYes)、準備状態に移行し、制御部10は、最初に印加する交流電圧よりもピーク間電圧が大きい交流電圧(例えば+10〜+50V等)を現像ローラ81に印加するようにVpp制御部10に指示する(ステップS26、図8参照)。そして、放電検出状態に移行し(図8参照)、CPU11はアンプ15の出力電圧が所定の閾値を越えた回数をカウントし(ステップ♯27)、制御部10は、カウント数が0回でないかを確認する(ステップS28)。
もし、放電を検出すれば(ステップ28のNo)、設定データに変更を加えず終了する(エンド)。一方、放電を検出しなければ(ステップ♯28のYes)、制御部10は、初期設定の場合と同様に、直前の放電検出状態での交流電圧に基づき、電位差V+2(放電検出時でのVpp2印加時の感光体ドラム9と現像ローラ81の電位差)を求め、画像形成時に現像ローラ81に印加すべき交流電圧Vpp1を決定する(ステップ♯29)。
もし、ステップ♯25において、放電を検出すれば(ステップS25のNo)、このままでは、画質の低下や感光体ドラム9の損傷が懸念されるので、準備状態に移行し、制御部10は、最初に印加する交流電圧よりもピーク間電圧が小さい交流電圧(例えば−10〜−50V等)を現像ローラ81に印加するようにVpp制御部10に指示する(ステップS30)。そして、放電検出状態に移行し、CPU11はアンプ15の出力電圧が所定の閾値を越えた回数をカウントし(ステップ♯31)、制御部10は、カウント数が0回でないかを確認する(ステップS32)。
もし、カウント数が0回でなく放電を検出すれば(ステップ32のYes)、まだ交流電圧が大きすぎると判断できるので、直前の放電検出状態での交流電圧よりも、更にピーク間電圧が小さい交流電圧(例えば−10〜−50V)を基準として電位差V+2(放電検出時でのVpp2印加時の感光体ドラム9と現像ローラ81の電位差)を求め、画像形成時に現像ローラ81に印加すべき交流電圧Vpp1を決定する(ステップ♯33)。
一方、ステップ♯32において、カウント数が0回で、放電を検出しなければ(ステップ♯32のYes)、直前の放電検出状態での交流電圧を基準とし、画像形成時に現像ローラ81に印加すべき交流電圧Vpp1を決定する(ステップ♯29)。そして、ステップ♯29、33で決定された画像形成時に印加すべき交流電圧を、設定データとして更新・記憶する(ステップ♯34)。そして、交流電圧の調整制御は、終了する(エンド)。
まとめると、記憶部12は、調整時、現在、画像形成時に現像ローラ81に印加する交流電圧の大きさに応じ、最初に現像ローラ81に印加すべき交流電圧に関する設定データを記憶する。そして、調整時、制御部10は、設定データに基づき、交流電圧印加部86に現像ローラ81に交流電圧を印加させ、放電の発生を認識した場合、制御部10は、画像形成時に現像ローラ81に印加する交流電圧を小さくさせるとともに、設定データを更新し、放電の発生の認識しない場合、制御部10は、画像形成時に現像ローラ81に印加する交流電圧を大きく又は現状維持させるとともに、画像形成時の交流電圧を大きくする場合のみ設定データを更新する。
(交流電圧の調整を行う画像形成部3の順番決定)
次に、図9に基づき、本実施形態の交流電圧の調整を行う画像形成部3の順番決定の一例を説明する。図9は、本実施形態の交流電圧の調整を行う画像形成部3の順番決定の一例を示すフローチャートである。
本実施形態のプリンタ1では、現像ローラ81に印加する交流電圧の調整を行うが、1回の交流電圧の調整では、1つの画像形成部3に対してのみ交流電圧の調整を行う。これにより、1回の交流電圧の調整に要する時間は、全ての画像形成部3に対して調整を行う場合に比べ、調整動作に要する時間は、はるかに短くなる(1/4)。これにより、交流電圧の調整が終了するまで、使用者を長時間待たせることがない。
そこで、現像ローラ81に印加する交流電圧の調整を行う画像形成部3の順番、選択が問題となるので、本実施形態のプリンタ1での画像形成部3の順番、選択の決定における制御を図9に基づき説明する。
まず、図9におけるスタートは、交流電圧の調整のタイミングに至って直後の状態である。次に、制御部10は、交流電圧の調整の履歴データ(上述したように、記憶部12やメモリ34に記憶されている)を確認し(ステップ♯41)、制御部10は履歴データを確認しつつ、現在の周で既に交流電圧の調整を行った画像形成部3を選択対象から除外し(ステップ♯42)、制御部10は、現在の交流電圧調整か1周目であるかを確認する(ステップ♯43)。ここで、画像形成部3の総数分の交流電圧の調整回数分で1周が構成される(本例では4回で1周)である。又、1周につき、基本的に、各画像形成部3に対し1回ずつ現像ローラ81に印加する交流電圧の調整が実行される(周単位)。
もし、1週目であれば(ステップ♯43のYes)、制御部10は、履歴データを確認しつつ、予め定められた順番(例えば、ブラック→シアン→マゼンタ→イエロー)に基づき、未だ交流電圧の調整を行っておらず、順番が上位の色の画像形成部3について、交流電圧の調整を実行する画像形成部3を決定する(ステップ♯44)。
一方、1週目でなければ(2週目以降であれば)(ステップ♯43のNo)、スキップ対象を選択対象から除外する(ステップ♯45)。ここで、本実施形態のプリンタ1では、過去の交流電圧の調整において、n回(所定回数に相当)、画像形成時に現像ローラ81に印加する交流電圧に変更が無かった場合、以後も画像形成時に現像ローラ81に印加する交流電圧に変更はないと予測できるので、m周のあいだにわたり、交流電圧の調整をとばす(スキップする)設定がなされている(n及びmは任意の整数)。即ち、2周目以降の調整時、制御部10は、所定回数にわたって、調整を行っても画像形成時に印加する交流電圧の変更のない画像形成部3の調整を1又は複数周とばす。従って、スキップ対象とは、現在の周では交流電圧の調整がとばされる画像形成部3である。尚、n及びmは、任意に設定できるが、例えば、n=3ならばm=1のように設定でき、スキップが完了すれば、その画像形成部3については、nはリセットされる。
このように、交流電圧の調整の選択対象を絞り込んだ上で、次に、制御部10は、選択対象となる画像形成部3が2つ以上存在するか確認する(ステップ♯46)。もし存在しなければ(ステップ♯46のNo)、残った1つの画像形成部3を、交流電圧の調整を行う対象に決定する(ステップ♯47)。一方、選択対象となる画像形成部3が2つ以上存在すれば(ステップ♯46のNo)、制御部10は、履歴データを確認しつつ、前周で交流電圧の変更のあった画像形成部3が存在するかを確認する(ステップ♯48)。即ち、2周目以降の調整時、前周の調整で画像形成時に現像ローラ81に印加する交流電圧の大きさの変更があった場合、制御部10は、画像形成時に印加する交流電圧の変更があった画像形成部3から、調整を行うのである。
もし、存在すれば(ステップ♯48のYes)、前周で交流電圧の変更のあった画像形成部3が複数存在するかを確認する(ステップ♯49)。もし、複数存在すれば(ステップ♯49のYes)、制御部10は、履歴データを確認して、前周で交流電圧の調整動作の対象となってから、現在までの使用時間が長い方の画像形成部3を交流電圧の調整を行う対象に決定する(ステップ♯50)。即ち、記憶部12等に記憶され、各画像形成部3を使用履歴を示す履歴データを参照して、2周目以降の調整時、制御部10は、履歴データに基づき、前周での調整から現在までの使用時間の長い画像形成部3から、調整を行う。もし、複数存在しなければ(ステップ♯49のNo)、前周で交流電圧の変更のあった、その画像形成部3を交流電圧の調整を行う対象に決定する(ステップ♯51)。
ステップ♯48で、前周で交流電圧の変更のあった画像形成部3が存在しなければ(ステップ♯48のNo)、制御部10は、履歴データを確認して、前周で交流電圧の調整動作の対象となってから、現在までの使用時間が長い方の画像形成部3を交流電圧の調整を行う対象に決定する(ステップ♯52)
調整の順番決定では、制御部10は、画像形成部3の総数を1周分の回数とし、1周分の回数の間に、各画像形成部3に対し1回ずつ調整が実行されるように、調整を行う画像形成部3の順番を決定し、かつ、1周内での調整を行う画像形成部3の順番を固定しない。
このようにして、本実施形態によれば、1回の調整では、1つの画像形成部3に対してのみ調整を行うので、全色の画像形成部3に対して調整を行う場合に比べ、迅速に調整が終了する。従って、使用者の利便性や画像形成装置の生産性を大きく損なうことがない。又、経時変化では、現像ローラ81に印加する最適な交流電圧が変化しても劇的な変化は通常なく、1回の調整で1つの画像形成部3に対してのみ調整を行うとしても、十分に、現像効率は、高い状態で維持され、濃度が維持された高画質の画像形成装置(例えば、プリンタ1)が提供される。又、1周分の回数の間に、各画像形成部3に対し1回ずつ調整が実行されるので、全ての画像形成部3は、万遍なく調整の対象となる。又、1周分の間での調整を行う画像形成部3の順番を固定しないので、例えば、使用頻度の高い画像形成部3等の各種事情を考慮して、調整を行う画像形成部3の順番を決定することができる。
又、画像形成時に現像ローラ81に印加すべき交流電圧を、放電が生じず、かつ、現像効率が高い状態で維持でき、濃度等の変動が少なく、形成される画像の品質画像形成装置を提供することができる。又、履歴データに基づき、前周での調整時から現在までの使用時間の長い画像形成部3から、調整を行うので、前回の調整からの使用時間が長く(例えば、白黒画像を頻繁に印刷する場合など)、経時変化の影響が大きく現れやすい画像形成部3に対し優先的に調整を行うことができる。言い換えると、経時変化の影響が現れ難く、あまり使用されない画像形成部3を後回しにすることができる。従って、画像形成時に印加する交流電圧について、効率よく経時変化に対する調整を行うができ、画像形成装置の状況に応じた交流電圧の設定を行うことができる。
又、制御部10は、画像形成時に印加する交流電圧の変更があった画像形成部3から調整を行うので、前回の交流電圧の調整(変更)が正しいか、早い段階で確認することができる。従って、もし、前回の交流電圧の調整が誤りであれば速やかに再調整されることになる。又、所定回数にわたって、調整後に、画像形成時に印加する交流電圧の変更がない場合、調整の必要性が少なく、しばらく調整を行わなくても画質の劣化が現れ難いと予測できるので、その色の調整を1又は複数周とばし、例えば、使用頻度が高い画像形成部3等、調整の必要性が高い画像形成部3での調整の頻度を増やすことができる。又、主電源投入後の立ち上げ時、前回の調整から所定枚数印刷を行った時、画像形成開始時、画像形成が終了してから画像形成の指示がない状態が所定時間継続した時など、大きな経時変化が生じうる場合や、使用者が使用していない、或いは、できない状態に、調整を行うので、使用者の利便性、画像形成装置の生産性の低下がない。
次に、他の実施形態を説明する。上記の実施形態では、放電電流の流れる方向によっては大電流となり、損傷が生じるという感光体ドラム9の特性から、交流電圧の調整時(及び初期設定時)と、画像形成時では、現像ローラ81に印加する交流電圧の大きさは、同じではない場合を例に挙げて説明した。しかし、画像形成時に印加する交流電圧を初期設定値として、調整時にも印加し、放電が生ずるか検出し、その検出の有無によって、交流電圧の調整を行っても良い。この場合、テーブル等を用いた変換作業は不要にできる。
又、上記の実施形態では、正帯電の感光体ドラム9やトナーを例に挙げて説明したが、本発明は負帯電の感光体ドラム9やトナーを用いた場合にも適用することができる。又、上記の実施形態では、交流電圧の調整を行う画像形成部3の順番決定では、使用時間の長さと、前周での交流電圧の変更の両方を基準とする場合を示したが、その優先順位は適宜設定できる(上記の実施形態では、前周での交流電圧の変更のあった画像形成時に対し優先的に交流電圧の調整が実施される)。いずれか一方のみを基準としても良い。又、調整タイミングの到達ごとに、調整を行う画像形成部3を決定する例を示したが、一周分が完了した時、次の周での交流電圧の調整の順番を決定してしまっても良い。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。