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JP5445029B2 - 磁気抵抗素子、及び磁壁ランダムアクセスメモリ - Google Patents

磁気抵抗素子、及び磁壁ランダムアクセスメモリ Download PDF

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Description

本発明は、磁気抵抗素子、及びそれをメモリセルに使用するMRAM(magnetic random access memory)に関する。
MRAMは、高集積・高速動作の観点から有望な不揮発性メモリである。MRAMにおいては、TMR(Tunnel MagnetoResistance)効果などの「磁気抵抗効果」を示す磁気抵抗素子が利用される。その磁気抵抗素子には、例えばトンネルバリヤ層が2層の強磁性層で挟まれた磁気トンネル接合(MTJ:Magnetic Tunnel Junction)が形成される。その2層の強磁性層のうちの1層は、磁化の向きが固定された磁化固定層(ピン層)であり、他の1層は、磁化の向きが反転可能な磁化自由層(フリー層)である。
ピン層とフリー層の磁化の向きが“反平行”である場合のMTJの抵抗値(R+ΔR)は、磁気抵抗効果により、それらが“平行”である場合の抵抗値(R)よりも大きくなることが知られている。MRAMは、このMTJを有する磁気抵抗素子をメモリセルとして用い、その抵抗値の変化を利用することによってデータを不揮発的に記憶する。例えば、反平行状態はデータ“1”に対応付けられ、平行状態はデータ“0”に対応付けられる。メモリセルに対するデータの書き込みは、磁化自由層の磁化の向きを反転させることによって行われる。
MRAMに対するデータの書き込み方法として最も伝統的なものは、電流磁界によって磁化自由層の磁化を反転させる方法である。しかしながら、この書き込み方式では、メモリセルサイズにほぼ反比例して、磁化自由層の磁化を反転させるために必要な反転磁界が大きくなる。つまり、メモリセルが微細化されるにつれて、書き込み電流が増加する。これは、高集積度のMRAMを提供するうえでは好ましくない。
微細化に伴う書き込み電流の増加を抑制することができる書き込み方式として、「スピン注入(spin transfer)方式」が提案されている(例えば、特許文献1:特開2005−93488号公報)。スピン注入方式では、強磁性導体にスピン偏極電流(spin−polarized current)が注入され、その電流を担う伝導電子のスピンと導体の磁気モーメントとの間の直接相互作用によって磁化が反転する。この現象は、スピン注入磁化反転(Spin Transfer Magnetization Switching)と参照される。スピン注入方式による書き込みは、磁化自由層のサイズの減少と共に書き込み電流が減少するため、高集積度のMRAMを実現するのに適している。
特許文献2(米国特許第6834005号公報)には、スピン注入を利用した磁気シフトレジスタが開示されている。この磁気シフトレジスタは、磁性体中の磁壁(domain wall)を利用して情報を記憶する。くびれ等により多数の領域(磁区)に分けられた磁性体において、磁壁を通過するように電流が注入され、その電流により磁壁が移動する。各領域の磁化の向きが、記録データとして扱われる。このような磁気シフトレジスタは、例えば、大量のシリアルデータの記録に利用される。
このようなスピン注入による磁壁移動(Domain Wall Motion)を利用した「磁壁移動方式のMRAM」が、特許文献3(特開2005−191032号公報)に記載されている。特許文献3に記載されたMRAMは、磁化が固定された磁化固定層と、磁化固定層上に積層されたトンネル絶縁層と、トンネル絶縁層に積層された磁化記録層とを備える。磁化記録層には、磁化の向きが反転可能な部分と実質的に変化しない部分も含まれているため、磁化自由層ではなく、磁化記録層と呼ぶことにする。
図1は、その特開2005−191032号公報の磁化記録層の構造を示している。図1において、磁化記録層100は、直線形状を有している。具体的には、磁化記録層100は、トンネル絶縁層及び磁化固定層と重なる接合部103、接合部103の両端に隣接するくびれ部104、及びくびれ部104に隣接形成された一対の磁化固定部101、102を有する。一対の磁化固定部101、102には、互いに反対向きの固定磁化が付与されている。これらの磁化固定部の磁化は例えば反強磁性層を積層し、その交換バイアス磁界により固定される。更に、MRAMは、一対の磁化固定部101、102に電気的に接続された一対の書き込み用端子105、106を備える。この書き込み用端子105、106により、磁化記録層100の接合部103、一対のくびれ部104及び一対の磁化固定部101、102を貫通する書き込み電流が流れる。くびれ部104は磁壁に対するピンポテンシャルとしてはたらき、磁壁が左右どちらのくびれ部に存在するか、あるいは、接合部103の磁化方向によって情報が保持される。磁壁の移動の向きは書き込み電流の向きにより制御される。
これらのスピン注入を原理としたデバイスにおいて、磁化自由層、あるいは、磁化記録層として垂直磁気異方性を有する材料を用いることが特許文献4、5(WO2009/001706号公報、米国特許第6967863号公報)に記載されている。
図2は、WO2009/001706号公報に記載されたMRAMの構造を示している。図2において、磁化記録層10の磁化はウェハ面内に垂直な方向を向いている。また、磁化記録層に隣接して設けられ、磁化固定部11a、11bを形成するためのハード磁性層9a、9bも垂直な磁化方向を有している。さらにトンネル絶縁層32を介して磁化記録層10の上に積層された磁化固定層30も、垂直な磁化方向を有している。従って、図2においては垂直磁気異方性を有するMTJによって情報を読み出すことになる。磁化記録層に垂直磁気異方性を有する材料を用いることの長所は磁壁が移動するための閾値電流を小さくすることができることである。
図3は、垂直磁気異方性材料を用いたスピン注入素子の一例を示す斜視図である。図3において、垂直磁気異方性を有する磁化自由層52、トンネル絶縁層32、磁化固定層30が順次積層されている。磁化固定層30としては第1強磁性層34、非磁性層31、第2強磁性層33から構成された積層フェリ構造が用いられる。スピン注入素子においては積層方向に垂直な方向、すなわち、電流端子84a、84b間に電流を印加することにより磁化自由層52の磁化方向を反転することができる。このときの閾値電流は面内磁気異方性の場合と比較して小さくなることが知られている。また、情報の読出しは図2の場合と同様に、垂直磁気異方性を有するMTJの抵抗変化としておこなわれる。
情報の読出しを高速に歩留りよくおこなうためには、MTJのMR比を高めることが有効である。面内磁気異方性を有するMTJにおいては、例えば、磁性層にCoFeB、トンネル絶縁層にMgOを用いることにより高いMR比が得られることが特許文献6(特開2006−080116号公報)などに開示されている。しかしながら、垂直磁気異方性を有するMTJにおいて、高いMR比を得る構成はあまり報告されていない。書込み電流の閾値が小さいという垂直磁気異方性を有する磁化記録層、あるいは、磁化自由層の特徴とMR比が大きいという面内異方性を有するMTJの特徴を兼ね備えたMRAMが特許文献7、8(WO2009/019947号公報、WO2009/060749号公報)に開示されている。
図4は、WO2009/060749号公報で開示された垂直磁気異方性を有する磁化記録層と面内異方性を有するMTJを組み合わせた磁壁移動型MRAMの構成を示している。メモリセルは磁化記録層10と磁気読出し層50から構成される。磁気読出し層50は、面内異方性を有するMTJ(以下、面内MTJともいう)が磁気センス層45、トンネル絶縁層42、磁化固定層40から構成され、非磁性層46を介して、磁化記録層10とY方向にずれた位置に配置されている。ここで、磁化固定層40を構成する非磁性層41を介して結合した2つの磁性層43、44の磁化は実質的に固定され、磁化記録層10の磁化方向の影響を受けない。一方、磁気センス層45は磁化記録層10の磁化の反転に伴う漏洩磁界方向の変化により、その磁化方向が変化する。従って、垂直磁気異方性を用いることによる低書込み電流と、面内MTJを用いることによる高MR比を兼ね備えたMRAMを得ることができる。
関連する技術として特開2008−147488号公報に磁気抵抗効果素子及びMRAMが開示されている。この磁気抵抗効果素子は、磁化の向きが固定された少なくとも2つの第1磁化固定層と、第1平面上に形成され磁化の向きが可変な磁化自由層と、非磁性層を介して前記磁化自由層に接続され、磁化の向きが固定された第2磁化固定層とを備える。前記2つの第1磁化固定層は、前記磁化自由層を挟んで前記第2磁化固定層と対向するように配置され、また、前記磁化自由層と磁気的に結合している。前記2つの第1磁化固定層の磁化は共に、前記第1平面に直角な第1方向の成分を有している。データ書き込み時、書き込み電流が、前記第1平面内において、前記磁化自由層の一端から他端に流される。
特開2009−54715号公報に磁壁ランダムアクセスメモリが開示されている。この磁気ランダムアクセスメモリは、磁気異方性を有する強磁性層である磁化記録層と、前記磁化記録層上に設けられた情報を読み出すための読出し層とを具備する。前記磁化記録層は、反転可能な磁化を有する第1磁化反転領域と第2磁化反転領とを含む磁化反転領域と、前記第1磁化反転領域との境界に接続され、磁化の向きが固定された第1磁化固定領域と、前記第2磁化反転領域との境界に接続され、磁化の向きが固定された第2磁化固定領域とを備える。
特開2005−93488号公報 米国特許第6834005号公報 特開2005−191032号公報 WO2009/001706号公報 米国特許第6967863号公報 特開2006−080116号公報 WO2009/019947号公報 WO2009/060749号公報 特開2008−147488号公報 特開2009−54715号公報
図4に示されるメモリセルにおいて、垂直磁気異方性を有する磁化記録層の磁化変化を磁気センス層の磁化変化として取り出すためには、面内MTJを磁化記録層とずらして配置し、その端部からの漏洩磁界を利用する必要がある。しかしながら、このずれ量が変化すると、磁気センス層に印加される漏洩磁束の量が変化するため、抵抗値がばらついてしまうという課題があった。また、面内MTJをずらした分だけMRAM素子の面積がおおきくなってしまうという課題もあった。さらに、図4のように面内MTJを磁化記録層の上部に配置する場、磁化記録層の加工後の平坦化プロセスを厳密におこなわないと、段差によるMTJの抵抗不良が生じてしまう課題があった。
したがって、本発明の目的は、垂直異方性を有する磁化記録層、磁化自由層を用いた磁気抵抗素子において、素子面積を大きくすることなく、高歩留りで高MR比を実現できる構成を提供することである。
本発明の磁気メモリ素子は、磁化記録層と、磁気読出し層とを具備する。磁化記録層は、垂直磁気異方性をもつ強磁性層であり、磁化方向として情報を記憶する。磁気読出し層は、面内磁気異方性をもつ強磁性層を含む磁気トンネル接合を有する。磁化記録層と磁気読出し層とはそれぞれ互いに平行でない平面に配置されている。
また、本発明の磁気ランダムアクセスメモリは、複数の磁気メモリ素子と制御回路とを具備する。複数の磁気メモリ素子は、行列上に配置され、上記されている。制御回路は、複数の磁気メモリ素子の書き込み動作及び読み出し動作を制御する。
本発明によれば、垂直異方性を有する磁化記録層、磁化自由層を用いた磁気抵抗素子において、素子面積を大きくすることなく、高歩留りで高MR比を実現できる構成を提供することができる。
図1は、特開2005−191032号公報の磁化記録層の構造を示している。 図2は、WO2009/001706号公報に記載されたMRAMの構造を示している。 図3は、垂直磁気異方性材料を用いたスピン注入素子の一例を示す斜視図である。 図4は、WO2009/060749号公報で開示された垂直磁気異方性を有する磁化記録層と面内異方性を有するMTJを組み合わせた磁壁移動型MRAMの構成を示している。 図5は、本発明の第1の実施の形態に係る磁気メモリ素子(磁気抵抗素子)の斜視図の一例を示している。 図6は、図5における磁化記録層からの漏洩磁束を模式的に示している。 図7は、本発明の第1の実施の形態に係る磁気メモリ素子第1の変形例を示している。 図8は、本発明の第1の実施の形態に係る磁気メモリ素子の第2の変形例を示している。 図9は、本発明の第1の実施の形態に係る磁気メモリ素子に対するデータの書込み原理を示している。 図10は、本発明の実施の形態に係るMRAMの構成を示す概念図である。 図11は、本発明の第2の実施の形態に係る磁気メモリ素子(磁気抵抗素子)の斜視図の一例を示している。 図12は、本発明の第2の実施の形態に係る磁気メモリ素子の変形例である。 図13は、本発明に関連する参考技術を示している。
以下、本発明の磁気抵抗素子、磁壁ランダムアクセスメモリ、及び、その初期化方法の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明は、スピントルクによる磁壁移動を原理とした場合、スピン注入を原理とした場合のいずれにも適用可能であるが、以下、第1の実施の形態では、磁壁移動を原理とした場合について説明し、第2の実施の形態では、スピン注入を原理とした場合について説明する。
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態に係る磁気メモリ素子1(磁気抵抗素子)について説明する。
1.磁気抵抗素子の構造
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る磁気メモリ素子1(磁気抵抗素子)の斜視図の一例を示している。磁気メモリ素子1は、強磁性体層である磁化記録層10と磁気読出し層50から構成されている。磁化記録層10と磁気読出し層50との間には分離層46が配置されている。磁化記録層10には電流端子14a、14bが設けられている。磁気読出し層50には電流引き出し用の電流端子14cが接続されている。
磁化記録層10は、基板面に垂直な方向の異方性(垂直磁気異方性)を持つ強磁性層である。磁化記録層10は、Fe、Co、Niのうちの少なくとも一つ以上の材料を含む。さらに、磁化記録層10がPtやPdを含むことで垂直磁気異方性を安定化することができる。これに加えて、磁化記録層10にB、C、N、O、Al、Si、P、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ag、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Au、Smを添加することによって所望の磁気特性が発現されるように調整することができる。具体的には、磁化記録層10の材料としては、Co、Co−Pt、Co−Pd、Co−Cr、Co−Pt−Cr、Co−Cr−Ta、Co−Cr−B、Co−Cr−Pt−B、Co−Cr−Ta−B、Co−V、Co−Mo、Co−W、Co−Ti、Co−Ru、Co−Rh、Fe−Pt、Fe−Pd、Fe−Co−Pt、Fe−Co−Pd、Sm−Coなどが挙げられる。この他、Fe、Co、Niのうちの少なくとも一つの材料を含む層が、異なる層と積層された積層体は、垂直方向の磁気異方性を発現する磁化記録層10として使用することができる。具体的には、Co膜とPd膜の積層体、Co膜とPt膜の積層体、Co膜とNi膜の積層体、Fe膜とAu膜の積層体などが、磁化記録層10として使用可能である。
図5に示されるように、磁化記録層10は、第1磁化固定領域11a、第2磁化固定領域11b、及び磁化反転領域13を有している。本実施の形態において第1磁化固定領域11a、及び、第2磁化固定領域の下部には磁化ハード層9a、9bが設けられている。これらの磁化ハード層9a、9bとの磁気的な結合により、第1、及び、第2磁化固定領域11a、11bの磁化は互いに反平行な方向に固定される。尚、「磁化が固定されている」とは、書き込み動作の前後で磁化の方向が変わらないことを意味する。書き込み動作中に、磁化固定領域の一部の磁化の方向が変化しても、書き込み動作終了後には元に戻る。この反平行な磁化配置を実現するために、磁化ハード層9a、9bは異なる磁気特性を持つことが望ましい。
一方、磁化反転領域13の磁化の向きは反転可能であり、+Z方向あるいは−Z方向である。図5のように磁化反転領域13の磁化の向きが+Z方向の場合、第1磁化固定領域11aが1つの磁区(magnetic domain)を形成し、磁化反転領域13と第2磁化固定領域11bとが別の磁区を形成する。つまり、第1磁化固定領域11aと磁化反転領域13の間に磁壁(domain wall)12が形成される。一方、磁化反転領域13の磁化の向きが−Z方向の場合、第1磁化固定領域11aと磁化反転領域13とが1つの磁区を形成し、第2磁化固定領域11bが別の磁区を形成する。つまり、第1磁化固定領域11bと磁化反転領域13との間に磁壁が形成される。
なお、このように磁化固定領域と磁化反転領域との間に磁壁を配置する方法としては、他にくびれなどの平面形状を利用すること、意図的な段差をもうけることなどがあげられる。
図5に示されるように、磁気読出し層50は磁気センス層45、トンネルバリヤ層42、ピン層40から構成されている。これら磁気センス層45、トンネルバリヤ層42、ピン層40は、磁気トンネル接合(MTJ)を形成している。磁気センス層45、及び、ピン層40は共に面内に磁気異方性を持つ磁性膜であり、材料としては、Fe、Co、Niのうちから選択される少なくとも一つ以上の材料を含むことが望ましい。具体的にはNiFe、CoFe、CoFeB、及び、これらの積層膜などがあげられる。
図5に示したように、ピン層40としては第1強磁性層44、非磁性層41、第2強磁性層43からなる積層フェリ構成を用いても良い。積層フェリ構成にすることの長所はピン層からの漏洩磁界の大きさを各層の磁気特性、膜厚により調整できることである。ピン層40の磁化の向きは、書込み、及び、読出し動作によって変化しない。そのため、ピン層40の磁気異方性は磁気センス層45よりも大きいことが望ましい。これは、磁気センス層45とピン層40の材料、組成を変えることにより実現される。また、ピン層40のトンネルバリヤ層42とは反対側の面に、積層フェリ構成を用いた場合は第2強磁性層43にPtMn、IrMn、FeMnなどの反強磁性体層を積層し、磁化をピン止めすることによっても実現される。トンネルバリヤ層42としては、Al膜やMgO膜等の薄い絶縁膜を用いることができる。
磁気読出し層50と磁化記録層10とは相対的に平行ではない面に形成される。本実施の形態においては、磁化記録層10の上に設けられた分離層46をくさび状に形成し、その上に磁気読出し層50を成膜することにより実現される。ただし、分離層46がくさび状とは、分離層46の基板に垂直な断面がくさび状ということである。この場合、X方向に沿って傾斜が形成されている。すなわち、第1磁化固定領域11aの側が低く、第2磁化固定領域11bの側が高いような傾斜になっている。分離層46をくさび状に加工することは、斜め入射のイオンミリング法、あるいは、ターゲットと基板位置を相対的にずらしながら分離層46を成膜することによりおこなわれる。ただし、傾斜は逆向きでもよい。すなわち、第1磁化固定領域11aの側が高く、第2磁化固定領域11bの側が低いような傾斜になっていてもよい。
上述のように、磁気読出し層50すなわち磁気センス層45と磁化記録層10とを相対的に平行ではない面に配置することにより、磁気センス層45と磁化記録層10をX方向、又は、Y方向にずらすことなく、効率よく磁化記録層10からの漏洩磁束を磁気センス層45に導くことができる。
図6は、図5における磁化記録層からの漏洩磁束を模式的に示したものである。磁化記録層10からの漏洩磁束71は磁気センス層45において、磁化記録層10に垂直である。この漏洩磁束71は磁気センス層45の面に垂直な成分72と平行な成分73にベクトル分解することができる。このうち、磁気センス層45の面に垂直な成分72は、磁気センス層45の垂直方向の反磁界、すなわち、形状異方性のために、磁気センス層45の磁化反転には寄与しない。従って、磁気センス層45の面に平行な成分73により、磁気センス層45の磁化が変化する。磁気センス層45と磁化記録層10との間の相対的な傾斜角をθとすると、面内成分73はsinθに比例する。例えば、30度の傾斜の場合、sinθ=1/2より垂直漏洩磁束のうちの50%が磁気センス層45を反転するために有効な磁界として働く。垂直漏洩磁束は磁化記録層10の飽和磁化、膜厚に依存するが、概ね100Oe程度であるので、磁気センス層45の保磁力を50Oe以下に設定すれば、磁化記録層10の磁化方向に対応した抵抗変化を読み出せることになる。
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る磁気メモリ素子第1の変形例を示したものである。図7において磁気読出し層50はY方向に沿って傾斜している。すなわち、磁化反転領域13の図の手前側が低く、磁化反転領域13の図の奥側が高いような傾斜になっている。ただし、傾斜は逆向きでもよい。すなわち、磁化反転領域13の図の手前側が高く、磁化反転領域13の図の奥側が低いような傾斜になっていてもよい。このように、傾斜の方向はX方向(図5、図6)やY方向(図7)であってよい。
更に、本の実施の形態において、傾斜の方向は、上記X方向やY方向だけでなく、他の任意の方向であってもよい。更に、磁気読出し層50の形状は、図4〜図7のような矩形形状に限定されず、例えば楕円形状であっても良い。重要なのは、磁気センス層45の磁化変化の方向がMTJの抵抗変化として読み出せるように磁化固定層40の磁化方向を定めておくことである。すなわち、磁化固定層40の磁化方向は傾斜の方向に固定されていることが望ましい。
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る磁気メモリ素子の第2の変形例を示したものである。図8において、磁気メモリ素子1は、磁気読出し層50が下に、磁化記録層10が上に配置され、磁化記録層10が基板面に対して傾斜している。本構成においても磁気センス層45によって、磁化記録層10の磁化方向を読み出すことが可能になる。
本実施の形態において、読出し電流は分離層46を通過するので、分離層46は金属である必要がある。ただし、読出し電流の経路に関しては、必ずしも磁化記録層10に接続された端子を用いる必要はない。例えば、図5に示す第1の実施の形態において、分離層46と磁化記録層10との間に絶縁層を設け、分離層46に別の端子を設けても良い。この場合、磁気読み出し層50と磁化記録層10とを電気的に完全に独立させ、読出しはこの分離層46に設けられた端子と電流端子14cの間でおこなわれることになる。電流パスを分けることは、読出し時に読み出し電流で誤書き込みが発生することを防ぐために重要である。
2.書き込み動作、及び、読み出し動作
次に、本発明の第1の実施の形態に係る気メモリセル1(磁気抵抗素子)に対するデータの書き込み動作について説明する。まず、磁気メモリ素子1に対するデータの書き込み原理を説明する。図9は、本発明の第1の実施の形態に係る磁気メモリ素子1に対するデータの書込み原理を示している。データ書き込みは、スピン注入を利用した磁壁移動方式で行われる。書き込み電流は、MTJを貫通する方向ではなく、磁化記録層10内を平面的に流れる。その書き込み電流は、上記電流供給端子14a、14bから磁化記録層10に供給される。データ“0”状態において、磁化反転領域13の磁化の向きは−Z方向であり、磁壁DW12は磁化反転領域13と第2磁化固定領域11bとの境界に存在する。一方、データ“1”状態において、磁化反転領域13の磁化の向きは+Z方向であり、磁壁DW12は磁化反転領域13と第1磁化固定領域11aとの境界に存在する。
データ“1”の書き込み時、第1書き込み電流IW1が、第1磁化固定領域11aから磁化反転領域13を通って第2磁化固定領域11bに流れる。この場合、磁化反転領域13には、第2磁化固定領域11bからスピン電子が注入される。注入された電子のスピンは、磁化反転領域13と第2磁化固定領域11bの境界にある磁壁DW12を第1磁化固定領域11aの方向に駆動する。その結果、磁化反転領域13の磁化の向きは、+Z方向へスイッチする。つまり、スピントランスファー効果により、磁化反転領域13の磁化が反転し、その磁化の向きが+Z方向に変わる。その結果、データ“1”が書込まれる。
一方、データ“0”の書き込み時、第2書き込み電流IW2が、第2磁化固定領域11bから磁化反転領域13を通って第1磁化固定領域11aに流れる。この場合、磁化反転領域13には、第1磁化固定領域11aからスピン電子が注入される。注入された電子のスピンは、磁化反転領域13と第1磁化固定領域11aの境界にある磁壁DW12を第2磁化固定領域11bの方向に駆動する。その結果、磁化反転領域13の磁化が反転し、その磁化の向きが−Z方向に変わる。その結果、データ“0”が書込まれる。
このように、磁化記録層10内を平面的に流れる書き込み電流IW1,IW2によって、磁化反転領域13の磁化の方向がスイッチする。第1磁化固定領域11a及び第2磁化固定領域11bは、異なるスピンを有する電子の供給源の役割を果たしている。
次に、本発明の第1の実施の形態に係る気メモリセル1(磁気抵抗素子)に対するデータの読み出し動作について図9の場合を例に説明する。読み出し電流は、磁気読出し層50に供給される。すなわち、読出し電流は、電流端子14cからピン層40、バリア層42、磁気センス層45、分離層46、磁化反転領域13、及び第1固定領域11aを経由して、電流供給用端子14aに流れる。ピン層40の磁化は斜面に沿った方向(−XZ方向(−X方向と−Z方向とを合成した方向、以下同じ))に固定されている。ただし、ピン層40で読み出し時にMTJとして寄与するのは第1強磁性層44である。磁気センス層45の磁気異方性も同様に斜面に沿った方向である。
データ“0”状態において、磁気センス層45付近の磁化記録層10(磁化反転領域13)の磁化は−Z方向を向いている。このとき、磁気センス層45にかかる磁界も−Z方向である。磁気センス層45は斜面に垂直な方向には反磁界のため向きにくいので、磁化記録層10からの磁界のうち、磁気センス層45の磁化方向の変化に寄与するのは、図6に示したような斜面に平行な成分のみとなる。データ”0”の場合、この成分は−XZ方向を向いているので、磁気センス層45の磁化も−XZ方向を向く。このとき、磁気センス層45とピン層40の磁化の相対角は平行となり、磁気読出し層50のトンネル抵抗は低抵抗状態になる。
データ“1”状態において、磁気センス層45付近の磁化記録層10(磁化反転領域13)の磁化は+Z方向を向いている。このとき、磁気センス層45にかかる磁界も+Z方向である。従って、磁化記録層10からの磁界のうち、磁気センス層45の位置の磁化方向の変化に寄与するのは斜面に平行な+XZ(+X方向と+Z方向とを合成した方向、以下同じ)方向の成分である。そのため、磁気センス層45の磁化も+XZ方向を向く。このとき、磁気センス層45とピン層40の磁化の相対角は反平行となり、磁気読出し層50のトンネル抵抗は高抵抗状態になる。
磁気センス層45、及び、ピン層40の磁気異方性の方向は図9に示した方向以外であっても良い。例えば、磁気センス層45の磁気異方性をY方向にした場合、磁化記録層10からの磁界の大きさによっては、磁気センス層45の磁化方向が完全には±XZ方向に向かないことになるが、磁化記録層10の磁化方向の変化に対応した抵抗変化を得ることができる。
3.MRAMへの集積化
上記の磁気メモリ素子1(磁気抵抗素子)は、MRAMに集積化されて使用され得る。図10は、本発明の第1の実施の形態に係るMRAMの構成を示す概念図である。当該MRAMは、複数のメモリセル61がマトリックス状に配置されたメモリセルアレイ60を有している。各メモリセル61には、磁気メモリ素子1(磁気抵抗素子)と、2つの選択トランジスタTR1、TR2とが集積化されている。選択トランジスタTR1のソース/ドレインの一方は、第1磁化固定領域11a(又はハード層9a)に接続された電流供給端子14aに接続され、他方は第1ビット線BL1に接続されている。選択トランジスタTR2のソース/ドレインの一方は、第2磁化固定領域11b(又はハード層9b)の電流供給端子14bに接続され、他方は第2ビット線BL2に接続されている。選択トランジスタTR1、TR2のゲートはワード線WLに接続されている。磁気メモリ素子1(磁気抵抗素子)の磁気読出し層50は、電流端子14c及び配線を介して接地線に接続されている。
ワード線WLは、Xセレクタ62に接続されている。Xセレクタ62は、データの書き込み・読み出しにおいて、対象のメモリセル61(以下、「選択メモリセル」という)に対応するワード線WLを選択ワード線WLとして選択する。第1ビット線BL1はY側電流終端回路64に接続されており、第2ビット線BL2はYセレクタ63に接続されている。Yセレクタ63は、選択メモリセル61につながる第2ビット線BL2を選択第2ビット線BL2として選択する。Y側電流終端回路64は、選択メモリセルにつながる第1ビット線BL1を選択第1ビット線BL1として選択する。
メモリセルアレイ60は、データの記録に用いられるメモリセル61に加え、データ読み出しの際に参照されるリファレンスセル61rを含んでいる。リファレンスセル61rの構造は、メモリセル61と同じである。リファレンスセル61rの列に沿って、第1リファレンスビット線BL1r及び第2リファレンスビット線BL2rが設けられている。
データ書き込み時のMRAMの動作は、下記の通りである:Y側電流源回路65は、選択第2ビット線に対して所定の書き込み電流(IW1、IW2)の供給又は引き込みを行う。Y側電源回路66は、Y側電流終端回路64に所定の電圧を供給する。その結果、書き込み電流(IW1,IW2)は、Yセレクタ63へ流れ込む、あるいは、Yセレクタ63から流れ出す。これらXセレクタ62、Yセレクタ63、Y側電流終端回路64、Y側電流源回路65、及びY側電源回路66は、磁気抵抗素子に書き込み電流IW1,IW2を供給しデータを書き込むため書き込み制御回路を構成している。
一方、データ読み出し時のMRAMの動作は下記の通りである:第1ビット線BL1は“Open”に設定される。読み出し電流付加回路67は、選択第2ビット線に所定の読み出し電流を流す。また、読み出し電流付加回路67は、選択ワード線WLに対応するリファレンスセル61rにつながる第2リファレンスビット線BL2rに所定の電流を流す。センスアンプ68は、第2リファレンスビット線BL2rの電位と選択第2ビット線BL2の電位との差から選択メモリセル61に記憶されているデータを判別し、そのデータを出力する。これらXセレクタ62、Yセレクタ63、Y側電流終端回路64、読み出し電流付加回路67、及びセンスアンプ68は、磁気抵抗素子に読み出し電流を供給し、データを読み出すための読み出し制御回路を構成している。
上記の書き込み動作を制御する書き込み制御回路及び読み出し動作を制御する読み出し制御回路は、併せてデータ制御回路と見ることができる。なお、データ制御回路の構成は、この例に限定されるものではなく、上記メモリセル61に対する書き込み及び読み出しが可能であれば他の構成を用いることも可能である。
以上に説明されたように、本実施の形態では、垂直異方性を有する磁化記録層、磁化自由層を用いた磁気抵抗素子において、素子面積を大きくすることなく、高歩留りで高MR比を実現できる構成を提供することが可能となる。
(第2の実施の形態)
まず、本発明の第2の実施の形態に係る磁気メモリ素子1a(磁気抵抗素子)について説明する。
1.磁気抵抗素子の構造
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る磁気メモリ素子1a(磁気抵抗素子)の斜視図の一例を示している。磁気メモリ素子1aは、スピン注入素子層80と磁気読出し層50から構成されている。スピン注入素子層80と磁気読出し層50との間には分離層46が配置されている。スピン注入素子層80には電流端子84aが設けられている。磁気読出し層50には電流端子84bが接続されている。第1の実施の形態もそうであるが、読出し電流は分離層46を通過するので、分離層46は金属である。
スピン注入素子層80は、磁化固定層81、中間層52、磁化自由層55から構成されている。磁化固定層81、磁化自由層55はいずれも垂直磁気異方性を有している。用いられる材料は図5で示した磁化記録層10のものと同様である。ここで、磁化自由層55は、磁化方向として情報を記録することから、磁化記録層とも見ることができる。なお、中間層52はトンネル絶縁膜であっても、Cuなどの非磁性金属であってもよい。また、磁化固定層81は磁性層53、非磁性層51、磁性層54からなる積層磁性層としてもよい。磁化固定層81の磁化方向は動作中不変である。一方、磁化自由層55の磁化方向は積層方向に電流を印加することにより、スピントルク効果に基づき、制御することができる。すなわち、図11に示される方向に磁化固定層81の磁化が固定されている場合、+Z方向に電流を印加することにより(電子は逆方向に流れる)、磁化自由層55の磁化を反転させる(−Z方向にする)ことができる。
磁気読出し層50は、図5に示した第1の実施の形態と同様に、面内磁気異方性を有し、傾斜した分離層46の上に配置される。従って、第1の実施の形態で説明されたように、磁化自由層55から漏洩磁束を磁気読出し層50の抵抗変化として読み出すことができる。傾斜の方向が上記X方向だけでなくY方向や他の任意の方向であってもよいことや、磁化固定層40の磁化方向が傾斜の方向に固定されていれば任意の形状としてよいことは、第1の実施の形態で説明されたとおりである。
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る磁気メモリ素子の変形例である。本変形例では第3の電流端子84cが分離層46に接続されている。本構成においては書込み電流パスを84a、84c間、読出し電流パスを84b、84c間と分けることができる。電流パスを分けることは、読出し時に読み出し電流で誤書き込みが発生することを防ぐために重要である。
2.書き込み動作、及び、読み出し動作
次に、本発明の第2の実施の形態に係る気メモリセル1a(磁気抵抗素子)に対するデータの書き込み動作及び読み出し動作について説明する。ここでは、図12の磁気メモリセル1aについて説明する。
まず、データの書き込み動作について説明する。
データ“0”の書き込み時、書き込み電流が、電流端子84cから分離層46、磁化自由層55、中間層52、磁化固定層81を通り電流端子84aに流れる(電子は逆向きに流れる)。この場合、磁化自由層55はスピントランスファー効果により+Z方向に磁化する。その結果、データ“0”が書込まれる(図12の状態)。一方、データ“1”の書き込み時、書き込み電流が、電流端子84aから磁化固定層81、中間層52、磁化自由層55、分離層46を通り電流端子84cに流れる。この場合、磁化自由層55はスピントランスファー効果により−Z方向に磁化する。その結果、データ“1”が書込まれる。
次に、データの読み出し動作について説明する。
読み出し電流は、磁気読出し層50に供給される。すなわち、読出し電流は、電流端子84bからピン層40、バリア層42、磁気センス層45、分離層46を経由して、電流端子84cに流れる。ピン層40の磁化は斜面に沿った方向(+XZ方向)に固定されている。ただし、ピン層40で読み出し時にMTJとして寄与するのは第1強磁性層44である。磁気センス層45の磁気異方性も同様に斜面に沿った方向である。
データ“0”状態において、磁気センス層45の下方の磁化自由層55の磁化は+Z方向を向いている。このとき、磁気センス層45にかかる磁界も+Z方向である。磁気センス層45は斜面に垂直な方向には反磁界のため向きにくいので、磁化自由層55からの磁界のうち、磁気センス層45の磁化方向の変化に寄与するのは、図6に示したような斜面に平行な成分のみとなる。データ”0”の場合、この成分は+XZ方向を向いているので、磁気センス層45の磁化も+XZ方向を向く。このとき、磁気センス層45とピン層40の磁化の相対角は平行となり、磁気読出し層50のトンネル抵抗は低抵抗状態になる。
データ“1”状態において、磁気センス層45の下方の磁化自由層55の磁化は−Z方向を向いている。このとき、磁気センス層45にかかる磁界も−Z方向である。従って、磁化自由層55からの磁界のうち、磁気センス層45の磁化方向の変化に寄与するのは斜面に平行な−XZ方向の成分である。そのため、磁気センス層45の磁化も−XZ方向を向く。このとき、磁気センス層45とピン層40の磁化の相対角は反平行となり、磁気読出し層50のトンネル抵抗は高抵抗状態になる。
3.MRAMへの集積化
上記の磁気メモリ素子1a(磁気抵抗素子)も、第1の実施の形態と同様にMRAMに集積化されて使用され得る。第1の実施の形態と同様に、図10のMRAMの構成を示用いることができる。この場合、例えば、各メモリセル61に、図12の磁気メモリセル1a(磁気抵抗素子)と、2つの選択トランジスタTR1、TR2とが集積化されている。選択トランジスタTR1のソース/ドレインの一方は、磁化固定層81の電流端子84aに接続され、他方は第1ビット線BL1に接続されている。選択トランジスタTR2のソース/ドレインの一方は、分離層46の電流端子84cに接続され、他方は第2ビット線BL2に接続されている。選択トランジスタTR1、TR2のゲートはワード線WLに接続されている。磁気メモリ素子1(磁気抵抗素子)の磁気読出し層50は、電流端子84b及び配線を介して接地線に接続されている。なお、読み出し動作及び書き込み動作については、第一の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
以上に説明されたように、本実施の形態では、垂直異方性を有する磁化記録層、磁化自由層を用いた磁気抵抗素子において、素子面積を大きくすることなく、高歩留りで高MR比を実現できる構成を提供することが可能となる。
図13は、発明者が考えた本発明に関連する参考技術を示したものである。図13においては、磁化記録層10と磁気読出し層50との相対角を変える(例示:図5の例)代わりに、磁化記録層10の磁気異方性の方向を垂直方向から傾けている(例えば、+Z方向から少し+X方向に傾いている)。これにより、磁化記録層10からの漏洩磁界には面内成分が生じるため、磁気読出し層50で磁化記録層10の磁化反転を読み出すことが可能になる。
本発明の活用例として、携帯電話、モバイルパソコンやPDAに使用される不揮発性の半導体メモリ装置や、自動車など使用される不揮発性メモリ内蔵のマイコンが挙げられる。
以上には本発明の実施形態が様々に記載されているが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、各実施の形態における技術は、矛盾の発生しない限り他の実施の形態に適用可能である。
1、1a 磁気メモリ素子
9a、9b 磁化ハード層
10 磁化記録層
11a 第1磁化固定領域
11b 第2磁化固定領域
12 磁壁
13 磁化反転領域
14a、14b、14c 電流端
40 ピン層
41 非磁性層
42 トンネルバリヤ層
43 第2強磁性層
44 第1強磁性層
45 磁気センス層
46 分離層
50 磁気読出し層
51 非磁性層
52 中間層
53 磁性層
54 磁性層
55 磁化自由層
60 メモリセルアレイ
61 メモリセル
61r リファレンスセル
62 Xセレクタ
63 Yセレクタ
64 Y側電流終端回路
65 Y側電流源回路
66 Y側電源回路
67 読み出し電流付加回路
68 センスアンプ
71 漏洩磁束
72、73 成分
80 スピン注入素子層
81 磁化固定層
84a、84b、84c 電流端子
TR1、TR2 トランジスタ
BL1 第1ビット線
BL2 第2ビット線
WL ワード線

Claims (11)

  1. 垂直磁気異方性をもつ強磁性層であり、磁化方向として情報を記憶する磁化記録層と、
    面内磁気異方性をもつ強磁性層を含む磁気トンネル接合を有する磁気読出し層と
    を具備し、
    前記磁化記録層と前記磁気読出し層とはそれぞれ互いに平行でない平面に配置されている
    磁気メモリ素子。
  2. 前記磁気読出し層が基板に対して傾斜して形成されている
    請求項1の磁気メモリ素子。
  3. 前記磁化記録層が基板に対して傾斜して形成されている
    請求項1の磁気メモリ素子。
  4. 前記磁化記録層と前記磁気読出し層の間にくさび状の非磁性層が配置されている
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁気メモリ素子。
  5. 前記磁化記録層に接続された2つ以上の電流印加用端子を更に具備し、
    前記磁化記録層が一つ以上の磁壁を有し、
    書き込み動作は、前記電流印加用端子間に電流を印加することにより前記磁壁を駆動し、前記磁化記録層の磁化を反転することで行う
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載の磁気メモリ素子。
  6. 前記磁化記録層は、
    第1方向に磁化が固定された第1磁化固定領域と、
    前記第1方向とは逆の第2方向に磁化が固定された第2磁化固定領域と、
    前記第1磁化固定領域と前記第2磁化固定領域とに接続された磁化反転領域と
    を備え、
    前記第1磁化固定領域は一つの前記電流印加用端子を有し
    前記第2磁化固定領域は他の一つの前記電流印加用端子を有する
    請求項5に記載の磁気メモリ素子。
  7. 前記磁気読出し層に接続された読出し端子を更に具備し、
    読み出し動作が、前記電流印加用端子のいずれかと前記読出し端子の間の電気抵抗に基づいて行われる
    請求項5又は6に記載の磁気メモリ素子。
  8. 前記磁化記録層に隣接する非磁性層と、
    前記非磁性層に隣接する磁化固定層と
    を更に具備し、
    前記磁化記録層の磁化方向が、前記磁化記録層と前記磁化固定層との間に電流を印加することにより制御される
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載の磁気メモリ素子。
  9. 前記磁化記録層に接続された第1の端子と、
    前記磁化固定層に接続された第2の端子と
    を更に具備し
    書込み動作が前記第1の端子と前記第2の端子の間に電流を印加することにより行われる
    請求項8に記載の磁気メモリ素子。
  10. 前記磁気読出し層に接続された第3の端子を更に具備し、
    読出し動作が前記第2の端子と前記第3の端子の間の電気抵抗に基づいて行われる
    請求項8に記載の磁気メモリ素子。
  11. 行列上に配置された請求項1乃至10のいずれか一項に記載の複数の磁気メモリ素子と、
    前記複数の磁気メモリ素子の書き込み動作及び読み出し動作を制御する制御回路と
    を具備する
    磁気ランダムアクセスメモリ。
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