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JP5444171B2 - 無人搬送車および走行制御方法 - Google Patents

無人搬送車および走行制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、無人搬送車および走行制御方法の技術に関する。
工場の生産ラインや倉庫等において、省人化や搬送の正確性を向上させるため、自動制御で、目標走行経路上を自動的に走行させ、荷物の積み降ろしを行う無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)が導入されている。このような無人搬送車では、地図データと、レーザ距離センサから取得された計測データとをマッチングさせることによって、自車位置を推定する。しかしながら、地図データ作成後に物品などが置かれたり、作業員が移動してきたり、他の設備が一時的に設置されたりすると、地図データと、計測データに食い違いが生じてしまうため、自車位置の推定精度が低下してしまう。
特許文献1には、走行路に配設した磁気誘導体に沿って走行する無人搬送車用走行設備において、走行路の交差部に位置する磁気誘導体の交点を除く交点の近傍に削除部を設けることで、無人搬送車を正確に誘導走行させる無人搬送車用走行設備が開示されている。
また、特許文献2には、レーザ距離計から発射され、反射板で反射される反射光の変化により、反射板の両エッジの位置を検出し、レーザ測定ユニットから両エッジまでの距離をレーザ距離計で測定し、三角形の三辺からレーザ距離ユニットの相対的位置を同定することで、障害物により反射板の途中で反射光量が変化しても、位置同定誤差を少なくできる無人搬送車の位置同定方法が開示されている。
特開平10−283030号公報 特開平7−191744号公報
ところで、無人搬送車の走行エリアにおいて、レーザ距離センサで計測するたびに状況が変わるエリア(例えば、パレット置場や、充電器置場など)では、前記したように地図データと、計測データに食い違いが生じてしまうため、自車位置の推定精度が低下してしまうことが頻繁に生じることとなる。
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、自車位置の推定精度を向上させる無人搬送車および走行制御方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明は、計測データと地図データとのマッチングにおいて、不一致箇所が検出されても、その不一致箇所をマッチングの対象から除外するマスクエリアを、地図データにおいて設定することを特徴とする。無人搬送車の位置推定の際には、その不一致箇所を除外した計測データを用いる。
その他の解決手段については、実施形態中で適宜記載する。
本発明によれば、自車位置の推定精度を向上させる無人搬送車および走行制御方法を提供することができる。
本実施形態に係る無人搬送システムの構成例を示す図である。 本実施形態に係る無人搬送車におけるコントローラの構成例を示すブロック図である。 地図データ作成処理の手順を示すフローチャートである。 計測データの収集方法を示す図である。 地図データの例を示す図である。 マスクエリアを設定した地図データの例を示す図である。 計測データの取得範囲の例を示す図である。 無人搬送車が図7の位置で取得した計測データを示す図である。 図8の計測データからマスクエリアに該当する障害物データを除去した計測データを示す図である。 経路データ作成処理の手順を示すフローチャートである。 経路の例を示す図である。 経路データの例を示す図である。 本実施形態に係る経路と座標の対応情報の例を示す図である。 本実施形態に係る無人搬送車の走行時における処理の手順を示すシーケンス図である。 本実施形態に係る走行制御処理の手順を示すフローチャートである。 経路が直線である場合における操舵角および実際の移動距離の決定方法を説明する図である。 経路が曲線である場合における操舵角および実際の移動距離の決定方法を説明する図である。 本実施形態に係る停止判定方法を示す図である。 本実施形態に対する停止判定を用いた場合における無人搬送車の停止状態を示した図である。
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同様の構成要素には同一の符号を付して、説明を省略する。
(システム構成)
図1は、本実施形態に係る無人搬送システムの構成例を示す図である。
無人搬送システム9は、無人搬送車1、ホストコンピュータ(外部装置)2および運行管理コンピュータ(外部装置)3を有している。さらに、ホストコンピュータ2の上に上位ホストを設置することもある(図示省略)。
無人搬送車1は、経路データ133(図2)に従って走行エリア内を移動し、荷を積んで移動したり、卸したりするものである。
ホストコンピュータ2は、LAN(Local Area Network)などのネットワーク5を介して運行管理コンピュータ3と接続しており、運行管理コンピュータ3と同じく無人搬送車1から送られた計測データ131(図2)などから地図データ132(図2)を作成したり、ユーザによる経路データ133の作成を行ったりする機能を有する。
運行管理コンピュータ3は、ホストコンピュータ2と同じく無人搬送車1から送られた計測データ131(図2)などから地図データ132を作成したり、無線親局4を介した無線LANなどによって、無人搬送車1に対し指示を送ったり、無人搬送車1から状態報告を受けたりする機能を有している。
無人搬送車1は、コントローラ10、レーザ距離センサ20、プログラマブルコントローラ30、操舵輪40、走行輪50、タッチパネルディスプレイ60および無線子局70を有している。
コントローラ10は、無人搬送車1の動作を制御する装置である。なお、コントローラ10の詳細は図2を参照して後記する。
レーザ距離センサ20は、物体までの距離を計測可能なセンサであり、レーザや、ミリ波などを発射し、その反射光(反射波)を検知して障害物までの距離を測定するセンサである。レーザ距離センサ20は、レーザ波や、ミリ波を左右に大きくスキャンすることから、レーザ距離センサ20は、無人搬送車1の180度以上計測可能な位置に取り付けられる。つまり、レーザ距離センサ20は、180度以上のレンジで回転することができ、所定の角度ごとにレーザを発射することができるようになっている。
プログラマブルコントローラ30は、操舵角をパラメータとして制御される操舵輪40および速度をパラメータとして制御される走行輪50の制御を行う装置である。
タッチパネルディスプレイ60は、無人搬送車1の各種設定や、保守などを行う際の情報入出力装置である。
無線子局70は、無線親局4から送信される通信伝文を受信し、コントローラ10へわたす装置である。
(コントローラ構成)
次に、図1を参照しつつ、図2に沿ってコントローラの構成を説明する。
図2は、本実施形態に係る無人搬送車におけるコントローラの構成例を示すブロック図である。
コントローラ10は、ROM(Read Only Memory)などのプログラムメモリ110と、RAM(Random Access Memory)などのデータメモリ130と、図示しないCPU(Central Processing Unit)とを有している。
データメモリ130には、計測データ131、地図データ132および経路データ133が格納されている。
計測データ131は、レーザ距離センサ20により測定した障害物までの距離に関するデータである。
地図データ132は、計測データ131に基づき、認識処理された結果を用いて、ホストコンピュータ2、運行管理コンピュータ3あるいは図示しない地図データ作成用パソコンにて作成され、伝送された地図情報であり、無人搬送車1が走行する走行エリアの地図情報である。また、地図データ132には、計測データ131との不一致箇所(障害物)が検出された場合、その障害物に関するデータを計測データ131から除去する(マッチングを行わない)ためのマスクエリアが設定されている。マスクエリアには、無人搬送車1の走行エリアにおいて、レーザ距離センサ20で計測するたびに状況が変わるエリア(例えば、パレット置場や、充電器置場など)が設定されるのが望ましい。地図データ132については、後記して説明する。
経路データ133は、地図データ132上に作成された無人搬送車1の走行を予定している経路情報である。なお、経路データ133は、地図データ132の作成同様、ユーザがホストコンピュータ2などで実行されている地図データ132を参照して編集ソフトウェアにより作成されるものである。経路データ133は、ホストコンピュータ2、運行管理コンピュータ3あるいは図示しない地図データ作成用パソコンから無人搬送車1へ送られることによってデータメモリ130に格納される。なお、経路データ133には、各場所における無人搬送車1の速度情報などが含まれている。経路データ133については、後記して説明する。
プログラムメモリ110には、無人搬送車1を制御するための各プログラムが格納されており、これらのプログラムがCPUで実行されることにより、情報を処理する処理部(制御部)111を具現化している。処理部111は、座標変換部112、データ取得部113、計測データ取得部114、マッチング部115、位置推定部116、走行経路決定部117、走行制御部118および停止制御部119を含んでいる。
座標変換部112は、ホストコンピュータ2から取得した作業指示に含まれている目的番地を地図データ132で定義されている(すなわち、走行エリアに設定されている)座標に変換する機能を有する。ここで、番地とは、無人搬送車1が走行する走行エリアにおける所定の場所である。
データ取得部113は、データメモリ130から経路データ133や、地図データ132などの各種データを取得する機能を有する。
計測データ取得部114は、リモコンによる手動運転時や、無人搬送車1の走行制御時に、レーザ距離センサ20で収集された計測データ131を取得する機能を有する。
マッチング部115は、無人搬送車1の走行制御時にレーザ距離センサ20から送られた計測データ131と、地図データ132とをマッチングさせる機能を有する。また、マッチング部115は、地図データ132と、計測データ131とのマッチングの結果、不一致箇所(障害物)が検出され、さらにその障害物が地図データ132に設定されているマスクエリア内に存在するか否かを判定する機能を有する。
位置推定部116は、マッチング部115によるマッチング結果を基に、無人搬送車1の現在位置を推定する機能を有する。また、マッチング部115によって、地図データ132に設定されているマスクエリア内に障害物が検出された場合、その障害物に関するデータを計測データ131から除去して、無人搬送車1の現在位置を推定する機能も有する。
走行経路決定部117は、経路データ133に含まれている無人搬送車1の速度情報と、位置推定部116で推定された現在位置に基づいて、経路上における次の移動先位置を決定する機能を有する。また、無人搬送車1の経路からのずれから、操舵角を算出する機能も有している。
走行制御部118は、経路データ133に含まれている速度情報や、走行経路決定部117が算出した操舵角をプログラマブルコントローラ30へ指示する機能を有する。
停止制御部119は、無人搬送車1が目的番地に達したか否かを判定し、達していれば無人搬送車1を停止させる機能を有する。
無人搬送車1を走行させるためには、無人搬送車1をオンライン投入(自動運転)する前に地図データ132と経路データ133を作成して、無人搬送車1に記憶させる必要がある。また、目的番地と、経路データ133の座標とを対応付ける必要がある。以下、図1および図2を参照しつつ、図3〜図13に沿って地図データ132と経路データ133の作成手順について説明する。
<地図データ作成処理>
図3は、地図データ作成処理の手順を示すフローチャートであり、図4は計測データの収集方法を示す図である。
まず、手動コントローラまたはリモコン(リモートコントローラ)などでユーザが周囲を目視しつつ、無人搬送車1を手動により低速運転する。この際、レーザ距離センサ20が計測データ131を収集する(S101)。
このとき、図4に示されるように、レーザ距離センサ20は、図示しないレーザ発射部を、例えば0.5度ずつ、180度(または180度以上)回転させて、30ms周期でレーザ光411を発射する。これは、無人搬送車1が1cmから10cm程度進む毎に180度分の計測を行っていることになる。レーザ距離センサ20は、発射したレーザ光411の反射光を受光し、レーザ光411が発射されてから受光するまでの時間を基に障害物421までの距離を算出(計測)する。計測データ取得部114は、算出した障害物までの距離に関するデータを計測データ131としてデータメモリ130に格納する。なお、計測データ131は、一定時間毎に収集される。符号401〜403は後記して説明する。
エリア内におけるすべての計測データ131を収集後、計測データ131は図示しない外部インタフェースなどを介して、ホストコンピュータ2、運行管理コンピュータ3あるいは図示しない地図データ作成用パソコンに出力される。
そして、ユーザが、ホストコンピュータ2、運行管理コンピュータ3あるいは図示しない地図データ作成用パソコン上で稼動している地図作成ソフトウェアを操作することで、出力された計測データ131に基づく地図データ132を作成する(図3のS102)。具体的には、収集した各計測データ131を重ね合わせることで地図データ132を作成する。
さらに、ユーザが、ホストコンピュータ2、運行管理コンピュータ3あるいは図示しない地図データ作成用パソコン上で稼動している地図作成ソフトウェアを操作することで、地図データ132にマスクエリアを設定する(S103)。
作成された地図データ132は、図示しない外部インタフェースなどを介して無人搬送車1に送られ、データメモリ130に格納される。
なお、一度作成された地図データ132は、再度ステップS101〜S102の処理が行われない限り、更新されることはない。
(地図データ例)
図5は、地図データの例を示す図である。
図5に示すように、地図データ132には走行エリアにおける壁501および障害物502がデータとして記録されている。
図6〜図9を参照して、本実施形態に関するマスクエリアを用いた障害物データ除去処理を説明する。
図6は、マスクエリアを設定した地図データの例を示す図である。
図6に示すように、地図データ132には、走行エリアにおける壁501および障害物502がデータとして記録されていると共に、マスクエリア510が設定されている。
前記したように、マスクエリア510は、計測データ131において、このエリア内に障害物が検出された場合、検出された障害物を除去した上で、地図データ132と計測データ131とのマッチングを行うために設定されているものである。
図7のように、マスクエリア510が設定されたエリア内に事後的に物体800が置かれた状況で、無人搬送車1が自動で走行し、図7で示す位置でレーザ距離センサ20による計測を行って計測データ131を取得したとする。
図8は、無人搬送車が図7の位置で取得した計測データを示す図である。つまり、計測データ131aにおける符号802は、図7において、レーザ距離センサ20から発射されたレーザがあたった箇所のデータを示している。ここで、符号802で示すデータのうち、図7の物体800にレーザが当たった箇所に相当するデータ(障害物データ)が符号801で示すものである。
ここで、マッチング部115が地図データ132と、計測データ131とをマッチングさせると、符号801のデータが障害物データとして検出されるが、符号801が図6のマスクエリア510内に存在しているので、位置推定部116は、図9に示すように計測データ131aから符号801を除去した計測データ131bを作成し、この計測データ131bを用いて、地図データ132とのマッチングを行って、無人搬送車1の現在位置の推定を行う。
なお、計測データ131bと、地図データ132とのマッチングを行うと、図7の符号800の影に隠れている壁面部分のデータが不一致として検出されるが、この壁面はマスクエリアに該当するとして、マッチングの対象から除去される。
なお、障害物のような物体だけでなく、カーテンなど変化が生じやすい箇所もマスクエリア510に指定することで、カーテンが開け閉めされることによる変化に対応できる。
<経路データ作成処理>
次に、図10〜図13を参照して、無人搬送車1が進むべき経路を示す経路データを予め作成する経路データ作成処理を説明する。
図10は、経路データ作成処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ユーザは、ホストコンピュータ2、運行管理コンピュータ3あるいは図示しない地図データ作成用パソコンで実行されている経路作成ソフトウェアを利用して、地図データ132上に経路を指定することによって経路位置情報を設定する(S201)。経路作成ソフトウェアは、ユーザが経路作成ソフトウェアで表示している地図データを参照し、地図画面上をマウスなどのポインティングデバイスでなぞることにより、簡単に地図上に経路を作成できる機能を有している。このように作成された経路位置情報は地図データ132において定義される座標の羅列によって表現されているデータである。また、経路位置情報の設定の際に、ユーザは番地の設定を行うことによって、経路データ133に番地と座標との対応情報を設定する。
次に、ユーザは、経路作成ソフトウェアにより作成した経路上に無人搬送車1が無人で走行するときの速度を指定する速度情報の設定を行う(S202)。例えば、図4を参照して説明すると、最初の区間403では、2速(1.2[km/h])、次のカーブの区間402では、1速(0.6[km/h])、カーブを抜けた区間401では、3速(2.4[km/h])で走行するというように経路上に設定する。
速度設定は、クリープ速度(微速前進速度)、1速、2速などの順で何段階かに設定できる。例えば、最高速度を9km/hr(150m/min)として、10分割するなどして決定してもよい。ただし、クリープ速度は、1速よりも遅い速度に決めておく(例えば、0.3km/hrなど)。
(経路データ例)
次に、図11および図12を参照して経路データ133の例を説明する。
図11は、経路の例を示す図である。
図11では無人搬送車1の走行エリアである工場内における経路の例を示しており、「A」〜「H」は「A番地」〜「H番地」を示している。
また、図11の「A番地」、「C番地」、「E番地」および「G番地」は「卸作業」が行われる箇所を示している。また、図11の「B番地」、「D番地」、「F番地」および「H番地」は「積作業」が行われる箇所を示している。
なお、番地の指定は、白線のライン上を無人搬送車が走行する従来のシステムから引き継いだレガシな部分である。
図12は、経路データの例を示す図である。
図12において、「B」、「C」、「E」、「G」は図11の「B」、「C」、「E」、「G」に対応するものである。
図12(a)では、「B番地」で荷を積んで、「C番地」で卸す経路を示している(B→C)。
同様に、図12(b)では、「B番地」で荷を積んで、「E番地」で卸す経路を示しており(B→E)、図12(c)では、「B番地」で荷を積んで、「G番地」で卸す経路を示している(B→G)。
このように、経路データ133は積箇所→卸箇所あるいは卸箇所→積箇所で指定することができる。
図11の例で、設定可能な経路データ133は、例えば以下の通りとなる。
(1)卸→積
A→B、A→D、A→F、A→H
C→B、C→D、C→F、C→H
E→B、E→D、E→F、E→H
G→B、G→D、G→F、G→H
(2)積→卸
B→A、B→C、B→E、B→G
D→A、D→C、D→E、D→G
F→A、F→C、F→E、F→G
H→A、H→C、H→E、H→G
地図データ132と、経路データ133の作成は、1台の無人搬送車1で収集した計測データ131を基にホストコンピュータ2、運行管理コンピュータ3あるいは図示しない地図データ作成用パソコンで行われ、使用するすべての無人搬送車1に適用する。
なお、地図データ132と経路データ133の作成は、オンライン投入するすべての無人搬送車1のそれぞれについて行うこともできる。なぜならば、レーザ距離センサ20や走行系(操舵輪40、走行輪50)の固体差が大きい場合は、1台の無人搬送車1で収集した地図データ132をすべての無人搬送車1に適用するよりは、個別に適用した方が有効と考えられるからである。
図13は、本実施形態に係る経路と座標の対応情報の例を示す図である。
図13に示すように、経路データ133では、経路が座標で管理されている。具体的には、経路データ133は、座標の羅列で表現されている。そして、経路データ133には、番地1101〜1103が座標に対応付けられたデータも格納されている。なお、番地1101〜1103は、図11および図12の番地「A」〜「H」などに相当するものである。
<走行時における制御処理>
次に、図1および図2を参照しつつ、図14および図15に沿って無人搬送車1を無人で走行させる際の処理を説明する。
図14は、本実施形態に係る無人搬送車の走行時における処理の手順を示すシーケンス図である。
オンライン投入する際、まず、ユーザが無人搬送車1をある番地まで持っていき、例えばタッチパネルディスプレイ60を介して現在番地を入力する。
これにより、無人搬送車1はホストコンピュータ2へオンライン投入した旨の情報を送る(S301)。ここで、オンライン投入は、次作業の問い合わせを兼ねている。
運行管理コンピュータ3を介して、無人搬送車1からの兼・次作業問い合わせを受信したホストコンピュータ2は無人搬送車1へ作業指示を送信する(S302)。この作業指示には、目的番地と、その目的番地で行われる作業内容に関する情報が格納されている(ステップS302の例では積作業が行われる)。
運行管理コンピュータ3を介して作業指示を受信した無人搬送車1は、図15で後記する走行制御を行い(S303)、現在の状態(番地通過情報、作業完了情報など)を運行管理コンピュータ3へ報告する(S304)。
無人搬送車1は、目的番地へ到着するまでステップS303およびステップS304の処理を繰り返す。
そして、走行制御(S305)後、目的番地へ到着し、作業(ここでは、積作業)が完了すると、無人搬送車1は積作業が完了した旨の状態報告を運行管理コンピュータ3へ送信する(S306)。
積作業が完了した旨の状態報告を受信した運行管理コンピュータ3は、同様の状態報告をホストコンピュータ2へ送信する。
次に、ホストコンピュータ2は、次作業として卸作業の作業指示を運行管理コンピュータ3を介して無人搬送車1へ送信する(S307)。この作業指示には、目的番地と作業内容(ステップS307の例では卸作業)に関する情報が格納されている。
運行管理コンピュータ3を介して作業指示を受信した無人搬送車1は、図15で後記する走行制御を行い(S308)、現在の状態(番地通過情報、作業完了情報など)を運行管理コンピュータ3へ報告する(S309)。
無人搬送車1は、目的番地へ到着するまでステップS308およびステップS309の処理を繰り返す。
そして、走行制御(S310)後、目的番地へ到着し、作業(ここでは、卸作業)が完了すると、無人搬送車1は卸作業が完了した旨の状態報告(卸作業完了報告)を運行管理コンピュータ3へ送信する(S311)。これは、次作業の問い合わせを兼ねている。
卸作業が完了した旨の状態報告を受信した運行管理コンピュータ3は、同様の状態報告をホストコンピュータ2へ送信する。
運行管理コンピュータ3を介して、卸作業完了報告を受信したホストコンピュータ2は無人搬送車1へ、次の作業指示を送信する(S312)。
ここでは、作業内容として移動(積作業および卸作業を行わない)を指示することとする。
運行管理コンピュータ3を介して作業指示を受信した無人搬送車1は、図15で後記する走行制御を行い(S313)、現在の状態(番地通過情報、作業完了情報など)を運行管理コンピュータ3へ報告する(S314)。
無人搬送車1は、目的番地へ到着するまでステップS313およびステップS314の処理を繰り返す。
そして、走行制御(S315)後、目的番地へ到着すると、無人搬送車1は目的番地へ到着した旨の状態報告(移動作業完了報告)を運行管理コンピュータ3へ送信する(S316)。これは、次作業の問い合わせを兼ねている。
移動作業が完了した旨の状態報告を受信した運行管理コンピュータ3は、同様の状態報告をホストコンピュータ2へ送信する。
運行管理コンピュータ3を介して移動作業完了報告を受信したホストコンピュータ2は、次作業の確認を行う(S317)。
なお、図14では、ステップS306で積作業の完了報告を受けたホストコンピュータ2が、すぐに次作業である卸作業の指示を無人搬送車1に送信しているが、無人搬送車1からの次作業問い合わせを受信してから次作業の指示を無人搬送車1へ送信するようにしてもよい。なお、卸作業や、移動作業の場合も同様である。
また、図14で目的番地に到達していない場合は、無人搬送車1は状態報告を行わないようにしてもよい。
さらに、無人搬送車1に異常が発生した場合、オンライン投入時と同じように例えばタッチパネルディスプレイ60を介して無人搬送車1に現在番地を入力することによって、無人搬送車1が自律的に現在位置を取得するようにしてもよい。
<走行制御処理>
図15は、本実施形態に係る走行制御処理の手順を示すフローチャートである。なお、図15の処理は、図14のステップS303,S305,S308,S310,S313,S315の処理の詳細に該当する処理である。
まず、無人搬送車1は運行管理コンピュータ3を介して作業指示を受信する(S401)。
次に、無人搬送車1の座標変換部112は、経路データ133に格納されている番地と座標との対応情報に従って、作業指示に含まれている目的番地を座標に変換する(S402)。
そして、無人搬送車1のデータ取得部113は、データメモリ130に格納されている経路データ133より、現在番地から目的番地へ向かう経路データ133を選択すると、該当する経路データ133を取得する(S403)。
続いて、レーザ距離センサ20が、図4で説明したレーザ測距を行い、計測データ取得部114がレーザ測距の結果を取得する位置決定用レーザ距離センサ計測を行う(S404)。
そして、マッチング部115が、データメモリ130に格納されている地図データ132と、ステップS404で取得した計測データ131とのマッチングを行う(S405)。
次に、マッチング部115は、マッチングの結果、地図データ132と不一致となる障害物が検出されたか否かを判定する(S406)。
ステップS406の結果、障害物が検出されていない場合(S406→No)、処理部111はステップS411へ処理を進める。
ステップS406の結果、障害物が検出された場合(S406→Yes)、マッチング部115は、その障害物がマスクエリア内に存在しているか否かを判定する(S407)。
ステップS407の結果、マスクエリア内に存在していない場合(S407→No)、マッチング部115は、地図データ132と計測データ131との一致率を算出し、推定精度とする。そして、マッチング部115は、推定精度が所定値以下であるか否かを判定する(S408)。
一致率は、マッチング部115が、マッチングの度合いの率を計算することで算出され、これを推定精度とする。例えば、地図データ132と計測データ131とのデータのすべてが一致するときの一致率を100%とすると、40%(ステップS408における所定値)以下となれば、マッチング部115は一致率が低いと判定し、処理部111が後記するステップS409において無人搬送車1を停止させるよう初期設定しておく。
ステップS408の結果、推定精度が所定値より大きければ(S408→No)、処理部111は、後記するステップS411へ処理を進める。
ステップS408の結果、推定精度が所定値以下であれば(S408→Yes)、処理部111は無人搬送車1を停止させる(S409)。このとき、タッチパネルディスプレイ60や、ホストコンピュータ2に警告表示を行い、さらに図示しない音声出力装置から警告音を発するなどしてもよい。その後、作業者が障害物を作業場から除去し、タッチパネルディスプレイ60の再走行ボタンを押下することによって、無人搬送車1が走行を開始する。
なお、本実施形態では、推定精度が低い場合に無人搬送車1を停止させたが、推定精度が減速閾値(例えば50%)以下で停止閾値(例えば40%)より大きい場合に、処理部111が無人搬送車1を減速走行させ、停止閾値以下の場合に、処理部111が無人搬送車1を停止させるようにしてもよい。
ステップS407の結果、マスクエリア内に存在する場合(S407→Yes)、位置推定部116は、その障害物のデータ(障害物データ)を計測データ131から除去した(S410:図9)上で、マッチング結果を基に現在の無人搬送車1の現在位置(X,Y)を推定する(S411)。ステップS405およびステップS411の処理は、特許第4375320号明細書などに記載の技術であるため詳細な説明を省略するが、概略すると計測データ131の形状に合致する箇所を地図データ132上で検索し、その検索結果から無人搬送車1の現在位置を推定する。推定された現在位置は、座標の形で得られる。
次に、走行経路決定部117が、経路データ133に設定されている速度情報vに基づき、移動距離d、実際の移動距離daを決定する(S412)。実際の移動距離daの算出は図16および図17を参照して後記する。
なお、ステップS412において、無人搬送車1が、経路から外れている場合、走行経路決定部117は、無人搬送車1から一番近い経路の部分に設定されている速度情報を用いる。本実施形態では、無人搬送車1の基準点から経路に垂線を伸ばして、その垂線と経路が交わる点に設定されている速度情報を用いる。なお、本実施形態では、無人搬送車1の基準点を、無人搬送車1の前面中央とする。
移動距離の決定は、経路データ133に設定されている速度が大きいほど、移動距離が大きくなるようにする。例えば、速度と移動距離を正比例の関係を持たせるようにしてもよいし、速度と移動距離の関係を二次関数や、さらに、高次の関数の関係を有するようにしてもよい。
ここで、速度と移動距離dとの関係を例示する。以下のように、次の距離センサ計測時までに移動距離dの終点である移動先まで到達しないよう、十分な長さをとるようにしている。
1速:5.0mm/30ms(0.6km/h)、移動距離d:100mm
2速:10.0mm/30ms(1.2km/h)、移動距離d:200mm
3速:20.0mm/30ms(2.4km/h)、移動距離d:300mm
4速:26.7mm/30ms(3.2km/h)、移動距離d:400mm
ここで、30ms毎の距離となっているのは、レーザ距離センサ20の計測間隔が30msとした場合の例示であり、計測間隔により数値は変わってくる。
ステップS412の後、走行経路決定部117は、ステップS412で求めた移動距離dと、現在位置座標(X,Y)に基づいて、経路上に目標となる移動先座標を決定することによって当面の移動先位置を決定する(S413)。
次に、走行経路決定部117は、現在座標(X,Y)とステップS413で決定した移動先座標を基に、操舵角θを決定する(S414)。ステップS414の処理は、図16および図17を参照して後記する。
また、走行経路決定部117は、現在座標(X,Y)に基づき、経路上に設定されている速度vを経路データ133から再度取得することによって速度を決定する(S415)。
この段階で、無人搬送車1を動かすための操舵角θ、速度vが決定されたので、走行制御部118は、これらのパラメータをプログラマブルコントローラ30に送ることにより、移動距離dの終点である移動先を目指して、無人搬送車1を移動させる(S416)。実際には、移動距離d分の移動時間より早いタイミングで、次のレーザ距離センサ20の計測が行われる。
次のレーザ距離センサ計測時(30msec後)、停止制御部119は、無人搬送車1が目的番地(目的番地に対応した座標)に到達したか否かを判定する(S417)。ステップS417の処理は、図18〜図19を参照して後記する。
ステップS417の結果、無人搬送車1が目的番地に到達していない場合(S417→No)、コントローラ10はステップS404へ処理を戻す。
ステップS417の結果、無人搬送車1が目的番地に到達している場合(S417→Yes)、コントローラ10は走行制御処理を終了する。
なお、無人搬送車1が目的番地まで到達したら、コントローラは現在座標の情報をそのままデータメモリ130に保持することで、次の作業時に用いることができる。
<操舵角・実際の移動距離の決定>
次に、図1および図2を参照しつつ、図16および図17に沿って操舵角および実際の移動距離の決定方法を説明する。これは、図15のステップS412,S414の処理で行われる処理である。
図16は、経路が太い実線で示すような直線である場合における操舵角および実際の移動距離の決定方法を説明する図である。
本実施形態では、無人搬送車1の基準点1201を無人搬送車1の前面中央としている。速度に基づいて移動距離dが求まると、走行経路決定部117は、無人搬送車1の基準点1201から経路上(経路データ132で示される座標の羅列)に下ろした垂線の足1203から経路に沿って移動距離dにあたる点を求め、移動先座標1202とする。そして、走行経路決定部117は、無人搬送車1を移動先座標1202の方向に動かせる(向かわせる)ように、操舵輪40の角度を操舵角θとする。
このとき、実際の移動距離daと、移動距離dとの関係は、da=d/cosθとなる。
図17は、経路が太い実線で示すような曲線である場合における操舵角および実際の移動距離の決定方法を説明する図である。
経路が曲線である場合においても、走行経路決定部117は、無人搬送車1の基準点1201から、経路上に垂線の足1301(無人搬送車1の基準点1201から経路上において最短距離となる点)を求め、点1301から曲線の長さを移動距離dとして計算することによって、経路上の移動先座標1302を決定する。このような方法では、計算量が大きくなるが、経路の曲率が大きいときに、正確な経路上の移動先座標1302を求めることができる。
なお、実際の移動距離daと、移動距離dとの関係は、da=d/cosθとなる。
図16および図17に記載の方法によれば、現在座標が経路上にのっていなくても次の移動先座標で経路上にのるように操舵角と速度を決めることができる。
前記したように、本実施形態では、無人搬送車1の走行速度に応じて、速度が大きくなるにつれて、移動距離を大きくとり、経路上の目標となる移動先座標を遠くにとるので、無人搬送車1のブレの少ない安定した走行を行うように制御することができる。
<停止判定>
次に、図1および図2を参照しつつ、図18,図19に沿って停止判定方法を説明する。これは、図15のステップS417の処理で行われる処理である。
図18および図19は、本実施形態に係る停止判定方法を示す図である。
図18に示すように、停止制御部119は、無人搬送車1が経路から外れていたとき、すなわち、無人搬送車1の進行方向が図16および図17の移動先座標1202および移動先座標1302に向かう操舵角θを有するとき、無人搬送車1の中心点1501を通って、操舵輪40の方向(進行方向)と直角を有するように目標停止線1502を定める。この目標停止線1502は、横断線1503との間で、角度θ(操舵角)をなすことになる。なお、符号1601は目的番地に対応した座標である。
図19は、本実施形態に対する停止判定を用いた場合における無人搬送車の停止状態を示した図である。
図19に示されるように、図18で説明した目標停止線1502が目的番地に対応した座標1601上にのるか、目的番地に対応した座標を越えたときに、停止判定部は、無人搬送車1が目的番地に到達したと判定する(図15のS417→Yes)。無人搬送車1は目標停止線1502を停止の判定に用いることにより。操舵角θが0度ではない場合、つまり無人搬送車1が経路からずれている状態でも、停止時における無人搬送車1の中心点1501と、目的番地に対応した座標1601のずれを小さくして停止することができる。
また、本実施形態では、番地を座標に変換しているが、これに限らず、座標情報のみで無人搬送車1の走行制御を行ってもよい。
(まとめ)
本実施形態によれば、目的番地を座標で管理しているため、電線や反射テープなどのハードウェア的な走行制御で行われていた番地の指定を可能としつつ、電線や反射テープなど使用せずに無人搬送車1を自走させることができるとともに、よく物体が置かれたり、作業員の通過が多かったり、他の設備がよく設置されたりする箇所などを予めマスクエリアとして地図データ132に設定しておき、このマスクエリア内に障害物が検知された場合、計測データ131と、地図データ132とのマッチング対象から、この障害物を除去することによって、無人搬送車1の位置推定の精度を維持することができる。
つまり、無人搬送車1の走行エリアにおいて、レーザ距離センサ20で計測するたびに状況が変わるエリア(例えば、パレット置場や、充電器置場など)をマスクエリア510とすることで、このマスクエリア510に相当する走行エリアに置かれた物品(障害物)に関しては、計測データ131と地図データ132とのマッチングを行わないことで、計測データ131と地図データ132とに食い違いが生じてしまい、自車位置の推定精度が低下してしまうことを防止することができる。
また、操舵角θを算出し、操舵輪40を操舵角θで制御することにより、無人搬送車1が経路から外れていても、経路上に戻ることが可能となる。
また、目標停止線1502を算出し、適用することで、目的番地到達時のずれを小さくすることができる。
1 無人搬送車
2 ホストコンピュータ
3 運行管理コンピュータ
4 無線親局
5 ネットワーク
9 無人搬送システム
10 コントローラ
20 レーザ距離センサ
30 プログラマブルコントローラ
40 操舵輪
50 走行輪
70 無線子局
110 プログラムメモリ
111 処理部(制御部)
112 座標変換部
113 データ取得部
114 計測データ取得部
115 マッチング部
116 位置推定部
117 走行経路決定部
118 走行制御部
119 停止制御部
120 データメモリ
121 計測データ
122 地図データ
123 経路データ
510 マスクエリア
d 移動距離
da 実際の移動距離

Claims (2)

  1. 物体までの距離を測定可能なセンサにより周辺環境の状況を計測して、地図データと前記計測により得られる計測データとをマッチングすることによって、現在位置を求め、前記求められた現在位置を基に、予め設定されている経路データに沿って走行する無人搬送車であって、
    前記計測データと前記地図データとのマッチングにおいて、不一致箇所が検出されても、その不一致箇所を前記マッチングの対象から除外するマスクエリアを、予め設定しておき、
    前記計測データと前記地図データとのマッチングにおいて、不一致箇所が検出されても、その不一致箇所が前記マスクエリアに属す場合は、前記不一致箇所を前記マッチングの対象から除外した後、前記現在位置を求める制御部
    を有することを特徴とする無人搬送車。
  2. 物体までの距離を測定可能なセンサにより周辺環境の状況を計測して、地図データと前記計測により得られる計測データとをマッチングすることによって、現在位置を求め、前記求められた現在位置を基に、予め設定されている経路データに沿って走行する無人搬送車による走行制御方法であって、
    前記計測データと前記地図データとのマッチングにおいて、不一致箇所が検出されても、その不一致箇所を前記マッチングの対象から除外するマスクエリアが設定されており、
    制御部が、
    前記計測データと前記地図データとのマッチングにおいて、不一致箇所が検出されても、その不一致箇所が前記マスクエリアに属す場合は、前記不一致箇所を前記マッチングの対象から除外した後、前記現在位置を求める、
    ことを特徴とする走行制御方法。
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