JP5441035B2 - 試料解析装置 - Google Patents
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Description
PCRチップでは、プライマーと試料をチップ内で計量し、混合する必要がある。n個の試料に含まれるm種類の標的配列を解析するには、チップの中でm×nのマトリックスを作り、その交点で対応するPCRを行う方法が、大幅に実験の手間を省くことができるため有効である。しかし、これを実現するには、小さなチップ内の各交点でプライマーと試料サンプルを計量し、混合する必要がある。従来の技術では、多数の配管や流路、マイクロバルブやマイクロミキサー等が必要になり、大変複雑な構造になっていた(例えば、非特許文献1〜4を参照)。
また、従来のPCRチップでは、反応器内に気泡が残留してしまうことが多い。気泡の発生要因として、(1)液体試料を最初に導入する際の気体の混入が挙げられる。つまり、流路内での小さなゴミ、埃、突起物が原因となって液体試料中に気体が混入されるのである。これはストレートな流路でも発生する。また、(2)PCR反応工程に伴うチップの昇温中に液体試料内の溶存ガスが気化することでも発生する。これは、温度上昇に伴い、液体中のガスの溶解度が下がり、溶けきれないガスが気体として現われるからである。さらに、(3)チップ昇温中に樹脂基板(例えば、PDMS)内の溶存ガスが気化して流路壁を介して液体試料中に混入されることでも発生する。
また、チップ内の小さい反応器内において極微量の試料を用いてPCRを実行するためには、反応液の蒸発を防ぐ工夫が必要不可欠である。特にDNAの変性には百度近い温度への昇温を必要とするため、溶液の蒸発は速く、標準的な大気圧下では試料は乾燥し、完全に無くなってしまうこともある(例えば、非特許文献6を参照)。
液体試料を収容可能な少なくとも一つ以上の貯蔵チャンバと、
固体試料が収容された少なくとも一つ以上の反応チャンバと、
貯蔵チャンバと反応チャンバとを連通する液体導入流路と、
反応チャンバ近傍に設けられた排出チャンバと、
を備え、かつ、
反応チャンバと排出チャンバとの間にはガス透過材料を含んだ壁が設けられ、
反応チャンバと排出チャンバとの間に生じた圧力差によって、液体導入流路及び反応チャンバ内のガス並びに液体試料中のガスが壁を通して排出チャンバに吸引されるとともに、貯蔵チャンバから反応チャンバに液体試料が導入・充填され、
反応チャンバは円筒形を成し、
排出チャンバは反応チャンバを同心円状に囲繞した溝を成し、
壁の壁厚は10μm〜500μmの範囲にあり、
排出チャンバの圧力は、液体試料を反応チャンバへ導入するために、0.2〜0.9気圧に設定されることを特徴とするものである。
実施形態に何等限定されるものではない。
次に、実際に作製された本発明の試料解析装置1として、遺伝子解析用PCRチップを例示して説明する。図3はPCRチップ1の分解斜視図を示す。図示のように、PCRチップ1は、少なくとも一層の弁制御層10と、少なくとも一層の流路層30と、これらの間に挟持された薄膜層20と、を備える。以下に、各々層の構成・機能について詳述する。
図4(a)は、弁制御層10の平面図を示す。弁制御層10は、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)からなる平板状の基板11上に、ガス量調節ポート12と、複数(図4(a)では5個)の弁開口部14と、ガス量調節ポート12と各々の弁開口部14とを連通するガス量調節流路13と、が設けられている。
以上のような構成のPCRチップ1の作製方法の一例を示す。まず、シリコン基板にSU8−2100(MICRO CHEM社製)をスピンコート、ソフトベーク、及び露光等して、各層の所望形状に対応したモールドを作成する。その次に、PDMSをモールドに流し込み、75℃及び90分の条件でベークすると、弁制御層10、流路層30がそれぞれ完成する。PDMSは自己吸着性があるので、これを利用して、PDMSからなる各層10、20、30を結合してPCRチップ1を完成させることができる。なお、弁制御層10と薄膜層20との間は、単に物理的に接触させただけでは結合力が弱いため、表面の濡れ性を改質し、化学的に修飾を加えることができるO2プラズマ処理をさらに追加して結合力を向上することが好ましい。
次に、一例として、PCRチップ1内の反応チャンバ35及びその周辺部の具体的な構造を、図5を参照しながら説明する。図5(a)は反応チャンバ35及びその周辺部の斜視図を示し、図5(b)は反応チャンバ35及びその周辺部の平面図を示す。
次に、本発明のPCRチップ1の弁機構5の一例を具体的に説明する。弁機構5は、弁制御層10と、薄膜層20と、流路層30と、に設けられた構造によって所望の機能が達成される(図3、図4(a)、図7を参照)。図7に示すように、例えば立方空間を成す弁開口部14が弁制御層10に形成されており、この弁開口部14の下方には、薄膜層20及び分岐流路34aが敷設されている。分岐流路34a上には、弁開口部14の対応位置に、弁開口部14より面積が小さい中実立方体状の突起34vが設けられている。
次に本発明の他の実施例を説明する。図9(a)は実施例1のPCRチップ1の断面構造を示し、図9(b)は実施例2のPCRチップ1の断面構造を示す。弁制御層10と流路層30がそれぞれ二層に分かれていること、及び、ガスバリア層40a,40b,40c,40d,40e,40fが層間に挿入されている以外の構成は実施例1と同様であり、その他の構成の説明は省略する。
液体試料2に蒸発抑制剤4を添加させた以外の点は、実施例1の構成と同様である。蒸発抑制剤4としてグリセロール、エチレングリコール、ショ糖、トレハロースが挙げられる。PCRにおける熱サイクルでは、95℃前後に過熱するステップが存在し、このとき、液体試料2が蒸発してしまい、PCR検知に必須の量の液体試料2が得られない場合がある。しかしながら、上記のような蒸発抑制剤4を液体試料2に添加させておくことで液体試料2の沸点を数℃上げることが可能になり、熱サイクルを終えても十分な量の液体試料2を反応チャンバ35内に残留させることができる。
実施例2のガスバリア層40を実施例1の装置構成に追加するとともに、実施例3の蒸発抑制剤4を液体試料2に添加したものである。
図10に実施例1のPCRチップ1を用いた熱サイクル試験結果を示す。図10(a)は熱サイクル試験前のPCRチップ1の反応チャンバ35の画像を示す。液体試料2には、着色されていない水を用いた。この図から明らかなように、液体試料2が反応チャンバ35に夫々、完全に満たされていることがわかる。図10(b)は熱サイクル試験後の反応チャンバ35の画像を示す。ここで、熱サイクル試験とは、PCRチップ1を95℃で10分間保持するステップ1と、PCRチップ1を95℃で15秒間保持した後、65℃で60秒間保持するステップ2と、4℃で維持するステップ3からなり、ステップ2を30回繰り返す試験である。図10(b)の画像から、液体試料2は反応チャンバ35に残留するものの、半分近い量の液体試料2が無くなっていることが確認できる。
図12は、実施例2のPCRチップ1を用いたPCR試験後の反応チャンバ35の
画像を示す。液体試料2として、10xBuffer(5μl)、各2mM(なお、M=mol/l)のdNTP(5μl)、25mMのMgCl2(7μl)、5U/μl(なお、U=units)のDNAポリメラーゼ(Ampli Taq Gold(登録商標))(1.25μl)、10ng/μlのヒト遺伝子DNA(1μl)、及び水(30.75μl)を含んだ溶液を用意し、PCRチップ1に供給した。このPCRチップ1の反応チャンバ35には、固体試料3として、3μMのフォワードプライマー、3μMのリバースプライマー、及び2μMのTaqManプローブ(Beta Actin Probe)とを含んだ溶液が予めスポットされている。(実施例2に係る液体試料2の各成分についての詳細は以下の表1を参照)。このPCRチップ1に以下のPCR処理を行った。PCR処理は、具体的には、95℃で10分間保持するステップ1と、PCRチップ1を95℃で15秒間保持した後、60℃で60秒間保持するステップ2と、25℃で維持するステップ3からなり、ステップ2を30回繰り返す試験である。図12の画像から明らかなように、PCR処理後に液体試料2が反応チャンバ35内に残留するもののPCR処理中に多少蒸発していることがわかる。
2 液体試料
3 固体試料(プライマー)
4 蒸発抑制剤
5 弁機構
10 弁制御層
11 基板
12 ガス量調節ポート
13 ガス量調節流路
14 弁開口部
20 薄膜層
30 流路層
31 基板
32 貯蔵チャンバ
33 排出ポート
34 液体導入流路
34a 分岐流路
34v 分岐流路上の突起
35 反応チャンバ
36 排出チャンバ
37 排出流路
40(40a,40b,40c,40d,40e,40f) ガスバリア層
Wp 壁
Claims (8)
- 液体試料を収容可能な少なくとも一つ以上の貯蔵チャンバと、
固体試料が収容された少なくとも一つ以上の反応チャンバと、
前記貯蔵チャンバと前記反応チャンバとを連通する液体導入流路と、
前記反応チャンバ近傍に設けられた排出チャンバと、
を備え、かつ、
前記反応チャンバと前記排出チャンバとの間にはガス透過材料を含んだ壁が設けられ、
前記反応チャンバと前記排出チャンバとの間に生じた圧力差によって、前記液体導入流路及び前記反応チャンバ内のガス並びに前記液体試料中のガスが前記壁を通して前記排出チャンバに吸引されるとともに、前記貯蔵チャンバから前記反応チャンバに前記液体試料が導入・充填され、
前記反応チャンバは円筒形を成し、
前記排出チャンバは反応チャンバを同心円状に囲繞した溝を成し、
前記壁の壁厚は10μm〜500μmの範囲にあり、
前記排出チャンバの圧力は、前記液体試料を前記反応チャンバへ導入するために、0.2〜0.9気圧に設定されることを特徴とする試料解析装置。 - 前記反応チャンバと前記排出チャンバとの間に圧力差を発生させる圧力差発生機構をさらに備え、前記圧力差発生機構は、前記排出チャンバの圧力を減少させる減圧機構であることを特徴とする請求項1に記載の試料解析装置。
- 前記液体導入流路は、一つの前記貯蔵チャンバから複数の前記反応チャンバに分岐させる分岐流路を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の試料解析装置。
- 前記液体導入流路は、流路を開閉する弁機構を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の試料解析装置。
- 前記液体試料には、蒸発抑制剤が添加されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の試料解析装置。
- 前記液体導入流路と前記反応チャンバの近傍にガスバリア層が設けられ、前記壁にはガスバリア層が設けられていないことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の試料解析装置。
- 前記ガス透過性材料がポリジメチルシロキサンであることを特徴する請求項1〜6のいずれかに記載の試料解析装置。
- 前記液体試料は、核酸溶液を含み、
前記固体試料は、前記反応チャンバに予め塗布・乾燥されたプライマーを含み、
PCR解析に用いられることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の試料解析装置。
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