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JP5334242B2 - 受信イメージングアンテナアレイ - Google Patents

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JP5334242B2 JP2008228479A JP2008228479A JP5334242B2 JP 5334242 B2 JP5334242 B2 JP 5334242B2 JP 2008228479 A JP2008228479 A JP 2008228479A JP 2008228479 A JP2008228479 A JP 2008228479A JP 5334242 B2 JP5334242 B2 JP 5334242B2
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Description

本発明は、受信イメージングアンテナアレイに関する。
マイクロ波アンテナアレイには、高速走査レーダーやマイクロ波イメージングなど幅広い応用分野がある。例えば、高速走査レーダーは飛翔体を対象とするレーダーやコンパクトなレーダーなどの応用分野がある。一方、マイクロ波イメージングは、非破壊検査、医療診断、低温に感度のある温度イメージング、などの応用分野がある。
これらのマイクロ波アンテナアレイでは、導波管アンテナを使用するものが提案されている。導波管アンテナでは、特許文献1が公知である。特許文献1の導波管アンテナは、誘電体プリント基板の片面上にホーンアンテナを載せるようにしている。
導波管アンテナアレイでは、非特許文献1〜非特許文献3が公知である。非特許文献1では、一枚のプリント基板上に給電部を並べ、その上にホーンアンテナアレイを置いた二次元アンテナアレイが提案されている。非特許文献2では、マイクロ波イメージングの検出器の応用を目指して、ホーンアンテナとバックキャビティの間に給電部を載せた薄膜を置いた構成の二次元アンテナアレイが提案されている。又、非特許文献3では、プリント基板上にテーパースロットアンテナと能動的電子回路を搭載した能動的マイクロ波アンテナアレイとして、2次元ミリ波撮像素子が提案されている。
なお、本出願人は、特願2008−039009号において、プラズマのマイクロ波イメージング反射計計測に応用できる平面八木宇田アンテナを並べた能動的マイクロ波アンテナアレイを提案している。なお、マイクロ波とは、電磁波の中で、周波数が300MHz〜300GHz(波長 1m〜1mm)のものをいい、周波数が約30GHz〜300GHzのものは、波長が数mmであることから、ミリ波というが、本明細書では、ミリ波も含めてマイクロ波という。
特開平5−308219号公報 ティ・セム(T. Sehm),エイ・ラート(A. Lehto),エイ・ヴィ・ライサネン(A. V. Raisanen)、「ア ハイ−ゲイン 58-GHz ボックス−ホーン アレイアンテナ ウィズ サプレスド グレイティング ロブス(A High-Gain 58-GHz Box-Horn Array Antenna with Suppressed Grating Lobes)」、IEEE Trans. Antenna Prop., vol.47, pp.1125−1130 (1999). ジ・エム・レバイツ(G. M. Rebeitz),ディ・ピー・カジリンガム(D. P. Kasilingam),ワイ・グゥオ(Y. Guo),ピー・エイ・スティムソン(P. A. Stimson),ディ・ビー・ラトルッヂ(D. B. Ruttledge)、「モノリシック ミリメータ−ウェィブ ツー−ディメンショナル ホーン イメージング アレイズ(Monolithic Millimeter-Wave Two-Dimensional Horn Imaging Arrays)」、IEEE Trans. Antenna Prop., vol.38, pp.1473−1482 (1990). ケイ・ジグフリド・イングヴェソン(K. Sigfrid Yngvesson,),他(et al)、「ザ テーパード スロット アンテナ−エイ ニュー インテグレーテッド エレメント フォー ミリメータ−ウェーブ アプリケーションズ(The Tapered Slot Antenna-A New Integrated Element for Millimeter-wave Applications)」、IEEE Trans. Microwave Theory Tech., vol.37, pp.365−374 (1989).
ところで、特許文献1は、ホーンアンテナと導波管がプリント基板の片側に設けられて、誘電体プリント基板の表面上にホーンアンテナを載せた構成である。そして、給電部(ミキサダイオード)を基板と垂直に立たせて、誘電体プリント基板の裏面側に中間周波数処理回路等を設けている。このため、量産に適した能動素子、例えば、ミキサダイオードチップを用いるのが困難である。
非特許文献1のプリント基板を用いたアンテナアレイは、プリント基板上には給電線と給電部が置かれているだけで、能動素子を設置するスペースがなく、このため、高感度イメージング受信機には使用できない問題がある。
非特許文献2の導波管アンテナアレイは、電子回路を置くスペースが非常に小さいので実際に設置するためには半導体集積回路製作技術である微細加工技術が必要であるという問題がある。
非特許文献3のテーパースロットアンテナは広帯域であるが、個々の導波管アンテナが大きいため、多数並べて撮像素子にしたとき空間分解能が悪い問題がある。
又、本出願人が提案した平面八木宇田アンテナは、空間分解能はよいが、アレイにしたとき、隣接するアンテナ素子同士により干渉が起きて周波数特性に大きな谷ができてしまい、周波数掃引を行う広帯域アンテナとしては不向きである。又、プリント基板が薄いことから、機械強度に欠ける問題がある。
本発明の目的は、導波管毎に設けられるディスクリートの能動素子を含むマイクロ波受信回路を搭載する誘電体基板を前記導波管に一体として組み付ける際に前記能動素子のスペースを確保でき、誘電体基板に設けられるマイクロ波受信回路には半導体集積回路作製技術である微細加工が必要でなく、試作が容易で量産に適したディスクリートの能動素子の使用ができる受信イメージングアンテナアレイを提供することにある。
さらに、本発明の目的は、高感度イメージング受信機に適用でき、並列配置されたアンテナ間のピッチを小さくすることができることから、空間分解能が高い受信イメージングアンテナアレイを提供することにある。
さらに、本発明の目的は、アンテナアレイを構成するアンテナ同士により干渉が起きることがなく、周波数掃引を行う広帯域アンテナとして使用でき、さらに、薄いプリント基板を使用しても、機械強度が高い受信イメージングアンテナアレイを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、一端が相互に同じ方向を指向するように開口するとともに他端が閉塞された導波管用の溝が複数個並設された板部と、前記板部の前記溝の閉塞端側に隣接して設けられ、前記溝の延出方向及び前記溝の並設方向と直交する方向に開口する開口部を有する枠部とを備えた一対のフレームであって、両フレームが互いに重ね合されることにより、各フレームの導波管用の溝が相対することにより複数の導波管が形成されるとともに前記枠部が重ね合される一対のフレームと、前記一対のフレームの板部と枠部間に挟着され、給電線及びディスクリートの能動素子を含むマイクロ波受信回路が複数搭載され、前記枠部の開口部を共通の開口部として、該開口部から各前記マイクロ波受信回路が露出される共通の誘電体基板とを備え、前記複数のマイクロ波受信回路が各前記導波管と電磁的に接続されて、一次元アンテナアレイとして構成されている受信イメージングアンテナアレイを要旨とするものである。
請求項2の発明は、請求項1において、各前記溝の開口端側には、先端に行くほど広がるホーン形成凹部が形成され、前記一対のフレームが重合状態で前記ホーン形成凹部により前記導波管に連通するホーンが形成されていることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1又は請求項2に記載の一次元アンテナアレイが、複数個互いに重なるように配置されて二次元アンテナアレイに構成されていることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、ディスクリートの能動素子を含む回路を搭載する誘電体基板を導波管に一体として組み付ける際に能動素子の収納スペースを枠部の開口部により確保でき、誘電体基板に設けられるマイクロ波受信回路には半導体集積回路作製技術である微細加工が必要でなく、量産に適したディスクリートの能動素子の使用ができる。
又、請求項1の発明によれば、アンテナ間には、ディスクリートの能動素子を含む回路が配置されないため、個々のアンテナを大きくすることがなく、従って、高感度イメージング受信機に適用でき、並列配置されたアンテナ間のピッチを小さくすることができることから、空間分解能が高い受信イメージングアンテナアレイを提供することができる。
請求項1の発明によれば、アンテナ間は、溝間にある板部の面が重ね合わされて電波干渉が防止されて、アンテナアレイを構成するアンテナ同士により干渉が起きることがなく、広帯域アンテナとして使用でき、さらに、誘電体基板に薄いフィルム状の基板を使用しても、機械強度が高い受信イメージングアンテナアレイを提供できる。
請求項2の発明によれば、ホーンアンテナアレイとして、上記請求項1の作用効果を奏することができる
請求項の発明によれば、二次元アンテナアレイとして、請求項1又は請求項に記載の作用効果を奏することができる。
(第1実施形態)
以下、本発明を一次元アンテナアレイに具体化した第1実施形態を図1及び図2を参照して説明する。図1(a)はフレーム20Aの斜視図、図1(b)は裏返したフレーム20Aの斜視図、図1(c)は誘電体基板30の斜視図、図1(d)は裏返した誘電体基板30の斜視図、図1(e)はフレーム20Bの斜視図、図1(f)はフレーム20Aの給電部の拡大図である。図2(a)は一次元アンテナアレイの全体の斜視図、図2(b),(c)は誘電体基板30の給電部の拡大図、図2(d)は導波管43の断面図である。
図2(a)に示すように、一次元アンテナアレイは、一対のフレーム20A,20Bと誘電体からなるフィルム状をなすプリント基板としての誘電体基板30とから構成されている。
図1(a)及び図1(e)に示すフレーム20A,20Bは、表面が導電性を有するように金属フレームから構成されていてもよく、或いは、全体が合成樹脂などの絶縁材で形成されている場合であっても、後述する導波管となる溝42およびホーン形成凹部44の表面全体が金属層で覆われていればよい。金属層の形成は、例えば、メッキがあるが、メッキに限定されるものではなく、蒸着等の他の方法でもよい。さらに、金属層の表面はマイクロ波を透過する薄い絶縁膜で覆われていてもよい。
フレーム20A,20Bは、略平板状の板部40と、板部40に対して連結されて、コ字状をなす枠部50とから構成されている。そして、フレーム20A,20Bは互いに重ね合わされて、図示しない連結手段としてのネジがフレーム20Aに設けられているネジ挿通孔41と誘電体基板30に設けられているネジ挿通孔34及びフレーム20Bに設けられているネジ挿通孔41bに挿通されて、螺合により互いに締付け、誘電体基板30を挟んでいる。フレーム20A、誘電体基板30及びフレーム20Bの位置整合を図るために、図示しないノックピンが、フレーム20Aとフレーム20Bに設けられているノックピン貫通孔41aと、誘電体基板30に設けられているノックピン貫通孔34aを貫通している。
各板部40の重合面側(図1(b)においてフレーム20Aでは上面側、図1(e)においてフレーム20Bでは上面側)には、複数の溝42が断面コ字状をなすように凹設されている。溝42は、枠部50側には閉塞された閉塞端を有し、枠部50とは反対側が開口され、その開口端からは、先端側(すなわち、反枠部側)へ行くほど上下長さが長く、かつ幅広(図1において左右長さが長く)になるようにホーン形成凹部44が形成されている。なお、本実施形態では、先端へ行くほど上下長さが長くなるようにしたが、幅広にするだけでもよい。
そして、フレーム20A,20Bが図2(a)に示す重合状態では、前記互いに相対した溝42同士により導波管43(図2(d)参照)が形成され、互いに相対したホーン形成凹部44同士により前記導波管43に連通するホーン45が形成されている。このようにして、本実施形態の一次元アンテナアレイは、ホーンアンテナアレイとして構成されている。
この結果、図2(d)及び図1(e)に示すように、高さa、幅b、奥行cの複数の導波管43が形成されている。
フレーム20Aの板部40の重合面には、給電線を通すために、図1(f)に示すように、溝42に並設するように、枠部50側に開口する切欠溝46が形成され、該切欠溝46と溝42間は凹溝47により連通されている。
図1(a)、図1(e)に示すように前記枠部50と、板部40とで囲まれた空間は開口部51が形成されている。開口部51は、溝42の延出方向(すなわち、閉塞端と開口端を結ぶ方向)及び溝42の並設方向(図1(a)〜(f)において左右方向)と直交する方向(図1(a)〜(f)では上下方向)に開口する。
誘電体基板30は、前記フレーム20A,20Bにより、板部40側は板部40の重合面により挟着され、枠部50側はその周縁部が枠部50の重合面により挟着されている。誘電体基板30は、マイクロストリップ線路の線幅が導波管43に比べて十分狭くなるように、薄くなる(例えば、後述する中間周波数が10GHz用のテフロン(登録商標)基板では厚さが0.25mm程度)ことから、フィルム状の誘電体により構成されている。このため、誘電体基板30自体の機械的強度は強くない。誘電体基板としては、本実施形態ではテフロン(登録商標)基板を使用しているが、この材質に限定されるものではない。なお、説明の便宜上、図1、図2では、誘電体基板30の厚みは誇張して描かれている。
誘電体基板30の上面には、各導波管43毎にマイクロストリップ線路31がプリントにより並設されている。誘電体基板30は、図1(c)及び図1(d)に示すように、後述する一部を除いて、ホーン形成凹部44に相対する部分を切り欠いてもよい。又、図2(b)に示すように、誘電体基板30において、前記マイクロストリップ線路31の先端からL字状に屈曲されて、溝42内に突出する給電部32が設けられている。さらに、図2(c)に示すように、給電部32にミキサダイオード36を設置する。ミキサダイオード36の一端は給電部32と接続し、もう一端は、接地導体パターン33からの接地導体引き出し線路35と接続されて接地されている。なお、給電部32と、導波管43の閉塞端42a(すなわち、導体端部)までの距離d(図1(f)、図2(b)参照)は、波長に応じて最適化する。なお、図1(f)及び図2(b)において、mは給電部32の位置を示している。
誘電体基板30の上面には、図1(c)に示すように、接地導体パターン33が設けられている。誘電体基板30の後述する一部を除く下面には、図1(d)に示すように、接地導体パターン33が形成されている。又、導波管43(すなわち、溝42)内に配置された誘電体基板30には、接地導体パターンは形成されていない。
前述したマイクロストリップ線路31は、フレーム20Aの板部40間に配置された場合、フレーム20Aの重合面と接触しないように、前記フレーム20Aに設けられた切欠溝46と凹溝47内に配置される。上述のようにして給電部32が導波管43内に配置されている。この結果、図2(d)に示すように、高さa、幅b、奥行c(図1(e)参照)の導波管43が形成されて、前記給電部32、ミキサダイオード36及び接地導体引き出し線路35を囲む形となる。ミキサダイオード36は導波管43の中央付近に置いて良い。
誘電体基板30上に形成するマイクロストリップ線路31、給電部32、接地導体パターン33、接地導体引き出し線路35のパターン形成は、金属薄膜を化学的に除去するエッチング、金属薄膜を機械的に除去するミーリング、絶縁基板上に導電性インクで印刷する方法、あるいは絶縁基板上に金属薄膜を気相あるいは液相で成長させるなどの方法で行ってもよい。
マイクロ波結像系の分解能が1波長程度であるので、アンテナアレイを構成する各アンテナの間隔p(図2(a)参照)は、1波長より長い。一方、導波管43の幅bは、間隔pよりも短いため、前記マイクロストリップ線路31の取り出し口となる凹溝47(図1(f)参照)、切欠溝46を導波管43の横に配置しても、アンテナの間隔pを拡げる必要はない。
前記マイクロストリップ線路31の長さは制限する必要がなく、開口部51内に配置される誘電体基板30の部分において、各マイクロストリップ線路31に周波数フィルタ、アンプ、ミキサなどのマイクロ波受信回路に必要な部品が接続される。これらの部品はディスクリートのものでも、マイクロストリップ線路だけで構成してもよい。又、必要に応じて半導体チップも使用することができる。
前記マイクロ波受信回路60としては、例えば、図3に示す回路で構成できる。すなわち、誘電体基板30上のマイクロストリップ線路31に対し、電磁波(マイクロ波)を受信して特定の電磁波(マイクロ波)を選択処理するためのマイクロ波受信回路60が設けられる。マイクロ波受信回路60は、マイクロストリップ線路31に接続されたミキサ62と、ミキサ62にバイアスを付与するバイアス回路64と、ミキサ62に接続された周波数フィルタ回路としてのIF選択回路66と、IF選択回路66に接続されたIF増幅回路68を含む。図3の説明では、説明の便宜上、マイクロストリップ線路31上に設けた構成では図示されていないが、このマイクロ波受信回路60は、半導体やフィルタ、コンデンサ、インダクタ、抵抗器などで構成し、マイクロストリップ線路31上(すなわち、基板30上)に設けられる。これらの素子のうち、例えば、ミキサ62では、例えば、ミキサダイオードチップを導波管内に設置することも可能である(図2(c)参照)。フィルタ、コンデンサ、インダクタ、抵抗器の素子も同様にディスクリートのものを使用することができる。又、十分な開口部51内における誘電体基板30には、十分な設置スペースがあることから、各回路において、IC、トランジスタ、ダイオード等の能動素子も配置して使用することができ、高感度の受信回路とすることが可能である。
ここで、マイクロ波受信回路60の機能を説明する。例えば、一次元アンテナアレイでのマイクロ波受信回路60は、図示しない局部発振器が発信した局部発振周波数の信号と電磁波(マイクロ波)を、ともにホーン45により受信し、受信した信号を導波管43内のミキサ62(図2(c)のミキサダイオード36と同じ)にて混合して周波数変換する。バイアス回路64は、ミキサ62にバイアスを付与することにより、局部発振周波数のパワーが弱い場合でも、ミキサ62での最適な動作点で前記信号の混合をする。IF選択回路66は、周波数変換された信号のうち、必要な中間周波(すなわち、所定の中間周波)を選択(濾波)する。IF選択回路66は、バンドパスフィルタ、ローパスフィルタ、或いはハイパスフィルタのうちいずれかあるいはそれらの組み合わせで構成される。IF増幅回路68は、得られた中間周波を増幅して図示しない後述の外部端子を介して接続される同軸ケーブルの芯線を介して出力する。
構成の説明に戻る。
前記各枠部50は、開口部51をそれぞれ備えていることから、一対のフレーム20A,20B間に誘電体基板30を挟着して、この一次元アンテナアレイを組立てた後、前記回路を構成する各部品をマイクロストリップ線路31に開口部51を介して取付け可能である。
誘電体基板30に接続される電源線、信号線、マイクロ波線のための外部端子は、フレーム20A,20Bの枠部50に対して取付けられる。図1(b)に示すように、フレーム20Aの枠部50において、フレーム20B側には、前記外部端子(図示しない)を取付けのための端子取付凹部70が設けられている。このことにより、誘電体基板30の機械強度が弱くても、前記枠部50により、外部端子の取付けのための機械的強度が保証される。
(応用例1)
次に、上記の一次元アンテナアレイを使用した応用例を図4を参照して説明する。なお、前記実施形態で説明した各構成に相当する構成については、同一符号を付して、その説明を省略する。
図4は、前記一次元アンテナアレイ100を、マイクロ波CT(computerized tomography)に応用した例の概略図である。図4に示すように、検出対象の物体Wが垂直方向に一様の形状とする。この場合、物体Wに対してマイクロ波発生手段200からマイクロ波を照射し、物体Wに対して周囲に配置した前記一次元アンテナアレイ100で物体Wからの散乱波を受信する。受信された散乱波は、各マイクロ波受信回路60で処理されて図示しない計算機(コンピュータ)に入力されて、この入力された信号に基づき計算機では物体Wの断面画像を再構成し、図示しない表示装置で表示する。
(応用例2)
次に、上記の一次元アンテナアレイ100を、一次元アンテナアレイ100の導波管43の並設方向とは直交する方向に複数個重ね合わせることにより、二次元アンテナアレイ300を構成した応用例を図5を参照して説明する。二次元アンテナアレイ300は、マイクロ波イメージング(Microwave Imaging)に応用できる二次元検出器として機能する。マイクロ波イメージングとは、マイクロ波でプラズマなど物体の画像を撮像することである。
二次元アンテナアレイ300の前方には、結像光学手段400を配置することが好ましい。前記結像光学手段400としては、例えば、凹面鏡あるいはプラスチックレンズを挙げることができる。
このことにより、物体からの電磁波(マイクロ波)RFが、結像光学手段400により二次元アンテナアレイ300上に結像される。又、結像光学手段400の前方には、ハーフミラー500が配置されることが好ましい。ハーフミラー500は、電磁波(マイクロ波)RFを透過させて結像光学手段に向かわさせるとともに、図示しない局部発振器が発信した局部発振周波数の信号LOを反射させて、光学的に局部発振周波数の信号LOと電磁波(マイクロ波)RFとが混合されて前記結像光学手段400に指向させる。このように構成することにより、二次元アンテナアレイ300に結像された電磁波(マイクロ波)RFと局部発振周波数の信号LOは、二次元アンテナアレイ300を構成する各アンテナに受信されて、マイクロ波受信回路60により処理することができる。
このように、二次元アンテナアレイ300とすることにより、マイクロ波イメージングが可能となる。マイクロ波イメージングは、非破壊検査、医療診断、定温に感度のある温度イメージングなど、高感度イメージング受信機として幅広い分野があり、この二次元アンテナアレイ300の適用が可能である。
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1) 本実施形態の受信イメージングアンテナアレイとしての一次元アンテナアレイは、一端が相互に同じ方向を指向するように開口するとともに他端が閉塞された溝42が複数個並設された板部40と、板部40の溝42の閉塞端42a側に隣接して設けられ、溝42の延出方向及び溝42の並設方向と直交する方向に開口する開口部51を有する枠部50とを備えた一対のフレーム20A,20Bを備える。そして、両フレーム20A,20Bが互いに重ね合されることにより、各フレーム20A,20Bの導波管用の溝42が相対することにより複数の導波管43が形成されるとともに枠部50が重ね合わされている。又、一対のフレーム20A,20Bの板部40と枠部50間に挟着され、マイクロストリップ線路31(給電線)及びディスクリートの能動素子を含むマイクロ波受信回路60が複数搭載され、各マイクロ波受信回路60が枠部50の共通の開口部51から露出される共通の誘電体基板30とを備えている。さらに、複数のマイクロ波受信回路60が各導波管43と電磁的に接続されている。
この結果、本実施形態の一次元アンテナアレイは、ディスクリートの能動素子を含むマイクロ波受信回路60を搭載する誘電体基板30を導波管43に一体に組み付ける際に能動素子の収納スペースを枠部50の開口部51により確保できる。そして、誘電体基板30に設けられるマイクロ波受信回路60には半導体集積回路作製技術である微細加工が必要でなく、量産に適したディスクリートの能動素子の使用ができる。
又、本実施形態の一次元アンテナアレイは、並列配置されたアンテナ間のピッチ(間隔p)を波長限界まで小さくすることができることから、空間分解能が高い受信イメージングアンテナアレイを提供できる。
さらに、本実施形態の一次元アンテナアレイは、アンテナ間が、溝42間にある板部40の重合面にて重ね合わされることにより電波干渉が防止されて、アンテナアレイを構成するアンテナ同士により干渉が起きることがなく、広帯域アンテナとして使用できる。さらに、誘電体基板30に薄いフィルム状のプリント基板を使用しているにも関わらず、誘電体基板30の枠部側は、その周縁部が枠部50で挟着されて固定されていることから、誘電体基板30をピンと張ることができて、その結果誘電体基板30上の電子回路素子を安定して固定することができ、機械強度が高い一次元アンテナアレイとすることができる。
(2) 本実施形態の一次元アンテナアレイは、各溝42の開口端側には、先端に行くほど広がるホーン形成凹部44が形成され、一対のフレーム20A,20Bが重合状態でホーン形成凹部44により導波管43に連通するホーン45が形成されている。この結果、本実施形態ではホーンアンテナアレイとして、上記(1)の作用効果を容易に実現することができる。
(3) 本実施形態の一次元アンテナアレイは、マイクロ波受信回路60が誘電体基板30に設けられている。この結果、本実施形態のアンテナアレイはマイクロ波受信回路60を備えたアンテナアレイとして、上記(1)、又は(2)に記載の作用効果を奏することができる。
(4) 本実施形態の一次元アンテナアレイは、誘電体基板30が、各導波管43に接続されるマイクロ波受信回路60をそれぞれ搭載する共通の基板であり、一次元アンテナアレイとして構成されている。この結果、一次元アンテナアレイとして、上記(1)〜(3)に記載の作用効果を奏することができる。
(5) フレーム20A,20Bを金属フレームから形成した場合、切削や、放電加工などの方法で簡単に製作でき、組立はそれらを重ねるだけでよいため、容易に一次元アンテナアレイを製作できる効果がある。或いは、フレーム20A,20Bに設けられたホーン形成凹部44、及び導波管形成用の溝42及びホーン形成凹部44はオープンであるため、フレーム20A,20Bを金属で形成する場合は、機械強度のあるプレス加工した金属板あるいは鋳物で形成することができる。或いは、フレーム20A,20Bを、合成樹脂で射出成形により製作することもできる。合成樹脂のような絶縁材でフレーム20A,20Bを形成する場合は、少なくとも溝42とホーン形成凹部44の表面を導電性(金属製)のメッキで覆う必要がある。又、誘電体基板30はフィルム上に導電性インクによりマイクロストリップ線路31、接地導体パターン33等をパターン形成(印刷)することができる。従って、極めて安価に受信イメージングアンテナアレイを製造することができる。
(6) 前記実施形態において、マイクロ波受信回路60が枠部50の開口部51から露出される誘電体基板30に設置されている場合、特性を良くしたり不要電磁波の影響を減らす目的で、開口部を板状の電波吸収材で覆ったり、開口部を導電性の板で覆うこともできる。
(7) この一次元アンテナアレイを重ねることにより、図5に示すように二次元アンテナアレイを簡単に製作することができる。
(8) 第1実施形態は、導波管43にホーン45を備えた構成の一次元アンテナアレイであるため、高ゲインと高指向性を備えた一次元アンテナアレイとすることができる。又、この一次元アンテナアレイを応用した図5に示す二次元アンテナアレイ300においても、高ゲインと高指向性を備えた二次元アンテナアレイとすることができる。そして、立体的なホーンとなるため、平面ホーンとして働くテーパースロットアンテナと比較して、高ゲインと高指向性を得ることができる。
(9) 本実施形態の受信イメージングアンテナアレイは、チャンネル間の距離を極限まで近づけた場合、切り出した導波管と同じように指向性が拡がる。そこで、マイクロ波の入射角がアンテナアレイの指向性にマッチングするように光学系を設置すると、より高性能とすることができる。
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
○ 前記第1実施形態では、導波管内にミキサダイオードが設置されていた。これを以下のように変更して実施しても良い。図2(b)に示すように、誘電体基板30において、前記マイクロストリップ線路31の先端からL字状に屈曲されて、溝42内に突出する給電部32を設ける。この結果、図2(d)に示すように、導波管43が、前記給電部32を囲む形となる。これは、導波管−同軸変換器と同一の作用を持ち、水平方向の偏波をもつマイクロ波を送受信できる。すなわち、導波管43と前記マイクロストリップ線路31とが前記構成により電磁的に接続され、信号の伝搬を行うことが可能となる。給電部32と接地導体パターン33は接触してはいけないので、これらの間にはギャップ32aが設けられている。ギャップ32aの幅は広すぎると感度が落ちるので導波管の幅bの30%程度あれば良い。なお、給電部32と、導波管43の閉塞端42a(すなわち、導体端部)までの距離d(図1(f)、図2(b)参照)は、波長に応じて最適化する。なお、図1(f)及び図2(b)において、mは給電部32の位置を示している。ただし、この実施形態ではマイクロ波の周波数が高くなるにつれてマイクロストリップ線路での減衰が大きくなるため、低周波マイクロ波受信の場合に有力な実施形態である。これを第2実施形態とよぶ。
○ この第2実施形態では、ホーン45により受信した電磁波(マイクロ波)と、図示しない局部発振器が発信し、図示しないマイクロストリップ線路で分配した局部発振周波数の信号とを、マイクロストリップ線路上のミキサ62にて混合して周波数変換することが可能である。この実施形態では、図5のハーフミラーが不要となるだけでなく、強力な局部発振周波数の信号を用いることで、バイアス回路を不要とすることもできる。また、単純なダイオード以外のミキサも使用可能である。
(a)はフレーム20Aの斜視図、(b)は裏返したフレーム20Aの斜視図、(c)は誘電体基板30の斜視図、(d)は裏返した誘電体基板30の斜視図、(e)はフレーム20Bの斜視図、(f)はフレーム20Aの給電部の拡大図。 (a)は一次元アンテナアレイの全体の斜視図、(b)及び(c)は誘電体基板30の給電部の拡大図、(d)は導波管43の断面図。 第1実施形態のマイクロ波受信回路のブロック図。 一次元アンテナアレイの応用例の概略斜視図。 二次元アンテナアレイ300を使用する応用例の斜視図。
符号の説明
20A,20B…フレーム、30…誘電体基板、
31…マイクロストリップ線路、32…給電部、32a…ギャップ、
33…接地導体パターン、34…ネジ挿通孔、34a…ノックピン貫通孔、
35…接地導体引き出し線路、36…ミキサダイオードチップ、
40…板部、41…ねじの頭が埋もれる形の貫通孔、
41a…ノックピン貫通孔、41b…ネジ挿通孔、
42…溝、42a…閉塞端、43…導波管、
44…ホーン形成凹部、45…ホーン、
46…切欠溝、47…凹溝、50…枠部、
51…開口部、60…マイクロ波受信回路、
100…一次元アンテナアレイ、200…マイクロ波発生手段、
300…二次元アンテナアレイ。

Claims (3)

  1. 一端が相互に同じ方向を指向するように開口するとともに他端が閉塞された導波管用の溝が複数個並設された板部と、前記板部の前記溝の閉塞端側に隣接して設けられ、前記溝の延出方向及び前記溝の並設方向と直交する方向に開口する開口部を有する枠部とを備えた一対のフレームであって、両フレームが互いに重ね合されることにより、各フレームの導波管用の溝が相対することにより複数の導波管が形成されるとともに前記枠部が重ね合される一対のフレームと、
    前記一対のフレームの板部と枠部間に挟着され、給電線及びディスクリートの能動素子を含むマイクロ波受信回路が複数搭載され、前記枠部の開口部を共通の開口部として、該開口部から各前記マイクロ波受信回路が露出される共通の誘電体基板とを備え、
    前記複数のマイクロ波受信回路が各前記導波管と電磁的に接続されて、一次元アンテナアレイとして構成されている受信イメージングアンテナアレイ。
  2. 各前記溝の開口端側には、先端に行くほど広がるホーン形成凹部が形成され、前記一対のフレームが重合状態で前記ホーン形成凹部により前記導波管に連通するホーンが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の受信イメージングアンテナアレイ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のアンテナアレイが、複数個互いに重なるように配置されて二次元アンテナアレイに構成されていることを特徴とする受信イメージングアンテナアレイ。
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