JP5333270B2 - 印刷装置及び印刷方法 - Google Patents
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Description
このような印刷装置によれば、印刷時にマゼンタのインクドットとシアンのインクドットとが互いにずれた位置に形成されることによって印刷画像が劣化するのを防止することができる。
このような印刷装置によれば、媒体上に形成されるイエローインクドットとマゼンタインクドット(またはシアンインクドット)とのズレをより少なくすることができる。
このような印刷装置によれば、イエローインク及びアンダーコートインクを媒体に打ち込んだ後に、マゼンタインク(またはシアンインク)を打ち込むまでに十分な時間が確保され、媒体を最大限まで膨張させることができるため、マゼンタインクドットとシアンインクドットとのズレを、より小さくすることができる。
このような印刷装置によれば、アンダーコートインクとして媒体に大量に打ち込んでも、クリアーインクまたは白インクを背景色として印刷することができるため、印刷画像自体は劣化しにくくなる。
発明を実施するための印刷装置の形態として、インクジェットプリンター(プリンター1)を例に挙げて説明する。
図1は、プリンター1の全体構成を示すブロック図である。
プリンター1は、紙・布・フィルム等の媒体に文字や画像を記録(印刷)する液体噴出装置であり、外部装置であるコンピューター110と通信可能に接続されている。
コンピューター110にはプリンタードライバーがインストールされている。プリンタードライバーは、表示装置(不図示)にユーザーインターフェースを表示させ、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換させるためのプログラムである。このプリンタードライバーは、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コンピューターが読み取り可能な記録媒体)に記録されている。また、プリンタードライバーはインターネットを介してコンピューター110にダウンロードすることも可能である。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
コンピューター110はプリンター1に画像を印刷させるため、印刷させる画像に応じた印刷データをプリンター1に出力する。
図2は、プリンター1の印刷領域周辺の概略図である。
搬送ユニット20は、媒体(例えば紙Sなど)を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。この搬送ユニット20は、上流側搬送ローラー23A及び下流側搬送ローラー23Bと、ベルト24とを有する(図2)。不図示の搬送モータが回転すると、上流側搬送ローラー23A及び下流側搬送ローラー23Bが回転し、ベルト24が回転する。給紙ローラー(不図示)によって給紙された媒体は、ベルト24によって印刷可能な領域(ヘッドと対向する領域)まで搬送される。印刷可能な領域を通過して画像が印刷された紙Sは、ベルト24によって外部へ排紙される。なお、搬送中の紙Sはベルト24に静電吸着又はバキューム吸着されている。
ヘッドユニット40は、媒体にインクを噴出するためのものである。ヘッドユニット40は、搬送中の媒体に対して各色インクを噴出することによってドットを形成し、媒体上に画像を印刷する。本実施形態のプリンター1はラインプリンターであり、ヘッドユニット40は搬送ユニット20のベルト24の上方に設けられ(図2)、各ヘッドは媒体幅分のドットを一度に形成することができる。
検出器群50には、ロータリー式エンコーダー(不図示)や、紙検出センサー(不図示)などが含まれる。ロータリー式エンコーダーは上流側搬送ローラー23Aや下流側搬送ローラー23Bの回転量を検出する。ロータリー式エンコーダーの検出結果に基づいて媒体の搬送量を検出することができる。紙検出センサーは給紙中の媒体の先端の位置を検出する。
コントローラー60は、プリンターの制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラー60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。
インターフェース部61は、外部装置であるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンター1の全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子によって構成される。そして、CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して搬送ユニット20等の各ユニットを制御する。
プリンター1の印刷動作について簡単に説明する。コントローラー60は、コンピューター110からインターフェース部61を介して印刷命令を受信し、各ユニットを制御することにより印刷を行う。
本実施形態における印刷装置では、画像を印刷する媒体として、主に「紙」を使用することを想定している。印刷時には、ヘッドから噴出されたインク滴が媒体である紙に着弾し、浸透・定着することで紙面上にドットを形成し、該ドットが集合することで画像が形成される。
一般的に、「紙」はセルロース繊維によって構成されており、多数のセルロース繊維が絡まりあって密集することで平面形状の紙が形成される。セルロース繊維は炭水化物が直鎖状に重合した高分子化合物であり、紙の他にも衣料用繊維などに利用されている。
図4Aは通常時の紙の構造を概念的に表した図である。また、図4Bは水を含んだ場合の紙の構造を概念的に表した図である。
前述のように、紙は直鎖上のセルロース繊維が複雑に絡まりあった構造をしており、1本1本のセルロース繊維は、互いに水素結合により結びついている(図4A)。通常の状態では、水素結合の結合力によって、紙はその形状(印刷媒体としての紙は平面形状)を保っている。
その後、吸収した水分が乾燥することにより、再び図4Aのような状態となり、紙は元の大きさに戻る(膨張していたものが元の大きさに縮む)。なお、セルロース繊維間の水素結合は、完全に元と同じ結合状態に戻るわけではないため、きれいな平面状になるとは限らず、一度水分を吸収した後に乾燥した紙には「しわ」ができる場合がある。
紙の膨張が、セルロース繊維間の結合力の変化に起因することを説明したが、実際に、印刷媒体としての紙を構成する繊維間で、どの部分の結合がどの程度切断されるのかを把握することは不可能である。そこで、本実施形態では、インクを吸収した紙は一様に膨張するものと仮定して、単純化して説明を行う。
紙が膨張することによって、印刷される画像がどのような影響を受けるのかについて説明する。
まず、媒体(紙)が全く膨張しない場合におけるインクドットの形成について説明する。図7は、ある印刷データを用いて媒体に印刷を行う場合に、実際に媒体上に形成されるドットの配置を表した図である。印刷に使用するデータは、3×3の格子状画素P1〜P9中の所定の画素(図7においてはP1・3・4・5・8・9の6画素)にドットを形成するための画素データとする。当該画素データに応じて媒体上の対応画素に向けてヘッドからインクが噴出されることで、画素データで指定された画素にドットが形成される。なお、当該画素データは便宜上、簡略化したデータであり、実際の印刷に用いられる画素データはこれよりも大きなものである。ここで、P5の画素に形成されるドットが媒体の(紙)中心位置に着弾するものとし、また、ヘッドユニットや搬送ユニットの動作誤差等によるドット着弾位置のズレは発生しないものとする。
媒体(紙)が膨張していない状態であれば、画素データで表されるドットの位置と、それに対応して実際に媒体上に形成されるドットの位置とでズレを生じることなく、印刷データどおりの画像を印刷することができる。
続いて、水分を吸収することによって膨張した状態の媒体(紙)にインクが噴出された場合の、ドット形成の様子について説明する。図8は図7で使用した画素データと同一の画素データを用いて、膨張状態の媒体に印刷を行う場合に、実際に媒体上に形成されるドットの配置を表した図である。また、図9は図8でドットが形成された媒体が乾燥によって縮んだ状態を表す図である。なお、媒体の膨張は、前述のように、媒体の中心位置を基準として、X方向及びY方向に均等に膨張するものとする。
本実施形態の印刷装置では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)等の複数のインクを用いて印刷を行う。そして各色のインクは、媒体の搬送方向に並んだ各色ヘッドから順番に媒体上に噴出される(図2参照)。ここで、媒体上にインクが全く噴出されていない搬送の初期段階では媒体の膨張も生じていないため、搬送過程の最初に形成されるインクドットでは、図7に示したように印刷ずれの問題は生じない。しかし、搬送の終盤においては、それまでの搬送過程で媒体上に多数のインクドットが噴出されているため、該インクの水分を吸収することによって媒体が膨張し、図8及び図9に示したようにドットはズレて形成される。つまり、媒体の搬送過程において、インクが噴出されるタイミングの違いにより、形成されるドットの着弾位置にずれが生じる場合がある。
このように、印刷媒体として紙を使用する場合には、印刷の途中でインクを吸収することにより媒体のサイズが変化することから、予定通りの位置にインクドットを着弾させることは難しく、着弾位置にズレが生じることが多くなる。そこで、ドットの着弾位置にズレが生じたとしても、印刷される画像の劣化が目立ちにくくなるような方法を検討する必要がある。
第1実施形態ではY,M,Cの3色のインクに加えて、媒体に水分を吸収させるためのアンダーコートインクとしてCL(クリアー)インクを用いて印刷を行う。ただし、CLインクは画像を構成するためのインクではなく、背景または下地となるインクである。したがって、CLインクの代わりに背景色としてW(白)インクを使うことも可能である。以下、CLインクを用いて印刷を行う場合について説明する。
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であり、Y,M,Cの3色のインクに加えて、アンダーコートインクとしてCLを用いて印刷を行う。ただし、YインクとCLインクの噴出順序が第1実施形態とは異なる。
本実施形態では、媒体の搬送方向と直行する方向に並んだノズル列からインクドットを噴出して印刷を行うプリンターを用いて、C(シアン)インクドットとM(マゼンタ)インクドットとで形成位置にズレが生じにくい印刷を行うことができる。
これにより、M(マゼンタ)インクドットとC(シアン)インクドットとがズレることなく形成されるようになり、媒体の膨張によって生じる印刷画像の劣化を防止することができる。
これにより、CLインクよりも先にYインクを噴出した場合よりも、YインクドットとC及びMインクドットとの形成位置のズレを小さくすることができる。
これにより、媒体が十分に膨張した後に、M・Cインクをうちこむことができるため、MインクドットとCインクドットとの形成位置の相対的なズレ量が最小になり、画質の劣化を防止する効果がより大きくなる。
これらのインクを下地インクとして使用することにより、CMYによる形成される画像を劣化させること無く、媒体を十分に膨張させることができる。
一実施形態としてのプリンターを説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
前述の実施形態では、CMY及びCLの4色のインクを使用して印刷する例が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ、ホワイト、ブラック等、CMYCL以外の色のインクを用いて印刷を行ってもよい。
他色のインクを用いる場合には、明度差の大きい色の組み合わせはなるべく後から媒体に打ち込むようにすると、ドットのズレが目立ちにくくなる。
プリンタードライバーの処理はプリンター側で行ってもよい。その場合、プリンターとドライバーをインストールしたPCとで印刷装置が構成される。
前述の実施形態では、プリンター1としてヘッドが固定された、いわゆるラインプリンターを例に挙げて説明したが、インクを噴出する順番を制御できるのであれば、ヘッド41をキャリッジとともに移動させるタイプのプリンターを用いてもよい。
23A 上流側搬送ローラー、23B下流側搬送ローラー、
24 ベルト、40 ヘッドユニット、
41 ヘッド、411 ケース、412 流路ユニット、
412a 流路形成板、412b 弾性板、412c ノズルプレート、
412d 圧力室、412e ノズル連通口、412f 共通インク室、
412g インク供給路、412h アイランド部、412i 弾性膜、
50 検出器群、60 コントローラー、61 インターフェース部、
62 CPU、63 メモリ、64 ユニット制御回路、
110 コンピューター
Claims (5)
- A)媒体の搬送方向と直交する方向に配置されたノズル列により構成され、前記媒体に、シアンインク、マゼンタインク、及び、イエローインクを噴出して印刷を行うヘッド部と、
B)前記ヘッド部を制御する制御部であって、
前記媒体で前記イエローインクが噴出される画素と、前記イエローインクが噴出されない画素とを特定し、
前記イエローインクが噴出される画素には、前記ヘッド部から前記イエローインクを噴出させ、
前記イエローインクが噴出されない画素には、前記ヘッド部からアンダーコートインクを噴出させ、
前記イエローインク、及び、前記アンダーコートインクが噴出された後に、前記ヘッド部から前記媒体に前記シアンインク、及び、前記マゼンタインクを噴出させる制御部と、
を備える印刷装置。 - 請求項1に記載の印刷装置であって、
前記アンダーコートインクを噴出した後に、前記イエローインクを噴出することを特徴とする印刷装置。 - 請求項1または2に記載の印刷装置であって、
前記イエローインクを噴出するヘッドと、前記アンダーコートインクを噴出するヘッドとの搬送方向の間隔よりも、
前記イエローインクを噴出するヘッド、及び、前記アンダーコートインクを噴出するヘッドのうち、搬送方向下流側に設置されるヘッドと、
前記マゼンタインクを噴出するヘッド、及び、前記シアンインクを噴出するヘッドのうち、搬送方向上流側に設置されるヘッドと、
の搬送方向の間隔の方が大きい
ことを特徴とする印刷装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記アンダーコートインクが、クリアーインクまたは白インクであることを特徴とする印刷装置。 - 媒体でイエローインクが噴出される画素と、イエローインクが噴出されない画素とを特定し、
特定された前記イエローインクが噴出される画素に、前記媒体の搬送方向と直交する方向に配置されたノズル列により構成されるヘッド部から、イエローインクを噴出することと、
特定された前記イエローインクが噴出されない画素に、前記ヘッド部からアンダーコートインクを噴出することと、
前記イエローインク及び前記アンダーコートインクが噴出された後に、前記ヘッド部から前記媒体にシアンインク及びマゼンタインクを噴出することと、
を有する印刷方法。
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