JP5331718B2 - 回転角度検出装置および回転角度検出方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、以下のように構成された回転角度検出装置が記載されている。すなわち、回転可能な回転体は、n個の歯が形成された歯車を有している。この歯車は、m個の歯を有している歯車とm+1個の歯を有している2つの歯車に係合されている。これら2つの歯車の角度ψとθは2つの周期的な角度センサを用いて測定される。この測定は接触式か又は非接触式に行われる。そして、これらの角度センサはそれぞれ電子評価回路に接続されており、この評価回路は、回転体の回転角度φの検出に必要な計算を行う。このように構成された回転角度検出装置において、いわゆる絶対値センサである2つの角度センサは、回転角度検出装置のスイッチオン直後に、スイッチオン時の2つの歯車の回転角度ψとθを供給する。これらの角度値、回転体の歯車の角度マークないし歯の数、および2つの歯車の角度マークないし歯の数により、回転体の角度φを検出する。
また、前記零回転角度演算手段は、前記演算手段が演算した前記回転体の回転角度から逆算した前記第2の従動体の回転角度と、前記第2の検出手段が検出した当該第2の従動体の回転角度とに基づいて前記零回転角度を演算することが好適である。
また、演算した前記回転体の回転角度から逆算した前記第2の従動体の回転角度と、前記第2の検出手段が検出した当該第2の従動体の回転角度とに基づいて前記零回転角度を演算することが好適である。
図1は、実施の形態に係る検出装置1を適用した電動パワーステアリング装置100の断面図である。図2は、実施の形態に係る検出装置1の斜視図である。なお、図2においては、構成を分かり易くするために後述するフラットケーブルカバー50およびベース60の一部は省略して示している。
ハウジング110は、例えば自動車などの乗り物の本体フレーム(以下、「車体」と称する場合もある。)に固定される部材であり、第1ハウジング111と第2ハウジング112とが、例えばボルトなどにより結合されて構成される。
第1の回転軸120は、例えばステアリングホイールが連結される回転軸であり、軸受113を介して第1ハウジング111に回転可能に支持されている。
また、第2の回転軸130には、例えば圧入などによりウォームホイール150が固定されている。このウォームホイール150は、第2ハウジング112に固定された電動モータ160の出力軸に連結されたウォームギヤ161と噛み合っている。
検出装置1は、第1の回転軸120に取り付けられる第1の磁石10と、ハウジング110に固定される第1の歯車20と、を有している。また、検出装置1は、第2の回転軸130の回転に伴い、第2の回転軸130の軸心を回転中心として公転しつつ第1の歯車20と噛み合って自転する第1の従動歯車の一例としての第2の歯車30を有する。また、検出装置1は、第2の回転軸130の回転に伴い、第2の回転軸130の軸心を回転中心として公転しつつ第1の歯車20と噛み合って自転し、第2の歯車30の歯数とは異なる歯数の第3の歯車40を有する。この第3の歯車40は、第2の従動歯車の一例である。
第1の歯車20は、フラットケーブルカバー50の上部の内周面の全周に設けられた歯車である。フラットケーブルカバー50が、ハウジング110の第2ハウジング112に固定されることで、第1の歯車20は、ハウジング110に固定される。
第2の歯車30の内側には、半円柱状のN極と半円柱状のS極とを有する円柱状の第2の磁石30aが例えばインサート成形により装着されている。また、第3の歯車40の内側には、同じく半円柱状のN極と半円柱状のS極とを有する円柱状の第3の磁石40aが例えばインサート成形により装着されている。これら第2の歯車30と第2の磁石30aとで第1の従動体の一例を構成し、第3の歯車40と第3の磁石40aとで第2の従動体の一例を構成する。
プリント基板70には、図1,2に示すように、第1の回転軸120の半径方向には第1の磁石10の外周面の外側であり、第1の回転軸120の軸方向には第1の磁石10が設けられた領域内となるように相対角度センサ71が装着されている。本実施の形態に係る相対角度センサ71は、磁界によって抵抗値が変化することを利用した磁気センサであるMRセンサ(磁気抵抗素子)であることを例示することができる。そして、この相対角度センサ71が、第1の磁石10から発生される磁界に基づいて第1の回転軸120と第2の回転軸130との相対角度を検出する相対角度検出手段を構成する。
図3は、第2の回転軸130の回転角度φと、第2の歯車30,第3の歯車40の回転角度θA,θBとの関係を示す図である。
第1の歯車20の歯数は、例えば90個、第2の歯車30の歯数は、例えば36個、第3の歯車40の歯数は、例えば39個である。そして、これら第1の歯車20の歯数と第2の歯車30の歯数との関係、第1の歯車20の歯数と第3の歯車40の歯数との関係を考慮すると共に、第2の歯車30の歯数と第3の歯車40の歯数とが異なる点を考慮すると、図3に示すような、第2の回転軸130の回転角度φと、第2の歯車30,第3の歯車40の回転角度θA,θBとの関係を示す図を得ることができる。
そして、ECUは、第1の回転角度センサ72および第2の回転角度センサ73からの出力値に基づいて、言い換えれば第1の回転角度センサ72および第2の回転角度センサ73により入力された検出結果に基づいて、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとの角度差ΔθABを演算する。そして、演算した角度差ΔθABに基づいて第2の回転軸130の回転角度φを演算する。
以下、フローチャートを用いて、ECUが行う第2の回転軸130の回転角度演算処理について説明する。
図4は、ECUが行う第2の回転軸130の回転角度演算処理の手順を示すフローチャートである。ECUは、予め定められた周期にてこの回転角度演算処理を行う。
ECUは、次に、第3の歯車40の回転角度θBを算出する(ステップ402)。これは、キャプチャ・レジスタに取り込んだ最新の第3の歯車40の回転角度θBに応じたPWM信号のON時間と周期に基づいて算出する処理である。
その後、ECUは、ステップ403にて算出した角度差ΔθABが0度(deg)よりも小さいか否かを判別する(ステップ404)。そして、ステップ404にて肯定判定した場合には、ステップ403にて算出した角度差ΔθABに360度を加算した値をΔθABに置き換え(ΔθAB←ΔθAB+360)(ステップ405)、ステップ406へ進む。他方、ステップ404にて否定判定した場合には、ステップ406へ進む。
φ=ΔθAB×K1・・・(1)
ここで、K1は、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとの角度差ΔθABを第2の回転軸130の回転角度φに変換する係数であり、第1の歯車20の歯数、第2の歯車30の歯数、第3の歯車40の歯数、第1の回転角度センサ72および第2の回転角度センサ73の検出角度である360度に依存する係数である。
このようにして、ECUは、第2の回転軸130の回転角度φを算出する。
図5(a)は、第2の歯車30の実際の回転角度に対して、第1の回転角度センサ72の検出値にひずみが生じている場合を例示する図である。図5(b)は、第3の歯車40の実際の回転角度に対して、第2の回転角度センサ73の検出値にひずみが生じている場合を例示する図である。
図7は、第2の回転軸130の実際の回転角度と、第1の回転角度センサ72および第2の回転角度センサ73の検出値にひずみが生じている場合の、演算した第2の回転軸130の回転角度φ、および誤差との関係を示す図である。
上述したように、本実施の形態に係る検出装置1は、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとの角度差ΔθABに基づいて第2の回転軸130の回転角度φを検出する装置であるため、検出可能な第2の回転軸130の回転角度φの範囲内では、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとが等しくなるポイント(回転角度)は1点しか存在しない。このポイント(回転角度)は、設計レイアウトや組み付け精度によって定まり、検出装置1を乗り物に組み付けた後は、検出装置1が正常に作動する限り変化することがない。かかる点に着目した結果、第1の回転角度センサ72および第2の回転角度センサ73からの出力値に基づいて算出した、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとが等しくなる回転角度(以下、「交差角θK」と称する場合もある。)の、初期値に対する変動量ΔθKと、第1の回転角度センサ72あるいは第2の回転角度センサ73の検出値のひずみに起因する第2の回転軸130の回転角度φの演算結果の、実際の回転角度に対する誤差との間には関連性があることを見出した。なお、交差角θKは、言い換えれば、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとの角度差ΔθABが零となる零回転角度である。
図8は、第1の回転角度センサ72および第2の回転角度センサ73からの出力値に基づいて算出した交差角θKの、初期値(以下、「初期交差角θK0」という。)に対する変動量ΔθKが大きくなるほど、第2の回転軸130の回転角度φの演算結果の誤差が大きくなることを示している。
図9は、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとの関係を例示した図である。横軸に第2の歯車30の回転角度θAを、縦軸に第3の歯車40の回転角度θBを取り、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとの関係を細線で示している。この細線を見ると、例えば、第3の歯車40の回転角度θBが零度である場合には、第2の歯車30の回転角度θAが、30度、60度、90度、120度、150度、180度、210度、240度、270度、300度、330度となり得ることを示している。
そして、図9に例示した、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとの関係では、細線と太線とが交わるポイント(回転角度)は零(360)度である。このことは、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとが零(360)度であるときに、唯一第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとが等しくなることを示しており、かかる場合には、零度(360度)が上述した交差角θKとなる。
なお、図3に示した、第2の回転軸130の回転角度φと、第2の歯車30,第3の歯車40の回転角度θA,θBとの関係は、この交差角θKが零度(360度)である場合の関係を示した図である。
そこで、本実施の形態に係るECUにおいては、検出装置1を乗り物に組み付けた後、その乗り物がユーザに使用される前の段階の、好ましくは検出装置1を乗り物に組み付けた直後の、交差角θKを認識して、上述した初期交差角θK0として用いるためにROMに記憶しておく。そして、定期的に、第1の回転角度センサ72および第2の回転角度センサ73からの出力値に基づいて交差角θKを算出し、この算出した交差角θKと初期交差角θK0との偏差に基づいて、第1の回転角度センサ72が検出した第2の歯車30の回転角度θAと第2の回転角度センサ73が検出した第3の歯車40の回転角度θBとの角度差ΔθABに基づいて演算した第2の回転軸130の回転角度φを補正する。
図12は、例として、交差角θKを120度とした場合の、第2の歯車30の回転角度θAと第2の歯車30の累積の回転角度θLAとを示す図である。
図12を見ても分かるとおり、第2の歯車30の累積の回転角度θLAは、以下の式(2)により算出することができる。
θLA=360×n+θA−θK・・・(2)
nは、第2の歯車30の、360度→0度のまたぎ回数である。図12ではn=2である場合を示している。
θLB=360×m+θB−θK・・・(3)
mは、第3の歯車40の、360度→0度のまたぎ回数である。
θLA=ΔθAB×K1×KA・・・(4)
ここで、KAは、第2の歯車30の減速比であり、第1の歯車20の歯数を第2の歯車30の歯数で除した値(=第1の歯車20の歯数/第2の歯車30の歯数)である。
θLB=ΔθAB×K1×KB・・・(5)
ここで、KBは、第3の歯車40の減速比であり、第1の歯車20の歯数を第3の歯車40の歯数で除した値(=第1の歯車20の歯数/第3の歯車40の歯数)である。
360×n+θA−θK=ΔθAB×K1×KA
が成り立ち、この式を整理すると、
θK=360×n+θA−ΔθAB×K1×KAであり、
θK=360×n−(ΔθAB×K1×KA−θA)・・・(6)
となる。
同様に、上記式(3)および式(5)により、
θK=360×m−(ΔθAB×K1×KB−θB)・・・(7)
となる。
θK=360−MOD{(360+ΔθAB×K1×KA−θA),360}・・・(8)
なお、MOD{X,Y}は、XをYで除算した場合の余りのことである。
同様に、式(7)を変形した、以下の式(9)により交差角θKを算出してもよい。
θK=360−MOD{(360+ΔθAB×K1×KB−θB),360}・・・(9)
図13は、ECUが行う本実施の形態に係る回転角度演算処理の手順を示すフローチャートである。ECUは、予め定められた周期にてこの回転角度演算処理を行う。
ステップ401〜406の処理については、図4に示したフローチャートを用いて説明した処理であるのでその詳細な説明は省略する。
他方、ステップ1308にて否定判定した場合には、ステップ1310へ進む。
図14は、第2の回転軸130の実際の回転角度と、本実施の形態に係る回転角度演算手段が演算した第2の回転軸130の回転角度φ、および誤差との関係を示す図である。
上述した処理により、ECUは、第1の回転角度センサ72および/または第2の回転角度センサ73の検出値にひずみ(誤差)が生じているとしても、このひずみ(誤差)が生じていることに起因して生じる、第2の回転軸130の回転角度φの演算誤差を抑制することができる。したがって、本実施の形態にかかる検出装置1は、より精度高く第2の回転軸130の回転角度φを算出することができる。
Claims (7)
- 回転体の回転に連動して回転する第1の従動体の回転角度を検出する第1の検出手段と、
前記回転体の回転に連動して回転する第2の従動体の回転角度を検出する第2の検出手段と、
前記第1の検出手段が検出した前記第1の従動体の回転角度と前記第2の検出手段が検出した前記第2の従動体の回転角度との角度差に基づいて前記回転体の回転角度を演算する演算手段と、
前記第1の検出手段が検出した前記第1の従動体の回転角度と前記第2の検出手段が検出した前記第2の従動体の回転角度とに基づいて、当該第1の従動体の回転角度と当該第2の従動体の回転角度との角度差が零となる零回転角度を演算する零回転角度演算手段と、
前記零回転角度演算手段が演算した前記零回転角度と予め定められた基準角度との偏差に基づいて、前記演算手段が演算した前記回転体の回転角度を補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする回転角度検出装置。 - 前記零回転角度演算手段は、前記演算手段が演算した前記回転体の回転角度から逆算した前記第1の従動体の回転角度と、前記第1の検出手段が検出した当該第1の従動体の回転角度とに基づいて前記零回転角度を演算することを特徴とする請求項1に記載の回転角度検出装置。
- 前記零回転角度演算手段は、前記演算手段が演算した前記回転体の回転角度から逆算した前記第2の従動体の回転角度と、前記第2の検出手段が検出した当該第2の従動体の回転角度とに基づいて前記零回転角度を演算することを特徴とする請求項1に記載の回転角度検出装置。
- 前記回転体は歯車を有し、
前記第1の従動体は第1の従動歯車を有し、
前記第2の従動体は前記第1の従動歯車の歯数とは異なる歯数を有する第2の従動歯車を有し、
前記第1の従動体および前記第2の従動体は、前記第1の従動歯車および前記第2の従動歯車が前記歯車により回転力が付与されることにより前記回転体の回転に連動して回転することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の回転角度検出装置。 - 回転体の回転に連動して回転する第1の従動体の回転角度を検出する第1の検出手段と、
前記回転体の回転に連動して回転する第2の従動体の回転角度を検出する第2の検出手段と、
を備える前記回転体の回転角度を検出する検出装置の回転角度検出方法であって、
前記第1の検出手段が検出した前記第1の従動体の回転角度と前記第2の検出手段が検出した前記第2の従動体の回転角度との角度差に基づいて前記回転体の回転角度を演算し、
前記第1の検出手段が検出した前記第1の従動体の回転角度と前記第2の検出手段が検出した前記第2の従動体の回転角度とに基づいて、当該第1の従動体の回転角度と当該第2の従動体の回転角度との角度差が零となる零回転角度を演算し、
演算した前記零回転角度と予め定められた基準角度との偏差に基づいて、演算した前記回転体の回転角度を補正する
ことを特徴とする回転角度検出方法。 - 演算した前記回転体の回転角度から逆算した前記第1の従動体の回転角度と、前記第1の検出手段が検出した当該第1の従動体の回転角度とに基づいて前記零回転角度を演算することを特徴とする請求項5に記載の回転角度検出方法。
- 演算した前記回転体の回転角度から逆算した前記第2の従動体の回転角度と、前記第2の検出手段が検出した当該第2の従動体の回転角度とに基づいて前記零回転角度を演算することを特徴とする請求項5に記載の回転角度検出方法。
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