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JP5322915B2 - オレフィン重合用触媒およびそれを用いたα−オレフィンの重合方法 - Google Patents

オレフィン重合用触媒およびそれを用いたα−オレフィンの重合方法 Download PDF

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JP5322915B2
JP5322915B2 JP2009294558A JP2009294558A JP5322915B2 JP 5322915 B2 JP5322915 B2 JP 5322915B2 JP 2009294558 A JP2009294558 A JP 2009294558A JP 2009294558 A JP2009294558 A JP 2009294558A JP 5322915 B2 JP5322915 B2 JP 5322915B2
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Description

本発明は、オレフィン重合用触媒およびそれを用いたα−オレフィンの重合方法に関し、詳細には、特にエチレン単独重合およびエチレン/α−オレフィン共重合において、高分子量のポリマーが製造可能であり、α−オレフィンとの共重合性がよく、また、水素を添加した重合においても、得られるポリマーの分子量分布が単峰性を示すオレフィン重合用触媒、およびその触媒を用いたα−オレフィンの重合方法に関する。
オレフィン重合用触媒を製造する場合、メタロセン錯体とメチルアルモキサン、ペンタフルオロフェニル基を含有するホウ素化合物、および粘土鉱物等の助触媒を組み合せることにより、α−オレフィン重合体が良好な重合活性で得られることはよく知られている。また、メタロセン錯体の配位子の構造が、製造されるポリマーの分子量、分子量分布、共重合性、および立体規則性に大きく影響することも、良く知られている。
一方で、特に、エチレン系重合体の場合、材料物性が優れるポリマーを製造するためには、適用する材料に応じて、ポリマーの分子量分布や組成分布を制御する必要がある。ポリマーの分子量分布を制御する方法としては、重合性能が異なる複数の触媒成分を混合して、得られるポリマーの分子量分布及び組成分布を制御する方法、多段重合による制御の方法(例えば、特許文献1〜8参照。)が開示されている。
目的とするポリマーを作り分けるためには、用いるメタロセン触媒の性能として、十分に高分子量のポリマーを与える必要がある。ポリマー製造プロセスの観点から、エチレン/α−オレフィン共重合等における、α−オレフィン共重合性が良好である方が、重合系内のα−オレフィン濃度を低く設定できるため、好ましい。
これらの観点から、高分子量エチレン系重合体が製造でき、α−オレフィンとの共重合性の改良を目的として、フルオレニル環とシクロペンタジエニル環またはインデニル環が架橋された構造を有するメタロセン錯体の改良検討が開示されている(例えば、特許文献9〜12参照。)。また、シクロペンタジエニル環またはインデニル環が2つの架橋基で結ばれたメタロセン錯体の改良検討が開示されている(例えば、特許文献13〜18参照。)。
しかしながら、上記特許文献17(特開2003−105016号公報)、特許文献19(特開平9−227613号公報)に示されているように、メタロセン錯体を担持した触媒系においては、不均一な活性点の形成により、分子量分布が広がる場合があった。得られるポリマーの分子量分布が広がること自体は、必ずしも悪いことではないが、重合条件による制御が困難という問題点がある。
特開昭64−74202号公報 特開平2−269705号公報 特開平3−234717号公報 特開平6−322014号公報 特開平10−245418号公報 特表2001−526731号公報 特開2007−284691号公報 特表2007−520597号公報 特開2002−371107号公報 特開2004−189869号公報 特開2004−168744号公報 特開2007−211014号公報 特開平7−102013号公報 特開平8−20605号公報 特開平11−322774号公報 特開2002−308893号公報 特開2003−105016号公報 特開2007−182495号公報 特開平9−227613号公報
本発明の目的は、従来技術の状況を踏まえて、分子量が高く、コモノマー含量も共に高くて、水素によりポリマーの分子量調節を行った際も、単峰の分子量分布を与えるオレフィン重合用触媒を提供し、また、それを用いたα−オレフィン重合方法を提供することにある。
本発明者らは、上記した発明の課題を解決することを目指して、鋭意検討した結果、特定構造のメタロセン錯体とイオン交換性層状珪酸塩とを組み合せた触媒が、上記の目的の重合触媒の成分として、格別に機能することを見出し、この知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記の成分(A)、成分(B)と、必要に応じて成分(C)からなることを特徴とするオレフィン重合用触媒が提供される(なお、「本発明」とは、以下の第1の発明から第14の発明の各発明単位により成る発明群を意味する。)。
成分(A):一般式(1)で示される二重架橋メタロセン化合物
Figure 0005322915
[式中、R〜Rは、同じでも異なっていてもよく、各々、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、−Si(R)(R)(R)で表される炭素数1〜18のアルキルシリル基、−O(R)で表される炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン原子、または−N(R)(R)で表される炭素数1〜12の窒素含有炭化水素基を示し、R、RおよびRは、同じでも異なっていてもよく、各々、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、または炭素数6〜15のアリール基、アリールアルキル基若しくはハロゲン化アリール基を示すが、シクロペンタジエニル環上の置換基のうち少なくとも1つは、2級炭化水素基または3級炭化水素基である。AおよびAは、各々独立して、Si(R)(R)、C(R)(R)またはC(R)(R)−C(R10)(R11)からなる架橋基を示し、R、R、R10およびR11は、同じであっても異なっていてもよく、各々、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15のアリールアルキル基、または炭素数3〜10のシクロアルキル基を示す。Mは、Ti、Zr、またはHfを示し、Xは、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、または−O(R12)で表されるアルコキシ基を示し、R12は、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基若しくはアリールアルキル基を示す。]
成分(B):イオン交換性層状珪酸塩
成分(C):有機アルミニウム化合物
本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、一般式(1)のR〜Rは、RとR、およびRとRが異なる置換基であることを特徴とするオレフィン重合用触媒が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、一般式(1)のR〜Rは、炭素数1〜10の炭化水素基または−Si(R)(R)(R)で表される炭素数1〜18のアルキルシリル基であることを特徴とするオレフィン重合用触媒が提供される。
本発明の第の発明によれば、第の発明において、一般式(1)のR〜Rは、RとR、およびRとRが炭素数1〜10の1級炭化水素基と、炭素数3〜10の2級または炭素数4〜10の3級炭化水素基との組み合わせからなることを特徴とするオレフィン重合用触媒が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第の発明において、一般式(1)のR〜Rは、RとR、およびRとRが炭素数1〜10の1級炭化水素基と炭素数3〜10の2級炭化水素基との組み合わせからなることを特徴とするオレフィン重合用触媒が提供される。
さらに、本発明の第の発明によれば、第の発明において、一般式(1)のR〜Rは、RとR、およびRとRがメチル基とイソプロピル基との組み合わせからなることを特徴とするオレフィン重合用触媒が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、成分(C)は、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とするオレフィン重合用触媒が提供される。
Al(R13)(R14)(R15) ・・・(2)
(式中、R13、R14およびR15は、同じでも異なっていてもよく、各々、炭素数2〜10の炭化水素基を示す。)
さらに、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、成分(C)は、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム又はトリオクチルアルミニウムであることを特徴とするオレフィン重合用触媒が提供される。
本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、成分(B)は、雲母またはスメクタイトであることを特徴とするオレフィン重合用触媒が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、成分(B)がスメクタイトであることを特徴とするオレフィン重合用触媒が提供される。
さらに、本発明の第11の発明によれば、第1〜10のいずれかの発明において、成分(B)がモンモリロナイトであることを特徴とするオレフィン重合用触媒が提供される。
また、本発明の第12の発明によれば、第1〜11のいずれかの発明に係るオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンを重合することを特徴とするα−オレフィンの重合方法が提供される。
さらに、本発明の第13の発明によれば、第1〜11のいずれかの発明に係るオレフィン重合用触媒を用いて、エチレン単独重合又はエチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合を行うことを特徴とするエチレンの重合方法が提供される。
本発明のオレフィン重合用触媒を用いることにより、低分子量から高分子量までの、単峰性の分子量分布を有するポリエチレンを、良好な重合活性で得ることが可能となった。また、エチレンとα−オレフィンの共重合性がよく、より少ないコモノマーの使用で、密度の低いポリマーを製造することも、可能となった。
さらに、良好なポリマー物性を発現させるには、製造するポリマーの分子量分布や組成分布を正確に制御する必要がある。本発明のオレフィン重合用触媒は、低分子量から高分子量まで単峰性の分子量分布を示すポリエチレンを製造可能なため、特に、多段重合プロセスによるポリマー設計を容易に行うことができる。また、他のメタロセン錯体と組み合わせた場合においても、分子量分布の設計が容易となる。
また、共重合性が良いということにより、重合反応におけるコモノマー濃度を低くできるようになるため、製造面から有利になる。また、多段重合を実施する場合においても、未反応のコモノマーが次の反応器に移送される量が減る、ないしは、全て共重合で消費されてしまうという効果が期待できるので、結果として、ポリマー設計の幅が広がることが期待できる。
本発明は、特定の構造を有するメタロセン化合物(A)、イオン性層状珪酸塩(B)および必要に応じて有機アルミニウム化合物(C)を組み合わせたオレフィン重合触媒に係るものである。
以下において、各触媒成分、重合方法などについて、詳細に説明する。
1.成分(A)の二重架橋メタロセン化合物について
本発明に係る成分(A)の二重架橋メタロセン化合物は、下記の一般式(1)により示される化合物である。
Figure 0005322915
[式中、R〜Rは、同じでも異なっていてもよく、各々、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、−Si(R)(R)(R)で表される炭素数1〜18のアルキルシリル基、−O(R)で表される炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン原子、または−N(R)(R)で表される炭素数1〜12の窒素含有炭化水素基を示し、R、RおよびRは、同じでも異なっていてもよく、各々、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、または炭素数6〜15のアリール基、アリールアルキル基若しくはハロゲン化アリール基を示すが、シクロペンタジエニル環上の置換基のうち少なくとも1つは、2級炭化水素基、3級炭化水素基、または炭化水素基を2つ以上有するアルキルシリル基である。AおよびAは、各々独立して、Si(R)(R)、C(R)(R)またはC(R)(R)−C(R10)(R11)からなる架橋基を示し、R、R、R10およびR11は、同じであっても異なっていてもよく、各々、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15のアリールアルキル基、または炭素数3〜10のシクロアルキル基を示す。Mは、Ti、Zr、またはHfを示し、Xは、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、または−O(R12)で表されるアルコキシ基を示し、R12は、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基若しくはアリールアルキル基を示す。]
一般式(1)中、 〜R において、シクロペンタジエニル環上の置換基のうち少なくとも1つは、2級炭化水素基、3級炭化水素基、又は炭化水素基を2つ以上有するアルキルシリル基である。
上記の2級炭化水素基、3級炭化水素基、又は炭化水素基を2つ以上有するアルキルシリル基を含有することが必要な理由は、必ずしも明確ではないが、担持触媒における錯体と担体の相互作用が考えられる。
すなわち、メタロセン錯体が担体に担持される場合、物理的または化学的な相互作用が生じる。この相互作用の強さにより、メタロセン錯体から形成される活性種が不均質になる場合があるものと考えている。この活性種の不均一性により得られるポリマーの分子量分布が多峰性になるなどの影響が出てくる。本発明において、少なくとも1つは、2級炭化水素基、3級炭化水素基、又は炭化水素基を2つ以上有するアルキルシリル基を有することが有効な理由の一つとして、イオン性層状珪酸塩に担持させたときの活性種の変質を、立体障害により抑制していることが考えられる。また、2級炭化水素基、3級炭化水素基、又は炭化水素基を2つ以上有するアルキルシリル基のこの他の効果としては、ポリマー成長鎖との相互作用により、重合停止反応が抑制され、高分子量のポリマーが得られるということも挙げられる。
〜Rで表される置換基のうち、それに含まれるR、RおよびRが水素又は脂肪族炭化水素基のものについて、以下に例示する。
炭素数1〜10の炭化水素基のうち、1級炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、ベンジル基、3−メチルペンチル基、3−フェニルペンチル基などが挙げられる。これらの中では、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が好ましく、さらには、メチル基である。
また、2級炭化水素基としては、炭素数3〜10のものであれば、任意の炭化水素基を用いることができる。例えば、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−アダマンチル基などが挙げられる。これらの中では、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基が好ましい。
さらに、3級炭化水素基としては、炭素数4〜10のものであれば任意の炭化水素基を用いることができる。例えば、t−ブチル基、1,1−ジメチル−プロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−アダマンチル基などが挙げられる。これらの中では、t−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基が好ましい。
炭化水素基を2つ以上有するアルキルシリル基としては、炭素数1〜18のものであれば、任意の炭化水素基を用いることができる。例えば、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジ−t−ブチルシリル基、ジシクロヘキシルシリル基、ジフェニルシリル基、エチル−メチルシリル基、t−ブチル−メチルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−t−ブチルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基などが挙げられる。これらの中では、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、エチル−メチルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基が好ましい。
また、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、シクロヘキシロキシ基などが挙げられる。これらの中で、メタロセン触媒の活性点を酸素原子で被毒しないという観点から、立体障害が大きい方が好ましく、イソプロポキシ基、ブトキシ基、シクロヘキシロキシ基が好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、これらの中で、フッ素原子、塩素原子が好ましい。
また、窒素含有炭化水素基としては、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ブチルメチルアミノ基などが挙げられる。これらの中で、メタロセン触媒の活性点を窒素原子で被毒しないという観点から、立体障害が大きい方が好ましく、2つの炭化水素基を有するアミノ基が好ましい。
、R、Rとして、水素及び脂肪族炭化水素基以外の置換基としては、次のものが例示できる。アリール基として、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が挙げられる。アリールアルキル基として、ベンジル基、2−フェニルエチルが挙げられる。ハロゲン化アリール基として、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、クロロナフチル基が挙げられる。
〜Rの組み合わせは、シクロペンタジエニル環上の置換基のうち少なくとも1つは、2級炭化水素基、3級炭化水素基、又は炭化水素基を2つ以上有するアルキルシリル基であれば、任意の組み合わせが可能であるが、2級または3級炭化水素基と1級炭化水素基との組み合わせが好ましい。さらに好ましくは、2級炭化水素基と1級炭化水素基である。2つのシクロペンタジエニル環上の2級炭化水素基と1級炭化水素基は、それぞれ同一であることが最も好ましい。
メタロセン触媒の場合、メタロセン錯体の置換基の種類により、ポリマーの分子量やコモノマーとの共重合性などを制御することが可能である。
一方、微粒子担体にメタロセン錯体を担持することは、スラリープロセスや気相プロセスにおける安定運転のためには、重要な技術であるが、従来技術で示したように、しばしば、担持により得られるポリマーの分子量分布が広がるという現象が見られる。得られるポリマーの分子量分布が広がることは、重合活性種が複数存在することを示している。このことは、メタロセン錯体が微粒子担体に担持される場合、複数の吸着状態をとっていることが考えられる。微粒子担体への吸着のしかたは、メタロセン錯体の構造も大きく影響するものと考えている。
本発明においては、シクロペンタジエニル環上の置換基の少なくとも1つは、2級または3級炭化水素を有するメタロセン錯体とイオン交換性層状ケイ酸塩の組み合わせを特徴としているが、この特定の成分を組み合わせることで、担持触媒においても、均一な活性種が維持でき、高分子量、高共重合性を維持したまま、分子量分布の狭いポリマーを得ることが達成できたと考える。
また、AおよびAは、各々独立して、Si(R)(R)、C(R)(R)またはC(R)(R)−C(R10)(R11)からなる架橋基を示し、各R、R、R10、R11は、同じであっても異なっていてもよく、各々炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15のアリールアルキル基、または炭素数3〜10のシクロアルキル基を示す。これらの中で、Si(R)(R)からなる架橋基が好ましい。さらに、RおよびRは、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、さらには、メチル基が好ましい。
Mは、Ti,Zr、またはHfを示す。好ましくはZrである。
Xは、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、または−ORで表されるアルコキシ基を示し、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基、アリールアルキル基を示す。これらの中で、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基が好ましい。さらに好ましくは、塩素原子またはメチル基である。
一般式(1)で示される化合物の具体例として、以下のものが挙げられる(以下の式中、Meはメチル基、Cはフェニル基を表す。)。
尚、MがZrの化合物を代表として例示するが、TiおよびHfの場合も同様な化合物が例示できる。
(i)2級炭素を含む錯体の例示:
(MeSi){η−CH−3,5−(CHMeZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(CHMeZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(CHMeZr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(CHMeZr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}Zr(CH、(MeSi){η−CH−3,5−(2−アダマンチル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(2−アダマンチル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(2−アダマンチル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(2−アダマンチル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}Zr(CH
meso−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}Zr(CH、(MeSi){η−CH−3,5−(シクロヘキシル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(シクロヘキシル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(シクロヘキシル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(シクロヘキシル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}Zr(CH、である。
(ii)3級炭素を含む化合物の例示:
(MeSi){η−CH−3,5−(CMeZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(CMeZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(CMeZr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(CMeZr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}Zr(CH
(MeSi){η−CH−3,5−(1−アダマンチル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(1−アダマンチル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(1−アダマンチル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(1−アダマンチル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}Zr(CH、(MeSi){η−CH−3,5−(1,1−ジメチルプロピル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(1,1−ジメチルプロピル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(1,1−ジメチルプロピル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(1,1−ジメチルプロピル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}Zr(CH、である。
(iii)アルキルシリル基を含む化合物の例示:
(MeSi){η−CH−3,5−(ジメチルシリル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(ジメチルシリル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(ジメチルシリル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(ジメチルシリル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}Zr(CH、(MeSi){η−CH−3,5−(トリメチルシリル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(トリメチルシリル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(トリメチルシリル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(トリメチルシリル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}Zr(CH、(MeSi){η−CH−3,5−(ジフェニルシリル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(ジフェニルシリル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(ジフェニルシリル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(ジフェニルシリル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}Zr(CH、(MeSi){η−CH−3,5−(フェニルメチルシリル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(フェニルメチルシリル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(フェニルメチルシリル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(フェニルメチルシリル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}Zr(CH、である。
これらの中で好ましいのは、2級炭素と1級炭素の組み合わせの化合物であり、さらに好ましいのは、rac−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrMe、である。
2.成分(B)のイオン性層状珪酸塩について
本発明に係る成分(B)のイオン性層状珪酸塩としては、粘土、粘土鉱物、ゼオライト、珪藻土などが使用可能である。これらは、合成品を用いてもよいし、天然に産出する鉱物を用いてもよい。
粘土、粘土鉱物の具体例としては、アロフェン等のアロフェン族、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイトなどのカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイトなどのハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライトなどの蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト族、バーミキュライトなどのバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石などの雲母鉱物、アタパルジャイト、セピオライト、パイゴルスカイト、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、ヒシンゲル石、パイロフィライト、リョクデイ石群などが挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
人工合成物としては、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトなどが挙げられる。
これら具体例のうち好ましくは、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト族、イライト、セリサイト、海緑石などの雲母鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられ、さらに好ましくはモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト族が挙げられ、その中でもモンモリロナイトが好ましい。
本発明においては、特定構造を有するメタロセン錯体とイオン交換性層状珪酸塩を組み合わせることを特徴としている。イオン交換性層状珪酸塩は、通常、負に帯電した層状構造を有しており、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ等の無機酸化物とは、構造的にも化学的にも異なる表面状態を有している。イオン交換性層状珪酸塩の特別な構造がメタロセン錯体の担持による変質を抑制し、均一活性点を維持しやすくさせているものと考えている。その結果、分子量分布の狭いポリマーが得られたものと考えている。
また、イオン交換性層状珪酸塩は、それ自体でメタロセン錯体を活性化させる機能を有しており、有機アルミニウム化合物を必須としない。また、有機アルミニウム化合物を使用する場合においても、その使用量は、被毒防止ができる程度で良いので、少なくて済む。
有機アルミニウム化合物は、しばしばメタロセン錯体と反応することが知られている。イオン交換性層状珪酸塩が活性種の変質抑制に効果があるのは、従来の助触媒、特に助触媒がメチルアルモキサンの場合に比べて、メタロセン錯体に対する有機アルミニウム化合物の使用量が少なくてすむことも挙げられる。また、トリメチルアルミニウムより、反応性が低い有機アルミニウム化合物を使用できることも、メタロセン触媒の活性種の変質を抑制するためには、有利と考えられる。
これらのイオン交換性層状珪酸塩は、そのまま用いてもよいが、塩酸、硝酸、硫酸などによる酸処理及び/又は、LiCl、NaCl、KCl、CaCl、MgCl、LiSO、MgSO、ZnSO、Ti(SO、Zr(SO、Al(SOなどの塩類処理を行ってもよい。該処理において、対応する酸と塩基を混合して反応系内で塩を生成させて処理を行ってもよく、また、粉砕や造粒などの形状制御や乾燥処理を行ってもよい。
酸処理は、イオン交換性層状珪酸塩から成分の一部を溶出させる効果がある。また、塩処理は、イオン交換させる効果とイオン交換性層状珪酸塩の膨潤性を変化させる効果がある。その結果、酸処理および塩処理の条件を選択することにより、粒子の表面積や細孔容積を制御することができる。
イオン交換性層状珪酸塩の粒径などに特に制限はなく、任意のものが使用可能であるが、好ましい粒径は、平均粒径5μm〜200μm、さらに好ましくは10μm〜100μmである。
粒径は、触媒のフィード方法の選択に影響を与える。また、重合により生成するポリマーも影響を与えるため、ポリマーの安定生産をする上で重要な要因の一つである。
3.成分(C)の有機アルミニウム化合物について
有機アルミニウム化合物としては、下記一般式(2)で表される化合物が、好ましく用いられる。
Al(R13)(R14)(R15) ・・・(2)
(式中、R13、R14およびR15は、同じでも異なっていてもよく、各々、炭素数2〜10の炭化水素基を示す。)
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムである。
有機アルミニウム化合物は、主に担体表面の被毒物と反応して重合活性種の失活を抑制させる目的で用いられるが、メタロセン錯体とも反応する。均一な活性種を維持し、分子量分布が狭いポリマーを得るためには、メタロセン錯体との反応性が低い有機アルミニウム化合物を用いることが好ましい。有機アルミニウム化合物とメタロセン錯体の反応により得られる生成物の構造は、メタロセン錯体の構造に影響を受けるものと考えている。
本発明において用いられる有機アルミニウム化合物としては、炭素数が2〜10の化合物が好ましいが、炭素数1の化合物、すなわちトリメチルアルミニウムなどは、本発明で用いるメタロセン錯体に対して、反応性が強すぎるため、複数の構造の化合物を生成する可能性が大きい。また、炭素数が大きくなるに従って、立体障害により反応性は低下していく。そのため、メタロセン錯体と有機アルミニウム化合物の反応生成物においても、例えば、トリメチルアルミニウムと反応しメタロセン錯体がメチル化された場合は、それに続く反応が起こりやすいことが考えられる。
これに対して、炭素数2〜10の炭化水素基では、メタロセン錯体にこれらの炭化水素基が導入された後は、それに続く反応は生じにくいことが考えられる。このことも、メタロセン触媒の活性種を均一に保つことに対して、有利に働くと考えられる。
4.重合触媒の使用態様
本発明のオレフィン重合用触媒は、上記の成分(A)と成分(B)、及び必要に応じて、成分(C)を接触させて触媒とする。その接触方法は、特に限定されないが、以下のような順序で接触させることができる。また、この接触は、触媒調製時だけでなく、オレフィンによる予備重合時またはオレフィンの重合時に行ってもよい。これらの接触において接触を充分に行うため溶媒を用いてもよい。溶媒としては、脂肪族飽和炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素やこれらのハロゲン化物、また、予備重合モノマーなどが例示される。
(i)成分(A)と成分(B)を接触させる。
(ii)成分(A)と成分(B)を接触させた後に、成分(C)を添加する。
(iii)成分(A)と成分(C)を接触させた後に、成分(B)を添加する。
(iv)成分(B)と成分(C)を接触させた後に、成分(A)を添加する。
(v)三成分を同時に接触させる。
好ましい接触方法は、成分(B)と成分(C)を接触させた後、未反応の成分(C)を洗浄等で除去し、その後成分(A)を接触させる方法である。
成分(B)1gにつき、成分(A)は0.001〜10ミリモル、好ましくは0.001〜1ミリモルの範囲で使用される。成分(B)を成分(C)を接触させる場合、成分(B)1gにつき、成分(C)は0.01〜10ミリモル、好ましくは0.1〜5ミリモルの範囲で使用される。成分(A)と成分(C)を接触する場合、成分(A)1モルに対し、成分(C)は0.1〜1000モル、好ましくは2〜100、さらに好ましくは4〜6の範囲で使用される。
本発明のオレフィン重合用触媒は、粒子性の改良のために、予めオレフィンを接触させて、少量重合されることからなる予備重合処理に付すことが好ましい。
使用するオレフィンは、特に限定はないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンなどを使用することが可能であり、特にエチレンを使用することが好ましい。オレフィンの供給方法は、オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせるなど、任意の方法が可能である。
予備重合時間は、特に限定されないが、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が成分[B]1部に対し、好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば乾燥を行ってもよい。
予備重合温度は、特に制限は無いが、0℃〜100℃が好ましく、より好ましくは10〜70℃である。
予備重合時には、有機溶媒等の液体中で実施することもでき、かつこれが好ましい。予備重合時の固体触媒の濃度には、特に制限は無いが、好ましくは50g/L以上、より好ましくは60g/L以上、特に好ましくは70g/L以上である。濃度が高い方がメタロセンの活性化が進行し、高活性触媒となる。
さらに、上記各成分の接触の際、もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
予備重合後に触媒を乾燥してもよい。乾燥方法には、特に制限は無いが、減圧乾燥や加熱乾燥、乾燥ガスを流通させることによる乾燥などが例示され、これらの方法を単独で用いても良いし、2つ以上の方法を組み合わせて用いてもよい。乾燥工程において、触媒を攪拌、振動、流動させてもよいし、静置させてもよい
5.重合
前記成分(A)、成分(B)、及び必要に応じて用いられる成分(C)からなるオレフィン重合用触媒を用いておこなう重合は、オレフィン単独あるいは該オレフィンと他のコモノマーとを混合接触させることにより、行われる。共重合の場合、反応系中の各モノマーの量比は、経時的に一定である必要はなく、各モノマーを一定の混合比で供給することも便利であるし、供給するモノマーの混合比を経時的に変化させることも可能である。また、共重合反応比を考慮してモノマーのいずれかを分割添加することもできる。
重合し得るオレフィンとしては、炭素数2〜20程度のものが好ましく、具体的にはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、スチレン、ジビニルベンゼン、7−メチル−1,7−オクタジエン、シクロペンテン、ノルボルネン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。好ましくは炭素数2〜8のα−オレフィンである。共重合の場合、用いられるコモノマーの種類は、前記オレフィンとして挙げられるものの中から、主成分となるもの以外のオレフィンを選択して用いることができる。
重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いる方法、溶液重合法あるいは実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相法などが採用できる。また、連続重合、回分式重合、又は予備重合を行う方法も適用される。
スラリー重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。重合温度は0〜150℃であり、また、分子量調節剤として補助的に水素を用いることができる。重合圧力は0〜2000kg/cmG、好ましくは0〜60kg/cmGが適当である。
次に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限りこれらの実施例によって制約を受けるものではない。
以下の諸例において、出発物質であるスメクタイトとして使用したモンモリロナイトは、水澤化学工業社製スプレードライ造粒粘土「ベンクレイSL」であり、分級によって造粒品としての平均粒径が19.3μmにしたものを用いた。
本実施例における測定法、合成法は、次の通りである。
1.分子量及び分子量分布(Mw、Mn、Q値):
(測定条件)
使用機種:ウォーターズ社製150C
検出器:FOXBORO社製MIRAN1A・IR検出器(測定波長:3.42μm)
測定温度:140℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
流速:1.0mL/分
注入量:0.2mL
(試料の調製)
試料は、ODCB(0.5mg/mLのBHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)を含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させた。
(分子量の算出)
標準ポリスチレン法により行い、保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行った。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー社製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して、較正曲線を作成した。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いた。分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは以下の数値を用いた。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PE:K=3.92×10−4、α=0.733
2.重合中の水素濃度
平均水素濃度は、重合開始直後から重合終了直前まで、15分間隔で測定した重合槽気相部の水素濃度測定値の平均を採用した。
3.合成法
(合成例1)
rac−DMP−Meの合成方法:
rac−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrMe(rac−DMP−Meと略す。)の合成:
特開2001−139620号公報に記載の方法にしたがって合成を行った。
(合成例2)
meso−DMP−Clの合成方法:
meso−(MeSi){η−CH−3−Me−5−(CHMe)}ZrCl(meso−DMP−Clと略す。)の合成:
S.Miyake,L.Henling,J.E.Bercaw,Organometallics,1998,17,5528のrac−(MeSi){η−CH−3−Me−5−(CHMe)}Li(THF)の合成で副生するmeso−(MeSi){η−CH−3−Me−5−(CHMe)}Li(THF) 20.0gと四塩化ジルコニウム8.8gを200ml二口フラスコに入れ、−78℃でジクロロメタン500mlを加えた。室温で3時間撹拌した後、溶媒を減圧留去しトルエン400mlを加えた。不溶物をフィルターでろ過し、ろ液を濃縮した。室温で一夜放置すると、淡黄色の結晶が析出した。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)0.58(s,3H,SiMe),0.70(s,3H,SiMe),0.820(s,3H,SiMe),0.822(s,3H,SiMe),1.06(d,6H,CH(CH),1.29(d,6H,CH(CH),2.21(s,6H,CpMe),2.81(sept,2H,CH(CH),6.23(s,2H,CpH)。
(合成例3)
meso−DMP−Meの合成方法:
meso−(MeSi){η−CH−3−Me−5−(CHMe)}ZrMe(meso−DMP−Meと略す)の合成:
(合成例2)で得られたmeso−[(MeSi)(Cp−2−Me−4−CHMe]ZrCl 10.0gを500ml二口フラスコに入れた。ジエチルエーテル200mlでスラリー化した。−78℃でメチルリチウム/ジエチルエーテル溶液(1.14M)50.0mlを加え室温で1.5時間撹拌した。ジエチルエーテルを減圧留去した後、ヘキサン160mlを加え、不溶な白色固体を除去するため遠心分離を行ない、上澄み液を別の300ml二口フラスコに移した。ヘキサンを減圧留去すると白色粉末が得られた。
H−NMR(C)δ(ppm)−0.18(s,3H,ZrCH),−0.20(s,3H,ZrCH),0.32(s,3H,SiMe),0.536(s,3H,SiMe),0.542(s,3H,SiMe),0.65(s,3H,SiMe),1.17(d,6H,CH(CH),1.36(d,6H,CH(CH),2.14(s,6H,CpMe),2.81(sept,2H,CH(CH),6.27(s,2H,CpH)。
(合成4)
DMM−Clの合成:
(MeSi)(η−CH−3,5−MeZrCl(DMM−Clと略す)の合成:
特開2003−105016号公報に記載の方法に従って合成した。
MeSi(C−2,4−Meの合成:
1,3−ジメチルシクロペンタジエン12.3gを500ml三つ口フラスコに入れTHF150mlで希釈した。0℃でn−BuLi/ヘキサン溶液(1.6M)82.0ml(131mmol)を加え室温で2時間撹拌した。さらに、0℃でジメチルジクロロシラン(MeSiCl)を7.90ml(65.1mmol)加え室温で一夜撹拌した。水100mlを加え反応をクエンチした後、ヘキサンで抽出を行なった。得られた有機相を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ過で除いた後、溶媒を減圧留去し残査を減圧蒸留した。淡黄色液体13g(94℃/0.3mmHg)が得られた。
(MeSi)(C−3,5−Meの合成:
上記で得られた淡黄色液体MeSi(C−2,4−Me 13g(54.7mmol)を300ml二口フラスコに入れ減圧脱気を行ない、THF100mlで希釈した。これに0℃でn−BuLi/ヘキサン溶液(1.6M)69.0ml(110mmol)を加え室温で3時間撹拌した。さらに0℃でジメチルジクロロシラン(Me2SiCl2)を6.70ml加え室温で一夜撹拌した。水100mlを加え反応をクエンチした後、ヘキサンで抽出を行なった。得られた有機相を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ過で除いた後、溶媒を減圧留去して黄色油状物が得られた。得られた黄色油状物は、室温で一晩放置した間に結晶化が進み、淡黄色結晶へと変化した。
(MeSi)(η−CH−3,5−MeZrClの合成:
得られた淡黄色結晶(MeSi)(C−3,5−Me 4g(13.6mmol)を200ml二口フラスコに入れ、THF50mlで溶解した。これに0℃でn−BuLi/ヘキサン溶液(1.6M)17.0ml(27.2mmol)を加え室温で1時間撹拌後THFを留去した。乾固した残さに、四塩化ジルコニウム(ZrCl)2.73g(11.7mmol)を200ml二口フラスコに入れ、−78℃でジクロロメタン50mlを加えた。室温で3時間撹拌した後、溶媒を減圧留去しトルエン100mlを加えた。不溶物をフィルターでろ過し、ろ液を濃縮した。室温で一夜放置すると淡黄色の結晶が析出した。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)0.58(s,6H,SiMe),0.81(s,6H,SiMe),2.20(s,12H,CpMe),6.06(s,2H,CpH)。
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)1.73(SiMe),5.11(SiMe),16.67(Cp−Me),110.64,123.17,151.38(Cp)。
[実施例1]
(a)酸処理モンモリトナイトの調製
撹拌翼と還流装置を取り付けた500mLの丸形三口フラスコに、蒸留水180gを投入し、98%硫酸20gを滴下し、内部温度を90℃にした。そこへ、ベンクレイSL(水澤化学社製)を30g添加後撹拌した。その後90℃で1時間反応させた。このスラリーを150mLの蒸留水に注いで反応を停止し、ヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過した。得られたケーキを500mLの蒸留水に分散させ撹拌後濾過した。この操作を5回繰りかえした。
回収したケーキを120℃で終夜乾燥した。その結果、22gの化学処理体を得た。この酸処理モンモリロナイトを容積200mLのフラスコに入れ、200℃で減圧乾燥させガスの発生が収まってからさらに2時間減圧乾燥した。乾燥後は、窒素雰囲気下で保存した。
(b)酸処理モンモリロナイトの有機アルミニウム化合物処理
内容積200mLのフラスコに上記(処理例1)で得た乾燥した化学処理モンモリロナイト3gを秤量し、ヘプタン10mL、トリエチルアルミニウムのヘプタン溶液20mL(7.5mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、トルエンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を5mlにあわせた。
(c)担持触媒の調製
前述の合成例1で合成を行った、rac−DMP−Meのトルエン溶液18ml(5μmol−Zr/ml)を調製し、(b)で調製した有機アルミニウム化合物処理モンモリロナイトのヘプタンスラリー(5ml)に全量添加した。室温で1時間撹拌した後、室温、減圧下で溶媒を留去することにより、担持触媒を得た。重合を行う前に、担持触媒をヘプタンで希釈(20mg固体触媒/mlヘプタン)し、重合評価に用いた。
(d)エチレン重合
内容積1リッターの誘導攪拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン(500mL)オートクレーブ内に導入した。トリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.5mmol/ml)を1ml、1−ヘキセンを20ml添加した後、80℃まで昇温した。エチレンで1.5MPaまで昇圧し2.5mlの担持触媒スラリーを圧入することで重合を開始した。
1時間後、エタノールを圧入することで重合反応を停止し、ポリマーをろ過により回収した。重合結果を表1に示す。
[実施例2]
(a)〜(c)は、実施例1と同様に行った。
(d)エチレン重合
内容積1リッターの誘導攪拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン(500mL)オートクレーブ内に導入した。トリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.5mmol/ml)を1ml、1−ヘキセンを20ml添加した後、80℃まで昇温した。エチレンで1.5MPaまで昇圧し、水素を76cc導入した。2.5mlの担持触媒スラリーを圧入することで重合を開始した。重合中は、80℃、エチレン圧1.5MPaを維持した。また、15分ごとに水素濃度の測定を実施し、水素濃度が減少した分だけ水素を添加した。
1時間後、エタノールを圧入することで重合反応を停止し、ポリマーをろ過により回収した。重合結果を表1に示す。
[実施例3]
合成例2で得られた錯体(meso−DMP−Me)を用いる以外は、実施例1と同様に行った。重合結果を表1に示す。
[実施例4]
合成例3で得られた錯体(meso−DMP−Cl)を用いる以外は、実施例1と同様に行った。重合結果を表1に示す。
[比較例1]
合成例4で得られた錯体(DMM−Cl)を用いる以外は、実施例1と同様に行った。重合結果を表1に示す。
[比較例2]
ジフェニルメチリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド(CCFZと略す)(和光純薬社製)を用い、重合時に使用する水素を50ccとした以外は、実施例2と同様に行った。重合結果を表1に示す。
[比較例3]
エチレン重合評価において、水素添加量を114ccに増やした以外は、比較例1と同様な操作を行った。重合結果を表1に示す。
[比較例4]
(a)メチルアルミノキサン担持シリカの合成
窒素雰囲気下、200ml二口フラスコに600℃で5時間焼成したシリカ(GRACE社製、952)5グラムを入れ、150℃のオイルバスで加熱しながら真空ポンプで1時間減圧乾燥した。40℃でトルエン13.4ml、続いて、アルベマール社製の20%メチルアルミノキサン/トルエン溶液8.6mlを加え1時間撹拌した後、40℃に加熱したままトルエン溶媒を減圧留去することでメチルアルミノキサン担持シリカが得られた。得られた固体にヘプタン10mlを添加してスラリーとした。
(b)rac−DMP−Meを用いた担持触媒の調製
前述の合成例1で合成を行った、rac−DMP−Meのトルエン溶液30ml(5μmol−Zr/ml)を調製し、(a)で調製したメチルアルモキサン担持シリカのヘプタンスラリー(10ml)に全量添加した。室温で1時間撹拌した後、室温、減圧下で溶媒を留去することにより、担持触媒を得た。重合を行う前に、担持触媒をヘプタンで希釈(20mg固体触媒/mlヘプタン)し、重合評価に用いた。
(c)エチレン重合
内容積1リッターの誘導攪拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン(500mL)オートクレーブ内に導入した。トリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.5mmol/ml)を1ml、1−ヘキセンを20ml添加した後、80℃まで昇温した。エチレンで1.5MPaまで昇圧し、水素を23cc導入した。2.5mlの担持触媒スラリーを圧入することで重合を開始した。重合中は、80℃、エチレン圧1.5MPaを維持した。また、15分ごとに水素濃度の測定を実施し、水素濃度が減少した分だけ水素を添加した。
1時間後、エタノールを圧入することで重合反応を停止し、ポリマーをろ過により回収した。重合結果を表1に示す。
Figure 0005322915
(実施例と比較例の重合結果の考察)
実施例1(表1)では、本発明による触媒を用いることで、高分子量かつ分子量分布が1山のポリエチレンが得られることを示している。
また、実施例2(表1)では、本発明による触媒を用いることで、水素添加により得られるポリマーの分子量を低下させた場合においても、分子量分布が狭いポリマーが得られることを示している。
さらに、実施例3、4(表1)では、本発明による触媒を用いることで、高分子量かつ分子量分布が1山のポリエチレンが得られることを示している。
一方、比較例1〜3(表1)では、高分子量のポリエチレンを製造することはできるものの、分子量分布が広がってしまうことを示している。
また、比較例4(表1)は、メチルアルミノキサンを用いた担持触媒では、分子量分布が広がることを示している。
本発明のオレフィン重合用触媒の存在下に、α−オレフィンの共重合を行うことにより、高分子量のポリマーを製造することができ、また、水素による分子量分布の調節をおこなった場合においても、狭い分子量分布を維持したポリマーを得ることが可能となった。本発明の技術により、多段重合や複数の触媒を組み合わせで、ポリマーの分子量分布を制御する自由度が広がり、物性バランスに優れるポリマーを容易に設計できるようになる。

Claims (13)

  1. 下記の成分(A)、成分(B)と、必要に応じて成分(C)からなることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
    成分(A):一般式(1)で示される二重架橋メタロセン化合物
    Figure 0005322915
    [式中、R〜Rは、同じでも異なっていてもよく、各々、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、−Si(R)(R)(R)で表される炭素数1〜18のアルキルシリル基、−O(R)で表される炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン原子、または−N(R)(R)で表される炭素数1〜12の窒素含有炭化水素基を示し、R、RおよびRは、同じでも異なっていてもよく、各々、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、または炭素数6〜15のアリール基、アリールアルキル基若しくはハロゲン化アリール基を示すが、シクロペンタジエニル環上の置換基のうち少なくとも1つは、2級炭化水素基または3級炭化水素基である。AおよびAは、各々独立して、Si(R)(R)、C(R)(R)またはC(R)(R)−C(R10)(R11)からなる架橋基を示し、R、R、R10およびR11は、同じであっても異なっていてもよく、各々、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15のアリールアルキル基、または炭素数3〜10のシクロアルキル基を示す。Mは、Ti、Zr、またはHfを示し、Xは、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、または−O(R12)で表されるアルコキシ基を示し、R12は、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基若しくはアリールアルキル基を示す。]
    成分(B):イオン交換性層状珪酸塩
    成分(C):有機アルミニウム化合物
  2. 一般式(1)のR〜Rは、RとR、およびRとRが異なる置換基であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン重合用触媒。
  3. 一般式(1)のR〜Rは、炭素数1〜10の炭化水素基または−Si(R)(R)(R)で表される炭素数1〜18のアルキルシリル基であることを特徴とする請求項2に記載のオレフィン重合用触媒。
  4. 一般式(1)のR〜Rは、RとR、およびRとRが炭素数1〜10の1級炭化水素基と、炭素数3〜10の2級または炭素数4〜10の3級炭化水素基との組み合わせからなることを特徴とする請求項3に記載のオレフィン重合用触媒。
  5. 一般式(1)のR〜Rは、RとR、およびRとRが炭素数1〜10の1級炭化水素基と炭素数3〜10の2級炭化水素基との組み合わせからなることを特徴とする請求項4に記載のオレフィン重合用触媒。
  6. 一般式(1)のR〜Rは、RとR、およびRとRがメチル基とイソプロピル基との組み合わせからなることを特徴とする請求項5に記載のオレフィン重合用触媒。
  7. 成分(C)は、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
    Al(R13)(R14)(R15) ・・・(2)
    (式中、R13、R14およびR15は、同じでも異なっていてもよく、各々、炭素数2〜10の炭化水素基を示す。)
  8. 成分(C)は、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム又はトリオクチルアルミニウムであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
  9. 成分(B)は、雲母またはスメクタイトであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
  10. 成分(B)がスメクタイトであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
  11. 成分(B)がモンモリロナイトであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンを重合することを特徴とするα−オレフィンの重合方法。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒を用いて、エチレン単独重合又はエチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合を行うことを特徴とするエチレンの重合方法。
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