JP5322621B2 - ステント作製用口腔模型の製造装置およびステント作製用口腔模型の製造システム - Google Patents
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Description
従来、インプラント埋入位置の決定は、手術により床を切り開いて顎骨形状を目視で確認して行われていた。しかし、この方法では、顎骨の一部のみが目視できるだけで、正確な顎骨形状やその厚み等の把握が難しく、また患者への肉体的負担が大きいという問題がある。
この方法では、顎骨の正確な三次元形状を把握できるからインプラントの埋入位置を適切に決定できる上、床を切り開く方法に比較して患者への肉体的負担が小さいという利点がある。
以下、特許文献1に記載されたインプラント埋入穴開け施術の方法を説明する(特許文献1 段落0041−0048,0062−0070参照)。
続いて、ステントに3次元位置決め用マーカを設置する。
次に、マーカ付きステントを患者の口腔に装着した状態で、患者の顎部をX線CT撮影(CTスキャン)する。
続いて、コンピュータ上で、顎部X線CT画像を表示し、顎骨に対するインプラント埋入位置方向を決定する。顎骨に対するインプラントの埋入位置が決まると、顎部とともにCTスキャンされたステントに対する、インプラント埋入ガイド孔(ガイド穴)の開設位置も決まる。このステントに対するガイド孔の開設位置を表すガイド孔加工データを、コンピュータにより算出する。
続いて、ステントをガイド孔加工装置(フライス盤)にセットし、算出したガイド孔加工データに基づいてガイド孔加工装置を制御して、ステントにインプラント埋入ガイド孔を形成する。
そして、ステントを患部に装着し、インプラント埋入ガイド孔を用いて、患者の顎部にインプラント埋入穴を加工する施術を行う。
また、インプラントに取り付けられる入れ歯の従来の形成方法として、患者の口腔を型取った口腔模型の形状に合わせる方法もある。
この構成を採用することによる作用は以下のとおりである。
すなわち、仮想的な顎骨形状と仮想的な口腔形状を位置合わせして、その顎骨形状を基準としてインプラントの埋入位置を仮想的な棒状のデータを用いて決定した上で、その穴の周囲に配置されるドリルガイド部品も顎骨形状を基準として決定する。そして、棒の形状とドリルガイド部品の形状とを差し引いた口腔形状を表す口腔模型を形成する。したがって、顎骨形状を基準としたインプラントの埋入位置と、床を含む口腔形状との相対的な位置とを正確に表したステント作製用口腔模型を得ることができる。
また本発明に係るステントの製造方法によれば、インプラントの埋入位置やその軸線方向、およびドリルガイド部品の位置も正確に特定できるステントを得ることができる。
ステント55は、インプラントの埋入施術の際に、患者の口腔内にセットされ、患者のインプラント埋入位置における顎骨にインプラント埋入穴をあけるためのドリルのガイド孔が形成されている治具である。
したがって、ステントを正確に製造することによって、それを用いたインプラントの埋入の施術も正確に行える。
続いて、前記型取りに基づいて口腔模型40(図3参照)を作製する(ステップS2)。
続いて、この口腔模型40を用いて、図4に示すような基準治具2を作製する(ステップS3)。
さらに、患者の顎部をX線CTスキャンして(ステップS6)、患者の顎骨形状を現す顎骨形状データを生成し、コンピュータ4の顎骨形状データ記憶部22に記憶する(ステップS7)。
ドリルガイド部品とは、上述したように、ステントのガイド孔を形成するための金属製の筒状の部品である。
ステント作製用口腔模型の製造システム(以下、単に製造システムと称する場合もある)Sは、通常用いられるコンピュータ4を備えており、このコンピュータ4は、CTスキャン装置6と、レーザスキャン装置8と、ラピッドプロトタイピング装置10とデータ通信可能に接続されている。
なお、特許請求の範囲でいうステント作製用口腔模型の製造装置が、本実施形態のコンピュータ4に該当する。
また、本実施形態のラピッドプロトタイピング装置10としては、光造形装置や三次元プリンター装置(石膏等の粉末を層状に敷いてインクジェット方式で一面の形状を描いて固め、それを複数枚積層して所望の三次元形状を作製する装置)等、公知の装置を任意に用いることができる。
さらに、三次元モデル作製手段としては、ラピッドプロトタイピング装置には限定されることはなく、他の装置であってもよい。例えば、CAM制御の加工装置によって、石膏塊を機械加工して所望の形状を成形する装置であってもよい。
三次元形状処理手段20は、顎骨形状データ、口腔形状データ、棒の形状データ、ドリルガイド部品の形状データ等の三次元形状データが示す三次元形状を、二次元的な画像に変換して表示手段14に表示させる。
また、三次元形状処理手段20は、三次元形状の観察方向を連続的に変更(例えば回転など)させたり、複数の三次元形状の間の相対的な位置関係を変更(移動)させたり、表示された複数の三次元形状の間でブーリアン演算を行って一方の三次元形状から他方の三次元形状を差し引いたりするなどの立体形状処理を行うことができる。
口腔模型データ作成手段36は、コンピュータ4にインストールされたソフトウェアプログラムが制御部12に実行されることで実現される。なお、このような口腔模型データ作成手段36は、三次元形状処理手段20の一機能として設けられていてもよい。
続いて、シリコン材に石膏を流し込んで、石膏を固化させることで、石膏製の口腔模型40を作製する(ステップS2)。口腔模型40の形状は、図3に示す。
この型取り(ステップS1)および口腔模型40の作製(ステップS2)の方法は周知技術であるので詳しい説明は省略する。
マウスピース部2aは、患者の口腔形状、特に好適には上顎部の形状に、合致するよう形成する。マウスピース部2aは、例えば、口腔模型40の上顎部の表面に樹脂等を被せ固化させることで形成することができる。なお、図4に示した基準治具2のマウスピース部2aは、レーザやX線を透過しやすい透明樹脂で構成されている。
このレーザスキャン(ステップS4)を行う際には、図5に示すように、口腔模型40に基準治具2を取り付け、口腔模型40を基準治具2ごとスキャンする。
なお、図5,図6には写っていないが、口腔模型40および口腔形状データには図7に示すように歯弓部の内側の形状も反映されている。
まず、CTスキャン装置6で患者の顎骨の三次元形状をX線CTスキャンして(ステップS6)、患者の顎骨形状を表す顎骨形状データを生成し、通信手段18を介してコンピュータ4の顎骨形状データ記憶部22に記憶する(ステップS7)。このスキャンの方式は、X線CTスキャンに限定されるものではなく、例えばMRI等の他のスキャン方法を採用することもできる。
このX線CTスキャン(ステップS6)を行う際には、図8に示すように、患者の口腔部に基準治具2を取り付け、患者の顎部を基準治具2ごとスキャンする。
なお、基準治具の形状3a,3bの位置を合わせる際、基準治具2の前記延出部に形成された円状の貫通孔に対応する形状を合わせることにより、位置合わせが容易かつ正確になる。
本発明における位置合わせステップでの位置合わせは、仮想的な三次元空間内の移動だけでなく、このような拡大/縮小の概念も含む。
図11は、三次元形状処理手段20によって、基準治具を含まない顎骨形状データが表す仮想的な顎骨形状44を表示手段14に表したところを示している。
図12は、三次元形状処理手段20によって、基準治具を含まない顎骨形状データが表す仮想的な顎骨形状44に対して、基準治具を含まない口腔形状データが表す仮想的な口腔形状42を、位置合わせしたところを示している。
インプラントの埋入位置の決定の際には、仮想的な棒45を用いる。棒45の形状データは、棒の形状データ記憶部26に記憶されている。インプラント埋入位置の決定に仮想的な棒45を用いることによって、埋入位置と、その方向が操作者にとってわかりやすくなる。
ドリルガイド部品の形状データは、ガイド部品形状データ記憶部28に記憶されており、三次元形状処理手段20によって、ガイド部品形状データ記憶部28から読み出した仮想的なドリルガイド部品46が表示手段14上で配置位置が決定される。
なお、上顎に対してインプラントを施術する場合には、仮想的なドリルガイド部品46の上面を、仮想的な顎骨形状44の下面に当接するようにして配置する。
すると、仮想的な口腔形状42に対して、仮想的な棒45と仮想的なドリルガイド部品46との位置が決定される。
ラピッドプロトタイピング装置10では、送信されてきたステント作製用口腔模型データに基づいて、光造形法によって樹脂製のステント作製用口腔模型50を形成する(ステップS12)。
図18では、形成されたステント作製用口腔模型50に、現実のガイドピン52と、現実のドリルガイド部品54を配置している所を示している。ガイドピン52は、ドリルガイド部品54をステント作製用口腔模型50に形成された凹部48に配置固定させるための治具である。ガイドピン52の径は、ドリルの径とほぼ同一の径であってドリル進入孔47に容易に挿入可能である。ガイドピン52は、ドリルガイド部品54のガイド孔に挿入され、ドリルガイド部品54を凹部48に配置せしめる。
本実施形態では、複数のドリルガイド部品54がステント作製用口腔模型50に配置されているので、複数のドリルガイド部品54が一体となるように生成材料が密着される。
ただし、生成材料としては、即時重合レジンに限定するものではない。
4 コンピュータ
6 スキャン装置
8 レーザスキャン装置
10 ラピッドプロトタイピング装置
11 記憶部
12 口腔模型
12 制御部
14 表示手段
16 入力手段
18 通信手段
20 三次元形状処理手段
22 顎骨形状データ記憶部
24 口腔形状データ記憶部
26 形状データ記憶部
28 ガイド部品形状データ記憶部
30 口腔形状位置記憶部
32 形状位置記憶部
34 ガイド部品位置記憶部
36 口腔模型データ作成手段
40 口腔模型
42 仮想的な口腔形状
44 仮想的な顎骨形状
45 仮想的な棒
46 仮想的なドリルガイド部品
47 ドリル進入孔
48 凹部
50 ステント作製用口腔模型
52 ガイドピン
54 ドリルガイド部品
55 ステント
Claims (3)
- 顎骨にインプラント埋入用の穴を開けるためのドリルを進入させるガイド孔が形成されており、インプラント埋入時に患者の口腔内に配置してインプラント埋入用の穴を開けるための補助に用いるステントを製造する際に用いるステント作製用口腔模型を製造する装置において、
顎骨スキャン装置によって測定された患者の顎骨の三次元位置を示す顎骨形状データが記憶される顎骨形状データ記憶部と、
口腔模型スキャン装置によって測定された口腔内形状の三次元位置を示す口腔形状データが記憶される口腔形状データ記憶部と、
インプラントの埋入位置及び埋入されるインプラントの軸線方向を示すと共に、前記ガイド孔の径と同一の径を有する仮想的な棒の形状データが記憶されている棒の形状データ記憶部と、
前記ステントに取り付ける部品であって、前記ガイド孔が形成されている筒状のドリルガイド部品の形状データが記憶されているガイド部品形状データ記憶部と、
画像を表示する表示手段と、
前記顎骨形状データ、口腔形状データ、棒の形状データおよびドリルガイド部品の形状データに基づいて、顎骨形状、口腔形状、棒の形状およびドリルガイド部品の形状を三次元的に前記表示手段に表示させる三次元形状処理手段と、
前記三次元形状処理手段によって、顎骨形状データと口腔形状データとを相対的に位置合わせすることによって、顎骨形状データに対する口腔形状データの位置を決定した場合に、顎骨形状データに対する口腔形状データの位置データを記憶する口腔形状位置記憶部と、
前記三次元形状処理手段によって、前記顎骨形状データ上で、棒の形状データ記憶部に記憶された仮想的な棒を、棒の形状の軸線方向と埋入されるインプラントの軸線方向とを一致させるようにして、インプラントの埋入位置および軸線方向を決定した場合に、顎骨形状データに対する棒の形状データの位置データを記憶する棒の形状位置記憶部と、
前記三次元形状処理手段によって、前記顎骨形状データ上で、前記部品形状データ記憶部に記憶されているドリルガイド部品の形状データを、決定されたインプラントの埋入位置および軸線方向に合わせると共に、ドリルガイド部品の下面又は上面を顎骨の上面又は下面に当接させるように位置合わせすることによって、顎骨形状データに対するドリルガイド部品の形状データの位置及び方向を決定した場合に、ドリルガイド部品の位置データおよび軸線方向データを記憶するガイド部品位置記憶部と、
前記口腔形状位置記憶部に記憶されている顎骨形状データに対して位置合わせされた口腔形状と、前記棒の形状位置記憶部に記憶されている顎骨形状データに対して位置合わせされた棒の形状と、前記ガイド部品位置記憶部に記憶されている顎骨形状データに対して位置合わせされたドリルガイド部品の形状とを前記表示手段に表示させ、口腔形状データから棒の形状データとドリルガイド部品の形状データとを差し引いた形状のステント作製用口腔模型データを作成する口腔模型データ作成手段と、を具備することを特徴とするステント作製用口腔模型の製造装置。 - 顎骨にインプラント埋入用の穴を開けるためのドリルを進入させるガイド孔が形成されており、インプラント埋入時に患者の口腔内に配置してインプラント埋入用の穴を開けるための補助に用いるステントを製造する際に用いるステント作製用口腔模型を製造するシステムにおいて、
患者の顎骨をスキャニングする顎骨スキャン装置と、
患者の口腔模型をスキャニングする口腔模型スキャン装置と、
顎骨スキャン装置によって測定された患者の顎骨の三次元位置を示す顎骨形状データが記憶される顎骨形状データ記憶部と、
口腔模型スキャン装置によって測定された口腔内形状の三次元位置を示す口腔形状データが記憶される口腔形状データ記憶部と、
インプラントの埋入位置及び埋入されるインプラントの軸線方向を示すと共に、前記ガイド孔の径と同一の径を有する仮想的な棒の形状データが記憶されている棒の形状データ記憶部と、
前記ステントに取り付ける部品であって、前記ガイド孔が形成されている筒状のドリルガイド部品の形状データが記憶されているガイド部品形状データ記憶部と、
画像を表示する表示手段と、
前記顎骨形状データ、口腔形状データ、棒の形状データおよびドリルガイド部品の形状データに基づいて、顎骨形状、口腔形状、棒の形状およびドリルガイド部品の形状を三次元的に前記表示手段に表示させる三次元形状処理手段と、
前記三次元形状処理手段によって、顎骨形状データと口腔形状データとを相対的に位置合わせすることによって、顎骨形状データに対する口腔形状データの位置を決定した場合に、顎骨形状データに対する口腔形状データの位置データを記憶する口腔形状位置記憶部と、
前記三次元形状処理手段によって、前記顎骨形状データ上で、棒の形状データ記憶部に記憶された仮想的な棒を、棒の形状の軸線方向と埋入されるインプラントの軸線方向とを一致させるようにして、インプラントの埋入位置および軸線方向を決定した場合に、顎骨形状データに対する棒の形状データの位置データを記憶する棒の形状位置記憶部と、
前記三次元形状処理手段によって、前記顎骨形状データ上で、前記部品形状データ記憶部に記憶されているドリルガイド部品の形状データを、決定されたインプラントの埋入位置および軸線方向に合わせると共に、ドリルガイド部品の下面又は上面を顎骨の上面又は下面に当接させるように位置合わせすることによって、顎骨形状データに対するドリルガイド部品の形状データの位置及び方向を決定した場合に、ドリルガイド部品の位置データおよび軸線方向データを記憶するガイド部品位置記憶部と、
前記口腔形状位置記憶部に記憶されている顎骨形状データに対して位置合わせされた口腔形状と、前記棒の形状位置記憶部に記憶されている顎骨形状データに対して位置合わせされた棒の形状と、前記ガイド部品位置記憶部に記憶されている顎骨形状データに対して位置合わせされたドリルガイド部品の形状とを前記表示手段に表示させ、口腔形状データから棒の形状データとドリルガイド部品の形状データとを差し引いた形状のステント作製用口腔模型データを作成する口腔模型データ作成手段と、
前記ステント作製用口腔模型データに基づいて、棒の形状とドリルガイド部品の形状とがインプラント埋入位置において差し引かれた形状のステント作製用口腔模型を作製する三次元モデル作製手段と、を具備することを特徴とするステント作製用口腔模型の製造システム。 - 前記三次元モデル作製手段は、ラピッドプロトタイピング装置であることを特徴とする請求項2記載のステント作製用口腔模型の製造システム。
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