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JP5315253B2 - ラセミ型イラプラゾールの固体形 - Google Patents

ラセミ型イラプラゾールの固体形 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
[優先権の主張]
本願は、2006年12月29日に出願された米国仮出願第60/877,608号、および2007年1月31日に出願された米国仮出願第60/887,499号の合衆国法典第35巻第119条(e)に基づく利益を主張し、これらの出願は、参照することによりその全体が本明細書に援用される。
[発明の分野]
本発明は、キラル硫黄原子を有する置換ベンゾイミダゾールであるイラプラゾール、2[[(4−メトキシ−3−メチル−2−ピリジニル)−メチル]スルフィニル]−5−(1H−ピロール−1−イル)1H−ベンゾイミダゾールに関する。より具体的には、本発明は、ラセミ型イラプラゾールの固体形に関する。イラプラゾールは、プロトンポンプ阻害剤であり、様々な酸関連胃腸疾患の治療に有用である。
[本発明の背景]
プロトンポンプ阻害剤は、1980年代後半に導入されて以来、胃食道逆流症(GERD)、消化性潰瘍、ゾリンジャー・エリソン症候群(ZES)、潰瘍、および非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)起因性胃疾患を含む様々な酸関連胃腸(GI)疾患の治療を改善してきている。GERDは、非びらん性胃食道逆流症(NERD)、びらん性食道炎、およびバレット食道の3つの疾患カテゴリーを含んでいる。ZESは、胃の酸分泌細胞を刺激して最大活性化する膵臓のガストリン産生腫瘍によって引き起こされる。プロトンポンプ阻害剤は、例えば、十二指腸潰瘍、胃潰瘍、およびNSAID関連の胃/十二指腸潰瘍等の潰瘍の治療にも用いられてきた。
抗分泌薬として、プロトンポンプ阻害剤は、現在、推奨された第一選択薬であり、他の治療法よりもより効果的であると見なされている。一般的に、プロトンポンプ阻害剤は、ヒスタミンH2受容体遮断薬よりも優れた胃酸分泌抑制をもたらす。胃酸関連疾患を患う患者によるプロトンポンプ阻害剤の使用は、一般的に、患者の生活の質、生産性、および全体的な幸福の向上につながってきたと考えられている。
プロトンポンプ阻害剤は、GERD(喘息、嗄声、慢性咳、非心臓性胸痛)の食道外症状の治療にも用いられ、ヘリコバクター・ピロリ除菌用の抗生物質と併用される。GERD管理の目標は、迅速且つ持続的な症状コントロール、損傷食道粘膜の治癒、および(狭窄形成、バレット食道、および/または腺癌を含む)GERD関連合併症の予防の3つから成る。プロトンポンプ阻害剤を用いた薬物療法は、急性で長期的なGERD管理の基礎を形成する。プロトンポンプ阻害剤は、症状の効果的な緩和、食道炎の治癒、および持続した長期的な寛解をもたらす。
治療薬に関しては治療効果が一番の懸念ではあるが、薬物候補の固体形および塩形、および特定の剤形に特有の特徴も同様にその治療薬の開発に重要である場合が多い。薬物候補の各固体形(結晶性または非結晶質)は、例えば溶解性、安定性、または再生能力等の、異なる物理的特性および化学的特性を有し得る。このような特性は、最終的な薬の剤型、製造工程の最適化、および人体における吸収に影響を与え得る。その上、さらなる薬物開発のために最も適した剤型を見つけることにより、その開発の期間及び費用を低減することができる。
実質的に純粋な結晶、非結晶質、または他の非結晶形を得ることは、薬物開発において非常に有用である。実質的に純粋な結晶、非結晶質、または他の非結晶形を得ることにより、薬物候補の化学的特性および物理的特性のより良好な特性解析を行うことができるの
で、望ましい治療効果の組み合わせを有し、且つ製造が比較的容易な1つ以上の剤型を特定できる。固体結晶形は、非結晶形よりも好ましい薬効薬理を有し得り、または加工が容易となり得る。また、固体結晶形は、より高い貯蔵安定性を有し得る。
薬物候補の固体物理的特性は、原薬としての薬物候補の選択や、薬物候補の医薬組成物の剤型の選択にも影響し得る。1つのこのような物理的特性は、例えば、製粉前後の固体の流動性である。流動性は、医薬組成物への加工中に原料を取り扱う容易さに影響する。粉末化合物の粒子が容易に相互に流動しない場合、処方者は、錠剤またはカプセル剤の処方を開発する際に、粒子が容易に相互に流動しないことを考慮しなければならず、例えば、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、デンプンまたは第三リン酸カルシウム等の流動促進剤を用いる必要があり得る。医薬品の他の重要な固体特性は、房水内における医薬品の溶出速度である。患者の胃腸液中での有効成分の溶解速度は、経口投与された有効成分が患者の血流に到達し得る速度に影響するため、治療上の重要性を有し得る。
このような実際上の物理的特性は、化合物の特定の固体形の特性によって、例えば結晶性化合物の単位格子中の分子の立体配座と配向に影響される。結晶形は、非結晶質、非結晶形、または他の多形形とは異なる熱挙動特性を有する場合が多い。熱挙動はキャピラリー融点、熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)等の技術により実験室で測定され、例えば熱挙動を用いていくつかの多形形を他と区別することができる。特定の固体形は、一般的に、特に粉末X線回折(XRPD)、単結晶X線構造解析、固体NMR、および赤外分光法等の技術により検出可能な特徴のある結晶特性および分光特性を有する。
[発明の概要]
本発明は、ラセミ型イラプラゾール、2[[(4−メトキシ−3−メチル−2−ピリジニル)−メチル]スルフィニル]−5−(lH−ピロール−l−イル)lH−ベンゾイミダゾールの固体形に関する。また、本発明は、胃酸分泌の抑制に有効な量の本発明のラセミ型イラプラゾールの結晶形と、薬学的に許容可能な担体とを含む、胃酸分泌を阻害する医薬組成物にも関する。また、本発明は、前述のような様々な酸関連胃腸(GI)病の治療方法も提供する。
ラセミ型イラプラゾールの結晶形のXRPDパターンの比較である。 ラセミ型イラプラゾールの結晶形A、B、E、およびFの固体13C CP/MAS NMRスペクトルの比較である。 ラセミ型イラプラゾールの結晶形のIRスペクトルの比較である。 ラセミ型イラプラゾールの結晶形A、B、およびIのラマンスペクトルの比較である。 ラセミ型イラプラゾール、形AのXRPDパターンである。 ラセミ型イラプラゾール、形AのTGAサーモグラムである。 ラセミ型イラプラゾール、形AのDSCサーモグラムである。 ラセミ型イラプラゾール、形AのプロトンNMRスペクトルである。 ラセミ型イラプラゾール、形Aの固体13C CP/MAS ssNMRスペクトルである。 ラセミ型イラプラゾール、形AのIRスペクトルである。 ラセミ型イラプラゾール、形Aのラマンスペクトルである。 ラセミ型イラプラゾール、形AのDVS等温線である。 ラセミ型イラプラゾール、形AのORTEP図である。原子は50%確率の異方性熱楕円体で表されている。 結晶a軸方向から見たラセミ型イラプラゾール、形Aの充填図である。 結晶b軸方向から見たラセミ型イラプラゾール、形Aの充填図である。 結晶c軸方向から見たラセミ型イラプラゾール、形Aの充填図である。 単結晶X線データに基いて算出された、ラセミ型イラプラゾール、形AのX線粉末パターンである。 算出された、ラセミ型イラプラゾール、形AのXRPDパターンと実験から得た、ラセミ型イラプラゾール、形AのXRPDとの比較である。 ラセミ型イラプラゾール、形FのXRPDパターンである。 ラセミ型イラプラゾール、形FのTGAサーモグラムである。 ラセミ型イラプラゾール、形FのDSCサーモグラムである。 ラセミ型イラプラゾール、形FのプロトンNMRスペクトルである。 ラセミ型イラプラゾール、形Fの固体13C CP/MAS ssNMRスペクトルである。 ラセミ型イラプラゾール、形FのIRスペクトルである。 ラセミ型イラプラゾール、形Fのラマンスペクトルである。 ラセミ型イラプラゾール、形FのDVS等温線である。 ラセミ型イラプラゾール、形FのORTEP図である。原子は50%確率の異方性熱楕円体で表されている。 結晶a軸方向から見たラセミ型イラプラゾール、形Fの充填図である。 結晶b軸方向から見たラセミ型イラプラゾール、形Fの充填図である。 結晶c軸方向から見たラセミ型イラプラゾール、形Fの充填図である。 ラセミ型イラプラゾール形F(上)および形A(下)の結晶b軸に沿った充填の比較である。形F結晶構造の層の交互配列を示すため、層は矢印で強調されている。 ラセミ型イラプラゾール、形Fの算出されたX線粉末パターンである。 ラセミ型イラプラゾール、形Fの算出されたXRPD(上)と、ラセミ型イラプラゾール、形Fの実験から得たXRPD(下)との比較である。 ラセミ型イラプラゾール、形IのXRPDパターンである。 ラセミ型イラプラゾール、形IのTGAサーモグラムである。 ラセミ型イラプラゾール、形IのDSCサーモグラムである。 ラセミ型イラプラゾール、形IのプロトンNMRスペクトルである。 ラセミ型イラプラゾール、形IのIRスペクトルである。 ラセミ型イラプラゾール、形Iのラマンスペクトルである。 ラセミ型イラプラゾール、形IのDVS等温線である。 ラセミ型イラプラゾール、形BのXRPDパターンである。 ラセミ型イラプラゾール、形BのTGAサーモグラムである。 ラセミ型イラプラゾール、形BのDSCサーモグラムである。 ラセミ型イラプラゾール、形BのプロトンNMRスペクトルである。 イラプラゾール、形Bの固体13C CP/MAS ssNMRスペクトルである。 ラセミ型イラプラゾール、形BのIRスペクトルである。 ラセミ型イラプラゾール、形Bのラマンスペクトルである。 ラセミ型イラプラゾール、形BのDVS等温線である。 ラセミ型イラプラゾール、形EのXRPDパターンである。 ラセミ型イラプラゾール、形EのTGAサーモグラムである。 ラセミ型イラプラゾール、形EのDSCサーモグラムである。 ラセミ型イラプラゾール、形EのプロトンNMRスペクトルである。 ラセミ型イラプラゾール、形Eの固体13C CP/MAS ssNMRスペクトルである。 ラセミ型イラプラゾール、形EのIRスペクトルである。 本発明の遅延放出性医薬組成物を調製するための錠剤化工程を示している。 形A、B、またはFを含有する遅延放出性錠剤としての1回分40mgの経口用イラプラゾールを投与後の、ラセミ型イラプラゾールの平均血漿濃度対時間プロフィールを示している。 ラセミ型イラプラゾール、形A、B、およびFを40mg含有する遅延放出性製剤の13C CP/MAS ssNMRスペクトルを示している。
[発明の詳細な説明]
イラプラゾール、2[[(4−メトキシ−3−メチル−2−ピリジニル)−メチル]スルフィニル]−5−(1H−ピロール−1−イル)1H−ベンゾイミダゾールは、プロトンポンプ阻害剤として機能する置換ベンゾイミダゾールである。イラプラゾールは、水素−カリウム−アデノシン・トリホスファターゼ(H+K+−ATPase)(プロトンポンプ)機構の阻害により、選択的且つ不可逆的に胃酸分泌を阻害する。プロトンポンプの阻害は、酵素上の接近可能なシステインとのジスルフィド共有結合の形成により生じる。イラプラゾールは作用時間が長く、血漿からの消失後も存続する。例えば、参照によって本明細書に援用される、米国特許第5,703,097号および6,280,773号を参照のこと。
イラプラゾールの実験式はC191842S、分子量は366.44ダルトンである。イラプラゾールは、キラル分子であり、以下の構造式(I)を有する。
Figure 0005315253
イラプラゾールは、全てのプロトンポンプ阻害剤と同様に、キラル硫黄原子S*特有の特徴を有する。この特有の特徴は、以下に示すように、各立体異性体に1つの位置を占有するキラル硫黄原子上の孤立電子対で表すことができる。
Figure 0005315253
(−)−S−イラプラゾールの絶対構造および絶対確認は、単結晶構造測定により作成され、以下に示されている。参照によって全体が本明細書に援用される、「エナンチオピュア・イラプラゾールの固体形」という名称で2007年12月28日に出願された、B
rackett等の同時係属米国出願連続番号第11/966,808号の実施例7を参照のこと。
Figure 0005315253
したがって、(−)−S−イラプラゾールの相補的エナンチオマーは、以下に示すような、(+)−R−イラプラゾールである。
Figure 0005315253
キラル分子は、化学者には周知である。キラル分子は、相互に鏡像である2つのエナンチオマーの形態で存在する。右側と左側とが互いの鏡像であり相互に重ね合わせることができないのと同様に、キラル分子のエナンチオマーは、相互に重ね合わせることができない。これらのキラル分子の唯一の違いは、3次元空間でキラル中心に結合される基の配置である。エナンチオマーの物理的特性は、偏光面の回転以外は互いに同一である。偏光面のこの回転により、当業者は、キラル原料が鏡像異性的に純粋であるか否かを判断することができる。
固体では、(エナンチオピュア原料としても知られている)純粋なエナンチオマー原料は、定義上、単一のエナンチオマーから成り、ラセミ体とは非常に異なる特性を有し得る。ラセミ体とは非常に異なる特性を有し得ることは特に結晶形の場合に当てはまる。ラセミ体は、(2つのエナンチオマーが、純粋なエナンチオマーである同一の鏡像結晶を形成する)コングロマリット、(2つのエナンチオマーが、共存し、結晶の特定の位置に組み込まれている)ラセミ化合物、または(エナンチオマーが結晶内のランダムな部位に位置し得る)固溶体として結晶化し得る。固体は、例えば、溶解度、融点、X線粉末回折、固体NMR、ラマンおよびIR分光等の様々な物理的特性により特徴付けることができる。
本発明のラセミ型イラプラゾールの固体形は、形A、B、E、F、およびIとして指定されている。本発明のラセミ型イラプラゾールの各結晶形は、以下の実施例において説明されている。図1〜4は、本発明に係るラセミ型イラプラゾールの各結晶形のXRPDパターン、固体13C CP/MAS NMRスペクトル、IRスペクトル、およびラマンスペクトルを示す比較図である。ラセミ型イラプラゾールの異なる結晶形は、各結晶形の各
スペクトルを比較することにより特定または特徴付けることができる。例えば、XRPDピークが15.8°2θ±0.2°2θで共通する等の、類似点も見受けられ得る。各イラプラゾール形が出発原料と化学的に同一であることを示すのにプロトンNMRスペクトルは有用である。各形を特定するために用いられ得る各結晶形に関するデータは、以下の実施例において提示されている。ここで開示される各形は、例えば特定の処方または処理のための、他の形と比べ有利な点を有している。
「ラセミ型」または「ラセミ体」という用語は、物理的状態とは無関係に、イラプラゾールの2つのエナンチオマーの1:1混合物として定義される。イラプラゾールのラセミ型混合物は、バルク・エナンチオマー組成が1:1のままである限り、純粋なエナンチオマーとなり得るか、またはRとSのエナンチオマー比が例えば90/10、10/90、86/14、14/86、70/30、30/70、50/50、およびこれらの比の間の他の比となり得る個々の結晶からなり得る。
本発明のラセミ型イラプラゾールの形はそれぞれ、実質的に純粋であるか、あるいは、他の結晶形または非結晶質ラセミ型イラプラゾールおよび他の不純物を実質的に含まない。この文脈において、「実質的に純粋」とは、ラセミ型イラプラゾールの特定の形が、他の結晶形または非結晶質形を15%未満含むことを意味する。純粋とは、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満、さらにより好ましくは0.5%未満である。また、「実質的に純粋」という用語は、ラセミ型イラプラゾールの形が他の不純物を3%未満、好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満、さらにより好ましくは0.5%未満含むことも意味する。
ラセミ型イラプラゾール、形Aは、上記結晶形の中で最も熱力学的に安定している。また、形Aは、水溶液中で最も溶けにくく、吸湿性がない。実施例9に記載の形A、B、およびFのヒトにおけるバイオアベイラビリティの研究では、形Aがヒトにおけるバイオアベイラビリティが最も高い形であることも示された。形Aがヒトにおけるバイオアベイラビリティが最も高い形であることは、意外性のある予測しなかった特性の組み合わせであり、これらの特性の組み合わせによりラセミ型イラプラゾール、形Aが本発明の固形剤型として好ましい形となる。
ラセミ型イラプラゾール、形Aは、中心対称ではない(即ち、対称の中心を持たない)単斜晶空間群P21と結晶化する。意外にも、同じでない数のRとSの異性体がこの構造内に共存し得る。3つの形A単結晶構造を測定した。理論上では結合されることは望ましくなかったが、形Aの個々の結晶は、RおよびSの異性体の約70/30(または30/70)の混合物を含むと考えられた。異性体の配置は不規則であると考えられ、1つの酸素の2つの原子位置はスルホキシド基のキラル硫黄に結合することが結晶学的データから明らかである。各酸素の位置が1つの異性体を表し、部分的に占有される(例えば、1つの位置は70%のR(S)に占有され、他は30%のS(R)に占有される)と考えられる。
双方のエナンチオマー組成物の構造を測定した。予測した構造のうちの2つが約70−30のエナンチオマー比を有する一方、他の1つの構造が約28−72の比を有し、このような比率が上記条件下では好ましいことが示唆された。しかしながら、バルク原料は、偏光面の正味0°の回転により示されたようにラセミ型であり、バルク原料が70%R/30%Sおよび30%R/70%Sの比率を有する結晶をほぼ同数含むことを示している。
構造を測定した形Aの単結晶に、キラルHPLC分析を行った。その結果が1つの異性体のエナンチオマー富化度と一致した一方で、バルク・ラセミ型イラプラゾール、形A原
料の分析が、50/50ラセミ混合物と一致した。周囲温度でラセミ型溶液から結晶化される場合、個々の結晶はRとSの異性体の混合物を含み得る固溶体として、形Aを特徴付けることができる。この性質は、コングロマリットが同数の純粋なS結晶と純粋なR結晶とから成ることを除けば、コングロマリットによって説明される性質と類似する。
ラセミ型イラプラゾール、形Fは、動力学的に好ましい結晶形であると考えられる。例えば、温度、水混合溶媒組成、およびpH勾配等の特定の条件下で、形Fは、形Aよりも水溶媒中で溶けやすい。溶解度研究が実施例6に示されている。形Bと同様に、形Fは、形Aよりもバイオアベイラビリティが低く、長時間作用型医薬組成物の調製にも使用できる。形Fは、実施例9の形A、B、およびFのバイオアベイラビリティ研究で評価を行った結晶形A、B、およびFの中で半減期が最も長く、わずかに吸湿性がある。
形Fは、対称の中心を有する必要がある中心対称の空間群P21/nと結晶化する。各結晶は、同数のRおよびSの異性体を含まねばならない。このように、形Fはラセミ型結晶である。この構造内での異性体の配置は不規則である。スルホキシド基のキラル硫黄に結合される酸素には2つの酸素原子位置があり、それぞれが86/14の比率で部分的に占有される。一見したところでは、この酸素原子位置は、形Aの構造と類似しているようだが、形Fの空間群に対称の中心が存在することから、ラセミ型であることがわかる。したがって、個々の形F結晶は同数の双方のエナンチオマーを含まなければならない。不規則な形F構造では、結晶学的部位の半分が約86/14のエナンチオマー比率または占有比率を有し、残りの半分は反対の約14/86の比率を有する。キラルHPLCおよび旋光度分析により、形Fおよびバルク原料の双方の単結晶がラセミ型であることが確認されている。
ラセミ型イラプラゾール形Bは、例えばアセトンまたはジクロロメタン/酢酸エチル等の非プロトン性溶媒から純粋な形で結晶化する。ラセミ型イラプラゾール形Bが非プロトン性溶媒から純粋な形で結晶化することは、製造上の利点につながる。例えば、形Bは、イラプラゾールを精製するのに用いてもよい。形Bは、良好な長期的安定性または貯蔵寿命を有する安定した結晶形でもある。形Bは、形Aよりも水溶媒に溶けやすい。実施例9で論じられている形A、B、およびFのバイオアベイラビリティ研究により、形Bが形Aよりも長い半減期を有し、長時間作用型医薬組成物の調整に有利に使用できることが示された。形Bには吸湿性がない。
形B、E、およびIは、個々の結晶構造の測定を行わなかったイラプラゾールのラセミ型結晶形である。個々の結晶構造のエナンチオマー組成物は知られていないものの、キラルHPLCにより、これらの形のそれぞれのバルク組成物はラセミ型、即ち各エナンチオマーの等モル混合物を含むことが確認されている。上述のように、これらの形について得られた、X線粉末回折(XRPD)パターン、固体13C CP/MAS NMRスペクトル、IRスペクトル、およびラマンスペクトルにより、各形を特定する特有のピークが示されている。各実施例に示されているように、形A、B、F、およびIの、例えば溶融開始温度や水分吸着/脱着プロファイル等の物理的特性も、特定の形によって異なる。
[医薬組成物および方法]
イラプラゾールは、胃酸分泌を阻害し、且つヒトを含む哺乳類において胃腸細胞保護作用をもたらすのに有用である。より一般的な意味では、イラプラゾールは、例えば胃炎、胃潰瘍、および十二指腸潰瘍等の、哺乳類における胃腸炎症性疾患の予防および治療に用いることができる。上述のように、このようなGI病は、例えば胃食道逆流症(GERD)、消化性潰瘍、ゾリンジャー・エリソン症候群(ZES)、潰瘍、および非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)性胃疾患を含む。また、ガストリノーマ患者、急性上部消化管出血患者、および慢性過剰飲酒歴を持つ患者等、細胞保護作用および/または胃分泌抑制作用が望ましい他の胃腸病の予防および治療にも、イラプラゾールを用いることができる
イラプラゾールに関して行われたフェーズ1臨床研究の結果、研究された投与量では、胃酸の抑制が24時間以上生じることが示唆された。イラプラゾールに関して行われたフェーズ2臨床研究では、研究された投与量のイラプラゾールは胃酸関連疾患患者に症状緩和をもたらし、酸関連の胃潰瘍および十二指腸潰瘍の急速な治癒を促した結果が示された。
したがって、本発明は、胃酸分泌の阻害に効果的な量の本発明に係るラセミ型イラプラゾールの結晶形と、薬学的に許容可能な担体とを含む、胃酸分泌を阻害するための医薬組成物に関する。医薬組成物について以下に説明する。
また、本発明は、様々な酸関連胃腸(GI)炎症性疾患、および、例えば上述の疾患等の疾患の治療に関し、胃腸細胞保護作用をもたらす。本発明は、胃酸分泌の阻害に十分な量の、本発明に係るラセミ型イラプラゾールの結晶形、またはこの結晶形を含有する医薬組成物を哺乳類に投与することにより、胃酸分泌を阻害する方法を提供する。また、本発明は、胃腸炎症疾患の治療に十分な量の、本発明に係るラセミ型イラプラゾールの結晶形、またはこの結晶形を含有する医薬組成物を哺乳類に投与することにより、哺乳類における胃腸炎症性疾患を治療する方法も提供する。本発明は、さらに、胃腸細胞保護作用をもたらすのに十分な量の、本発明に係るラセミ型イラプラゾールの結晶形、またはこの結晶形を含有する医薬組成物を哺乳類に投与することにより、哺乳類において胃腸細胞保護作用をもたらす方法も提供する。
本発明は、治療に効果的な量の、本発明のラセミ型イラプラゾールの結晶形および(薬学的に許容可能な賦形剤としても知られる)薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物に関する。また、この医薬組成物は、ラセミ型イラプラゾールの結晶形の混合物を含有してもよい。上述のように、ラセミ型イラプラゾールの結晶形は、様々な酸関連胃腸(GI)疾患の治療に有用である。これら疾患の治療のための医薬組成物は、特定の疾患を有する患者の治療に応じて適切に胃酸分泌を阻害するため、治療に効果的な量の本発明のラセミ型イラプラゾールの結晶形を含む。
(ここでは医薬組成物に関して記載されている)「ラセミ型イラプラゾールの結晶形の胃酸分泌を阻害するための治療に効果的な量」とは、胃酸分泌を阻害または抑制することによって様々な酸関連胃腸(GI)疾患を治療し、即ち、その作用を抑制して、様々な酸関連胃腸(GI)疾患を阻害または予防し、および/または胃腸細胞保護作用をもたらすために十分な量をいう。任意の特定の患者の治療に必要な実際量は、治療する疾病やその重症度;適用する特定の医薬組成物;患者の年齢、体重、健康状態、性別、食事;投与形態;投与時期;投与経路;本発明に係るラセミ型イラプラゾールの結晶形の排泄率;治療期間;適用した特定の化合物と併用または同時に使用した薬物;およびその他の医療分野で周知の要因等を含む様々な要因に依存するであろう。これらの要因は、参照によって本明細書に援用される、グッドマンおよびギルマンの「治療薬の薬理学的基礎」第10版、A.Gilman、J.HardmanおよびL.Limbird編、McGraw−Hill Press、155−173(2001)に記載されている。
ラセミ型イラプラゾールの結晶形の吸収は、いつ薬物が投与されたのかに関連して、いつ被験者が食物を摂取したのかに依存して変化し得る。また、特に食事が高濃度の脂質を含む場合、吸収率は摂取した食事の種類にも依存し得る。このため、これらの要因、およびプロトンポンプ阻害剤の吸収に影響し得る、当業者に周知のその他の要因が、胃酸分泌の阻害におけるラセミ型イラプラゾールの結晶形の有効性に影響し得る。絶食状態での投与に比べ、満腹状態または高脂質の食事の約5分前に投与した場合、ラセミ型イラプラゾ
ールの結晶形の吸収が遅れ、バイオアベイラビリティが上昇し得ることがわかっている。高脂質の食事の約1時間前にラセミ型イラプラゾールの結晶形を投与すると、絶食状態での投与中に見られる結果と同様の結果が得られる。これらの結果は、プロトンポンプ阻害剤の他の錠剤処方を用いて行われた同様の研究と一致する。
本発明の医薬組成物は、本発明に係るラセミ型イラプラゾールの結晶形を含有及び保持する任意の医薬品形態であってもよい。この医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、懸濁液、注射剤、局所投与剤、または経皮剤であってもよい。(例えば、遅延放出、持続/延長放出等の放出制御製剤を含む)適切な処方の包括的な開示は、参照によって全体が本明細書に援用される、米国公開出願第2006/013868号に見ることができる。注射剤および懸濁液に関しては、処方された組成物に、ラセミ型イラプラゾールの結晶形が存在するように処方されるべきである。
薬学的に許容可能な担体は、医薬組成物の種類によって、当該技術で周知の担体のいずれか1つまたはその組み合わせから選択してもよい。薬学的に許容可能な担体の選択は、医薬品形態および使用される所望の投与方法に依存する。本発明の医薬組成物、即ち本発明のラセミ型イラプラゾールの結晶形を有する医薬組成物に関しては、本発明のラセミ型イラプラゾールの結晶形を維持する担体を選択すべきである。即ち、担体は、実質的に、本発明のラセミ型イラプラゾールの結晶形を変化させるべきではない。さもなければ、担体は、例えば、望ましくない生物学的影響をもたらしたり、あるいは医薬組成物の他のいずれかの成分と有害な相互作用を起こす等して、本発明に係るラセミ型イラプラゾールの結晶形と不適合であってはならない。
本発明の医薬組成物は、好ましくは、投与の容易性および投与量の均一性のために単位投与量形態で処方される。「単位投与量形態」とは、治療を受ける患者にとって適切な治療薬の物理的な個別単位をいう。しかしながら、本発明のラセミ型イラプラゾールの結晶形およびその結晶形の本発明に係る医薬組成物の一日の合計投与量は、良好な医学的判断の範囲内で医者と相談することにより決定されるであろうことは理解されるであろう。
ラセミ型イラプラゾールの結晶形が前記投与量から第1および第2回分として放出される組成物で前記投与量を投与し、この第1および第2回分はそれぞれ血漿レベルを所望の濃度まで上昇させるのに十分な量のラセミ型イラプラゾールの結晶形を含有することが望ましいことがある。このような投与を達成するために適切な処方は、参照によって全体が本明細書に援用されるPCT公開出願第WO2006/009602号に開示されている。
本発明のラセミ型イラプラゾールの結晶形は、調製中に、より容易に維持されるため、本発明の医薬組成物としては固形剤型が好ましい。カプセル、錠剤、ピル剤、粉末、および顆粒を含む、経口投与用の固形剤型が特に好ましい。このような固形剤型では、活性化合物は、(薬学的に許容可能な賦形剤としても知られる)少なくとも1つの不活性の薬学的に許容可能な担体と混合される。固形剤型は、例えば、a)デンプン、乳糖、ラクトース一水和物、ショ糖、ブトウ糖、マンニトール、クエン酸ナトリウム、第二リン酸カルシウム、およびケイ酸等の充填剤または増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、ショ糖、およびアカシア等のバインダー、c)グリセロール等の保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、片栗粉またはタピオカ粉、アルギン酸、特定のケイ酸塩、デンプングリコール酸ナトリウム、および炭酸ナトリウム等の崩壊剤、e)パラフィン等の溶解遅延剤、f)第4級アンモニウム化合物等の吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート等の湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土等の吸収剤、i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、固体ポ
リエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム等の潤滑剤、およびj)コロイド状二酸化ケイ素等の流動促進剤を含む、1つ以上の当該技術で周知の医薬担体/賦形剤を含んでもよい。また、固形剤型は緩衝剤も含んでもよい。固形剤型は任意に乳白剤を含んでもよく、さらに場合によっては優先的に、腸管の特定の部分で、および/または任意に遅延させて、固形剤型が有効成分のみを放出するような組成物の種類であってもよい。参照によって全体が本明細書に援用される、レミントンの医薬品科学、第16版、E.W.Martin(Mack Publishing Co.、ペンシルベニア州イーストン、1980)は、医薬組成物の処方に用いられる様々な担体およびその担体の調製に関する既知の技術を開示している。また、本発明の医薬組成物の固形剤型は、原薬(API)の延長放出をもたらすように設計された製剤およびコーティングを含む、腸溶コーティングやその他の医薬品処方技術で周知のコーティング等のコーティングやシェルを用いて調製することも可能である。例えば、参照によって本明細書に援用される米国特許第6,605,303号は、プロトンポンプ阻害剤オメプラゾールの経口用延長放出製剤を記載している。したがって、固形剤型は、延長放出性または遅延放出性の製剤であってもよい。遅延放出性錠剤処方例を以下において実施例8で説明する。
本発明のラセミ型イラプラゾールの結晶形は、1つ以上の上述の担体を用いた固体マイクロカプセル形であってもよい。本発明のラセミ型イラプラゾールの結晶形のマイクロカプセル形は、ラクトースもしくは乳糖、さらに高分子量ポリエチレングリコール等の担体を用いて軟質および硬質ゼラチンカプセルにおいて使用されてもよい。
また、本発明は、上述のGI疾患の治療方法も提供する。本発明に係るラセミ型イラプラゾールの固体形およびこの固体形を含有する医薬組成物は、任意の量、任意の形態の医薬組成物および治療に効果的な任意の投与経路を用いて投与されてもよい。当業者に知られているような所望の投与量の適切な薬学的に許容可能な担体を用いた処方の後、本発明の医薬組成物は、治療すべき部位および状態の重症度に応じて、経口的に、経直腸的に、非経口的に、経静脈的に、大槽内に、膣内に、腹腔内に、(粉末、軟膏、またはドロップ等により)局所的に、頬側に、口腔用または鼻腔用スプレーとして等、ヒトや他の動物に投与可能である。上述のように、前記経路の1つにより本発明の医薬組成物を投与する場合、医薬組成物は、本発明の結晶形の1つであるラセミ型イラプラゾールを含有する。錠剤またはカプセルを用いた経口投与が一般的に好ましい。
特定の実施形態では、本発明に係るラセミ型イラプラゾールの結晶形は、所望の治療効果を得るために、1日当たり被験者の体重の約0.001mg/kg〜約50mg/kg、または約0.01mg/kg〜約25mg/kg、または約0.1mg/kg〜約10mg/kgの投与量レベルで、1日に1回以上の回数で投与されてもよい。0.001mg/kg未満または50mg/kgを超える(例えば50〜100mg/kg)投与量を被験者に投与可能であることも理解されよう。延長放出製剤の場合、投与量は、約5mg〜約80mg、好ましくは約10mg〜約50mgのイラプラゾール、より好ましくは約20mg〜約40mgの範囲となり得る。
[実施例]
実施例1は、イラプラゾールの調製について説明している。実施例2〜4は、ラセミ型イラプラゾールの3つの結晶形、形A、FおよびIの調製および特徴付けについて説明している。これらの固体形は、様々な技術によって特徴付けられた。各技術について以下に記載されている。実施例5は、ラセミ型イラプラゾール形AおよびFの溶解度研究について記載している。実施例6および7は、2つのさらなるラセミ型イラプラゾールの結晶形、形BおよびEの調製および特徴付けについて記載している。実施例8は、ラセミ型イラプラゾール形A、B、およびFを含有する遅延放出性錠剤処方について記載している。実施例9は、前記遅延放出性錠剤を用いたヒトのバイオアベイラビリティ研究について記載している。
示差走査熱量測定(DSC):ティー・エイ・インスツルメント社の示差走査熱量計2920またはQl000で分析が行われた。基準物質としてインジウムを用いてこの計器を較正した。試料をアルミニウムのDSCパンに入れ、重量を正確に記録した。試料セルは25℃で平衡化され、窒素でパージしながら10℃/分または40℃/分の速さで最終温度350℃まで加熱した。特定の加熱速度とパン構成とが各サーモグラム上のコメント部に特定される。パン構成は、次のように定義される:NCは非圧着であり、HSPは密閉されている。
動的蒸気吸着/脱着(DVS):VTI社製水分平衡装置SGA−100上でデータを収集した。吸着等温線に関しては、10%RH増分で5〜95%の相対湿度(RH)の吸着範囲および95〜5%のRHの脱着範囲を分析に用いた。試料は分析前に乾燥されなかった。分析に用いた平衡基準は、重量基準が満たされない場合、最大平衡時間3時間のうちの5分間において0.0100%未満の重量変化であった。試料の初期水分含量に関するデータは収集されなかった。
IR分光:Ever−Glo中/遠IR光源、広範囲臭化カリウム(KBr)電光分束鏡、および重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器を装備したMagna−IR860(登録商標)フーリエ変換赤外線(FT−IR)分光光度計(Thermo Nicolet)で、赤外線スペクトルを取得した。データ取得には、ゲルマニウム(Ge)結晶を用いた減衰全反射(ATR)アクセサリ(Thunderdome(商標)、Thermo Spectra−Tech)が使用された。スペクトルは、4cm-1のスペクトル分解能で収集された256の同時付加走査を表している。汚れのないGe結晶を使ってバックグラウンドデータの組が取得された。互いに対するこれら2つのデータの組の比率を得ることにより、Log1/R(R=反射率)スペクトルが取得された。ポリスチレンを用いて、波長較正が行われた。
溶液状態1H NMR分析:1H NMR分光法のための試料は、重水素化塩化メチレン、CD2CI2中〜5〜50mg溶液として調製された。INOVA−400分光計でスペクトルが得られた。このスペクトルは表1中の取得パラメータを用いて得られた。
Figure 0005315253
固体13C CP/MAS NMR分析(ssNMR):固体NMR分光法のための試料は、4mmのPENCIL型ジルコニアローターに当該試料を充填して調製された。1H交差分極(CP)およびマジック角回転(MAS)を用いたINOVA−400分光計でスペクトルが取得された。他の実施例に関して記載された例外とともに、特定の取得パラメータが表2に記載されている。
Figure 0005315253
熱重量分析(TGA):ティー・エイ・インスツルメント社製2950熱重量分析器上で熱重量分析が行われた。較正標準はニッケルおよびアルメル(商標)であった。各試料はアルミニウム試料皿に入れられ、TG炉内に挿入された。試料はそのまま周囲温度から開始され、その後、窒素流下で10℃/分の加熱速度で最終温度350℃まで加熱された。
ラマン分光法:FT−ラマン960分光計(Thermo Nicolet)上でフーリエ変換−ラマンスペクトルが取得された。この分光計は、1064nmの励起波長を使用する。約0.5WのNd:YVO4レーザー出力を用いて試料を照射した。インジウム・ガリウム・ヒ素(InGaAs)検出器を使ってラマンスペクトルが測定された。分析用試料は、キャピラリーに入れて調製された。Happ−Genzelアポディゼーションを用いて、4cm-1のスペクトル分解能で3600〜100cm-1から合計256の試料走査が収集された。硫黄とシクロヘキサンを用いて波長較正が行われた。
X線粉末回折(XRPD):以下に説明する2つの回折装置を用いて、XRPDパターンが得られた。
島津製XRD−6000回折装置:Cu Kα放射を用いて島津製XRD−6000X線粉末回折装置上で分析が行われた。この機器には、長い微小焦点X線管が装備されている。管電圧および管電流はそれぞれ、40kVと40mAとに設定された。発散および散乱スリットは1°で設定され、受光スリットは0.15mmで設定された。回折される電
磁波は、NaIシンチレーション検出器により検出された。2.5〜40°2θ、3°/分(0.4秒/0.02°ステップ)で、θ−2θ連続走査を用いた。機器の調整を確認するため、シリコン標準が分析された。分析用試料は、アルミニウム/シリコン試料ホルダーに当該分析用試料を入れて調製された。
Inel社製XRG−3000回折装置:120°の2θレンジを有する曲線位置高感度検出器を備えたInel社製XRG−3000回折装置上でも分析を行った。0.03°2θの分解能で、約4°2θで開始するCu Kα放射を用いてリアルタイムデータが収集された。管電圧および管電流はそれぞれ、40kVおよび30mAに設定された。試料は5分間または15分間流された。直接的なパターン比較を容易にするため、パターンは2.5〜40°2θで表示される。分析用試料は、薄壁ガラスキャピラリー内に当該分析用試料を充填して調製された。各キャピラリーは、データ取得中のキャピラリーの回転の動力化を可能にするゴニオメータの先端上に搭載された。機器の較正は、シリコン参照標準を用いて毎日行われた。
XRPDピークピッキング法:Inel社製機器から生成された、あらゆるXRPDファイルは、File Monkeyのバージョン3.0.4.を用いて島津の.rawファイルに変換された。この島津の.rawファイルは、島津のソフトウェアXRD−6000のバージョン4.1により処理され、自動的にピーク位置を見つけ出す。「ピーク位置」とは、ピーク強度プロファイルの最大強度を意味する。ピーク選択で用いられるパラメータは、そのデータの各パラメータの組で示される。島津製XRD−6000「Basic Process」のバージョン2.6アルゴリズムを使って、次の処理が用いられた。1)全てのパターンに平滑化が行われた。2)ピークの正味相対強度を見つけ出すために、バックグラウンドが除去された。さらに3)全てのパターンに関し、Cu K alpha1(1.5406Å)ピーク強度の50%で、Cu K alpha2(波長1.5444Å)ピークがパターンから除去された。この手法は、形Eを除き、全てのピークを選択するときに用いられた。形Eに関しては、デフォルトパラメータでMatch v 2.3.6を用いてピークが選択された。
各形のXRPDピークを列挙する各図は、上述のピークピッキング方法により選択されたピークを示している。各形のピークを列挙する表は、回折図で視覚的に提示されたピークを示している。特定の形を特徴的に定義するピークが特定される。I/Ioは相対強度である。
実施例1:ラセミ型イラプラゾール、形Aの調製
フラスコに3%NH4OH/アセトニトリル(MeCN)(6.00kg、15.0重量部)が入れられた。温度を5℃(2〜8℃)に調整した後、イラプラゾール(0.400kg)が入れられ、内容物は1時間攪拌された。このスラリーは濾別され、濾過ケーキは3%NH4OH/MeCN(2×0.400kg、2×1.00重量部)ですすがれた。
濾過ケーキがフラスコに入れられ、続いて0.5%NH4OH/EtOH(0.200kg、0.500重量部)が入れられ、蒸留が終わるまで減圧下において20〜25℃で濃縮された。0.5%NH4OH/EtOH(1.00kg、2.50重量部)がフラスコに入れられ、続いて塩化メチレン(2.40kg、6.00重量部)が入れられた。得られた溶液は、約1.0L(2.50体積)まで、減圧下において20〜25℃で濃縮された。0.5%NH4OH/EtOH(1.20kg、3.00重量部)が入れられ、混合物が約1.2L(3.00体積)まで減圧下において最大20〜25℃で濃縮された。0.5%NH4OH/EtOH(0.200kg、0.500重量部)が入れられ、この内容物が5℃(2〜8℃)に調整され、45分間攪拌された。このスラリーは濾別され、
0.5%NH4OH/EtOH(0.200kg、0.500重量部)、EtOH(0.200kg、0.500重量部)およびMTBE(2×0.200kg、2×0.500重量部)ですすがれた。濾過ケーキは2時間引上乾燥され、さらに92時間、最大温度53℃で真空下において乾燥された。ラセミ型イラプラゾール、形Aの収率:0.338kg(85%)。粒径:206。
実施例2:ラセミ型イラプラゾール形Aの調製および特徴付け
アセトンおよびトリエチルアミンにイラプラゾールを含む飽和溶液が、ナイロン製フィルターを介してガラス製の小瓶に濾過された。この開放された小瓶はその後、密室内でヘキサン蒸気に曝された。試料は周囲温度および周囲湿度で平衡化されてもよかった。デカンテーションにより回収された結晶は、複屈折性を有するクラスター化された針およびプレートの形態を有することが発見され、ラセミ型イラプラゾール形Aとして特定された。
上述のように、島津製XRD−6000X線粉末回折装置を用いて、ラセミ型イラプラゾール形AのXRPDパターンが得られた。測定条件が表3において記録されている。図5は、ラセミ型イラプラゾール形AのXRPDパターンを示している。表4は、XRPDパターンにおいて特定されたピークを記録している。このXRPDでは、8.0°2θ±0.2°2θ、13.2°2θ±0.2°2θ、および24.1°2θ±0.2°2θでのピークにより、ラセミ型イラプラゾール形Aを特徴付けることができる。他の特徴的グループは、8.0°2θ±0.2°2θ、31.6°2θ±0.2°2θ、32.0°2θ±0.2°2θ、35.5°2θ±0.2°2θ、36.1°2θ±0.2°2θ、36.3°2θ±0.2°2θ、37.8°2θ±0.2°2θ、および38.9°2θ±0.2°2θでのピークを含んでいる。
Figure 0005315253
Figure 0005315253
図6は、ラセミ型イラプラゾール、形AのTGAサーモグラムである。試料は、160℃までは0.3%の重量減少を示した。
図7は、ラセミ型イラプラゾール、形AのDSCサーモグラムである。吸熱開始は167℃(最大170℃)であった。
図8は、ラセミ型イラプラゾール、形AのプロトンNMRスペクトルである。5.32近辺のピークは、イラプラゾールではなく、溶媒によるものである。1.0および2.5近辺のピークは、溶液中のイラプラゾールを安定化するのに用いられるトリエチルアミン(TEA)によるものであり、イラプラゾールによるものではない。
図9は、ラセミ型イラプラゾール、形Aの固体13C CP/MAS NMRスペクトルである。このスペクトルは、176.5ppmでグリシンに対して外部参照される。固体13C NMRスペクトルにおけるピークが表5に記録されている。少量の形Fが固体13
NMRスペクトルで観察された。148.4ppmでのピークは形AとFとで一致するものの、表5では形Fに関連付けられたピークは記録されていない。
Figure 0005315253
図10は、ラセミ型イラプラゾール、形AのIRスペクトルである。表6は、IRスペクトルにおける吸収ピークを記録している。
Figure 0005315253
図11は、ラセミ型イラプラゾール、形Aのラマンスペクトルである。表7は、ラマン
スペクトルにおける吸収ピークを記録している。
Figure 0005315253
図12は、ラセミ型イラプラゾール、形AのDVS等温線である。DVS等温線は、5%RHで0.06%の重量減少、5%RHから95%RHまで0.10%の重量増加、および95%RHから5%RHまで0.13%の重量減少を示している。
ラセミ型イラプラゾール、形Aの構造の単結晶X線回折研究が行われた。ガラス繊維上にランダムな方位に載せられた、約0.44×0.35×0.13mmの寸法を有するラセミ型イラプラゾール、形Aの無色のプレートを用いて、データが収集された。ノニウス・カッパCCD回折装置上でMo Kα放射(λ=0.71073Å)を用いて、予備試験およびデータ収集が行われた。補正は、SHELX97(Sheldrick,G.M.SHELX97、結晶構造補正のためのプログラム,University of Gottingen,Germany,1997)を用いて、LINUX PC上で行われた。結晶図は、ORTEP(Johnson,C.K.ORTEPIII,Report
ORNL−6895,Oak Ridge National Laboratory,TN,U.S.A.1996; OPTEP−3 for Windows Vl.05,. Farrugia,L.J.,J.Appl.Cryst.1997,30,565)、CAMERON(Watkin,D.J.;Prout,C.K.;Pearce,L.J.CAMERON,Chemical Crystallography Laboratory,University of Oxford,Oxford,1996)、およびMercury(Bruno,I.J. Cole,J.C.Edgington,P.R.Kessler,M.K.Macrae,C.F.McCabe,P.Pearson,J.およびTaylor,R.Acta Crystallogr.,2002 B58,389)のプログラムを用いて、得られた。
2°<θ<27°の範囲で8027の反射の設定角度を用いて、データ収集のセル定数と方位マトリクスとが最小2乗補正から得られた。DENZO/SCALEPACK(Otwinowski,Z.;Minor,W.Methods Enzymol.1997,276,307)から補正されたモザイク性は0.54°であり、中程度の結晶品質を示している。空間群は、XPREPプログラム(Bruker,XPREP in SHELXTL v.6.12.,Bruker AXS Inc.,Madison,WI,USE,2002)により決定された。0k0 k=2nという条件の系統的存在から、およびその後の最小2乗補正から、空間群は、P2l(no.4)であることが決定された。データは、150±1Kの温度で、最大2θ値54.9°まで収集された。
DENZO−SMN(Otwinoski他、上記を参照)でフレームを統合することにより、データ整理が行われた。合計8027の反射が収集され、このうち3676が特異であった。ローレンツ補正および偏光補正がデータに適用された。Mo Kα放射の線吸収係数は2.0cm-1であった。SCALEPACK(Otwinoski他、上記を参照)を用いた経験的吸収補正が適用された。透過係数は0.94〜0.98の範囲であった。等価反射の強度は平均化された。平均化の一致係数は強度に基づいて4.3%であった。
構造は、SIR2004(Burla,M.C.,Caliandro,R.,Camalli,M,.Carrozzini,B.,Cascarano,G.L.,De Caro,L., Giacovazzo,C.,Polidori,G.,およびSpagna,R.,J.Appl.Cryst.2005,38,381)を用いた直接法によって解析された。引き続いて行われる差フーリエ合成により、残りの原子の位置が決定された。水素原子は補正に含まれたが、水素原子が結合する原子上に載せるために制限された。次の関数を最小化することにより、全マトリックス最小2乗で構造が補正された。
Figure 0005315253
散乱因子は、「結晶学の国際表」(International Tables for Crystallography,Vol.C,Kluwer Academic Publishers:Dordrecht,The Netherlands,1992,表4.2.6.8および6.1.1.4)から引用した。補正に用いられた3676の反射のうち、F0 2>2σ(Fo 2)を有する反射のみがRの算出に使用された。この計算には合計2844の反射が使用された。補正の最終サイクルは252個の変数パラメータを含み、以下の単純一致係数および加重一致係数と収斂された(最大パラメータシフトは当該最大パラメータシフトの推定標準偏差とほぼ等しかった):
Figure 0005315253
単位重量の観察の標準偏差は1.014であった。最終差フーリエにおける最も高いピークは、0.22e/Å3の高さがあった。最小負ピークの高さは−0.30e/Å3であった。絶対構造の決定因子(Flack,H.D.Acta Cryst.1983,A39,876)は−0.04(8)に補正された。
Mercury1.3と、単結晶データからの原子座標、空間群、および単位格子の各パラメータとを用いて、Cu放射の算出XRPDパターンが生成された。
表8には、ラセミ型イラプラゾール形Aの結晶データおよび結晶学的データ収集パラメータの概要が与えられている。単斜晶セル・パラメータおよび算出量は、a=10.8006(9)Å、b=7.3333(3)Å、c=11.5247(10)Å、α=90.00°、β=107.261(4)°、γ=90.00°、V=871.69(11)Å3である。イラプラゾール形Aの式量は366.44g/molで、Z=2の場合の算出密度は1.396g cm-3である。空間群はP21と決定された。得られた構造の品質は、R−値0.041(4.1%)が示すように、高い。ほとんどの信頼性をもって決定された構造では、R−値は、通常、0.02〜0.06の範囲が引用される。
Figure 0005315253
ラセミ型イラプラゾール形AのORTEP図が図13に示されている。原子は、50%確率の異方性熱楕円体で表されている。スルフィニル基に添加された第2の酸素の外観は、単位格子中の双方のエナンチオマーの存在が原因である可能性が非常に高い無秩序を表していることに留意すべきである。エナンチオマーの占有は、約75:25の比率に補正された。主エナンチオマーは、S2とO2aとの間の非中空結合で表され、副エナンチオマーはS2とO2bとの間の中空結合でそれぞれ表される。原料は、2つのエナンチオマーの化学量論比が1:1ではない稀な種類のラセミ化合物に属すると考えられる。この種類の化合物は、「特異な」ラセミ体と呼ばれることもある。図14に示された非対称ユニットは、4つごとに1つの分子が副エナンチオマーである充填配置を表す単一のイラプラゾール分子を含んでいる。
図14〜16に、結晶軸a、b、およびcに沿って見た充填図がそれぞれ示されている。形A結晶構造における充填配置は、結晶b軸に垂直に延在するイラプラゾール分子のシートとして説明することができる(図15)。形A結晶構造の算出密度(1.396g cm-3)は、形F結晶構造(1.391g cm-3)より僅かに高く、形Aが150Kでより安定した形態であると推測されることを示唆している。
1つのイラプラゾール分子のベンゾイミダゾール環の第2級アミン(N3)と、隣接するイラプラゾール分子のピリジン窒素(N26)との間に、水素結合が観察される。この水素結合ネットワークが、互いから約90°回転するイラプラゾール分子の複数のシートを形成し、その結果、一次元水素結合ネットワークとなる。この構造を詳しく検証すると、スルフィニル基の2つの酸素部位間の2つの密接な接触が明らかとなる。主エナンチオマーの酸素原子(O2a)とベンゾイミダゾール基の窒素原子第2級アミン(N3)との間に約3.4Åの密接な接触がある。水素原子はスルフィニル酸素と相互作用する位置にないことから、この密接な接触は水素結合相互作用ではない。副エナンチオマーの酸素原子(O2b)とエーテル結合との間の約3.3Åの第2の密接な接触は、孤立したペアであるため、実際には微弱な反発相互作用である可能性がある。この結晶構造では、他の潜在的相互作用は観察されなかった。
図17は、単結晶データから生成されたイラプラゾールの算出されたXRPDパターンを示している。図5に、イラプラゾール形Aの実験から得たXRPDパターンが示されている。図18は、ラセミ型イラプラゾール形Aの算出されたXRPDパターンと実験から得たパターンとの比較を示している。実験から得たパターンにおける全てのピークは、算出されたXRPDパターンで表されており、バルク原料が単相である可能性が高いことを示している。ピーク位置の僅かなシフトは、実験粉末パターンが周囲温度で収集され、単結晶データが150Kで収集されたことに起因する可能性が高い。構造の品質を高めるため、単結晶分析では低温度が用いられる。
原料が1つのエナンチオマーであった場合、この分子の絶対配置は、結晶を用いた特異なX線散乱の分析により決定されるであろう。その後、この特異な散乱の強度の違いが、各エナンチオマーの算出された散乱強度と比較される。それから、これらの測定強度と算出強度とをパラメータであるFlack因子に当てはめることができる。各結晶はエナンチオマーの混合物を含み、そのためエナンチオピュアではないため、図13におけるモデルの絶対配置は現在のデータの組で特異的に決定することはできない。
実施例3:ラセミ型イラプラゾール、形Fの調製および特徴付け
約153.4mgのラセミ型イラプラゾール形Aが、3mLのジクロロメタン(DCM)と10μLのトリエチルアミン(TEA)とを含む溶液に加えられた。この固体は、超音波処理を用いて溶解された。この溶液は、0.2ミクロンのナイロン製フィルタを介してガラス製の小瓶に濾過され、周囲室温で蒸発するまで放置された。約1日後、わずかに着色した固体が得られ、この固体は、形Fとして特定された。
また、以下の手順で、ラセミ型イラプラゾール、形Fが調製された。ラセミ型イラプラゾール(0.5g、形A)がEtOH/10%水(5mL、10体積部)中でスラリー化され、24時間0℃で攪拌された。得られた固体は濾別され、40℃で真空下で乾燥され、0.44gの形K、回収率87.8%が得られた。その後、ラセミ型イラプラゾール(40mg、形K)が無水EtOH(2mL、50vol)中でスラリー化され、5〜20℃の範囲の温度で24時間攪拌された。得られた固体は、濾別され、40℃で真空下で乾燥され、形Fが得られた。6℃のスラリー温度が好ましい。
上述のように、Inel製XRG−3000回折装置を用いて、ラセミ型イラプラゾール、形FのXRPDパターンが得られた。表9に測定条件が記録されている。図19は、ラセミ型イラプラゾール、形FのXRPDパターンを示している。表10は、XRPDパターンで特定されたピークを記録している。このXRPDでは、ラセミ型イラプラゾール、形Fは、9.4°2θ±0.2°2θ、17.5°2θ±0.2°2θ、18.8°2θ±0.2°2θおよび32.8°2θ±0.2°2θでのピークにより特徴付けることができる。他の特徴的なグループは、7.9°2θ±0.2°2θ、28.8°2θ±0.2°2θ、30.5°2θ±0.2°2θ、31.9°2θ±0.2°2θおよび35.8°2θ±0.2°2θでのピークを含んでいる。
Figure 0005315253
Figure 0005315253
図20は、ラセミ型イラプラゾール、形FのTGAサーモグラムである。試料は、150℃までは2.4%の重量減少を示した。
図21は、ラセミ型イラプラゾール、形FのDSCサーモグラムである。吸熱開始は、170℃(最大173℃)であった。
図22は、ラセミ型イラプラゾール、形FのプロトンNMRスペクトルである。5.32ppm近辺のあらゆるピークは、溶媒に起因するものであり、イラプラゾールに起因するものではない。1.0ppmおよび2.5ppm近辺のピークは、イラプラゾールに起因するものではなく、溶液中のイラプラゾールを安定化させるために用いられるTEAに起因するものである。
図23は、ラセミ型イラプラゾール、形Fの固体13C CP/MAS NMRスペクトルである。このスペクトルは、176.5ppmでグリシンに対して外部参照される。表11に、固体13C NMRスペクトルにおけるピークが記録されている。
Figure 0005315253
図24は、ラセミ型イラプラゾール、形FのIRスペクトルである。表12は、IRスペクトルにおける吸収ピークを記録している。
Figure 0005315253
図25は、ラセミ型イラプラゾール、形Fのラマンスペクトルである。表13は、ラマンスペクトルにおける吸収ピークを記録している。
Figure 0005315253
図26は、ラセミ型イラプラゾール、形FのDVS等温線である。このDVS等温線は、5%RHで0.04%の重量減少、5%RHから95%RHまで1.05%の重量増加、および95%RHから5%RHまで1.33%の重量減少を示している。
アセトン/塩化メチレン溶液から得られた結晶を用いて、ラセミ型イラプラゾール、形Fの単結晶X線回折研究が行われた。アセトン(2.0mL)と塩化メチレン(0.5mL)との溶媒混合物中で、イラプラゾール(〜35.8mg)とピペラジン(〜10.4mg)との溶液が室温で調製された。ヘキサン(5.0mL)が加えられ、混濁液が提供された。この小瓶は密封され、溶液は周囲条件で静置された。6日後観察されたラセミ型イラプラゾール、形Fの結晶がもとの試料から取り出された。
ガラス繊維上にランダムな方位に載せられた、約0.44×0.13×0.10mmの寸法を有するラセミ型イラプラゾール、形Fの無色の針を用いて、データが収集された。ノニウス・カッパCCD回折装置上でMo Kα放射(λ=0.71073Å)を用いて、予備試験およびデータ収集が行われた。補正は、SHELX97(Sheldrick,G.M.SHELX97、結晶構造補正のためのプログラム,University of Gottingen,Germany,1997)を用いて、LINUX PC上で行われた。
2°<θ<27°の範囲で22729個の反射の設定角度を用いて、データ収集のセル定数と方位マトリクスとが最小2乗補正から得られた。DENZO/SCALEPACK(Otwinowski,Z.;Minor,W.Methods Enzymol.1997,276,307)から補正されたモザイク性は、0.85°で、中〜低程度の結晶品質を示している。XPREPプログラム(Bruker,XPREP in SHELXTL v. 6.12.,Bruker AXS Inc.,Madison,WI,USE,2002)によって空間群が決定された。h0l h+l=2n、0k0 k=2nという状態の系統的存在から、およびその後の最小2乗補正から、空間群はP2l/n(no.14)と決定された。データは、150±1Kの温度で、最大2θ値54.94°まで収集された。
次のようにデータ整理が行われた。フレームは、DENZO−SMN(Otwinoski他、上記を参照)と統合された。合計22729個の反射が収集され、このうち2277個が特異であった。ローレンツ補正および偏光補正がデータに適用された。Mo Kα放射の線吸収係数は2.0cm-1である。SCALEPACK(Otwinoski他、上記を参照)を用いた経験的吸収補正が適用された。透過係数は0.912〜0.981の範囲であった。等価反射の強度が平均化された。第2減衰補正が適用された。最小2乗で補正された最終係数は、0.0010000(絶対単位)であった。平均化の一致係数は、強度に基づいて5.4%であった。
構造は、DIRDIF99のPATTY(P.T.Beurskens,G.Beurskens,R.deGelder,S.Garcia−Granda,R.O.Gould,R.IsraelおよびJ.M.M.Smits,DIRDIF−99プログラムシステム,Crystallography Laboratory,Univ.of Nijmegen,The Netherlands,1999)を用いて、直接法で解明された。その後の差フーリエ合成により、残りの原子が位置付けられた。水素原子は、補正に含まれたが、水素原子が結合する原子上に載せるために制限された。以下の関数を最小化することにより、全マトリックス最小2乗において構造が補正された。
Figure 0005315253
散乱因子は、「結晶学の国際表」(International Tables for Crystallography,Vol.C,Kluwer Academic Publishers:Dordrecht,The Netherlands,1992,表4.2.6.8および6.1.1.4)から引用された。補正に用いられた2277個の反射のうち、F0 2>2σ(Fo 2)を有する反射のみがRの算出に用いられた。この計算には合計1706個の反射が用られた。補正の最終サイクルは252個の変数パラメータを含み、以下の単純一致係数および加重一致係数と収斂された(最大パラメータシフトは当該最大パラメータシフトの推定標準偏差と本質的に等しかった):
Figure 0005315253
単位重量の観察の標準偏差は、1.07であった。最終差フーリエの最高ピークは、0.63e/Å3の高さであった。最小負ピークは、−0.46e/Å3の高さであった。
Cu−Kα放射に関する、算出されたXRPDパターンは、Mercury v1.3(Bruno,I.J.Cole,J.C.Edgington,P.R.Kessler,M.K.Macrae,C.F.McCabe,P.Pearson,J.およびTaylor,R.Acta Crystallogr.,2002 B58,389)と、単結晶データからの原子座標、空間群、および単位格子パラメータとを用いて、生成された。
ORTEP図は、ORTEPIII(Johnson,C.K.ORTEPIII,Report ORNL−6895,Oak Ridge National Laboratory,TN,U.S.A.1996、OPTEP−3 for Windows V1.05,Farrugia,L.J.,J.Appl.Cryst.1997,30,565)を用いて作成された。原子は50%確率の異方性熱楕円体で表されている。充填図は、CAMERON(Watkin,D.J.;Prout,C.K.;Pearce,L.J.CAMERON,Chemical Crystallography Laboratory,University of Oxford,Oxford,1996)モデリングソフトウェアを用いて作成された。水素結合は、破線で表されている。さらなる図面が、Mercury 1.3モデリングソフトウェアを用いて生成された。
表14には、ラセミ型イラプラゾール形Fの結晶データおよび結晶学的データ収集パラメータの概要が与えられている。単斜晶セルパラメータおよび算出された体積部は、a=11.8469(8)Å、b=7.2242(3)Å、c=20.9109(16)Å、α=90.00°、β=102.224(3)°、γ=90.00°、V=1749.0
7(19)Å3である。イラプラゾール形Fの式量は、366.44g/molであり、Z=4の場合、算出密度は1.391g cm-3である。空間群はP2l/nと決定された。得られた構造の品質は、R−値0.066(6.6%)が示すように、中程度である。ほとんどの信頼性をもって決定された構造では、R−値は通常0.02〜0.06が見積もられる。Glusker,Jenny Pickworth;Trueblood,Kenneth N.結晶構造分析:A Primer,2nd ed.;Oxford University press:New York,1985;p.87。
Figure 0005315253
図27に、ラセミ型イラプラゾール、形FのORTEP図が示されている。原子は50
%確率の異方性熱楕円体で表されている。単位格子中に双方のエナンチオマーが存在するため、スルフィニル基の酸素原子は不規則である。エナンチオマーの占有は、約86:14の比率に補正された。ORTEP図(図27)は、S2とO10aとの間の固体結合を有する主エナンチオマーと、S2とO10bとの間の中空結合を有する副エナンチオマーとをそれぞれ強調している。原料は、2つのエナンチオマーの化学量論比が1:1ではない「特異な」ラセミ体と呼ばれる稀な種類の化合物の例であると考えられる。
図28〜30に、結晶軸a、b、およびcに沿って見た充填図がそれぞれ示されている。形F結晶構造におけるイラプラゾール分子の充填配置は、結晶b軸に垂直に延在するイラプラゾール分子のシートとして説明することができる(図29)。この結晶構造からのイラプラゾール分子(図27)と形A結晶構造からのイラプラゾール分子(図13)とを重ね合わせると、この2つの結晶構造におけるイラプラゾール分子は立体配座的に著しく類似していることがわかった。この形F結晶構造は、交互ABAB配置で充填するイラプラゾール分子の層からなる。
1つのイラプラゾール分子のベンゾイミダゾール環の第2級アミン(N3)と、隣接する分子のピリジン窒素(N16)との間に水素結合が観察され、その結果、ラセミ型イラプラゾール、形Aと同様の水素結合パターンが観察された。この構造を詳しく検証すると、スルフィニル基の2つの酸素部位間の2つの密接な接触が明らかとなる。主エナンチオマーの酸素原子(O10a)とベンゾイミダゾール基の窒素原子第2級アミン(N3)との間に約3.2Åの密接な接触がある。水素原子はスルフィニル酸素と相互作用する位置にないことから、この密接な接触はポテンシャル水素結合相互作用ではない。副エナンチオマーの酸素原子(O10b)とエーテル結合の酸素原子(O13l)との間の約3.0Åの第2の密接な接触は、距離の短さ(形Fで3.0Å、形Aで3.4Å)が副エナンチオマーの占有(形Fで〜14%、形Aで〜25%)と関係すると考えられるため、おそらく微弱な反発相互作用である。
この2つの形の分子立体配座は非常に似ているが、充填は異なる。図31に、ラセミ型イラプラゾール、形Aおよび形Fの結晶b軸に沿った充填が示されている。形A結晶構造では、層は結晶c軸に平行に延在している一方、形Fでは層はc軸に垂直に延在している。形F結晶構造の場合、層は交互に増殖しており、c軸パラメータの倍加の原因となっている。形A結晶構造の算出密度(1.396g cm-3)は、形F結晶構造の算出密度(1.391g cm-3)より僅かに高く、形Aが0Kでより安定化するであろうことを示唆している。
図31は、単結晶データから生成されたイラプラゾール、形Fの算出されたXRPDパターンを示している。図32に、イラプラゾール、形Fの実験で得たXRPDパターンが示されており、図33に、算出された粉末回折パターンと実験で得た粉末回折パターンとの比較が示されている。実験で得たパターンにおける全てのピークは、算出されたXRPDパターンで表されており、バルク原料が単相である可能性が高いことを示している。ピーク位置における僅かなシフトは、実験で得た粉末パターンが周囲温度で収集され、単結晶データが150Kで収集されたことに起因する可能性が高い。構造の品質を高めるため、単結晶分析では低温度が用いられる。
実施例4:ラセミ型イラプラゾール、形Iの調製および特徴付け
約3分間余剰固体で超音波分解することにより、3mLのメタノール(MeOH)と10μLのトリエチルアミン(TEA)とを含む溶液は、ラセミ型イラプラゾール、形Aで飽和された。得られたスラリーは、0.2ミクロンのナイロン製フィルターを介してガラス製の小瓶に濾過された。この小瓶はふたをして、冷凍庫に入れられた。約2日後、得られた白い固体は、可変溶媒和物と考えられるメタノール溶媒和物、形Gとして、真空濾過
により収集された。小さなへら一杯の形G(例えば、>30mg)が、1ドラムのガラス製の小瓶に入れられた。開放された小瓶は、真空下で周囲温度に曝された。約1日後、白い固体が形Iとして得られた。
上述のように、Inel製XRG−3000回折装置を用いて、ラセミ型イラプラゾール、形IのXRPDパターンが得られた。表15に、測定条件が記録されている。図34は、ラセミ型イラプラゾール、形IのXRPDパターンを示している。表16は、XRPDパターンで特定されたピークを記録している。このXRPDでは、11.9°2θ±0.2°2θ、17.1°2θ±0.2°2θ、21.5°2θ±0.2°2θおよび25.1°2θ±0.2°2θでのピークにより、ラセミ型イラプラゾール、形Iを特徴付けることができる。他の特徴的グループは、5.9 2θ±0.2°2θ、12.2 2θ±0.2°2θ、および35.6 2θ±0.2°2θでのピークを含んでいる。
Figure 0005315253
Figure 0005315253
図35は、ラセミ型イラプラゾール、形IのTGAサーモグラムである。試料は、30℃までは0.9%の重量減少、30〜120℃では0.4%の重量減少を示した。
図36は、ラセミ型イラプラゾール、形IのDSCサーモグラムである。吸熱開始は113℃(最大134℃)で生じた。
図37は、ラセミ型イラプラゾール、形IのプロトンNMRスペクトルである。5.32ppm近辺のあらゆるピークは、イラプラゾールに起因するものではなく、溶媒に起因するものである。1.0ppmおよび2.5ppm近辺のピークは、溶液中のイラプラゾールを安定化させるために用いられるTEAに起因するものであり、イラプラゾールに起因するものではない。
図38は、ラセミ型イラプラゾール、形IのIRスペクトルである。表17は、IRスペクトルにおける吸収ピークを記録している。
Figure 0005315253
図39は、ラセミ型イラプラゾール、形Iのラマンスペクトルである。表18は、ラマ
ンスペクトルにおける吸収ピークを記録している。
Figure 0005315253
図40は、ラセミ型イラプラゾール、形IのDVS等温線である。このDVS等温線は、5%RHで0.1%の重量減少、5%RHから95%RHまで4.2%の重量増加、95%RHから5%RHまで4.2%の重量減少を示している。
実施例5:ラセミ型イラプラゾール、形Bの調製および特徴付け
周囲温度で約5分間余剰固体を用いて超音波分解することにより、10mLのアセトンを含む溶液は、イラプラゾール、形Aで飽和された。得られたスラリーは、0.2ミクロンのナイロン製フィルターを介してガラス製の小瓶に濾過された。この小瓶はふたをして、冷蔵庫に入れられた。11日後、得られた白い固体は、真空濾過により形Bとして収集された。
上述のように、Inel製XRG−3000回折装置を用いて、ラセミ型イラプラゾール、形BのXRPDパターンが得られた。表19に、測定条件が記録されている。図41は、ラセミ型イラプラゾール、形BのXRPDパターンを示している。表20は、XRPDパターンにおいて特定されたピークを記録している。このXRPDでは、ラセミ型イラプラゾール、形Bは、6.8°2θ±0.2°2θ、9.1°2θ±0.2°2θ、22.0°2θ±0.2°2θおよび25.5°2θ±0.2°2θでのピークにより特徴付けることができる。他の特徴的グループは、3.7 2θ±0.2°2θ、6.0°2θ±0.2°2θ、6.8 2θ±0.2°2θ、9.1 2θ±0.2°2θ、12.1
2θ±0.2°2θ、および31.4 2θ±0.2°2θでのピークを含んでいる。
Figure 0005315253
Figure 0005315253
図42は、ラセミ型イラプラゾール、形BのTGAサーモグラムである。試料は、150℃までは0.2%の重量減少、および150〜175℃では5.8%の重量減少を示した。
図43は、ラセミ型イラプラゾール、形BのDSCサーモグラムである。吸熱開始は159℃(最大163℃)で発生した。
図44は、ラセミ型イラプラゾール、形BのプロトンNMRスペクトルである。5.32ppm近辺のあらゆるピークは、イラプラゾールに起因するものではなく、溶媒に起因するものである。1.0ppmおよび2.5ppm近辺のピークは、溶液中のイラプラゾ
ールを安定化させるのに用いられるTEAに起因するものであり、イラプラゾールに起因するものではない。
図45は、ラセミ型イラプラゾール、形Bの固体13C CP/MAS NMRスペクトルである。このスペクトルは、176.5ppmでグリシンに対して外部参照される。表21に、固体13C NMRスペクトルにおけるピークが記録されている。
Figure 0005315253
図46は、ラセミ型イラプラゾール、形BのIRスペクトルである。表22は、IRスペクトルにおける吸収ピークを記録している。
Figure 0005315253
図47は、ラセミ型イラプラゾール、形Bのラマンスペクトルである。表23は、ラマ
ンスペクトルにおける吸収ピークを記録している。
Figure 0005315253
図48は、ラセミ型イラプラゾール、形BのDVS等温線である。このDVS等温線は、5%RHで0.03%の重量減少、5%RHから95%RHまで0.04%の重量増加、および95%RHから5%RHまで0.00%の重量減少を示している。
実施例6:イラプラゾール溶解度研究
ラセミ型イラプラゾール、形A、B、およびFを様々なpHを有する様々なエタノール溶液に1時間曝すことにより、ラセミ型イラプラゾール、形A、B、およびFの溶解度が分析された。2日目に各試料に対して二重分析が行われた。最初の列に、100%エタノール(pH調整なし)の溶解度が示されている。様々な見かけのpH(7、8、9、10、および11)を有する様々な他の水溶液(87.5%、75%、62.5%、および50%エタノール)も評価された。以下の数値は全て、異なる日に分析された2つの二重調製の平均値である。表24に結果が示されている。
Figure 0005315253
イラプラゾール、形A、B、およびFを様々なpHの90%エタノール溶液に1時間曝すことにより、イラプラゾール、形A、B、およびFの溶解度が分析された。これらの結果の再現性を検証するために、分析は2回繰り返された。表25に結果が示されている。
Figure 0005315253
実施例7:ラセミ型イラプラゾール、形Eの調製および特徴付け
約82.0mgのラセミ型イラプラゾール形Aが、6mLのMeOHと6μLのトリエチルアミンとを含む溶液に加えられた。この固体は、超音波処理を用いて溶解された。この溶液は、0.2ミクロンのナイロン製フィルターを介してガラス製の小瓶に濾過された。この小瓶の開口部は、5つのピンホールを含むアルミ箔で覆われ、周囲室温で蒸発するまで放置された。約6日後、濃緑色の固体が得られ、形Eとして特定された。
Inel製XRG−3000回折装置を用いて、ラセミ型イラプラゾール、形EのXRPDパターンが得られた。表26に、測定条件が記録されている。図49は、ラセミ型イラプラゾール、形EのXRPDパターンを示している。表27は、XRPDパターンにおいて特定されたピークを記録している。このXRPDでは、ラセミ型イラプラゾール、形Eは、8.1°2θ±0.2°2θ、10.1°2θ±0.2°2θ、および12.8°2θ±0.2°2θでのピークにより特徴付けることができる。他の特徴的グループは、31.1°2θ±0.2°2θでのピークを含んでいる。
Figure 0005315253
Figure 0005315253
図50は、イラプラゾール、形EのTGAサーモグラムである。このTG曲線は、100℃まではごくわずかな重量減少(<0.02%)を示しており、原料が非溶媒和物であることを示している。おそらく分解の影響により、100〜170℃までは5.3%の重
量減少が観察される。
図51は、ラセミ型イラプラゾール、形EのDSCサーモグラムである。形Eは、99℃付辺で軽微な吸熱、および163℃(開始:157℃)付近で吸熱を示し、その直後に顕著な発熱を示している。軽微な吸熱の特性は調査されなかった。残りのDSCイベントは、溶解および分解の同時発生に起因する可能性が最も高い。
図52は、CD2Cl2中におけるラセミ型イラプラゾール、形Eの1H NMRスペクトルである。5.32ppm付辺のあらゆるピークは、イラプラゾールに起因するのではなく、溶媒に起因するものである。
図53は、ラセミ型イラプラゾール、形Eの固体13C CP/MAS NMRスペクトルである。このスペクトルは、176.5ppmでグリシンに対して外部参照される。表28に、固体13C NMRスペクトルにおけるピーク位置が記録されており、0.1ppm未満は切り捨てられている。62.4で生じているピークは、賦形剤ピークと重なり得る。
Figure 0005315253
図54は、ラセミ型イラプラゾール、形EのIRスペクトルを示している。表29に、IRピークが記載されている。
Figure 0005315253
実施例8:遅延放出性錠剤の処方
40mgのラセミ型イラプラゾール、形A、B、またはFを含有する遅延放出性錠剤が
調製され、その錠剤の溶出速度が調べられた。これらの錠剤は、イラプラゾールの結晶形を除き、同一であった。表30に、ラセミ型イラプラゾール遅延放出性錠剤(形A、B、およびFを用いて作成された組成物を含む)40mgの定性的、且つ定量的な組成が示されている。遅延放出性錠剤40mgが、図55に示された製造工程に従って調製された。
Figure 0005315253
USP<711>、遅延放出法Aと一致させ、且つ試験の酸段階におけるUV検出波長を変化させるため、溶出速度手順が変更された。酸段階では340nmの波長が用いられ、緩衝剤段階では306nmの波長が用いられた。望ましい溶解プロファイルは、60分でQ=70%であった。表31に、ラセミ型イラプラゾール形A、B、およびFを含有する錠剤の溶解プロファイルが示されている。
Figure 0005315253
イラプラゾール形A、F、およびBの相対溶解度データ(A<F<B)に基づくと、形B錠剤の比較的ゆっくりとした溶解プロファイルは想定外であった。形B薬物を含有する錠剤は、形Aおよび形Fに比べると粒径分布が比較的小さかった。形Bは、形Aおよび形Fよりも、溶解緩衝剤中での湿潤および溶解が遅かった。
実施例9:ラセミ型イラプラゾール、形A、B、またはFを含有する遅延放出性錠剤からのイラプラゾールのバイオアベイラビリティ研究
ラセミ型イラプラゾール、形A、B、およびFを含有する遅延放出性錠剤からのイラプラゾールのバイオアベイラビリティ研究は、実施例8に記載されたように製造されたイラプラゾール40mg遅延放出性錠剤からのイラプラゾールのバイオアベイラビリティを評価するものであった。
研究デザインおよび投与:被験者は、3つの順序グループの一つに、人数が均等になるように無作為に割り当てられた(表32)。
Figure 0005315253
被験者は、無作為に割り当てられた順序グループに従って、交差する様式で全ての投薬計画を受け取った。1つの期間ごとに、拘束は1日目に開始され、全手順の完了後2日目に終了した。各期間の投薬間に少なくとも5日間の洗い出し間隔があった。各被験者は、3回の投与分のラセミ型イラプラゾール40mgを受け取り、各回では240mLの水とともに投与された。各期間の1日目に、被験者は約0800時間で割り当てられた投薬計画を受け取った。被験者は、投与前10時間絶食し、標準的な昼食が提供される投薬後4時間まで絶食が続けられた。
試料収集および生物分析:1つの期間につき、1日目の0時間(投与前)で開始され、投与後0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、8、10、12、14、16、20、24、28および32時間で収集された3mLの血液試料から、イラプラゾール、硫化イラプラゾールおよびイラプラゾールスルホンの血漿濃度が決定された。PPD(Middleton, WI)で立証されたLC−MS/MS法を用いて、イラプラゾールの血漿濃度が決定された。イラプラゾールおよび該イラプラゾールの代謝産物の定量下限(LLOQ)は、0.100mLの血漿アリコートで5.00ng/mLであった。
薬物動態および統計解析:WinNonlin Professional Version 4.1(Pharsight Co.,Mountain View,CA)を使用し、標準的な非区画法を用いて、イラプラゾールの薬物動態パラメータが推定された。
薬物動態終点は、最初の定量化可能な濃度に達するまでの時間(tlag)、ピーク濃度に達するまでの時間(tmax)、ピーク血漿濃度(Cmax)、0時間から最後の定量可能な濃度(AUCt)および無限(AUC∞)までの血漿濃度対時間曲線(AUC)下の面積、終末消失半減期(t1/2z)、見かけの経口クリアランス(CL/F)および見かけの分布容積(Vz/F)を含んでいた。
maxとAUCsのイラプラゾールtlag、tmax、および自然対数に関し、順序、期間、および結晶形の固定効果、および順序内にネストされた被験者の変量効果を含む分散分析(ANOVA)モデルが準備された。ラセミ型イラプラゾール、形BまたはFと形Aとのペア比較が行われた。各投薬計画間の相対バイオアベイラビリティに関する90%信頼区間が算出された。
薬物動態結果:図56に、ラセミ型イラプラゾール、形A、BまたはFとしてのイラプラゾールの1回分の40mg経口投与後の、イラプラゾールの平均濃度対時間プロファイル(線形および対数線形)が示されている。
表33に、ラセミ型イラプラゾール、形A、BまたはFの1回分の40mg経口投与後の血漿イラプラゾール濃度の平均薬物動態パラメータ推定値が示されている。
Figure 0005315253
投与されたラセミ型イラプラゾールの形に拘わらず、イラプラゾールtlagおよびtmaxは同様であった。イラプラゾール平均tlagは平均約1.2時間、および平均tmaxは3.5〜4.1時間の範囲であった。イラプラゾール平均CmaxおよびAUC値は、形Aが最高で、形Bが最低であった。形Bからのイラプラゾールの平均CmaxおよびAUC∞値は、形Aで観察された値に比べ、それぞれ約20%および25%低かった。形Fからのイラプラゾールの平均CmaxおよびAUC∞値は、形Aで観察された値に比べ、それぞれ約15%および14%低かった。調和平均t1/2z値は、形A、B、およびFで同様であり、約7.0〜7.8時間の範囲であった。見かけの経口クリアランスおよび分布容積の平均値は、形Bで最高、形Aで最低であった。表34に、ANOVA統計分析の結果がまとめられている。
Figure 0005315253
形Bとしての1回分の経口投与40mgの錠剤(投薬計画B)としてラセミ型イラプラゾールが投与されたときの中央値の、形Aとしての1回分の経口投与40mgの錠剤(投薬計画A)に対する比率に関する90%信頼区間の中央値の下限は、Cmax、AUC、およびAUC∞の生物学的同等性下限の0.80以下であり、信頼区間は1を含まなかった。CmaxおよびAUCについては、形Bの値は形Aで観察された値よりもそれぞれ約17%および24%低いことを推定値は示した。
形Fとしての1回分の経口投与40mgの錠剤(投薬計画C)としてイラプラゾールが投与されたときの中央値の、形Aとしての1回分の経口投与40mgの錠剤(投薬計画A)に対する比率に関する90%信頼区間の下限は、Cmax、AUC、およびAUC∞の生物学的同等性下限の0.80以下であり、信頼区間は1を含まなかった。形Fを投与後のイラプラゾールCmaxおよびAUCの値は、形Aで観察された値よりもそれぞれ約15%および15〜17%低いことを推定値は示した。
薬物動態概要:形Bを含有する遅延放出性錠剤としてのイラプラゾールの1回分の40mg経口投与後、イラプラゾールCmaxおよびAUCで測定された合計全身暴露は、形Aを含有する遅延放出性錠剤としてのイラプラゾールの1回分の40mg経口投与に比べ、それぞれ約17%および24%低かった。
形Fを含有する遅延放出性錠剤としてのイラプラゾールの1回分の40mg経口投与した後、イラプラゾールCmaxおよびAUCで測定された合計全身暴露は、形Aを含有する遅延放出性錠剤としてのイラプラゾールの1回分の40mg経口投与に比べ、それぞれ約15%および15〜17%低かった。
実施例10:40mg延長放出製剤におけるラセミ型イラプラゾール、形A、B、Fの固体13C NMR研究
13C CP/MAS ssNMRを用いて、40mgのラセミ型イラプラゾール、形A、B、およびFを含有する遅延放出性錠剤が研究された。主形態中の少量の不純物としての各形の推測検出レベルは、3つの形全てで約15%であった。3つの形全てでほぼ同じ反応が確実に得られるようにするために、且つ観察される各形が高反応性または低反応性を確実に有さないようにするために、緩和遅延および交差分極接触時間は、イラプラゾールの結晶形ごとに個別に最適化された。3つの形全てで、最適緩和遅延は10秒、および最適交差分極接触時間は4ミリ秒で、これらの条件がこの研究に用いられた。図57に示すように、13C CP/MAS ssNMRは、各形の優れた特異性を示している。図57は、3つの形の最良の特異性を有する領域が40mgの賦形剤のみのプラセボ混合物のピークと重ならないことを表している。表35に、各形およびプラセボ混合物のピーク位置がまとめられている。純粋なAPIで錠剤形の形特定に適した4つの特徴的ピークが、各形ごとに選択され、表36に記載されている。
Figure 0005315253
Figure 0005315253

Claims (7)

  1. 139.1および12.6でピークを有する固体13C CP/MAS NMRスペクトルにより特徴付けられ、さらに、8.0°2θ±0.2°2θ、13.2°2θ±0.2°2θ、24.1°2θ±0.2°2θ、および32.0°2θ±0.2°2θでピークを有する粉末X線回折パターンによりさらに特徴付けられる、ラセミ型イラプラゾールの結晶形。
  2. 167℃の開始温度を有する示差走査熱量測定サーモグラムによりさらに特徴付けられる、請求項1のラセミ型イラプラゾールの結晶形。
  3. 治療に有効な量の請求項1のラセミ型イラプラゾールの結晶形と薬学的に許容可能な担体とを含む、胃酸分泌を阻害するための医薬組成物。
  4. 10mg〜50mgのラセミ型イラプラゾールを含有する、請求項3の医薬組成物。
  5. 前記医薬組成物は、遅延放出性医薬組成物であることを特徴とする、請求項4の医薬組成物。
  6. 治療に有効な量の請求項1のラセミ型イラプラゾールの結晶形を、必要とする患者に投与することを含む、哺乳類における胃腸炎症性疾患の治療のための医薬組成物。
  7. 投与されるラセミ型イラプラゾールの量は、1日当たり被験者の体重の0.001mg/kg〜50mg/kgの範囲であることを特徴とする、請求項6の医薬組成物。
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