(第1実施形態)
図1〜図3を用いて第1実施形態について説明する。
まず、図1を用いて本発明の第1実施形態に係る動力伝達装置1が適用される車両の動力系の一例について説明する。
図1に示すように、車両の動力系は、エンジン401や電動モータ403などの駆動源と、変速機構としてのトランスミッション405と、前輪側の左右輪の差動を許容する第1のデフ407と、前車軸409,411と、前輪413,415と、トランスファ417と、プロペラシャフト419と、動力伝達装置1と、後輪側の左右輪の差動を許容する第2のデフ75と、後車軸421,423と、後輪425,427などから構成されている。なお、トランスミッション405の近傍には、変速用としての電動モータ429がトランスミッション405と連結して配置されている。
駆動源の駆動力はトランスミッション405から第1のデフ407のデフケース431を介してピニオン433に伝達され、一対のサイドギヤ435,437に連結された前車軸409,411から前輪413,415に配分されると共に、デフケース431と連結した中空軸439に分岐されてトランスファ417に伝達される。このトランスファ417に伝達された駆動力は、中空軸439から変換ギヤ組441によって方向変換され、プロペラシャフト419を介して動力伝達装置1側に伝達される。
この動力伝達装置1に伝達された駆動力は、断続機構23がバッテリなどの電源443に接続され、スロットルやアクセル開度、エンジン回転数、車速、前後輪や左右輪回転数、ステアリング角度などを検知する各種センサ445の情報が入力されるコントローラ447に接続されたアクチュエータ57によって制御可能に接続されると、第1のギヤ3と第2のギヤ5とからなるギヤ機構7を介して第2のデフ75に伝達される。この第2のデフ75に伝達された駆動力は、デフケース77を介してピニオン79に伝達され、一対のサイドギヤ81,83に連結された後車軸421,423から後輪425,427に配分され、車両は前後輪駆動の4輪駆動状態になる。また、断続機構23の接続が解除されると、車両は前輪駆動の2輪駆動状態になる。以下、動力伝達装置1について説明する。
本実施の形態に係る動力伝達装置1は、互いの噛み合いにより動力伝達を行う第1のギヤ3と第2のギヤ5とからなるギヤ機構7と、第1のギヤ3を第1のベアリング9を介して支持し、第2のギヤ5を収容する第1の開口11を有した第1のケーシング13と、この第1のケーシング13の第1の開口11に固定され、第1のケーシング13と共にギヤ機構7の収容空間を形成する第2のケーシング15と、内側回転部材17と、外側回転部材19と、内側回転部材17と外側回転部材19との間に配置されたクラッチ部材21とを有した断続機構23と、第1のギヤ3に一体に設けられた軸部25の中間部外周に嵌合して径方向に支持される第1のベアリング9及び内側回転部材17を軸部25の先端部側に固定されて第1のギヤ3に対して軸方向に位置決めする固定部材27と、第1のケーシング13に延設して形成され第2の開口29を有して断続機構23が内周に配置され、外側回転部材19の外径より大径の内周壁面31を有して形成され、第2の開口29側の内周壁面31に第2のベアリング33を介して外側回転部材19の軸方向端部側が支持される筒状壁35とを有する。
また、第1のベアリング9におけるアウタレース37とインナレース39との間、及び第2のベアリング33に対して第2の開口29の軸方向端側の内周壁面31と外側回転部材19との間には、それぞれシール部材41,43が配置され、断続機構23の外周側に区画空間が形成されている。
さらに、第1のベアリング9は一対の転動体45,47を有し、この一対の転動体45,47は1つのアウタレース37に対して転動するベアリングであり、アウタレース37は、第1のケーシング13における筒状壁35の第2の開口29と異なる側に連続する基部49側の径方向壁51に対して複数のボルト53で固定されている。
また、断続機構23は、外部トリガー55と連結してクラッチ部材21の締結力を制御可能なアクチュエータ57を有し、外部トリガー55は、筒状壁35の基部49側における複数のボルト53の締結位置の周方向間の位置でアクチュエータ57と連結されている。
さらに、断続機構23は、クラッチ部材21の締結力を制御可能なアクチュエータ57を有し、外側回転部材19は、底壁59と、この底壁59の一端側に一体的に形成されクラッチ部材21を収容し、他端側で開口61を有した円筒壁63とからなる有底円筒状部材65と、この有底円筒状部材65と連結して他端側の開口61を閉塞する端壁部材67とを有し、アクチュエータ57は端壁部材67に隣接して設けられ、有底円筒状部材65と端壁部材67との連結部69は、軸方向位置がアクチュエータ57と第2のベアリング33との間に位置している。
図1〜図3に示すように、ギヤ機構7は、第1のギヤ3と、第2のギヤ5とからなる。第1のギヤ3は、軸部25と、ギヤ部71とを備えている。軸部25は、中実の軸状に形成され、第1のベアリング9を介して第1のケーシング13に回転可能に支持されている。ギヤ部71は、ピニオンとなっており、軸部25と連続する一部材として形成されている。このギヤ部71は、第2のギヤ5と噛み合い駆動力を第2のデフ75側に伝達する。
第2のギヤ5は、リングギヤとなっており、固定手段としてのボルト73によってデフケース77の外周にデフケース77と一体回転可能に固定されている。この第2のギヤ5は、第1のギヤ3と噛み合うベベルギヤ式のギヤ組をなしており、第1のギヤ3から入力される駆動力を方向変換して第2のデフ75側に出力する。
第2のデフ75は、デフケース77と、ピニオン79と、一対のサイドギヤ81,83とを備えている。デフケース77は、ベアリング85,87を介して第1のケーシング13と第2のケーシング15に対して回転可能に支持され、ギヤ機構7に伝達された駆動力が伝達される。このデフケース77には、ピニオン79と、一対のサイドギヤ81,83とが収容されている。
ピニオン79は、デフケース77と一体回転するピニオンシャフト89に支承されてデフケース77の回転によって公転する。また、ピニオン79は、一対のサイドギヤ81,83に駆動力を伝達すると共に、噛み合っている一対のサイドギヤ81,83に差回転が生じると回転駆動されるようにピニオンシャフト89に自転可能に支持されている。
一対のサイドギヤ81,83は、デフケース77に相対回転可能に支持され、ピニオン79と噛み合っている。この一対のサイドギヤ81,83には、車両の後輪425,427にそれぞれ連結された一対の駆動軸(不図示)が一体回転可能に連結され、左右輪側に駆動力を伝達する。
このような第2のデフ75側に駆動力を伝達するギヤ機構7は、第1のケーシング13と第2のケーシング15とで形成される収容空間に収容されている。
第1のケーシング13は、筒状に形成され、第1のベアリング9を介して第1のギヤ3の軸部25を支持している。また、第2のデフ75の一対のサイドギヤ81,83の回転軸心が位置する部分には、第2のギヤ5を内部に収容させるための第1の開口11が形成されている。この第1の開口11は、第2のギヤ5が固定されたデフケース77を第1の開口11から収容、すなわち第2のデフ75を第1の開口11から収容した後、第2のケーシング15によって閉塞される。
第2のケーシング15は、第1のケーシング13の第1の開口11を閉塞し、第1のケーシング13と共にギヤ機構7を収容する収容空間を形成するように第1のケーシング13に対して締結ボルト91,93によって固定される。このように第1のケーシング13と第2のケーシング15によって形成される収容空間に収容されたギヤ機構7に伝達される駆動力は、第1のケーシング13の筒状壁35内に収容された断続機構23によって断続される。なお、第1のケーシング13及び第2のケーシング15は、組付けられた状態で静止系部材としての車体フレームなどに固定される。
断続機構23は、内側回転部材17と、外側回転部材19と、クラッチ部材21と、アクチュエータ57とを備えている。内側回転部材17は、中空の軸状に形成され、内周の中間部には第1のギヤ3の軸部25の外周に一体回転可能に連結されるスプライン形状の連結部95が形成されている。また、内側回転部材17の外周には、クラッチ部材21の内側クラッチ板が係合されるスプライン形状の係合部97が形成されている。この内側回転部材17の外周側には、外側回転部材19が内側回転部材17と相対回転可能に配置されている。
外側回転部材19は、第1のケーシング13の筒状壁35に対して第2のベアリング33を介して回転可能に支持され、有底円筒状部材65と、端壁部材67とを備えている。有底円筒状部材65は、底壁59と、円筒壁63とからなる。底壁59は、中空状で筒状壁35の第2の開口29を閉塞するように蓋状に形成され、内周側でベアリング99とXリング101とを介して内側回転部材17と相対回転可能に配置されている。また、底壁59には、外側回転部材19の内部に封入される潤滑油を供給させる供給孔103が設けられ、この供給孔103は潤滑油の供給後に蓋部材105によって閉塞される。この底壁59は、プロペラシャフト419側に一体回転可能に連結され、駆動源からの駆動力が外側回転部材19に伝達される。
円筒壁63は、軸方向の一端側である底壁59の外周側から連続する一部材として軸方向に筒状に延設され、軸方向の他端側である底壁59とは反対側に開口61が設けられている。また、円筒壁63の内周には、クラッチ部材21の外側クラッチ板が係合されるスプライン形状の係合部107が形成されている。この円筒壁63の開口61側の外周には、ねじ形状の連結部69が形成され、端壁部材67が一体回転可能に固定されている。このねじ形状の連結部69は、軸方向位置がアクチュエータ57と第2のベアリング33との間に位置している。
端壁部材67は、磁性材料からなり中空状に形成され、内周側でベアリング109とXリング111とを介して内側回転部材17と相対回転可能に配置されている。なお、端壁部材67と円筒壁63との径方向間にはシール手段としてのOリング113が配置され、Xリング101,111はシール手段として機能しており、外側回転部材19の内部空間と外側回転部材19が収容される外部の収容空間とが各シール手段によって区画され、外側回転部材19の内部空間には摺動部などを潤滑・冷却させる潤滑油が封入されている。
このような内側回転部材17と外側回転部材19とは、内側回転部材17と外側回転部材19との間に配置されたクラッチ部材21によって駆動力の伝達が断続される。
クラッチ部材21は、複数の内側クラッチ板と、複数の外側クラッチ板とを備えている。複数の内側クラッチ板は、内側回転部材17の外周に形成された係合部97に軸方向移動可能で内側回転部材17と一体回転可能に係合されている。複数の外側クラッチ板は、複数の内側クラッチ板に対して軸方向に交互に配置され、外側回転部材19の円筒壁63の内周に形成された係合部107に軸方向移動可能で外側回転部材19と一体回転可能に係合されている。このクラッチ部材21は、複数の内側クラッチ板と複数の外側クラッチ板とで構成された多板クラッチであり、滑り摩擦を伴い伝達トルクを中間制御可能な制御型の摩擦クラッチである。このクラッチ部材21は、端壁部材67の軸方向に隣接配置されたアクチュエータ57によって制御可能に断続操作される。
アクチュエータ57は、端壁部材67を含め、電磁石115と、アーマチャ117と、パイロットクラッチ119と、カム機構121と、プレッシャリング123とを備えている。
電磁石115は、電磁コイル125とコア127とで構成され、静止系部材である第1のケーシング13に対して回り止めされている。コア127は、外部トリガー55としての電線コネクタを介して通電を制御するコントローラ447に接続されており、コントローラ447の制御によってクラッチ部材21に必要な摩擦トルクを生じさせるように電磁コイル125に通電される。この電磁石115の励磁により、アーマチャ117が吸引移動される。なお、外部トリガー55は、油圧式アクチュエータであれば油圧管路とし、電動モータ式アクチュエータであればモータギヤ軸とするなど適用されるアクチュエータによって適宜選択することができる。
アーマチャ117は、磁性材料からなり、外側回転部材19内に軸方向移動可能で軸方向にパイロットクラッチ119を挟んで端壁部材67と対向配置されている。このアーマチャ117は、電磁石115が励磁されたとき、コア127、端壁部材67、パイロットクラッチ119、アーマチャ117を介した磁力線が循環されて形成される磁束ループによって電磁石115側に吸引移動され、パイロットクラッチ119を接続させる。
パイロットクラッチ119は、外側回転部材19内で端壁部材67とアーマチャ117との軸方向間に配置され、円筒壁63の軸方向端部に軸方向移動可能で外側回転部材19と一体回転可能に連結する複数の外側プレートと、カムリング129の外周に複数の外側プレートに対して軸方向に交互に配置され軸方向移動可能でカムリング129と一体回転可能に連結する複数の内側プレートとで構成されている。このパイロットクラッチ119の締結トルクは、カム機構121を介して軸方向推力に変換され、プレッシャリング123でクラッチ部材21を押圧して所定の駆動トルクが伝達される。
カム機構121は、カムリング129とプレッシャリング123とに周方向に形成されたカム面を対向させ、この間に介在させたカムボール131を備えている。カムリング129は、内側回転部材17の外周に軸方向移動可能に配置され、パイロットクラッチ119の内側プレートが一体回転可能に連結されている。このカムリング129と端壁部材67との軸方向間には、カム機構121で生じるスラスト反力を受けるスラストベアリング133が配置されている。
カムボール131は、カムリング129とプレッシャリング123とに形成されたカム面の間に配置されている。このカムボール131は、パイロットクラッチ119の接続によってカムリング129とプレッシャリング123との間に差回転が生じることにより、パイロットクラッチ119に生じる摩擦トルクに応じた強さでプレッシャリング123をクラッチ部材21の接続方向へ軸方向押圧移動させるカムスラスト力を発生させる。
プレッシャリング123は、内側回転部材17の外周に軸方向移動可能で内側回転部材17と一体回転可能に係合されている。また、プレッシャリング123とクラッチ部材21との軸方向間には、プレッシャリング123をクラッチ部材21の接続解除方向に付勢するリターンスプリング135が配置されている。このプレッシャリング123は、カム機構121で生じるスラスト力によってリターンスプリング135の付勢力に抗してクラッチ部材21の接続方向に軸方向移動され、クラッチ部材21に押圧力を付与して接続させ、内側回転部材17と外側回転部材19とを接続させる。このようにクラッチ部材21の断続によって外側回転部材19からの駆動力の伝達が断続される内側回転部材17は、第1のベアリング9によって回転可能に支持される第1のギヤ3と一体回転可能に連結されている。
第1のベアリング9は、1つのアウタレース37と、2つのインナレース39と、アウタレース37とインナレース39との間に配置された一対の転動体45,47とからなり、一対の転動体45,47は1つのアウタレース37に対して転動するベアリングとなっている。この第1のベアリング9のアウタレース37には、径方向に延設された第1のケーシング13に対する固定用のフランジ部137が設けられている。このフランジ部137は、第1のケーシング13における筒状壁35の基部49側に設けられた径方向壁51に対して周方向に複数のボルト53によって固定される。また、この径方向壁51において、外部トリガー55は、複数のボルト53の締結位置の周方向間の位置でアクチュエータ57、詳細には電磁石115と連結されている。また、第1のベアリング9におけるアウタレース37とインナレース39との間には、断続機構23の外周側、詳細には外側回転部材19の外周と第1のケーシング13の筒状壁35の内周との間に区画空間を形成させるシール部材41が配置されている。この第1のベアリング9の2つのインナレース39及び内側回転部材17は、固定部材27によって第1のギヤ3に対して軸方向に位置決めされている。
固定部材27は、ナットなどからなり、第1のギヤ3の軸部25の先端部側に内側回転部材17の軸方向端面と当接して固定される。このように固定部材27を固定することにより、第1のベアリング9のインナレース39及び内側回転部材17とが第1のギヤ3のギヤ部71の基部と固定部材27とに挟み込まれるように固定され、第1のベアリング9と内側回転部材17とが第1のギヤ3に対して軸方向に位置決めされる。このような内側回転部材17を含む断続機構23は、第1のケーシング13の筒状壁35の内部に収容されている。
筒状壁35は、第1のケーシング13に基部49側から軸方向に延設して筒状に形成され、第2の開口29と、内周壁面31とを備えている。第2の開口29は、軸方向の第1の開口11とは反対側に形成され、この第2の開口29側から第1の開口11側に向けて断続機構23が収容される。内周壁面31は、外側回転部材19の外径より大径に形成され、第2の開口29側で第2のベアリング33を介して外側回転部材19の底壁59の外周を回転可能に支持している。また、第2のベアリング33に対して第2の開口29の軸方向端側の内周壁面31と外側回転部材19との間には、断続機構23の外周側、詳細には外側回転部材19の外周と内周壁面31との間に区画空間を形成させるシール部材43が配置されている。なお、シール部材43の軸方向外側には、シール部材43のリップ部と摺動して装置内に泥水や粉塵などが侵入することを防止するダストカバー139が配置されている。
このように構成された動力伝達装置1は、電磁石115への通電制御によってアーマチャ117が吸引移動され、パイロットクラッチ119を押圧し、パイロットクラッチ119が制御された摩擦トルクをもって接続される。パイロットクラッチ119が接続されるとカム機構121でカムスラスト力が発生してプレッシャリング123がクラッチ部材21側に押圧移動される。このプレッシャリング123の移動によりクラッチ部材21が接続され、内側回転部材17と外側回転部材19とが接続される。この内側回転部材17と外側回転部材19との接続により、プロペラシャフト419側から断続機構23とギヤ機構7とを介して第2のデフ75側へ駆動力が伝達され、必要な駆動力を後輪側へ伝達することができるように車両が前後輪駆動の四輪駆動状態となる。
このような動力伝達装置1では、第1のケーシング13を主として、ギヤ機構7及び断続機構23を配置可能なように第1のケーシング13形状を設定して、第2のケーシング15を用いてギヤ機構7の収容空間を形成するだけで、動力伝達装置1を構成することができる。つまり、ケーシング構造の簡素化をすることで、小型・軽量化することができる。
また、第2の開口29側から断続機構23を筒状壁35の内部に組付けることができるので、断続機構23の組付性が向上する。
さらに、内側回転部材17は、第1のベアリング9を介して第1のケーシング13に支持・位置決めすることができ、外側回転部材19は、第2のベアリング33を介して第1のケーシング13の筒状壁35における第2の開口29側の内周壁面31に支持することができるので、断続機構23の回転振れを抑制し、断続機構23が安定すると共に、音振の発生を防止することができる。
また、シール部材41,43によって断続機構23の外周側に区画空間を形成したので、断続機構23の外周側を大気から隔離することができる。また、区画空間は、エアや冷却流体、或いは潤滑材などをその必要に応じて滞留させることができ、断続機構23の特性を安定させることができる。
さらに、アウタレース37とインナレース39との間にシール部材41を配置することで、断続機構23と第1のケーシング13との間に配置するシールを1つ削除することができ、軸方向の小型化を図ることができる。
また、筒状壁35の基部49側が剛性の高い肉厚を径方向に向けて確保できるので、アウタレース37をボルト固定しても変形することがなく、安定した支持状態を得ることができる。
さらに、外部トリガー55との連結位置を複数のボルトの締結位置の周方向間に位置させることで、連結部69とボルト53の軸方向範囲をオーバーラップすることができ、動力伝達装置1の小型化を図ることができる。
また、連結部69の軸方向位置をアクチュエータ57と第2のベアリング33の軸方向位置の間に位置させることで、外側回転部材19の外径の張り出しを防止することができ、筒状壁35が外径側に大型化することを防止できる。従って、動力伝達装置1の小型化・重量の低減を図ることができる。
(第2実施形態)
図4〜図6を用いて第2実施形態について説明する。
まず、図4を用いて本発明の第2実施形態に係る動力伝達装置201が適用される車両の動力系の一例について説明する。
図4に示すように、車両の動力系は、エンジン501や電動モータ503などの駆動源と、変速機構としてのトランスミッション505と、前輪側の左右輪の差動を許容する第1のデフ507と、前車軸509,511と、前輪513,515と、動力伝達装置201と、プロペラシャフト517と、後輪側の左右輪の差動を許容する第2のデフ519と、後車軸521,523と、後輪525,527などから構成されている。
駆動源の駆動力はトランスミッション505から第1のデフ507のデフケース529を介してピニオン531に伝達され、一対のサイドギヤ533,535に連結された前車軸509,511から前輪513,515に配分されると共に、デフケース529と連結した中空軸275に分岐されて動力伝達装置201に伝達される。この動力伝達装置201に伝達された駆動力は、中空軸275からギヤ機構207によって方向変換され、第1のギヤ203を介してプロペラシャフト517側に伝達される。
この動力伝達装置201に伝達された駆動力は、断続機構223がバッテリなどの電源537に接続され、スロットルやアクセル開度、エンジン回転数、車速、前後輪や左右輪回転数、ステアリング角度などを検知する各種センサ539の情報が入力されるコントローラ541に接続されたアクチュエータ257によって制御可能に接続されると、第1のギヤ203とプロペラシャフト517側とが断続機構223を介して接続され第2のデフ519側に伝達される。この第2のデフ519に伝達された駆動力は、後車軸521,523から後輪525,527に配分され、車両は前後輪駆動の4輪駆動状態になる。また、断続機構223の接続が解除されると、第1のギヤ203とプロペラシャフト517側との接続が遮断され、車両は前輪駆動の2輪駆動状態になる。以下、動力伝達装置201について説明する。
本実施の形態に係る動力伝達装置201は、互いの噛み合いにより動力伝達を行う第1のギヤ203と第2のギヤ205とからなるギヤ機構207と、第1のギヤ203を第1のベアリング209を介して支持し、第2のギヤ205を収容する第1の開口211を有した第1のケーシング213と、この第1のケーシング213の第1の開口211に固定され、第1のケーシング213と共にギヤ機構207の収容空間を形成する第2のケーシング215と、内側回転部材217と、外側回転部材219と、内側回転部材217と外側回転部材219との間に配置されたクラッチ部材221とを有した断続機構223と、第1のギヤ203に一体に設けられた軸部225の中間部外周に嵌合して径方向に支持される第1のベアリング209及び内側回転部材217を軸部225の先端部側に固定されて第1のギヤ203に対して軸方向に位置決めする固定部材227と、第1のケーシング213に延設して形成され第2の開口229を有して断続機構223が内周に配置され、外側回転部材219の外径より大径の内周壁面231を有して形成され、第2の開口229側の内周壁面231に第2のベアリング233を介して外側回転部材219の軸方向端部側が支持される筒状壁235とを有する。
また、第1のベアリング209におけるアウタレース237とインナレース239との間、及び第2のベアリング233に対して第2の開口229の軸方向端側の内周壁面231と外側回転部材219との間には、それぞれシール部材241,243が配置され、断続機構223の外周側に区画空間が形成されている。
さらに、第1のベアリング209は一対の転動体245,247を有し、この一対の転動体245,247は1つのアウタレース237に対して転動するベアリングであり、アウタレース237は、第1のケーシング213における筒状壁235の第2の開口229と異なる側に連続する基部249側の径方向壁251に対して複数のボルト253で固定されている。
また、断続機構223は、外部トリガー255と連結してクラッチ部材221の締結力を制御可能なアクチュエータ257を有し、外部トリガー255は、筒状壁235の基部249側における複数のボルト253の締結位置の周方向間の位置でアクチュエータ257と連結されている。
さらに、断続機構223は、クラッチ部材221の締結力を制御可能なアクチュエータ257を有し、外側回転部材219は、底壁259と、この底壁259の一端側に一体的に形成されクラッチ部材221を収容し、他端側で開口261を有した円筒壁263とからなる有底円筒状部材265と、この有底円筒状部材265と連結して他端側の開口261を閉塞する端壁部材267とを有し、アクチュエータ257は端壁部材267に隣接して設けられ、有底円筒状部材265と端壁部材267との連結部269は、軸方向位置がアクチュエータ257と第2のベアリング233との間に位置している。
図4〜図6に示すように、ギヤ機構207は、第1のギヤ203と、第2のギヤ205とからなる。第1のギヤ203は、軸部225と、ギヤ部271とを備えている。軸部225は、中実の軸状に形成され、第1のベアリング209を介して第1のケーシング213に回転可能に支持されている。ギヤ部271は、ピニオンとなっており、軸部225と連続する一部材として形成されている。このギヤ部271は、第2のギヤ205と噛み合い第1のデフ507側からの駆動力が伝達される。
第2のギヤ205は、リングギヤとなっており、固定手段としてのボルト273によって中空軸275の外周に形成されたフランジ部277に中空軸275と一体回転可能に固定されている。この第2のギヤ205は、第1のギヤ203と噛み合うベベルギヤ式のギヤ組をなしており、第1のデフ507側から中空軸275を介して入力される駆動力を方向変換して第1のギヤ203側に出力する。
中空軸275は、中空の軸状に形成され、ベアリング279,281を介して第1のケーシング213と第2のケーシング215に対して回転可能に支持されている。この中空軸275の軸方向一端側外周には、第1のデフ507のデフケース529と一体回転可能に連結されるスプライン形状の連結部283が形成されている。この連結部283を介して第1のデフ507側から駆動力が入力され、第2のギヤ205と第1のギヤ203とからなるギヤ機構207を介して断続機構223に駆動力を伝達し、伝達された駆動力が断続機構223によって断続される。
このような第1のデフ507側から駆動力が伝達されるギヤ機構207は、第1のケーシング213と第2のケーシング215とで形成される収容空間に収容されている。
第1のケーシング213は、筒状に形成され、第1のベアリング209を介して第1のギヤ203の軸部225を支持している。また、中空軸275を回転可能に支持するベアリング281が配置された側には、第2のギヤ205を内部に収容させるための第1の開口211が形成されている。この第1の開口211は、第2のギヤ205が固定された中空軸275を第1の開口211から収容した後、第2のケーシング215によって閉塞される。
第2のケーシング215は、第1のケーシング213の第1の開口211を閉塞し、第1のケーシング213と共にギヤ機構207を収容する収容空間を形成するように第1のケーシング213に対して締結ボルト285,287によって固定される。このように第1のケーシング213と第2のケーシング215によって形成される収容空間に収容されたギヤ機構207に伝達された駆動力は、第1のケーシング213の筒状壁235内に収容された断続機構223によって断続される。なお、第1のケーシング213及び第2のケーシング215は、組付けられた状態で静止系部材としてのトランスミッション505側のケーシングなどに固定される。
断続機構223は、内側回転部材217と、外側回転部材219と、クラッチ部材221と、アクチュエータ257とを備えている。内側回転部材217は、中空の軸状に形成され、内周の中間部には第1のギヤ203の軸部225の外周に一体回転可能に連結されるスプライン形状の連結部289が形成されている。また、内側回転部材217の外周には、クラッチ部材221の内側クラッチ板が係合されるスプライン形状の係合部291が形成されている。この内側回転部材217の外周側には、外側回転部材219が内側回転部材217と相対回転可能に配置されている。
外側回転部材219は、第1のケーシング213の筒状壁235に対して第2のベアリング233を介して回転可能に支持され、有底円筒状部材265と、端壁部材267とを備えている。有底円筒状部材265は、底壁259と、円筒壁263とからなる。底壁259は、中空状で筒状壁235の第2の開口229を閉塞するように蓋状に形成され、内周側でベアリング293とXリング295とを介して内側回転部材217と相対回転可能に配置されている。また、底壁259には、外側回転部材219の内部に封入される潤滑油を供給させる供給孔297が設けられ、この供給孔297は潤滑油の供給後に蓋部材299によって閉塞される。この底壁259は、プロペラシャフト517側に一体回転可能に連結され、駆動源からの駆動力をプロペラシャフト517側に出力する。
円筒壁263は、軸方向の一端側である底壁259の外周側から連続する一部材として軸方向に筒状に延設され、軸方向の他端側である底壁259とは反対側に開口261が設けられている。また、円筒壁263の内周には、クラッチ部材221の外側クラッチ板が係合されるスプライン形状の係合部301が形成されている。この円筒壁263の開口261側の外周には、ねじ形状の連結部269が形成され、端壁部材267が一体回転可能に固定されている。このねじ形状の連結部269は、軸方向位置がアクチュエータ257と第2のベアリング233との間に位置している。
端壁部材267は、磁性材料からなり中空状に形成され、内周側でベアリング303とXリング305とを介して内側回転部材17と相対回転可能に配置されている。なお、端壁部材267と円筒壁263との径方向間にはシール手段としてのOリング307が配置され、Xリング295,305はシール手段として機能しており、外側回転部材219の内部空間と外側回転部材219が収容される外部の収容空間とが各シール手段によって区画され、外側回転部材219の内部空間には摺動部などを潤滑・冷却させる潤滑油が封入されている。
このような内側回転部材217と外側回転部材219とは、内側回転部材217と外側回転部材219との間に配置されたクラッチ部材221によって駆動力の伝達が断続される。
クラッチ部材221は、複数の内側クラッチ板と、複数の外側クラッチ板とを備えている。複数の内側クラッチ板は、内側回転部材217の外周に形成された係合部291に軸方向移動可能で内側回転部材217と一体回転可能に係合されている。複数の外側クラッチ板は、複数の内側クラッチ板に対して軸方向に交互に配置され、外側回転部材219の円筒壁263の内周に形成された係合部301に軸方向移動可能で外側回転部材219と一体回転可能に係合されている。このクラッチ部材221は、複数の内側クラッチ板と複数の外側クラッチ板とで構成された多板クラッチであり、滑り摩擦を伴い伝達トルクを中間制御可能な制御型の摩擦クラッチである。このクラッチ部材221は、端壁部材267の軸方向に隣接配置されたアクチュエータ257によって制御可能に断続操作される。
アクチュエータ257は、端壁部材267を含め、電磁石309と、アーマチャ311と、パイロットクラッチ313と、カム機構315と、プレッシャリング317とを備えている。
電磁石309は、電磁コイル319とコア321とで構成され、静止系部材である第1のケーシング213に対して回り止めされている。コア321は、外部トリガー255としての電線コネクタを介して通電を制御するコントローラ541に接続されており、コントローラ541の制御によってクラッチ部材221に必要な摩擦トルクを生じさせるように電磁コイル319に通電される。この電磁石309の励磁により、アーマチャ311が吸引移動される。なお、外部トリガー255は、油圧式アクチュエータであれば油圧管路とし、電動モータ式アクチュエータであればモータギヤ軸とするなど適用されるアクチュエータによって適宜選択することができる。
アーマチャ311は、磁性材料からなり、外側回転部材219内に軸方向移動可能で軸方向にパイロットクラッチ313を挟んで端壁部材267と対向配置されている。このアーマチャ311は、電磁石309が励磁されたとき、コア321、端壁部材267、パイロットクラッチ313、アーマチャ311を介した磁力線が循環されて形成される磁束ループによって電磁石309側に吸引移動され、パイロットクラッチ313を接続させる。
パイロットクラッチ313は、外側回転部材219内で端壁部材267とアーマチャ311との軸方向間に配置され、円筒壁263の軸方向端部に軸方向移動可能で外側回転部材219と一体回転可能に連結する複数の外側プレートと、カムリング323の外周に複数の外側プレートに対して軸方向に交互に配置され軸方向移動可能でカムリング323と一体回転可能に連結する複数の内側プレートとで構成されている。このパイロットクラッチ313の締結トルクは、カム機構315を介して軸方向推力に変換され、プレッシャリング317でクラッチ部材221を押圧して所定の駆動トルクが伝達される。
カム機構315は、カムリング323とプレッシャリング317とに周方向に形成されたカム面を対向させ、この間に介在させたカムボール325を備えている。カムリング323は、内側回転部材217の外周に軸方向移動可能に配置され、パイロットクラッチ313の内側プレートが一体回転可能に連結されている。このカムリング323と端壁部材267との軸方向間には、カム機構315で生じるスラスト反力を受けるスラストベアリング327が配置されている。
カムボール325は、カムリング323とプレッシャリング317とに形成されたカム面の間に配置されている。このカムボール325は、パイロットクラッチ313の接続によってカムリング323とプレッシャリング317との間に差回転が生じることにより、パイロットクラッチ313に生じる摩擦トルクに応じた強さでプレッシャリング317をクラッチ部材221の接続方向へ軸方向押圧移動させるカムスラスト力を発生させる。
プレッシャリング317は、内側回転部材217の外周に軸方向移動可能で内側回転部材217と一体回転可能に係合されている。また、プレッシャリング317とクラッチ部材221との軸方向間には、プレッシャリング317をクラッチ部材221の接続解除方向に付勢するリターンスプリング329が配置されている。このプレッシャリング317は、カム機構315で生じるスラスト力によってリターンスプリング329の付勢力に抗してクラッチ部材221の接続方向に軸方向移動され、クラッチ部材221に押圧力を付与して接続させ、内側回転部材217と外側回転部材219とを接続させる。このようにクラッチ部材221の断続によって外側回転部材219への駆動力の伝達を断続される内側回転部材217は、第1のベアリング209によって回転可能に支持される第1のギヤ203と一体回転可能に連結されている。
第1のベアリング209は、1つのアウタレース237と、2つのインナレース239と、アウタレース237とインナレース239との間に配置された一対の転動体245,247とからなり、一対の転動体245,247は1つのアウタレース237に対して転動するベアリングとなっている。この第1のベアリング209のアウタレース237には、径方向に延設された第1のケーシング213に対する固定用のフランジ部331が設けられている。このフランジ部331は、第1のケーシング213における筒状壁235の基部249側に設けられた径方向壁251に対して周方向に複数のボルト253によって固定される。また、この径方向壁251において、外部トリガー255は、複数のボルト253の締結位置の周方向間の位置でアクチュエータ257と連結されている。また、第1のベアリング209におけるアウタレース237とインナレース239との間には、断続機構223の外周側、詳細には外側回転部材219の外周と第1のケーシング213の筒状壁235の内周との間に区画空間を形成させるシール部材241が配置されている。この第1のベアリング209の2つのインナレース239及び内側回転部材217は、固定部材227によって第1のギヤ203に対して軸方向に位置決めされている。
固定部材227は、ナットなどからなり、第1のギヤ203の軸部225の先端部側に内側回転部材217の軸方向端面と当接して固定される。このように固定部材227を固定することにより、第1のベアリング209のインナレース239及び内側回転部材217とが第1のギヤ203のギヤ部271の基部と固定部材227とに挟み込まれるように固定され、第1のベアリング209と内側回転部材217とが第1のギヤ203に対して軸方向に位置決めされる。このような内側回転部材217を含む断続機構223は、第1のケーシング213の筒状壁235の内部に収容されている。
筒状壁235は、第1のケーシング213に基部249側から軸方向に延設して筒状に形成され、第2の開口229と、内周壁面231とを備えている。第2の開口229は、軸方向の第1の開口211とは反対側に形成され、この第2の開口229側から第1の開口211側に向けて断続機構223が収容される。内周壁面231は、外側回転部材219の外径より大径に形成され、第2の開口229側で第2のベアリング233を介して外側回転部材219の底壁259の外周を回転可能に支持している。また、第2のベアリング233に対して第2の開口229の軸方向端側の内周壁面231と外側回転部材219との間には、断続機構223の外周側、詳細には外側回転部材219の外周と内周壁面231との間に区画空間を形成させるシール部材243が配置されている。なお、シール部材243の軸方向外側には、シール部材243のリップ部と摺動して装置内に泥水や粉塵などが侵入することを防止するダストカバー333が配置されている。
このように構成された動力伝達装置201は、電磁石309への通電制御によってアーマチャ311が吸引移動され、パイロットクラッチ313を押圧し、パイロットクラッチ313が制御された摩擦トルクをもって接続される。パイロットクラッチ313が接続されるとカム機構315でカムスラスト力が発生してプレッシャリング317がクラッチ部材221側に押圧移動される。このプレッシャリング317の移動によりクラッチ部材221が接続され、内側回転部材217と外側回転部材219とが接続される。この内側回転部材217と外側回転部材219との接続により、中空軸275に伝達された駆動力がギヤ機構207側から断続機構223を介してプロペラシャフト517側へ伝達され、必要な駆動力を第2のデフ519を介して後輪側へ伝達することができるように車両が前後輪駆動の四輪駆動状態となる。
このような動力伝達装置201では、第1のケーシング213を主として、ギヤ機構207及び断続機構223を配置可能なように第1のケーシング213形状を設定して、第2のケーシング215を用いてギヤ機構207の収容空間を形成するだけで、動力伝達装置201を構成することができる。つまり、ケーシング構造の簡素化をすることで、小型・軽量化することができる。
また、第2の開口229側から断続機構223を筒状壁235の内部に組付けることができるので、断続機構223の組付性が向上する。
さらに、内側回転部材217は、第1のベアリング209を介して第1のケーシング213に支持・位置決めすることができ、外側回転部材219は、第2のベアリング233を介して第1のケーシング213の筒状壁235における第2の開口229側の内周壁面231に支持することができるので、断続機構223の回転振れを抑制し、断続機構223が安定すると共に、音振の発生を防止することができる。
また、シール部材241,243によって断続機構223の外周側に区画空間を形成したので、断続機構223の外周側を大気から隔離することができる。また、区画空間は、エアや冷却流体、或いは潤滑材などをその必要に応じて滞留させることができ、断続機構223の特性を安定させることができる。
さらに、アウタレース237とインナレース239との間にシール部材241を配置することで、断続機構223と第1のケーシング213との間に配置するシールを1つ削除することができ、軸方向の小型化を図ることができる。
また、筒状壁235の基部249側が剛性の高い肉厚を径方向に向けて確保できるので、アウタレース237をボルト固定しても変形することがなく、安定した支持状態を得ることができる。
さらに、外部トリガー255との連結位置を複数のボルトの締結位置の周方向間に位置させることで、連結部269とボルト253の軸方向範囲をオーバーラップすることができ、動力伝達装置201の小型化を図ることができる。
また、連結部269の軸方向位置をアクチュエータ257と第2のベアリング233の軸方向位置の間に位置させることで、外側回転部材219の外径の張り出しを防止することができ、筒状壁235が外径側に大型化することを防止できる。従って、動力伝達装置201の小型化・重量の低減を図ることができる。
なお、本発明の実施の形態に係る動力伝達装置では、前輪側に駆動源を配置して二輪駆動状態では前輪側を駆動させる動力系に適用しているが、これに限らず、二輪駆動状態では後輪側を駆動させる動力系や、後輪側に駆動源を配置して二輪駆動状態では前輪側、もしくは後輪側を駆動させる動力系に対しても適用することができる。
また、アクチュエータとして電磁式アクチュエータを用いているが、これ限らず、油圧式アクチュエータ、電動モータ、磁性流体などクラッチ部材を作動できる構成であれば、どのような形態であってもよい。
さらに、クラッチ部材として多板クラッチを用いているが、これに限らず、噛み合いクラッチなど相対回転する一対の回転部材間の動力伝達を断続させることができる構成であれば、どのような形態であってもよい。