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JP5311825B2 - 2−イミダゾリン構造を有するα−交感神経興奮薬の新規な使用 - Google Patents

2−イミダゾリン構造を有するα−交感神経興奮薬の新規な使用 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
(技術分野)
本発明は、2-イミダゾリン構造を有するα-交感神経興奮薬の、ウイルス性疾患の予防および/または治療用医薬の製造における使用に関する。
(背景技術)
2-イミダゾリン構造を有するα-交感神経興奮薬は、例えば、急性鼻炎およびアレルギー性鼻炎における鼻粘膜の腫れの局所治療に使用されている。α-交感神経興奮薬は、血管中のα-レセプターを刺激し、従って、強力な血管収縮作用を有する。鼻に局所投与すると、鼻粘膜内の血管の有意の収縮が生じ、この収縮は、その後、粘膜分泌および粘膜のうっ血の低下をもたらす。このことは、空気の通過を改善し、鼻呼吸の障害を排除する。
急性鼻炎は、感冒としても知られており、ウイルスによって生じる鼻粘膜の急性炎症である。粘膜のうっ血に対しての急性鼻炎における2-イミダゾリン構造を有するα-交感神経興奮薬の上記の使用は、上記の血管収縮作用に基づいている。従って、急性鼻炎の治療におけるその使用は、急性鼻炎疾患自体に対してなされるものではなくて、代りに、急性鼻炎においても生じる粘膜膨張の(非特異的)症状に対してなされる単なる苦痛軽減治療である。
(発明の開示)
驚くべきことに、2-イミダゾリン構造を有するα-交感神経興奮薬が抗ウイルス作用を有し、従って、ウイルス性疾患の原因予防および/または治療に使用し得ることを見出した。従って、本発明は、2-イミダゾリン構造を有するα-交感神経興奮薬の、ウイルス性疾患の予防および/または治療用の医薬の製造における使用に関する。
本発明に従って使用し得る2-イミダゾリン構造を有するα-交感神経興奮薬は、例えば、ナファゾリン、トラマゾリン、テトリゾリン、フェノキサゾリン、キシロメタゾリンまたはオキシメタゾリンのような、末端2-置換イミダゾリン環を含有するα-交感神経興奮作用を有する全ての活性成分である。ウイルス性疾患の予防および/または治療を意図する本発明に従う医薬は、2-イミダゾリン構造を有するα-交感神経興奮薬の1種以上を含み得る。とりわけ好ましいのはオキシメタゾリンおよび/またはキシロメタゾリン、極めて特段に好ましいのはオキシメタゾリンの使用である。
本発明の目的においては、ウイルス性疾患は、例えば、ヘルペス(単純ヘルペスウイルス);肺炎(センダイウイルス);封入体疾患(サイトメガロウイルス);インフルエンザ(インフルエンザおよびパラインフルエンザウイルス);感染性単核球症/パイファー腺熱(エプスタイン・バールウイルス);AIDS (ヒト免疫不全ウイルス/HIV);腸炎(ロタウイルス、ノーウォークウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス);肝炎(肝炎ウイルス類);髄膜炎(とりわけ、コクサッキーウイルス、ECHOウイルス);脳炎(とりわけ、アルボウイルス、ECHOウイルス);濾胞性結膜炎(とりわけ、アデノウイルス、ヘルペスウイルス);急性鼻炎、内耳炎、副鼻腔炎、扁桃炎、咽頭炎、喉頭炎、気管支炎のような呼吸管感染症(とりわけ、ライノウイルス、パラインフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス、アデノウイルス)のようなウイルス類によって生じる全ての疾患である。2-イミダゾリン構造を有するα-交感神経興奮薬を好ましく使用する予防および/または治療におけるウイルス性疾患は、急性鼻炎、インフルエンザ、パラインフルエンザ、結膜炎、内耳炎および副鼻腔炎である。
1種以上のα-交感神経興奮薬を含む医薬は、防御的に、即ち、予防的に投与し得る。この場合、疾患の原因となるウイルスを感染直後に退治して、疾患が全く生じないようにする。また、1種以上のα-交感神経興奮薬を含む医薬は、同様にして、疾患の発症後に、即ち、ウイルスが既に疾患をもたらしたときのウイルスを退治するため、従って、ウイルス性疾患の治療のためにも使用し得る。
使用に応じて、1種以上のα-交感神経興奮薬を含む医薬は、全身または局所投与し得る。全身投与は、活性成分(1種以上)が投与後に身体によって吸収され、血流を介して全身に分布する結果となる全ての投与方法を意味する。この方法は、とりわけ、経口および非経口投与のみならず、例えば、経皮または肺投与のような他のタイプの投与である。
局所投与は、上記活性成分(1種以上)を含む医薬を活性成分がその作用を発生させるべき身体表面にまたは中空器官中に直接投与することによる全ての投与方法を意味する。とりわけ適切なのは、例えば、耳内におけるような身体開口部を覆う皮膚のような皮膚への、或いは、例えば、眼内、鼻内、咽喉領域内または直腸領域内の粘膜への投与である。
局所投与が好ましい。従って、本発明は、2-イミダゾリン構造を有するα-交感神経興奮薬の、ウイルス性疾患の予防および/または治療用の医薬の製造における使用に関し、該医薬は、局所投与を意図することに特徴を有する。
とりわけ好ましいのは、本発明に従う医薬の粘膜上での局所使用である。従って、本発明は、2-イミダゾリン構造を有するα-交感神経興奮薬の、ウイルス性疾患の予防および/または治療用であって粘膜上での使用を意図することを特徴とする医薬の製造における使用にも関する。
本発明の有利な実施態様によれば、2-イミダゾリン構造を有する1種以上のα-交感神経興奮薬を含む医薬は、鼻/咽喉領域、呼吸管、耳、皮膚および/または目におけるウイルス性疾患に対して使用する。従って、本発明は、さらに、2-イミダゾリン構造を有するα-交感神経興奮薬の、ウイルス性疾患の予防および/または治療用であって該疾患が鼻/咽喉領域、呼吸管、耳、皮膚および/または目の疾患であることを特徴とする医薬の製造における使用にも関する。該医薬は、好ましくは、鼻/咽喉領域、耳および/または目におけるウイルス性疾患の予防および/または治療において使用する。とりわけ好ましいのは、急性鼻炎、インフルエンザ、パラインフルエンザ、結膜炎、内耳炎および副鼻腔炎の予防および/または治療における該医薬の使用である。急性鼻炎および/またはインフルエンザの予防および/または治療における該医薬の使用は、極めて特段に好ましい。
言うまでもないが、上記医薬の剤形は、各々の場合で、投与方法に適合しなければならない。適切な経口投与剤形は、例えば、錠剤、カプセル剤、糖衣錠、顆粒剤または液剤であり得;非経口剤は、例えば、溶液、乳化液または懸濁液であり得;局所投与剤形は、例えば、ゲル剤、軟膏、ローション、クリーム、溶液、乳化液、懸濁液、粉末剤、座薬またはエアゾールであり得る。特定の用途に対して適切な投与剤形、その組成および調製法は、当業者にとって周知であり、ここでさらなる説明は必要ではない。適切な標準著作物、例えば、H. Sucker, P. Fuchs, P. Speiser, “Pharmazeutische Technologie” [Pharmaceutical Technology], Stuttgart 1978;またはK.H. Bauer, K.H. Fromming, C. Fuhrer, “Pharmazeutische Technologie” [Pharmaceutical Technology], Stuttgart 1986を参照されたい。これら著作物は、参考として本明細書に合体させる、即ち、本開示の1部である。
2-イミダゾリン構造を有するα-交感神経興奮薬は、基剤のまま、或いは、無機酸、例えば、硫酸、亜硫酸、ジチオン酸、硝酸、塩酸または臭化水素酸のようなハロゲン化水素酸、例えば正リン酸のようなリン酸類またはスルファミン酸との、または、例えば、ギ酸、酢酸、ピバリン酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸またはクエン酸のような有機酸との酸付加塩として使用し得る。とりわけ好ましいのは、酸付加塩、とりわけ塩酸塩の使用である。このことは、とりわけ、好ましい水溶液を使用する場合に該当する。
本発明の有利な実施態様によれば、1種以上の亜鉛塩をさらに含む医薬を使用する。存在し得る亜鉛塩は、おおむね全ての製薬上許容し得る亜鉛塩、好ましくは、塩化亜鉛、乳酸亜鉛、硫酸亜鉛、クエン酸亜鉛、酢酸亜鉛、ヒスチジン酸亜鉛、オロチン酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛および/またはグルコン酸亜鉛である、該医薬は、とりわけ好ましくは、グルコン酸亜鉛を含む。
本発明の好ましい実施態様によれば、α-交感神経興奮薬(1種以上)が水性溶媒中に存在することに特徴を有する医薬を使用する。水溶液は、例えば、例えば眼内、鼻/咽喉領域内または直腸領域内におけるような粘膜上での局所使用にとりわけ適しており、とりわけ好ましくは、急性鼻炎の治療において鼻内で使用する。
水溶液は、例えば、緩衝液および防腐剤のようなアジュバントを含み得る。適切な緩衝液は、例えば、クエン酸塩、酢酸塩、ヒスチジン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、リン酸塩または乳酸塩、および/またはこれらそれぞれの遊離酸またはそれらの塩基類、並びに各種塩類および/またはその酸または塩基類の混合物のような、所望のpHを設定するのに適するおおむね全ての生理学上許容し得る物質である。2-イミダゾリン構造を有するα-交感神経興奮薬を含む水溶液は、とりわけ好ましくは、とりわけオキシメタゾリンおよび/またはキシロメタゾリンが活性成分として存在する場合、リン酸またはクエン酸緩衝液を含む。本発明のとりわけ好ましい実施態様によれば、1種以上のα-交感神経興奮薬を含み、ウイルス性疾患の予防および/または治療を意図する医薬は、水溶液の形にあり、少なくとも1種の、好ましくはリン酸またはクエン酸緩衝液を含む。
適切なリン酸緩衝液は、リン酸水素二ナトリウムまたはリン酸二水素カリウム、および、例えば、リン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素カリウムの混合物のようなナトリウムおよびカリウム塩の混合物のような、リン酸のモノ-および/またはジ-ナトリウムおよびカリウム塩の水溶液である。
適切なクエン酸緩衝液は、1種以上のクエン酸塩および/またはその遊離酸(例えば、クエン酸、クエン酸一水和物、クエン酸三ナトリウム二水和物、クエン酸三カリウム一水和物)の混合物である。
水溶液のpHは、4.0〜8.0の範囲にあり、好ましくは5.5〜7.0のpHである。水溶液がリン酸緩衝液を含む場合、リン酸緩衝剤は、有利には5〜180ミリモル/l、好ましくは140〜145ミリモル/lの濃度で存在する。クエン酸緩衝液が存在する場合、クエン酸緩衝剤は、有利には1〜50ミリモル/l、好ましくは5〜20ミリモル/lの濃度で存在する。
適切な防腐剤は、例えば、フェノール、m-クレゾール、メチル-またはプロピル-パラベン、クロロブタノール、チオマーサルまたはベンズアルコニウムクロライドであり、これらのうちでは、ベンズアルコニウムクロライドが、とりわけ水溶液を粘膜上での局所使用を、この場合とりわけ鼻内での使用を意図する場合に好ましい。本発明のさらに好ましい実施態様によれば、1種以上のα-交感神経興奮薬を含み、ウイルス性疾患の予防および/または治療を意図する医薬は、水溶液の形にあり、少なくとも1種の防腐剤、好ましくはベンズアルコニウムクロライドを含む。
上記溶液が活性成分およびさらにまた存在するアジュバントの浸透圧特性故に既に等張でない場合、等張剤、好ましくは、例えば、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムのような生理学上許容される塩、または、例えば、グルコースまたはグリセリンのような生理学上許容されるポリオールも、等張化に必要な量で、さらにまた有利に存在し得る。等張剤は、とりわけ好ましくは、グリセリンである。
存在するα-交感神経興奮薬、投与剤形および特定のウイルス性疾患にもよるが、上記医薬は、週毎に1回以上から毎日1回以上の投与を意図し得る。本発明の1つの実施態様によれば、本発明の医薬は、毎日2回、3回または4回以上の投与を意図する。
(実施例)
以下、実施例により本発明を説明するが、これらの実施例に限定するものではない。
実施例
抗ウイルス活性
2-イミダゾリン構造を有するα-交感神経興奮薬の抗ウイルス活性を、1連の生体外試験において、ウイルス株HRV 2およびHRV 14 (ヒトライノウイルス)並びにインフルエンザAに対するオキシメタゾリンの例によって試験する。試験は、HRV 2またはHRV 14を感染させたHeLa細胞、またはインフルエンザAを感染させたMDCK細胞において実施する。ウイルス複製/ウイルス増殖に対するオキシメタゾリンの作用を、プラーク減少アッセイ(Cooper, P.D., 1955: A method for producting plaques in agar suspensions of animal cells. Virologiy 1:397-409参照)により、また、ウイルスの感染力(ウイルス力価測定による残留感染力の判定)について実証する。さらに、抗ウイルス作用特性は、いわゆる高処理量細胞変性作用抑制アッセイ(CPE)によっても測定した (Schmidtke M., Schnittler U., Jahn B., Dahse H.-M. and Stelzner A. 2001: A rapid assay for evaluation of antiviral activity against coxsackie virus B3, influenza A, and herpes simplex virus type 1. J Virol Methods 95: 133-143)。
ウイルス株HRV 2およびHRV 14
活性成分による細胞毒性作用を除外するために、先ず、存在するHeLa細胞に対する影響が所定の生体外試験条件下においては生じない活性成分濃度を、希釈群の活性成分水溶液の添加によって決定する(Mosmann, T., 1983: Rapid Colorimetric Assay for Cellular Growth and Survival: Application to Proliferation and Cytotoxity Assays. J. Immunol. Meth. 65:55-63参照)。HeLa細胞代謝を低下させる試験物質によって生じる作用が生じない活性成分濃度は、0.005〜0.003125%(質量/容量)である。
HRV 14によるHeLa細胞の感染は、0.0004の平均感染投与量(M.O.I.;感染の多重度)を使用して実施する。HRV 2によるHeLa細胞の感染においては、未処理ウイルス対照において感染後72時間で完全CPEを生じるウイルス投与量を選定した。試験物質は、上記で決定した0.003125%(質量/容量)の非細胞毒性物質濃度の希釈(1:2、1:4、1:8、1:16、1:32)で感染細胞に添加する。抗ウイルス活性は、プラーク減少試験および/または高処理量細胞変成作用抑制アッセイ(CPE)によって測定する。残留感染力(TCID50/ml)は、ウイルス力価測定によって測定する。HRV 14の結果を下記の表1および2に示す。
HRV 14
表1
Figure 0005311825
結果は、オキシメタゾリンの例において、2-イミダゾリン構造を有するα-交感神経興奮薬の抗ウイルス作用を示している(この場合、ウイルス株HRV 14に対して)。

表2
ウイルス株HRV 14の第2群の試験結果(CPEによる測定)
Figure 0005311825





HRV 2
表3
Figure 0005311825
結果は、オキシメタゾリンの例によって、2-イミダゾリン構造を有するα-交感神経興奮薬の抗ウイルス作用を示している(この場合、ウイルス株HRV 2に対して)。
インフルエンザAウイルス
上記2種類のライノウイルス(HRV 14、HRV 2)について説明した方法と同様にして、先ず、使用するMDCK細胞に対する影響が所定の生体外試験条件下においては生じない活性成分濃度を、希釈群の活性成分水溶液の添加によって決定する。MDCK細胞代謝を低下させる試験物質によって生じる作用が発生しない活性成分濃度は、0.005%(質量/容量)である。試験物質は、上記で決定した0.005%(質量/容量)の非細胞毒性物質濃度の希釈(1:2、1:4、1:8、1:16、1:32)で感染細胞に添加する。抗ウイルス活性は、高処理量細胞変成作用抑制アッセイ(CPE)によって定量する。結果を下記の表4に示す。

表4
Figure 0005311825
結果は、オキシメタゾリンの例によって、インフルエンザAウイルス株に対する上記α-交感神経興奮薬の抗ウイルス作用を示している(CPEアッセイ)。

Claims (4)

  1. 2-イミダゾリン構造を有するα-交感神経興奮薬の、ライノウイルスおよび/またはインフルエンザAウイルス用の抗ウイルス剤の製造における使用であって、前記抗ウイルス剤が、粘膜上での局所使用を目的とし、前記α-交感神経興奮薬が、オキシメタゾリンであり、かつ、水性溶媒中に存在する水溶液である、前記使用。
  2. 前記水溶液が、リン酸塩またはクエン酸塩を含む、請求項1記載の使用。
  3. 前記水溶液が、ベンズアルコニウムクロライドを含む、請求項1または2記載の使用。
  4. オキシメタゾリンの水溶液を含む、ライノウイルスおよび/またはインフルエンザAウイルス用の抗ウイルス剤であって、前記抗ウイルス剤が、粘膜上での局所使用を目的とする抗ウイルス剤
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