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JP5311246B2 - 水性液体の酸化還元電位を変化させる方法および装置 - Google Patents

水性液体の酸化還元電位を変化させる方法および装置 Download PDF

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Description

本発明は、水性液体の酸化還元電位を変化させる方法および装置に関する。
酸化還元電位が高い水や低い水は、その特性から様々な応用が期待されており、たとえば、健康の増進、美容、洗浄、および殺菌などへの応用が期待されている。
従来から、酸化還元電位(Oxidation-Reduction Potential(ORP))が低い液体の調製方法が提案されてきた。たとえば、水素ガスや窒素ガスを水に吹き込んで、液体中の溶存水素量や溶存酸素量を変化させ、それによって水の酸化還元電位を低減する方法が提案されている(たとえば特開2005−901号公報)。しかし、外部からガスを吹き込む従来の方法はガスの供給源が必要になり、コストや手間がかかる。
また、水を電気分解することによって、水の酸化還元電位を変化させる方法も提案されている(たとえば特開平11−57715号公報)。特開平11−57715号公報には、ORPとともにpHを調整するための方法が記載されている。
特開2005−901号公報 特開平11−57715号公報
特開平11−57715号公報に記載の方法では、最初の電気分解と、次の電気分解とで電圧の印加方向を逆にする。そのため、最初の電気分解におけるORPの変化が、次の電気分解におけるORPの変化で打ち消されてしまい、効率が悪く、また、ORPを大きく変化させることができない。特開平11−57715号公報の方法でORPを大きく変化させようとすると、2段階目の電気分解の量を大きくする必要があり、そうすると結局pHが大きく変化してしまう。
このような状況において、本発明は、水性液体の酸化還元電位を変化させるための新規な方法および装置を提供することを目的の1つとする。
上記目的を達成するため、本発明は、流路を流れる水性液体の酸化還元電位を変化させるための方法を提供する。この方法は、流路を流れる水性液体の酸化還元電位を変化させる方法であって、(i)セパレータによって仕切られた第1および第2の槽にそれぞれ配置された第1および第2の電極を、前記水性液体に浸漬する工程と、(ii)前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加することによって、前記水性液体中の水を電気分解する工程とを含み、前記第2の槽が前記流路の一部を構成しており、前記第1の槽が前記セパレータを介して前記流路と接続されている。
また、本発明は、流路を流れる水性液体の酸化還元電位を変化させるための装置を提供する。この装置は、流路を流れる水性液体の酸化還元電位を変化させる装置であって、前記水性液体が配置される容器と、前記容器を第1の槽と第2の槽とに仕切るセパレータと、前記第1の槽に配置された第1の電極と、前記第2の槽に配置された第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加するための電源とを備え、前記第2の槽には、前記第2の槽が前記流路の一部を構成するように前記流路に接続される流入口と流出口とが形成されており、前記第1の槽が前記セパレータを介して前記流路と接続される。
本発明によれば、水性液体の酸化還元電位を容易に変化させることができる。また、酸化還元電位を変化させる際に、必要に応じて水性液体のpHの変化を制御できる。また、本発明によれば、装置を単純化および小型化することが可能である。
図1は、本発明の装置の一例を模式的に示す。 図2は、本発明の装置の他の一例を模式的に示す。 図3は、図1に示した装置の動作状態の一例を模式的に示す。 図4は、図1に示した装置の動作状態の他の一例を模式的に示す。 図5Aは、本発明の装置のその他の一例を模式的に示す。 図5Bは、図5Aに示した装置の動作状態の一例を模式的に示す。 図6は、本発明の装置のその他の一例を模式的に示す。 図7は、図6に示した装置の動作状態の一例を模式的に示す。 図8は、本発明の装置の使用状態の一例を模式的に示す。 図9は、本発明の装置の使用状態の他の一例を模式的に示す。 図10は、水性液体のORPを変化させるための装置の他の一例を模式的に示す。 図11は、水性液体のORPを変化させるための装置の他の一例を模式的に示す。 図12Aは、実施例で用いた装置の第1の電極の形状を模式的に示す。 図12Bは、実施例で用いた装置における、第1の電極およびセパレータの配置を模式的に示す。 図13は、本発明の装置の他の一例を模式的に示す。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、本発明の実施形態について例を挙げて説明するが、本発明は以下で説明する例に限定されない。以下の説明において特定の数値や特定の材料を例示する場合があるが、本発明の効果が得られる限り、他の数値や他の材料を適用してもよい。以下では、酸化還元電位を「ORP」と記載する場合がある。なお、この明細書において、「水性液体の量」という場合には、特に説明がない限り、水性液体の体積を意味する。
[水性液体のORPを変化させる方法]
以下に、流路を流れる水性液体のORPを変化させるための本発明の方法について説明する。本発明の方法によれば、ORPを低下させることおよびORPを高めることのいずれもが可能である。
本発明の方法は、工程(i)および(ii)を含む。工程(i)では、セパレータによって仕切られた第1および第2の槽にそれぞれ配置された第1および第2の電極を、水性液体に浸漬する。当該水性液体を、以下では、「水性液体(A)」という場合がある。第1の電極は第1の槽に配置され、第2の電極は第2の槽に配置される。
第2の槽は、水性液体(A)が流れる流路の一部を構成している。一方、第1の槽は、セパレータを介して当該流路と接続されている。すなわち、当該流路は、第1の槽には直接的には接続されていない。換言すれば、第2の槽内の水性液体(A)は、水性液体(A)が流路を流れることによって第2の槽の外の水性液体(A)と混合されるか、またはそれに置き換えられる。一方、第1の槽内の水性液体(A)は、水性液体(A)がセパレータを通過することによってのみ第1の槽の外の水性液体(A)(すなわち、第2の槽内の水性液体(A))と混合されるか、またはそれに置き換えられる。この例には、第1の槽内の水性液体(A)が排液路から排出され、それに伴って第2の槽内の水性液体(A)が第1の槽内に移動する場合も含まれる。
第2の槽には、流路に接続される2つの接続部を備える。具体的には、第2の槽は、流入口および流出口を備える。流入口および流出口は、第2の槽が流路の一部を構成するように、流路に接続される。流路に接続された流入口から水性液体(A)が第2の槽に流入する。第2の槽で処理された水性液体(A)は、流路に接続された流出口から流路に流出する。流入口と流路、および、流出口と流路とは固定されていてもよい。あるいは、流入口と流路、および、流出口と流路とは着脱自在な状態で接続されてもよい。流入口および流出口と流路との接続の方法に限定はなく、たとえば、配管用の公知の部品を用いて行うことができる。第1の槽は、流路と接続される接続部を備えてもよいが、流路に接続される接続部を通常は備えない。
本発明で用いられる装置は、流路が接続された貯水槽をさらに備えてもよい。そして、流路が、貯水槽と第2の槽とを含む循環路(環状路)を構成していてもよい。
第1および第2の槽は、セパレータによって仕切られている。セパレータによって仕切られている第1および第2の槽の例には、セパレータのみによって仕切られた第1および第2の槽だけでなく、セパレータと、液体および気体を通さない隔壁とによって仕切られた第1および第2の槽が含まれる。
セパレータには、電極間の短絡を抑制でき、且つ、電極の表面で発生したガスが通過することを抑制できるセパレータを用いることができる。セパレータは、液体およびイオン(陽イオンおよび陰イオンの両方)を通過させる。一方、セパレータは、水性液体(A)中のガス(気泡)の通過を抑制し、好ましくは防止する。セパレータは、絶縁性を有する。ただし、電極の短絡を防止できる限り、セパレータの一部(たとえば内部)は絶縁性でなくてもよい。すなわち、セパレータは、全体としてみたときに絶縁性であればよい。別の観点では、セパレータは、陽イオンおよび陰イオンの両方を通過させる隔膜(すなわちイオン交換能を有さない隔膜)であって、且つ、多孔性および絶縁性の隔膜である。
セパレータは親水性を有することが好ましい。親水性を有するセパレータを用いることによって、ガスの透過をより効果的に抑制できる。セパレータの例には、樹脂(たとえば樹脂繊維)からなるセパレータが含まれる。樹脂には、天然樹脂および合成樹脂が含まれる。セパレータの形態の例には、布(織布または不織布)や膜(多孔質膜)が含まれる。親水性を有するセパレータの例には、親水基を含有する樹脂を含むか、またはその樹脂からなるセパレータが含まれる。また、親水性を有するセパレータの例には、親水化処理された樹脂を含むか、またはその樹脂からなるセパレータが含まれる。セパレータは、綿、麻、レーヨン、毛、および絹などで形成された布や膜であってもよい。通常、セパレータはイオン交換材料を含まない。すなわち、通常、セパレータはイオン交換膜ではなく、陽イオンおよび陰イオンを共に通過させる。
親水性であるか否かの目安として、毛管現象のような現象が生じるか否かを目安の1つとして挙げることができる。具体的には、セパレータの一部を水に浸漬し、残りの部分は水から出しておく。その時に、水が重力に逆らって当該残りの部分を上昇するようであれば、そのセパレータは、親水性であると推定できる。
セパレータは、ガスの透過を抑制する一方で、イオンを容易に透過させることが好ましい。そのため、好ましいセパレータの一例は、透気抵抗度(ガーレー)が大きく(すなわち通気しにくく)、空隙率が高いセパレータである。
第1および第2の電極には、水の電気分解反応を生じさせることができる電極が用いられる。第1および第2の電極の表面には、水の電気分解反応が生じやすい金属が存在することが好ましい。水の電気分解反応が生じやすい金属の例には、白金が含まれる。第1および第2の電極の例には、金属電極が含まれ、工程(ii)において安定に存在できる金属電極が好ましく用いられる。第1および第2の電極の好ましい一例は、表面に白金が存在する金属電極である。具体的には、白金電極や、液体と接触する部分の表面が白金でコートされた金属電極が好ましく用いられる。白金でコートされる金属の例には、ニオブ、チタン、タンタル、およびその他の金属が挙げられる。酸素ガスが発生する電極(アノード)の表面は、白金でコートされることが好ましい。なお、金属以外の導電性材料(たとえば導電性の炭素材料)からなる電極を用いてもよい。また、それら導電性材料の表面を金属(白金その他の金属)でコートすることによって得られる電極を用いてもよい。
第1の電極と第2の電極との間の距離は、0.1mm〜10mmの範囲(たとえば0.1mm〜5mmの範囲)にあってもよい。第1の電極と第2の電極との間の距離が短いほど、水の電気分解に必要な電圧を低くすることができる。また、第1の電極と第2の電極との間の距離が短いほど、水素イオンおよび水酸化物イオンが一方の槽から他方の槽に移動しやすくなるため、第1の槽中の水性液体のpHと、第2の槽中の水性液体のpHとの差を小さくできる。第1の電極と第2の電極とが短絡しない限り、第1の電極および第2の電極はセパレータと接触していてもよい。第1の電極とセパレータとの間の距離、および、第2の電極とセパレータとの間の距離は、それぞれ、0mm〜5mmの範囲(たとえば0mm〜1mmの範囲)にあってもよい。
第1および第2の電極は、それぞれ、2次元状に広がる形状を有してもよい。たとえば、第1および第2の電極は、平板状の電極であってもよい。この平板状の電極には、貫通孔が形成されていてもよい。また、第1および第2の電極は、それぞれ、仮想の平面上に配置された複数の線状の電極で構成されていてもよい。そのような電極の一例は、図12Aに示される。第1および第2の電極が2次元状に広がる形状を有する場合、第1の電極と第2の電極とが、セパレータを挟んで互いに平行に対向することが好ましい。また、複数の第1の電極と複数の第2の電極とがセパレータを挟んで対向していてもよい。
第1の電極および第2の電極のそれぞれは、鉛直方向に沿ってストライプ状に配置された複数の線状の電極を含んでもよい。このような電極を用いることによって、電極の表面で発生したガスは、鉛直方向に上昇しやすくなり、電極の表面に滞留しにくくなる。
電極の表面で発生したガス(気泡)が電極表面に接触する面積が小さい程、気泡は電極表面に付着・滞留しにくい。そのため、線状の電極の表面は、平らであるよりも湾曲している方が好ましい。従って、線状の電極の断面は、四角形であるよりも円形である方が好ましい。
隣接する2つの線状の電極間の距離Dは、1.5mm以下であってもよい。距離Dは、たとえば、0.1mm〜1.5mmの範囲にあってもよい。距離Dが小さいほど、電圧降下の影響を小さくできる。また、距離Dを1.5mm以下とすることによって、電極表面で発生したガスが電極表面に滞留することを抑制できる。
第1および第2の槽には、水性液体を安定に保持できる槽を用いることができる。典型的な一例では、1つの容器がセパレータ(あるいはセパレータおよび隔壁)で仕切られて、第1および第2の槽とされる。第1の槽および第2の槽の例には、樹脂製の槽や、内面が樹脂製の槽が含まれる。
槽の内面は親水性を有していてもよい。槽の内面が親水性を有することによって、ガスが上方に移動しやすくなる。親水性を有する内面の例には、親水性を有する樹脂からなる内面、および、親水化処理された内面が含まれる。また、電極の表面で発生したガスが槽の上面で滞留することを防止するため、槽の上面は傾斜していてもよい。
次の工程(ii)では、第1の電極と第2の電極とを水性液体(A)に浸漬した状態で第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加することによって、水性液体(A)中の水を電気分解する。電気分解は、水性液体(A)が流路(第2の槽が含まれる)を流れている状態で行われる。
アノード(陽極)では、以下の式(1)の反応に従って水素イオン(H+)と酸素ガスとが発生する。一方、カソード(陰極)では、以下の式(2)の反応に従って水酸化物イオン(OH-)と水素ガスとが発生する。
(アノード)2H2O→4H++O2+4e- ・・・(1)
(カソード)4H2O+4e-→4OH-+2H2 ・・・(2)
なお、アノードおよびカソードにおける反応は以下の式(3)および(4)のように考えることも可能であるが、この明細書においては上記式(1)および(2)の反応として記載する。
(アノード)4OH-→2H2O+O2+4e- ・・・(3)
(カソード)4H++4e-→2H2 ・・・(4)
一方の電極がアノードとなるように(他方の電極がカソードとなるように)、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加して水を電気分解した場合、アノード側の電極が存在する槽内の水性液体は、溶存酸素濃度が上昇し、その結果、ORPが上昇する。一方、カソードが存在する槽内の水性液体は、溶存水素濃度が上昇し、その結果、ORPが低下する。このとき、アノードが存在する槽内の水性液体のpHは低下する。一方、カソードが存在する槽内の水性液体のpHは上昇する。
この明細書において、「水性液体」とは、水を含む液体を意味する。水性液体(A)の例には、水道水などの水や、水溶液が含まれる。水性液体(A)は、塩が溶解された水溶液であってもよい。また、水性液体(A)は、水以外の有機溶媒(たとえばアルコール)を含んでもよい。通常、水性液体(A)の溶媒に占める水の割合は、50重量%以上(たとえば80重量%以上や90重量%以上や95重量%以上)であり、且つ100重量%以下である。典型的には、水性液体(A)の溶媒は水である。水性液体(A)中のイオン濃度が低すぎると、電流が流れにくくなる。一方、イオン濃度が高すぎると、効率が低下したり、pHの変化が大きくなったりする。水性液体(A)の導電率は、100μS/cm〜50mS/cm(たとえば140μS/cm〜2mS/cm)の範囲にあってもよい。イオンの濃度が低い場合には、一般的に、ORPは変化しにくい。必要に応じて、水性液体(A)にイオンを添加してもよい。たとえば、水性液体(A)に塩を溶解させてもよい。溶解させる塩に特に限定はなく、硫酸塩やリン酸塩であってもよい。
電極間に印加される電圧(直流電圧)は、アノードから酸素ガスが発生し、カソードから水素ガスが発生するように設定される。印加電圧は、3ボルト〜30ボルトの範囲(たとえば6ボルト〜20ボルトの範囲)にあってもよい。
工程(ii)は、第1の電極の表面で発生するガスに比べて第2の電極の表面で発生するガスが水性液体(A)に残留しやすい条件で行われてもよい。これによって、第2の槽中の水性液体(A)のORPを効率的に変化させることができる。ただし、この条件が満たされない場合でも、本発明の効果を得ることが可能である。第2の槽で処理された水が大気に開放されている使用場所(たとえば浴槽)で使用される場合、第2の槽から使用場所に至る経路が大気に開放されておらず且つ長い方が、ORPを効率的に変化させやすい。第2の槽と使用場所とを結ぶ経路(大気に開放されていない経路)の長さは、たとえば50cm以上であってもよく、50cm〜500cmの範囲にあってもよい。
第2の電極で発生したガスの圧力が高まることを避けるために、第2の電極で発生したガスを放出してもよい。ガスの放出は、定期的に行ってもよいし、不定期に行ってもよい。ガスの放出は、第2の槽、第2の槽に接続された貯水槽、および、第2の槽と貯水槽とを接続する経路のいずれかに配置されたバルブによって行ってもよい。
工程(ii)は、第1の槽が大気に開放されており且つ第2の槽に大気が流入しない状態で行われてもよい。「第2の槽に大気が流入しない状態」には、第2の電極で発生したガスが第2の槽から放出される一方で第2の槽に大気が流入しない状態も含まれる。第1の槽を大気に開放することによって、第1の電極の表面で発生したガスが大気に放出される。一方、第2の電極で発生したガスの圧力が高くなりすぎたときだけ、当該ガスを放出することによって、第2の電極の表面で発生したガスが水性液体(A)中に残留しやすくなる。
工程(ii)において、第1の槽で処理される水性液体(A)の量(体積V1(cm3))と第2の槽で処理される水性液体(A)の量(体積V2(cm3))との比によって、第2の槽で処理された水性液体(A)のpHが調整されてもよい。(V2/V1)の値が大きいほど、第2の槽で処理された水性液体のpHの変化が小さくなる傾向がある。(V2/V1)の値は、10〜2×106の範囲(たとえば10〜50000の範囲や200〜15000の範囲)にあってもよい。
第1の槽で処理される水性液体(A)の量(体積V1)は、第1の槽に配置される水性液体(A)の量であり、通常、第1の槽の内容積で近似できる。第2の槽が流路に接続されていない場合には、第2の槽で処理される水性液体(A)の量(体積V2)は、通常、第2の槽の内容積に置き換えることができる。
一方、第2の槽が流路の一部を構成する場合には、以下の3つの近似が可能である。したがって、上記の(V2/V1)の好ましい値は、以下の3つの近似が行われた場合においても好ましい。第1の近似は、流路が循環路ではない場合の近似である。この場合の体積V2は、第2の槽で処理されて第2の槽から排出された水性液体(A)の体積に置き換えることができる。第2の近似は、第2の槽が、循環路である流路の一部を構成する場合の近似である。この場合において、循環路を水性液体(A)が充分に循環すると仮定すると、体積V2は、循環路に存在する水性液体(A)の総量に置き換えることができる。たとえば、第2の槽と貯水槽とが流路で接続され、第2の槽と貯水槽との間を水性液体(A)が循環する場合、体積V2は、第2の槽の内容積と、第2の槽と貯水槽とを結ぶ流路に配置された水性液体(A)の体積と、貯水槽に配置された水性液体(A)の体積との合計に置き換えることができる。第2の近似において、貯水槽に配置された水性液体(A)の体積が、第2の槽および流路に配置される水性液体(A)の体積に比べてずっと大きい場合には、体積V2は、貯水槽に配置された水性液体(A)の体積に置き換えることができる。第3の近似は、第2の槽が、循環路である流路の一部を構成する場合の別の近似である。第3の近似では、体積V2が、循環路内の容積で近似できる。たとえば、循環路が、第2の槽、貯水槽、およびそれらを結ぶ流路で構成される場合には、それらの内容積の合計を、体積V2とみなすことが可能である。第3の近似において、第2の槽および流路の内容積に比べて貯水槽の内容積がずっと大きい場合には、体積V2は、貯水槽の内容積に置き換えることができる。
上記第2の近似から、工程(ii)において、第1の槽の内容積(または第1の槽に配置された水性液体(A)の量)と、貯水槽に配置される水性液体(A)の量との比によって、第2の槽で処理された水性液体(A)のpHが調整されてもよい。また、上記第3の近似から、工程(ii)において、第1の槽の内容積(または第1の槽に配置された水性液体(A)の量)と、貯水槽の内容積との比によって、第2の槽で処理された水性液体(A)のpHが調整されてもよい。
第2の槽が循環路の一部を構成する場合、および、第2の槽が循環路の一部を構成しない場合のいずれの場合においても、第2の槽を1分間あたりに流れる水性液体(A)の量が、第1の槽に配置される水性液体(A)の量(または第1の槽の内容積)の1倍〜106倍の範囲(たとえば10倍〜105倍の範囲や100倍〜105倍の範囲)にあってもよい。第2の槽が循環路の一部を構成しない場合(たとえば、第2の槽で処理された水性液体がそのまま使用される場合)には、この倍率が高いほど、第2の槽で処理された水性液体(A)のpHの変動が小さくなる。なお、この倍率を上記範囲として、且つ、電極(第1および第2の電極)とセパレータとの距離を短くする(たとえば上述した距離とする)ことによって、第2の槽で処理される水性液体(A)のpHの変化を特に抑制できる。
流路が循環路である場合、すなわち、第2の槽が循環路の一部を構成する場合には、工程(ii)において、循環路に存在する水性液体(A)の量が、第1の槽に配置される水性液体(A)の量(または第1の槽の内容積)の10倍〜106倍の範囲(たとえば100倍〜105倍の範囲)にあってもよい。この倍率が高いほど、第2の槽で処理された水性液体(A)のpH(すなわち、循環路に存在する水性液体(A)のpH)の変動が小さくなる。なお、この倍率を上記範囲として、且つ、電極(第1および第2の電極)とセパレータとの距離を短くする(たとえば上述した距離とする)ことによって、第2の槽で処理される水性液体(A)のpHの変化を特に抑制できる。
第1の槽の内容積に特に限定はなく、1cm3〜1000cm3の範囲(たとえば3cm3〜200cm3の範囲や3cm3〜20cm3の範囲)にあってもよい。同様に、第2の槽の内容積は、これらの範囲にあってもよい。好ましい一例では、第2の槽の内容積は、第1の槽の内容積と同じかそれよりも大きい。
工程(ii)において、第1の電極と第2の電極との間を単位時間に流れる電気量と、単位時間にセパレータを通過するイオンの量との比によって、第2の槽で処理された水性液体(A)のpHが調整されてもよい。電極間を単位時間に流れる電気量が大きいほど、第2の槽で処理された水性液体(A)のpHの変化が大きくなる傾向がある。一方、単位時間にセパレータを通過するイオンの量が多いほど、第2の槽で処理された水性液体(A)のpHの変化が小さくなる傾向がある。電極間を単位時間に流れる電気量は、電極間に印加する電圧を大きくするほど、大きくできる。また、単位時間にセパレータを通過するイオンの量は、イオンが通過可能なセパレータの面積が大きいほど、大きくできる。また、電極とセパレータとの間の距離が短いほど、単位時間にセパレータを通過するイオンの量が大きくなりやすい。また、槽の内容積が小さいほど、単位時間にセパレータを通過するイオンの量が大きくなりやすい。
工程(ii)は、第1の槽の水性液体(A)が通液状態ではなく且つ第2の槽の水性液体(A)が通液状態である状態で行われる。この構成によれば、第2の槽で処理された水性液体(A)のpHの変化を小さくすることが可能である。なお、「通液状態」とは、連続的に液体が槽に流入および排出される状態をいう。
本発明の方法において、工程(ii)が行われた直後の状態では、第1の槽の中の水性液体(A)のpHと第2の槽の中の水性液体(A)のpHとは、大きく異なる場合が多い。そのため、第2の槽の中の水性液体(A)のpHを工程(ii)が行われた直後の値に保って中性に近づけないようにする場合には、工程(ii)の後に、第1の槽の中の水性液体(A)およびイオンが第2の槽に移動および拡散することを防止してもよい。たとえば、工程(ii)の後に第1の槽の水を排出してもよい。あるいは、工程(ii)の後に、第1の槽と第2の槽との間を遮蔽板で仕切って、水性液体(A)およびイオンの移動および拡散を防止してもよい。第2の槽中の水性液体(A)のORPを変化させた後、第2の槽中の水性液体(A)を中性に戻したい場合は、電圧印加後に、pHがほぼ一定値になるまで槽中の水性液体(A)を放置してもよい。水素イオンおよび水酸化物イオンがセパレータを透過することによって、pHが中性に近づく。このとき、電圧を印加しない状態で第2の槽中の水性液体(A)を循環させることによって、pHが中性に戻ることを促進できる。
本発明の方法では、第1の槽に配置されている水性液体(A)の一部を排出することによって、第2の槽を流れる水性液体(A)のpHを制御してもよい。
また、第1の槽および第2の槽の一方または両方に排液路を配置し、一方の槽から水性液体(A)を排出することによって、水性液体(A)のpHを調整してもよい。たとえば、中性の水を電気分解すると、アノード側の水性液体(A)が酸性となり、カソード側の水性液体(A)がアルカリ性となる。そのため、電圧印加中または電圧印加後において、第1の槽および第2の槽のいずれか一方の水性液体(A)を排出することによって、水性液体(A)全体のpHを変化させることが可能である。
なお、水性液体(A)のpHを変化させる方法として上述した方法は、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、カソード側の槽の水性液体30はアルカリ性となるため、カソード側の槽には、カルシウムなどのスケール(scale)が析出する場合がある。その場合には、水性液体30の流れを止めた状態で、逆方向に電圧を印加すればよい。そうすることによって、アルカリ性であった水性液体を酸性とし、スケールを溶解させることができる。
[水性液体のORPを変化させる装置]
流路を流れる水性液体のORPを変化させるための本発明の装置を以下に説明する。本発明の装置によれば、本発明の方法を容易に実施できる。なお、本発明の方法について説明した事項については本発明の装置に適用できるため、重複する説明を省略する場合がある。また、本発明の装置について説明した事項は、本発明の方法に適用できる。
本発明の装置は、容器、セパレータ、第1の電極、第2の電極、および電源を備える。容器には、水性液体(すなわち水性液体(A))が配置される。セパレータは、容器を第1の槽と第2の槽とに仕切る。第1の電極は第1の槽に配置され、第2の電極は第2の槽に配置される。電源は、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加する。本発明の装置では、第1の電極と第2の電極とを水性液体(A)に浸漬した状態で第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加することによって水性液体(A)中の水を電気分解する工程が行われる。以下、この工程を「電気分解工程」という場合がある。
本発明の装置で行われる電気分解工程は、本発明の方法の工程(ii)に該当する。容器(第1および第2の槽)、セパレータ、第1および第2の電極、水性液体(A)については、上述したため、重複する説明を省略する場合がある。上述したように、第2の槽が流路の一部を構成する。すなわち、第2の槽には、第2の槽が流路の一部を構成するように流路に接続される流入口と流出口が形成されている。また、第1の槽は、セパレータを介して流路と接続される。
電源には、直流電源を用いることができる。電源は、コンセントから得られる交流電圧を直流電圧に変換するAC−DCコンバータであってもよい。また、電源は、太陽電池や燃料電池などの発電装置や電池(たとえば二次電池)であってもよい。発電装置や電池を電源として用いることによって、電力が供給されていない地域や状況において本発明の装置を用いることが可能となる。
本発明の装置は、手動で制御することが可能である。しかし、本発明の装置は、コントローラを備えてもよい。コントローラは、演算処理装置と記憶手段とを含む。なお、記憶手段は、演算処理装置と一体化されていてもよい。記憶手段の例には、演算処理装置の内部メモリ、外部メモリ、磁気ディスク(たとえばハードディスクドライブ)などが含まれる。記憶手段には、必要な工程(たとえば電気分解工程)を実行するためのプログラムが記録される。コントローラの一例には大規模集積回路(LSI)が含まれる。本発明の装置は、各種機器(電源、ポンプ、バルブ、フィルタなど)および各種計測器(ORP計、電流計、pH計、イオン濃度計、導電率計、溶存酸素計、および溶存水素計など)を含んでもよい。そして、コントローラは、これらの機器および計測器に接続されていてもよい。コントローラは、計測器の出力に基づいて機器を制御することによって電気分解工程を実行してもよい。
本発明の装置は、電極に印加する電圧を決定するために、水性液体の導電率を測定する導電率計や、対極からのガス発生を確認するための装置(たとえばLEDやレーザダイオードなどの発光素子と、フォトダイオードなどの受光素子との組み合わせ)を備えてもよい。また、本発明の装置は、電極間に印加される電圧を測定するための電圧計や、電極間を流れる電流を測定するための電流計を備えてもよい。
コントローラは、各種の計測器から得られたデータ、および、装置の使用者によって設定されたORPの目標値に基づいて、電圧印加および/または水性液体(A)の流量を制御してもよい。さらに、コントローラは、装置の使用者によって設定されたpHの目標値に基づいて、電圧印加、水性液体(A)の流量、および、第1および第2の槽から排出される水性液体(A)の量から選ばれる少なくとも1つを制御してもよい。
本発明の装置は、陽イオンまたは陰イオンを選択的に通過させるような膜(たとえばイオン交換膜)やイオン交換材料を必要に応じて備えてもよい。しかし、本発明の装置は、通常、そのような膜(たとえばイオン交換膜)やイオン交換材料を含まない。
槽内の圧力の上昇に応じて槽内の水性液体(A)が移動するための管が、槽に接続されていてもよい。たとえば、第1の槽内の圧力の上昇に応じて第1の槽内の水性液体(A)が移動するための管が、第1の槽に接続されていてもよい。以下では、その管を、「管(T)」という場合がある。管(T)を用いることによって、第1の槽内の圧力が高まったときでも、水性液体(A)が装置の外部に漏れることを防止できる。管(T)の形状に特に限定はなく、断面が円形であってもよいし、断面が四角形であってもよい。一例では、管(T)は、第1の槽から上方に伸びている。また、他の一例では、管(T)は、下降と上昇とを交互に繰り返している。たとえば、管(T)は、下方に向かう方向および上方に向かう方向に蛇行を繰り返していてもよい。あるいは、管(T)は、コイル状に巻かれた管であってもよい。あるいは、管(T)は、鉛直方向に平行に配置された複数の直線状の管が直列に接続された構造を有してもよい。
管(T)が、下降と上昇とを交互に繰り返している場合には、管(T)内の気泡が管(T)内の水性液体(A)内を移動できることが好ましい。したがって、管(T)の内部(流路)の断面積は、管(T)の内部を気泡が移動できる大きさであることが好ましい。管(T)の内部の断面積は、3cm2以上であることが好ましく、たとえば3cm2〜10cm2の範囲や、5cm2〜30cm2の範囲にある。また、一例では、第1の槽から管(T)の下流側に移動する水性液体(A)が上方に移動する部分の管(T)の内部を親水性とし、第1の槽から管(T)の下流側に移動する水性液体(A)が下方に移動する部分の管(T)の内部を撥水性としてもよい。
管(T)の終端には細管が接続されていてもよい。細管の内部(流路)の断面積は、管(T)の内部(流路)の断面積よりも小さい。細管の内部の断面積は、0.7cm2〜3.5cm2の範囲や、0.5cm2〜1cm2の範囲にあってもよい。細管内は流体抵抗が大きいため、槽内の圧力が急激に変化しても、槽内の水位が大きく変化することなく、槽内の圧力が平衡に到達するまで水位は徐々に変化する。また、細管を管(T)に接続することによって、管(T)中の水性液体(A)の急激な移動を抑制できる。なお、この明細書において、「管の断面積」という語句は、流路の方向(水性液体(A)が流れる方向)に対して垂直な方向における断面の面積を意味する。
電気分解工程は、第1の電極の表面で発生するガスに比べて第2の電極の表面で発生するガスが水性液体(A)中に残留しやすい条件で行われてもよい。たとえば、電気分解工程は、第1の槽が大気に開放されており且つ第2の槽に大気が流入しない状態で行われてもよい。
本発明の装置は、第1の槽と第2の槽との間に移動可能に配置される遮蔽板をさらに備えてもよい。遮蔽板を移動させることによって、単位時間にセパレータを通過するイオンの量を調節することが可能である。
電気分解工程は、第1の槽の水性液体(A)が通液状態ではなく且つ第2の槽の水性液体(A)が通液状態である状態で行われる。
第2の槽は、水性液体(A)を保持する貯水槽に接続されていてもよい。そして、電気分解工程において、水性液体(A)が第2の槽と貯水槽との間で循環されてもよい。そのような装置によれば、多量の水性液体(A)を処理できる。また、そのような装置によれば、上述した(V2/V1)の値を大きくすることができ、その結果、第2の槽で処理された水性液体のpHの変動を抑制できる。
本発明の方法および装置において、貯水槽は、大気に開放されている貯水槽(たとえば浴槽)であってもよい。たとえば、第2の槽の下流側の流路が浴槽またはシャワーヘッドに接続されていてもよい。この場合、第2の槽で処理された水性液体(A)が、浴槽内の水(たとえば湯)、またはシャワーの水(たとえば湯)として用いられる。流路が浴槽に接続されている場合、流路は、浴槽と第2の槽とを含む循環路を形成していてもよい。これらの場合、第2の槽で処理される水性液体(A)として、第2の槽に湯が供給されてもよい。
第2の槽、貯水槽、およびそれらを接続する経路は循環路を構成してもよい。循環路には、循環路の中に存在するガスを放出するためのバルブが配置されていてもよい。そのバルブを開放することによって、第2の電極で発生したガスを大気中に放出できる。これによって、循環路中のガスの圧力が高くなりすぎることを防止できる。
なお、複数の本発明の装置が直列または並列に接続されていてもよい。換言すれば、本発明の装置は、直列または並列に接続された複数の処理装置を備えてもよい。それぞれの処理装置は、上述した本発明の装置の構成を備える。すなわち、それぞれの処理装置は、第1の槽、第2の槽、第1の電極、第2の電極、セパレータ、および電源を備える。
別の観点では、本発明は、ORPおよびpHが所定の範囲にある水性液体を製造する装置、および方法に関する。本発明によれば、水道水などの一般的に得られる水(具体的にはORPが200mV〜780mVの範囲にあり、pHが5.8〜8.6の範囲にある水)を処理することによって、ORPが処理前よりも200mV以上高く処理前後におけるpHの変化が2以下である水や、ORPが処理前よりも200mV以上低く処理前後におけるpHの変化が2以下である水を得ることが可能である。
本発明の実施形態の例について、図面を参照しながら以下に説明する。なお、以下の説明で参照される図面は、模式的な図であり、図面を見やすくするために水性液体のハッチングを省略する場合がある。
[実施形態1]
実施形態1の装置および方法の一例について、以下に説明する。実施形態1の装置100の構成を図1に模式的に示す。装置100は、容器10、セパレータ13、第1の電極21、第2の電極22、および電源23を含む。装置100は、コントローラを備えてもよい。
容器10は、セパレータ13によって、第1の槽11と第2の槽12とに仕切られている。第2の槽12には、流路14aと流路14bとが接続されている。流路14a、流路14b、および第2の槽12は、1つの流路14を形成している。第2の槽12は、2つの流入口12cおよび流出口12dを有する。流入口12cおよび流出口12dは、接続部品12eによって、接続の解除が可能な状態で流路14aおよび14bに接続されている。図2以降の図では、接続部品12eの図示を省略する。なお、本発明の装置では、流入口12cおよび流出口12dが、接続部品を用いることなく、流路に直接接続されていてもよい。
一例では、流路14aを第2の槽12の下方に接続し流路14bを第2の槽の上方に接続し、流路14aから水性液体30を導入し、第2の槽12内で処理された水性液体30を流路14bから排出する。この場合には、流入口12cを通って水性液体30が第2の槽12に流入し、流出口12dを通って水性液体30が流路14bに流出する。この場合には、第2の槽12の下方から上方に向かって水性液体が流れるため、第2の電極22の表面で発生したガスが第2の電極22の表面に滞留することを抑制できる。流路14aおよび/または流路14bには、必要に応じてポンプおよび/またはバルブが設置される。また、第2の槽12および/または流路14(通常は、第2の槽12の下流側の流路)には、計測器(ORP計、pH計、イオン濃度計、導電率計、溶存酸素計、溶存水素計など)が設置されていてもよい。第1の槽11は開口部11aによって大気に開放されている。一方、第2の槽12は大気から遮断されている。槽11および12には、水性液体30が配置される。水性液体30が開口部11aから外部に漏れることを防止するための手段が、開口部11aに設けられていてもよい。たとえば、開口部11aに気液分離膜が配置されていてもよい。気液分離膜には、公知のものを用いることができる。
図1に示すように、槽11および槽12のそれぞれに、排液路15および16が接続されていてもよい。排液路15および16のそれぞれには、バルブ15aおよびバルブ16aが設けられている。バルブ15aを開けることによって槽11内の水性液体30を排出できる。バルブ16aを開けることによって槽12内の水性液体30を排出できる。槽11内の水性液体30または槽12内の水性液体30を排出することによって、水性液体30のpHを調整することが可能である。
図2に示すように、本発明の装置は、貯水槽24を備えてもよい。第2の槽12と貯水槽24とは、流路14aおよび流路14bによって接続される。第2の槽12、貯水槽24、流路14a、および流路14bは、1つの循環路を形成する。流路14aおよび/または流路14bに配置されるポンプ(図示せず)によって、貯水槽24内の水性液体30は第2の槽12に送られ、処理された後に貯水槽24に戻される。すなわち、水性液体30は、第2の槽12と貯水槽24とを含む循環路を循環する。この循環路は、大気から遮断されている。貯水槽24には、バルブ24aが設けられている。貯水槽24内のガスの圧力が高くなりすぎたときには、バルブ24aを開放してもよい。これによって、大気を貯水槽24内に流入させることなく、貯水槽24内のガスの圧力を下げることができる。なお、貯水槽24を浴槽に置き換えることも可能である。この場合には、浴槽内の水性液体30は、大気に開放される。
次に、装置100の動作について説明する。電極21および22は、液体30に浸漬される。電気分解工程は、流路14aから連続的に水性液体30が供給され、且つ、流路14bから連続的に水性液体30が排出される状態で行われる。すなわち、電気分解工程において、第2の槽12の水性液体30は通液状態であり、一方、第1の槽11の水性液体30は通液状態ではない。ただし、槽11および12の水性液体30、およびそれに含まれるイオン(陽イオンおよび陰イオン)は、セパレータ13を通過できる。
第2の槽12における処理によって水性液体30のORPを低下させるには、第1の電極21と第2の電極22との間に、第1の電極21がアノードとなるように電圧を印加する。この電圧印加によって、図3に示すように、第1の電極21(アノード)の表面で酸素ガスおよび水素イオンが発生し、第2の電極22(カソード)の表面で水素ガスおよび水酸化物イオンが発生する。セパレータ13は、ガス(気泡)をブロックする。すなわち、セパレータ13は、電極の表面で発生したガスが槽11と槽12との間を移動することを抑制する。第1の電極21で発生した酸素ガスは、開口部11aから大気中に放出される。一方、第2の槽12内の水性液体30、および、流路14bから排出される水性液体30中の溶存水素濃度が高まる。その結果、ORPが低い水性液体30が得られる。第2の槽12を大気から遮断することによって、第2の電極22で発生した水素ガスが水性液体30に溶解する量を多くすることが可能である。
一方、第2の槽12における処理によって水性液体30のORPを上昇させるには、第1の電極21と第2の電極22との間に、第1の電極21がカソードとなるように電圧を印加する。この電圧印加によって、図4に示すように、第1の電極21(カソード)の表面で水素ガスおよび水酸化物イオンが発生し、第2の電極22(アノード)の表面で酸素ガスおよび水素イオンが発生する。セパレータ13は、電極の表面で発生したガスが槽11と槽12との間を移動することを抑制する。第1の電極21で発生した水素ガスは、開口部11aから大気中に放出される。一方、第2の槽12内の水性液体30、および、流路14bから排出される水性液体30中の溶存酸素濃度が高まる。その結果、ORPが高い水性液体30が得られる。第2の槽12を大気から遮断することによって、第2の電極22で発生した酸素ガスが水性液体30に溶解する量を多くすることが可能である。
第2の槽12で処理された水性液体30のpHは、電気分解反応による単位時間あたりの水素イオンおよび水酸化物イオンの発生量(電気分解反応による単位時間あたりの水素イオンおよび水酸化物イオンの変化量)や、それらのイオンが単位時間あたりにセパレータを通過する量や、第2の槽12で処理された水性液体の体積(体積V2)によって変化する。電極間を流れる電流(単位時間に電極間を流れる電荷量)が大きくなるほど、単位時間あたりの水素イオンおよび水酸化物イオンの発生量が多くなる。そのため、電極21と電極22との間を流れる電流と、単位時間にセパレータを通過するイオンの量との比を変えることによって、第2の槽12で処理された水性液体30のpHを調整することが可能である。電極21と電極22との間を流れる電流は、たとえば、電極間に印加する電圧を変えることによって、変化させることができる。単位時間あたりにセパレータを通過する水素イオンおよび水酸化物イオンの量は、(体積V2)/(体積V1)の値や、電極とセパレータとの距離や、セパレータの面積などによって変えることができる。体積V2の値は、貯水槽24に配置される水性液体30の量を変えることによって、変えることができる。
第1の槽11内の水性液体30を排液路15から排出した場合、第1の槽11から第2の槽12に移動する水素イオンまたは水酸化物イオンの量が減る。そのため、第2の槽12におけるpHの変化を大きくしたい場合には、第1の槽11内の水性液体30を排出すればよい。第1の槽11内の水性液体30は、セパレータ13を介して第2の槽12から補充される。
単位時間にセパレータを通過するイオンの量は、イオンが通過可能な面積を遮蔽板を用いて変えることによって、変化させてもよい。遮蔽板を備える装置の例を、図5Aに示す。
図5Aの装置100aは、遮蔽板51を備える点のみが装置100と異なるため、重複する説明は省略する。装置100aの遮蔽板51は、セパレータ13と平行に移動可能である。単位時間にセパレータ13を通過するイオンの量を多くする場合、図5Aに示すように、遮蔽板51はセパレータ13を遮蔽しないか、ほとんど遮蔽しない位置に置かれる。一方、単位時間にセパレータ13を通過するイオンの量を少なくする場合、図5Bに示すように、遮蔽板51はセパレータ13の一部を遮蔽する位置に置かれる。
第2の槽12で処理された水性液体30のpHは、第1の槽11内の水性液体30の量と、第2の槽12で処理される水性液体30の量との比を変えることによって調整することも可能である。
図2の装置において、第1の電極21と第2の電極22との間に、第1の電極21がアノードとなるように電圧を印加することによって、pHが7の水を電気分解する場合を考える。ここで、上記式(1)および(2)以外の反応は起こらないものと仮定する。また、セパレータ13をイオンが通過しないと仮定する。また、第1の槽11内の水のpHは均一であり、第2の槽12で処理された水(すなわち、第2の槽12および貯水槽24を含む循環路中の水)のpHも均一であると仮定する。この場合、第1の槽11中の水は、式(1)の反応によって水素イオンが増加し、酸性となる。一方、第2の槽12中の水は、式(2)の反応によって水酸化物イオンが増加し、アルカリ性となる。上記仮定のもとでは、第1の槽11中で増加した水素イオンの量と、第2の槽12中で増加した水酸化物イオンの量とは同じである。そのため、第2の槽12で処理される水の量が、第1の槽11中の水の量とが同じ場合には、第1の槽11の水のpHの変化量と、第2の槽12で処理された水のpHの変化量とが等しくなる。たとえば、第1の槽11の水がpH7から4に変化した場合、第2の槽12の水はpH7から10に変化する。一方、第2の槽12で処理される水の量が、第1の槽11中の水の量の1000倍である場合、第1の槽11の水がpH7から4に変化しても、第2の槽12の水のpHは8以下である。
実際の装置では、セパレータ13をイオンが通過するため、上記の計算は成り立たない。しかし、イオンがセパレータ13を通過する場合でも、第2の槽12で処理される水性液体30の量を多くすることによって、第2の槽12で処理される水性液体30のpHの変動を抑制できる。また、第1の槽11の容積を小さくすることによって、第2の槽12で処理された水性液体30のpHの変動を小さくすることが可能である。逆に、第1の槽11の容積を大きくすることによって、第2の槽12で処理された水性液体30のpHの変動を大きくすることが可能である。また、第2の槽12で処理される水性液体の量を少なくすることによって、第2の槽12で処理された水性液体30のpHの変動を大きくすることが可能である。
[実施形態2]
実施形態2では、本発明の装置の別の一例について説明する。実施形態2の装置200は、管210および細管220を備える点のみが実施形態1の装置100と異なるため、重複する説明は省略する。
装置200の構成を図6に模式的に示す。装置200は、装置100に加えて、第1の槽11に接続された管210および細管220を備える。図6の例では、管210は、第1の槽11の上方に接続されている。管210は、鉛直方向とほぼ平行に配置される複数の直線状の管210aおよび210bと、それらを直列に接続する管210cとによって構成されている。管210は、下方に向かう方向および上方に向かう方向に蛇行を繰り返している。第1の槽11側から管210の出口に向かって水性液体30が流れる場合、管210aの部分では水性液体30は下方に向かい、管210bの部分では水性液体30は上方に向かう。管210は、その内部が水性液体30に満たされているときに、気泡が内部を移動できる太さであることが好ましい。また、管210の一例では、管210aの内面が撥水性であり、管210bの内面が親水性である。
図6の構成において、管210aの内面が撥水性であり、管210bの内面が親水性であり、管210の内径が適切な範囲にあると仮定する。この場合において、一定の体積を有するまとまった水性液体(A)が管(T)内を移動する状態を考える。管210aの部分を水性液体(A)が下方(下流側)に移動する場合、管210aの内面が撥水性であるため、水性液体(A)が管210aの断面全体を占めた状態で移動することが抑制される。そのため、水性液体(A)の移動に伴い、水性液体(A)の下側にあるガスが管210aの内部を上昇する。その結果、管210aの部分でサイフォン効果が生じることを防止できる。一方、第1の槽で発生したガスが管210bの部分を上方(下流側)に移動する場合、管210bの内面が親水性であるため、ガスが管210bの断面全体を占めた状態で移動することが抑制される。そのため、ガスの移動に伴い、ガスの上方にある水性液体(A)が管210bの内部を下降する。その結果、水性液体(A)の下流側への移動を最小にしながら、第1の槽で発生したガスを管210から排出できる。
管210の端部には、細管220が接続されている。細管220は、その内部の断面積が管210の内部の断面積よりも小さい。細管220の内部の流体抵抗が大きいため、管210内における水性液体30の急激な移動が抑制される。なお、細管220を省略してもよいし、細管220の代わりに流体抵抗が大きい物質(たとえば多孔質)を用いてもよい。また、管210または細管220の途中または端部に、活性炭フィルタを配置してもよい。塩素イオンを含む水性液体を電気分解することによって第2の槽でORPが低い水性液体(還元水)を生成する場合には、第1の槽で塩素ガスが生成することがある。塩素ガスが生成しても、活性炭フィルタによって塩素臭を除去することが可能である。
なお、管210aの下側と管210bの下側とを結ぶ管210cには、排液弁が形成されていてもよい。排液弁によって、管210内に存在する水性液体30を定期的に排出できる。これによって、管210内の水性液体30の水質が悪化することを抑制できる。
第1の槽11内の圧力が高まった場合、第1の槽11内の水性液体30は、管210内に押し出され、管210内を移動する。管210aが充分に太い場合、管210a内を水性液体30が落下する一方で、管210aの下方の気体が上昇する。そのため、管210aを水性液体30が落下する際に、サイフォン効果が生じない。管210の水性液体30は、圧力の均衡がとれる位置で停止する。その場合の一例を図7に示す。
図7の例では、第1の槽11内の圧力によって、管210a内の水性液体30が押し下げられ、管210a内は空気で満たされている。一方、複数の管210bのうちの一部は、水性液体30で満たされている。管210b内を満たす水性液体30によって生じる圧力と、第1の槽11内の圧力との間で均衡がとられている。図7に示す状態では、複数の管210bに存在する水性液体30によって生じる重力の合計が、第1の槽11内の圧力とつり合っている。
なお、管210は、コイル状(たとえば楕円状)に巻かれたものであってもよい。また、管210は、第1の槽11の上に直線状に伸びるものであってもよい。しかし、下降と上昇とを交互に繰り返す管を用いることによって、装置を小型化できる。
本発明の装置は、開放された貯水槽(たとえば浴槽)に接続されていてもよい。その場合の一例を図8に模式的に示し、他の一例を図9に模式的に示す。なお、図8および図9では、本発明の装置のうち、第1および第2の槽11および12のみを示すが、その他の部分は、上述した構成(たとえば実施形態1および2で説明した構成)を適用できる。
図8の形態では、本発明の装置の第2の槽12を含む流路81が、浴槽82に接続されている。第2の槽12で処理された水性液体は、浴槽82に注ぎ込まれる。流路81は、循環路を形成していない。流路81上には、水性液体を移動させるためのポンプ83が配置されている。なお、槽内の急激な圧力変動を防止するため、ポンプ83を起動する際には、低速で起動することが好ましい。なお、第2の槽12で処理された水性液体を、シャワーの水または湯として用いてもよい。
図9の形態では、流路81と浴槽82とが、循環路を形成している。なお、第2の槽12は、流路81の一部を構成している。図9の形態では、第2の槽12で処理された水性液体が浴槽82に注ぎ込まれるとともに、浴槽82内の水性液体が第2の槽12に導入され、処理される。流路81上には、ポンプ83と、フィルタ84とが配置されている。フィルタ84は、浴槽82内のゴミがポンプ83に導入されることを防止する。
なお、本発明の装置は、水素ガスが一定の空間に貯まることを防止する機構や、電気分解で発生する水素ガスを安全に燃焼させる機構、自然発火しない濃度に水素ガスを希釈してから大気に放出する機構を備えてもよい。そのような機構を有する一例を図13に示す。図13の装置100bの第2の槽12は、排気手段を備える貯水槽24に接続されている。装置100bは、貯水槽24の一部が異なる点を除いて図2に示した装置100と同じ構成とすることができるため、重複する部分の説明および図示を省略する場合がある。
装置100bの第2の槽12は、流路14bによって貯水槽24に接続されている。第2の槽12で処理された水性液体30は、流路14bを通って貯水槽24に貯められる。貯水槽24に貯められた水性液体30は、流路24cから取り出されて利用される。流路(流路14a、流路14bおよび流路24c)には、必要に応じて、各種の機器(ポンプ、バルブ、フィルタなど)が設置される。流路14aは、循環路を構成するように貯水槽24に接続されてもよい。また、流路24cはさらに別の貯水槽に接続されていてもよい。その場合には、流路14aを当該別の貯水槽に接続して循環路を構成してもよい。
貯水槽24の上方には、排気管24bが設けられている。排気管24bは、大気が貯水槽24内に流入することを抑制する。一方、貯水槽24内の上方の空間に存在するガスの圧力が大気圧よりも高くなったときには、貯水槽24内のガスは排気管24を通って大気中に放出される。排気管24bは、少なくとも電気分解を行っている間は、大気が貯水槽24内に流入することを抑制する。大気が貯水槽24内に流入することを抑制するために、排気管24bを細くしてもよく、たとえば、排気管24bの先端を細くしてもよい。また、大気が貯水槽24内に流入することを防止するために、排気管24bの先端または途中に、貯水槽24内のガスの圧力が大気圧よりも高くなったときのみに開放する弁を設けてもよい。
第2の電極22をカソードとして電気分解を行う場合、第2の電極22で処理された水性液体30は水素ガスを含む。そのため、貯水槽24の上部には水素ガスが貯まる。一方、排気管24bによって、貯水槽24内に大気が流入することが抑制される。そのため、貯水槽24内の上部は、水素ガス濃度が高い状態に維持される。貯水槽24の上部の水素ガス濃度が高い限り、貯水槽24内の水性液体30の溶存水素濃度を高くしておくことが可能である。そのため、貯水槽24内で水性液体30のORPが上昇することを抑制できる。
排気管24bを不燃性の材料(たとえば金属)で形成し、且つ、排気管24bの先端を細くしてもよい。この構成によれば、排気管24bから放出される水素ガスが大気と混ざりあったときに自然発火したとしても、安全に水素ガスを燃焼させることが可能である。また、排気管24bから放出される水素ガスの濃度を自然発火しない濃度にまで下げるための機構を、本発明の装置は有してもよい。たとえば、排気管24bの途中に、排気管24bの下流側(大気側)に向かって強制的に多量の大気を送風するための装置(送風機)を接続してもよい。その場合には、送風機から送られる大気が貯水槽24内に流入することを防止するために、送風機の接続部と貯水槽24との間の排気管24bに、下流側(大気側)に向かってのみ開放する弁を設けてもよい。
[他の方法および装置]
また、別の観点では、本発明は、流路を流れる水性液体の酸化還元電位を変化させる方法であって、工程(I)および(II)を含む方法に関する。工程(I)では、セパレータによって仕切られた第1および第2の槽にそれぞれ配置された第1および第2の電極を、水性液体(A)に浸漬する。工程(II)では、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加することによって、水性液体中(A)の水を電気分解する。この工程(II)において、第2の槽で処理される水性液体(A)の量(体積V2)が、第1の槽で処理される水性液体(A)の量(体積V1)の10倍以上である。この方法を実施するための装置は、水性液体(A)の酸化還元電位を変化させる装置であって、水性液体(A)が配置される容器と、当該容器を第1の槽と第2の槽とに仕切るセパレータと、第1の槽に配置された第1の電極と、第2の槽に配置された第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加するための電源とを備える。そして、1つの実施形態では、第2の槽で処理される水性液体(A)の量(体積V2)が、第1の槽で処理される水性液体(A)の量(体積V1)の10倍以上である。この実施形態には、上述した本発明の実施形態のうち、体積V2が体積V1の10倍以上であるものが含まれる。また、この実施形態には、後述する図10に示す実施形態が含まれる。また、後述する図11に示す実施形態のうち、体積V2が体積V1の10倍以上であるものが含まれる。体積V1および体積V2の説明、ならびにそれらの近似については、上述したため重複する説明は省略する。
また、別の観点では、本発明は、流路を流れる水性液体の酸化還元電位を変化させる方法であって、工程(I)および(II)を含み、工程(II)において、第1の槽で処理される水性液体(A)の量(体積V1)と、第2の槽で処理される水性液体(A)の量(体積V2)との比が可変となっている方法に関する。この方法を実施するための装置は、水性液体(A)の酸化還元電位を変化させる装置であって、水性液体(A)が配置される容器と、当該容器を第1の槽と第2の槽とに仕切るセパレータと、第1の槽に配置された第1の電極と、第2の槽に配置された第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加するための電源とを備える。そして、第1の槽で処理される水性液体(A)の量(体積V1)と、第2の槽で処理される水性液体(A)の量(体積V2)とを可変とするための構成を備える。たとえば、第1の槽に接続された流路と、第2の槽に接続された流路とを備える。この実施形態には、後述する図11に示す実施形態が含まれる。また、第1の槽の内容積および/または第2の槽の内容積を可変とする構成を備えてもよい。たとえば、第1の槽の側壁のうち、平板状の電極と平行な側壁を移動可能としてもよい。体積V1および体積V2の説明、ならびにそれらの近似については、上述したため重複する説明は省略する。
体積V2を体積V1の10倍以上とすることによって、第1の槽における水性液体(A)のpHの変化を大きくすることができ、且つ、第2の槽における水性液体(A)のpHの変化を小さくすることができる。体積V2は、体積V1の10倍〜2×106倍の範囲(たとえば10倍〜50000倍の範囲や200倍〜15000倍の範囲)にあってもよい。
図10に示す装置300は、第2の槽12が水性液体(A)の流路の一部を構成しない点で、装置100および200とは異なる。この点を除き、装置300は、装置100またはそのバリエーション(たとえば装置100aまたは装置200)と同様の構成とすることが可能であるが、図10には、最も簡単な構成を示す。
装置300は、容器10(第1の槽11および第2の槽12)、セパレータ13、第1の電極21、第2の電極22、および電源23を備える。容器10は、セパレータ13と、液体および気体を通さない隔壁301とによって、第1の槽11および第2の槽12に仕切られている。第1の槽11および第2の槽12には、それぞれ、開口部11aおよび12aが設けられている。開口部11aおよび12aは、それぞれ、バルブを備えていてもよい。
装置300では、容器10に配置された水性液体30がバッチ方式で処理される。すなわち、容器10に配置された水性液体30が電気分解される間、第1の槽11および第2の槽12に配置された水性液体30は実質的に移動しない。電気分解が終了すると、第1の槽11内の水性液体30および/または第2の槽12に配置される水性液体30は、利用されるために槽から取り出される。
図10の装置300において、第1の電極21がアノードとなるように(第2の電極22がカソードとなるように)、第1の電極21と第2の電極22との間に電圧を印加する場合を考える。この場合、第1の槽11内の水性液体30は、ORPが上昇しpHが低下する。また、第2の槽12内の水性液体は、ORPが低下しpHが上昇する。第1の電極21で生成された水素イオンの一部は、セパレータ13を通って第2の槽12内に拡散する。一方、第2の電極22で発生した水酸化物イオンの一部は、セパレータ13を通って第1の槽11内に拡散する。そのため、第1の槽11内の水性液体30のpHは、第1の電極21で生成される水素イオンの量、セパレータ13を透過する水素イオンおよび水酸化物イオンの量、および、第1の槽11内の水性液体30の量によって決まる。また、第2の槽12内の水性液体30のpHは、第2の電極21で生成される水酸化物イオンの量、セパレータ13を透過する水素イオンおよび水酸化物イオンの量、および、第2の槽12内の水性液体30の量によって決まる。
第1の槽11内の水性液体30の量が少ないほど、第1の電極21で生成した水素イオンがセパレータ13を透過する量が多くなる。また、第2の槽12内の水性液体30の量が多いほど、第2の電極22で生成した水酸化物イオンがセパレータ13を透過する量が少なくなる。また、体積V2が大きいほど、第2の槽12内の水性液体30のpHの変化は小さくなる。そのため、(体積V2)/(体積V1)の値を大きくすることによって、第2の槽12内の水性液体30のpHの変化を小さくすることが可能である。
一方、第1の電極21がカソードとなるように(第2の電極22がアノードとなるように)、第1の電極21と第2の電極22との間に電圧を印加して一般的な水(たとえば水道水)を電気分解することによって、ORPが高くpHが中性に近い水性液体30を得ることも可能である。
以上のように、装置300によれば、水性液体のORPを変化させる際のpHの変化を制御することが可能である。
図11に示す装置400は、第1の槽11が水性液体30の流路401の一部を構成する点で、装置100とは異なる。この点を除き、装置400は、装置100またはそのバリエーション(たとえば装置100aまたは装置200)と同様の構成とすることが可能である。図11には、一例の構成を示す。装置400の第1の槽11は、流路401と接続するための2つの接続部(流入口および流出口)を備える。第1の槽11の2つの接続部については、第2の槽12について説明した構成を採用できる。ただし、図11では、接続部品の図示を省略している。なお、第1の槽は、接続部品を用いることなく流路に直接接続されていてもよい。
装置400では、第1の槽11が水性液体30の流路401の一部を構成し、第2の槽12が、水性液体30の流路14の一部を構成する。流路401を流れる水性液体30は、セパレータ13を通過しない限り、流路14に移動しない。同様に、流路14を流れる水性液体30は、セパレータ13を通過しない限り、流路401に移動しない。
流路401によって第1の槽11内の水性液体30を移動させることによって、第1の槽11で処理される水性液体(A)の体積V1を変化させることができる。また、流路14によって第2の槽12内の水性液体30を移動させることによって、第2の槽12で処理される水性液体(A)の体積V2を変化させることができる。上述したように、(体積V2)/(体積V1)の比を大きくすることによって、第2の槽12で処理された水性液体30のpHの変化を抑制できる。また、体積V2を大きくすることによって、第2の槽12で処理された水性液体30のpHの変化を抑制できる。逆に、(体積V2)/(体積V1)の比を小さくすることによって、第2の槽12で処理された水性液体30のpHの変化を増大できる。また、体積V2を小さくすることによって、第2の槽12で処理された水性液体30のpHの変化を増大できる。第1の槽11で処理された水性液体30のpHの変化も、同様の原理で調整することが可能である。
以上のように、装置400によれば、水性液体30のORPを変化させるとともに、pHの変化を容易に調整できる。たとえば、装置400のカソード側では、水性液体30のORPが低下しpHが上昇するが、そのpHの上昇の程度を小さくすることも可能であるし、大きくすることも可能である。また、装置400のアノード側では、水性液体30のORPが上昇しpHが低下するが、そのpHの低下の程度を小さくすることも可能であるし、大きくすることも可能である。
なお、体積V1および体積V2は、それぞれ、単位時間当たりに流路401および流路14を流れる水性液体30の量を変えることによって変えることができる。具体的には、体積V1およびV2は、流路401および流路14のそれぞれに設けられたポンプの駆動条件を変えることによって、変えることができる。また、流路401および流路14のそれぞれに流量制御装置を設け、それらによって体積V1およびV2を変えてもよい。
上述した本発明の装置によれば、一般的な水(たとえば水道水)を電気分解することによって、ORPが低くpHが中性に近い水性液体30を得ることも可能である。たとえば、pHが6〜8の範囲にあり、ORPが300mV〜600mVの範囲にある水を電気分解することによって、ORPが0mV以下(たとえば−800mV〜0mVや−500mV〜0mVの範囲)であり、pHが10以下(たとえば6〜10や7〜9の範囲)にある水性液体30を得ることが可能である。また、装置400によれば、pHが6〜8の範囲にあり、ORPが300mV〜600mVの範囲にある水を電気分解することによって、ORPが600mV以上(たとえば600〜1100mVや600〜900mVの範囲)であり、pHが3以上(たとえば3〜8や4〜8の範囲)にある水性液体30を得ることが可能である。
本発明の方法および装置について、実施例を用いてより詳細に説明する。なお、実施例11を除き、以下の実施例において処理される液体の温度は、約10〜25℃の範囲にあった。
(実施例1)
実施例1では、水道水のORPを上昇させた。装置には、図2に示す装置を用いた。ただし、槽24の上方が大気に開放されている状態で実験を行った。第1の槽11および第2の槽12の内容積は、それぞれ、約3cm3であった。貯水槽24内に配置される水道水の量(第2の槽12で処理される液体の量)は、約1リットル(1L)とした。
実施例1で用いた第1の電極21の正面図を図12Aに示す。第1の電極21は、ストライプ状に配置された複数の線状の電極21aと、それらを連結する線状の電極21bとを含む。線状の電極21aは、鉛直方向に配置される。その結果、電極21aの表面で発生したガスが電極21aの表面に留まることが抑制される。第1の電極21は、白金でコートされたチタンからなる。実施例1で用いた第2の電極22は、第1の電極21と同じ電極である。セパレータ13には、綿布を用いた。第1の電極21側からセパレータ13を見たときの正面図を図12Bに示す。第2の電極22は、セパレータ13を挟んで第1の電極21と対向するように配置される。
処理した水道水は、pHが7.52で、ORPが422mVで、導電率が165.5μS/cmであった。この水道水を、第2の槽12と貯水槽24とを含む循環路において循環させながら、水道水の電気分解を行った。具体的には、第1の電極21と第2の電極22との間に、第1の電極21がカソードとなるように、電圧を印加した。電圧は、19Vとした。電圧印加による、貯水槽24内の水道水の物性の変化について、表1に示す。なお、以下の表において、「−」は測定していないことを示す。
Figure 0005311246
表1に示すように、実施例1では、水道水のORPを上昇させることができた。また、実施例1では、pHが低下した。
(実施例2)
実施例2では、KCl水溶液のORPを上昇させた。水道水の代わりにKCl水溶液を処理することを除いて、実施例1と同じ条件でKCl水溶液を処理した。第1の槽11内に配置されるKCl水溶液の量は、約3cm3とした。貯水槽24内に配置されるKCl水溶液の量は、約1リットルとした。
処理したKCl水溶液(濃度:0.01wt%)は、pHが7.26で、ORPが458mVで、導電率が365μS/cmであった。電圧印加による、貯水槽24内のKCl水溶液の物性の変化について、表1に示す。
Figure 0005311246
表2に示すように、実施例2では、KCl水溶液のORPを上昇させて1000mV以上にすることができた。また、実施例2では、pHが低下した。また、実施例2で処理されたKCl水溶液を水道水で100倍に薄めると、ORPが750mVでpH4.9の酸化水が得られた。このように、処理されたKCl水溶液を希釈したことによるORPおよびpHの変化は、比較的小さかった。
(実施例3)
実施例3では、水道水のORPを低下させた。実施例3では、電圧の大きさおよび電圧の印加方向が異なることを除いて、実施例1と同じ条件で水道水を処理した。
実施例3で処理した水道水は、pHが7.41で、ORPが501mVで、導電率が166.7μS/cmであった。実施例3では、第1の電極21と第2の電極22との間に、第1の電極がアノードとなるように、電圧を印加することによって、水道水を電気分解した。電圧は、19ボルトとした。電圧印加による、貯水槽24内の水道水の物性の変化について、表3に示す。
Figure 0005311246
表3に示すように、実施例3では、水道水のORPを低下させて−600mVにすることができた。また、実施例3では、pHが上昇した。
(実施例4)
実施例4では、pHの変化が小さく且つORPが低下するように水道水を処理した。実施例4では、貯水槽24内に配置される液体の量を約40リットルとしたこと、および電圧の大きさおよび印加方向を除いて実施例1と同じ条件で水道水を処理した。実施例4では、(V2/V1)の値は、約13000である。
処理した水道水はpHが7.19で、ORPが410mVで、導電率が207.0μS/cmであった。この水道水を、第2の槽12と貯水槽24とを含む循環路において循環させながら、水道水の電気分解を行った。具体的には、第1の電極21と第2の電極22との間に、第1の電極がアノードとなるように、電圧を印加した。電圧は、電極間に0.35Aの電流が流れるように印加した。電圧印加による、貯水槽24内の水道水の物性の変化について、表4に示す。
Figure 0005311246
表4に示すように、実施例4では、水道水のORPを低下させる一方で、pHの変化を抑制できた。
(実施例5)
実施例5では、pHの変化が小さく且つORPが低下するように水道水を処理した。実施例5では、印加電圧が異なることを除いて、実施例4と同じ条件で水道水を処理した。
処理した水道水はpHが7.52で、ORPが434mVで、導電率が168.3μS/cmであった。この水道水を、第2の槽12と貯水槽24とを含む循環路において循環させながら、水道水の電気分解を行った。具体的には、第1の電極21と第2の電極22との間に、第1の電極がアノードとなるように、電圧を印加した。電圧は、電極間に2.8Aの電流が流れるように印加した。そのときの電圧は約30ボルトであった。電圧印加による、貯水槽24内の水道水の物性の変化について、表5に示す。
Figure 0005311246
表5に示すように、実施例5では、水道水のORPを低下させる一方で、pHの変化を抑制できた。また、電極間に流れる電流を大きくすることによって、実施例4に比べてORPの低下量を大きくすることができた。
(実施例6)
実施例6では、アルカリ性水溶液のORPを低下させた。実施例6では、実施例1と同じ装置を用いて実験を行った。ただし、貯水槽24内に配置される液体の量は、約50リットルとした。
pHが11.06でORPが49mVのアルカリ性水溶液を、第2の槽12と貯水槽24とを含む循環路において循環させながら、水溶液の電気分解を行った。具体的には、第1の電極21と第2の電極22との間に、第1の電極がアノードとなるように、電圧を印加した。電圧は、電極間に2.8Aの電流が流れるように印加した。電圧印加による、貯水槽24内の水溶液の物性の変化について、表6に示す。
Figure 0005311246
表6に示すように、実施例6では、pHを大きく変化させることなくアルカリ性水溶液のORPを低下させることができた。
(実施例7)
実施例7では、酸性水溶液のORPを低下させた。実施例7では、実施例1と同じ装置を用いて実験を行った。ただし、貯水槽24内に配置される液体の量は、約10リットルとした。
pHが3.09でORPが332mVの酸性水溶液を、第2の槽12と貯水槽24とを含む循環路において循環させながら、水溶液の電気分解を行った。具体的には、第1の電極21と第2の電極22との間に、第1の電極がアノードとなるように、電圧を印加した。電圧は、電極間に2.8Aの電流が流れるように印加した。電圧印加による、貯水槽24内の水溶液の物性の変化について、表7に示す。
Figure 0005311246
表7に示すように、実施例7では、pHを大きく変化させることなく酸性水溶液のORPを低下させることができた。
(実施例8)
実施例8では、ORPが低下した酸性水溶液のORPを、1000mV以上に戻す実験を行った。まず、pHが約3でORPが1000mV以上の水溶液を1ヶ月間放置することによって、pHが3.09でORPが332mVの酸性水溶液を作製した。次に、その酸性水溶液を実施例2と同じ条件で処理することによって、ORPを1000mV以上にする実験を10回行った。貯水槽24内のKCl水溶液のORPの変化について、表8に示す。
Figure 0005311246
表8に示すように、ORPが低下したKCl水溶液を処理することによって、ORPを1000mV以上にすることができた。
(実施例9)
実施例9では、図9に示す循環形式で、開放状態にある水性液体のORPを変化させた。ORPを変化させる装置としては、図1に示す装置を用いた。具体的には、開放された容器に入れられた100リットルの水道水のORPを変化させた。第1の槽11の内容積は4cm3であり、第2の槽12の内容積は4cm3であった。実施例9で用いた装置の第1の槽11の開口部11aには、鉛直方向に伸びる円筒状の筒が接続されており、その内容積は53cm3であった。電極間には、1.0Aの定電流を流した。このとき電極間に印加された電圧は、約40Vであった。水性液体は、約1.7L/分の流量で第2の槽12を通過させた。このときの結果を、表9に示す。
Figure 0005311246
表9に示すように、電極間に電圧を印加することによって、ORPを低下させることができた。また、pHはほとんど変化しなかった。電圧印加停止後のORPの変化は緩やかであった。なお、水道水ではなく、NaHCO3やNa2SO4などを溶解させた水溶液を水性液体として用いた場合には、電圧印加停止後のORPの変化が、より緩やかであった。
(実施例10)
実施例10では、図8に示す装置で、開放状態にある水性液体のORPを変化させた。ORPを変化させる装置としては、図1に示す装置を用いた。実施例10では、水道水のORPを変化させた。処理前の水道水のORPは、約250mVであった。第1の槽11の内容積は4cm3であり、第2の槽12の内容積は4cm3であった。第1の電極21と第2の電極22との間に、第1の電極21がアノードとなるように電圧を印加した。電極間には、2.0Aの定電流を流した。水性液体は、約0.8L/分の流量で第2の槽12を通過させた。実験開始から約10分で定常状態に達した。そのときの、第2の槽12で処理された後の水道水は、ORPが約−300mVであり、溶存水素濃度が約750ppbであり、pHが約8であった。なお、第2の槽12で処理される水道水の流速を小さくすると、ORPの変化、および、溶存水素濃度の変化が大きくなった。
また、電極間を流れる電流値、および第2の槽を流れる水性液体の流速を変えて同様の実験を行った。具体的には、電極間に流れる電流値を2Aまたは3Aとした。また、第2の槽を流れる水性液体の流速を、0.4〜4.6L/分の間で変化させた。そして、実験開始から30分経過後において、第2の槽から処理された水性液体のORPを測定した。結果を表10に示す。
Figure 0005311246
表10に示すように、流速を小さくすると、ORPの変化が大きくなった。
(実施例11)
実施例11では、浴槽に配置されたお湯を、図9に示す装置で処理した。第1の電極21と第2の電極22との間に、第1の電極21がアノードとなるように電圧を印加した。浴槽に配置されたお湯は41℃で180Lであった。第2の槽12および流路の体積は小さいため、第2の槽12を含む循環路に存在するお湯の量は実質的に180Lとみなせる。一方、第1の槽11の内容積(第1の槽で処理されるお湯の量)は、約4cm3であった。電極間には、6Aの定電流を流した。お湯としては、水道水をそのまま41℃に加熱して得られたお湯、または、塩(NaHCO3やNa2SO4など)を溶解させた水道水を41℃に加熱して得られたお湯を用いた。ORPを測定した結果を表11に示す。
Figure 0005311246
表11に示すように、本発明の処理によって、水道水のORPおよび塩を溶解させた水道水のORPが、ともに変化した。
本発明は、水性液体のORPを変化させる方法および装置に利用できる。

Claims (15)

  1. 流路を流れる水性液体の酸化還元電位を変化させる方法であって、
    (i)セパレータによって仕切られた第1および第2の槽にそれぞれ配置された第1および第2の電極を、前記水性液体に浸漬する工程と、
    (ii)前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加することによって、前記水性液体中の水を電気分解する工程とを含み、
    前記第2の槽が前記流路の一部を構成しており、
    前記第1の槽が前記セパレータを介して前記流路と接続されており
    前記第1の槽内の圧力の上昇に応じて前記第1の槽内の前記水性液体が移動するための管が前記第1の槽に接続されている、方法。
  2. 前記第1の槽で発生したガスを前記管から排出する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記(ii)の工程において、前記第2の槽を1分間あたりに流れる前記水性液体の量が、前記第1の槽に配置される前記水性液体の量の10倍〜105倍の範囲にある、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記流路が循環路であり、
    前記(ii)の工程において、前記循環路に存在する前記水性液体の量が、前記第1の槽に配置される前記水性液体の量の10倍〜105倍の範囲にある、請求項1または2に記載の方法。
  5. 前記第1の槽に配置されている前記水性液体の一部を排出することによって、前記第2の槽を流れる前記水性液体のpHを制御する、請求項1または2に記載の方法。
  6. 前記管が、下降と上昇とを交互に繰り返している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記第1の槽が前記管を介して大気に開放されており且つ前記第2の槽が大気から遮断された状態で前記(ii)の工程が行われる、請求項1に記載の方法。
  8. 流路を流れる水性液体の酸化還元電位を変化させる装置であって、
    前記水性液体が配置される容器と、
    前記容器を第1の槽と第2の槽とに仕切るセパレータと、
    前記第1の槽に配置された第1の電極と、
    前記第2の槽に配置された第2の電極と、
    前記第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加するための電源とを備え、
    前記第2の槽には、前記第2の槽が前記流路の一部を構成するように前記流路に接続される流入口と流出口とが形成されており、
    前記第1の槽が前記セパレータを介して前記流路と接続され、
    前記第1の槽内の圧力の上昇に応じて前記第1の槽内の前記水性液体が移動するための管が前記第1の槽に接続されている、装置。
  9. 前記第1の槽に、前記第1の槽内の前記水性液体を排出するための排液路が接続されている、請求項8に記載の装置。
  10. 前記管が、下降と上昇とを交互に繰り返している、請求項8または9に記載の装置。
  11. 前記管の終端に細管が接続されており、
    前記細管の内部の断面積が、前記管の内部の断面積よりも小さい、請求項8〜10のいずれか1項に記載の装置。
  12. 前記セパレータが親水性を有する、請求項8〜11のいずれか1項に記載の装置。
  13. 前記流路が接続された貯水槽をさらに備え、
    前記流路が、前記貯水槽と前記第2の槽とを含む循環路を構成している、請求項8〜112のいずれか1項に記載の装置。
  14. 前記第2の槽の下流側の前記流路が浴槽またはシャワーヘッドに接続されている、請求項8〜12のいずれか1項に記載の装置。
  15. 前記流路が浴槽に接続されており、
    前記流路が、前記浴槽と前記第2の槽とを含む循環路を形成している、請求項8〜12のいずれか1項に記載の装置。
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