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JP5309750B2 - 1,2−ジクロロエタンの製造法 - Google Patents

1,2−ジクロロエタンの製造法 Download PDF

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JP5309750B2 JP2008188058A JP2008188058A JP5309750B2 JP 5309750 B2 JP5309750 B2 JP 5309750B2 JP 2008188058 A JP2008188058 A JP 2008188058A JP 2008188058 A JP2008188058 A JP 2008188058A JP 5309750 B2 JP5309750 B2 JP 5309750B2
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Description

本発明は、1,2−ジクロロエタンの製造方法に関する。詳しくは、エタノールおよび/またはクロロエタンと塩化水素と分子状酸素からの1,2−ジクロロエタンの新規な製造法に関する。
1,2−ジクロロエタンは、脱塩化水素による塩化ビニル製造の原料となる有用な化合物である。エチレンのオキシ塩素化反応による1,2−ジクロロエタンの製造法は公知で、触媒として塩化銅が活性を持つことが知られている。例えば、アルミナ担体に塩化銅とアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩化物を担持させた触媒にエチレン、塩化水素および分子状酸素を、接触させる方法が知られている(例えば、特許文献1)。
しかし、オキシ塩素化反応の原料であるエチレンは、ナフサやエタンの熱分解によって製造され、その製造には700℃以上の高温が必要で、多大なエネルギーを必要とするという問題がある。
反応形式には、触媒と反応ガスの接触方法が異なる固定床法と流動床法がある。オキシ塩素化反応は発熱量が大きいために、固定床法では急激な発熱によって生じるホットスポットでの燃焼反応および選択率の低下を抑制する必要から図1中の“通常のエチレンのオキシ塩素化反応”に示すようにオキシ塩素化触媒と共に希釈剤が混合される。流動床法を用いると反応層の均一な温度分布が得られやすい(例えば、特許文献2)。
しかし、流動床触媒の凝集や粉化又は反応装置の摩耗等が起こるという問題がある。
エチレン以外の原料を用いる方法も公知である。酸素、塩化水素およびクロロエタンまたはエタノールを、最大平均細孔径が0.6nmのゼオライト系担体上に沈着させた塩化銅からなる触媒の存在下255〜275℃で反応させ1,2−ジクロロエタンを製造する方法が開示されている(例えば、特許文献3)。
しかし、クロロエタンおよびエタノールを原料とする方法では、最大平均細孔径が0.6nmのシリカライトに塩化銅溶液を浸し、または噴霧し、溶媒を除去するための乾燥と有機残渣を除くための焼成が必要である。また、開示された方法では、原料エタノールが100%転化しないために未反応のエタノールがクロロエタンやエチレンおよび反応で生成した水と混合した状態で反応器から流出する。そのため、生成物からのエタノールの分離にエネルギーを必要し、効率的な方法ではなかった。
さらには、塩化銅を単体上に沈着させた触媒にエタノールを直接接触させると塩化銅が飛散し、触媒活性が低下すると同時に触媒から流出した塩化銅を分離除去する必要があることから、効率的な方法ではなかった。
特公昭46−40251号公報 特開平11−292804号公報 特開昭59−95935号公報
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、エタノールおよび/またはクロロエタンと塩化水素と分子状酸素から1,2−ジクロロエタンを効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、エタノールおよび/またはクロロエタン、塩化水素および分子状酸素を固体酸触媒および塩化銅を担持したオキシ塩素化触媒を混合した触媒の存在下に反応させる1,2−ジクロロエタンの新規な製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、エタノールおよび/またはクロロエタンと塩化水素と分子状酸素を触媒の存在下に反応させて1,2−ジクロロエタンを製造する方法であって、エタノールおよび/またはクロロエタンと塩化水素と分子状酸素を固体酸触媒および塩化銅が担持されたオキシ塩素化触媒を混合した触媒に接触させることを特徴とする1,2−ジクロロエタンの製造法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の1,2−ジクロロエタンの製造法は、エタノールおよび/またはクロロエタンと塩化水素と分子状酸素を触媒の存在下に反応させるものであり、触媒としてシリカ−アルミナおよび/またはフェリエライトである固体酸触媒と塩化銅が担持されたオキシ塩素化触媒を混合した触媒を用いるものである。
本発明の製造法では、固体酸触媒との接触によってエタノールの脱水反応によりエチレンが生成し、エタノールと塩化水素の反応からクロロエタンが生成すると共にクロロエタンの脱塩化水素反応によりエチレンと塩化水素が生成するか、クロロエタンのみを原料とするとクロロエタンの脱塩化水素反応によりエチレンと塩化水素が生成する。
本発明で使用される固体酸触媒は、特に限定されず、一般に市販されている固体酸触媒を使用することができる。例えば、シリカ−アルミナ、チタニア−シリカ、チタニア−アルミナ、チタニア−ジルコニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−酸化亜鉛、アルミナ、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−酸化亜鉛、ジルコニア、硫酸化ジルコニア、タングステンジルコニア、硫酸化酸化鉄、ゼオライト等の固体酸触媒が使用できるが、低温で、かつ、高いエタノール転化率でクロロエタンおよびエチレンを得ることができることから、シリカ−アルミナ、チタニア−シリカ、チタニア−アルミナ、チタニア−ジルコニア、シリカ−ジルコニア、アルミナ−ジルコニア、ゼオライトが好ましく、シリカ−アルミナ、チタニア−シリカ、チタニア−アルミナ、ゼオライトがさらに好ましい。ここで使用されるゼオライトとしては、フェリエライト(国際ゼオライト学会が規定する構造コード:FER、以下同じ)、ZSM−5(MFI)、モルデナイト(MOR)、ZSM−11(MEL)、ZSM−4(MAZ)、A型(LTA)、L型(LTL)、ZK−5(KFI)、X型(FAU)、Y型(FAU)、ホージャサイト(FAU)、エリオナイト(ERI),ZSM−20(EMT)、リューサイト(ANA)、ベータ(Beta)、ZSM−23(MTT)、ZSM−12(MTW)、MCM−22(MWW)、ソーダライト(SOD)、シータ−1(TON)、ZSM−22(TON)等のゼオライトが使用でき、フェリエライト、モルデナイト、ZSM−5を用いることでさらに収率良く1,2−ジクロロエタンを得ることができる。
本発明の製造法では、固体酸触媒との接触によってエタノールおよび/またはクロロエタンから生成したエチレンと塩化銅が担持されたオキシ塩素化触媒との接触によるオキシ塩素化反応によって塩化水素および分子状酸素と反応し、1,2−ジクロロエタンに転化される。大きな発熱反応であるオキシ塩素化反応と、吸熱反応であるエタノールの脱水反応およびクロロエタンの脱塩化水素反応を混合触媒層中で行わせることで、急激な発熱を抑制することができ、固定床型反応形式においても反応器内の温度分布が均一になりやすいという利点がある。
さらに、本発明で使用される触媒は、一般に市販されている固体酸触媒およびオキシ塩素化触媒を混合するだけで良く、簡便にエタノールおよび/またはクロロエタンから1,2−ジクロロエタンを得られるという利点がある。
塩化銅が担持されたオキシ塩素化触媒は、従来から知られているエチレンのオキシ塩素化反応用触媒や市販のオキシ塩素化触媒を用いることができる。例えば、アルミナ担体に塩化銅を担持した触媒、塩化銅とアルカリ金属塩化物(NaCl、KCl、LiCl等)またはアルカリ土類金属塩化物(MgCl等)を担持した触媒等を用いることができる。一般に、エチレンのオキシ塩素化反応に用いられる塩化銅を担持した触媒において、活性成分としての塩化銅の担持量は塩化第二銅として5〜15重量%である。本発明における触媒においても、塩化第二銅として同程度の5〜15重量%で良い。触媒の調製法も一般に行われる担持方法を用いることができる。例えば、所定量の塩化第二銅および塩化カリウムの混合水溶液中に活性アルミナを浸漬し、溶液を活性アルミナに吸収させた後に溶液をろ別する。その後、乾燥器を用い200〜300℃で数時間乾燥する等の簡便な方法で調製することができる。
本発明で使用される触媒における、固体酸触媒と塩化銅が担持されたオキシ塩素化触媒の割合は特に限定されず、エタノールおよび/またはクロロエタンがエチレンに転化される反応とエチレンが1,2−ジクロロエタンに転化される反応が同時に進行するために触媒の充填容量として固体酸触媒/オキシ塩素化触媒比が0.05〜10が好ましく、さらに0.2〜5が好ましい。
本発明の反応形式は、特に限定されず、固定床型、流動床型が使用できる。また、本発明で使用される触媒の形状は、反応形式に適合する形状であれば特に限定されず、例えば、固定床法では球形、円筒形、円柱形、ハニカム形等が、流動床法では粉体、顆粒状等が使用できる。
本発明で使用されるエタノールは、特に限定されない。例えば、サトウキビやトウモロコシ等の植物性の原料をアルコール発酵させて製造した、所謂、バイオエタノールを使用しても良いし、エチレンの水和反応により製造した石油由来のエタノール等を用いることもできる。石油資源の枯渇問題や二酸化炭素による地球温暖化防止の観点からは、バイオエタノールを用いることによって地球環境への負荷を低減させることが期待できる。エタノールの純度は、特に限定されず少量の水等が混入することは問題ない。なお、分離工程の負荷を下げ、効率的に1,2−ジクロロエタンを製造できることから、50〜100重量%のエタノール純度が好ましく、さらには85〜100%が好ましい。
本発明で使用されるクロロエタンも特に限定されず、エタンのオキシ塩素化に等により製造されたクロロエタン等を用いることができる。
エタノールおよび/またはクロロエタンは、塩化水素および分子状酸素と共に上記の触媒が充填された反応器に供給される。その際の、エタノールおよび/またはクロロエタンと塩化水素および分子状酸素の比率は、特に制限されないが、エタノールおよび/またはクロロエタンの転化率を維持し、効率的に1,2−ジクロロエタンを製造できることから、塩化水素量および分子状酸素がガス容量で、エタノールに対し、好ましくは塩化水素/エタノール比=1〜10、さらに好ましくは1.5〜5、好ましくは分子状酸素/エタノール比=0.1〜5、さらに好ましくは0.2〜2.0となる量、クロロエタンに対し、好ましくは塩化水素/クロロエタン比=0.5〜5、さらに好ましくは0.75〜2.5、好ましくは分子状酸素/クロロエタン比=0.1〜5、さらに好ましくは0.2〜2.0となる量である。エタノールとクロロエタンを混合して供給する際には、好ましくは塩化水素/(エタノール×2+クロロエタン)比=0.5〜5、さらに好ましくは0.75〜2.5、好ましくは分子状酸素/(エタノール+クロロエタン)比=0.1〜5、さらに好ましくは0.2〜2.0となる量である。
エタノールおよび/またはクロロエタンは、エチレンで希釈して用いても良く、その際のエタノールおよび/またはクロロエタンとエチレンの希釈比率は特に制限されない。エチレンで希釈されたときの、塩化水素および分子状酸素の量は、エタノールとエチレンの合計が、上記のエチレンを用いない場合のエタノールと塩化水素および分子状酸素の比率になる量であることが好ましい。すなわち、ガス容量で、好ましくは塩化水素/(エタノール+エチレン)比=1〜10、さらに好ましくは1.5〜5、好ましくは分子状酸素/(エタノール+エチレン)比=0.1〜5、さらに好ましくは0.2〜2.0となる量、クロロエタンをエチレンで希釈する際には、好ましくは塩化水素/(クロロエタン+エチレン×2)比=0.5〜5、さらに好ましくは0.75〜2.5、好ましくは分子状酸素/(クロロエタン+エチレン)比=0.1〜5、さらに好ましくは0.2〜2.0となる量である。エタノールとクロロエタンを混合した原料をエチレンで希釈する際には、好ましくは塩化水素/((エタノール+エチレン)×2+クロロエタン)比=0.5〜5、さらに好ましくは0.75〜2.5、好ましくは分子状酸素/(エタノール+クロロエタン+エチレン)比=0.1〜5、さらに好ましくは0.2〜2.0となる量である。
分子状酸素は、純酸素、空気、酸素富化空気等を用いることができる。
供給されるエタノール、クロロエタン、塩化水素、分子状酸素は、そのままで用いても、不活性なガスで希釈して用いても良い。不活性ガスの種類は、特に限定されないが、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴンまたは二酸化炭素の一種または混合ガスを用いることができる。
反応温度は、特に限定されないが、転化率や選択率の低下を防止し、さらに炭素の析出等を防止することで触媒活性を維持して、効率的に1,2−ジクロロエタンを製造できることから、好ましくは150〜350℃、さらに好ましくは180〜350℃である。
反応圧力は、供給原料および生成物がガス状態を保つ範囲であれば問題ないが、効率的に1,2−ジクロロエタンを製造できることから、0〜1MPaGが好ましい。
本発明によると、エタノールおよび/またはクロロエタンと塩化水素と分子状酸素から簡便で効率よく1,2−ジクロロエタンを製造できるという効果を有する。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例に用いた測定法は以下の通りである。
<反応評価>
エタノールおよび/またはクロロエタンから1,2−ジクロロエタンの反応評価は、石英製反応管(内径20mm、長さ600mm)を用いた固定床気相流通式反応装置を用いた。石英製反応管に固体酸触媒および塩化銅が担持されたオキシ塩素化触媒を混合した触媒を充填した。エタノールおよび/またはクロロエタン、塩化水素、分子状酸素および希釈用窒素を反応管に充填された触媒層に供給した。反応温度は、電気炉を用いて制御した。生成物の液成分は、氷冷した2−ブタノールを用いてトラップした。生成物の定量分析は、ガスクロマトグラフを用い、ガス成分および液成分を個別に分析した。ガス成分は、ガスクロマトグラフ(島津製作所製商品名GC−14B、熱伝導度検出器、2台)を用いて分析した。充填剤は、Waters社製商品名PorapakQ(カラム:3m×2.3mm)およびGLサイエンス社製商品名MS−5A(カラム:3m×2.3mm)を用いた。液成分は、ガスクロマトグラフ(島津製作所製商品名GC−14A、水素炎イオン化検出器、2台)を用いて分析した。分離カラムは、キャピラリーカラム(GLサイエンス社製、商品名TC−1、60m×0.25mm、膜厚0.25μmおよびGLサイエンス社製、商品名TC−FFAP、60m×0.25mm、膜厚0.25μm)を用いた。
<表面積および平均細孔径の確認>
表面積および平均細孔径の確認は、窒素吸着法比表面積・細孔分布測定装置(マイクロメリティクス社製、商品名ASAP2400)を用い、液体窒素温度および0.001〜0.995の窒素相対圧の条件で行った。
<固体酸の確認>
固体酸の確認は、アンモニア昇温脱離スペクトル装置(アンモニアTPD、日本ベル社製、商品名TPD−1−AT)を用い、前処理温度500℃、アンモニア吸着温度100℃、昇温速度10℃/分、脱離温度100〜700℃の条件で、ヘリウム気流中でアンモニアの脱離を行った。
<結晶状態の確認>
得られた成型体の結晶状態は、粉末X線回折測定装置(XRD、マックサイエンス社製、商品名M18XHF)を用い、電圧40kV、電流200mAで測定した。
<ナトリウムおよびカリウムの定量>
ナトリウムおよびカリウムの定量は原子吸光分光光度計(AA)(ジャーレルアッシュ製、商品名AA800MarkII)を用い、フレームはアセチレン−エアー、測定波長はナトリウムが589.0nm、カリウムが766.5nmの測定条件で行った。
<銅およびアルミニウムの定量>
銅およびアルミニウムの定量は誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES、京都光研製、商品名UOP−1MKII)を用い、プラズマ電力1.2kW、測定波長は銅が324.754nm、アルミニウムが396.152nmの測定条件で行った。
実施例1
塩化第二銅2水和物35.9g、塩化カリウム14.6gを純水100mlに溶解させ、活性アルミナ成形体100ml(球形6〜7mm、比表面積155m/g)を添加し、室温で1時間浸漬した。溶液をろ別した後、200℃で4時間乾燥し、塩化銅および塩化カリウムを含むオキシ塩素化触媒を調製した。比表面積は104m/g、平均細孔径は13.4nmであった。
上記オキシ塩素化触媒10.6gとシリカ−アルミナ(日揮化学製N632HN、比表面積453m/g、平均細孔径6.5nm、アンモニアTPD測定による酸量0.33mmol/g)8.3gを混合し、図1のように石英製反応管に充填した。
触媒層温度を260℃に制御しながら、エタノール(和光純薬製、純度99.5%)0.067g/分、塩化水素64.2ml/分、酸素12.8ml/分、および窒素90.6ml/分を供給した。生成物をガスクロマトグラフで分析した結果を表1に示す。エタノール転化率は100%で、生成物中には検出されなかった。また、1,2−ジクロロエタンおよび1,2−ジクロロエタンに転化可能なクロロエタンおよびエチレンが高収率で得られた。
Figure 0005309750
実施例2
モルデナイト:HSZ640NAA(東ソー株式会社製、Si/Al比=9.3)50.0gを1N−塩化アンモニウム水溶液1.5リットルに懸濁させ、攪拌しながら80℃で1時間加熱した後、水溶液をろ別し、白色ケーキ状モルデナイトを得た。この操作を4回繰り返した。次にこのケーキ状モルデナイトを純水1.5リットルに懸濁させ、攪拌しながら80℃で1時間加熱した後、洗浄液をろ別した。この操作を5回繰り返した。
得られた白色ケーキ状モルデナイトを100℃で15時間乾燥した。得られたモルデナイトのナトリウム含有量は0.005wt%未満であった。
次に、得られたモルデナイト34gにコロイダルシリカ(スノーテックスN、日産化学社製)36gを加え、温風をあてながら混練乾燥した。次に、500℃で5時間焼成した後、直径2mmから3mmに粉砕し、モルデナイト触媒を得た。比表面積は495m/g、平均細孔径1.7nm、アンモニアTPD測定による酸量は1.42mmol/gであった。
シリカ−アルミナの代わりに上記モルデナイト10.3gを用いた以外は、実施例1と同様に反応を行った。得られた結果を表1に示す。実施例1と同様にエタノール転化率は100%で、生成物中には検出されなかった。また、1,2−ジクロロエタンおよび1,2−ジクロロエタンに転化可能なクロロエタンおよびエチレンが高収率で得られた。
実施例3
特公昭46−10064号公報に準拠してナトリウム型のZSM−5を調製した。すなわち、30重量%シリカゾル(日産化学製、商品名コロイダルシリカN)76gを2.2mol/lのテトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド水溶液108gと混合した。次いで、3.2gのアルミン酸ナトリウムを水54mlに溶かし、この水溶液と前記溶液をSUS製オートクレーブに入れた。この混合物を自圧で150℃、6日間攪拌しながら加熱された。冷却後、生成したスラリーをろ別し、蒸留水100mlを用い洗浄し、この洗浄操作を5回繰り返した。次に、110℃で一晩乾燥後、空気中540℃で焼成し、白色のナトリウム型のZSM−5を得た。粉末X線回折測定の結果、MFI型すなわちZSM−5形構造を有することがわかった。得られたZSM−5のケイ素/アルミニウム比(原子比)=20であった。
得たれたナトリウム型ZSM−5を実施例2と同様に塩化アンモニウム処理および洗浄処理を行った。得られた酸型のZSM−5のナトリウム含有量は0.009wt%であった。次に、実施例2と同様に成形し固体酸触媒を得た。比表面積は339m/g、平均細孔径1.7nm、アンモニアTPD測定による酸量は0.88mmol/gであった。
シリカ−アルミナの代わりに上記ZSM−5(10.5g)を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行った。得られた結果を表1に示した。実施例1と同様にエタノール転化率は100%で、生成物中には検出されなかった。また、1,2−ジクロロエタンおよび1,2−ジクロロエタンに転化可能なクロロエタンおよびエチレンが高収率で得られた。
実施例4
エタノール0.067g/分の代わりにエタノール0.034g/分およびクロロエタン(和光純薬製、純度99%)0.047g/分を供給した以外は実施例1と同様に反応を行った。得られた結果を表1に示す。エタノールとクロロエタンがモル比で約50:50の原料を用いても1,2−ジクロロエタンおよび1,2−ジクロロエタンに転化可能なクロロエタンおよびエチレンが高収率で生成した。
実施例5
フェリエライト:HSZ720KOA(東ソー株式会社製、Si/Al比=8.9)56.1gを1N−塩化アンモニウム水溶液1.5リットルに懸濁させ、攪拌しながら80℃で2時間加熱した後、水溶液をろ別し、白色のケーキ状フェリエライトを得た。この操作を4回繰り返した。次に、このケーキ状フェリエライトを純水1.5リットルに懸濁させ、攪拌しながら80℃で2時間加熱した後、洗浄液をろ別した。この操作を5回繰り返した。
得られた白色ケーキ状フェリエライトを100℃で15時間乾燥させた。熱処理後のフェリエライトのナトリウムおよびカリウム含有量はいずれも0.005wt%未満であった。
乾燥したフェリエライト51.1gに、粉砕したSiO(富士シリシア製、商品名キャリアクト30)19.4gを混合し、打錠成型機(畑鉄工所製、商品名HU−A)を用い、直径5mm高さ2mmの円柱状のペレットに成粒した。500℃で5時間熱処理して酸型のフェリエライトペレットを得た。比表面積は453m/g、平均細孔径4.8nm、アンモニアTPD測定による酸量は1.25mmol/gであった。
シリカ−アルミナの代わりにフェリエライト7.5gを用いた以外は、実施例4と同様に反応を行った。得られた結果を表1に示す。実施例4と同様に、エタノールとクロロエタンがモル比で約50:50の原料を用いても1,2−ジクロロエタンおよび1,2−ジクロロエタンに転化可能なクロロエタンおよびエチレンが高収率で生成した。
実施例6
エタノール0.067g/分の代わりにクロロエタン(和光純薬製、純度99%)0.093g/分を供給した以外は、実施例1と同様に反応を行った。得られた結果を表1に示す。クロロエタンから1,2−ジクロロエタンおよびエチレンが高選択率で得られた。
実施例7
シリカ−アルミナ(日揮化学製N632HN、比表面積453m/g、平均細孔径6.5nm、アンモニアTPD測定による酸量0.33mmol/g)8.3gを石英製反応管に充填した。
触媒層温度を260℃に制御しながら、クロロエタン(和光純薬製、純度99%)0.093g/分、塩化水素64.2ml/分、酸素12.8ml/分、および窒素90.6ml/分を供給した。生成物をガスクロマトグラフで分析した結果、クロロエタン転化率42.6%、エチレン選択率100%となり、固体酸触媒でクロロエタンからエチレンが生成することを確認した。
比較例1
シリカ−アルミナの代わりに希釈剤(セラミックボール6〜7mm、比表面積0.6m/g、平均細孔径2.2nm、アンモニアTPD測定による酸量0.00mmol/gであった。)24.0gを用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。表1に示した結果から明らかなように、オキシ塩素化触媒のみではエタノールから1,2−ジクロロエタンが生成しないことがわかった。
反応器出口の2−ブタノールトラップは、濃青色に変化し、分析の結果触媒成分の銅0.05ppm、カリウム0.2ppmおよびアルミニウム0.4ppmが検出され、さらに反応後の触媒の色が反応前の茶色から灰色に変化していたことから、触媒成分が溶出したことがわかった。
比較例2
反応温度を350℃にした以外は、比較例1と同様に反応を行った。得られた結果を表1に示す。燃焼反応による副生物である一酸化炭素および二酸化炭素生成量が増加し、1,2−ジクロロエタンは生成しなかった。
比較例3
エタノールの代わりにクロロエタン0.093g/分を供給した以外は、比較例1と同様に反応を行った。表1に示した結果から明らかなように、オキシ塩素化触媒のみではクロロエタンから1,2−ジクロロエタンへの反応活性が極めて低いことがわかった。
本発明の方法で使用する触媒の充填方法と通常のエチレンのオキシ塩素化反応で使用する触媒充填方法の概略図を示す図である。

Claims (5)

  1. エタノールおよび/またはクロロエタンと塩化水素と分子状酸素を触媒の存在下に反応させて1,2−ジクロロエタンを製造する方法であって、エタノールおよび/またはクロロエタンと塩化水素と分子状酸素を固体酸触媒および塩化銅が担持されたオキシ塩素化触媒を混合した触媒に接触させる際に、該固体酸触媒がシリカ−アルミナおよび/またはフェリエライトであることを特徴とする1,2−ジクロロエタンの製造法。
  2. エタノールおよび/またはクロロエタンと塩化水素と分子状酸素を固体酸触媒および塩化銅が担持されたオキシ塩素化触媒を混合した触媒に接触させることにより、固体酸触媒でエタノールと塩化水素からクロロエタンおよびエチレンを生成させると共にクロロエタンをエチレンと塩化水素に変換し、生成したエチレンと塩化水素および分子状酸素を当該オキシ塩素化触媒で反応させて1,2−ジクロロエタンを生成させることを特徴とする請求項1に記載の1,2−ジクロロエタンの製造法。
  3. 塩化銅が担持されたオキシ塩素化触媒が、アルミナに塩化銅が担持されたオキシ塩素化触媒であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の1,2−ジクロロエタンの製造法。
  4. 塩化銅が担持されたオキシ塩素化触媒が、アルミナに塩化銅および塩化カリウムが担持されたオキシ塩素化触媒であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の1,2−ジクロロエタンの製造法。
  5. 反応温度が150〜350℃であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかの項に記載の1,2−ジクロロエタンの製造法。
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