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JP5304045B2 - 吸音パネル - Google Patents

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JP5304045B2 JP2008154692A JP2008154692A JP5304045B2 JP 5304045 B2 JP5304045 B2 JP 5304045B2 JP 2008154692 A JP2008154692 A JP 2008154692A JP 2008154692 A JP2008154692 A JP 2008154692A JP 5304045 B2 JP5304045 B2 JP 5304045B2
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Description

この発明は共鳴を利用した吸音パネルに関し、吸音パネルで仕切られる両側空間を遮音しながら該両側空間についてそれぞれ吸音できるようにしたものである
管共鳴を利用した従来の吸音パネルとして下記特許文献1,2に記載されたものがあった。特許文献1に記載の吸音パネルは長さが異なる複数本のパイプを相互に隣接配置し一体化してパネル体を構成し、各パイプは一端部を閉じ他端部を開放したものである。特許文献2記載の吸音パネルは長さが異なる複数本のパイプを相互に隣接配置し一体化してパネル体を構成し、各パイプは一端部を閉じ他端部を開放して、隣り合うパイプどうしは開口端側が互い違いになるように配列し、さらにパネル体の前面に各パイプ内の空洞にそれぞれ連通し様々な共鳴管長を形成する複数の前面開口部を形成したものである。
特許第2785687号公報 特許第3475917号公報
特許文献1,2記載の吸音パネルは該吸音パネルが配置される1つの空間についてしか吸音することができなかった。この発明は上述の点に鑑みてなされたもので、吸音パネルで仕切られる両側空間を遮音しながら該両側空間についてそれぞれ吸音できるようにした吸音パネルを提供しようとするものである
この発明の吸音パネルは前面および背面を有し、該前面と該背面との間に複数本の空洞が配列された吸音パネルであって、前記前面に前記複数本の空洞のうちいずれか1本または複数本に連通する1個または複数個の開口部を形成し、前記背面に前記複数本の空洞のうち他のいずれか1本または複数本に連通する1個または複数個の開口部を形成し、もって前記前面側に前記開口部を有する空洞と前記背面側に前記開口部を有する空洞を形成してなり、前記複数本の空洞の一部または全部が途中で屈曲しているものである。
この発明の吸音パネルによれば、吸音パネルで仕切られる両側空間を遮音しながら該両側空間についてそれぞれ吸音を行うことができる。この発明の吸音パネルは例えば室の内装面(天井、壁、床)を構成することができる。
音パネルは以下のように様々に構成することができる。
この明細書に記載の第1の吸音パネルは第1,第2の平板の間に波板をサンドイッチ状に挟み込んだ吸音パネルであって、前記第1の平板と前記波板とが互いに離隔する各部分で、該第1の平板に、該第1の平板と前記波板との間に形成される第1の空洞に連通する第1の開口部をそれぞれ形成し、前記第2の平板と前記波板とが互いに離隔する各部分で、該第2の平板に、該第2の平板と前記波板との間に形成される第2の空洞に連通する第2の開口部をそれぞれ形成してなるものである。
この第1の吸音パネルによれば、吸音パネルで仕切られる両側空間を波板で遮音しながら該両側空間についてそれぞれ吸音を行うことができる。また波板と平板を重ね合わせて共鳴を生じる空洞を形成するので、個別のパイプを組み合わせて一体化してパネル体を構成する場合に比べて簡単な構成で吸音パネルを構成することができる。
この明細書に記載の第1の吸音パネルは例えば室の内装面(天井、壁、床)を構成することができる。天井板を構成する場合は天井裏と室内側の相互間を遮音しながら天井裏と室内側をそれぞれ吸音することができる。壁板を構成する場合は壁裏と室内側の相互間を遮音しながら壁裏と室内側をそれぞれ吸音することができる。床板を構成する場合は床下と室内側の相互間を遮音しながら床下と室内側をそれぞれ吸音することができる。
この第1の吸音パネルは室の内装面を構成する場合は、例えば前記第1,第2の平板と前記波板とが予め一体化され、ねじを前記第1の開口部から差し入れて前記波板および前記第2の平板を介して室の内装面の支持部材にねじ込んで該支持部材に固定されるものとすることができる。
この明細書に記載の第2の吸音パネルは第1,第2の平板の間に複数枚の仕切り板を配置し、該第1,第2の平板間の空間を該仕切り板で仕切って複数本の空洞を形成し、該空洞ごとに、該空洞に面する前記第1,第2の平板のいずれか一方の箇所に択一的に開口部を形成し、もって第1の平板側に前記開口部を有する空洞と第2の平板側に前記開口部を有する空洞を形成してなるものである。
第1、第2の吸音パネルは前記複数本の空洞の間隔を均一または不均一とすることができる。また前記第1,第2の平板を相互に平行または非平行とすることができる。また前記複数本の空洞の全部を直線状としまたは該空洞の一部または全部を途中で屈曲したものとすることができる。
この明細書に記載の第3の吸音パネルは第1,第2の平板の間に複数本の筒を挟み込んで配置し、該筒ごとに、該筒と前記第1,第2の平板とが接する箇所で、該第1,第2の平板の一方と該筒の面を貫通する開口部を形成し、もって前記第1の平板側に前記開口部を有する空洞と前記第2の平板側に前記開口部を有する空洞を形成してなるものである。
この明細書に記載の第4の吸音パネルは第1,第2の波板をその山、谷を互いに反転させた状態に対向して配置し、該第1,第2の波板の間の該第1,第2の波板が互いに離隔する位置で、該第1,第2の波板の間に複数本の筒を挟み込み、該筒ごとに、該筒と前記第1,第2の波板とが接する箇所で、該第1,第2の波板の一方と該筒の面を貫通する開口部を形成し、もって第1の波板側に前記開口部を有する空洞と第2の波板側に前記開口部を有する空洞を形成してなるものである。
この明細書に記載の第5の吸音パネルは波板と平板を対向して配置し、該波板と該平板の間の該波板と該平板が互いに離隔する位置に複数本の筒を挟み込み、該筒ごとに、該筒と前記波板または前記平板とが接する箇所で、該波板または該平板の一方と該筒の面を貫通する開口部を形成し、もって前記波板側に前記開口部を有する空洞と前記平板側に前記開口部を有する空洞を形成してなるものである。第3〜第5の吸音パネルにおいて、前記複数本の筒は、外径もしくは軸直角方向の断面外形、または外径および軸直角方向の断面外形を均一または不均一とすることができる。
2〜第5の吸音パネルによれば、第1の吸音パネルと同様に該吸音パネルで仕切られる両側空間を遮音しながら該両側空間についてそれぞれ吸音を行うことができる。この第2〜第5の吸音パネルは第1の吸音パネルと同様に、例えば室の内装面(天井、壁、床)を構成することができる。天井板を構成する場合は天井裏と室内側の相互間を遮音しながら天井裏と室内側をそれぞれ吸音することができる。壁板を構成する場合は壁裏と室内側の相互間を遮音しながら壁裏と室内側をそれぞれ吸音することができる。床板を構成する場合は床下と室内側の相互間を遮音しながら床下と室内側をそれぞれ吸音することができる。
この第2〜第5の吸音パネルは室の内装面を構成する場合は、例えば前記第1,第2の平板の間に複数枚の仕切り板を配置した構造、または前記第1,第2の平板の間に複数本の筒を挟み込んだ構造、または前記第1,第2の波板の間に複数本の筒を挟み込んだ構造、または前記波板と平板の間に複数本の筒を挟み込んだ構造が予め一体化され、ねじを前記開口部から差し入れて前記平板または前記波板を介して室の内装面の支持部材にねじ込んで該支持部材に固定されるものとすることができる。
またの吸音パネルは互いに対向配置された第1,第2の平板間に複数本の空洞を形成し、該空洞ごとに、前記第1,第2の平板のいずれか一方の箇所に択一的に、該空洞に連通する開口部を形成し、もって前記第1の平板側の開口部に連通する空洞と前記第2の平板側の開口部に連通する空洞を形成し、前記第1,第2の平板を互いに非平行に配置してなるものである。この吸音パネルによれば、該吸音パネルを室の天井面、壁面等に沿って配置した場合に、室内側に臨む面が室の対向する面に対して非平行になるので、音響拡散板として機能し、吸音効果のほか拡散効果が得られる。
さらにの吸音パネルは互いに対向配置された第1,第2の板間に複数本の空洞を形成し、該空洞ごとに、前記第1,第2の板のいずれか一方の箇所に択一的に、該空洞に連通する開口部を形成し、もって前記第1の板側の開口部に連通する空洞と前記第2の板側の開口部に連通する空洞を形成し、前記第1,第2の板のいずれか一方または両方の板の表面を非平面に形成してなるものである。この吸音パネルによれば、吸音効果のほか、非平面の表面により拡散効果が得られる。
音パネルの開口部は、例えば矩形の穴、複数条のスリット状の穴その他任意の形状の穴で構成することができる。
音パネルは、前記開口部を1本の空洞につき1箇所または複数箇所に設けることができる。
音パネルは、前記開口部を空洞ごとに該空洞の延在方向のばらばらの位置に設けることができる。
この明細書に記載の音響室は前記吸音パネルで室の内装面の一部または全部の領域を構成してなるものである。
この明細書に記載の室内音響特性調整方法は前記吸音パネルで室の内装面の一部または全部の領域を構成して該室内の音響特性を調整するものである。
《第1の吸音パネルの実施の形態》
1の吸音パネルの実施の形態を説明する。図1は1台の吸音パネル50の構造を示す。図1において(a)は正面図、(b)は各空洞をそれぞれ開口部の位置で切断した断面図を示す。この吸音パネル50は全体が矩形(図示の例では正方形)の正面形状をなす所定厚さのパネル体として構成されている。吸音パネル50は2枚の平板52,54と、これら平板52,54の間にサンドイッチ状に挟み込まれた1枚の波板56と、この波板56のうねり方向の両端部で平板52,54間に挟み込まれた2本のハシバメ58,60とを具えて構成されている。吸音パネル50の波板56のうねりに直角な方向の両端面は通気性のない閉塞部材62,64が装着されて塞がれている。吸音パネル50はこれら各部材52,54,56,58,60,62,64を相互の当接面(平板52,54と波板56との各当接面、平板52,54とハシバメ58,60との各当接面、閉塞部材62,64と平板52,54および波板56との各当接面)で接着剤、ねじ等の接合部材により接合固定して一体化されている。平板52,54は例えばOSB合板(オリエンテッド・ストランド・ボード)等の木質板あるいはプラスチック板、板紙等で構成される。波板56は木質繊維板あるいはプラスチック板、板紙等で構成され、図1の例では台形の波形断面形状に形成されている。ハシバメ58,60は例えば木あるいはプラスチック等の角材で構成される。閉塞部材62,64は木あるいはプラスチック等の板材で構成される。
以上の構成によれば、平板52と波板56とが互いに離隔する部分53で、平板52と波板56との間に管共鳴を生じる複数本の空洞66(第1の空洞)が形成される。平板52には各空洞66に連通する開口部68(第1の開口部)が空洞66ごとに1〜2個ずつ形成されている。開口部68は各空洞66で様々な共鳴管長を形成する(共鳴管長を分散させる、つまり様々な共鳴周波数を生じる)ように、空洞66ごとに該空洞66の延在方向のばらばらの位置に形成されている。また平板54と波板56とが互いに離隔する部分55で、平板54と波板56との間に管共鳴を生じる複数本の空洞70(第2の空洞)が形成される。平板54には各空洞70に連通する開口部72(第2の開口部)が空洞70ごとに1〜2個ずつ形成されている。開口部72は各空洞70で様々な共鳴管長を形成する(共鳴管長を分散させる、つまり様々な共鳴周波数を生じる)ように、空洞70ごとに該空洞70の延在方向のばらばらの位置に形成されている。
吸音パネル50の縦×横の寸法は例えば900mm×900mmである。また平板52,54を8.5mm厚のOSB合板でそれぞれ構成し、波板56を波型によるうねりを含めた厚さが23mmの木質繊維板で構成した場合は吸音パネル50の厚さは40mmとなる。開口部68,72の縦×横の寸法は例えば40mm×40mm(図1の左右両端の開口部68は40mm×25mm)である。
吸音パネル50を天井板として用いて室に天井を構成する施工手順を図2に示す。(i)は施工前の状態である。室の上方には上階の床根太71が配置されている。床根太71の上面には床構造材73が固定されている。床構造材73の上面には上階の床仕上材(フローリング)75が敷き詰めて固定され、上階と下階を仕切っている。床根太71は下階の天井の支持部材を構成する。すなわち下階の室内側76から床根太71の下面に吸音パネル50を一方の面(この例では平板54側)を上に向けて当接させ、ねじ78(木ねじ等)を開口部68から差し入れて、波板56および平板54を介して床根太71にねじ込む。これにより吸音パネル50は床根太71の下面に固定される。このようにして吸音パネル50を室の天井部分(天井を構成する高さ位置)全体に隙間なく敷き詰めて固定することにより天井が構成される。(ii)は施工後の状態である。平板52は室内側76に臨み、平板54は天井裏80に臨んでいる。室内側76と天井裏80とは波板56で相互に遮断(遮音)されている。空洞66は開口部68を介して室内側76に連通し、室内側76の音(室内に存在する音)を管共鳴による各共鳴周波数を中心に吸音して残響時間を短くする。また空洞70は開口部72を介して天井裏80に連通し、天井裏80の音(隣室の天井裏や上階から伝わる音、天井裏80に設置された空調ダクト等の設備が発する騒音等)を管共鳴による各共鳴周波数を中心に吸音する。
図3は音響室82(一般家庭や事務所の部屋等)の天井部分全体に吸音パネル50を敷き詰めて固定して天井を構成した一例を示す。音響室82は前方壁面84、後方壁面(図示せず)、左右壁面86,88、床面90、天井面92で囲まれている。天井面92は吸音パネル50を全体に敷き詰めて構成されている。なお図3では天井の全部の領域を吸音パネル50で構成したが、天井の一部の領域に限って吸音パネル50で構成し残りの領域を岩綿吸音板等の既存の天井板で構成することもできる。
なお前記実施の形態において、吸音パネルの室内側および/または天井裏側の面の開口部を避けた位置(または開口部を含む位置でもよい)に多孔質吸音材を貼り付けあるいは吹き付けて、より広帯域の吸音効果を発現させることもできる。また前記実施の形態において、吸音パネルの室内側の面にサランネット等の音響透過性クロスを被せて室内側に臨む開口部を隠すこともできる。また前記実施の形態では開口部は空洞ごとに該空洞の延在方向のばらばらの位置に形成するようにしたが、各空洞で均一の位置あるいは均一のピッチで形成することもできる。また前記実施の形態では吸音パネルの正面形状を矩形に形成したが、これに限らず平行四辺形、三角形、六角形等に形成することもできる。また前記実施の形態では吸音パネル50の波板56のうねりに直角な方向の両端面を通気性のない閉塞部材62,64を装着して塞いだが、該両端面とも閉塞部材62,64を装着せずに開放したり、一方の端部のみ閉塞部材を装着して他方の端部を開放して共鳴周波数を変更することもできる。開放した端部にウレタン等の連続気泡多孔質材やグラスウール等による流れ抵抗材を装着して吸音率を調整することもできる。さらには複数台(2台または3台以上)の吸音パネルを、開放した端部どうしを順次連結して長い空洞を形成して使用することができ、この場合より多くのまたより低域の共鳴周波数が得られる。
また前記実施の形態では吸音パネル50を天井板として用いる場合について説明したが、壁板として用いることもできる。壁板として用いる場合は図2の床根太71に代わる壁面下地(柱、間柱、胴縁等)に吸音パネル50をねじ78で固定して壁面を構成する。これにより室内側76と壁裏(図2の天井裏80に代わる空間)とは波板56で相互に遮断される。空洞66は開口部68を介して室内側76に連通し、室内側76の音を吸音して残響時間を短くする。また空洞70は開口部72を介して壁裏に連通し、壁裏の音(隣室から伝わる音、壁裏に設置された空調ダクト等の設備が発する騒音等)を吸音する。図3の音響室82の壁部分84,86,88に天井部分92と同様に吸音パネル50を敷き詰めて固定して壁を構成することができる。
また吸音パネル50は床板として用いることもできる。床板として用いる場合は図2の床構造材73の上に床仕上材(フローリング)75に代えて吸音パネル50を配置する。そして室内側(図2の床仕上材75の上の空間)からねじ78を吸音パネル50の上側の開口部に通して床構造材73にねじ込んで吸音パネルを床構造材73に固定して床面を構成する。これにより室内側と床下(図2の天井裏80に代わる空間)とは波板56で相互に遮断される。吸音パネル50を平板52を上、平板54を下にして配置したとすると、空洞66は上側の開口部68を介して室内側に連通し、室内側の音を吸音して残響時間を短くする。また空洞70は下側の開口部72を介して床下に連通し、床下の音(下階や隣室から伝わる音、床下に設置された空調ダクト等の設備が発する騒音等)を吸音する。図3の音響室82の床部分90に天井部分92と同様に吸音パネル50を敷き詰めて固定して床を構成することができる。なお上側の開口部68に物が落ち込んだり足を引っ掛けたりするのを防止するために開口部68に穴あき金属板等の音響透過性部材を嵌め込んで固定することもできる。
2〜第5の吸音パネル、さらには吸音パネルのその他の実施の形態を図4〜図15を参照して説明する。図4〜図15はいずれも1台の吸音パネルの構造を示し、(a)は正面図、(b)は吸音パネルを天井板として施行した例を示す図で各空洞をそれぞれ開口部の位置で切断した断面図である。各図(b)に示すように、いずれの吸音パネルもねじ78を前記開口部から差し入れて室の天井に装着されている。
《第2の吸音パネルの実施の形態1》
2の吸音パネルの実施の形態1を図4に示す。この吸音パネル94は全体が矩形(図示の例では正方形)の正面形状をなす所定厚さのパネル体として構成されている。吸音パネル94は互いに平行に対向配置された2枚の平板96,98を具えている。平板96,98間には複数枚の仕切り板100が互いに一定の間隔で互いに平行に挟み込まれている。これにより仕切り板100の延在方向から見た平板96,98と仕切り板100の組み合わせによる端面形状が全体として格子状に形成されている。複数枚の仕切り板100により平板96,98間の空間は複数本の空洞102(102a,102b)に仕切られている。吸音パネル94の仕切り板100の延在方向の両端面には通気性のない閉塞部材104,106が装着されている。これら閉塞部材104,106により各空洞102の両開口端は塞がれている。吸音パネル94を構成する平板96,98、仕切り板100、閉塞部材104,106はOSB合板等の木質板あるいはプラスチック板、板紙等でそれぞれ構成され、相互の当接面で接着剤、ねじ等の接合部材により接合固定して一体化されている。あるいは平板96,98と仕切り板100をプラスチック等による一体成型品として製造することもできる。
吸音パネル94には、空洞102(102a,102b)ごとに、空洞102に面する平板96,98のいずれか一方の箇所に択一的に開口部108(108a,108b)が1個または複数個ずつ形成されている。これにより平板96側に開口部108aが形成された空洞102aと平板98側に開口部108bが形成された空洞102bが混在して(図4の例では交互に配置して)設けられている。開口部108は図4の例では矩形状の穴で構成されている。開口部108は各空洞102で様々な共鳴管長を形成するように空洞102ごとに該空洞102の延在方向のばらばらの位置に形成されている。吸音パネル94や開口部108の寸法は前出の第1の吸音パネル50(図1)と同程度に構成することができる。
吸音パネル94を天井板として用いて図4(b)のように室に天井を構成する手順を説明する。室の上方の構造は前出の図2と同様である。下階の室内側76から床根太71の下面に吸音パネル94を一方の面(この例では平板98側)を上に向けて当接させ、ねじ78(木ねじ等)を開口部108aから差し入れて、平板98を介して床根太71にねじ込む。これにより吸音パネル94は床根太71の下面に固定される。このようにして吸音パネル94を室の天井部分(天井を構成する高さ位置)全体に、前出の図3と同様に隙間なく敷き詰めて固定することにより天井が構成される。平板96は室内側76に臨み、平板98は天井裏80に臨んでいる。室内側76と天井裏80とは平板96,98と仕切り板100で相互に遮断(遮音)されている。空洞102aは開口部108aを介して室内側76に連通し、室内側76の音を管共鳴による各共鳴周波数を中心に吸音して残響時間を短くする。また空洞102bは開口部108bを介して天井裏80に連通し、天井裏80の音を管共鳴による各共鳴周波数を中心に吸音する。
《第2の吸音パネルの実施の形態2》
2の吸音パネルの実施の形態2を図5に示す。この吸音パネル111は図4の吸音パネル94の仕切り板100の間隔が均一であったのに対し、仕切り板100の間隔を不均一にしたものである。他の構成は図4の吸音パネル94と同じである。図4と対応する部分には同一の符号を用いる。
《第2の吸音パネルの実施の形態3》
2の吸音パネルの実施の形態3を図6に示す。この吸音パネル113は図4の吸音パネル94の開口部108a,108bが矩形の穴で構成されていたのに対し、開口部115a,115bを複数条のスリット状の穴で構成したものである。他の構成は図4の吸音パネル94と同じである。図4と対応する部分には同一の符号を用いる。
《第2の吸音パネルの実施の形態4》
2の吸音パネルの実施の形態4を図7に示す。この吸音パネル117は図4の吸音パネル94の2枚の平板96,98が互いに平行に配置されているのに対し、2枚の平板96,98を非平行に配置したものである。この吸音パネル117は平板96,98を非平行に配置するのに合わせて仕切り板100の高さを順次異ならせている。また閉塞部材104,106は吸音パネル117の閉塞部材104,106が装着される端面の形状に合わせて該端面の形状(台形状)に形成されている。他の構成は図4の吸音パネル94と同じである。図4と対応する部分には同一の符号を用いる。この吸音パネル117を室の天井に配置する場合は例えば図7(b)に示すように、傾斜方向に隣接する吸音パネルどうし向きを反転させて配列する。これにより吸音パネル117の表面(平板96)は音響拡散板として機能し、室内側76の音に対して散乱効果が得られる。
《第2の吸音パネルの実施の形態5(この発明の実施の形態)
2の吸音パネルの実施の形態5を図8に示す。この吸音パネル119は空洞の一部を途中で屈曲させたものである。図4と対応する部分には同一の符号を用いる。各仕切り板100は互いに均一の間隔を保ちながら途中で直角に屈曲している。これにより仕切り板100で仕切られた相互に長さが異なる空洞102(102a,102b)が形成される。図8(a)の右下隅に位置する最短の空洞102a以外は途中で屈曲している。空洞102の両端が開口する吸音パネル119の隣接する2辺(図8(a)の下辺と右辺)の端面には通気性のない閉塞部材104,106が装着されている。これら閉塞部材104,106により各空洞102の両開口端は塞がれている。平板96,98に開口する開口部115a,115bは前出の図6と同様にスリット状の穴で構成されている。平板96に開口する開口部115aは空洞102aに連通し、平板98に開口する開口部115bは空洞102bに連通する。なおスリット状の穴115で開口部を構成するのに代えて、図4等と同様に矩形状の穴108で開口部を構成することもできる
《第3の吸音パネルの実施の形態1》
3の吸音パネルの実施の形態1を図9に示す。この吸音パネル121は全体が矩形(図示の例では正方形)の正面形状をなす所定厚さのパネル体として構成されている。吸音パネル121は互いに対向配置された2枚の平板123,125を具えている。平板123,125間には同一径の複数本の円筒127が隙間なく(隙間があってもよい)一方向に配列され、平板123,125間に挟み込まれている。円筒127によりその内部に空洞129(129a,129b)が形成されている。吸音パネル121の円筒127の延在方向の両端面には通気性のない閉塞部材131,133が装着されている。これら閉塞部材131,133により各空洞129の両開口端は塞がれている。平板123,125、閉塞部材131,133はOSB合板等の木質板あるいはプラスチック板、板紙等でそれぞれ構成され、また円筒127は紙筒、プラスチック筒等で構成されている。吸音パネル121を構成するこれら平板123,125、閉塞部材131,133、円筒127は、相互の当接面で接着剤、ねじ等の接合部材により接合固定して一体化されている。
吸音パネル121には、空洞129(129a,129b)ごとに、平板123,125と円筒127とが接する箇所で、平板123,125のいずれか一方と円筒127の面を貫通する開口部135(135a,135b)が1個または複数個ずつ形成されている。これにより平板123側に開口部135aが形成された空洞129aと平板125側に開口部135bが形成された空洞129bが混在して(図9の例では交互に配置して)設けられている。開口部135は図9の例では矩形状の穴で構成されている。開口部135は各空洞129で様々な共鳴管長を形成するように空洞129ごとに該空洞129の延在方向のばらばらの位置に形成されている。吸音パネル121や開口部135の寸法は前出の第1の吸音パネル50(図1)と同程度に構成することができる。
吸音パネル121を天井板として用いて図9(b)のように室に天井を構成する手順を説明する。室の上方の構造は前出の図2と同様である。下階の室内側76から床根太71の下面に吸音パネル121を一方の面(この例では平板125側)を上に向けて当接させ、ねじ78(木ねじ等)を開口部135aから差し入れて、円筒127および平板125を介して床根太71にねじ込む。これにより吸音パネル121は床根太71の下面に固定される。このようにして吸音パネル121を室の天井部分(天井を構成する高さ位置)全体に、前出の図3と同様に隙間なく敷き詰めて固定することにより天井が構成される。平板123は室内側76に臨み、平板125は天井裏80に臨んでいる。室内側76と天井裏80とは平板123,125と円筒127で相互に遮断(遮音)されている。空洞129aは開口部135aを介して室内側76に連通し、室内側76の音を管共鳴による各共鳴周波数を中心に吸音して残響時間を短くする。また空洞129bは開口部135bを介して天井裏80に連通し、天井裏80の音を管共鳴による各共鳴周波数を中心に吸音する。なお図9では筒127として円筒を用いたが、円筒以外の筒(楕円筒、長円筒、四角筒、交互に上下反転させた三角筒等)を用いることもできる。
《第3の吸音パネルの実施の形態2》
3の吸音パネルの実施の形態2を図10に示す。この吸音パネル122は図9の吸音パネル121が筒127としての軸直角方向の断面外形を均一(同一径の円形)にしていたのに対し、筒124の軸直角方向の断面外形を不均一にしたものである。筒124は短径と長径の比が様々な楕円筒で構成されている。ただし各楕円筒124の高さ(厚さ)は均一にされており、互いに平行に配置された平板123,125間に丁度接した状態に挟み込まれて固定されている。他の構成は図9の吸音パネル121と同じである。図9と対応する部分には同一の符号を用いる。吸音パネル122は楕円筒124によりその内部に空洞126(126a,126b)が形成されている。吸音パネル122には、空洞126(126a,126b)ごとに、平板123,125と楕円筒124とが接する箇所で、平板123,125のいずれか一方と楕円筒124の面を貫通する開口部135(135a,135b)が1個または複数個ずつ形成されている。これにより平板123側に開口部135aが形成された空洞126aと平板125側に開口部135bが形成された空洞126bが混在して(図10の例では交互に配置して)設けられている。この吸音パネル122によれば、両面側で吸音効果が得られる。
《第4の吸音パネルの実施の形態》
4の吸音パネルの実施の形態を図11に示す。この吸音パネル137は図9の吸音パネル121が平板123,125で円筒127を挟み込んでいたのに対し、波板139,141で円筒127を挟み込むようにしたものである。閉塞部材131,133は吸音パネル137の閉塞部材131,133が装着される端面の形状に合わせて該端面の形状(図11(b)の姿勢で上下辺が互いに上下対称の波状の輪郭を有する形状)に形成されている。他の構成は図9の吸音パネル121と同じである。図9と対応する部分には同一の符号を用いる。波板139,141間には同一径の複数本の円筒127が隙間なく(隙間があってもよい)一方向に配列され、波板139,141間に挟み込まれている。波板139,141は円筒127の配列のうねりに倣ってうねる表面形状を有する。波板139,141はその山、谷を互いに反転させた状態に対向して配置されている。円筒127は波板139,141の間の波板139,141が互いに離隔する位置に挟み込まれている。波板139,141はOSB合板等の木質板あるいはプラスチック板、板紙等で構成することができる。吸音パネル137を構成する波板139,141、閉塞部材131,133、円筒127は、相互の当接面で接着剤、ねじ等の接合部材により接合固定して一体化されている。
吸音パネル137には、空洞129(129a,129b)ごとに、波板139,141と円筒127とが接する箇所で、波板139,141のいずれか一方と円筒127の面を貫通する開口部135(135a,135b)が1個または複数個ずつ形成されている。これにより波板139側に開口部135aが形成された空洞129aと波板141側に開口部135bが形成された空洞129bが混在して(図11の例では交互に配置して)設けられている。この吸音パネル137によれば、両面側で吸音効果が得られるほか、波板139,141の表面が非平面であることにより両面側で拡散効果が得られる。
《第5の吸音パネルの実施の形態》
5の吸音パネルの実施の形態を図12に示す。この吸音パネル143は図9の吸音パネル121が平板123,125で円筒127を挟み込み、図11の吸音パネル137が波板139,141で円筒127を挟み込んでいたのに対し、波板139と平板125で円筒127を挟み込むようにしたものである。閉塞部材131,133は吸音パネル143の閉塞部材131,133が装着される端面の形状に合わせて該端面の形状(図12(b)の姿勢で上辺が直線状、下辺が波状の輪郭を有する形状)に形成されている。他の構成は図9の吸音パネル121、図11の吸音パネル137と同じである。図9、図11と対応する部分には同一の符号を用いる。この吸音パネル143は図12(b)に示すように波板139側を室内側76に向けて室に設置する。これによれば両面側で吸音効果が得られるほか、非平面である波板139の表面により波板139側で拡散効果が得られる。
《その他の実施の形態1》
音パネルのその他の実施の形態1を図13に示す。この吸音パネル145は図4の吸音パネル94の両面が平面であったのに対し、一方の面を山形の非平面に構成したものである。すなわち吸音パネル145の室内側76に臨む側の板147は2枚の平板を山形に組み合わせた形状に構成されている。平板98と山形板147間の距離の変動に合わせて仕切り板100の高さを順次異ならせている。また閉塞部材104,106は吸音パネル145の閉塞部材104,106が装着される端面の形状に合わせて該端面の形状(山形五角形状)に形成されている。他の構成は図4の吸音パネル94と同じである。図4と対応する部分には同一の符号を用いる。この吸音パネル145によれば両面側で吸音効果が得られるほか、非平面である山形板147の表面により山形板147側で拡散効果が得られる。平板98を山形板に代えて、両面とも山形板による非平面とすることもできる。このようにすれば両面側で拡散効果が得られる。
《その他の実施の形態2》
音パネルのその他の実施の形態2を図14に示す。この吸音パネル149は図4の吸音パネル94の両面が平面であったのに対し、一方の面を湾曲した非平面に構成したものである。すなわち吸音パネル149の室内側76に臨む側の板151は平板を一方向に弓形に湾曲させた形状に構成されている。平板98と湾曲板151間の距離の変動に合わせて仕切り板100の高さを順次異ならせている。また閉塞部材104,106は吸音パネル149の閉塞部材104,106が装着される端面の形状に合わせて該端面の形状(蒲鉾形)に形成されている。他の構成は図4の吸音パネル94と同じである。図4と対応する部分には同一の符号を用いる。この吸音パネル149によれば両面側で吸音効果が得られるほか、非平面である湾曲板151の表面により湾曲板151側で拡散効果が得られる。平板98を湾曲板に代えて、両面とも湾曲板による非平面とすることもできる。このようにすれば両面側で拡散効果が得られる。
《その他の実施の形態3》
音パネルのその他の実施の形態3を図15に示す。この吸音パネル153は図9の吸音パネル121の両面が平面であったのに対し、一方の面を谷形の非平面に構成したものである。すなわち吸音パネル153の室内側76に臨む側の板154は2枚の平板を谷形に組み合わせた形状に構成されている。平板125と谷形板154間の距離の変動に合わせて円筒155の外径を順次異ならせている。すなわち円筒155は吸音パネル153の幅方向中央部に位置するものが最小径でそこから両外側に行くに従い徐々に大径になっていく。閉塞部材131,133は吸音パネル153の閉塞部材131,133が装着される端面の形状に合わせて該端面の形状(谷形五角形状)に形成されている。他の構成は図9の吸音パネル121と同じである。図9と対応する部分には同一の符号を用いる。この吸音パネル153によれば両面側で吸音効果が得られるほか、非平面である谷形板154の表面により谷形板154側で拡散効果が得られる。平板125を谷形板に代えて、両面とも谷形板による非平面とすることもできる。このようにすれば両面側で拡散効果が得られる。
なお第2〜第5の吸音パネルの実施の形態およびその他の実施の形態1,2,3においても第1の吸音パネルの実施の形態と同様に次のような各種の変更が可能である。すなわち第2〜第5の吸音パネルの実施の形態およびその他の実施の形態1,2,3において、吸音パネルの室内側および/または天井裏側の面の開口部を避けた位置(または開口部を含む位置でもよい)に多孔質吸音材を貼り付けあるいは吹き付けて、より広帯域の吸音効果を発現させることもできる。また第2〜第5の吸音パネルの実施の形態およびその他の実施の形態1,2,3において、吸音パネルの室内側の面にサランネット等の音響透過性クロスを被せて室内側に臨む開口部を隠すこともできる。また第2〜第5の吸音パネルの実施の形態およびその他の実施の形態1,2,3では開口部は空洞ごとに該空洞の延在方向のばらばらの位置に形成するようにしたが、各空洞で均一の位置あるいは均一のピッチで形成することもできる。また第2〜第5の吸音パネルの実施の形態およびその他の実施の形態1,2,3では吸音パネルの正面形状を矩形に形成したが、これに限らず平行四辺形、三角形、六角形等に形成することもできる。また第2〜第5の吸音パネルの実施の形態およびその他の実施の形態1,2,3では吸音パネルの空洞の両端部を通気性のない閉塞部材で塞いだが、該空洞の両端部とも閉塞部材を装着せずに開放したり、一方の端部のみ閉塞部材を装着して他方の端部を開放して共鳴周波数を変更することもできる。開放した端部にウレタン等の連続気泡多孔質材やグラスウール等による流れ抵抗材を装着して吸音率を調整することもできる。さらには複数台(2台または3台以上)の吸音パネルを、開放した端部どうしを順次連結して長い空洞を形成して使用することができ、この場合より多くのまたより低域の共鳴周波数が得られる。また第2〜第5の吸音パネルの実施の形態およびその他の実施の形態1,2,3において、第1の吸音パネルの実施の形態(図1)と同様に、閉塞部材を装着していない端部でハシバメを2枚の板間に挟み込んで装着することもできる。
また第2〜第5の吸音パネルの実施の形態およびその他の実施の形態1,2,3では吸音パネルを天井板として用いる場合について説明したが、壁板として用いることもできる。壁板として用いる場合は床根太71に代わる壁面下地(柱、間柱、胴縁等)に吸音パネルをねじ78で固定して壁面を構成する。これにより室内側76と壁裏(天井裏80に代わる空間)とは吸音パネルで相互に遮断される。室内側76に開口した空洞は室内側76の音を吸音して残響時間を短くする。また壁裏側に開口した空洞は壁裏の音(隣室から伝わる音、壁裏に設置された空調ダクト等の設備が発する騒音等)を吸音する。図3の音響室82の壁部分84,86,88に天井部分92と同様に吸音パネルを隙間なく敷き詰めて固定して壁を構成することができる。
また第2〜第5の吸音パネルの実施の形態およびその他の実施の形態1,2,3の吸音パネルは床板として用いることもできる。床板として用いる場合は床構造材73の上に床仕上材(フローリング)75に代えて吸音パネルを配置する。そして室内側(吸音パネルの上の空間)からねじ78を吸音パネルの上側の開口部に通して床構造材73にねじ込んで吸音パネルを床構造材73に固定して床面を構成する。これにより上階の室内側と床下(下階の天井裏80相当する空間)とは吸音パネルで相互に遮断される。吸音パネルの上面側に開口している空洞は室内側に連通し、室内側の音を吸音して残響時間を短くする。また吸音パネルの下面側に開口している空洞は床下に連通し、床下の音(下階や隣室から伝わる音、床下に設置された空調ダクト等の設備が発する騒音等)を吸音する。図3の音響室82の床部分90に天井部分92と同様に吸音パネルを隙間なく敷き詰めて固定して床を構成することができる。なお上側の開口部に物が落ち込んだり足を引っ掛けたりするのを防止するために開口部に穴あき金属板等の音響透過性部材を嵌め込んで固定することもできる。
また図4の矩形状の穴による開口部108aを複数条のスリット状の穴に代えた実施の形態として図6を示したが、図1、図5、図7、図9〜図15の実施の形態においても矩形状の穴による開口部68,72,108,135を複数条のスリット状の穴による開口部に代えることができる。
第1の吸音パネルの実施の形態においても次のような各種の変更が可能である。すなわち図1の吸音パネル50において波板56のピッチを不均一にして、図5の吸音パネル111と同様に、空洞102の幅を不均一(ランダム)にすることができる。また図1の吸音パネル50において、波板56の傾斜面(頂面と底面を繋ぐ面)の幅を順次変化させることにより波板56の高さを順次変化させて、図7の吸音パネル117と同様に、2枚の平板96,98を相互に非平行とすることができる。またこの発明の実施の形態として、図1の吸音パネル50において波板56を途中で屈曲させて、図8の吸音パネル119と同様に、複数本の空洞102の一部または全部を途中で屈曲させたものとすることができる。また図1の吸音パネル50において波板56の傾斜面の幅を順次変化させることにより波板56の高さを順次変化させて、図13の吸音パネル145や図14の吸音パネル149や図15の吸音パネル153のように前面に非平面の板を配置することもできる。
また第1〜第5の吸音パネルの実施の形態およびその他の実施の形態1,2,3では吸音パネルで室の内装面(天井、壁、床)を構成する場合について説明したが、吸音パネルで室の間仕切り壁(パーティション)、ドア等を構成することもできる。室の間仕切り壁、ドア等を構成する場合は両方の板の表面を平面にし(図1、図4〜図9等)、あるいは一方の板の表面を平面にし他方の板の表面を非平面にし(図12〜図15等)、あるいは両方の板の表面を非平面にする(図11。図13の平板98に代えて山形板を用いて両面とも山形板による非平面としたもの。図14の平板98に代えて湾曲板を用いて両面とも湾曲板による非平面としたもの、図15の平板125に代えて谷形板を用いて両面とも谷形板による非平面としたもの等)ことができる。また前記実施の形態では管共鳴を利用した場合について説明したが、この発明はヘルムホルツ共鳴を利用するように構成することもできる。
1の吸音パネルの実施の形態示す正面図および該吸音パネルの各空洞をそれぞれの開口部の位置で切断した断面図である。 図1の吸音パネルで室に天井を構成する施工手順を示す模式断面図である。 図1の吸音パネルを音響室の天井全体に敷き詰めて固定して天井を構成した一例を示す斜視図である。 2の吸音パネルの実施の形態1を示す図で、(a)は正面図、(b)は該吸音パネルを天井板として施行した例を示す図で各空洞をそれぞれ開口部の位置で切断した断面図である。 2の吸音パネルの実施の形態2を示す図で、(a)は正面図、(b)は該吸音パネルを天井板として施行した例を示す図で各空洞をそれぞれ開口部の位置で切断した断面図である。 2の吸音パネルの実施の形態3を示す図で、(a)は正面図、(b)は該吸音パネルを天井板として施行した例を示す図で各空洞をそれぞれ開口部の位置で切断した断面図である。 2の吸音パネルの実施の形態4を示す図で、(a)は正面図、(b)は該吸音パネルを天井板として施行した例を示す図で各空洞をそれぞれ開口部の位置で切断した断面図である。 2の吸音パネルの実施の形態5(この発明の実施の形態)を示す図で、(a)は正面図、(b)は該吸音パネルを天井板として施行した例を示す図で各空洞をそれぞれ開口部の位置で切断した断面図である。 3の吸音パネルの実施の形態1を示す図で、(a)は正面図、(b)は該吸音パネルを天井板として施行した例を示す図で各空洞をそれぞれ開口部の位置で切断した断面図である。 3の吸音パネルの実施の形態2を示す図で、(a)は正面図、(b)は該吸音パネルを天井板として施行した例を示す図で各空洞をそれぞれ開口部の位置で切断した断面図である。 4の吸音パネルの実施の形態を示す図で、(a)は正面図、(b)は該吸音パネルを天井板として施行した例を示す図で各空洞をそれぞれ開口部の位置で切断した断面図である。 5の吸音パネルの実施の形態を示す図で、(a)は正面図、(b)は該吸音パネルを天井板として施行した例を示す図で各空洞をそれぞれ開口部の位置で切断した断面図である。 の他の吸音パネルの実施の形態1を示す図で、(a)は正面図、(b)は該吸音パネルを天井板として施行した例を示す図で各空洞をそれぞれ開口部の位置で切断した断面図である。 の他の吸音パネルの実施の形態2を示す図で、(a)は正面図、(b)は該吸音パネルを天井板として施行した例を示す図で各空洞をそれぞれ開口部の位置で切断した断面図である。 の他の吸音パネルの実施の形態3を示す図で、(a)は正面図、(b)は該吸音パネルを天井板として施行した例を示す図で各空洞をそれぞれ開口部の位置で切断した断面図である。
50…吸音パネル、52…第1の平板、53…第1の平板と波板とが互いに離隔する部分、54…第2の平板、55…第2の平板と波板とが互いに離隔する部分、56…波板、66…第1の空洞、68…第1の開口部(矩形状の開口部)、70…第2の空洞、72…第2の開口部(矩形状の開口部)、71…床根太(天井の支持部材)76…室内側、78…ねじ、80…天井裏、82…音響室、94,111,113,117,119,121,122,137,143,145,149,153…吸音パネル、96,98,123,125…平板、100…仕切り板、102a,102b,126a,126b,129a,129b,157a,157b…空洞、108a,108b,135a,135b…開口部(矩形状の開口部)、115a,115b…開口部(複数条のスリット状の開口部)、124…筒(楕円筒)、127…筒(円筒)、139,141…波板(表面が非平面の板)、147,151,154…表面が非平面の板

Claims (7)

  1. 前面および背面を有し、該前面と該背面との間に複数本の空洞が配列された吸音パネルであって、
    前記前面に前記複数本の空洞のうちいずれか1本または複数本に連通する1個または複数個の開口部を形成し、前記背面に前記複数本の空洞のうち他のいずれか1本または複数本に連通する1個または複数個の開口部を形成し、
    もって前記前面側に前記開口部を有する空洞と前記背面側に前記開口部を有する空洞を形成してなり、
    前記複数本の空洞の一部または全部が途中で屈曲している吸音パネル。
  2. 前記前面および前記背面をそれぞれ構成する第1,第2の平板の間に波板をサンドイッチ状に挟み込んで、前記第1の平板と前記波板との間および前記第2の平板と前記波板との間に前記複数本の空洞を形成する請求項1に記載の吸音パネルであって、
    前記第1の平板と前記波板とが互いに離隔する各部分で、該第1の平板に、該第1の平板と前記波板との間に形成される第1の空洞に連通する第1の開口部をそれぞれ形成し、
    前記第2の平板と前記波板とが互いに離隔する各部分で、該第2の平板に、該第2の平板と前記波板との間に形成される第2の空洞に連通する第2の開口部をそれぞれ形成してなり、
    前記第1の空洞および前記第2の空洞が前記複数本の空洞を構成し、前記第1の開口部が前記前面に形成された開口部を構成し、前記第2の開口部が前記背面に形成された開口部を構成する吸音パネル。
  3. 前記第1,第2の平板と前記波板とが予め一体化され、ねじを前記第1の開口部から差し入れて前記波板および前記第2の平板を介して室の内装面の支持部材にねじ込んで該支持部材に固定される請求項2に記載の吸音パネル。
  4. 前記前面および前記背面をそれぞれ構成する第1,第2の平板の間に複数枚の仕切り板を配置し、該第1,第2の平板間の空間を該仕切り板で仕切って前記複数本の空洞を形成し、
    該空洞ごとに、該空洞に面する前記第1,第2の平板のいずれか一方の箇所に択一的に前記開口部を形成し、
    もって第1の平板側に前記開口部を有する空洞と第2の平板側に前記開口部を有する空洞を形成してなる請求項1に記載の吸音パネル。
  5. 前記第1,第2の平板の間に複数枚の仕切り板を配置した構造が予め一体化され、ねじを前記開口部から差し入れて前記第2の板を介して室の内装面の支持部材にねじ込んで該支持部材に固定される請求項4に記載の吸音パネル。
  6. 前記屈曲の形が直角に屈曲した形である請求項1から5のいずれか1つに記載の吸音パネル。
  7. 前記吸音パネルの正面形状が全体として矩形であり、前記直角に屈曲した空洞が該矩形の隣接する2辺に沿って直角に屈曲している請求項6に記載の吸音パネル。
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