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JP5302596B2 - 固体真空デバイス - Google Patents

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JP5302596B2
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Description

本発明は、固体真空デバイスに関するものである。
従来から、複数枚の基板を用いることなく、1枚の半導体基板(シリコン基板など)を用いて表面マイクロマシニング技術などを利用して形成される固体真空デバイスが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
ここにおいて、上記非特許文献1に開示された固体真空デバイスは、図14に示すように、シリコン基板110の一表面側に当該シリコン基板110から離間して配置され当該シリコン基板110の上記一表面側の第1のポリシリコン層112に支持された熱型デバイス要素部(ここでは、ピラニゲージ)120が形成され、シリコン基板110の上記一表面側に熱型デバイス要素部120を囲む形で真空封止用キャップ部140が形成され、真空封止用キャップ部140が、シリコン基板110の上記一表面側に形成した第2のポリシリコン層141の一部を陽極酸化することにより形成された多孔質ポリシリコン部からなる真空封止用多孔質部142と、当該真空封止用多孔質部142に積層され当該真空封止用多孔質部142の微細孔を封孔したキャップ層143とを有し、熱型デバイス要素部120におけるシリコン基板110側の第1の空間115および真空封止用キャップ部140側の第2の空間135が真空となっている。また、上述の固体真空デバイスでは、真空封止用キャップ部140とシリコン基板110の上記一表面との間の距離が所定形状にパターニングされたPSG膜114の膜厚により規定されており、第1のポリシリコン層112において露出した部位上に熱型デバイス要素120に電気的に接続されたパッド129が形成されている。
以下、図14に示した構成の固体真空デバイスの製造方法について図15を参照しながら簡単に説明する。
まず、シリコン基板110の上記一表面上に膜厚が500nmのシリコン窒化膜からなる絶縁膜111をLPCVD法により形成してから、絶縁膜111上に膜厚が1.5μmのPSG膜(以下、第1のPSG膜と称する)113を形成し、当該第1のPSG膜113を上記第1の空間115に対応する部分が残るようにパターニングし、続いて、シリコン基板110の上記一表面側に不純物がドーピングされた膜厚が1μmの第1のポリシリコン層112をLPCVD法により形成し、続いて、第1のポリシリコン層112をパターニングすることによって、図15(a)に示す構造を得る。ここにおいて、第1のポリシリコン層112のうち第1のPSG膜113に積層された部位が熱型デバイス要素部120を構成する。
上述の第1のポリシリコン層112のパターニング後、シリコン基板110の上記一表面側に膜厚が5μmのPSG膜(以下、第2のPSG膜と称する)114を形成し、当該第2のPSG膜114をパターニングし、続いて、絶縁膜111にコンタクトホール111aを形成することによって、図15(b)に示す構造を得る。
その後、シリコン基板110の上記一表面側に膜厚が1.5μmのノンドープのポリシリコン層141aをLPCVD法により形成し、続いて、膜厚が300nmのPSG膜(以下、第3のPSG膜と称する)144をLPCVD法により形成することによって、図15(c)に示す構造を得る。
その後、第3のPSG膜144中の不純物をポリシリコン層141aにドーピングするアニールを行うことで導電性を有する第2のポリシリコン層141を形成してから、第3のPSG膜144を除去し、続いて、第2のポリシリコン層141上に多孔質ポリシリコン部形成用にパターニングされたレジスト層(図示せず)を形成し、続いて、第2のポリシリコン層141の一部を陽極酸化することで多孔質ポリシリコン部からなる真空封止用多孔質部142を形成し、その後、上記レジスト層を除去することによって、図15(d)に示す構造を得る。なお、第2のポリシリコン層141の上記一部を陽極酸化するための電解液としては、49%HFとエタノールとを1:1で混合したフッ酸系溶液を用いている。
上記レジスト層を除去した後、RTA(Rapid Thermal Annealing)を行うことで応力を緩和し、続いて、第2のPSG膜114の一部および第1のPSG膜113の全部を、真空封止用多孔質部142を通して49%HFにより選択的にエッチングすることで第2の空間135および第1の空間115を形成することによって、図15(e)に示す構造を得る。
その後、シリコン基板110の上記一表面側にLPCVD法により所望の真空度(例えば、179mTorr≒37Pa)で真空封止用のポリシリコン層からなるキャップ層143を形成することによって、図15(f)に示す構造を得る。
その後、シリコン基板110の上記一表面側における第2のPSG膜114と第2のポリシリコン層141とキャップ層143との積層膜をパターニングして第1のポリシリコン層112の一部を露出させることによって、図15(g)に示す構造を得る。
その後、第1のポリシリコン層112に電気的に接続されるパッド129を蒸着法により形成することによって、図15(h)に示す構造を得ている。
Rihui He,et al,「On-Wafer Monolithic Encapsulation by Surface MicromachiningWith Porous Polysilicon Shell」,JOURNAL OFMICROELECTROMECHANICAL SYSTEMS,VOL.16,NO.2,p462-472,APRIL 2007
ところで、図14に示した構成の固体真空デバイスでは、真空による断熱は得られているが、熱型デバイス要素部120がシリコン基板110の上記一表面上のシリコン窒化膜111のみでしかシリコン基板110と断熱されていないので、高性能化が難しかった。なお、この種の固体真空デバイスにおける熱型デバイス要素部120としては、ピラニゲージに限らず、例えば、サーモパイル、抵抗ボロメータ、マイクロヒータ、赤外光源などが考えられる。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、高性能化が可能な固体真空デバイスを提供することにある。
請求項1の発明は、シリコン基板の一表面側に当該シリコン基板から離間して配置され当該シリコン基板の前記一表面側の断熱部および前記断熱部を囲んだ第1のポリシリコン層に支持された熱型デバイス要素部が形成され、前記シリコン基板の前記一表面側に前記熱型デバイス要素部を囲む形で真空封止用キャップ部が形成され、前記真空封止用キャップ部が、多孔質ポリシリコン部からなる真空封止用多孔質部と、前記真空封止用多孔質部に連続して形成され前記真空封止用多孔質部を囲んだ第2のポリシリコン層と、前記真空封止用多孔質部および前記第2のポリシリコン層に積層され前記真空封止用多孔質部の微細孔を封孔したキャップ層とを有し、前記熱型デバイス要素部における前記シリコン基板側の第1の空間および前記真空封止用キャップ部側の第2の空間が真空となっており、前記第1空間は、前記シリコン基板と前記シリコン基板の前記一表面上に形成され前記シリコン基板と前記第1のポリシリコン層との間に介在するシリコン酸化膜と、前記断熱部および前記第1のポリシリコン層とで囲まれた空間からなり、前記断熱部は、前記第1のポリシリコン層に連続して形成された多孔質ポリシリコン部からなり前記熱型デバイス要素部と前記シリコン基板とを熱絶縁することを特徴とする。
この発明によれば、第1のポリシリコン層に連続して形成された多孔質ポリシリコン部からなり熱型デバイス要素部とシリコン基板とを熱絶縁する断熱部を備えているので、熱型デバイス要素部とシリコン基板との間の断熱性を高めることができ、高性能化が可能となる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1のポリシリコン層に、前記第1の空間と前記第2の空間とを連通させるスリットが形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記第1のポリシリコン層の応力を緩和することができるとともに、断熱性を向上させることができる。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記断熱部は、不純物がドーピングされていることを特徴とする。
この発明によれば、前記第1のポリシリコン層における導電性領域を陽極酸化することにより前記断熱部を形成することができるので、前記断熱部を位置精度良く容易に形成することができる。
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記断熱部は、前記真空封止用多孔質部よりも多孔度が大きいことを特徴とする。
この発明によれば、前記断熱部の多孔度を大きくすることで前記断熱部の断熱性を向上できる。
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4の発明において、前記第1のポリシリコン層に連続して形成され前記断熱部とは異なる機能を有する少なくとも1つの機能部を有し、前記機能部が、多孔質ポリシリコン部からなり、前記断熱部および少なくとも1つの前記機能部それぞれで独立して多孔度を設定してあることを特徴とする。
この発明によれば、前記断熱部および少なくとも1つの機能部の特性を独立して設計することができ、高性能化を図れる。
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5の発明において、前記熱型デバイス要素部がサーモパイルであり、当該サーモパイルは、温接点が赤外線吸収層により覆われ、当該赤外線吸収層が不純物をドーピングしたポリシリコン層からなることを特徴とする。
この発明によれば、前記熱型デバイス要素部を構成するサーモパイルの温接点が赤外線吸収層により覆われていることにより高感度化を図れ、しかも、赤外線吸収層が不純物をドーピングしたポリシリコン層からなるので、赤外線吸収層のドーピング量を多くすることにより赤外線吸収量を増加でき、高感度化を図れる。
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項5の発明において、前記熱型デバイス要素部が赤外線を放射する発熱体層からなる赤外光源であり、当該発熱体層は、前記第1のポリシリコン層に連続して形成され不純物をドーピングしたポリシリコン層からなることを特徴とする。
この発明によれば、前記熱型デバイス要素部が赤外線を放射する発熱体層からなる赤外光源であり、当該発熱体層が、前記第1のポリシリコン層に連続して形成され不純物をドーピングしたポリシリコン層からなるので、前記赤外光源の応答速度の高速化を図れるとともに放射特性の安定化を図れる。
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項5の発明において、前記熱型デバイス要素部が抵抗ボロメータであり、当該抵抗ボロメータは、前記第1のポリシリコン層の一部により構成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記熱型デバイス要素部が第1のポリシリコン層の一部により構成された抵抗ボロメータなので、前記熱型デバイス要素部を容易に形成することができる。
請求項9の発明は、請求項6ないし請求項8の発明において、前記第1の空間は、前記シリコン基板の前記一表面に凹所を設けることにより形成され、当該凹所の内面が赤外線を反射する凹面ミラーを構成していることを特徴とする。
この発明によれば、前記熱型デバイス要素部側から前記第1の空間側へ進行した赤外線を凹面ミラーにより前記熱型デバイス要素部側へ反射させることができる。
請求項10の発明は、請求項6ないし請求項9の発明において、前記真空封止用キャップ部は、前記キャップ層が第3のポリシリコン層により構成され、赤外線を透過させる赤外線透過部として機能することを特徴とする。
この発明によれば、前記真空封止用キャップ部を赤外線が透過できるとともに、前記真空封止用キャップ部で赤外線の損失が生じるのを抑制することができる。
請求項11の発明は、請求項6ないし請求項10の発明において、前記真空封止用キャップ部は、前記真空封止用多孔質部として複数の輪帯状の多孔質ポリシリコン部が同心的に形成されるとともに、前記キャップ層が第3のポリシリコン層により構成され、前記熱型デバイス要素部に光学的に結合された赤外線用のフレネルレンズとして機能することを特徴とする。
この発明によれば、前記真空封止用キャップ部とは別途にフレネルレンズを形成する場合に比べて、低コスト化が可能となる。
請求項12の発明は、請求項6ないし請求項10の発明において、前記真空封止用キャップ部は、前記真空封止用多孔質部とは別に複数の輪帯状の多孔質ポリシリコン部が同心的に形成されるとともに、前記キャップ層が第3のポリシリコン層により構成され、前記熱型デバイス要素部に光学的に結合された赤外線用のフレネルレンズとして機能することを特徴とする。
この発明によれば、前記真空封止用キャップ部とは別途にフレネルレンズを形成する場合に比べて、低コスト化が可能となる。
請求項13の発明は、請求項1の発明において、前記真空封止用多孔質部と前記第1のポリシリコン層の一部とを一対の電極とするコンデンサが形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、コンデンサの出力に基づいて加速度を検出することが可能となる。
請求項1の発明では、熱型デバイス要素部とシリコン基板との間の断熱性を高めることができ、高性能化が可能となるという効果がある。
(実施形態1)
本実施形態の固体真空デバイスは、図1に示すように、シリコン基板10の一表面側に当該シリコン基板10から離間して配置され当該シリコン基板10の上記一表面側の第1のポリシリコン層12に支持された熱型デバイス要素部20が形成され、シリコン基板10の上記一表面側に熱型デバイス要素部20を囲む形で真空封止用キャップ部40が形成され、真空封止用キャップ部40が、シリコン基板10の上記一表面側に形成した第2のポリシリコン層41の一部を陽極酸化することにより形成された多孔質ポリシリコン部からなる真空封止用多孔質部42と、当該真空封止用多孔質部42に積層され当該真空封止用多孔質部42の微細孔を封孔したキャップ層43とを有し、熱型デバイス要素部20におけるシリコン基板10側の第1の空間15および真空封止用キャップ部40側の第2の空間35が真空となっている。
また、本実施形態の固体真空デバイスは、第1のポリシリコン層12の一部を陽極酸化することにより形成された多孔質ポリシリコン部からなり熱型デバイス要素部20とシリコン基板10とを熱絶縁する断熱部13を備えている。ここにおいて、第1のポリシリコン層12は、シリコン基板10の上記一表面側にシリコン酸化膜11を介して形成されており、断熱部13とシリコン基板10との間に形成される第1の空間15のギャップ長がシリコン酸化膜11の厚みにより規定されている。
また、本実施形態の固体真空デバイスは、第1のポリシリコン層12および断熱部13が導電性を有しており、第1のポリシリコン層12および断熱部13と熱型デバイス要素部20とを電気的に絶縁する薄いシリコン窒化膜からなる第1の絶縁膜14が、第1のポリシリコン層12上と断熱部13上とに跨って形成されている。
また、本実施形態の固体真空デバイスでは、第2のポリシリコン層41および真空封止用多孔質部42が導電性を有しており、第2のポリシリコン層41と熱型デバイス要素部20とを電気的に絶縁する薄いシリコン窒化膜からなる第2の絶縁膜31が第1の絶縁膜14の表面側に形成されており、熱型デバイス要素部21に電気的に接続される導電性膜(例えば、Al膜、Al−Si膜など)からなるパッド29,29が第2の絶縁膜31に形成されたコンタクトホール31a,31aを埋め込む形で形成されている。
本実施形態の固体真空デバイスは、赤外線センサであり、熱型デバイス要素部20がサーモパイルにより構成されている。ここにおいて、熱型デバイス要素部20となるサーモパイルは、第1の絶縁膜14上でそれぞれ所定形状にパターニングされたn形ポリシリコン層21とp形ポリシリコン層22とで構成され、n形ポリシリコン層21とp形ポリシリコン層22との接点が温接点を構成している。なお、この温接点を赤外線吸収層により覆うようにすれば、高感度化を図れ、当該赤外線吸収層を、不純物をドーピングしたポリシリコン層により構成すれば、赤外線吸収層のドーピング量を多くすることにより赤外線吸収量を増加でき、高感度化を図れる。
以下、本実施形態の固体真空デバイスの製造方法について図2〜図4を参照しながら説明する。
まず、単結晶のシリコン基板10の上記一表面側の全面にシリコン酸化膜11をCVD法や熱酸化法などにより形成することによって、図2(a)に示す構造を得る。
その後、シリコン基板10の上記一表面側の全面にノンドープのポリシリコン層12aをCVD法などにより形成することによって、図2(b)に示す構造を得てから、ノンドープのポリシリコン層12aの全体に亘ってp形の不純物をドーピングすることで導電性を有する第1のポリシリコン層12を形成することによって、図2(c)に示す構造を得る。
その後、シリコン基板10の上記一表面側に断熱部13形成用にパターニングされたレジスト層51を形成し、続いて、第1のポリシリコン層12の一部を陽極酸化することで多孔質ポリシリコン部からなる断熱部13を形成することによって、図2(d)に示す構造を得る。なお、第1のポリシリコン層12の上記一部を陽極酸化するための電解液としては、第1のポリシリコン層12の構成元素であるSiの酸化物であるSiOをエッチング除去する溶液として、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを1:1で混合したフッ酸系溶液を用いているが、フッ化水素水溶液の濃度やフッ化水素水溶液とエタノールとの混合比は特に限定するものではない。また、フッ化水素水溶液と混合する液体もエタノールに限らず、メタノール、プロパノール、イソプロパノール(IPA)などのアルコールなど、陽極酸化反応で発生した気泡を除去できる液体であれば、特に限定するものではない。
上述の断熱部13の形成後、レジスト層51を除去してから、シリコン基板10の上記一表面側の全面にシリコン窒化膜からなる第1の絶縁膜14を形成し、その後、シリコン基板10の上記一表面側にポリシリコン層を堆積させ、当該ポリシリコン層にn形不純物をドーピングしてからパターニングすることにより所定形状のn形ポリシリコン層21を形成し、続いて、シリコン基板10の上記一表面側にポリシリコン層を堆積させ、当該ポリシリコン層にp形不純物をドーピングしてからパターニングすることにより所定形状のp形ポリシリコン層22を形成し、続いて、断熱部13の少なくとも一部が露出させるように第1の絶縁膜14を所定形状にパターニングすることによって、図2(e)に示す構造を得る(なお、図2(e)に示した断面では、断熱部13は露出していない)。
その後、シリコン基板10の上記一表面側の全面にNSG膜からなるシリコン酸化膜を形成してから、当該シリコン酸化膜をパターニングすることで第2の空間35形成用の犠牲層52を形成することによって、図3(a)に示す構造を得る。
次に、シリコン基板10の上記一表面側の全面にノンドープのポリシリコン層41aをCVD法などにより形成することによって、図3(b)に示す構造を得る。
その後、ポリシリコン層41a上にPSG膜45を形成することによって、図3(c)に示す構造を得る。
その後、PSG膜45中の不純物をポリシリコン層41aへドーピングするアニールを行うことで導電性を有する第2のポリシリコン層41を形成してから、PSG膜45を除去することによって、図3(d)に示す構造を得る。
その後、シリコン基板10の上記一表面側に真空封止用多孔質部42形成用にパターニングされたレジスト層53を形成し、続いて、第2のポリシリコン層41の一部を陽極酸化することで多孔質ポリシリコン部からなる真空封止用多孔質部42を形成することによって、図4(a)に示す構造を得る。なお、第2のポリシリコン層41の上記一部を陽極酸化するための電解液としては、第2のポリシリコン層41の構成元素であるSiの酸化物であるSiOをエッチング除去する溶液として、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを1:1で混合したフッ酸系溶液を用いているが、フッ化水素水溶液の濃度やフッ化水素水溶液とエタノールとの混合比は特に限定するものではない。また、フッ化水素水溶液と混合する液体もエタノールに限らず、メタノール、プロパノール、イソプロパノール(IPA)などのアルコールなど、陽極酸化反応で発生した気泡を除去できる液体であれば、特に限定するものではない。
上述の真空封止用多孔質部42を形成した後、レジスト層53を除去し、続いて、真空封止用多孔質部42直下のシリコン酸化膜からなる犠牲層52を真空封止用多孔質部42の微細孔を通してフッ酸系溶液(例えば、フッ化水素水溶液など)により選択的にエッチングして第2の空間35を形成するとともに、断熱部13直下のシリコン酸化膜11を断熱部13の微細孔を通して上記フッ酸系溶液によりエッチングすることで第1の空間15を形成することによって、図4(b)に示す構造を得る。
その後、シリコン基板10の上記一表面側に第3のポリシリコン層からなるキャップ層43を積層することで真空封止用多孔質部42とキャップ層43とからなる真空封止用キャップ部40を形成することによって、図4(c)に示す構造を得る。
その後、真空封止用キャップ部40をパターニングしてから、第2の絶縁膜31にコンタクトホール31a,31aを形成し、続いて、シリコン基板10の上記一表面側に導電性膜(例えば、Al膜、Al−Si膜など)を形成し、当該導電性膜をパターニングすることにより各パッド29,29を形成することによって、図4(d)に示す構造を得る。
以上説明した本実施形態の固体真空デバイスでは、第1のポリシリコン層12の一部を陽極酸化することにより形成された多孔質ポリシリコン部からなり熱型デバイス要素部20とシリコン基板10とを熱絶縁する断熱部13を備えているので、熱型デバイス要素部20とシリコン基板10との間の断熱性を高めることができ、高性能化が可能となる。
ここで、本実施形態の固体真空デバイスにおいて、第1のポリシリコン層12に、第1の空間15と第2の空間35とを連通させるスリットを形成するようにすれば、第1のポリシリコン層12の応力を緩和することができるとともに、断熱性を向上させることができ、熱型デバイス要素部20のより一層の高性能化を図れる。
また、本実施形態の固体真空デバイスでは、上述の説明から分かるように、複数枚の基板を用いることなく、表面マイクロマシニング技術などを利用したウェハプロセスで真空の空間15,35を形成することができ、熱型デバイス要素部20が真空中に配置されていて外気などに起因した熱型デバイス要素部20の劣化を抑制でき、信頼性を高めることができるので、固体真空デバイスごとにキャンパッケージを用いる必要がなく、低コスト化および小型化を図れる。
また、本実施形態の固体真空デバイスでは、断熱部13が、第1のポリシリコン層12の上記一部であって不純物がドーピングされた導電性領域を陽極酸化することにより形成されているので、断熱部13を位置精度良く容易に形成することができる。
また、本実施形態の固体真空デバイスでは、断熱部13の多孔度を真空封止用多孔質部42の多孔度よりも大きくすることで、断熱部13の断熱性を向上できる。ここにおいて、断熱部13の多孔度については、60%に設定してあるが、断熱部13の断熱性および機械的強度、および上記フッ酸系溶液の透過性を考慮して例えば40〜80%の範囲で適宜設定すればよく、真空封止用多孔質部42の多孔度については、上記フッ酸系溶液の透過性、キャップ層43による封孔性を考慮して例えば20〜50%の範囲で適宜設定すればよい。
(実施形態2)
本実施形態の固体真空デバイスの基本構成は実施形態1と略同じであって、図5に示すように、熱型デバイス要素部20が赤外線を放射する発熱体層からなる赤外光源23であり、赤外光源23としての発熱体層が金属膜(例えば、Pt膜など)により構成されている点が相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
しかして、本実施形態の固体真空デバイスによれば、赤外光源23が断熱部13によりシリコン基板10と熱絶縁されているので、赤外光源23の応答速度の高速化を図れるとともに放射特性の安定化を図れる。ところで、本実施形態では、赤外光源23としての発熱体層が金属膜により構成されているが、発熱体層を、第1のポリシリコン層の所定領域に不純物をドーピングすることにより形成してもよく、ドーピング量を適宜調整することで発熱体層の抵抗率を制御することができる。
また、本実施形態の固体真空デバイスでは、実施形態1と同様、キャップ層43が第3のポリシリコン層により構成されているので、真空封止用キャップ部40が赤外線を透過させる赤外線透過部として機能し、真空封止用キャップ部40を赤外線が透過できるとともに、真空封止用キャップ部40で赤外線の損失が生じるのを抑制することができる。
(実施形態3)
本実施形態の固体真空デバイスの基本構成は実施形態1と略同じであって、図6に示すように、第1の空間15がシリコン基板10の上記一表面側の一部を陽極酸化して形成した多孔質部を酸化してエッチングすることで上記一表面に凹所10cを設けることにより形成されている。ここで、本実施形態では、シリコン基板10の上記一表面側の凹所10cの内面である曲面を、凹面ミラーとして機能させることが可能であり、熱型デバイス要素部20側から第1の空間15側へ進行した赤外線を凹面ミラーにより熱型デバイス要素部20側へ反射させることができるから、当該曲面に入射した赤外線を温接点に集光させることができるので、赤外線の検知感度を向上させることができる。この曲面は、陽極酸化の電流密度に面内分布を持たせることにより曲面を形成する曲面形成方法によって形成することができる。他の構成は実施形態1と同じなので説明を省略する。なお、他の実施形態において本実施形態と同様の凹所10cをシリコン基板10に設けてもよく、例えば、実施形態2においては、赤外線を凹面ミラーにより熱型デバイス要素部20である赤外光源23側へ反射させることで赤外線を集光して出射させることが可能となる。
(実施形態4)
本実施形態の固体真空デバイスの基本構成は実施形態1と略同じであって、図7に示すように、熱型デバイス要素部20が、導電性を有する第1のポリシリコン層12を陽極酸化することによって形成された多孔質シリコン部からなる抵抗ボロメータ25により構成され、断熱部13を兼ねている点が相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
しかして、本実施形態の固体真空デバイスでは、実施形態1のように熱型デバイス要素部20がサーモパイルにより構成されるものに比べて、製造が容易になる。
(実施形態5)
本実施形態の固体真空デバイスの基本構成は実施形態4と略同じであって、図8に示すように、真空封止用キャップ部40における真空封止用多孔質部42のサイズを小さくして真空封止用多孔質部42を複数形成してある点が相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
しかして、本実施形態の固体真空デバイスでは、真空封止用キャップ部40における真空封止用多孔質部42のサイズを小さくして真空封止用多孔質部42を複数形成してあるので、真空封止用キャップ部40の機械的強度を高めることができるとともに、第1の空間15および第2の空間35のより一層の高真空化が可能となる。
(実施形態6)
本実施形態の固体真空デバイスの基本構成は実施形態5と略同じであって、図9に示すように、熱型デバイス要素部20がノンドープの第1のポリシリコン層12aにおいて不純物をドーピングした導電性領域からなる抵抗ボロメータ26により構成されている点が相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
しかして、本実施形態の固体真空デバイスでは、熱型デバイス要素部20が抵抗ボロメータ26であり、当該抵抗ボロメータ26が、ノンドープの第1のポリシリコン層12aにおいて不純物をドーピングした導電性領域からなる抵抗ボロメータ26により構成されているので、熱型デバイス要素部20を容易に形成することができ、また、不純物のドーピング量を多くすることにより赤外線の吸収効率を高めることができる。
ところで、本実施形態のように断熱部13が第1のポリシリコン層12aの一部であって不純物がドーピングされた導電性領域を陽極酸化することにより形成する場合には、図10に示すように、当該導電性領域を陽極酸化する際の通電用のパッド12c,12cを設けるようにし、当該パッド12c,12cを第1のポリシリコン層12aにおいて不純物がドーピングされた導電性領域により構成してもよい。また、図10に示した例では、第1のポリシリコン層12aに厚み方向に貫通するスリット12b,12bを形成してあるので、第1のポリシリコン層12aの応力を緩和することができるとともに、断熱性を向上させることができる。
また、本実施形態の固体真空デバイスにおいて、第1のポリシリコン層12aの所定部位を陽極酸化することにより形成され断熱部13とは異なる機能を有する配線部や赤外線吸収部などの機能部を設けるようにし、断熱部13および少なくとも1つの機能部それぞれで独立して多孔度を設定するようにしてもよく、この場合には、断熱部13および少なくとも1つの機能部の特性を独立して設計することができ、高性能化を図れる。なお、他の実施形態においても同様の構成を適宜採用してもよい。
(実施形態7)
本実施形態の固体真空デバイスの基本構成は実施形態6と略同じであって、図11に示すように、真空封止用キャップ部40において、真空封止用多孔質部42として複数の輪帯状の多孔質ポリシリコン部を形成してあり、キャップ層43が第3のポリシリコン層により構成され、熱型デバイス要素部20に光学的に結合された赤外線用のフレネルレンズとして機能する点が相違する。なお、実施形態6と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
しかして、本実施形態の固体真空デバイスでは、真空封止用キャップ部40とは別途にフレネルレンズを形成する場合に比べて、低コスト化および小型化が可能となるとともに、光軸合わせが不要となり、組立ばらつきなどの起因した光軸ずれの発生がないので、信頼性を高めることができる。なお、他の実施形態において本実施形態の真空封止用キャップ部40の構成を採用してもよい。
ところで、本実施形態では、真空封止用多孔質部42として複数の輪帯状の多孔質ポリシリコン部を同心的に形成してあるが、図12に示すように輪帯状の真空封止用多孔質部42の内側に屈折率変化を利用したフレネルレンズ形成用の複数の輪帯状の多孔質シリコン部45を同心的に形成してしてもよい。ここで、真空封止用多孔質部42は、第2のポリシリコン層41の厚み方向全体に形成する必要があるが、フレネルレンズ形成用の多孔質シリコン部45は、第2のポリシリコン層41の厚み方向全体に形成する必要はない。
(実施形態8)
本実施形態の固体真空デバイスの基本構成は実施形態4と略同じであって、図13に示すように、真空封止用多孔質部42と第1のポリシリコン層12の一部とを一対の電極とするコンデンサが形成されている点などが相違する。なお、実施形態4と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の固体真空デバイスでは、加速度により上記一対の電極間の距離が変化し、上記コンデンサの静電容量が変化する。
しかして、本実施形態の固体真空デバイスでは、上記コンデンサの出力に基づいて加速度を検出することが可能となり、検出された加速度を多孔質シリコン部からなる抵抗ボロメータ25の出力に基づいて温度補正することが可能となる。
ところで、本実施形態の固体真空デバイスでは、シリコン基板10に熱型デバイス要素部20と協働するIC部(例えば、熱型デバイス要素部20の出力を信号処理する信号処理回路)を集積化すれば、熱型デバイス要素部20とIC部との間の配線長を短くすることができてノイズを低減できるとともに、また、IC部が別の基板に形成されている場合に比べて、小型化および低コスト化を図れる。また、複数の熱型デバイス要素部20を1つのシリコン基板10の上記一表面側にアレイ状に形成してもよく、実施形態1,3〜7では、熱型デバイス要素部20をアレイ状に形成することで熱画像デバイスとして展開することができる。
実施形態1を示す概略断面図である。 同上の製造方法を説明するための主要工程断面図である。 同上の製造方法を説明するための主要工程断面図である。 同上の製造方法を説明するための主要工程断面図である。 実施形態2を示す概略断面図である。 実施形態3を示す概略断面図である。 実施形態4を示す概略断面図である。 実施形態5を示す概略断面図である。 実施形態6を示す概略断面図である。 同上の他の構成例における要部概略平面図である。 実施形態7を示す概略断面図である。 同上の他の構成例を示す概略断面図である。 実施形態8を示す概略断面図である。 従来例を示す概略断面図である。 同上の製造方法を説明するための主要工程断面図である。
符号の説明
10 シリコン基板
10c 凹所
11 シリコン酸化膜
12 第1のポリシリコン層
13 断熱部
14 第1の絶縁膜
15 第1の空間
20 熱型デバイス要素部
23 赤外光源
25 抵抗ボロメータ
26 抵抗ボロメータ
35 第2の空間
40 真空封止用キャップ部
41 第2のポリシリコン層
42 真空封止用多孔質部
43 キャップ層
45 多孔質ポリシリコン部

Claims (13)

  1. シリコン基板の一表面側に当該シリコン基板から離間して配置され当該シリコン基板の前記一表面側の断熱部および前記断熱部を囲んだ第1のポリシリコン層に支持された熱型デバイス要素部が形成され、前記シリコン基板の前記一表面側に前記熱型デバイス要素部を囲む形で真空封止用キャップ部が形成され、前記真空封止用キャップ部が、多孔質ポリシリコン部からなる真空封止用多孔質部と、前記真空封止用多孔質部に連続して形成され前記真空封止用多孔質部を囲んだ第2のポリシリコン層と、前記真空封止用多孔質部および前記第2のポリシリコン層に積層され前記真空封止用多孔質部の微細孔を封孔したキャップ層とを有し、前記熱型デバイス要素部における前記シリコン基板側の第1の空間および前記真空封止用キャップ部側の第2の空間が真空となっており、前記第1空間は、前記シリコン基板と前記シリコン基板の前記一表面上に形成され前記シリコン基板と前記第1のポリシリコン層との間に介在するシリコン酸化膜と、前記断熱部および前記第1のポリシリコン層とで囲まれた空間からなり、前記断熱部は、前記第1のポリシリコン層に連続して形成された多孔質ポリシリコン部からなり前記熱型デバイス要素部と前記シリコン基板とを熱絶縁することを特徴とする固体真空デバイス。
  2. 前記第1のポリシリコン層に、前記第1の空間と前記第2の空間とを連通させるスリットが形成されてなることを特徴とする請求項1記載の固体真空デバイス。
  3. 前記断熱部は、不純物がドーピングされていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の固体真空デバイス。
  4. 前記断熱部は、前記真空封止用多孔質部よりも多孔度が大きいことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の固体真空デバイス。
  5. 前記第1のポリシリコン層に連続して形成され前記断熱部とは異なる機能を有する少なくとも1つの機能部を有し、前記機能部が、多孔質ポリシリコン部からなり、前記断熱部および少なくとも1つの前記機能部それぞれで独立して多孔度を設定してあることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の固体真空デバイス。
  6. 前記熱型デバイス要素部がサーモパイルであり、当該サーモパイルは、温接点が赤外線吸収層により覆われ、当該赤外線吸収層が不純物をドーピングしたポリシリコン層からなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の固体真空デバイス。
  7. 前記熱型デバイス要素部が赤外線を放射する発熱体層からなる赤外光源であり、当該発熱体層は、前記第1のポリシリコン層に連続して形成され不純物をドーピングしたポリシリコン層からなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の固体真空デバイス。
  8. 前記熱型デバイス要素部が抵抗ボロメータであり、当該抵抗ボロメータは、前記第1のポリシリコン層の一部により構成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の固体真空デバイス。
  9. 前記第1の空間は、前記シリコン基板の前記一表面に凹所を設けることにより形成され、当該凹所の内面が赤外線を反射する凹面ミラーを構成していることを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか1項に記載の固体真空デバイス。
  10. 前記真空封止用キャップ部は、前記キャップ層が第3のポリシリコン層により構成され、赤外線を透過させる赤外線透過部として機能することを特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれか1項に記載の固体真空デバイス。
  11. 前記真空封止用キャップ部は、前記真空封止用多孔質部として複数の輪帯状の多孔質ポリシリコン部が同心的に形成されるとともに、前記キャップ層が第3のポリシリコン層により構成され、前記熱型デバイス要素部に光学的に結合された赤外線用のフレネルレンズとして機能することを特徴とする請求項6ないし請求項10のいずれか1項に記載の固体真空デバイス。
  12. 前記真空封止用キャップ部は、前記真空封止用多孔質部とは別に複数の輪帯状の多孔質ポリシリコン部が同心的に形成されるとともに、前記キャップ層が第3のポリシリコン層により構成され、前記熱型デバイス要素部に光学的に結合された赤外線用のフレネルレンズとして機能することを特徴とする請求項6ないし請求項10のいずれか1項に記載の固体真空デバイス。
  13. 前記真空封止用多孔質部と前記第1のポリシリコン層の一部とを一対の電極とするコンデンサが形成されてなることを特徴とする請求項1記載の固体真空デバイス。
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