JP5399642B2 - 有機無機複合組成物、成形体および光学部品 - Google Patents
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Description
それに伴い、レンズを薄肉化するために素材自体を高屈折率化することが求められるようになっており、例えば、硫黄原子をポリマー中に導入する技術(例えば、特許文献1および2参照)や、ハロゲン原子や芳香環をポリマー中に導入する技術(例えば、特許文献3参照)等が活発に研究されてきた。しかし、屈折率が大きくて良好な透明性を有しており、ガラスの代替となるようなプラスチック材料は未だ開発されるに至っていない。また、光ファイバーや光導波路では、異なる屈折率を有する材料を併用したり、屈折率に分布を有する材料を使用する。これらに対応するために、屈折率を任意に調節できる技術の開発も望まれている。
本発明は前記実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、微粒子が樹脂マトリックス中に均一に分散され、優れた透明性と高い屈折率とを有する有機無機複合組成物、並びに、これを用いたレンズ基材等の光学部品を提供することにある。
[2] 前記官能基が、
[3] 前記熱可塑性樹脂が縮合系ポリマーであることを特徴とする[1]または[2]に記載の有機無機複合組成物。
[4] 前記熱可塑性樹脂が、下記一般式(2)で表される化合物と、該化合物と縮合反応が可能な反応性基を1分子中に2つ以上有する化合物とを重合させることにより得られる熱可塑性樹脂であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[5] 前記熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[6] 前記構造単位が下記一般式(3)で表される構造単位であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[7] 前記無機粒子の数平均粒子サイズが1〜15nmであることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[8] 前記無機粒子が屈折率が1.90〜3.00の金属カルコゲナイド粒子であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[9] 前記無機粒子が、ジルコニウム、亜鉛、またはチタンのカルコゲナイドを含有する粒子であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[10] 前記無機粒子を5質量%以上含むことを特徴とする[1]〜[9]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[11] 熱可塑性であることを特徴とする、[1]〜[10]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[13] 波長589nmにおいて厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であり、屈折率が1.65以上であることを特徴とする[12]に記載の成形体。
[14] 最大厚みが0.1mm以上であることを特徴とする[12]または[13]に記載の成形体。
[15] [12]〜[14]のいずれか一項に記載の成形体からなることを特徴とする光学部品。
[16] レンズ基材であることを特徴とする[15]に記載の光学部品。
本発明の有機無機複合組成物は、一般式(1)で表される構造単位を含み、且つ、無機粒子と化学結合を形成しうる官能基をポリマー鎖の非末端に有する熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする。
一般式(1)で表される部分構造を有する樹脂は、上記部分構造を有するジオール化合物および/またはジチオール化合物を原料モノマーの1種に用い、これらのジオール化合物および/またはジチオ−ル化合物と縮合反応が可能な反応性基を1分子中に2つ以上有する化合物を共重合モノマーとして用いた重合体であることが好ましい。
MD−2 プロピレングリコール
MD−3 1,3−ブタンオール
MD−4 テトラメチレングリコール
MD−5 ヘキサンジオール
MD−6 ジエチレングリコール
MD−7 1,4−シクロヘキサンジオール
MD−8 1,4−シクロヘキサンジメタノール
MD−9 ビフェノール
MD−25 MD−11のエチレンオキサイド付加体
MD−26 MD−12のエチレンオキサイド付加体
MD−27 MD−13のエチレンオキサイド付加体
MD−28 MD−14のエチレンオキサイド付加体
MD−29 MD−15のエチレンオキサイド付加体
MD−30 MD−16のエチレンオキサイド付加体
MD−31 MD−17のエチレンオキサイド付加体
MD−32 MD−18のエチレンオキサイド付加体
上記のジオール化合物および/またはジチオ−ル化合物と縮合反応が可能な反応性基を1分子中に2つ以上有する化合物について説明する。
ジオールおよび/またはジチオールと縮合反応が可能な反応性基としては、活性化アシル基(アシルクロライド、アシルブロマイド等のアシルハライド、フェノキシカルボニル基、アセトキシカルボニル基等の活性エステル基)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル基等)、活性スルホニル基(たとえばスルホニルクロライド、フェニルスルホネート等)、ハライド(例えばフルオライド、アイオダイド等)、ホスゲン及びその誘導体、イソシアナート基、イソチオシアナート基、ビニル基、アクリロイル基等の不飽和基、エポキシ基、エピスルフィド基等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂には、無機粒子と化学結合を形成しうる官能基がポリマー鎖の非末端に導入されている。ポリマー鎖の非末端に導入された官能基とは、具体的には、ポリマー鎖の側鎖に結合した官能基や、ポリマー鎖の末端以外でポリマー鎖を構成する原子に直接結合した官能基をいう。典型的な例としては、ポリマーを構成する繰返し単位に結合している官能基である。
アルキル基は、炭素数1〜30が好ましく、より好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基を挙げることができる。置換アルキル基には、例えばアラルキル基が含まれる。アラルキル基は、炭素数7〜30が好ましく、より好ましくは炭素数7〜20であり、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基を挙げることができる。アルケニル基は、炭素数2〜30が好ましく、より好ましくは炭素数2〜20であり、例えばビニル基、2−フェニルエテニル基を挙げることができる。アルキニル基は、炭素数2〜20が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10であり、例えばエチニル基、2−フェニルエチニル基を挙げることができる。アリール基は、炭素数6〜30が好ましく、より好ましくは炭素数6〜20であり、例えばフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、1−ナフチル基を挙げることができる。ここでいうアリール基の中には、ヘテロアリール基も含まれる。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の置換基としては、これらのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の他に、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)を挙げることができる。R11、R12、R13、R14として特に好ましいのは水素原子またはアルキル基であり、さらに好ましいのは水素原子である。
R17、R18の好ましい範囲は、R11、R12、R13、R14、R15、R16と同様である。nは、好ましくは3である。
以下に本発明で用いられる好ましい熱可塑性樹脂の例を示すが、本発明で用いることができる樹脂はこれらに限定されるものではない。
以下の表では、ポリエステル系樹脂の具体例を、ジオール成分、ジカルボン酸成分、無機粒子と化学結合を形成しうる官能基を有するモノマーの組合せとして表記している。なお、樹脂中の無機粒子と化学結合を形成しうる官能基は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム等のカチオンと塩を形成していてもよい。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、耐熱性と成型性の観点からガラス転移温度は80℃〜280℃であることが好ましく、100℃〜250℃であることがより好ましく、120℃〜230℃であることが特に好ましい。
本発明の有機無機複合材料に用いられる無機微粒子としては特に制限はなく、例えば特開2002−241612号公報、特開2005−298717号、特開2006−70069号各公報等に記載の微粒子を用いることができる。
また本発明に用いられる無機微粒子は上記の平均粒子サイズを満たし、かつ粒子サイズ分布が狭いほど望ましい。このような単分散粒子の定義の仕方はさまざまであるが、例えば特開2006−160992号公報に記載されるような数値規定範囲が、本発明で用いられる微粒子の好ましい粒径分布範囲にも当てはまる。
ここで、上述の数平均粒子サイズとは例えば、X線回折(XRD)装置あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。
例えば、ハロゲン化金属やアルコキシ金属を原料に用い、水を含有する反応系において加水分解することにより、所望の酸化物微粒子を得ることができる。この方法の詳細は、例えば、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス第37巻4603〜4608頁(1998年)、あるいは、ラングミュア第16巻第1号241〜246頁(2000年)等に記載されている。
これらの方法に用いられる溶媒としては、アセトン、2−ブタノン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、アニソール等が例として挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、また複数種を混合して使用してもよい。
本発明においては上記熱可塑性樹脂および無機微粒子以外に均一分散性、成形時の流動性、離型性、耐候性等観点から適宜各種添加剤を配合しても良い。例えば、表面処理剤、可塑化剤、帯電防止剤、分散剤、離型剤等を挙げることができる。また前記熱可塑性樹脂以外に前記官能基を有さない樹脂を添加しても良く、このような樹脂の種類に特に制限はないが、前記熱可塑性樹脂と同様の光学物性、熱物性、分子量を有するものが好ましい。
これら添加剤の配合割合は目的に応じて異なるが、前記無機微粒子および熱可塑性樹脂を足しあわせた量に対して、0〜50質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがよりこのましく、0〜20質量%であることが特に好ましい。
本発明では、後述するように水中またはアルコール溶媒中に分散された無機微粒子を熱可塑性樹脂と混合する際に、有機溶媒への抽出性または置換性を高める目的、熱可塑性樹脂への均一分散性を高める目的、微粒子の吸水性を下げる目的、あるいは耐候性を高める目的など種々目的に応じて、上記熱可塑性樹脂以外の微粒子表面修飾剤を添加しても良い。該表面処理剤の重量平均分子量は50〜50000であることが好ましく、より好ましくは100〜20000、さらに好ましくは100〜10000である。
一般式(2)
A−B
一方、前記Bの化学構造は、相溶性の観点から該樹脂マトリックスの主体である熱可塑性樹脂の化学構造と同一または類似であることが好ましい。本発明では特に高屈折率化の観点から前記熱可塑性樹脂とともにBの化学構造が芳香環を有していることが好ましい。
これらの表面処理剤は1種類を単独で用いてもよく、また複数種を併用しても良い。
これら表面処理剤の添加量の総量は無機微粒子に対して、質量換算で、0.01〜2倍であることが好ましく、0.03〜1倍であることがより好ましく、0.05〜0.5倍であることが特に好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂のガラス転移温度が高い場合、有機無機複合材料の成形が必ずしも容易ではないことがある。このため、本発明の有機無機複合材料の成形温度を下げるために可塑剤を使用してもよい。可塑化剤を添加する場合の添加量は、有機無機複合材料の総量の1〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましく、3〜20質量%であることが特に好ましい。
本発明で使用できる可塑剤は樹脂との相溶性、耐候性、可塑化効果などトータルで考える必要があり、最適な可塑剤は他の材料に依存するため一概には言えないが、屈折率の観点からは芳香環を有するものが好ましく、代表的な例として下記一般式(3)で表される構造を有するものを挙げることができる。
本発明の有機無機複合材料の帯電圧を調節するために、帯電防止剤を添加することができる。本発明の有機無機複合材料では、光学特性改良の目的で添加した無機微粒子自体が別の効果である帯電防止効果にも寄与する場合がある。帯電防止剤を添加する場合には、アニオン性帯電防止剤、カチオン性帯防止剤、ノ二オン性帯電防止剤、両性イオン性帯電防止剤、高分子帯電防止剤、あるいは帯電性微粒子などが挙げられ、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの例としては、特開2007−4131号公報、特開2003−201396号公報に記載された化合物を挙げることができる。
帯電防止剤の添加量はまちまちであるが、全固形分の0.001〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜30質量%であり、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
上記成分以外に、成形性を改良する目的で変性シリコーンオイル等の公知の離型剤を添加したり、耐光性や熱劣化を改良する目的で、ヒンダードフェノール系、アミン系、リン系、チオエーテル系等の公知の劣化防止剤を適宜添加しても良く、これらを配合する場合には有機無機複合材料の全固形分に対して0.1〜5質量%程度が好ましい。
本発明の有機無機複合材料は、熱可塑性樹脂と無機微粒子等の成分を混合することにより製造することができる。
本発明に用いられる無機微粒子は粒子サイズが比較的小さく、表面エネルギーが高いため、固体で単離すると再分散させることが難しい。よって、無機微粒子は溶液中に分散された状態で上記熱可塑性樹脂と混合し安定分散物とすることが好ましい。複合材料の好ましい製造方法としては、(1)無機粒子を上記表面処理剤の存在下にて表面処理し、表面処理された無機微粒子を有機溶媒中に抽出し、抽出した該無機微粒子を前記熱可塑性樹脂と均一混合して無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合材料を製造する方法、(2)無機微粒子と熱可塑性樹脂の両者を均一に分散あるいは溶解できる溶媒を用いて両者を均一混合して無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合材料を製造する方法、が挙げられる。
有機溶媒中に抽出された無機微粒子と熱可塑性樹脂を混合する際に、可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマー等の添加剤を必要に応じて添加しても良い。
上述の本発明の有機無機複合材料を成形することにより、本発明の光学物品を製造することができる。本発明の光学物品は、有機無機複合材料の説明で前記した屈折率や光学特性を示すものが有用である。
また本発明の光学物品としては、最大0.1mm以上の厚みを有する高屈折率の光学物品が特に有用である。好ましくは0.1〜5mmの厚みを有する光学物品への適用であり、特に好ましくは1〜3mmの厚みを有する透明物品への適用である。
これらの厚い成形体は溶液キャスト法での製造では、溶剤が抜けにくく通常容易ではないが、本発明の有機無機複合材料を用いることにより、成形が容易で非球面などの複雑な形状も容易に付与することができ、微粒子の高い屈折率特性を利用しながら良好な透明性を有する光学物品とすることができる。
本発明における「レンズ基材」とは、レンズ機能を発揮することができる単一部材を意味する。レンズ基材の表面や周囲には、レンズの使用環境や用途に応じて膜や部材を設けることができる。例えば、レンズ基材の表面には、保護膜、反射防止膜、ハードコート膜等を形成することができる。また、レンズ基材の周囲を基材保持枠などに嵌入して固定することもできる。ただし、これらの膜や枠などは、本発明でいうレンズ基材に付加される部材であり、本発明でいうレンズ基材そのものとは区別される。
(1)透過型電子顕微鏡(TEM)観察
日立製作所(株)社製「H−9000UHR型透過型電子顕微鏡」(加速電圧200kV、観察時の真空度約7.6×10-9Pa)にて行った。
リガク(株)製「RINT1500」(X線源:銅Kα線、波長1.5418Å)を用いて、23℃で測定した。
無機微粒子と樹脂を含む成形体(レンズ基材)を切削し、断面をTEMで観察して、無機微粒子が樹脂中に均一に分散しているか否かを以下の基準により評価した。
○ 樹脂中に無機微粒子が均一に分散している
× 微粒子が凝集して成形体が白濁している
測定する材料を成形して厚さ1.0mmの基板を作製し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置「UV−3100」((株)島津製作所製)で測定した。
アッベ屈折計(アタゴ社製「DR−M4」)にて、波長589nmの光について行った。
DSCの測定パンに樹脂を20mg入れ、これを窒素気流中で10℃/分で30℃から120℃まで昇温して15分保持した後、30℃まで−20℃/分で冷却した。この後、再度30℃から250℃まで昇温し、ベースラインが低温側から偏奇し始める温度を樹脂のガラス転移温度とした。
重量平均分子量は、「TSKgel GMHxL」、「TSKgel G4000HxL」、「TSKgel G2000HxL」(何れも、東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒テトラハイドロフラン、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
平沼産業製「COM−1600ST」にて、樹脂のTHF/水溶液を、アルコール性の0.1mol/L水酸化カリウム溶液で滴定することにより測定した。
50g/Lの濃度のオキシ塩化ジルコニウム溶液を48%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、水和ジルコニウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過した後、イオン交換水で洗浄し、水和ジルコニウムケーキを得た。このケーキを、イオン交換水で溶媒として酸化ジルコニウム換算で濃度15質量%に調整して、オートクレーブに入れ、圧力150気圧、150℃で24時間水熱処理して酸化ジルコニウム微粒子懸濁液を得た。TEMより数平均粒子サイズが5nmの酸化ジルコニウム微粒子の生成を確認した。微粒子の屈折率は2.1であった。
前記(1)で調製した酸化ジルコニウム微粒子懸濁液(濃度10質量%)500gに、500gのN,N’−ジメチルアセトアミドを加え約500g以下になるまで減圧濃縮して溶媒置換を行った後、N,N’−ジメチルアセトアミドの添加で濃度調整をすることによって10質量%の酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散液を得た。
(1)熱可塑性樹脂(PA−1)の合成
MA−11(東京化成製)30.7g、MD−1(東京化成製)3.0g、MB−1のジカルボン酸ジメチルエステル(東京化成製)18.8g、MC−1のジカルボン酸ジメチルエステルスルホン酸ナトリウム塩(東京化成製)0.9gを特開平6−49186号公報の実施例1に記載の方法に準じて溶融重合し、熱可塑性樹脂PA−1を得た。
MA−11(東京化成製)21.9g、MD−1(東京化成製)4.7g、MB−4のジカルボン酸ジメチルエステル(東京化成製)23.2g、MC−1のジカルボン酸ジメチルエステルスルホン酸ナトリウム塩(東京化成製)1.5gを用いる以外は上記(1)の合成法と同様にして、熱可塑性樹脂PA−2を得た。
特開2004−217647号公報の実施例2に記載の方法に準じて、MC−14のナトリウム塩を合成した。さらに特開平5−222175号公報の実施例3の合成例において、ビスフェノールAジアセテートを、MB−1/MB−7/MD−1/MA−1/MC−14=70/30/70/25/5(モル比)となるようにMC−1とMC−14のナトリウム塩に置き換えることにより、熱可塑性樹脂P−28を合成した。
MA−3(本州化学製)35.2g、MD−10(東京化成製)6.8g、MB−1の酸塩化物(東京化成製)9.9g、MB−2の酸塩化物(東京化成製)9.9g、5−ヒドロキシイソフタル酸ジメチル(東京化成製)とプロパンスルトン(東京化成製)から公知の方法で合成したMC−2のジカルボン酸ジメチルエステルスルホン酸ナトリウム塩を0.7g用い、高分子学会編、新高分子実験学第3巻、高分子の合成・反応(2)(共立出版)、1996年)89項〜91項に記載の界面重縮合の方法に準じて重合し、熱可塑性樹脂PA−29を得た。
Chemistry-A European Journal, vol.6, issue 1, p47-53 に記載の方法でMC−16のメチルエステル体を合成した。公知の方法に従い、MB−8(東京化成製)の酸塩化物を得た。MA−27(東京化成製)12.7g、MD−10(東京化成製)13.7g、MB−8の酸塩化物29.2g、MC−16のメチルエステル体0.5gを、上記(4)の合成法と同様の方法で重合した。得られた樹脂をジクロロメタンに溶解し、過剰量のトリメチルシリルブロマイドで処理することにより、ホスホン酸ジメチルエステルを脱保護し、熱可塑性樹脂PA−36を得た。
(1)実施例1
前記酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散液に、樹脂(PA−1)および4−n−プロピル安息香酸(C3BA)を、質量比がPA−1/ZrO2固形分/C3BA=52/40/8となるように添加して均一に攪拌混合した後、加熱減圧下ジメチルアセトアミド溶媒を濃縮した。該濃縮残渣をSUS製の金型で加熱圧縮成形し(温度;180℃、圧力;13.7MPa、時間2分)、厚さ1mmの透明成形体(レンズ基材)を得た。
上記実施例1と同様にして、表1に示す構成成分からなる有機無機複合組成物を調製して、透明成形体(レンズ基材)を得た。但し、実施例4、5は、温度;250℃、圧力;13.7MPa、時間2分で加熱圧縮成形した。
特開2003−73559号公報の合成例9に記載される方法に従い、酸化チタン微粒子を合成した。X線解析(XRD)と透過型電子顕微鏡(TEM)により、アナタ―ス型酸化チタン微粒子(数平均粒子サイズは約5nm)の生成を確認した。前記酸化チタン微粒子を1−ブタノールに懸濁させ、超音波処理を30分行った後、100℃にて30分加熱した。得られた白濁液を、酸化チタンの固形部分が全固形分の20質量%となる様に、熱可塑性樹脂(PA−1)が10質量%で溶解したクロロホルム溶液に撹拌しながら常温で5分かけて滴下した。得られた混合液から溶媒を留去することにより得られた濃縮残渣を実施例1と同様にして加熱圧縮成形し(温度;180℃、圧力;13.7MPa、時間2分)、厚さ1mmの透明成形体(レンズ基材)を得た。
上記実施例7と同様にして、表1に示す構成成分からなる有機無機複合組成物を調製して、透明成形体(レンズ基材)を得た。但し、実施例10、11は、温度;250℃、圧力;13.7MPa、時間2分で加熱圧縮成形した。
実施例1における熱可塑性樹脂(PA−1)をフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂であるOKP−4(大阪ガスケミカル(株)製、特開2008−1820号公報記載の樹脂)とする以外は、実施例1と同様にして比較例1の成形体を得た。
実施例7における熱可塑性樹脂(PA−1)をフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂であるOKP−4(大阪ガスケミカル(株)製、特開2008−1820号公報記載の樹脂)とする以外は、実施例7と同様にして比較例2の成形体を得た。
実施例1〜11と比較例1、2で調製した各成形体(レンズ基材)を切削し、断面をTEMで観察して、無機微粒子が樹脂中に均一に分散しているか否かを確認した。さらに光線透過率測定と屈折率測定を行った。これらの結果を以下の表に示す。
また、本発明の有機無機複合組成物を用いれば、凹レンズ、凸レンズ等の金型形状に合わせて生産性よく正確にレンズ形状を形成できることを確認した。
Claims (19)
- 下記一般式(1)で表される構造単位と、無機粒子と化学結合を形成しうる官能基を有するモノマーであって、下記のMC−1〜MC−17で表されるモノマー由来の構造単位を含む熱可塑性樹脂と、無機粒子を含む有機無機複合組成物であって、
前記無機粒子と化学結合を形成しうる官能基は前記熱可塑性樹脂のポリマー鎖の非末端に導入されており、
前記ポリマー鎖1本あたりの平均官能基数は1.6〜20個であり、
波長589nmにおいて厚さ1mm換算の光線透過率が79%以上である有機無機複合組成物。
- 前記熱可塑性樹脂が縮合系ポリマーであることを特徴とする請求項1または2に記載の有機無機複合組成物。
- 前記熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
- 前記無機粒子の数平均粒子サイズが1〜15nmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
- 前記無機粒子が屈折率が1.90〜3.00の金属カルコゲナイド粒子であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
- 前記無機粒子が、ジルコニウム、亜鉛、またはチタンのカルコゲナイドを含有する粒子であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
- 前記無機粒子を5質量%以上含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
- 熱可塑性であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
- 請求項1〜14のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物を成形した成形体。
- 屈折率が1.65以上であることを特徴とする請求項15に記載の成形体。
- 最大厚みが0.1mm以上であることを特徴とする請求項15または16に記載の成形体。
- 請求項15〜17のいずれか一項に記載の成形体からなることを特徴とする光学部品。
- レンズ基材であることを特徴とする請求項18に記載の光学部品。
Priority Applications (1)
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