JP5398606B2 - インク組成物およびインクセット、並びに画像形成方法 - Google Patents
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Description
このような紫外線硬化性の水系インクに適用可能な水溶性の重合性化合物として、長鎖のアルキレンオキシ基を含む重合性化合物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
<1> 下記一般式(1)で表される重合性化合物と、重合開始剤と、水と、を含む、水性インク組成物。
<3> 更に顔料を含む前記<1>又は<2>に記載の水性インク組成物。
<4> 前記重合開始剤は光重合開始剤である前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
<6> 前記処理液は、酸性化合物、多価金属塩、およびカチオン性ポリマーから選ばれる少なくとも1種を含む前記<5>に記載のインクセット。
<8> 前記記録媒体は塗工紙である前記<7>に記載の画像形成方法。
<9> 前記インク付与工程は、前記処理液付与工程において処理液が付与された記録媒体上に、前記水性インク組成物を付与する前記<7>または<8>に記載の画像形成方法。
<10> 前記インク付与工程は、インクジェット法により前記水性インク組成物を付与する前記<7>〜<9>のいずれか1項に記載の画像形成方法。
上記の各色調のインク組成物は、着色剤(例えば顔料)の色相を所望により変更することにより調製できる。
本発明の水性インク組成物は、下記一般式(1)で表される水溶性の重合性化合物(以下、「特定重合性化合物」ということがある)の少なくとも1種を含む。
尚、ここでいう水溶性とは前記特定重合性化合物が、25℃において蒸留水に2質量%以上溶解することを意味するが、5質量%以上溶解することが好ましく、10質量%以上溶解することがより好ましく、20質量%以上溶解することがさらに好ましく、任意の割合で水と均一に混合することが特に好ましい。
一般式(X1)〜一般式(X3)における2つまたは3つのZは、同一であっても互いに異なっていてもよい。
本発明においては、硬化感度と水溶性の観点から、前記Zは炭素数2〜3のアルキレン基、または、1つもしくは2つの炭素数2〜3のアルキレンオキシ基および炭素数2〜3のアルキレン基からなる2価の連結基であることが好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基、エチレンオキシエチレン基、または、ジエチレンオキシエチレン基であることがより好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基であることがさらに好ましい。
本発明におけるR1としては、硬化感度と水溶性の観点から、メチル基、エチル基、n−プロピル基、またはi−プロピル基であることが好ましく、メチル基、またはエチル基であることがより好ましい。
また、該アルキル基の炭素数としては、1〜12が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4が特に好ましい。
本発明におけるR2としては、重合反応性の点から、水素原子、またはメチル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
前記R3におけるアルキル基としては、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。R3で表されるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、およびi−プロピル基等が挙げられる。本発明においては硬化感度の観点から、メチル基またはエチル基であることが好ましい。
また前記R3におけるアリール基としては、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。R3で表されるアリール基の具体例としては、フェニル基、およびナフチル基等が挙げられる。本発明においては硬化感度の観点から、フェニル基であることが好ましい。
中でも本発明における特定重合性化合物は、硬化感度の観点から、構造式(A1)で表される(メタ)アクリルアミド基、構造式(A2)で表されるビニルスルホンアミド基、構造式(A3)で表されるマレイミド基からなる群から選択される2つまたは3つの重合性官能基を有することが好ましく、構造式(A1)で表される(メタ)アクリルアミド基を2つまたは3つ有することがさらに好ましい。
以下に、本発明における特定重合性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
その他の重合性化合物としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であって、前記特定重合性化合物以外の化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。
またその他の重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。
その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられる。
水溶性のエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の例としては、アクリル酸およびメタクリル酸、ならびに、そのエステル誘導体、アミド誘導体およびその塩から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アクリル酸のモノエステルおよびメタクリル酸のモノエステル(以下、「モノアクリレート」ということがある)、アクリル酸とポリオール化合物とのエステルおよびメタクリル酸とポリオール化合物とのエステル(以下、「多官能アクリレートモノマー」または「多官能アクリレートオリゴマー」ということがある)、アクリルアミドおよびメタクリルアミドならびにその誘導体が挙げられる。
前記水溶性のエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物が、ポリ(エチレンオキシ)鎖、ポリ(プロピレンオキシ)鎖を有する場合、エチレンオキシ単位、およびプロピレンオキシ単位のユニットの数は1〜10の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜5の範囲である。ユニットの数が10以下であることで硬化した時の皮膜の硬度や記録媒体に対する密着性等が向上する。
また前記特定重合性化合物に対するその他の重合性化合物の含有比率としては、固形分換算で0〜80質量%の範囲であることが好ましく、0〜70質量%の範囲であることがより好ましく、0〜60質量%の範囲であることがさらに好ましい。
本発明の水性インク組成物は、重合開始剤の少なくとも1種を含有する。前記重合開始剤としては、公知の重合開始剤を特に制限なく使用することができる。本発明における重合開始剤としては、光重合開始剤を使用することが好ましい。
本発明で使用され得る好ましい光重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びに(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。
重合開始剤の具体例としては、例えば、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)の第65〜148頁に記載されている重合開始剤などを挙げることができる。
本発明のインク組成物における重合開始剤の含有量は、インク組成物の全質量に対して固形分換算で0.1〜30質量%の範囲であることが好ましく、0.5〜20質量%の範囲であることがより好ましく、1.0〜15質量%の範囲であることがさらに好ましい。
また、本発明のインク組成物における重合開始剤の含有量は、前記重合性化合物100質量部に対して、好ましくは0.01〜35質量部、より好ましくは0.1〜30質量部、さらに好ましくは0.5〜30質量部の範囲で含有されるのが適当である。なお、ここで重合開始剤の含有量とは、インク組成物における重合開始剤の総含有量を意味し、重合性化合物の含有量とは、インク組成物における重合性化合物(特定重合性化合物および必要に応じて含まれるその他の重合性化合物)の総含有量を意味する。
本発明におけるインク組成物は、着色剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。本発明における着色剤としては、公知の染料、顔料等を特に制限なく用いることができる。中でも、インク着色性の観点から、水に殆ど不溶であるか、又は難溶である着色剤であることが好ましい。具体的には例えば、各種顔料、分散染料、油溶性染料、J会合体を形成する色素等を挙げることができ、更に、耐光性の観点から顔料であることがより好ましい。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
染料を保持した担体(着色剤)はそのまま、あるいは必要に応じて分散剤を併用して用いることができる。分散剤としては後述する分散剤を好適に用いることができる。
着色剤(特に顔料)の水性インク組成物中における含有量としては、色濃度、粒状性、インク安定性、吐出信頼性の観点から、インク組成物の全質量に対して、1〜25質量%となる量が好ましく、5〜20質量%となる量がより好ましい。
本発明における着色剤が顔料である場合、分散剤によって水系溶媒に分散された着色粒子を構成していることが好ましい。前記分散剤としては、ポリマー分散剤でも低分子の界面活性剤型分散剤でもよい。また、ポリマー分散剤としては水溶性ポリマー分散剤でも水不溶性ポリマー分散剤の何れでもよい。
本発明においては、分散安定性とインクジェット方式に適用した場合の吐出性の観点から、水不溶性ポリマー分散剤であることが好ましい。
本発明における水不溶性ポリマー分散剤(以下、単に「分散剤」ということがある)としては、水不溶性のポリマーであって、顔料を分散可能であれば特に制限は無く、従来公知の水不溶性ポリマー分散剤を用いることができる。水不溶性ポリマー分散剤は、例えば、疎水性の構成単位と親水性の構成単位の両方を含んで構成することができる。
また前記親水性構成単位を構成するモノマーとしては、親水性基を含むモノマーであれば特に制限はない。前記親水性基としては、ノニオン性基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等を挙げることができる。尚、ノニオン性基としては、水酸基、(窒素原子が無置換の)アミド基、アルキレンオキシド重合体(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等)に由来する基、糖アルコールに由来する基等が挙げられる。
本発明における親水性構成単位は、分散安定性の観点から、少なくともカルボキシル基を含むことが好ましく、ノニオン性基とカルボキシル基を共に含む形態であることもまた好ましい。
ここで「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
前記着色粒子中の分散剤の含有量が、上記範囲であることにより、顔料が適量の分散剤で被覆され、粒径が小さく経時安定に優れた着色粒子を得やすい傾向となり好ましい。
工程(1):顔料、分散剤、および該分散剤を溶解または分散する有機溶剤と共に、塩基性物質を含み、水を主成分とする溶液を含有する混合物を分散処理する工程
工程(2):分散処理後の混合物から、前記有機溶剤の少なくとも一部を除去する工程
また、必要に応じて、縦型もしくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を用い、0.01〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズを用いた微分散処理を行うことにより得ることができる。
また、着色剤(または着色粒子)の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ着色剤を、2種以上混合して使用してもよい。
尚、着色剤(または着色粒子)の体積平均粒径および粒径分布は、例えば、光散乱法を用いて測定することができる。
本発明において、上記着色剤(または着色粒子)は1種単独で、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明におけるインク組成物は水系媒体を含む。水系媒体は少なくとも水を含み、必要に応じて有機溶剤の少なくとも1種を含んで構成される。
本発明における水としてはは、イオン交換水、蒸留水などのイオン性不純物を含まない水を用いることが好ましい。また、インク組成物における水の含有率は、目的に応じて適宜選択されるが、通常、10〜95質量%であることが好ましく、30〜90質量%であることがより好ましい。
本発明における水系媒体は水溶性有機溶剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。水溶性有機溶剤を含有することで、乾燥防止、湿潤あるいは浸透促進の効果を得ることができる。乾燥防止には、噴射ノズルのインク吐出口においてインクが付着乾燥して凝集体ができ、目詰まりするのを防止する乾燥防止剤として用いられ、乾燥防止や湿潤には、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。また水溶性有機溶剤は、紙へのインク浸透性を高める浸透促進剤として用いることができる。
以下、前記構造式(1)で表される化合物の例を示す。但し、本発明はこれに限定されるものではない。尚、例示化合物中、「POP(3)グリセリルエーテル」との記載は、グリセリンにプロピレンオキシ基が合計で3つ結合したグリセリルエーテルであることを意味し、他の記載についても同様である。
・n−C4H9O(AO)4−H(AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:1)
・n−C4H9O(AO)10−H AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:1)
・HO(AO)40−H(AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:3)
・HO(AO)55−H(AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=5:6)
・HO(PO)3−H
・HO(PO)7−H
・1,2−ヘキサンジオール
また水溶性有機溶剤のインク組成物中における含有量としては、1質量%以上60質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以上40質量%以下である。
本発明におけるインク組成物は、樹脂粒子の少なくとも1種を含有することが好ましい。樹脂粒子を含むことにより、インク組成物の記録媒体への定着性、画像の耐擦性、耐ブロッキング性を効果的に向上させることができる。
また樹脂粒子は、既述の処理液又はこれを乾燥させた記録媒体上の領域と接触した際に凝集、又は分散不安定化してインクを増粘させることにより、インク組成物、すなわち画像を固定化させる機能を有することが好ましい。このような樹脂粒子は、水および有機溶剤の少なくとも1種に分散されているものが好ましい。
また樹脂粒子はラテックスの形態で用いることもできる。
また樹脂粒子の体積平均粒径は、10nm〜1μmの範囲が好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましく、20〜100nmの範囲が更に好ましく、20〜50nmの範囲が特に好ましい。
樹脂粒子のガラス転移温度Tgは30℃以上であることが好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。
また、樹脂微子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つ樹脂粒子を、2種以上混合して使用してもよい
本発明におけるインク組成物は、必要に応じて、界面活性剤の少なくとも1種を含むことができる。界面活性剤は、表面張力調整剤として用いることができる。
表面張力調整剤として、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤のいずれも使用することができる。更に、上記の分散剤(高分子分散剤)を界面活性剤としても用いてもよい。
本発明においては、インクの打滴干渉抑制の観点から、ノニオン性界面活性剤が好ましく、中でもアセチレングリコール誘導体がより好ましい。
界面活性剤のインク組成物中における界面活性剤の具体的な量としては、前記表面張力となる範囲が好ましいこと以外は特に制限はなく、1質量%以上が好ましく、より好ましくは1〜10質量%であり、更に好ましくは1〜3質量%である。
インク組成物は、上記の成分に加え、必要に応じて更にその他成分として各種の添加剤を含むことができる。
前記各種の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤、固体湿潤剤等の公知の添加剤が挙げられる。
防黴剤は、インク組成物中の含有量が0.02〜1.00質量%である範囲とするのが好ましい。
本発明におけるインク組成物の表面張力(25℃)としては、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上40mN/m以下である。
表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学株式会社製)を用い、インク組成物を25℃の条件下で測定される。
粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、インク組成物を25℃の条件下で測定される。
本発明のインクセットは、既述の水性インク組成物の少なくとも1種と、前記水性インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集剤を含有する処理液の少なくとも1種と、を含む。
前記特定重合性化合物および重合開始剤を含むインク組成物と、凝集剤を含む処理液とを用いて画像を形成することにより、良好な画像品質で、硬化感度が高く、耐ブロッキング性に優れた画像が形成される。
本発明のインクセットは、前記インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集剤の少なくとも1種を含み、必要に応じてその他の成分を含んで構成される。
処理液が凝集剤を含むことで、良好な画像品質で耐ブロッキング性に優れた画像を形成することができる。
本発明における処理液は、インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含んでなる。本発明における凝集剤は、記録媒体上においてインク組成物と接触することにより、インク組成物を凝集(固定化)可能なものであり、固定化剤として機能する。例えば、処理液を記録媒体(好ましくは、塗工紙)に付与することにより記録媒体上に凝集剤が存在している状態で、インク組成物がさらに着滴して凝集剤に接触することにより、インク組成物中の成分が凝集し、インク組成物中の成分を記録媒体上に固定化することができる。
前記インク組成物中の成分を固定化させる成分としては、酸性化合物、多価金属塩、カチオン性ポリマー等を挙げることができる。これらは1種単独でも、2種以上を併用することもできる。
酸性化合物としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、およびこれらの化合物の誘導体、ならびにこれらの塩等が好適に挙げられる。
酸性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに酸性化合物の含有量は、前記処理液の全質量に対し、15質量%〜35質量%であることが好ましく、20質量%〜30質量%であることがより好ましい。
0.5g/m2〜4.0g/m2であることが好ましく、0.9g/m2〜3.75g/m2であることがより好ましい
本発明における多価金属塩は、アルカリ土類金属、亜鉛族金属等の2価以上の金属を含む化合物であり、Ca2+、Cu2+、Al3+等の金属イオンの酢酸塩、酸化物等を挙げることができる。
本発明において、前記多価金属塩を含む処理液が付与された記録媒体(好ましくは、塗工紙)にインク組成物を吐出したときのインク組成物の凝集反応は、インク組成物中に分散した粒子、例えば、顔料に代表される着色剤や、樹脂粒子等の粒子の分散安定性を減じ、インク組成物全体の粘度を上昇させることで達成することができる。例えば、インク組成物中の顔料や、樹脂粒子などの粒子がカルボキシル基等の弱酸性の官能基を有するとき、当該粒子は前記弱酸性の官能基の働きにより分散安定化しているが、当該粒子の表面電荷を、多価金属塩と相互作用させることにより減じ、分散安定性を低下することができる。したがって、処理液に含まれる固定化剤としての多価金属塩は、凝集反応の観点で、価数が2価以上、すなわち多価であることが必要であり、凝集反応性の観点で、3価以上の多価金属イオンからなる多価金属塩であることが好ましい。
塩とは、上記のような多価金属イオンと、これらのイオンに結合する陰イオンとから構成される金属塩のことであるが、溶媒に可溶なものであることが好ましい。ここで、前記溶媒とは、多価金属塩とともに処理液を構成する媒質であり、例えば、水や後述する有機溶剤が挙げられる。
多価金属イオンと陰イオンとは、それぞれ単独種または複数種を用いて多価金属イオンと陰イオンとの塩を形成することができる。
また、陰イオンとしては、溶解性などの観点から、NO3 −が特に好ましい。
前記多価金属塩は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
多価金属塩の含有量は、前記処理液の全質量に対し、15質量%〜35質量%であることが好ましく、20質量%〜30質量%であることがより好ましい。
0.5g/m2〜4.0g/m2であることが好ましく、0.9g/m2〜3.75g/m2であることがより好ましい
カチオン性ポリマーとしては、ポリ(ビニルピリジン)塩、ポリアルキルアミノエチルアクリレート、ポリアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリエチレンイミン、ポリビグアニド、及びポリグアニドから選ばれる少なくとも1種のカチオン性ポリマーである。
カチオン性ポリマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記カチオン性ポリマーの中でも、凝集速度の観点で有利な、ポリグアニド(好ましくは、ポリ(ヘキサメチレングアニジン)アセテート、ポリモノグアニド、ポリメリックビグアニド)、ポリエチレンイミン、ポリ(ビニルピリジン)が好ましい。
カチオン性ポリマーの塗工紙への付与量としては、インク組成物を安定化させるに足る量であれば特に制限はないが、インク組成物を固定化し易いとの観点から、0.5g/m2〜4.0g/m2であることが好ましく、0.9g/m2〜3.75g/m2であることがより好ましい。
本発明の画像形成方法は、前記インクセットに含まれる処理液を、記録媒体上に付与する処理液付与工程と、前記インクセットに含まれるインク組成物を、記録媒体上に付与して画像を形成するインク付与工程と、を少なくとも含み、必要に応じてその他の工程をさらに含んで構成される。
本発明の画像形成方法に用いる記録媒体には、特に制限はないが、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。セルロースを主体とする一般印刷用紙は、水性インクを用いた一般のインクジェット法による画像記録においては比較的インクの吸収、乾燥が遅く、打滴後に色材移動が起こりやすく、画像品質が低下しやすいが、本発明のインクジェット記録方法によると、色材移動を抑制して色濃度、色相に優れた高品位の画像の記録が可能である。
処理液付与工程では、前記インクセットに含まれる凝集剤と酸発生剤を含む処理液が記録媒体上に付与される。処理液の記録媒体への付与は、公知の液体付与方法を特に制限なく用いることができ、スプレー塗布、塗布ローラー等による塗布、インクジェット方式による付与、浸漬などの任意の方法を選択することができる。
本発明におけるインク付与工程では、前記インクセットに含まれる着色剤、重合性化合物、開始剤、および水系媒体を含むインク組成物が記録媒体上に付与される。インク組成物の付与方法としては、所望の画像様にインク組成物を付与可能な方法であれば、特に制限はなく公知のインク付与方法を用いることができる。例えば、インクジェット方式、謄写方式、捺転方式等の手段により、記録媒体上にインク組成物を付与する方法を挙げることができる。中でも、記録装置のコンパクト化と高速記録性の観点から、インク組成物をインクジェット方式によって付与する工程であることが好ましい。
インクジェット方式による画像形成では、エネルギーを供与することにより、記録媒体上にインク組成物を吐出し、着色画像を形成する。なお、本発明に好ましいインクジェット記録方法として、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載の方法が適用できる。
また、インクジェット方式で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。さらに前記インクジェット方式により記録を行う際に使用するインクノズル等についても特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
尚、前記インクジェット方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
本発明の画像形成方法は、記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する工程を含むことが好ましい。活性エネルギー線を照射することでインク組成物に含まれる重合性化合物が重合して、着色剤を含む硬化膜を形成する。これにより画像の耐擦性、耐ブロッキング性がより効果的に向上する。
さらに、この活性エネルギー線照射の際、処理液中に含まれる酸発生剤から供給される酸により、インク組成物がさらに凝集(固定化)し、画像部品質(耐擦性・耐ブロッキング性等)が向上する。
活性エネルギー線の出力としては、5000mJ/cm2以下であることが好ましく、10〜4000mJ/cm2であることがより好ましく、20〜3000mJ/cm2であることがさらに好ましい。
また、発光ダイオード(LED)およびレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LEDおよび紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。
本発明で特に好ましい活性エネルギー線源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
本発明の画像形成方法においては、必要に応じて、記録媒体上に付与されたインク組成物中のインク溶媒(例えば、水、水溶性有機溶剤等)を乾燥除去するインク乾燥工程を備えていてもよい。インク乾燥工程は、インク溶媒の少なくとも一部を除去できれば特に制限はなく、通常用いられる方法を適用することができる。
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加えて窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、及びメチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温して4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥し、ポリマー分散剤P−1を96g得た。
得られた樹脂の組成は、1H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44,600であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)に記載の方法により酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
−樹脂被覆シアン顔料分散物−
ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブルーA220、大日精化(株)製)10部と、上記ポリマー分散剤P−1を5部と、メチルエチルケトン42部と、1mol/L NaOH水溶液5.5部と、イオン交換水87.2部とを混合し、ビーズミルにより0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去することにより、顔料濃度が10.2質量%の樹脂被覆シアン顔料の分散物(着色粒子)を得た。
上記樹脂被覆シアン顔料分散物の調製において、顔料として用いたフタロシアニンブルーA220の代わりに、Chromophthal Jet Magenta DMQ(ピグメント・レッド122、チバ・ジャパン社製)を用いた以外は上記と同様にして樹脂被覆マゼンタ顔料の分散物(着色粒子)を得た。
上記樹脂被覆シアン顔料分散物の調製において、顔料として用いたフタロシアニンブルーA220の代わりに、Irgalite Yellow GS(ピグメント・イエロー74、チバ・ジャパン社製)を用いた以外は上記と同様にして樹脂被覆イエロー顔料の分散物(着色粒子)を得た。
上記樹脂被覆シアン顔料分散物の調製において、顔料として用いたフタロシアニンブルーA220の代わりに、顔料分散体CAB−O−JETTM 200(カーボンブラック、CABOT社製)を用いた以外は上記と同様にして樹脂被覆ブラック顔料の分散物(着色粒子)を得た。
−重合性化合物3の合成−
攪拌子を備えた1Lの三口フラスコにN,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン50.0g(344mmol)、水酸化ナトリウム55.0g(1.4mol)、水300mL、アセトニトリル450mLを加えて、氷浴で冷却しながら、アクリル酸クロリド65.6g(725mmol)を滴下した。滴下が終了したら室温へ昇温し、さらに6時間攪拌した。次に、得られた反応液からアセトニトリルを減圧下留去し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過し、酢酸エチルを減圧下留去することにより、目的の重合性化合物3を25.4g(100mmol、収率29%)得た。
攪拌子を備えた1Lの三口フラスコにトリス(2−アミノエチル)アミン50.0g(342mmol)、水酸化ナトリウム68.0g(1.7mol)、水300mL、アセトニトリル450mLを加えて、氷浴で冷却しながら、アクリル酸クロリド95.9g(1.1mol)を滴下した。滴下が終了したら室温へ昇温し、さらに6時間攪拌した。次に、得られた反応液からアセトニトリルを減圧下留去し、水層をイソブチルアルコールで3回抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過し、イソブチルアルコールを減圧下留去することにより、目的の重合性化合物4を42.2g(137mmol、収率40%)得た。
攪拌子を備えた1Lの三口フラスコに1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン50.0g(250mmol)、水酸化ナトリウム40.0g(1.0mol)、水300mL、アセトニトリル450mLを加えて、氷浴で冷却しながら、アクリル酸クロリド47.5g(525mmol)を滴下した。滴下が終了したら室温へ昇温し、さらに6時間攪拌した。次に、得られた反応液からアセトニトリルを減圧下留去し、水層をイソブチルアルコールで3回抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過し、イソブチルアルコールを減圧下留去することにより、目的の重合性化合物5を47.8g(155mmol、収率62%)得た。
攪拌機を備えた1Lの三口フラスコに2−クロロエタンスルホニルクロリド32.6g(200mmol)、塩化メチレン200mLを加え、−78℃でトリエチルアミン20.2g(200mmol)を加えて1時間攪拌し、その後0℃で2時間攪拌した。その反応混合物へN,N−ビス(2−アミノエチル)メチルアミン11.7g(100mmol)、トリエチルアミン20.2g(200mmol)をゆっくり滴下し、室温で3時間攪拌して得られた反応混合物から減圧下塩化メチレンを留去した。次に0.01M塩酸水溶液200mLを加え、食塩をさらに加え、酢酸エチル400mlで4回抽出し、得られた有機層を重曹水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過を行い、減圧下溶媒留去することにより目的の重合性化合物6を19.3g(65mmol、収率65%)得た。
攪拌子を備えた1Lの三口フラスコに1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン54.1g(270mmol)、無水マレイン酸53.0g(540mmol)、酢酸200mLを加えて、130℃で5時間加熱攪拌した。得られた反応混合物を6N炭酸カリウム水溶液500mLへゆっくり注ぎ、食塩を加えてブタノール600mLで3回抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過を行い、減圧下溶媒留去することにより目的の重合性化合物11を51.5g(143mmol、収率53%)得た。
攪拌機を備えた1Lの三口フラスコに1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン54.1g(270mmol)、アセトアルデヒド26.2g(594mmol)、テトラヒドロフラン500mLを加え、室温で5時間攪拌した。その後、アセチルクロリド50.9g(648mmol)、トリエチルアミン70.8g(700mmol)をゆっくり加えて2時間攪拌した。その反応混合物へ重曹水500mLを加えて、酢酸エチル800mlで4回抽出し、得られた有機層を塩化アンモニウム水溶液で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過を行い、減圧下溶媒留去することにより目的の重合性化合物14を33.6g(100mmol、収率37%)得た。
攪拌機を備えた500mLの三口フラスコにN−メチルジエタノールアミン23.8g(200mmol)、アクリロニトリル148.6g(2.8mol)を加え、氷浴で冷却して水酸化カリウム120mgを加えて10時間攪拌した。次に減圧下、過剰のアクリロニトリルを留去した後、塩化メチレン600mLを加えセライトろ過し、塩化メチレン400mLで洗い流した。得られた溶液を重曹水400mLで洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で塩化メチレンを留去することにより、ニトリル組成物44.1g(196mmol、粗収率98%)を得た。
次に、攪拌機を備えた2Lの三口フラスコにニトリル組成物44.1g(196mmol)、テトラヒドロフラン230mLを加えて、窒素下でホウ素−テトラヒドロフラン1M溶液1200mL(1.2mol)を1時間かけて滴下し、滴下終了後、加熱還流下において5時間攪拌した。室温へ冷却した後にメタノール350mL/濃塩酸76mLの混合溶液をゆっくりと滴下して室温で1時間攪拌した後、減圧下で有機溶媒を留去した。得られた溶液へ2N水酸化ナトリウム水溶液580mLを加えて塩化メチレン400mLで6回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下において塩化メチレンを留去することでアミン組成物37.6g(161mmol、粗収率82%)を得た。
次に、攪拌子を備えた1Lの三口フラスコにアミン組成物37.6g(161mmol)、水酸化ナトリウム25.8g(645mmol)、水300mL、アセトニトリル450mLを加えて、氷浴で冷却しながら、アクリル酸クロリド30.6g(338mmol)を滴下した。滴下が終了したら室温へ昇温し、さらに6時間攪拌した。次に、得られた反応液からアセトニトリルを減圧下留去し、水層を酢酸エチルで5回抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過し、酢酸エチルを減圧下留去することにより、目的の重合性化合物15 29.0g(85mmol、収率53%)を得た。
[インクセット1の調製]
以下のようにして、インク処方1のシアンインク(C−1)、マゼンタインク(M−1)、イエローインク(Y−1)、ブラックインク(K−1)、および、処理液1をそれぞれ調製して、これらのインク組成物と処理液1からなるインクセット1を得た。
上記の樹脂被覆シアン顔料の分散物を用い、下記インク処方1となるように、樹脂被覆シアン顔料分散物、イオン交換水、開始剤、重合性化合物、及び界面活性剤を混合し、その後、5μmメンブランフィルタでろ過してインク処方1のシアンインクC−1を調製した。
・樹脂被覆シアン顔料分散物(固形分) ・・・ 6%
・イルガキュア2959(開始剤) ・・・ 3%
・下記重合性化合物1 ・・・ 10%
・オルフィンE1010 ・・・ 1%
(日信化学(株)製;界面活性剤)
・イオン交換水 ・・・ 全体で100%となるように添加。
上記シアンインク(C−1)の調製において、樹脂被覆シアン顔料の分散物の代わりに、樹脂被覆マゼンタ顔料の分散物を用いた以外は上記と同様にして、インク処方1のマゼンタインク(M−1)を調製した。pH値は8.5であった。
上記シアンインク(C−1)の調製において、樹脂被覆シアン顔料の分散物の代わりに、樹脂被覆イエロー顔料の分散物を用いた以外は上記と同様にして、インク処方1のイエローインク(Y−1)を調製した。pH値は8.5であった。
上記シアンインク(C−1)の調製において、樹脂被覆シアン顔料の分散物の代わりに、顔料分散物CAB−O−JETTM200(カーボンブラック分散物、CABOT社製)を用いた以外は上記と同様にして、インク処方1のブラックインク(K−1)を調製した。pH値は8.5であった。
以下の材料を混合して、処理液1を調製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液1のpH(25℃)を測定したところ、1.0であった。
−処理液組成−
・マロン酸 : 25.0%
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル : 5.0%
(水溶性有機溶媒)
・イオン交換水 : 70.0%
実施例1において、重合性化合物の種類を重合性化合物3の代わりに、重合性化合物4、5、15、6、11、14をそれぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして、インク組成物C−2〜C−7、インク組成物M−2〜M−7、インク組成物Y−2〜Y−7、インク組成物K−2〜K−7をそれぞれ調製した。
ここで、インク組成物C−1、M−1、Y−1、K−1、および処理液1からインクセット1を構成したことと同様にして、インク組成物C−2〜C−7、M−2〜M−7、Y−2〜Y−7、K−2〜K−7、および処理液1を用いて、インクセット2〜インクセット7を調製した。
[インクセット8の調製]
以下のようにして、インク処方8のシアンインク(C−8)、マゼンタインク(M−8)、イエローインク(Y−8)、ブラックインク(K−8)、および、処理液1をそれぞれ調製し、これらのインク組成物と処理液1とからなるインクセット8を得た。
上記の樹脂被覆シアン顔料の分散物を用い、下記インク処方8となるように、樹脂被覆シアン顔料分散物、水溶性有機溶剤、イオン交換水、開始剤、重合性化合物、及び界面活性剤を混合し、その後、5μmメンブランフィルタでろ過してインク処方8のシアンインクC−8を調製した。
・樹脂被覆シアン顔料分散物(固形分) ・・・ 6%
・イルガキュア2959(開始剤) ・・・ 3%
・上記重合性化合物3 ・・・ 20%
・オルフィンE1010 ・・・ 1%
(日信化学(株)製;界面活性剤)
・イオン交換水 ・・・ 全体で100%となるように添加。
上記シアンインク(C−8)の調製において、樹脂被覆シアン顔料の分散物の代わりに、樹脂被覆マゼンタ顔料の分散物を用いた以外は上記と同様にして、インク処方8のマゼンタインク(M−8)を調製した。pH値は8.5であった。
上記シアンインク(C−8)の調製において、樹脂被覆シアン顔料の分散物の代わりに、樹脂被覆イエロー顔料の分散物を用いた以外は上記と同様にして、インク処方8のイエローインク(Y−8)を調製した。pH値は8.5であった。
上記シアンインク(C−8)の調製において、樹脂被覆シアン顔料の分散物の代わりに、顔料分散物CABO−JETTM200(カーボンブラック分散物、CABOT社製)を用いた以外は上記と同様にして、インク処方8のブラックインク(K−8)を調製した。pH値は8.5であった。
実施例8において、重合性化合物3の代わりに重合性化合物4、5を用いたこと以外は実施例8と同様にして、インク組成物C−9、C−10、インク組成物M−9、M−10、インク組成物Y−9、Y−10、インク組成物K−9、K−10をそれぞれ調製し、処理液1と合わせてインクセット9、10とした。
以下の材料を混合して、処理液2を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、pH調整後の処理液2のpH(25℃)を測定したところ、4.0であった。
−処理液組成−
・ポリエチレンイミン(カチオン性ポリマー) : 13.0%
・イオン交換水 : 87.0%
以下の材料を混合して、処理液3を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液3のpH(25℃)を測定したところ、4.0であった。
−処理液組成−
・硝酸マグネシウム(多価金属塩) : 15%
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル : 4%
・下記界面活性剤A(10%水溶液) : 1%
・イオン交換水 : 80%
以下の材料を混合して、処理液4を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、pH調整後の処理液4のpH(25℃)を測定したところ、5.0であった。
−処理液組成−
・ポリ(ビニルイミダゾール)(カチオン性ポリマー) : 13.0%
・GP−250(水溶性有機溶媒) : 10%
・下記界面活性剤A(10%水溶液) : 0.2%
・イオン交換水 : 76.8%
実施例1において、重合性化合物1の代わりに、上記比較重合性化合物1を用いたこと以外は実施例1と同様にして、インクセットC1を調製した。
実施例1において、重合性化合物1の代わりに、上記比較重合性化合物2(新中村化学社製、ポリエチレングリコールジアクリレート A−400、n=8)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、インクセットC2を調製した。
実施例8において、重合性化合物1の代わりに、上記比較重合性化合物1を用いたこと以外は実施例8と同様にして、インクセットC3を調製した。
実施例8において、重合性化合物1の代わりに、上記比較重合性化合物2(新中村化学社製、ポリエチレングリコールジアクリレート A−400、n=8)を用いたこと以外は実施例8と同様にして、インクセットC4を調製した。
記録媒体(塗工紙)として、特菱アート(坪量104.7g/m2)を用意して、以下に示すようにして画像を形成し、形成された画像について以下の評価を行なった。
このとき、ライン画像は、1200dpiの1ドット幅のライン、2ドット幅のライン、4ドット幅のラインをシングルパスで主走査方向に吐出することによりライン画像を形成した。
またベタ画像は、記録媒体をA5サイズにカットしたサンプルの全面にインク組成物を吐出することによりベタ画像を形成した。なお、記録する際の諸条件は下記の通りである。
記録媒体の全面に、アニロックスローラー(線数100〜300/インチ)で塗布量が制御されたロールコーターにて付与量が、1.4g/m2となるように処理液を塗布した。
次いで、下記条件にて処理液が塗布された記録媒体について乾燥処理及び浸透処理を施した。
・風速:10m/s
・温度:記録媒体の記録面側の表面温度が60℃となるように、記録媒体の記録面の反対側(背面側)から接触型平面ヒーターで加熱した。
その後、処理液が塗布された記録媒体の塗布面に、下記条件にてインク組成物をインクジェット方式で吐出し、ライン画像、ベタ画像をそれぞれ形成した。
・ヘッド:1,200dpi/20inch幅のピエゾフルラインヘッドを4色分配置
・吐出液滴量:2.0pL
・駆動周波数:30kHz
次いで、インク組成物が付与された記録媒体を下記条件で乾燥した。
・乾燥方法:送風乾燥
・風速:15m/s
・温度:記録媒体の記録面側の表面温度が60℃となるように、記録媒体の記録面の反対側(背面側)から接触型平面ヒータで加熱した。
次に、高圧水銀ランプ(出力120W/cm2)を用いて、記録画像に750mJ/cm2のエネルギーとなる条件で、活性エネルギー線としての紫外線を照射して、画像形成された評価用サンプルを得た。
上記で得られた評価用サンプルについて、以下のようにしてインクの硬化感度試験を行った。結果を表1に示す。
未印字の特菱アート両面N(三菱製紙製)を文鎮(重量470g、サイズ15mm×30mm×120mm)に巻きつけ(未印字の特菱アートと評価サンプルが接触する面積は150mm2)、上記ベタ画像が形成された評価用サンプルの印画面を3往復擦った(荷重260kg/m2に相当)。擦った後の印画面を目視により観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
〜評価基準〜
A … 印字面に画像(色材)のはがれが視認できなかった。
B … 印字面に画像(色材)のはがれがわずかに認められた。
C … 印字面に画像(色材)のはがれが視認でき、実用上問題になるレベルであった。
また本発明のインク組成物と処理液1とを用いて形成されたライン画像は、いずれも画像品質に優れていた。
さらに上記評価において、処理液1の代わりに処理液2〜4をそれぞれ用いたこと以外は上記と同様にして評価を行なったところ、処理液2〜4を用いた場合であっても、処理液1を用いた場合と同様に、硬化感度と画像品質に優れた画像を形成できた。
また、記録媒体として、特菱アート(坪量104.7g/m2)の代わりに、OKトップコート+(坪量104.7g/m2)およびユーライト(坪量104.7g/m2)を用いたこと以外は、上記と同様にして評価を行なったところ、OKトップコート+およびユーライトを用いた場合であっても、特菱アートを用いた場合と同様に、硬化感度と画像品質に優れた画像を形成できた。
Claims (10)
- 下記一般式(1)で表される重合性化合物と、重合開始剤と、水と、を含む、水性インク組成物。
(一般式(1)中、Xは下記一般式(X1)〜一般式(X3)のいずれかで表される2価または3価の含窒素連結基を表し、Aは下記構造式(A1)〜構造式(A4)のいずれかで表される重合性官能基を表す。nは2又は3を表す)
(一般式(X1)〜一般式(X3)中、Zは、炭素数2〜3のアルキレン基、または、炭素数2〜3のアルキレン基および酸素原子からなる2価の連結基を表し、R1は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す)
(構造式(A1)〜構造式(A4)中、R2は水素原子またはアルキル基を表し、R3はアルキル基またはアリール基を表す。*は前記Xで表される含窒素連結基との結合位置を表す) - 前記Aで表される重合性官能基の少なくとも1つは、前記構造式(A1)で表される請求項1に記載の水性インク組成物。
- 更に顔料を含む請求項1又は請求項2に記載の水性インク組成物。
- 前記重合開始剤は光重合開始剤である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の水性インク組成物と、該水性インク組成物と接触して凝集体を形成しうる処理液と、を含むインクセット。
- 前記処理液は、酸性化合物、多価金属塩、およびカチオン性ポリマーから選ばれる少なくとも1種を含む請求項5に記載のインクセット。
- 請求項5または請求項6に記載のインクセットに含まれる処理液を、記録媒体上に付与する処理液付与工程と、
該インクセットに含まれる水性インク組成物を、記録媒体上に付与して画像を形成するインク付与工程と、を有する画像形成方法。 - 前記記録媒体は塗工紙である請求項7に記載の画像形成方法。
- 前記インク付与工程は、前記処理液付与工程において処理液が付与された記録媒体上に、前記水性インク組成物を付与する請求項7または請求項8に記載の画像形成方法。
- 前記インク付与工程は、インクジェット法により前記水性インク組成物を付与する請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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