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JP5393118B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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JP5393118B2 JP2008309520A JP2008309520A JP5393118B2 JP 5393118 B2 JP5393118 B2 JP 5393118B2 JP 2008309520 A JP2008309520 A JP 2008309520A JP 2008309520 A JP2008309520 A JP 2008309520A JP 5393118 B2 JP5393118 B2 JP 5393118B2
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Description

本発明は、製品外面を構成する不織布製外装シートを備えた使い捨ておむつ等の吸収性物品に関するものである。
使い捨ておむつ等の吸収性物品は、液透過性表面シート、液不透過性裏面側シート、及びこれら表面シートと裏面側シートとの間に介在する吸収体とを、本体部として備えるものが殆どである。ただし、それだけであると、製品外面の風合いが布のようにならないため、現在では、本体部の裏面側を、不織布からなる外装シートで覆い、製品外面に布のような風合いを持たせることが一般的となっている(例えば特許文献1、2参照)。
特開2005−143696号公報 特開平9−299403号公報
しかしながら、従来の吸収性物品においては、おむつ全体としてのしなやかさ(撓みや、捻れ等)が布の下着からは程遠いものであり、その結果として、ゴワゴワした装着感がある、肌との擦れによりかゆみやかぶれ等の肌トラブルが発生する、脱ぎ着し難い等の問題点があった。
そこで本発明の主たる課題は、このような問題点を解決した、しなやかさに富み、肌触りの良い吸収性物品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題について鋭意研究した結果、外装シートのうち最外側不織布のしなやかさがおむつ全体としてのしなやかさに対する影響が強いことを知見し、本発明をなすに至ったものである。外装シートとして一般に用いられてきたものは薄い不織布であったため、この知見は当初は意外なものであったが、外側のシートほど変形量が大きくなることを考慮すれば合理的に理解できるものである。
<請求項1記載の発明>
液透過性表面シート、液不透過性裏面側シート、及びこれら表面シートと裏面側シートとの間に介在する吸収体とを有する本体部と、この本体部の裏面側を覆う外装シートとを備えた、吸収性物品において、
前記外装シートは、不織布が一枚又は複数枚張り合わされて形成されたものであり、且つ最も外側に位置する最外側不織布は;
繊維の繊度が0.7〜3dtex、
目付けが10〜30g/m 2
圧力0.5g/cm 2 のときの厚みT0が0.1〜1.0mm、
捻れ度が3.8gf・cm/cm以下、かつ
平均表面摩擦係数と平均偏差との比MIU/MMDが20以上の、
オレフィン系繊維からなる不織布である、
ことを特徴とする、吸収性物品。
(作用効果)
現在、外装シートの最外側不織布としては、強度の観点からスパンボンド不織布が広く用いられている。しかし、従来の最外側不織布は捻れ度が高く、しなやかさに劣るものであった。これに対して、上記のように、最外側不織布として捻れ度が十分に低い不織布を用いると、おむつ全体としてのしなやかさが顕著に増加し、その結果、ゴワゴワした装着感や、肌との擦れによりかゆみやかぶれ等の肌トラブルが軽減し、脱ぎ着し易くなる等の利点がもたらされる。
なお、本発明における「捻れ度」とは、例えばKES-YN1(カトーテック(株)製)を用いて測定することができる「ねじりかたさ」であり、値が小さいほど捻れに対してしなやかであることを意味する。また、外装シートが不織布一枚からなる場合、それ自体が最外側不織布を意味する。
最外側不織布のMIU/MMD比を十分に大きくすることにより、外装シート表面の触感が良好となることにより、しなやかさが補われ、例えば肌との擦れによりかゆみやかぶれ等の肌トラブルがより一層軽減されるようになる。なお、平均表面摩擦係数MIU及び平均偏差(表面摩擦係数の変動性)MMDは、KES-SE 摩擦感テスター(カトーテック(株)製)を用いて測定することができるものであり、前者は滑りやすさを、後者はざらつき感を表す指標となるものである。よって、MIU/MMD比が大きいほど触感が良好なことを示す。
最外側不織布の目付け及び厚みをこの程度確保することにより、外装シートとしての基本機能(隠蔽機能、強度等)を損ねずに済む。
<請求項記載の発明>
前記最外側不織布は、JIS−L−1018(45度カンチレバー法)による剛軟度が45mm以下である、請求項記載の吸収性物品。
(作用効果)
最外側不織布の剛性を十分に低くすることにより、しなやかさが補われ、例えばゴワゴワ感の軽減及び脱ぎ着のし易さがより一層好ましいものとなる。
<請求項記載の発明>
前記最外側不織布は、JIS−P−8113に規定される引張強度が幅方向において40〜120kgf/m、前後方向において10〜80kgf/mであり、JIS−P−8116に規定される引裂強度が前後方向において4〜30kgf/mである、請求項1又は2記載の吸収性物品。
(作用効果)
しなやかさを向上させると強度が低下し易いため、最外側不織布の引張強度及び引裂強度はこの程度確保するのが望ましい。
<請求項記載の発明>
前記最外側不織布は、圧縮硬さLCが0.3〜1.0であり、且つ圧縮仕事量WCが0.01〜0.10であり、圧縮レジリエンスRCが20〜90%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
圧縮特性はしなやかさと密接に関連するものであり、上記範囲内にあることで、しなやかさの向上効果がより一層のものとなる。なお、圧縮硬さLC、圧縮仕事量WC、及び圧縮レジリエンスRCは、KES-FB3-AUTO-A 自動化圧縮試験機(カトーテック(株)製)を用いて測定することができるものであり、圧縮硬さLCは値が1に近いほど圧縮に対して硬いこと意味し、圧縮仕事量WCは値が大きいほど圧縮され易いことを意味し、圧縮レジリエンスRCは値が100に近いほど回復性が良いことを意味するものである。
<請求項記載の発明>
前記外装シートを有し且つ前後方向中央より前側に延在する腹側部分と、前記外装シートを有し且つ前後方向中央より後側に延在する背側部分とを備えた使い捨ておむつであって、
前記外装シートにおける前記腹側部分及び背側部分のそれぞれに対して、ウエスト開口部近傍にウエスト弾性伸縮部材が接着固定され、このウエスト弾性伸縮部材よりも股下側に、幅方向に沿う複数の腰回り弾性部材群が縦方向に間隔を空けて接着固定され、且つこの腰回り弾性部材群とは別に、幅方向一方の側縁部から股下側に延び、股下側を迂回して幅方向他方側の側縁部に到達する複数の湾曲弾性部材群が縦方向に間隔を空けて接着固定されている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
使い捨ておむつにおいては、このようなウエスト弾性伸縮部材、腰回り弾性部材群、及び湾曲弾性部材群を設けて身体に対するフィット性を向上させることが知られているが、このような場合、多方向にわたり収縮力が作用するため、捻れに対するしなやかさが不十分であると、外装シートの皺による凹凸がもこもこと過大になり、見栄えが悪くなる。これに対して、本発明のように外装シートの捻れ度が十分に低いと、外装シートに現れる皺による凹凸が緩やかとなり、見栄えも良いものとなる。
以上のとおり、本発明によれば、おむつ全体としてのしなやかさが顕著に増加し、その結果、ゴワゴワした装着感や、肌との擦れによりかゆみやかぶれ等の肌トラブルが軽減し、脱ぎ着し易くなる、等の利点がもたらされる。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。
図1は実施形態のパンツ型使い捨ておむつ1の製品状態外観図であり、図2は展開状態での組み立て図である。このパンツ型使い捨ておむつ1(以下、単におむつともいう。)は、液透過性表面シート11と液不透過性裏面側シート12との間に吸収体13を介在させた吸収性本体10と、この吸収性本体10の外面側に一体的に設けられた外装シート20とからなるものである。製造に際しては、外装シート20の上面(内面)に対して吸収性本体10の裏面がホットメルト接着剤Gなどによって接合された後に、吸収性本体10および外装シート20が前後方向に折り重ねられ、その両側部が相互に熱溶着またはホットメルト接着剤などによって接合されることによって、ウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成されたパンツ型使い捨ておむつとなる。
(外装シートの構造例)
外装シート20は、図6〜図8に示されるように、上層不織布20A及び下層不織布20B(つまり、この形態では下層不織布が最外側不織布となる)からなる2層構造の不織布シートとされ、上層不織布20Aと下層不織布20Bとの間、及び下層不織布20Bをウエスト開口縁で内面側に折り返してなる折り返し部分20Cの不織布間に各種弾性部材が配設され、伸縮性が付与されている。平面形状は、中間両側部に夫々脚部開口を形成するために形成された凹状の脚回りカットライン29により、全体として擬似砂時計形状をなしている。
特に、図示形態の外装シート20においては、弾性部材として、図3に示される展開形状において、ウエスト開口部近傍23に配置されたウエスト部弾性部材24,24…と、腹側部分F及び背側部分Bに、縦方向に間隔をおいて幅方向に沿って配置された複数の腰回り弾性部材群25,25…とを有するとともに、腹側部分F及び背側部分Bのそれぞれにおいて、腰回り弾性部材群25,25…とは別に、腹側部分Fと背側部分Bとを接合する一方側接合縁から股下側に延び、股下側を迂回して腹側部分と背側部分との他方側接合縁に到達するとともに、互いに交差することなく間隔をおいて配置された複数本の湾曲弾性部材群26…、28…を備えている。なお、本外装シート20では、脚回りカットライン29に沿って実質的に連続する、所謂脚回り弾性部材は設けられていない。
ウエスト部弾性部材24,24…は、腹側部分Fと背側部分Bとが接合された脇部接合縁21、22の範囲の内、ウエスト開口縁近傍に上下方向に間隔をおいて配設された複数条の糸ゴム状弾性部材であり、身体のウエスト部回りを締め付けるように伸縮力を与えることによりおむつを身体に装着するためのものである。このウエスト部弾性部材24は、図示例では糸ゴムを用いたが、例えばテープ状の伸縮部材を用いてもよい。また、図示形態のウエスト部弾性部材24,24…は、ウエスト部における下層不織布20Bの折り返し部分20Cの不織布間に挟持されているが、上層不織布20Aと下層不織布20Bとの間に挟持しても良い。
腰回り弾性部材群25,25…は、脇部接合縁21、22の内、概ね上部から下部までの範囲に亘り、上下方向に間隔をおいて幅方向に沿って配設された糸ゴム状の弾性部材であり、腹側部分F及び背側部分Bの腰回り部分に夫々幅方向の伸縮力を与え、おむつを身体に密着させるためのものである。なお、ウエスト部弾性部材24、24…と腰回り弾性部材群25、25…との境界は必ずしも明確でなくてよい。例えば、腹側部分F及び背側部分Bに上下方向に間隔をおいて幅方向に配置された弾性部材の内、数は特定できなくても、上部側の何本かがウエスト部弾性部材として機能し、残りの弾性部材が腰回り弾性部材として機能していればよい。
背側部分Bにおいて、腰回り弾性部材群25,25…とは別に配設された背側湾曲弾性部材群26、26…は、所定の(一方側の脇部接合縁22からほぼ脚回りカットライン29に沿って股下部に至り、股下部を横切った後に反対側の脚回りカットライン29にほぼ沿いながら他方側の脇部接合縁22に到達する)曲線に沿って配置された複数本、図示例では5本の糸ゴム状弾性部材であり、これら背側湾曲弾性部材群26、26…は互いに交差することなく、間隔をおいて配置されている。この背側湾曲弾性部材群26、26…は、2,3本程度の弾性伸縮部材を間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように所定の間隔を空けて、3本以上、好ましくは5本以上配置される。
外装シート20の腹側部分Fにおいて、腰回り弾性部材群25,25…とは別に配設された腹側湾曲弾性部材群28,28…も、所定の(一方側の脇部接合縁21から股下側に至り、股下部を横切った後に他方側の脇部接合縁21に到達する)曲線とともに、交差することなく間隔をおいて配置された複数本の、図示例では5本の糸状弾性部材であり、これら腹側湾曲弾性部材群28,28…は、互いに交差することなく、間隔をおいて配置されている。この腹側湾曲弾性部材群28、28…も、2,3本程度の弾性伸縮部材を間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように所定の間隔を空けて、3本以上、好ましくは5本以上配置される。
また、上記形態例では、腹側部分F及び背側部分Bに配置された腰回り弾性部材群25,25…及び湾曲弾性部材26…、28…は、吸収性本体10を横切る部分を切断し、不連続としているが、吸収性本体10上においても連続させて配置することもできる。弾性部材を吸収性本体10上で不連続とすることにより、吸収体13の縮こまりをより防止することができる。
上述した外装シート20は、例えば特開平4−28363号公報や、特開平11−332913号公報記載の技術により製造することができる。また、湾曲弾性部材26…、28…を吸収性本体10上で切断し不連続化するには、特開2002−35029号公報、特開2002−178428号公報及び特開2002−273808号公報に記載される切断方法が好適に採用される。
(吸収性本体の構造例)
吸収性本体10は、図4及び図6〜図8に示すように、不織布などからなる液透過性表面シート11と、ポリエチレン等からなる液不透過性裏面側シート12との間に、吸収体13を介在させた構造を有しており、表面シート11を透過した排泄液を吸収保持するものである。
吸収体13の表面側(肌当接面側)を覆う液透過性表面シート11としては、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。液透過性表面シート11に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。液透過性表面シート11は、吸収体13の側縁部を巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在している。
吸収体13の裏面側(非肌当接面側)を覆う液不透過性裏面側シート12は、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの液不透過性プラスチックシートが用いられるが、近年はムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートは、たとえばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
吸収体13としては、公知のもの、例えばパルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができ、図示例では平面形状を略方形状として成形されたものが使用され、その幅寸法は股間部への当たりによって着用者にゴワ付き感を与えない寸法幅となっている。この吸収体13は、形状及びポリマー保持等のため、必要に応じてクレープ紙等の、液透過性及び液保持性を有する包装シート14によって包装することができる。吸収体13の形状は、図示形態のように長方形状とする他、背側及び腹側に対して股間部の幅が狭い砂時計形状(括れ形状)とすることもできる。
吸収性本体10の両側部には脚周りにフィットする立体ギャザーBSが形成されているのが好ましい。この立体ギャザーBSはギャザー不織布15により形成される、ギャザー不織布としては、図7及び図8に示されるように、折返しによって二重シートとした不織布が好適に用いられ、液透過性表面シート11によって巻き込まれた吸収体13の側縁部をさらにその上側から巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在して接着されている。より具体的には、ギャザー不織布15は、おむつ1の長手方向中間部では、立体ギャザーBS形成部分を残し、幅方向中間部から吸収体13の裏面側に亘る範囲がホットメルト接着剤等によって接着され、また長手方向前後端部では、幅方向中間部から一方側端縁までの区間が吸収体13の裏面側に亘る範囲で接着されるとともに、立体ギャザーBSを形成する部分を吸収体13の上面部にて折り畳むようにしながらホットメルト接着剤等により接着している。
二重シート不織布によって形成されたギャザー不織布15の内部には、起立先端側部分に複数本の糸状弾性伸縮部材16、16…が配設されている。糸状弾性伸縮部材16、16…は、製品状態において図7に二点鎖線で示すように、弾性伸縮力により吸収体側縁部より突出する不織布部分を起立させて立体ギャザーBSを形成するためのものである。
液不透過性裏面側シート12は、二重シート状のギャザー不織布15の内部まで進入し、図7に示されるように、立体ギャザーBSの下端側において防漏壁を構成するようになっている。この液不透過性裏面側シート12としては、排便や尿などの褐色が出ないように不透明のものを用いるのが望ましい。不透明化としては、プラスチック中に、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、クレイ、タルク、硫酸バリウムなどの顔料や充填材を内添してフィルム化したものが好適に使用される。
糸状弾性伸縮部材16としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは925dtex以下、テンションは150〜350%、間隔は7.0mm以下として配設するのがよい。なお、糸状弾性伸縮部材に代えて、ある程度の幅を有するテープ状弾性伸縮部材を用いるようにしてもよい。
前述のギャザー不織布15を構成する素材繊維も液透過性表面シート11と同様に、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができるが、特にはムレを防止するために坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。さらにギャザー不織布15については、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロイド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いるのが望ましい。
(前後押えシート)
図5及び図6にも示されるように、外装シート20の内面上に取り付けられた吸収性本体10の前後端部をカバーし、且つ吸収性本体10の前後縁からの漏れを防ぐために、前後押えシート50,60が設けられている。図示形態について更に詳細に説明すると、前押えシート50は、腹側部分F内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20C間から吸収性本体10の前端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在しており、後押えシート60は、背側部分B内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20C間から吸収性本体10の後端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在しており、図中斜線で示される接着部分51,61により接着されている。前後押えシート50,60の股下側縁部に若干の非接着部分があるのは、接着剤を食み出させないためと、この部分を表面シートから若干浮かせて防漏壁として機能させるためである。
さらに、図1〜図8に示される形態は、前後押えシート51,61が別体として取り付けられているため、素材選択の自由度が高くなる利点があるものの、資材や製造工程が増加する等のデメリットもある。そのため、図9に示すように、外装シート20をおむつ1内面に折り返してなる折り返し部分20Cを、吸収パッド200と重なる部分まで延在させて、前述の押えシート50,60を形成することもできる。
(外装シートを構成する不織布ついて)
本発明では、外装シート20を構成する不織布のうち、少なくとも最も外側に位置する不織布20Bとして、捻れ度が3.8gf・cm/cm以下のものが用いられる。外装シート20を構成する不織布全て、つまり最も外側に位置しない他の不織布20A、50,60についても最外側不織布20Bと同様の不織布を採用するのが望ましい(以下同じ。)。このように、捻れ度が十分に低い不織布を用いると、おむつ全体としてのしなやかさが顕著に増加し、その結果、ゴワゴワした装着感や、肌との擦れによりかゆみやかぶれ等の肌トラブルが軽減し、脱ぎ着し易くなる等の利点がもたらされる。捻れ度が十分に低くないとしなやかさの改善効果は発現しない。このような捻れ度は、例えば原料繊維の種類の選択、繊度を細くする、繊維長を短くする、目付けや厚みを減らす等により達成することができる。
また、最外側不織布20Bにおける平均表面摩擦係数と平均偏差との比MIU/MMDが20以上とされ、特に25以上であるのがより好ましい。MIU/MMD比を十分に大きくすることにより、外装シート表面の触感が良好となることにより、しなやかさが補われ、例えば肌との擦れによりかゆみやかぶれ等の肌トラブルがより一層軽減されるようになる。このようなMIU/MMD比は、例えば、繊度を細くする、表面加工を施す等により達成することができる。
また、外装シート20としての基本機能(隠蔽機能、強度等)を損ねないよう、最外側不織布20Bは、目付けが10〜30g/m2、且つ圧力0.5g/cm2のときの厚みT0が0.1〜1.0mmとされる。より好ましい目付けは13〜22g/m2、厚みT0は0.1〜0.5mmである。
さらにしなやかさを補うため、最外側不織布20BのJIS−L−1096(45度カンチレバー法)による剛軟度は45mm以下であるのが好ましく、35mm以下であるのがより好ましい。これにより、特にゴワゴワ感の軽減及び脱ぎ着のし易さがより一層好ましいものとなる。このような剛軟度は、例えば、原料繊維の種類の選択や割合の変更、エンボス圧を下げる、目付や厚みを減らす等により達成することができる。
しなやかさを向上させると強度が低下し易いため、最外側不織布20Bは、JIS−P−8113に規定される引張強度が幅方向において40〜120kgf/m、特に60〜100kgf/m、前後方向において10〜80kgf/m、特に25〜60kgf/mであり、JIS−P−8116に規定される引裂強度が前後方向において4〜30kgf/m、特に8〜25kgf/mであるのが好ましい。このような引張強度及び引裂強度は、例えば、繊維同士の絡まり度合いを増す等により達成することができる。
最外側不織布20Bの圧縮特性もしなやかさと密接に関連するものである。本発明の場合、最外側不織布20Bの圧縮特性は、圧縮硬さLCが0.3〜1.0、特に0.5〜0.9であり、且つ圧縮仕事量WCが0.01〜0.10、特に0.01〜0.07であり、圧縮レジリエンスRCが20〜90%、特に25〜70%であるのが好ましい。このような圧縮硬さLC、圧縮仕事量WC、圧縮レジリエンスRCは、例えば、原料繊維の種類の選択や割合の変更、目付や厚みを減らす等により達成することができる。
ただし、本発明の範囲内であれば、最外側不織布20Bは、原料繊維としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系とされ、また繊維構造としては並列型、芯鞘型等の2層型複合繊維、多層型複合繊維、非複合繊維、混合繊維、分割繊維等から適宜選択することができる。さらに、製法としては、スパンボンド法とされる。繊維の繊度や繊維長についても公知の仕様を採用することができる。本発明の場合、繊度は0.7〜3dtexとされ、特に1〜2.5dtexが好ましい。
各種の不織布サンプルを作成し、各種試験・計測を行った。各サンプル不織布の構成繊維はその製法からも判るように全て連続繊維(長繊維)であり、繊維直径は、顕微鏡観察にて計測した結果、全てほぼ同じ太さ(0.15〜0.25μm程度)であった。毛羽立ち試験は、JISK6404-16に規定される学振形摩擦試験に準じて、乾燥白綿布をかぶせた摩擦子を用い、不織布サンプルに対して摩擦試験を行い、その毛羽立ちの状態を顕微鏡で観察し、1:毛羽立った繊維の高さが1mm以下、2:毛羽立った繊維の高さが2mm以下、3:毛羽立った繊維の高さが3mm以下、4:毛羽立ち量は多くないが、毛羽立った繊維の高さが3mm以上、5:毛羽立ち量が多く全面で毛羽立っており、毛羽立った繊維の高さが3mm以上、という評価基準で5段階評価した。MIU/MMDの比は、(MIU(幅方向)+MIU(前後方向))/(MMD(幅方向)+MMD(前後方向))により算出した。その他、特記しない条件(接着剤使用量等)は全サンプル共通とした。
さらに、各サンプル不織布を図1〜図8に示す構造のパンツ型使い捨ておむつにおける外装シート20の構成不織布20A,20B,51,61として用い、同図に示されるものと同様のパンツ型使い捨ておむつを作成し、おむつとしてのしなやかさについて官能評価(○:しなやかさに富む、△:普通、×:ゴワゴワする)を行った。
以上の結果をまとめて表1に示した。また、図10〜図12にいくつかのグラフを示した。これらの結果からも明らかなとおり、サンプル1〜9はおむつとしてのしなやかさに富むものとなった。中でも、本発明に係るMIU/MMDが20以上のものの官能評価が高く、さらにその中でも剛軟度が35mm以下であるものの官能評価が高い結果となった。
Figure 0005393118
本発明は、上記例のようなパンツ型使い捨ておむつの他、テープ式の使い捨ておむつ、生理用ナプキン等、他の吸収性物品にも適用できるものである。
パンツ型使い捨ておむつの斜視図である。 展開状態のおむつの組み立て図である。 展開状態のおむつの底面図(外面側)である。 展開状態の吸収性本体の平面図(内面側)である。 展開状態のおむつの平面図(内面側)である。 図5のC−C断面図である。 図3のA−A断面図である。 図3のB−B断面図である。 他の形態を示す図5のC−C断面相当の断面図である。 MIU/MMD及び捻れ度の試験結果を示すグラフである。 捻れ度及び剛軟度の試験結果を示すグラフである。 圧縮硬さLC、圧縮仕事量WC、圧縮レジリエンスRC、及び剛軟度の試験結果を示すグラフである。
1…パンツ型使い捨ておむつ、10…吸収性本体、11…液透過性表面シート、12…液不透過性裏面側シート、13…吸収体、14…包装シート、15…ギャザー不織布、16…糸状弾性伸縮部材、20…外装シート、21・22…脇部接合縁、24…ウエスト部弾性部材、25…腰回り弾性部材、26…背側湾曲弾性部材、28…腹側湾曲弾性部材、29…脚回りカットライン、20C…外装シート折り返し部、F…腹側部分、B…背側部分。

Claims (5)

  1. 液透過性表面シート、液不透過性裏面側シート、及びこれら表面シートと裏面側シートとの間に介在する吸収体とを有する本体部と、この本体部の裏面側を覆う外装シートとを備えた、吸収性物品において、
    前記外装シートは、不織布が一枚又は複数枚張り合わされて形成されたものであり、且つ最も外側に位置する最外側不織布は;
    繊維の繊度が0.7〜3dtex、
    目付けが10〜30g/m 2
    圧力0.5g/cm 2 のときの厚みT0が0.1〜1.0mm、
    捻れ度が3.8gf・cm/cm以下、かつ
    平均表面摩擦係数と平均偏差との比MIU/MMDが20以上の、
    オレフィン系繊維からなる不織布である、
    ことを特徴とする、吸収性物品。
  2. 前記最外側不織布は、JIS−L−1018(45度カンチレバー法)による剛軟度が45mm以下である、請求項記載の吸収性物品。
  3. 前記最外側不織布は、JIS−P−8113に規定される引張強度が幅方向において40〜120kgf/m、前後方向において10〜80kgf/mであり、JIS−P−8116に規定される引裂強度が前後方向において4〜30kgf/mである、請求項1又は2記載の吸収性物品。
  4. 前記最外側不織布は、圧縮硬さLCが0.3〜1.0であり、且つ圧縮仕事量WCが0.01〜0.10であり、圧縮レジリエンスRCが20〜90%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記外装シートを有し且つ前後方向中央より前側に延在する腹側部分と、前記外装シートを有し且つ前後方向中央より後側に延在する背側部分とを備えた使い捨ておむつであって、
    前記外装シートにおける前記腹側部分及び背側部分のそれぞれに対して、ウエスト開口部近傍にウエスト弾性伸縮部材が接着固定され、このウエスト弾性伸縮部材よりも股下側に、幅方向に沿う複数の腰回り弾性部材群が縦方向に間隔を空けて接着固定され、且つこの腰回り弾性部材群とは別に、幅方向一方の側縁部から股下側に延び、股下側を迂回して幅方向他方側の側縁部に到達する複数の湾曲弾性部材群が縦方向に間隔を空けて接着固定されている、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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