JP5380959B2 - インクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
紙のカールを抑える公知技術としては、分子量8万〜25万のビニルピロリドンとアクリル酸共重合ポリマーを含有させる方法(特許文献1)、平均粒子径が5〜100nmのコロイダルシリカと顔料を含有させる方法(特許文献2)、金属酸化物コロイドとSP値が8以上12未満の水溶性有機溶剤を含有させ方法(特許文献3)等が知られている。
しかし、今までの方法は、何らかの固形分を添加することによって、インク中の水分が紙即ちセルロース繊維に吸収されることを抑制しているに過ぎなかった。
カールを完全に抑制するには、セルロース繊維を形成しているセルロース分子間の水素結合を維持する必要があり、固形分の添加ではセルロース分子間へのインク溶剤(アルコールや水等)の浸透、それに伴うセルロース繊維の膨潤(=カール)を十分には抑えられない。また、大量の固形分の投入によって、セルロース分子間へのインク溶剤の浸透を十分抑えようとすれば、連続吐出性及び放置吐出性が悪化するという問題があった。
一方、特許文献4には、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルと1,2−アルカンジオールとを含むインクジェット用インク組成物が開示されているが、カール防止できるものではない(後述する比較例05参照)。
1) 色材、水溶性有機溶剤及び水を少なくとも含有し、該水溶性有機溶剤として、下記式(1)のポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルと、アルキルアルカンジオールとを含み、前記アルキルアルカンジオールが、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−へキサンジオールから選ばれた少なくとも一種であることを特徴とするインクジェット記録用インク。
2) ラインヘッド印字装置において、1)に記載のインクジェット記録用インクを使用することを特徴とするインクジェット記録方法。
本発明は、水溶性有機溶剤として、前記式(1)のポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル(POP−DG)とアルキルアルカンジオール(AAD)を用いることを特徴とし、これにより高画質、高吐出信頼性、低カールなインクジェット記録用インクが得られる。何故ならば、該水溶性有機溶剤は、セルロース分子間へ浸透してもセルロース分子間の水素結合を切断し難いためである。
このことについて更に詳しく説明すると、POP−DGとAADは、従来の水溶性有機溶剤(グリセリン、ブタンジオール等)に比べて、親水基と親油基のバランスが親油基リッチであり、分子内の水素結合可能な親水基である水酸基の割合が少ないため、セルロース分子間へ浸透しても、セルロース分子間の水素結合を切断し難いのである。このモデルを端的に言えば、「セルロース分子間の水素結合に対する低攻撃性」ということである。
また、POP−DGとAADは表面張力が低いため、セルロース分子間へ先行浸透し、後述する図1(c)の(γ)のようにPOP−DG又はAADの水酸基がセルロース分子の水酸基に水素結合し、セルロース分子部分に留まり、POP−DG又はAADの親油基部分がセルロース分子の水素結合をカバーし、揮発性の親水基リッチな溶剤である水の接触を阻害し、セルロース分子間の水素結合を切断し難くするのである。このモデルを端的に言えば、「セルロース分子の水素結合のカバー性」ということである。
また、セルロース分子の水素結合をカバーし、水性の連続相(アルコールや水等)の接触を阻害しているものが、POP−DG又はAADという液体であることから、仮に水が揮発しても固形分の析出、固化、流動性の低下が起こりにくい。即ち、インクの連続吐出性及び放置吐出性は維持されるのである。
図1(a)はエレメンタリーフィブリルの模式図である。植物繊維はフィブリルと呼ばれる糸状構造からなり、フィブリルは更に直径数nm〜20nm、長さ1μm〜数μmのミクロフィブリルからなり、ミクロフィブリルは更に数本〜数十本のエレメンタリーフィブリルからなる。
図1(b)はセルロース分子の模式図である。エレメンタリーフィブリルは数十本の平行に配列しているセルロース分子からなる。このとき隣接するセルロース分子間では強固な水素結合が形成され、直径3〜4nm程度の束を形成する。
図1(c)は、二つのセルロース分子の間に生じた水素結合の態様(α)(β)(γ)を示す図である。点線は水素結合を表し、RはPOP−DG又はAADの親油基を表す。
水素結合(α)はセルロース分子間の通常の水素結合状態を示す。
水素結合(β)はセルロース分子間の水素結合に水分子が介在し、更にその水分の蒸発によって水素結合の位置が変更された状態を示す。この現象を更に説明すると、水が紙に浸潤し図のようにセルロース間の結合が切断されると、繊維が緩み伸長する。ここで水が乾燥、移動によってその場から消失すると、繊維が縮み、切断された水素結合は再結合する。しかし、紙が製紙時に加えられるような圧力は当然加わらず、この乾燥過程では繊維が自由なゆるい状態位置で水素結合され、異なった紙形状、即ちカールが生じる。
水素結合(γ)はセルロースの水素結合に関与していない水酸基に対し、POP−DG又はAADの水酸基が介在し、更にセルロース分子間への水分子の進入を防止している状態を示す。
POP−DGとAADの合計配合量はインク全体の10〜50重量%であり、好ましくは20〜50重量%、より好ましくは40〜50重量%である。この範囲であれば、「高画質、高吐出信頼性、低カール」とすることが可能となる。
色材としては、例えば、顔料や染料を用いることができるが、特に、ポリマー微粒子中に水不溶性又は水難溶性の色材を含有させたポリマーエマルジョンとして含まれていることが好ましい。すなわち、本発明では、上記のように水溶性有機溶剤としてPOP−DGとAADを用いるため、インクの浸透性が上昇し、紙内部への色材の浸透性も上昇する。その結果、紙表面に残存する色材の量が減少し印字画像濃度が低下する。その対策としては、ポリマー微粒子に水不溶性又は水難溶性の色材を含有させてポリマーエマルジョン化した色材を用いるとよい。この色材は、紙上での分散媒、いわゆるビヒクルの紙への吸収によって凝集しやすく、紙表面に残存する色材量を増加できるため、印字画像濃度を保持することが可能となる。
更に、ポリマー微粒子に水不溶性又は水難溶性の色材を含有させたポリマーエマルジョンをより効率良く紙表面に残存させるためには、当該ポリマーエマルジョンの分散媒、いわゆるビヒクルの紙への浸透性を更に高め、ポリマーエマルジョン/ビヒクルの紙上での分離性を上昇させることが望ましく、そのためには、ビヒクルの表面張力を低下させるためにアニオン系又はノニオン系界面活性剤を添加することが望ましい。
上記色材としては、水不溶性又は水難溶性であって、ポリマーによって封入又は吸着され得る色材であれば特に制限されない。ここで、水不溶性又は水難溶性とは、20℃で水100重量部に対して10重量部以上溶解しないことをいい、溶解するとは、目視で水溶液表層又は下層に色材の分離や沈降が認められないことをいう。
その例としては、油溶性染料、分散染料等の染料や、顔料等が挙げられる。良好な吸着・封入性の観点から油溶性染料及び分散染料が好ましいが、得られる画像の耐光性からは顔料が好ましく用いられる。
更にカラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、81、83(ジスアゾイエローHR)、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、153、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2〔パーマネントレッドB(Ba)〕、48:2〔パーマネントレッド2B(Ca)〕、48:3〔パーマネントレッド2B(Sr)〕、48:4〔パーマネントレッド2B(Mn)〕、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19(キナクリドンレッド)、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:127(紺青)、28(コバルトブルー)、29(群青)、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等、があるが、これらに限定されるものではない。
上記ポリマーエマルジョンを形成するポリマーとしては、例えば、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー及びポリウレタン系ポリマー等を用いることができる。特に好ましいのはビニル系ポリマー及びポリエステル系ポリマーであり、特開2000−53897号公報、2001−139849号公報に開示されているポリマーが挙げられる。
色材を含有するポリマー微粒子の平均粒子径は、インク中において0.16μm以下が最も好ましい。インク中のポリマー微粒子の含有量は固形分で8〜20重量%程度が好ましく、より好ましくは8〜12重量%程度である。
グリセリン、1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、チオジグリコール、ペンタエリスリトール等のヒドロキシ化合物;
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物(ラクタム類);
ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;
ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;
プロピレンカーボネート、炭酸エチレン
アニオン系界面活性剤としては、高級脂肪酸塩、高級アルキルジカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸の塩(Na、K、Li、Ca)、ホルマリン重縮合物、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフテン酸塩等、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、アルキルエーテル硫酸塩、第二級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、アルキルエーテル燐酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩等が挙げられる。
また、フッ素系化合物として市販されているものを挙げると、サーフロンS−111,S−112,S−113,S121,S131,S132,S−141,S−145(旭硝子社製)、フルラードFC−93,FC−95,FC−98,FC−129,FC−135,FC−170C,FC−430,FC−431(住友スリーエム社製)等が簡単に入手でき本発明に用いることができるが、特に株式会社ネオス社製のFT−110,250,251,400Sを用いると、良好な印字品質が得られ、発色性が著しく向上する。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等が挙げられる。
また、アセチレングリコール系界面活性剤として市販されているものを挙げると、エアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485あるいはTG等が簡単に入手でき本発明に用いることができるが、特にサーフィノール465を用いると良好な印字品質が得られ、ビヒクルの紙への浸透性が著しく向上する。
分散相の樹脂成分としてはアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。樹脂としては親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体が好ましい。また、これらの樹脂成分の粒子径はエマルジョンを形成する限り特に限定されないが、150nm程度以下が好ましく、より好ましくは5〜100nm程度である。
樹脂成分と界面活性剤の混合割合は、通常10:1〜5:1程度とするのが好ましい。界面活性剤の使用量が前記範囲より少ないと、エマルジョンになりにくく、前記範囲を超えると、インクの耐水性が低下したり、浸透性が悪化する傾向があるので好ましくない。
樹脂エマルジョンの樹脂と水の割合は、樹脂100重量部に対して水60〜400重量部、好ましくは100〜200重量部の範囲が適当である。
市販の樹脂エマルジョンとしては、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学社製)などが挙げられる。
防腐防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。
防錆剤としては、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
更に、目的に応じて、金属イオン封止剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤等を添加してもよい。
本発明のインクジェットインクは、ラインヘッド印字装置において非常に好適に使用される。何故ならば、ラインヘッド印字装置では、印字は高速である場合が多く、印字媒体である紙を高速に給紙排紙するためには、紙のカール、変形は避けるべき項目であるからである。
以下のようにして実施例及び比較例のインクジェット記録用インクを作製し評価した。インク成分は下記(i)〜(viii)であり、各成分の配合割合(wt%)は表1〜表7に示すとおりである。表1は色材含有ポリマーエマルジョンを用いた実施例、表2は自己分散系顔料を用いた実施例を示す。表3はPOP−DGとAADの一方又は両方を含まない比較例を実施例5と共に示す。表4、表5はPOP−DGの「m+n+o+p」を変化させた実施例及び比較例を示す。表6はAADの種類を変えた場合の実施例を示す。表7はAAD以外の水溶性有機溶剤を用いた比較例を示す。
(i)ポリマー微粒子に水不溶性又は水難溶性の色材を含有させたポリマーエマルジョン
(ii)アニオン又はノニオン系界面活性剤
(iii)水溶性有機溶剤…式(1)のPOP−DG
(iv)水溶性有機溶剤…AAD(2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−へキサンジオール)
(v)純水
(vi)pH調整剤
(vii)防腐剤
(viii)防錆剤
まず、上記(i)のポリマーエマルジョンを次のようにして調製した。
(a)フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製:特開2001−139849号公報の調製例3を追試して青色のポリマー微粒子分散体を得た。ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は93nmであった。
(b)ジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製:上記(a)のフタロシアニン顔料をピグメントレッド122に変更した点以外は、(a)と同様にして赤紫色のポリマー微粒子分散体を得た。ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は127nmであった。
(c)モノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製:上記(a)のフタロシアニン顔料をピグメントイエロー74に変更した点以外は、(a)と同様にして黄色のポリマー微粒子分散体を得た。ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は76nmであった。
(d)カーボンブラック含有ポリマー微粒子分散体の調製:上記(a)のフタロシアニン顔料をカーボンブラック(デグサ社FW100)に変更した点以外は、(a)と同様にして黒色のポリマー微粒子分散体を得た。ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は104nmであった。
次いで、上記ポリマーエマルジョン、アニオン又はノニオン系界面活性剤、水溶性有機溶剤、純水を混合し、ディゾルバー(DISPERMAT−FE)で分散撹拌して顔料分散液を作製した。
次いで、pH調製剤、防腐剤、防錆剤を添加して混合撹拌した後、3μmフィルターで濾過し、インクジェット記録用インクを得た。
<粘度の評価方法>
下記の装置及び条件により評価した。
・粘度計:A&D社製、音叉型振動式粘度計、SV−10
・測定条件:23℃
下記の装置及び条件により、単色べた印字後の画像濃度を評価した。
・プリンター名:試作ラインヘッド印字装置(図2参照)
・媒体名:株式会社リコー製 TYPE6200 PPC用紙
・印刷条件:記録密度300×600dpi、100%duty、Mj21pl、
23℃/65%RH
・濃度測定装置:エックスライト社製、ポータブル分光濃度計、X−Rite939
下記の装置及び条件により、1000枚印字後のドット径変化率(%)を評価した。
・プリンター名:試作ラインヘッド印字装置(図2参照)
・媒体名:株式会社リコー製 TYPE6200 PPC用紙
・印刷条件:記録密度300×600dpi、100%duty、Mj21pl、
23℃/65%RH
評価基準は次の5段階とした。
5:5%未満
4:5%以上、10%未満
3:10%以上、15%未満
2:15%以上、20%未満
1:20%以上
下記の装置及び条件により、用紙端より3mm内を単色べた印字し、印字面上で1時間放置した後、用紙4隅の捲れ高さを評価した。
・プリンター名:試作ラインヘッド印字装置(図2参照)
・媒体名:株式会社リコー製 TYPE6200 PPC用紙
・印刷条件:記録密度300×600dpi、100%duty、Mj21pl、
23℃/65%RH
評価基準は次の5段階とした。
5:3mm未満
4:3mm以上、6mm未満
3:6mm以上、9mm未満
2:9mm以上、12mm未満
1:12mm以上
図2は評価に使用した試作ラインヘッド印字装置の内部構造を示す概略図である。
画像記録装置Aにおいて、給紙トレイ1は、圧板2と、記録紙3を給紙する給紙回転体4がベース5に取り付けられている構成である。圧板2はベース5に取り付けられた回転軸aを中心に回転可能で、圧板ばね6により、給紙回転体4に付勢される。
この給紙回転体4と対向する圧板2の部位には、記録紙3の重送を防止するため、人工皮等の摩擦係数の大きい材質からなる分離パッド(図示せず)が設けられている。また、圧板2と給紙回転体4の当接を解除するリリースカム(図示せず)が設けられている。
上記構成において、待機状態ではリリースカムが圧板2を所定位置まで押し下げている。これにより、圧板2と給紙回転体4の当接は解除される。この状態で、搬送ローラ7からの駆動力がギア等により給紙回転体4及びリリースカムに伝達されると、リリースカムが圧板2から離れて圧板2は上昇し、給紙回転体4と記録紙3が当接する。
そして、給紙回転体4の回転に伴い、記録紙3はピックアップされ給紙が開始されて、分離爪(図示せず)によって1枚ずつ分離される。給紙回転体4は、搬送ガイド8、9を経由して記録紙3をプラテン10に送り込むべく回転する。
記録紙3は搬送ガイド8、9の間を通過して搬送ローラ7まで導かれ、この搬送ローラ7とピンチローラ11とによりプラテン10まで搬送される。その後、再び記録紙3と給紙回転体4との当接を解除した待機状態となって搬送ローラ7からの駆動力が切られる。
手差し給紙用の給紙回転体12は、手差しトレイ13上に搭載された記録紙3を、コンピュータの記録命令信号に従って給紙し、搬送ローラ7へ搬送するものである。
プラテン10まで搬送された記録紙3は、ラインヘッド14の下を通過する。ここで、記録紙搬送の速度と液滴吐出のタイミングは、電気的回路(図示せず)で制御された信号に基づき調整され、これにより所望の画像を形成する。
・c=シアン、m=マゼンタ、y=イエロー、k=ブラック
・PB15:4=C.I.Pigment Blue 15:4(phthalocyanine blue)
・DQ122=C.I.Pigment Red 122(dimethyl quinacridone)
・MA74=C.I.Pigment Yellow 74(monoazo)
・酸性CB=酸性カーボンブラック(cabon black)
・FSAA:フッ素系界面活性剤(株式会社ネオス社製FT−110)
・AG:アセチレングリコール系界面活性剤(エアープロダクツ社製サーフィノール465)
・1,3−BD=1,3−ブタンジオール
・POP−DG:ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル
・MPD:2−メチル−1,3−プロパンジオール
・MBD:3−メチル−1,3−ブタンジオール
・MPeD:3−メチル−1,5−ペンタンジオール
・EHD:2−エチル−1,3−へキサンジオール
・PeD:1,5−ペンタンジオール
・HD:1,6−ヘキサンジオール
・TEA:トリエタノールアミン
・BIT:1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン
・BTA:ベンゾトリアゾール
・1,2−BD:1,2−ブタンジオール
なお、PB15:4としては、CAB−O−JET250:Cabot社製、平均粒径:0.091μmの自己分散系顔料を、DQ122としては、CAB−O−JET260:Cabot社製、平均粒径:0.105μmの自己分散系顔料を、MA74としては、CAB−O−JET270:Cabot社製、平均粒径:0.137μmの自己分散系顔料を、酸性CBとしては、CAB−O−JET300:Cabot社製、平均粒径:0.130μmの自己分散系顔料をそれぞれ用いた。
上記表4〜表5から、m+n+o+p=9〜18の範囲(但し、m+n+o+p=9の実施例5は表3参照)では、連続吐出性とカール量が共に評価段階4〜5を満たし、実施例7(m+n+o+p=4)及び実施例10(m+n+o+p=24)に比べて一層良好な結果が得られることが分かる。これに対し、比較例03(m+n+o+p=3)ではカール量が評価段階2であり、比較例04(m+n+o+p=30)では、カール量の評価段階は5であるが、連続吐出性の評価段階が2になってしまうことが分かる。
上記表7から、何れもカール量の評価段階が2以下の場合を含むことが分かる。
a 回転軸
1 給紙トレイ
2 圧板
3 記録紙
4 給紙回転体
5 ベース
6 圧板ばね
7 搬送ローラ
8 搬送ガイド
9 搬送ガイド
10 プラテン
11 ピンチローラ
12 手差し給紙用の給紙回転体
13 手差しトレイ
14 ラインヘッド
Claims (2)
- ラインヘッド印字装置において、請求項1に記載のインクジェット記録用インクを使用することを特徴とするインクジェット記録方法。
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