JP5373274B2 - 防振構造体 - Google Patents
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Description
そのような防振構造体の1つとして、剛性を有する硬質板と、粘弾性を有する軟質材とが交互に積層された積層部と、該積層部の積層方向端部に配設された一対の沓板とからなるものが、積層方向の圧縮力に対して高い耐力を示すことから多岐分野に渡って使用されている。
ところが、硬質板と軟質材を交互に配列したこの種の防振構造体は、積層方向の圧縮力に対して高い耐力を示すものの、積層方向の引張り力に対しては極めて弱いものであった。
このことから、本件出願人は積層方向の引張り力に対しても高い耐力を示す変位規制部材であるチェーンを配設したものを提案した(下記特許文献1参照)。
この防振構造体110は、下沓部118と上沓部120との間に、積層ゴム116をその積層方向に所定の予圧縮を付与した状態として、変位規制部材であるリンクチェーン128を連結することによって構成してなる。
ここで、積層ゴム116は、硬質板112と、軟質材であるゴム板114とを交互に積層配列したものであり、積層ゴム116への予圧縮の付与は、上下の沓部118、120間に配設されたリンクチェーン128の上端部のボルト軸136へのナット140の緊締によって行うことができる。
なおここが、「静水圧応力」とは、各主応力の平均値をいうものとする。
なお、防振主体は、複数個所で分割すると否とにかかわらず、積層体と沓板との間で分割することも可能である。
この場合、カバーは、それ自身の弾性収縮力によって防振主体の周りに密着させることが好ましい。
さらに、分割面に配置した硬質板の、相互に隣接するものに、互いの剪断方向および回転方向の動きの少なくとも一方を規制する拘束部を形成した場合は、分割面での、分割部分相互間の、剪断方向等への動きを硬質板同士の当接によって確実かつ強固に規制できる。
また、前記変位規制部材を積層体の内部空間に配設したときは、外部に配設する場合に比し、変位規制部材の配設空間を密閉状態として外部から遮断することで、異物の侵入を防止して、長期間の使用にても、変位規制部材の環境の影響による錆、腐食、脆化等による劣化を防止することができる。
さらにまた、分割部分を単位として硬質板のピッチ間隔を異ならせた場合は、前記同様に積層体における疲労強度を向上させて寿命の長大化が図れるとともに、各分割部分毎のチューニングの幅を広げることができる。
図1は本発明の防振構造体の実施形態を示す平面および縦断面図、図2は、分割個所を積層体内とした場合の、上部(および下部)の分割部分の平面および縦断面図、図3は中間の一の分割部分の平面および縦断面図である。
本発明の防振構造体の基本的な構成は、図1に示すように、剛性を有する硬質板4と粘弾性を有する軟質材5とが交互に積層された積層体3と、該積層体3の積層方向の両端部に配設した一対の上下の沓板1、2とで防振主体6を構成するとともに、この防振主体6の一対の沓板1、2を相互連結して前記積層体3に予圧縮を付与する変位規制部材7を設けてなる防振構造体において、前記積層体3を積層方向にて複数、図では三個の分割部分3A、3B、3Cに分割したことを特徴とするものである。
硬質板4の材質としては、例えば、鉄、アルミニウム等の金属材料が採用される。ただし、硬質板4を金属材料以外のナイロン等の樹脂材料により構成し、金属材料同様に接着するようにしてもよい。
積層体3の積層方向の上下の両端部に配設されたそれぞれの沓板1、2は、金属板等から構成され、軟質材5との間を加硫等により接着されて固着される。
フランジ部材1Aの中心に設けたボルト孔16には、変位規制部材であるチェーン7の上端部のボルト部材9が挿入される。該ボルト部材9に、張力調整部材を兼ねるワッシャ11を介在させてナット10を螺合して緊締する。これにより、上下の沓板1、2を介して積層体3に所定の力の予圧縮を付与することができる。
図示の例では、上部分割部分3A、中間分割部分3Bおよび下部分割部分3Cの3部分に分割されている。
ここで、分割数は、1もしくは3以上とすることも可能である。
上部分割部分3Aは、図2に示すような構成を採用する。下部分割部分3Cは、上部分割部分3Aを上下逆にして同じ構成のものを転用する。
中間分割部分3Bは、図3に示すような構成を採用することができる。
図では、上下の分割部分3A、3Cの分割面における硬質板4の外周側の辺が、中間分割部分3Bの分割面における硬質板4の外周側の辺を囲むように曲折される。
各分割部分3A、3B、3Cにおける硬質板4の円形の内周側の対向部には、それぞれテーパ面からなる調芯部13が形成される。
さらに、分割部分の相互間の、剪断方向あるいは回転方向の動きを、前記拘束部12によって確実かつ強固に規制することができる。
ところで、前記拘束部12は、平面視で8角形以外の非円形硬質板の外周辺に成形することができる他、円形状の硬質板の外周の一部に形成されて相互に掛合する、たとえば雌雄構造のものとすることもできる。
無論、過大な引張り入力に対しては、変位規制部材であるチェーン7が強力な耐力を示し、圧縮荷重に対しては軟質材5と硬質板4との交互積層配置により強力で効果的な防振機能が発揮されることになる。
併せて多方向の複合変位時にも柔軟かつ確実な拘束力が得られる。
これにより、積層体3の、曲げモーメントによる、それぞれの硬質板間の軟質材の変形がほぼ等しくなって、ピッチ変化による各硬質板4、4間での静水圧応力分散が可能となり、積層体3における疲労強度を向上させて寿命の長大化が図れる。
フランジ収納凹部を利用したフランジ部材の装着の他、変位規制部材を直接に沓板に固定することもできる)、形式および材質、変位規制部材の形状、形式(チェーンが好適であるが、横方向および圧縮方向の変位を許容する適宜のリンク機構等も採用される)、積層部への予圧縮付与形態(変位規制部材のボルトへのナットの緊締度合の選定の他、ワッシャの厚みを変えて予圧を調整してもよい)、積層部の分割数(2以上)、分割面における硬質板の規制部の形状(平面視非円形の辺同士の係合の他、円形の一部に互いに係合する規制部を形成してもよい)、積層部の内部空間の形状、積層部における硬質板間のピッチ間隔(漸増あるいは漸減もしくは任意間隔)、積層部における分割単位毎に硬質板間のピッチ間隔等については適宜選定することができる。
ここで、このカバー21は、たとえば、一山ベローズタイプの円環状のゴム膜体とすることができ、このようなカバー21は、それ自身の半径方向の弾性収縮力に基いて、防振主体6の周りに、分割面8を跨いで密着させることが、カバー21の、防振主体6への密着度を高める上で好ましい。
1A フランジ部材
1C フランジ収納凹部
2 下部沓板
2A フランジ部材
3 積層体
3A 上部分割部分
3B 中間分割部分
3C 下部分割部分
4 硬質板
5 軟質材
6 防振主体
7 チェーン
8 分割面
9 ボルト部材
10 ナット部材
11 ワッシャ
12 拘束部
13 調芯部
14 取付孔
15 空洞部
16 ボルト孔
Claims (8)
- 剛性を有する硬質板と、粘弾性を有する軟質材とを交互に積層してなる積層体の、積層方向の両端部に一対の沓板を配設して防振主体とし、この防振主体の一対の沓板を相互に連結して前記積層体に予圧縮を付与する変位規制部材を設けてなる防振構造体において、
前記防振主体を積層方向で複数の部分に分割し、
前記複数の部分間の分割面における、相互の対向部分に、互いに当接するそれぞれの硬質板を配置し、
前記変位規制部材を積層体の内部空間に配設し、
前記分割面における、相互の対向部分に配置された前記それぞれの硬質板が、それぞれの内周側部分に、テーパ面により形成される調芯部を一体に有し、
それぞれの前記調芯部のテーパ面が、前記積層体の積層方向に直交する方向に対して同一方向に傾斜して互いに当接してなる防振構造体。 - 分割されたそれぞれの部分の各分割面に配置された硬質板の、相互に隣接するものに、互いの剪断方向および回転方向の少なくとも一方の動きを規制する拘束部を形成してなる請求項1に記載の防振構造体。
- 前記変位規制部材をチェーンとしてなる請求項1または2に記載の防振構造体。
- 積層体内の硬質板のピッチ間隔を異ならせてなる請求項1〜3のいずれかに記載の防振構造体。
- 分割部分を単位として硬質板のピッチ間隔を異ならせてなる請求項1〜4のいずれかに記載の防振構造体。
- 防振主体の分割個所を複数個所としてなる請求項1〜5のいずれかに記載の防振構造体。
- 防振主体の各分割個所を外側から覆うカバーを設けてなる請求項1〜6のいずれかに記載の防振構造体。
- カバーを、それ自身の弾性収縮力によって、防振主体の周りに密着させてなる請求項7に記載の防振構造体。
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