以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。
図1は本発明による粘着テープ包装袋の断面図、図2はその分解斜視図である。図示の粘着テープ包装袋10は、支持体12と、支持体12の一方の面に粘着剤層14とを有する粘着テープ16を包装するものであり、粘着テープ包装袋10の本体を構成する第1包装シート(第1シート部分)18及び第2包装シート(第2シート部分)20とを備える。粘着テープ16、第1包装シート18及び第2包装シート20はいずれも、長方形が好ましい。
今、図1及び図2に示すように、粘着テープ16が粘着剤層14を上向きとして水平に置いた状態とすると、第1包装シート18は下側、第2包装シート20は上側に配置され、第2包装シート20は粘着剤層14に剥離可能に付着する。また、第1包装シート18は粘着テープ16の支持体12に、以下で詳細に説明する疑似接着剤やホットメルト接着剤等のような仮止め手段22によって剥離可能に付着する。仮止め手段22は、第1包装シート18と粘着テープ16との接触部分全面に設けてもよいが、図2に示すように、その一部分だけでもよい。この粘着テープ包装袋10は、特許文献7に記載の連結部材の如きものがなく、単純な構造となっている。
本発明の粘着テープ包装袋10は、ラベル、医療用、化粧用、装飾用、マスキング用、電子工業用、その他種々の用途に使用される。特に、医療用、化粧用等で使用される粘着テープ包装袋は、パップ剤、プラスター剤、絆創膏、サージカルテープ、化粧用パック剤、貼るタイプのカイロ等通常皮膚、粘膜等に貼付される貼付剤の包装袋として用いることが可能である。
支持体12の構成材料は、粘着剤層14を支持し得るものであれば特に制限されないが、通常、織布、不織布、プラスチック等からなるフィルム、金属箔等が用いられる。更に支持体は、単層構造でも積層構造であってもよく、例えば異なる材料からなる複数の織布又は不織布を積層した構造であってもよく、プラスチックフィルム、金属箔等と織布又は不織布を積層した構造であってもよい。
また、本発明に用いる織布又は不織布は、特に限定はされず、繊維状の素材を布状に加工したものであって、粘着テープの支持体に使用できるものであればよく、例えば編み目を丸編み、経て編み、緯(よこ)編み等により集合させて布状に加工した編布も含まれる。
織布又は不織布の好ましい例としては、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂からなる群より選ばれる樹脂繊維の少なくとも一種からなる織布又は不織布が挙げられ、中でも粘着剤層に含有される成分との相互作用が少ないポリエステル系のポリエチレンテレフタレートからなる織布が好ましい。
プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸セルロース、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、アイオノマー樹脂を用いて形成されたものが挙げられる。また、本発明の粘着テープを医療用、化粧用の貼付剤として用いる場合に、支持体には、貼付剤としての十分な伸縮性又は非伸縮性を有する材料を用いることが好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレートのメリヤス編みの織布(編み布)が好ましい。
支持体12としての編み布は、その目付け(単位当たりの質量)が50〜500g/m2であることが好ましい。また、支持体12は、JIS L1018の方法に従って測定した場合、縦方向(長軸方向)モジュラスが2〜12N/5cm、横方向(短軸方向)モジュラスも2〜12N/5cmであることが好ましい。なお、ここでいう縦方向とは、編み布を製造する工程における流れ方向のことを指し、横方向とは、縦方向と直交する方向、すなわち幅方向のことを指す。縦方向又は横方向が2N/5cmより低いモジュラスである場合、貼付部分にしわを伸ばしながら貼付することが困難な傾向がみられ、また、縦方向又は横方向が12N/5cmより高いモジュラスである場合は、逆に貼付の際に粘着テープが伸びすぎ、しわが生じやすくなる傾向がある。なお、モジュラスは室温(25℃)の値である。
上記の支持体12を用いることにより、後述する仮止め手段22による仮止めが容易となり、また、仮止めから取り外した後の支持体12の形状、構造に殆ど変化がない。すなわち、例えば毛羽立ち等が生じない。
粘着剤層14の構成材料である粘着成分としては、粘着性を有し貼付部位に粘着することができれば特に限定はされないが、粘着基剤としてアクリル系粘着成分、ゴム系粘着成分、シリコン系粘着成分等が好ましく用いられ、中でも粘着物性の観点から、ゴム系粘着成分が特に好ましく用いられる。
具体的なゴム系粘着成分としては、天然ゴム、合成ゴムのいずれも使用することができ、合成ゴムとしては、例えば、スチレン系ブロックコポリマーやポリイソブチレンが挙げられる。更に、スチレン系ブロックコポリマーとしては、スチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS)が挙げられる。
スチレン系ブロックコポリマーの具体例としては、クレイトンD−1112、D−1111、D−1107(商品名、クレイトンポリマー(株)製)、JSR5000又はJSR5002(商品名、日本合成ゴム(株)製)、クインタック3530、3421又は3570C(商品名、日本ゼオン(株)製)、クレイトンD−KX401CS又はD−1107CU(商品名、クレイトンポリマー(株)製)等のリニアトリブロックコポリマーや、クレイトンD−1124(商品名、クレイトンポリマー(株)製)、ソルプレン418(商品名、フィリップペトロリアム(株)製)等の分岐ブロックコポリマー等が挙げられる。
ポリイソブチレンとしては、例えば高分子から低分子のものが用いられ、例えば、オパノールB10、B12、B12SF、B15、B15SF、B30SF、B50、B50SF、B80、B100、B120、B150、B200(商品名、BASF(株)製)、ビスタネックスLM−MS、LM−MH、LM−H、MM L−80、MM L−100、MM L−120、MM L−140(商品名、エクソン化学(株)製)等が挙げられる。
また、アクリル系高分子としては、モノマー単位として、例えば、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等に代表される(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも一種含有する重合体又は共重合体等が用いられ、例えば、アクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・N−ビニル−2−ピロリドン・ジメタクリル酸−1,6−ヘキサングリコール共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・メタクリル酸−2−エチルヘキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体、アクリル酸メチル・アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂アルカノールアミン液に含有するアクリル系高分子等の粘着剤、Duro−Takアクリル粘着剤シリーズ(ナショナルスターチアンドケミカル社製)、GELVAアクリル粘着剤シリーズ(モンサント社製)、SKダインマトリダーム(綜研化学)、オイドラギットシリーズ(樋口商会)等が使用できる。
上記ゴム系、アクリル系、シリコン系等の粘着基剤は、一種又は二種以上を混合して用いることも可能である。
更に、本発明の粘着テープを医療用のパップ剤、プラスター剤、化粧用のパック剤として用いる場合には、粘着剤層として水溶性高分子も用いることができ、このような水溶性高分子としては、ゼラチン、寒天、アルギン酸、マンナン、カルボキシメチルセルロース又はその塩、ヒドロキシプロピルセルロース又はその塩、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸又はその塩等、あるいは、これらのうちの少なくとも一種を有機又は無機の架橋剤により架橋したものが好ましく用いられる。
上記の粘着基剤の他、粘着剤層には適宜、粘着付与剤、軟化剤、溶解剤、水、増粘剤、湿潤剤、充填剤、架橋剤、重合剤、溶解補助剤、吸収促進剤、安定化剤、抗酸化剤、乳化剤、界面活性剤、pH調整剤、薬物、紫外線吸収剤等が添加される。
本発明の粘着テープを医療用、化粧用の貼付剤として用いる場合の薬物としては、経皮的に体内に吸収されて薬理効果を発揮するものであれば特に限定されることはなく、例えば、抗炎症剤、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、血行促進剤、麻酔剤、精神安定剤、抗高血圧剤、抗菌剤、血管拡張剤等が挙げられる。
本発明の第1包装シート18及び第2包装シート20は、粘着テープ16の包装袋として通常使用されているものであれば用いることができる。また、第1包装シート18及び第2包装シート20は、単層又は積層のいずれでもよく、また、構成する材料も本発明の効果を奏するのであれば特に限定されない。例えば、紙、不織布、アルミニウム、セロハン、ナイロン、高密度又は低密度のポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、エチレンビニルアルコール共重合体等から適宜選択することが可能である。
更にこれらに印刷インキ若しくは接着剤等を塗布したもの、又は蒸着若しくはスパッタリング等の方法で薄膜を設けたものであってもよい。薄膜としては、アルミニウム等の金属の他、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等のガスバリヤ性及び透明性の高い薄膜が好適である。この中でも、アルミニウムを含むフィルムが好ましく、更にポリエチレン、アルミニウム、ポリエチレンを順次積層したものがより好ましく、更にまた最外層にセロハンを積層したものが好ましく用いられる。
これらの包装シート18,20は、柔軟性を有するものが好ましい。従って、包装シート18,20の厚みとしては、特に限定はされないが10〜500μmの範囲であることが好ましく、15〜300μmの範囲であれば更に好ましい。なお、第1包装シート18に関しては、以下でも述べるが、粘着テープ16を支え或いは補強するための機能を持たせることが好ましいため、第2包装シート20よりも厚くしてもよい。
図2から理解されるように、この粘着テープ包装袋10は次のようにして形成される。すなわち、まず第1包装シート18上に、以下で詳細に説明する仮止め手段22を複数箇所に設けておき、その上に、粘着テープ16を、支持体12を下にして置いて仮止めする。次いで、粘着テープ16を覆うようにして、後述するシリコン処理24が施された第2包装シート20を置き、第1包装シート18との間で粘着テープ16を封じるのである。
粘着テープ16を封じる方法としては、第1包装シート18と第2包装シート20との重ね合わされた部分のうち、粘着テープ16を囲む部分を密閉する方法が好ましい。両者が密閉されると、内部が外界と遮断されるため、粘着テープ16がより衛生的かつ物理的に保護され、粘着剤層14に含まれる成分が外界に漏れない、揮発しない等の利点がある。
互いに重ね合わされた第1包装シート18と第2包装シート20とを密閉する方法としては、ヒートシール法の他、接着剤等を使用した方法が考えられる。また、両者の周囲をテープで留めてもよい。
更に、粘着テープ包装袋の開封を容易にするために、第1包装シート18と第2包装シート20との周囲を密閉する手段として、いわゆるイージーピール技術を用いることも有効である。イージーピールとは、特許庁ホームページから入手可能な技術分野別特許マップ、一般21「接着」第335頁(www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/map/ippan21/4/4−3−1.htm)に記載されているように、易剥離性を意味し、容器・包装においてヒートシールにより封緘し、明ける時に波がしやすくしたものをいう。イージーピールは、具体的には、第1包装シート18と第2包装シート20との間における接着剤層(図1の符合26の箇所)自体が破壊されて剥離する凝集剥離タイプや、接着剤層26と第1包装シート18又は第2包装シート20との接着強度を低くしておき、開封時に第1包装シート18又は第2包装シート20が接着剤層26から剥離する層間剥離タイプ、更には、EVA等の易接着性樹脂を用いる界面剥離タイプ等、種々のタイプがあり、特に限定されるものではないが、表面にポリエチレン層が配置されるシート材が第1包装シート18及び第2包装シート20として使用される場合には、接着剤層26として、例えば、高密度ポリエチレンを主体とした樹脂層と、低密度ポリエチレンに凝集破壊を引き起こす樹脂が添加されたイージーピール性樹脂層とからなる2層構造のものを使用するとよい。
なお、完成した粘着テープ包装袋10の角部が尖っていることを避けるため、第1包装シート18及び第2包装シート20は、完成した粘着テープ包装袋10の角部の一部、好ましくは図2に示したように、四隅の全てが丸められた形状となるよう、略長方形の形状とすることが好ましい。
更に、第1包装シート18及び第2包装シート20の全部又は一部の辺縁は、貼付時に、例えばそれらの辺縁により貼付部位もしくはその周辺を傷めないように、辺縁を波形、パルス形、短冊状の形状にしたり、辺縁の最末端はあえて接着しない等の手段も用いることができる(図3の(a)〜(d)参照)。
更に、開封時に第2包装シート20を第1包装シート18から引き剥がしやすいように辺縁にノッチを施したり、第1包装シート18及び第2包装シート20に開封のための脆弱部分を設けたりすることも適宜用いることも可能である。
また、同じ目的で、図4の(a)や(b)に示すように、第1包装シート18と第2の包装シート20の端の部分を接着せずにおき、その非接着部分28を摘めるようにしてもよい。特に、図4の(b)に示すような形状とした場合には、非接着部分28を広く取ることができ、より摘みやすくなる。勿論、前述したイージーピール技術の併用により、より開封が容易になる。
更に、図5の(a)及び(b)に示す粘着テープ包装袋10も開封を容易にしたものであり、第1包装シート18と第2包装シート20の端の部分全体を接着せずにおき、その非接着部分28を摘めるようにしたものである。この場合、非接着部分28の面積が包装袋10の幅全域の大きなものとなるため、より摘み易いという利点がある。また、上記と同様、シール部分(一点鎖線の部分)にイージーピール技術を施すことにより、更に開封が容易となるが、図5の(a)において二点鎖線で示す部分を、例えば熱を加える等して弱め線としておくと、シール部分をイージーピールとしなくとも、弱め線に沿ってシール部分を容易に横切って所望の形状に第2包装シート20を切り離すことが可能となる。
また、図5の(a)に示すように、第1又は第2の包装シート18,20の一方、例えば第2包装シート20の非接着部分28の辺縁にノッチ等の触感により認識できる印40を付けておくことも好ましい。本発明においては、粘着テープ包装袋10を開封した際、後述するように粘着テープ16の粘着剤層14が上向きとなっていることが貼付作業には便利であるが(図5参照)、触感で認識できる印40を第1又は第2の包装シート18,20の少なくとも一方に設けることで、目が不自由な者も包装袋10の上下を判断することが可能となる。触感で認識できる印40は、ノッチの他、図3に示すような形状、エンボス加工、突起等、様々なものが考えられる。
図5の(b)の構成もその一種であり、第2包装シート20の非接着部分281を第1包装シート18の非接着部分282よりも長くして、上下を触感で判断できるようにしたものである。このような印は、図4に示す構成にも適用可能なことは勿論である。なお、図5の(b)に示すように非接着部分281,282の縁部の位置をずらして段差を付けることで、より一層、被接着部分281を摘み易くできるという効果を奏する。
本発明においては、開封すると、第2包装シート20が粘着テープ16の粘着剤層14から剥離して粘着剤層14を露出させることを特徴の一つとしているため、第2包装シート20は、粘着テープ16の粘着剤層14と第2包装シート20との付着力を抑制する付着力抑制手段を設けておくことが好ましい。この付着力抑制手段としては、第2包装シート20の、粘着テープ16と接する側の全面に剥離処理を施すというものが考えられるが、図1の符号24で示すように、第2包装シート20の全面でなくともよい。また、この付着力抑制手段は、粘着テープ包装袋10の開封時に粘着テープ16が第2包装シート20から容易に剥離されることを目的としているため、粘着テープ16が接する第2包装シート20の部分だけに剥離処理を施してもよいし、かかる目的を達成できるのであれば、その部分の更に一部分のみを剥離処理してもよい。
剥離処理としては、剥離剤を用いる方法の他、エンボス加工、サンド加工等の物理的に剥離を行いやすくする方法も含まれる。剥離剤としては、シリコン系剥離剤、アルキルペンダント系剥離剤、縮合ワックス系剥離剤等のいずれも用いることができ、この中でもシリコン系剥離剤を用いたいわゆるシリコン処理が好ましい。シリコン処理は、比較的容易且つ安価に行うことができるという利点があるからである。シリコン処理を施すことにより、粘着テープ包装袋10の使用に際して第2包装シート20を取り除いたときに、簡単に粘着剤層14が露出する。すなわち、第2包装シート20が従来の剥離シートと同様な機能を有することとなり、剥離シートを無くして省資源という効果を奏することができる。
また、粘着テープ16の支持体12については、第1包装シート18に付着した状態を維持できることが有効である。そのため、図示実施形態では、第1包装シート18に、粘着テープ16の支持体12の少なくとも一部を一時的に保持できる手段、すなわち仮止め手段22を設けている。仮止め手段22としては、特に限定されることはないが、例えば、磁力、静電気力、又は物理的な力、例えばマジックテープ、両面テープ、粘着剤、接着剤の他、疑似接着、第1包装シート18又は支持体12の材質、性状等によっては溶着、熱接合、強押し、型押し、ホットメルト接着剤等を用いることができる。特に、包装シート18の内側となる層が所定の温度で溶融する熱可塑性材料からなり、かつ、粘着テープ16の支持体12が例えば織布から形成されている場合には、包装シート18の内側層を溶融させて支持体12の織布に浸透させ、そこで固化できるので、熱接合による仮止めが有効である。また、包装シート18が熱可塑性を有していない場合であっても、支持体12の材料に熱可塑性材料を含ませることで、熱接合を行うことも考えられる。また、包装シート18の内側となる面をエンボス加工して多数の突状部分を形成し、支持体12にこれらの突状部分を引っ掛けて保持するという手段も適用可能である。
なお、疑似接着とは、前述した特許庁ホームページから入手可能な技術分野別特許マップ、一般21「接着」第336頁に記載されているように、平常では粘接着性を有さないが、特殊加圧条件等で接合するものをいい、粘着剤に添加物を加えて生成された疑似接着剤が用いられる。疑似接着剤としては、種々の公知の疑似接着剤を採用することができる。このような疑似接着剤は、第1包装シート18の一部に塗布すればよく、それも点状や線状であってもよい。また、第1包装シート18の全面に塗布してもよい。また、疑似接着剤を塗布するのではなく、疑似接着樹脂層を必要箇所に形成してもよい。
疑似接着剤や熱接合等の仮止め手段22を介しての、第1包装シート18に対する粘着テープ16の支持体12の付着力が、第2包装シート20に対する粘着剤層14の付着力よりも高ければ、シリコン処理面等の付着力抑制手段24がなくても、粘着テープ包装袋10の使用に際して粘着テープ16の粘着層剤が第2包装シート20から分離しやすくなるが、このような仮止め手段22の設置をシリコン処理面24と併用すると、更に好ましい。
なお、仮止め手段22を介しての、第1包装シート18に対する粘着テープの支持体12の付着力、貼付部位に対する粘着テープ16の粘着剤層14の付着力(粘着力)、及び、第2包装シート20に対する粘着テープ16の粘着剤層14の付着力(粘着力)は、以下のような関係になる。
貼付部位に対する粘着剤層14の付着力
>仮止め手段22を介しての、第1包装シート18に対する支持体22の付着力
>第2包装シート20に対する粘着剤層14の付着力
以上述べたように、本発明による粘着テープ包装袋10は、剥離シートが省略された形態を採るため、省資源効果に優れ、また、一枚単位で製品化されるため、携帯利便性に優れるものである。このような粘着テープ包装袋10の使用方法について図6を参照して簡単に説明する。
まず、第1包装シート18及び第2包装シート20の周囲の封じられた部分の一端から、第2包装シート20を引き剥がす。特に、粘着テープ16の粘着剤層14と第2包装シート20との付着力を抑制するシリコン処理が第2包装シート20に施されている場合は、容易に第2包装シート20は粘着テープ16の粘着剤層14から剥がれ、第2包装シート20を完全に取り除くと、粘着テープ16の粘着剤層14が露出する。
また、第1包装シート18には仮止め手段として疑似接着剤22が設けられているため、図6に示すように第1包装シート18に粘着テープ16が付着した状態に維持される。従って、第1包装シート18が粘着シート16の補強ないしは支えとして機能するため、粘着テープ16がよれたり、しわになったりすることがなく、粘着テープ16の平面性が維持される。また、第1包装シート18の辺縁を、手でしっかり保持することができ、粘着テープ16を貼付部位に当てる際に落下させる危険が小さく、また、貼付する際に粘着テープ16がぶれたり、重力によって意図しない方向に垂れ下がったりする心配が小さいため、安心して貼付部位に狙いを定めて貼付することができる。更に、貼付部位が一人では貼付しにくい背中等であっても、片手で容易に貼付することもできる。
また、上述の使用動作においては粘着剤層14が貼付部位以外の皮膚に接触するおそれが小さい。従来型の粘着テープの使用でしばしば体験する手指等への粘着剤層のべたつきがなく衛生的であり、しかも、粘着剤同士が接着し、貼付剤が使用できない状態となることもない。
なお、図6は、本発明の粘着テープ16が特に医療用、化粧用等の貼付剤として用いられる場合の態様を示すが、これ以外の用途で用いる場合も同様の方法により貼付することができることは容易に理解されよう。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。
例えば、上記の説明では第1包装シート、第2包装シート及び粘着テープが略長方形である場合について説明したが、これらは正方形、円形、楕円形、小判形等、種々の平面図形をかたどった形状であってもよい。
また、本発明の製造方法も特に限定されることはない。
更に、上記実施形態では、粘着テープ包装袋10の本体を2枚の包装シート18,20から形成することとしているが、図7に示すように、1枚の包装シート50を2つに折り曲げて、下側の第1シート部分518と上側の第2シート部分520との間に粘着テープ16を挟む形を採るようにしてもよい。この場合、折り曲げた辺以外の3辺が上述の密閉方法で閉じられることになる。
また、第1包装シート18と第2包装シート20との互いに重ね合わされた部分を、ヒートシール法により密閉した場合には、開封をより一層容易にするために、例えば図8に示すように、ヒートシール部60の一部を山形ないしは三角形の鋸歯形状とすることが好適である。このような形状のヒートシール部60にあっては、非接着部分65を摘んで第1包装シート18と第2包装シート20とを互いに離れる方向に引くと、その引張り力が鋸歯形状のヒートシール部60のいずれかの山の頂部に集中することになり、その頂部からヒートシール部60の破断が開始することになる。例えば図8において右上端から開いた場合には、符号68で示す山の頂部に力が集中する。特に、図8に示す形状においては、山の頂部は点であるため、引張り力が小さくとも、その力は一点に集中するため、容易に破断が開始する。ヒートシール部60において破断が一旦開始すると、更に大きな引張り力を加えることなく、この破断開始点を起点として他の部分に破断が伝播していき、ヒートシール部60全体が破断して、粘着テープ包装袋10は図6の状態となる。
なお、鋸歯形状のヒートシール部60の山の高さH及びピッチPについては適宜定めることができる。しかしながら、Hに対してPが大きい場合、山の頂部の角度が大きくなり、力の集中という効果が損なわれる。また、Pが小さいと、部分65に加えられた引張り力が2以上の山の頂部に分散することとなり、開封に大きな力を要することになる。一方、Hが小さいと、直線状のヒートシール部に近いものとなり、この場合も開封に大きな力を要する。このような点を考慮すると、Hは10mm前後、Pは10〜20mm程度とすることが好適である。
図9の(a)は、図8のヒートシール部60の変形であり、鋸歯形状のヒートシール部の内側となる縁を直線状としたものである。このように一方の縁を直線状とすることで、ヒートシール部60の破断時の感触が滑らかなものとなる。
また、力を一点に集中させることでヒートシール部60の破断が容易となることから、図9の(b)に示すように、摘み部分65に向かって突出する凸点70を一つだけヒートシール部60に形成することとしてもよい。なお、図9の(b)の構成では、ヒートシール部60の凸点70以外の部分が緩やかな山形となっているが、これは、凸点70からの破断が他の部分に伝播し易くするためである。
更に、第1包装シート18と第2包装シート20との接合手段はヒートシールに限られず、接着剤等を用いる手法も考えられるが、接着剤その他による面接合部の外縁にも、外側に突出する少なくとも一点の凸点を形成することで、図8及び図9に示すヒートシール部60と同様な易開封性を得ることができる。
また、図10は、図4の(b)に示す構成において、ヒートシール部に前述の凸点68,70を設けるという概念を適用したものを示している。この構成では、ヒートシール部60の凸点69に対して摘み部分65のうち角部が正対している。この角部を通常、使用者が摘んで包装袋10を開封しようとするため、凸点69に直に力が作用し易く、剥離し易いという特徴がある。
なお、図8、図9の(a)、(b)及び図10の構成においても、図4の(b)の構成を適用することができる。すなわち、図示しないが、例えば図8の構成にあっては、第1包装シート18と第2包装シート20のうちの一方の部分65を他方の部分65よりも長くすることができ、その場合には、部分65を極めて容易に摘むことができ、使用者にとって有効なものとなる。
粘着剤として、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー20部、ポリイソブチレン20部、流動パラフィン45部、水添ロジングリセリンエステル15部を混合し、ポリエチレンテレフタレートの織布に展延し、粘着テープを得た。また、ポリエチレンテレフタレート、アルミニウム、ポリエチレンの積層フィルム(厚み 80μm)を粘着テープよりも大きな面積となるように裁断し、それを包装シートとして2枚用意した。そして、一方の包装シートの一面全体に付着力抑制手段としてシリコン処理を施した。次いで、他方の包装シートの一部に仮止め手段として粘着剤を塗布した後、支持体が仮止め手段に接するようにして粘着テープをこの他方の包装シート上に置き、更にもう一方の包装シートを他方の包装シートに重ね合わせた。続いて、粘着テープが内包されるように、2枚の包装シートの縁部をヒートシールした。これによって、図1に示す形態の粘着テープ包装袋を得た。
このような粘着テープ包装袋を開封した場合、図6に示すように、一方の包装シートに粘着テープが残された。この後、粘着テープを包装シートと共に皮膚に押し付けた後、包装シートを剥がすと、粘着テープが皮膚に貼付された状態で残された。この方法により、粘着テープは皮膚に、確実にかつ円滑に、しかも皺が寄ることなく、容易に貼付された。
なお、上記実施例の要領により、ヒートシート部の形成条件を変えて図8に示す形状の粘着テープ包装袋を複数作製し、開封力試験でヒートシール部(図8の符号60の部分)の開封に要する力を測定すると共に、官能試験で各包装袋の性能を評価した。
開封力試験では、引張試験器オートグラフAGS−1kgNG(島津製作所製)を用いた。そして、包装袋の開封端(図8において第1包装シート18と第2包装シート20の摘み部分65の上部)をそれぞれ掴み治具にセットし、開封速度300mm/minで相反する方向に引っ張るとき(いわゆるT形開封するとき)の、ヒートシール部の開封に要する25mm幅当たりの力を測定した。その測定結果は次表の通りである。
上記の表から、包装袋の開封に要する力が0.5〜10N/25mmの範囲であるとき、官能試験結果が「良い」となり、とりわけ1〜5N/25mmの範囲であるとき、官能試験結果が「特に良い」となっていることが分かる。この結果から、包装袋の開封に要する力が0.5〜10N/25mmの範囲、より好ましくは1〜5N/25mmの範囲となるように、ヒートシール部の形成条件を定めることが望ましい。これにより、非力である高齢者や患者にとっても開封し易く、かつ、密封性の良い粘着テープ包装袋を得ることが可能となる。