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JP5365331B2 - 有機絶縁材料、樹脂膜及び半導体装置 - Google Patents

有機絶縁材料、樹脂膜及び半導体装置 Download PDF

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JP5365331B2 JP2009110669A JP2009110669A JP5365331B2 JP 5365331 B2 JP5365331 B2 JP 5365331B2 JP 2009110669 A JP2009110669 A JP 2009110669A JP 2009110669 A JP2009110669 A JP 2009110669A JP 5365331 B2 JP5365331 B2 JP 5365331B2
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Description

本発明は、有機絶縁材料、樹脂膜及び半導体装置に関する。
近年、電子材料分野においては、半導体デバイスの微細化、高集積化、高速化及び高性能化が進むに従って、半導体集積回路の配線間抵抗の増大や電気容量の増大による遅延時間が大きな問題となってきている。この遅延時間を減少させ、半導体デバイスをより高速化させるためには、低誘電率の絶縁膜を回路に用いることが必要である。また、半導体デバイスを製造する際には、加熱工程が含まれることから、そのような絶縁膜には高い耐熱性が要求される。よって、低誘電率且つ高耐熱性を兼ね備えた材料の開発が望まれていた。
絶縁膜を低誘電率化するためには、材料の極性を低減する、あるいは絶縁膜を低密度化するといった手法が主に検討されている。例えば、極性を低減するために、極性の高い窒素等の元素を含まない材料とする手法(例えば、特許文献1参照。)、また密度を下げるために、アダマンタン等の分子内に空間を有する嵩高い構造を材料に導入する手法(例えば、特許文献2参照。)、さらには直鎖ポリマー同士を多官能性モノマーで縮合重合させ、多分岐構造のポリマーを形成することにより低密度化する手法(例えば、特許文献3参照)等の手法がある。
しかしながら、極性の高い窒素等の元素を含まない材料や、密度を低減させるためにアダマンタン等の嵩高い構造を導入したものは、誘電率が2.3台の値まで低減されているものはあるものの、半導体分野で求められている2.2以下の誘電率は実現していない。また、直鎖ポリマー同士を多官能モノマーで縮合重合させて、多分岐構造のポリマーを形成することにより低密度化する方法は、縮合重合中に反応物がゲル化(不溶化)しやすいことから、ゲル化を起こさせないために、多官能モノマーとして例えば3官能モノマーの量を少なくすると、ポリマーの分岐度が低くなり、分岐構造により発現する低誘電率化効果が少ない。
特開2006−265513号公報(段落番号0034及び0061) 特開平11−214382号公報(段落番号0024〜0026) 特開2000−80272号公報
本発明はこのような事情のもとで、低誘電率、高耐熱性及び高機械強度を兼ね備えた樹脂膜を得ることができる有用な有機絶縁材料を提供することにあり、また、低誘電率、低密度、高耐熱性及び高機械強度を兼ね備えた樹脂膜を提供することができ、さらにそれを用いた半導体装置を提供することにある。
即ち、本発明は、第(1)項から第(6)項の本発明により達成される。
(1) 重合性不飽和結合を含む基と、アダマンタン構造を最小単位とするかご型構造を有するかご型構造化合物のプレポリマーを含む有機絶縁材料であって、前記プレポリマーは、GPC−RALLS法により測定される重量平均分子量及び慣性半径の両対数グラフにおける重量平均分子量が50万以上200万以下の範囲の直線の傾きが、0.33以上0.47以下である、有機絶縁材料。
(2) 前記アダマンタン構造を最小単位とするかご構造は、アダマンタン構造、ポリアマンタン構造、ポリ(ポリアマンタン)構造又はポリアダマンタン構造である、第(1)項に記載の有機絶縁材料。
(3) 前記かご型構造化合物は、下記式(1)で表される化合物である、第(1)項又は第(2)項に記載の有機絶縁材料。
(式(1)中、X及びYは、それぞれ、同一又は異なる重合性不飽和結合を含む1又は2以上の基を示す。W及びZは、それぞれ、アダマンタン構造又はポリアマンタン構造を有する基を示し、同一又は異なっていても良い。nは0又は1以上の整数である。)
(4) 前記重合性不飽和結合を含む基は、炭素−炭素三重結合を含む基又は炭素−炭素二重結合を含む基である、第(1)項乃至第(3)項のいずれか1項に記載の有機絶縁材料。
(5) 第(1)項乃至第(4)項のいずれか1項に記載の有機絶縁材料を、加熱、活性エネルギー線照射、又は加熱と活性エネルギー線照射により、架橋反応させて得られる樹脂膜。
(6) 第(5)項に記載の樹脂膜を具備する、半導体装置。
本発明によれば、低誘電率、高耐熱性及び高機械強度を兼ね備えた樹脂膜を得ることができる有機絶線材料及び樹脂膜用ワニスを提供することができる。前記有機絶縁材料及び樹脂膜用ワニスより得られる樹脂膜は、耐熱性、機械特性及び電気特性に優れ、特に低誘電率であることから、それを用いた半導体装置は、配線遅延を低減することができる。
本発明の半導体装置の一例を模式的に示した断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、重合性不飽和結合を含む基と、アダマンタン構造を最小単位とするかご型構造を有するかご型構造化合物のプレポリマーを含む有機絶縁材料であって、前記プレポリマーは、GPC−RALLS法により測定される重量平均分子量及び慣性半径の両対数グラフにおける重量平均分子量が50万以上200万以下の範囲の直線の傾きが、0.33以上0.47以下である、有機絶縁材料である。これにより、電気特性及び機械特性に優れる絶縁材料が得られるものである。
また、本発明の樹脂膜は、前記有機絶縁材料を、加熱、活性エネルギー線照射、又は加熱と活性エネルギー線照射することにより、有機絶縁材料中のプレポリマーを架橋反応させて得られるものである。これにより、耐熱性、機械特性及び電気特性に優れる樹脂膜が得られるものである。
また、本発明の半導体装置は、上記樹脂膜を具備するものである。
まず、本発明の有機絶縁材料について説明する。
本発明の有機絶縁材料は、前記かご型化合物における前記重合性不飽和結合同士の一部又は全部を反応させて得られるプレポリマーを含むものである。そのプレポリマーは、前記重合性不飽和結合同士の反応部として、前記重合性不飽和結合同士が一部又は全部反応して新たに生成した重合性不飽和結合を有しているものである。
本発明において、重合性不飽和結合を含む基と、アダマンタン構造を最小単位とするかご型構造を有するかご型構造化合物のプレポリマーは、オリゴマーであってもポリマー状であっても良いが、そのGPC−RALLS法により求められる分子量(Mw)を横軸、慣性半径(Rh)を縦軸とした両対数グラフにおいて、重量平均分子量50万以上200万以下での傾きが、0.33以上0.47以下であり、好ましくは0.35以上0.47以下であり、より好ましくは、0.40以上0.45以下である。傾きが前記下限値を下回ると、プレポリマー構造において分岐が多くなり、有機溶剤への不溶化を引き起こす可能性があり、その場合、目的とする樹脂膜を得ることができない。前記上限値を超えるとプレポリマー構造の分岐が少なく、樹脂膜とした場合に分岐による密度低下が不十分であり、誘電率が十分に低くならない。
本発明におけるGPC−RALLS法は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)とレーザー光散乱検出器を組み合わせて、プレポリマー溶液を特定の光散乱角で測定することにより、プレポリマーの絶対的な重量平均分子量、慣性半径及び分岐度などを得ることができる。上記測定は、例えば、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、プレポリマー濃度を0.1wt%として、光散乱角90°で測定することができる。
本発明において、上記GPC−RALLS法により測定される重量平均分子量(Mw)を横軸、慣性半径(Rh)を縦軸とした両対数グラフにおける傾きは、プレポリマーの分岐度を示し、分岐度が小さいと、傾きが大きくなり、分岐度が大きいと傾きが小さくなる。
このようにして得られる両対数グラフにおける傾きが上記範囲とすることにより、プレポリマー構造が多分岐構造となり、樹脂膜における密度低下を生じて、樹脂構造のみの効果により誘電率2.2以下の材料となるものである。
本発明において、かご型構造化合物のプレポリマーは、高分子量化することで、かご型構造を中心に分岐架橋構造が形成され、分子鎖の凝集を防ぐことが可能になる。これにより、内部に空孔構造が形成され、密度が低下していると推察される。密度の低下により、低誘電率化を達成することができる。
また、かご型構造化合物のプレポリマーは、さらに、かご型構造化合物の低分子量体を除去することにより、より低誘電率の樹脂膜を得ることができる。プレポリマーにおける低分子量体は、分岐構造の少ない比較的密度の高いものであり、これを除去することにより、GPC−RALLS法により求められる両対数グラフにおける傾きも小さくなり、分岐構造プレポリマーの割合が多くなり、樹脂膜がより低密度となり、低誘電率の樹脂膜を得ることができる。なお、低分子量体の除去は、溶解性の差等の方法を利用することができる。
本発明に用いる重合性不飽和結合を含む基と、アダマンタン構造を最小単位とするかご型構造を有するかご型構造化合物において、重合性不飽和結合を含む基としては、アセチレン結合(炭素−炭素三重結合)を含む基、ビニル結合(炭素−炭素二重結合)を含む基、シアノ基等が挙げられる。その中でも、炭素−炭素三重結合を含む基又は炭素−炭素三重結合を含む基が望ましい。前記炭素−炭素三重結合を含む基又は炭素−炭素二重結合を含む基としては、メチル基及びエチル基等の鎖状脂肪族基や、シクロヘキシル基及びアダマンチル基等の環状脂肪族基、フェニル基、ナフチル基及びフルオレニル基等の芳香族基を有していても良い。
前記炭素−炭素三重結合を含む基としては、式(2)で表される基及び式(3)で表される基が好ましく、これらを1つ以上有することが好ましい。
(式中、Rは水素原子又は有機基を示す。mは1〜5の整数である。)
前記炭素−炭素二重結合を含む基としては、式(4)で表される基及び式(5)で表される基が好ましく、これらを1つ以上有することが好ましい。
(式中、Rは水素原子又は有機基を示す。mは1〜5の整数である。)
上記式(3)〜式(5)におけるRとしての有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等の鎖状脂肪族基、シクロヘキシル基及びアダマンチル基等の環状脂肪族基、フェニル基、ナフチル基及びフルオレニル基等の芳香族基が挙げられる。
前記炭素−炭素三重結合を含む基の具体例としては、前記式(2)で表される基として、Rが水素原子である場合、エチニル基であり、Rが有機基であり、前記有機基として、前記鎖状脂肪族基である場合、メチルエチニル基、エチルエチニル基、プロピルエチニル基及びブチルエチニル基等が挙げられ、前記有機基として、前記環状脂肪族基である場合、アダマンチルエチニル基、シクロヘプチルエチニル基及びシクロヘキシルエチニル基等が挙げられ、前記有機基として、前記芳香族基である場合、フェニルエチニル基、フェノキシフェニルエチニル基、ナフチルエチニル基及びフルオレニルエチニル基等が挙げられる。
また、前記式(3)で表される基として、Rが水素原子である場合、2−エチニルフェニル基、3−エチニルフェニル基、4−エチニルフェニル基、2,3−ジエチニルフェニル基、2,4−ジエチニルフェニル基、2,5−ジエチニルフェニル基、2,6−ジエチニルフェニル基、3,4−ジエチニルフェニル基、3,5−ジエチニルフェニル基、2,3,4−トリエチニルフェニル基、2,3,5−トリエチニルフェニル基、2,3,6−トリエチニルフェニル基、2,4,5−トリエチニルフェニル基、2,4,6−トリエチニルフェニル基、3,4,5−トリエチニルフェニル基、2,3,4,5−テトラエチニルフェニル基、2,3,4,6−テトラエチニルフェニル基、2,3,5,6−テトラエチニルフェニル基及び2,3,4,5,6−ペンタエチニルフェニル基等が挙げられ、Rが有機基であり、前記有機基として、前記鎖状脂肪族基である場合、2−メチルエチニルフェニル基、3−メチルエチニルフェニル基、4−メチルエチニルフェニル基、2,3−ビス(メチルエチニル)フェニル基、2,4−ビス(メチルエチニル)フェニル基、2,5−ビス(メチルエチニル)フェニル基、2,6−ビス(メチルエチニル)フェニル基、3,4−ビス(メチルエチニル)フェニル基、3,5−ビス(メチルエチニル)フェニル基、2,3,4−トリス(メチルエチニル)フェニル基、2,3,5−トリス(メチルエチニル)フェニル基、2,3,6−トリス(メチルエチニル)フェニル基、2,4,5−トリス(メチルエチニル)フェニル基、2,4,6−トリス(メチルエチニル)フェニル基、3,4,5−トリス(メチルエチニル)フェニル基、2,3,4,5−テトラキス(メチルエチニル)フェニル基、2,3,4,6−テトラキス(メチルエチニル)フェニル基、2,3,5,6−テトラキス(メチルエチニル)フェニル基及び2,3,4,5,6−ペンタキス(メチルエチニル)フェニル基等が挙げられ、前記有機基として、前記環状脂肪族基である場合、2−(1−アダマンチルエチニル)フェニル基、3−(1−アダマンチルエチニル)フェニル基、4−(1−アダマンチルエチニル)フェニル基、2,3−ビス(1−アダマンチルエチニル)フェニル基、2,4−ビス(1−アダマンチルエチニル)フェニル基、2,5−ビス(1−アダマンチルエチニル)フェニル基、2,6−ビス(1−アダマンチルエチニル)フェニル基、3,4−ビス(1−アダマンチルエチニル)フェニル基、3,5−ビス(1−アダマンチルエチニル)フェニル基、2,3,4−トリス(1−アダマンチルエチニル)フェニル基、2,3,5−トリス(1−アダマンチルエチニル)フェニル基、2,3,6−トリス(1−アダマンチルエチニル)フェニル基、2,4,5−トリス(1−アダマンチルエチニル)フェニル基、2,4,6−トリス(1−アダマンチルエチニル)フェニル基、3,4,5−トリス(1−アダマンチルエチニル)フェニル基、2,3,4,5−テトラキス(1−アダマンチルエチニル)フェニル基、2,3,4,6−テトラキス(1−アダマンチルエチニル)フェニル基、2,3,5,6−テトラキス(1−アダマンチルエチニル)フェニル基及び2,3,4,5,6−ペンタキス(1−アダマンチルエチニル)フェニル基等が挙げられ、前記有機基として、前記芳香族基である場合、2−フェニルエチニルフェニル基、3−フェニルエチニルフェニル基、4−フェニルエチニルフェニル基、2,3−ビス(フェニルエチニル)フェニル基、2,4−ビス(フェニルエチニル)フェニル基、2,5−ビス(フェニルエチニル)フェニル基、2,6−ビス(フェニルエチニル)フェニル基、3,4−ビス(フェニルエチニル)フェニル基、3,5−ビス(フェニルエチニル)フェニル基、2,3,4−トリス(フェニルエチニル)フェニル基、2,3,5−トリス(フェニルエチニル)フェニル基、2,3,6−トリス(フェニルエチニル)フェニル基、2,4,5−トリス(フェニルエチニル)フェニル基、2,4,6−トリス(フェニルエチニル)フェニル基、3,4,5−トリス(フェニルエチニル)フェニル基、2,3,4,5−テトラキス(フェニルエチニル)フェニル基、2,3,4,6−テトラキス(フェニルエチニル)フェニル基、2,3,5,6−テトラキス(フェニルエチニル)フェニル基及び2,3,4,5,6−ペンタキス(フェニルエチニル)フェニル基等が挙げられる。
これらの中でも、プレポリマーの有機溶媒への溶解性、樹脂膜とした場合の耐熱性に優れるため、エチニル基、4−エチニルフェニル基、3,5−ジエチニルフェニル基、3,4−ジエチニルフェニル基、4−メチルエチニルフェニル基、3,5−ビス(メチルエチニル)フェニル基、3,4−ビス(メチルエチニル)フェニル基等が好ましいが、これらに限られるものではない。なお、前記アセチレン結合を含む基中の水素原子は、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基及びフェニル基で置換されていても良い。
前記炭素−炭素二重結合を含む基の具体例としては、前記式(4)で表される基として、Rが水素原子である場合、ビニル基であり、Rが有機基であり、前記有機基として、前記鎖状脂肪族基である場合、メチルビニル基、エチルビニル基、プロピルビニル基及びブチルビニル基等が挙げられ、前記有機基として、前記環状脂肪族基である場合、アダマンチルビニル基、シクロヘプチルビニル基及びシクロヘキシルビニル基等が挙げられ、前記有機基として、前記芳香族基である場合、フェニルビニル基、フェノキシフェニルビニル基、ナフチルビニル基及びフルオレニルビニル基等が挙げられる。
また、前記式(5)で表される基として、Rが水素原子である場合、2−ビニルフェニル基、3−ビニルフェニル基、4−ビニルフェニル基、2,3−ジビニルフェニル基、2,4−ジビニルフェニル基、2,5−ジビニルフェニル基、2,6−ジビニルフェニル基、3,4−ジビニルフェニル基、3,5−ジビニルフェニル基、2,3,4−トリビニルフェニル基、2,3,5−トリビニルフェニル基、2,3,6−トリビニルフェニル基、2,4,5−トリビニルフェニル基、2,4,6−トリビニルフェニル基、3,4,5−トリビニルフェニル基、2,3,4,5−テトラビニルフェニル基、2,3,4,6−テトラビニルフェニル基、2,3,5,6−テトラビニルフェニル基及び2,3,4,5,6−ビニルフェニル基等が挙げられ、Rが有機基であり、前記有機基として、前記鎖状脂肪族基である場合、2−メチルビニルフェニル基、3−メチルビニルフェニル基、4−メチルビニルフェニル基、2,3−ビス(メチルビニル)フェニル基、2,4−ビス(メチルビニル)フェニル基、2,5−ビス(メチルビニル)フェニル基、2,6−ビス(メチルビニル)フェニル基、3,4−ビス(メチルビニル)フェニル基、3,5−ビス(メチルビニル)フェニル基、2,3,4−トリス(メチルビニル)フェニル基、2,3,5−トリス(メチルビニル)フェニル基、2,3,6−トリス(メチルビニル)フェニル基、2,4,5−トリス(メチルビニル)フェニル基、2,4,6−トリス(メチルビニル)フェニル基、3,4,5−トリス(メチルビニル)フェニル基、2,3,4,5−テトラキス(メチルビニル)フェニル基、2,3,4,6−テトラキス(メチルビニル)フェニル基、2,3,5,6−テトラキス(メチルビニル)フェニル基及び2,3,4,5,6−ペンタキス(メチルビニル)フェニル基等が挙げられ、前記有機基として、前記環状脂肪族基である場合、2−(1−アダマンチルビニル)フェニル基、3−(1−アダマンチルビニル)フェニル基、4−(1−アダマンチルビニル)フェニル基、2,3−ビス(1−アダマンチルビニル)フェニル基、2,4−ビス(1−アダマンチルビニル)フェニル基、2,5−ビス(1−アダマンチルビニル)フェニル基、2,6−ビス(1−アダマンチルビニル)フェニル基、3,4−ビス(1−アダマンチルビニル)フェニル基、3,5−ビス(1−アダマンチルビニル)フェニル基、2,3,4−トリス(1−アダマンチルビニル)フェニル基、2,3,5−トリス(1−アダマンチルビニル)フェニル基、2,3,6−トリス(1−アダマンチルビニル)フェニル基、2,4,5−トリス(1−アダマンチルビニル)フェニル基、2,4,6−トリス(1−アダマンチルビニル)フェニル基、3,4,5−トリス(1−アダマンチルビニル)フェニル基、2,3,4,5−テトラキス(1−アダマンチルビニル)フェニル基、2,3,4,6−テトラキス(1−アダマンチルビニル)フェニル基、2,3,5,6−テトラキス(1−アダマンチルビニル)フェニル基及び2,3,4,5,6−ペンタキス(1−アダマンチルビニル)フェニル基等が挙げられ、前記有機基として、前記芳香族基である場合、2−フェニルビニルフェニル基、3−フェニルビニルフェニル基、4−フェニルビニルフェニル基、2,3−ビス(フェニルビニル)フェニル基、2,4−ビス(フェニルビニル)フェニル基、2,5−ビス(フェニルビニル)フェニル基、2,6−ビス(フェニルビニル)フェニル基、3,4−ビス(フェニルビニル)フェニル基、3,5−ビス(フェニルビニル)フェニル基、2,3,4−トリス(フェニルビニル)フェニル基、2,3,5−トリス(フェニルビニル)フェニル基、2,3,6−トリス(フェニルビニル)フェニル基、2,4,5−トリス(フェニルビニル)フェニル基、2,4,6−トリス(フェニルビニル)フェニル基、3,4,5−トリス(フェニルビニル)フェニル基、2,3,4,5−テトラキス(フェニルビニル)フェニル基、2,3,4,6−テトラキス(フェニルビニル)フェニル基、2,3,5,6−テトラキス(フェニルビニル)フェニル基及び2,3,4,5,6−ペンタキス(フェニルビニル)フェニル基等が挙げられる。
これらの中でも、プレポリマーの有機溶媒への溶解性、樹脂膜とした場合の耐熱性に優れるため、ビニル基、4−ビニルフェニル基、3,5−ジビニルフェニル基、3,4−ジビニルフェニル基、4−メチルビニルフェニル基、3,5−ビス(メチルビニル)フェニル基、3,4−ビス(メチルビニル)フェニル基等が好ましいが、これらに限られるものではない。なお、前記ビニル結合を含む基中の水素原子は、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基及びフェニル基で置換されていても良い。
重合性不飽和結合を含む基と、アダマンタン構造を最小単位とするかご型構造を有するかご型構造化合物におけるアダマンタン構造を最小単位とするかご構造としては、アダマンタン構造、ポリアマンタン構造、ポリ(ポリアマンタン)構造又はポリアダマンタン構造を挙げることができる。
そのような構造としては、式(1)で表される構造を有する化合物が挙げられる。
(式(1)中、X及びYは、それぞれ、同一又は異なる重合性不飽和結合を含む1又は2以上の基を示す。W及びZは、それぞれ、アダマンタン構造又はポリアマンタン構造を有する基を示し、同一又は異なっていても良い。nは0又は1以上の整数である。)
前記式(1)で表される構造を有する化合物は、W及びZとしてアダンマンタン又はポリアマンタン構造を有するものであるが、前記アダンマンタンとポリアマンタン構造の両方を有していても良い。これらの中で、式(1)におけるW及びZとしてアダンマンタン構造又はポリアマンタン構造を有するものとして、ポリアダマンタン構造化合物が、特に低誘電率の上で好ましい。
上記ポリアダマンタン構造化合物は、ポリアダマンタン構造として、アダマンタン構造が複数の連なった構造を骨格として有するものである。
前記重合性不飽和結合を含む基を有するポリアダマンタン構造化合物中のアダマンタン構造上の水素は、炭素数1以上20以下のアルキル基を有していてもよく、そのようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基及びオクチル基等が挙げられ、この中でも、メチル基及びエチル基がより好ましい。アダマンタン構造に、アルキル基を導入することで、有機溶媒への溶解性及び耐熱性を向上させることができる。
このようなポリアダマンタン構造化合物の具体例としては、式(6)で表わされる構造を有するものが挙げられる。
(式中、X及びYは、それぞれ、重合性不飽和結合を含む1又は2以上の基を示し、同一又は異なる。R〜Rは、それぞれ、水素又は有機基を示し、同一又は異なる。nは1以上の整数である。)
前記式(6)においてnは、アダマンタン構造の数を示すものであり、アダマンタン構造の数nとしては1以上であり、上限の数としては、特に制限はないが、ポリアダマンタン構造化合物を重合体とした時の溶媒への溶解性の点から4個以下、即ちnとしての数は3以下が好ましい。
このような、アダマンタン構造が複数の連なったアダマンタン骨格の具体例としては、1,1’−ビアダマンチル骨格、2,2’−ビアダマンチル骨格及び1,2’−ビアダマンチル骨格等のビアダマンチル骨格;1,1’:3’,1’’−トリアダマンチル骨格、1,2’:5’,1’’−トリアダマンチル骨格、1,2’:4’,1’’−トリアダマンチル骨格及び2,2’:4’,2’’−トリアダマンチル骨格等のトリアダマンチル骨格;1,1’:3’,1’’:3’’,1’’’−テトラアダマンチル骨格、1,2’:5’,1’’:3’’,1’’’−テトラアダマンチル骨格、1,2’:4’,1’’:3’’,1’’’−テトラアダマンチル骨格、1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’−テトラアダマンチル骨格及び1,1’:3’,1’’:3’’,2’’’−テトラアダマンチル骨格等のテトラアダマンチル骨格;1,1’:3’,1’’:3’’,1’’’:3’’’,1’’’’−ペンタアダマンチル骨格、1,1’:4’,1’’:3’’,1’’’:3’’’,1’’’’−ペンタアダマンチル骨格、1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’:3’’’,1’’’’−ペンタアダマンチル骨格及び1,1’:3’,1’’:4’’,2’’’:5’’’,1’’’’−ペンタアダマンチル骨格等のペンタアダマンチル骨格;等が挙げられる。その中でも、溶媒への溶解性等の面から考えると、ビアダマンチル骨格を有するビアダマンタン化合物が好ましい。さらに、ビアダマンチル骨格としては、1,1’−ビアダマンチル骨格、2,2’−ビアダマンチル骨格及び1,2’−ビアダマンチル骨格を有するものが挙げられ、より耐熱性を有する有機絶縁膜を得る上で、好ましくは、1,1’−ビアダマンチル骨格が望ましい。
さらに、ポリアダマンタン構造化合物について、それぞれのアダマンタン構造橋頭位ごとに、同一又は異なる置換基を有していても良い。具体的には、前記式(6)においては、R〜Rは、互いに独立して、水素原子又は有機基であり、これらは、同一又は異なるものである。さらに、nが2以上の整数の場合、R及びRは、それぞれのアダマンタン構造ごとに、同一又は異なるものである。
前記R〜Rとしての有機基としては、脂肪族基及び芳香族基等が挙げられる。前記脂肪族としては、鎖状脂肪族基及び環状脂肪族基等が挙げられ、前記鎖状脂肪族基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びヘキシル基等が挙げられ、前記環状脂肪族基の具体例としては、シクロヘキシル基、ビシクロ[2,2,1]ヘプチル基及びアダマンチル基等が挙げられる。前記芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、芳香族環が4個以上の多環式芳香族基、フルオレニル基、ジフェニルフルオレニル基及びビフェニル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの中でも、前記鎖状脂肪族基、例えば、メチル基、エチル基であると、有機溶媒への溶解性及び耐熱性を向上させることができる。上記有機基中の水素原子は、フッ素原子、メチル基、メトキシ基及びトリフルオロメチル基等で置換されていても良い。また、R〜Rは、前記重合性不飽和結合基を含む基であってもよい。
式(1)で表わされるかご型構造化合物の具体例としては、式(6)で表される化合物構造のうち、前記式(2)で表される炭素−炭素三重結合基を含む基を有する具体例としては、式(2)のRとして、水素原子を有するものとしては、例えば、3,3’−ジエチニル−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ジエチニル−1,1’−ビアダマンタン、3,5−ジエチニル−1,1’−ビアダマンタン、3,5,3’−トリエチニル−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラエチニル−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,7−テトラエチニル−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7−ペンタエチニル−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7,7’−ヘキサエチニル−1,1’−ビアダマンタン及び3,3’,5,5’−テトラフェニル−7,7’−ジエチニル−1,1’−ビアダマンタン等;式(2)のRとして、前記有機基の中で、メチル基を有するものとして、例えば、3,3’−ビス(メチルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(メチルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,5−ビス(メチルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,5,3’−トリス(メチルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラキス(メチルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,7−テトラキス(メチルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7−ペンタキス(メチルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7,7’−ヘキサキス(メチルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン及び3,3’,5,5’−テトラフェニル−7,7’−ビス(メチルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン等;式(2)のRとして、前記有機基の中で、フェニル基を有するものとして、例えば、3,3’−ビス(フェニルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(フェニルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,5−ビス(フェニルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,5,3’−トリス(フェニルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラキス(フェニルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,7−テトラキス(フェニルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7−ペンタキス(フェニルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7,7’−ヘキサキス(フェニルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン及び3,3’,5,5’−テトラフェニル−7,7’−ビス(フェニルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン等;が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ジエチニル−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラエチニル−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(メチルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン及び3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(フェニルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン等が好ましく、さらに、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ジエチニル−1,1’−ビアダマンタン及び3,3’,5,5’−テトラエチニル−1,1’−ビアダマンタン等が、溶解性や耐熱性の面から特に好ましい。ここでは、式(1)で表わされるかご型構造化合物の具体例の内、前記式(6)で表される化合物として、ビアダマンタン化合物である場合を挙げたが、前記式(1)で表される化合物において、nが2以上である他のアダマンタン化合物であっても同様である。
また、前記式(1)で表されるかご型構造の具体例として、式(6)で表される化合物構造化合物のうち、式(3)で表される炭素−炭素三重結合基を含む基を有する具体例としては、式(3)のRとして、水素原子を有するものとしては、例えば、3,3’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,5−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,5,3’−トリス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラキス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,7−テトラキス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7−ペンタキス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7,7’−ヘキサキス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラフェニル−7,7’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(4−エチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’−ビス(3,4−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン及び3,3’−ビス(2,3,5−トリエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン等;式(3)のRとして、前記有機基の中でもメチル基を有するものとしては、例えば、3,3’−ビス(3,5−ビス(メチルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ビス(メチルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,5−ビス(3,5−ビス(メチルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,5,3’−トリス(3,5−ビス(メチルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラキス(3,5−ビス(メチルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,7−テトラキス(3,5−ビス(メチルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7−ペンタキス(3,5−ビス(メチルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7,7’−ヘキサキス(3,5−ビス(メチルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラフェニル−7,7’−ビス(3,5−ビス(メチルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(4−メチルエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’−ビス(3,4−ビス(メチルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン及び3,3’−ビス(2,3,5−トリス(メチルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン等;式(3)のRとして、前記有機基の中でも、フェニル基を有するものとしては、例えば、3,3’−ビス(3,5−ビス(フェニルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ビス(フェニルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,5−ビス(3,5−ビス(フェニルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,5,3’−トリス(3,5−ビス(フェニルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラキス(3,5−ビス(フェニルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,7−テトラキス(3,5−ビス(フェニルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7−ペンタキス(3,5−ビス(フェニルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7,7’−ヘキサキス(3,5−ビス(フェニルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラフェニル−7,7’−ビス(3,5−ビス(フェニルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’−ビス(3,4−ビス(フェニルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン及び3,3’−ビス(2,3,5−トリス(フェニルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン等;が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらの中でも、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(4−エチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’−ビス(3,4−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(4−メチルエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’−ビス(3,4−ビス(メチルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ビス(メチルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン及び3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ビス(フェニルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン等が好ましく、さらには、溶解性や耐熱性の面から、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン及び3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ビス(フェニルエチニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン等が特に好ましい。ここでは、式(1)で表わされるかご型構造化合物の具体例の内、前記式(6)で表される化合物として、ビアダマンタン化合物である場合を挙げたが、前記式(1)で表される化合物において、nが2以上である他のアダマンタン化合物であっても同様である。
式(1)で表わされるかご型構造化合物の具体例としては、式(6)で表される化合物構造のうち、前記式(4)で表される炭素−炭素二重結合基を含む基を有する具体例としては、式(4)のRとして、水素原子を有するものとしては、例えば、3,3’−ジビニル−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ジビニル−1,1’−ビアダマンタン、3,5−ジビニル−1,1’−ビアダマンタン、3,5,3’−トリビニル−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラビニル−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,7−テトラビニル−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7−ペンタビニル−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7,7’−ヘキサビニル−1,1’−ビアダマンタン及び3,3’,5,5’−テトラフェニル−7,7’−ジビニル−1,1’−ビアダマンタン等;式(4)のRとして、前記有機基の中で、メチル基を有するものとして、例えば、3,3’−ビス(メチルビニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(メチルビニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,5−ビス(メチルビニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,5,3’−トリス(メチルビニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラキス(メチルビニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,7−テトラキス(メチルビニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7−ペンタキス(メチルビニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7,7’−ヘキサキス(メチルビニル)−1,1’−ビアダマンタン及び3,3’,5,5’−テトラフェニル−7,7’−ビス(メチルビニル)−1,1’−ビアダマンタン等;式(4)のRとして、前記有機基の中で、フェニル基を有するものとして、例えば、3,3’−ビス(フェニルビニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(フェニルビニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,5−ビス(フェニルビニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,5,3’−トリス(フェニルビニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラキス(フェニルビニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,7−テトラキス(フェニルビニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7−ペンタキス(フェニルビニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7,7’−ヘキサキス(フェニルビニル)−1,1’−ビアダマンタン及び3,3’,5,5’−テトラフェニル−7,7’−ビス(フェニルビニル)−1,1’−ビアダマンタン等;が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ジビニル−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラビニル−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(メチルビニル)−1,1’−ビアダマンタン及び3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(フェニルビニル)−1,1’−ビアダマンタン等が好ましく、さらに、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ジビニル−1,1’−ビアダマンタン及び3,3’,5,5’−テトラエチニル−1,1’−ビアダマンタン等が、溶解性や耐熱性の面から特に好ましい。ここでは、式(1)で表わされるかご型構造化合物の具体例の内、前記式(6)で表される化合物として、ビアダマンタン化合物である場合を挙げたが、前記式(1)で表される化合物において、nが2以上である他のアダマンタン化合物であっても同様である。
また、前記式(1)で表されるかご型構造の具体例として、式(6)で表される化合物構造化合物のうち、式(5)で表される炭素−炭素二重結合基を含む基を有する具体例としては、式(5)のRとして、水素原子を有するものとしては、例えば、3,3’−ビス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,5−ビス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,5,3’−トリス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラキス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,7−テトラキス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7−ペンタキス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7,7’−ヘキサキス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラフェニル−7,7’−ビス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(4−ビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’−ビス(3,4−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン及び3,3’−ビス(2,3,5−トリビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン等;式(5)のRとして、前記有機基の中でもメチル基を有するものとしては、例えば、3,3’−ビス(3,5−ビス(メチルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ビス(メチルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,5−ビス(3,5−ビス(メチルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,5,3’−トリス(3,5−ビス(メチルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラキス(3,5−ビス(メチルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,7−テトラキス(3,5−ビス(メチルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7−ペンタキス(3,5−ビス(メチルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7,7’−ヘキサキス(3,5−ビス(メチルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラフェニル−7,7’−ビス(3,5−ビス(メチルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(4−メチルビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’−ビス(3,4−ビス(メチルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン及び3,3’−ビス(2,3,5−トリス(メチルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン等;式(5)のRとして、前記有機基の中でも、フェニル基を有するものとしては、例えば、3,3’−ビス(3,5−ビス(フェニルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ビス(フェニルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,5−ビス(3,5−ビス(フェニルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,5,3’−トリス(3,5−ビス(フェニルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラキス(3,5−ビス(フェニルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,7−テトラキス(3,5−ビス(フェニルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7−ペンタキス(3,5−ビス(フェニルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’,7,7’−ヘキサキス(3,5−ビス(フェニルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラフェニル−7,7’−ビス(3,5−ビス(フェニルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’−ビス(3,4−ビス(フェニルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン及び3,3’−ビス(2,3,5−トリス(フェニルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン等;が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらの中でも、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(4−ビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’−ビス(3,4−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(4−メチルビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’−ビス(3,4−ビス(メチルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ビス(メチルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン及び3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ビス(フェニルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン等が好ましく、さらには、溶解性や耐熱性の面から、3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ジビニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン及び3,3’,5,5’−テトラメチル−7,7’−ビス(3,5−ビス(フェニルビニル)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン等が特に好ましい。ここでは、式(1)で表わされるかご型構造化合物の具体例の内、前記式(6)で表される化合物として、ビアダマンタン化合物である場合を挙げたが、前記式(1)で表される化合物において、nが2以上である他のアダマンタン化合物であっても同様である。
本発明に用いるかご型構造化合物のプレポリマーにおいて、かご型構造化合物を重合する方法としては、かご型構造化合物に含まれる重合性不飽和結合基を反応させることができる公知の重合方法を適用することが可能である。前記重合方法としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシド及びアゾビスイソブチロニトリル等のラジカル開始剤を用いたラジカル重合による方法、光照射等を用いた光ラジカル重合による方法、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ジクロリド及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等のパラジウム触媒を用いた重合による方法、熱重合による方法、酢酸銅(II)等の遷移触媒を用いた重合による方法、塩化モリブデン(V)、塩化タングステン(VI)及び塩化タンタル(V)等の遷移金属塩化物を用いた重合による方法等を挙げることができる。
これらの中でも、触媒等を用いた重合では、反応終了後、触媒等を除去する必要があるため、無触媒での熱重合による方法が望ましい。
上記かご型構造化合物のプレポリマーを得る上での反応条件は、かご型構造化合物の構造により、適宜変更すれば良い。重合性不飽和結合基の構造により異なるが、反応温度としては、通常、50℃以上500℃以下程度である。また、熱重合を行う際に、かご型構造化合物は有機溶剤中に溶解している方が望ましい。熱重合における有機溶剤中のかご型構造化合物の濃度としては、通常、1重量%以上50重量%以下が好ましい。反応温度及び反応時のかご型構造化合物の濃度は前記範囲外でも使用できるが、それぞれ高すぎると分子量が大きくなり、有機溶剤への不溶化を引き起こす可能性がある。
これらの重合反応は、通常、かご型構造化合物中の重合性不飽和結合の一部又は全部が反応することにより進行する。
このようにして得られるプレポリマーは、前記かご型構造化合物における重合性不飽和結合同士が反応して生成した重合性不飽和結合、又は前記重合性不飽和結合同士が反応して生成した重合性不飽和結合及び未反応の重合性不飽和結合を有するものであることが好ましい。
具体例として、式(1)で現される構造において、重合性不飽和結合基を含む基を炭素−炭素三重結合として、前記重合性不飽和結合を含む基以外をQで簡略化して、式(1)を式(7)とすると、重合反応により、式(1)で表される化合物がとり得る構造は、例えば、(化8)に示された構造のものが挙げられるが、これに限られるものではない。
上記式(8)で示した例においては、上記式(1)で表される化合物における1つないし2つの炭素−炭素三重結合を含む基の炭素−炭素三重結合が反応した例を示したが、さらに複数の炭素−炭素三重結合を含む基の炭素−炭素三重結合が反応してもよい。
また、前記重合反応により得られたプレポリマーは、有機溶剤への溶解性向上や、樹脂膜製造時の架橋反応による耐熱性、弾性率向上のため、(化8)の中に示されるように未反応の炭素−炭素三重結合を部分的に残存させておくことがより望ましい。前記プレポリマーにおける未反応の重合性不飽和結合の残存率としては、20%以上、80%以下であることがより好ましい。
ここで、炭素−炭素三重結合の残存率は、例えば、赤外線吸収スペクトル(IRスペクトル)、又はラマンスペクトル分析の測定を利用できる。より具体的には、反応前の不飽和結合基を含む基を有するポリアダマンタン構造化合物の炭素−炭素三重結合に由来する吸収スペクトルと、プレポリマーの炭素−炭素三重結合に由来する吸収スペクトルの変化率によって、炭素−炭素三重結合の残存率を算出することができる。その際、溶解性の差を利用した分離、あるいは分画等による分離でも良いが、プレポリマーから未反応のポリアダマンタン構造化合物を除去しておく必要がある。
具体例として、式(1)で現される構造において、重合性不飽和結合基を含む基を炭素−炭素二重結合として、前記重合性不飽和結合を含む基以外をTで簡略化して、式(1)を式(9)とすると、重合反応により、式(1)で表される化合物がとり得る構造は、例えば、(化10)に示された構造のものが挙げられるが、これに限られるものではない。
上記式(10)で示した例においては、上記式(1)で表される化合物における1つないし2つの炭素−炭素二重結合を含む基の炭素−炭素二重結合が反応した例を示したが、さらに複数の炭素−炭素二重結合を含む基の炭素−炭素二重結合が反応してもよい。
また、前記重合反応により得られたプレポリマーは、有機溶剤への溶解性向上や、樹脂膜製造時の架橋反応による耐熱性、弾性率向上のため、(化10)の中に示されるように未反応の炭素−炭素二重結合を部分的に残存させておくことがより望ましい。前記プレポリマーにおける未反応の重合性不飽和結合の残存率としては、20%以上、80%以下であることがより好ましい。
ここで、炭素−炭素二重結合の残存率は、例えば、赤外線吸収スペクトル(IRスペクトル)、又はラマンスペクトル分析の測定を利用できる。より具体的には、反応前の不飽和結合基を含む基を有するポリアダマンタン構造化合物の炭素−炭素二重結合に由来する吸収スペクトルと、プレポリマーの炭素−炭素二重結合に由来する吸収スペクトルの変化率によって、炭素−炭素二重結合の残存率を算出することができる。その際、溶解性の差を利用した分離、あるいは分画等による分離でも良いが、プレポリマーから未反応のポリアダマンタン構造化合物を除去しておく必要がある。
前記重合反応において、反応溶媒として有機溶媒を用いることができるが、そのような有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール及び2−ブタノール等のアルコール系溶剤;アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ペンタノン及び2−ヘプタノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール及び1,3−ジメトキシベンゼン等のエーテル系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン及びプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤;等が工業的に入手可能であるため溶剤とし好適であり、これらは単独でも2種以上を混合して用いても良い。
このようにして得られるプレポリマーの重量平均分子量は、GPC−RALLS法による測定で、50万以上200万以下で、好ましくは、70万以上190万以下、より好ましくは、100万以上180万以下であることが好ましい。
本発明の有機絶縁膜用材料は、上記で得た重合性不飽和結合基を含む基と、アダマンタン構造を最小単位とするかご型構造を有するかご型構造化合物のプレポリマーを含むものであり、該化合物以外の成分として、上記有機溶媒を含有していても良く、さらには後述する樹脂膜用ワニスの添加剤を含んでいても良い。
上記樹脂膜用ワニスは、本発明の有機絶縁材料において、上記成分を適当な有機溶媒に溶解させることによって得ることができる。前記有機絶縁材料は、プレポリマーを乾燥させて固形としたものを有機溶剤に溶解させて樹脂膜用ワニスとしてもよいし、前記有機絶縁材料の製造により得られた反応溶液を直接ワニスとして用いてもよいし、また、反応溶液に別な有機溶剤を混合してもよい。樹脂膜用ワニスに用いる有機溶媒としては、前記有機絶縁材料の成分を溶解又は分散させることができるものであれば、特に限定されないが、上記重合反応に用いる有機溶媒と同様のものを挙げることができる。樹脂膜用ワニスの濃度としては、前記有機絶縁材料のプレポリマーの構造や分子量により、適宜決めればよいが、樹脂膜用ワニス中に、前記有機絶縁材料のプレポリマーが、0.1重量%から50重量%が好ましく、さらには0.5重量%から15重量%がより好ましい。
また、前記樹脂膜用ワニスには、必要に応じて、界面活性剤、シランカップリング剤に代表されるカップリング剤、加熱により酸素ラジカルやイオウラジカルを発生するラジカル開始剤、ジスルフィド類等の触媒等の各種添加剤を添加して、樹脂組成物として用いることができる。
また、前記樹脂膜用ワニスに、感光剤としてのナフトキノンジアジド化合物等を添加することにより、感光性を有する表面保護膜として用いることもできる。
また、前記樹脂膜用ワニスに、ナノサイズの微細孔を形成する発泡剤(ポロゲン、ポア・ジェネレーター)を添加しても良い。
次に、樹脂膜について説明する。
本発明の樹脂膜は、前記有機絶縁材料又はその樹脂膜用ワニスを用いて得られるが、例えば、上記で得られた樹脂膜用ワニスを、基板等の支持体に塗布し、これを、加熱や活性放射線照射等の処理をすることで製造できる。また、上記で得られた反応溶液をそのまま、又は有機絶縁材料を加熱して溶解して、支持体に塗布して製造しても良い。
前記加熱や活性放射線照射等の処理を行うことにより、プレポリマー中に残存する重合性不飽和結合を、架橋反応することにより、より耐熱性、弾性率に優れる樹脂膜を提供することができる。
さらに、本発明の樹脂膜の製造方法について、前記樹脂膜用ワニスを用いる場合の具体例を説明すると、まず、前記樹脂膜用ワニスを、適当な支持体、例えば、ポリエステルフィルム等の有機基材、銅箔等の金属板、シリコンウエハやセラミック基板等の半導体基板等の基材に、塗布して塗膜を形成する。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等の方法が挙げられる。その後、塗膜を乾燥し、加熱等の処理をして、溶媒除去に続いて、加熱による方法や活性放射線を照射する方法、これら両方の方法用いる方法等により架橋反応させて、機械特性に優れる樹脂膜とすることができる。前記加熱による方法においては、例えば、150〜425℃×1分〜24時間で加熱して行うことができる。前記活性放射線としては、マイクロ波、可視光、UV光及びX線等の活性エネルギー光線ならびに電子線等が挙げられる。
本発明の樹脂膜は、上記方法により、半導体基板等の基板に直接塗布して形成しても良いし、有機基材等の支持体に形成した樹脂膜を、該支持体より剥離することにより、ドライフィルムとして使用することもできる。また、基板等の支持体との密着性を高めるために、基板上に密着層を形成後、その上に樹脂膜を形成しても良い。
前記樹脂膜の用途としては、例えば、半導体用の層間絶縁膜や表面保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜、エッチング保護膜(エッチングストッパー)、接着剤等が挙げられる。これらの中でも、半導体用の層間絶縁膜及び表面保護膜、エッチング保護膜として好適に用いられる。
ここで用いる有機絶縁材料のガラス転移温度は、特に限定されないが、400℃以上が好ましく、特に420℃以上が好ましく、最も450〜500℃が好ましい。ガラス転移温度が前記範囲内であると、前記樹脂膜の線膨張係数を低減させることができ、寸法安定性に優れた樹脂膜を得ることができる。
前記樹脂膜の厚さは、特に限定されないが、半導体用層間絶縁膜等においては、0.01〜20μmが好ましく、特に0.05〜10μmが好ましく、最も0.1〜0.7μmが好ましい。厚さが前記範囲内であると、半導体の製造プロセス適合性に優れる。
次に、本発明の半導体装置について、好適な実施の形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の半導体装置の一例を模式的に示す断面図である。
半導体装置100は、素子が形成された半導体基板1と、半導体基板1の上側(図1上側)に設けられた窒化珪素膜2と、窒化珪素膜2の上に設けられた層間絶縁膜3及びバリア層6で覆われた銅配線層4を有している。
層間絶縁膜3には、配線すべきパターンに対応した凹部が形成されており、その凹部内には銅配線層4が設けられている。
また、層間絶縁膜3と、銅配線層4との間には、改質処理層5が設けられている。
また、層間絶縁膜3の上側(窒化珪素膜2と反対側面)には、ハードマスク層7が形成されている。
層間絶縁膜3の形成方法としては、上記半導体基板1の窒化珪素膜2の上に、ワニスを直接塗布して形成することができるが、予め樹脂膜のドライフィルムを用意し、これは半導体基板1の窒化珪素膜2の上に積層するように形成することもできる。より具体的には、上記半導体基板1の窒化珪素膜2の上に、上記で得た有機絶縁材料を含むコーティングワニスを直接塗布して塗膜を形成し、加熱及び/又は活性放射線を照射して硬化して形成することができる。ドライフィルムを用いる場合は、予め、上記で得た有機絶縁材料を含むコーティングワニスを用いて、基材上に樹脂層を形成して乾燥して、ドライフィルムを形成し、これを、上記半導体基板1の窒化珪素膜2の上に、積層して、加熱及び/又は活性放射線を照射して硬化して形成することができる。
上記説明においては、窒化珪素膜2の上に形成する例を説明したが、樹脂膜を形成する位置はこれに限定されない。
また、本実施の形態では、層間絶縁膜3を用いた半導体装置100について説明したが、本発明はこれに限定されない
本発明の半導体装置は、上述したような層間絶縁膜を用いているので寸法精度に優れ、絶縁性を十分に発揮できるので、それにより接続信頼性が優れている。
また、上述したような層間絶縁膜は、誘電特性に優れているので、配線遅延を低下することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)3,3’,5,5’−テトラキス(フェニルエチニル)−1,1’−ビアダマンタンの合成
温度計、撹拌機及び還流管を備えた4つ口の1000mLフラスコに、金属ナトリウム14g(0.6mol)とn−オクタン600mlを入れ、内温を0℃に冷やした。激しく撹拌しながら、n−オクタン300mlに予め溶解した1−ブロモアダマンタン64.5g(0.3mol)を徐々に滴下した。滴下中、内温は、0℃〜5℃に保った。滴下終了後、温度が上昇しなくなったら、引き続き1時間反応を続けた。その後、冷水約1500mLに注いで、粗生成物を濾別し、純水で洗い、乾燥した。更に粗成生物を、熱ヘキサンにより、再結晶した。得られた再結晶物を、減圧乾燥することにより、生成物32.6gを得た。IR分析によりBr基の吸収(690−515cm−1付近)が消失し、質量分析による分子量が270である結果より、生成物が1,1’−ビアダマンタンであることが示された。
温度計、撹拌機及び還流管を備えた4つ口の2000mLフラスコに、四塩化炭素700mL、臭素70g(0.44mol)を入れ、撹拌しながら、上記で得た1,1’−ビアダマンタン54.1g(0.2mol)を、少量ずつ添加した。添加中、内温は20℃〜30℃に保った。添加終了後、温度が上昇しなくなったら、引き続き1時間反応を続けた。その後、冷水約2000mLに注いで、粗生成物を濾別し、純水で洗い、乾燥した。粗生成物を、熱エタノールにより再結晶した。得られた再結晶物を、減圧乾燥することにより、生成物65.0gを得た。IR分析によりブロモ基の吸収が690〜515cm−1に見られること、質量分析による分子量が586である結果より、生成物が3,3’,5,5’−テトラブロモ−1,1’−ビアダマンタンであることが示された。
次いで、フラスコ内で、上記で得た3,3’,5,5’−テトラブロモ−1,1’−ビアダマンタン20g(34mmol)及びエチニルベンゼン28g(272mmol)、トリエチルアミン80ml及びピリジン40mlに溶解させ、ヨウ化銅(II)0.062g(0.33mmol)及びトリフェニルホスフィン0.24g(0.91mmol)を添加した。さらに、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)0.058g(0.082mmol)を添加し、乾燥窒素雰囲気下110℃で5時間反応させた。反応後、トリエチルアミンとピリジンを留去し、2mol/L塩酸水溶液500mlを加えることにより、沈殿物を析出させた。沈殿物を濾過し、水500mlとメタノール500mlで洗浄し、真空乾燥機を用いて60℃の雰囲気で24時間乾燥させることにより、3,3’,5,5’−テトラキス(フェニルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン15gを得た。
上記で得た化合物を、フィールド・デソープション(FD)により陽イオン化(M)し、質量分析法(MS)により化合物の質量(m/z)を測定すると共に、元素分析により、化合物中の各元素を定量した。以下の測定結果から、上記化合物であることが確認できた。
MS(FD)(m/z):670(M
元素分析:理論値(/%)C;93.09、H;6.91、実測値(/%)C;93.04、H;6.88
(2)3,3’,5,5’−テトラキス(フェニルエチニル)−1,1’−ビアダマンタンの重合と樹脂膜用ワニスの製造
上記で得られた3,3’,5,5’−テトラキス(フェニルエチニル)−1,1’−ビアダマンタン5gを、炭酸プロピレン45g中に入れ、乾燥窒素下190℃で6時間反応させ、反応液を、10倍の体積のメタノールに滴下して沈殿物を集めて乾燥し、プレポリマーを得た。得られたプレポリマー3gをシクロペンタノン27gに溶解させ、テフロン(登録商標)フィルターで濾過して、樹脂膜用ワニスを作製した。
(3)層間絶縁膜及び半導体装置の製造
半導体基板の上に窒化珪素層を形成し、該窒化珪素層上に、上記樹脂膜用ワニスを塗布して、400℃で1時間加熱処理して、厚さ0.1μmの層間絶縁膜を形成した。
次に、前記層間絶縁膜に、所定のパターンを形成するように、金属配線を形成して、半導体装置を得た。
(実施例2)
(1)3,3’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタンの合成
実施例1(1)において、1−ブロモアダマンタン64.5g(0.3mol)を30g(0.14mol)とし、臭素44.6g(0.28mol)する以外は、全て実施例1(1)と同様に行うことにより、生成物20gを得た。IR分析によりブロモ基の吸収が690〜515cm−1に見られること、質量分析による分子量が428である結果より、生成物が3,3’−ジブロモ−1,1’−ビアダマンタンであることが示された。
次いで、フラスコ内で、上記で得られた3,3’−ジブロモ−1,1’−ビアダマンタン25g(34mmol)及び1,3−ジブロモベンゼン32g(136mmol)を攪拌し、乾燥窒素下25℃において、臭化アルミニウム(III)2.5g(9.3mmol)を少量ずつ滴下した。これを60℃に昇温して7時間攪拌した後、室温に戻し、反応液を得た。5%塩酸水溶液500mlに、反応液を投入し、攪拌した。水層を除去し、有機層をアセトン1000mlに投入した。析出物をろ過し、アセトン500mlで2回洗浄することにより、3,3’−ビス(3,5−ジブロモフェニル)−1,1’−ビアダマンタン30gを得た。
次に、上記で得られた3,3’−ビス(3,5−ジブロモフェニル)−1,1’−ビアダマンタン20g(27mmol)、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム0.7g(1.0mmol)、トリフェニルホスフィン1.2g(5mmol)、ヨウ化銅(II)0.9g(5mmol)、トリエチルアミン700mlをフラスコに添加し、攪拌した。これを75℃に昇温した後、トリメチルシリルアセチレン22g(216mmol)をゆっくり添加した。これを75℃において7時間攪拌した後、120℃に昇温してトリエチルアミンを留去した。室温に戻し、ジクロロメタン1000mlを反応液に添加し、20分攪拌した。析出物をろ過により除去し、ろ液に5%塩酸水溶液1000mlを加えて分液した。有機層を水1000mlで3回洗浄した後、有機層の溶媒を減圧除去した。得られた化合物をヘキサン1500mlに溶解させた。不溶物をろ過により除去し、ろ液部のヘキサンを減圧除去した。これにアセトン1000mlを投入し、析出物をアセトンで3回洗浄することにより、3,3’−ビス(3,5−ジトリメチルシリルエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン32gを得た。
さらに、上記で得られた3,3’−ビス(3,5−ジトリメチルシリルエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン32g(40mmol)と炭酸カリウム1.1g(8mmol)を、テトラヒドロフラン600ml及びメタノール300ml混合溶媒中において、窒素雰囲気下、室温で4時間攪拌させた。これを10%塩酸水溶液1000mlに投入して、析出物をろ過し、得られた析出物を水1000mlで洗浄、さらにアセトン1000mlで洗浄したのち乾燥させることにより、3,3’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタンを15g得た。
上記で得た化合物を、MS分析法及び元素分析により分析し、以下の測定結果から、上記化合物であることが確認できた。
MS(FD)(m/z):518(M
元素分析:理論値(/%)C;92.62、H;7.38、実測値(/%)C;92.5、H;7.34
(2)3,3’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタンの重合と樹脂膜用ワニスの製造
実施例1(2)において、3,3’,5,5’−テトラキスフェニルエチニル−1,1’−ビアダマンタンの5gを、上記実施例2(1)で得られた3,3’−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)−1,1’−ビアダマンタン5gとする以外は全て実施例1(2)と同様にして、プレポリマーを得た。得られたプレポリマー3gをシクロペンタノン27gに溶解させ、テフロン(登録商標)フィルターで濾過して、樹脂膜用ワニスを作製した。
(3)層間絶縁膜及び半導体装置の製造
上記で得られた樹脂膜用ワニスを用いて、実施例1(3)と同様の手順を行うことにより、半導体装置を得た。
(実施例3)
(1)3,3’−ビス[3,5−ビス(フェニルエチニル)フェニル]−1,1’−ビアダマンタンの合成
実施例2(1)と同様にして得られた3,3’−ビス(3,5−ジブロモフェニル)−1,1’−ビアダマンタン20g(27mmol)にエチニルベンゼン22g(216mmol)、トリエチルアミン80ml及びピリジン40mlに溶解させ、ヨウ化銅(II)0.062g(0.33mmol)及びトリフェニルホスフィン0.24g(0.91mmol)を添加した。さらに、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)0.058g(0.082mmol)を添加し、乾燥窒素雰囲気下110℃で5時間反応させた。反応後、トリエチルアミンとピリジンを留去し、2mol/L塩酸水溶液500mlを加えることにより、沈殿物を析出させた。沈殿物を濾過し、水500mlとメタノール500mlで洗浄し、真空乾燥機を用いて60℃の雰囲気で24時間乾燥させることにより、3,3’−ビス[3,5−ビス(フェニルエチニル)フェニル]−1,1’−ビアダマンタン12gを得た。
上記で得た化合物を、MS分析法及び元素分析により分析し、以下の測定結果から、上記化合物であることが確認できた。
MS(FD)(m/z):823(M
元素分析:理論値(/%)C;93.39、H;6.61、実測値(/%)C;93.36、H;6.62
(2)3,3’−ビス[3,5−ビス(フェニルエチニル)フェニル]−1,1’−ビアダマンタンの重合と樹脂膜用ワニスの製造
実施例1(2)において、3,3’,5,5’−テトラキスフェニルエチニル−1,1’−ビアダマンタンの5gを、上記実施例3(1)で得られた3,3’−ビス[3,5−ビス(フェニルエチニル)フェニル]−1,1’−ビアダマンタン5gとする以外は全て実施例1(2)と同様にして、プレポリマーを得た。得られたプレポリマー3gをシクロペンタノン27gに溶解させ、テフロン(登録商標)フィルターで濾過して、樹脂膜用ワニスを作製した。
(3)層間絶縁膜及び半導体装置の製造
上記で得られた樹脂膜用ワニスを用いて、実施例1(3)と同様の手順を行うことにより、半導体装置を得た。
(実施例4)
(1)3,3’’’−ビス[3,5−ビス(フェニルエチニル)フェニル]−1,1’:3’,1’’:3’’,1’’’−テトラアダマンタンの合成
実施例2(1)において、3,3'−ジブロモ−1,1'−ビアダマンタン25g(34mmоl)の代わりに、3,3’’’−ジブロモ−1,1’:3’,1’’:3’’,1’’’−テトラアダマンタン82.3g(103mmol)を用いた以外は実施例2(1)と同様の方法で合成し、3,3’’’−ビス[3,5−ビス(フェニルエチニル)フェニル]−1,1’:3’,1’’:3’’,1’’’−テトラアダマンタンを得た。
上記で得た化合物を、MS分析法及び元素分析により分析し、以下の測定結果から、上記化合物であることが確認できた。
MS(FD)(m/z):1090(M
元素分析:理論値(/%)C;92.43、H;7.57、実測値(/%)C;92.5、H;7.55
(2)3,3’’’−ビス[3,5−ビス(フェニルエチニル)フェニル]−1,1’:3’,1’’:3’’,1’’’−テトラアダマンタンの重合と樹脂膜用ワニスの製造
実施例1(2)において、3,3’,5,5’−テトラキスフェニルエチニル−1,1’−ビアダマンタンの5gを、上記実施例4(1)で得られた3,3’’’−ビス[3,5−ビス(フェニルエチニル)フェニル]−1,1’:3’,1’’:3’’,1’’’−テトラアダマンタン5gとする以外は全て実施例1(2)と同様にして、プレポリマーを得た。得られたプレポリマー3gをシクロペンタノン27gに溶解させ、テフロン(登録商標)フィルターで濾過して、樹脂膜用ワニスを作製した。
(3)層間絶縁膜及び半導体装置の製造
上記で得られた樹脂膜用ワニスを用いて、実施例1(3)と同様の手順を行うことにより、半導体装置を得た。
(実施例5)
(1)3,3’−ビス(3,5−ジビニルフェニル)−5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタンの合成
温度計、撹拌機及び還流管を備えた4つ口の1000mLフラスコに、金属ナトリウム14g(0.6mol)とn−オクタン600mlを入れ、内温を0℃に冷やした。激しく撹拌しながら、n−オクタン300mlに予め溶解した1−ブロモ−3,5−ジメチルアダマンタン243g(1mol)を徐々に滴下した。滴下中、内温は、0℃〜5℃に保った。滴下終了後、温度が上昇しなくなったら、引き続き1時間反応を続けた。その後、冷水約1500mLに注いで、粗生成物を濾別し、純水で洗い、乾燥した。更に粗成生物を、熱ヘキサンにより、再結晶した。得られた再結晶物を、減圧乾燥することにより、生成物260gを得た。IR分析によりBr基の吸収(690−515cm−1付近)が消失し、質量分析による分子量が326である結果より、生成物が3,3’,5,5’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタンであることが示された。
温度計、撹拌機及び還流管を備えた4つ口の2000mLフラスコに、四塩化炭素700mL、上記で得た3,3’,5,5’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタン121g(0.5mol)を入れ、撹拌しながら、臭素80g(1mol)を、少量ずつ添加した。添加中、内温は20℃〜30℃に保った。添加終了後、温度が上昇しなくなったら、引き続き1時間反応を続けた。その後、冷水約2000mLに注いで、粗生成物を濾別し、純水で洗い、乾燥した。粗生成物を、熱ジオキサンにより再結晶した。得られた再結晶物を、減圧乾燥することにより、生成物200gを得た。IR分析によりブロモ基の吸収が690〜515cm−1に見られること、質量分析による分子量が484である結果より、生成物が3,3’−ジブロモ−5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタンであることが示された。
次いで、フラスコ内で、上記で得た3,3’−ジブロモ−5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタン100g(0.2mol)及び1,3−ジブロモベンゼン236g(1mol)を攪拌し、乾燥窒素下25℃において、臭化アルミニウム(III)10.6g(0.05mol)を少量ずつ滴下した。これを60℃に昇温して7時間攪拌した後、室温に戻し、反応液を得た。5%塩酸水溶液500mlに、反応液を投入し、攪拌した。水層を除去し、有機層をアセトン1000mlに投入した。析出物をろ過し、アセトン500mlで2回洗浄することにより、3,3’−ビス(3,5−ジブロモフェニル)−5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタン150gを得た。
上記で得られた3,3’−ビス(3,5−ジブロモフェニル)−5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタン20g(25.1mmol)、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド0.14g(0.25mmol)およびジエチルエーテル200mlを乾燥窒素下0℃で攪拌し、ビニルマグネシウムブロミド(14%テトラヒドロフラン溶液)100g(100mmol)を滴下した。滴下後、0℃で2時間攪拌した。攪拌後、アンモニウムクロライド溶液を添加し、ジエチルエーテル層を抽出した。濃縮し、固体をアセトン300mlで2回洗浄し、3,3’−ビス(3,5−ジビニルフェニル)−5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタンを7.5g得た。
上記で得た化合物を、MS分析法及び元素分析により分析し、以下の測定結果から、上記化合物であることが確認できた。
MS(FD)(m/z):582(M
元素分析:理論値(/%)C;90.66、H;9.34、実測値(/%)C;90.60、H;9.30
(2)3,3’−ビス(3,5−ジビニルフェニル)−5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタンの重合と樹脂膜用ワニスの製造
実施例1(2)において、3,3’,5,5’−テトラキスフェニルエチニル−1,1’−ビアダマンタンの5gを、上記実施例5(1)で得られた3,3’−ビス(3,5−ジビニルフェニル)−5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタン5gとする以外は全て実施例1(2)と同様にして、プレポリマーを得た。得られたプレポリマー3gをシクロペンタノン27gに溶解させ、テフロン(登録商標)フィルターで濾過して、樹脂膜用ワニスを作製した。
(3)層間絶縁膜及び半導体装置の製造
上記で得られた樹脂膜用ワニスを用いて、実施例1(3)と同様の手順を行うことにより、半導体装置を得た。
(実施例6)
(1)3,3’,5,5’−テトラキスビニル−1,1’−ビアダマンタンの合成
実施例1で得られた3,3’,5,5’−テトラブロモ−1,1’−ビアダマンタン10g(26.7mmol)、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド0.15g(0.27mmol)およびジエチルエーテル200mlを乾燥窒素下0℃で攪拌し、ビニルマグネシウムブロミド(14%テトラヒドロフラン溶液)125g(133mmol)を滴下した。滴下後、0℃で2時間攪拌した。攪拌後、アンモニウムクロライド溶液を添加し、ジエチルエーテル層を抽出した。濃縮し、固体をアセトン300mlで2回洗浄し、3,3’,5,5’−テトラキスビニル−1,1’−ビアダマンタンを5g得た。
上記で得た化合物を、MS分析法及び元素分析により分析し、以下の測定結果から、上記化合物であることが確認できた。
MS(FD)(m/z):374(M
元素分析:理論値(/%)C;89.78、H;10.22、実測値(/%)C;89.7、H;10.18
(2)3,3’,5,5’−テトラキスビニル−1,1’−ビアダマンタンの重合と樹脂膜用ワニスの製造
実施例1(2)において、3,3’,5,5’−テトラキスフェニルエチニル−1,1’−ビアダマンタンの5gを、上記実施例6(1)で得られた3,3’,5,5’−テトラキスビニル−1,1’−ビアダマンタン5gとする以外は全て実施例1(2)と同様にして、プレポリマーを得た。得られたプレポリマー3gをシクロペンタノン27gに溶解させ、テフロン(登録商標)フィルターで濾過して、樹脂膜用ワニスを作製した。
(3)層間絶縁膜及び半導体装置の製造
上記で得られた樹脂膜用ワニスを用いて、実施例1(3)と同様の手順を行うことにより、半導体装置を得た。
(実施例7)
(1)3,3’−ビス[3,5−ビス(フェニルビニル)フェニル]−5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタンの合成
実施例2(1)と同様にして得られた3,3’−ビス(3,5−ジブロモフェニル)−1,1’−ビアダマンタン20g(27mmol)、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド15g(0.27mmol)およびジエチルエーテル200mlを乾燥窒素下0℃で攪拌し、ビニルマグネシウムブロミド(14%テトラヒドロフラン溶液)125g(133mmol)を滴下した。滴下後、0℃で2時間攪拌した。攪拌後、アンモニウムクロライド溶液を添加し、ジエチルエーテル層を抽出した。濃縮し、固体をアセトン300mlで2回洗浄し、3,3’−ビス[3,5−ビス(フェニルビニル)フェニル]−1,1’−ビアダマンタン13gを得た。
上記で得た化合物を、MS分析法及び元素分析により分析し、以下の測定結果から、上記化合物であることが確認できた。
MS(FD)(m/z):887(M
元素分析:理論値(/%)C;92.05、H;7.95、実測値(/%)C;92.01、H;7.93
(2)3,3’−ビス[3,5−ビス(フェニルビニル)フェニル]−5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタンの重合と樹脂膜用ワニスの製造
実施例1(2)において、3,3’,5,5’−テトラキスフェニルエチニル−1,1’−ビアダマンタンの5gを、上記実施例7(1)で得られた3,3’−ビス[3,5−ビス(フェニルビニル)フェニル]−5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタン5gとする以外は全て実施例1(2)と同様にして、プレポリマーを得た。得られたプレポリマー3gをシクロペンタノン27gに溶解させ、テフロン(登録商標)フィルターで濾過して、樹脂膜用ワニスを作製した。
(3)層間絶縁膜及び半導体装置の製造
上記で得られた樹脂膜用ワニスを用いて、実施例1(3)と同様の手順を行うことにより、半導体装置を得た。
(比較例1)
1,3−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)アダマンタンの合成
(1) 実施例2において、3,3’−ジブロモ−1,1’−ビアダマンタン25g(34mmol)を1,3−ジブロモアダマンタン30g(102mmol)とした以外は、実施例2と同様の方法で合成し、1,3−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)アダマンタン20g(52mmol)を得た。
(2) 実施例1(2)において、3,3’,5,5’−テトラキスフェニルエチニル−1,1’−ビアダマンタンの5gを、上記比較例1(1)で得られた1,3−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)アダマンタン5gとする以外は全て実施例1(2)と同様にして、プレポリマーを得た。得られたプレポリマーはシクロペンタノンに溶解しなかった。
(比較例2)
3,3’’’−ビス(4−フェニルエチニル−フェニル)−5,7,5’,7’,5’’,7’’,5’’’,7’’’−オクタメチル−1,1’:3’,1’’:3’’,1’’’−テトアラダマンタンの合成
実施例4において、3,3’’’−ジブロモ−1,1’:3’,1’’:3’’,1’’’−テトラアダマンタン82.3g(103mmol)を3,3’’’−ジブロモ−5,7,5’,7’,5’’,7’’,5’’’,7’’’−オクタメチル−1,1’:3’,1’’:3’’,1’’’−テトアラダマンタン60g(63mmol)とし、1,3−ジブロモベンゼンをブロモベンゼンとした以外は同様に行い、3,3’’’−ビス(4−フェニルエチニル−フェニル)−5,7,5’,7’,5’’,7’’,5’’’,7’’’−オクタメチル−1,1’:3’,1’’:3’’,1’’’−テトアラダマンタンを合成した。これを、実施例1(2)と同様にしてプレポリマーを重合して、樹脂膜用ワニスとした。この樹脂膜用ワニスについて、実施例1(3)と同様の手順を行い、層間絶縁膜を形成し半導体装置を得た。
(比較例3)
1,3−ビス(3,5−ジビニルフェニル)アダマンタンの合成
(1) 実施例5において、3,3’,5,5’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタン25g(34mmol)を1,3−ジブロモアダマンタン30g(102mmol)とした以外は、実施例5と同様の方法で合成し、1,3−ビス(3,5−ジビニルフェニル)アダマンタン20g(52mmol)を得た。
(2) 実施例1(2)において、3,3’,5,5’−テトラキスフェニルエチニル−1,1’−ビアダマンタンの5gを、上記比較例1(1)で得られた1,3−ビス(3,5−ジビニルフェニル)アダマンタン5gとする以外は全て実施例1(2)と同様にして、プレポリマーを得た。得られたプレポリマーはシクロペンタノンに溶解しなかった。
(比較例4)
3,3’’’−ビス(4−ビニル−フェニル)−オクタメチル−1,1’:3’,1’’:3’’,1’’’−テトアラダマンタンの合成
実施例4で用いた3,3’’’−ジブロモ−1,1’:3’,1’’:3’’,1’’’−テトラアダマンタン8.2g(10.3mmol)および[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド0.05g(0.1mmol)、ジエチルエーテル200mlを乾燥窒素下0℃で攪拌し、ビニルマグネシウムブロミド(14%テトラヒドロフラン溶液)50g(50mmol)を滴下した。滴下後、0℃で2時間攪拌した。攪拌後、アンモニウムクロライド溶液を添加し、ジエチルエーテル層を抽出した。濃縮し、固体をアセトン300mlで2回洗浄し、3,3’’’−ビス(4−ビニルエチニル−フェニル)−1,1’:3’,1’’:3’’,1’’’−テトアラダマンタンを合成した。これを、実施例1(2)と同様にしてプレポリマーを重合して、樹脂膜用ワニスとした。この樹脂膜用ワニスについて、実施例1(3)と同様の手順を行い、層間絶縁膜を形成し半導体装置を得た。
実施例1〜7及び比較例1〜4で得られた層間絶縁膜について、以下の評価を行った。評価項目を方法と共に示す。得られた結果を表1に示す。
1. 分子量、慣性半径(Rh)
得られたプレポリマーの重量平均分子量(Mw)、慣性半径(Rh)を、ゲルパーミュエーションクロマトグラフ(GPC)装置(東ソー株式会社製、HLC−8120GPC)、Viscotek製TriSEC302TDA検出器、カラムは東ソー製Multipore−M、溶媒THF、ポリマー濃度0.1wt%、光散乱角度90°、流量1.0mL/min、温度30℃で、GPC−RALLS法によって測定を行った。
2. 弾性率
樹脂膜を、MTS社製のNanoIndenterSA2で測定を行った。測定に使用した樹脂膜は、半導体基板上に、上記樹脂膜用ワニスを塗布して、400℃で1時間加熱処理して、厚み500nmとして得られたものを使用した。
3. 比誘電率
JIS−K6911に準拠し、周波数100kHzで、ヒューレットパッカード社製HP−4284A Precision LCRメーターを用いて、上記で得た層間絶縁膜の容量測定を行い、下記計算式により比誘電率を算出した。
比誘電率=(容量測定値×フィルムの厚み)/(真空の誘電率×測定面積)
4.耐熱性
耐熱性は、ガラス転移温度及び熱分解温度で評価した。ガラス転移温度は、得られた層間絶縁膜を、削り取り、ティー・エイ・インスツルメント社製DSC−Q1000装置で評価した。測定温度範囲を、250℃〜450℃とし、昇温速度を2℃/分とした。250℃〜450℃の温度範囲におけるリバースヒートフローの変極点を解析して求めた。
また、熱分解温度は、得られた絶縁膜を、TG/DTA測定装置(セイコーインスツルメンツ(株)製TG/DTA220)を用いて、窒素ガス200mL/min.フロー下、昇温速度10℃/min.の条件により測定し、重量減少が5%に到達した温度を、熱分解温度とした。
実施例1〜7は、比較例に比べて、比誘電率が低く、誘電特性に優れていることが示された。さらに、実施例1〜7は、熱分解温度とガラス転移温度から耐熱性が高く、また、弾性率が高く、低誘電率、高耐熱性及び高機械強度を兼ね備えていることが示された。
次に、得られた半導体装置について、配線抵抗と配線間容量から求められる配線遅延速度を評価した。
実施例1〜7の層間絶縁膜を用いて得られた半導体装置と、この半導体装置と同様な構成でSiO絶縁膜を有する半導体装置との配線遅延の程度を比較した。評価の基準には、リングオシュレータの発信周波数から換算して求めた信号遅延時間を採用した。両者を比較した結果、本発明で得られた半導体装置では、SiO絶縁膜を有する半導体装置より配線遅延が少なく、平均で約23%の速度の向上があることが確認された。
1 半導体基板
2 窒化珪素膜
3 層間絶縁膜
4 銅配線層
5 改質処理層
6 バリア層
7 ハードマスク層
100 半導体装置

Claims (6)

  1. 重合性不飽和結合を含む基と、アダマンタン構造を最小単位とするかご型構造を有するかご型構造化合物のプレポリマーを含む有機絶縁材料であって、前記プレポリマーは、GPC−RALLS法により測定される重量平均分子量が50万以上200万以下であり、GPC−RALLS法により測定される重量平均分子量及び慣性半径の両対数グラフにおける重量平均分子量が50万以上200万以下の範囲の直線の傾きが、0.33以上0.47以下であって、400℃で1時間加熱処理した有機絶縁材料のガラス転移温度が400℃以上である有機絶縁材料。
  2. 前記アダマンタン構造を最小単位とするかご構造は、アダマンタン構造、ポリアマンタン構造、ポリ(ポリアマンタン)構造又はポリアダマンタン構造である、請求項1に記載の有機絶縁材料。
  3. 前記かご型構造化合物は、下記式(1)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の有機絶縁材料。
    (式(1)中、X及びYは、それぞれ、同一又は異なる重合性不飽和結合を含む1又は2以上の基を示す。W及びZは、それぞれ、アダマンタン構造又はポリアマンタン構造を有する基を示し、同一又は異なっていても良い。nは0又は1以上の整数である。)
  4. 前記重合性不飽和結合を含む基は、炭素−炭素三重結合を含む基又は炭素−炭素二重結合を含む基である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の有機絶縁材料。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の有機絶縁材料を、加熱、活性エネルギー線照射、又は加熱と活性エネルギー線照射により、架橋反応させて得られる樹脂膜。
  6. 請求項5に記載の樹脂膜を具備する、半導体装置。

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