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JP5361260B2 - 永久磁石回転式電機 - Google Patents

永久磁石回転式電機 Download PDF

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JP5361260B2 JP2008162201A JP2008162201A JP5361260B2 JP 5361260 B2 JP5361260 B2 JP 5361260B2 JP 2008162201 A JP2008162201 A JP 2008162201A JP 2008162201 A JP2008162201 A JP 2008162201A JP 5361260 B2 JP5361260 B2 JP 5361260B2
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Description

本発明は、磁気的に直列に配置された2種類以上の永久磁石を使用し、そのうちの少なくとも1つの永久磁石の磁束量を不可逆的に変化させて、低速から高速までの広範囲での可変速運転を可能とした永久磁石式回転電機に関する。
一般に、永久磁石式回転電機は大きく分けて2種類のタイプがある。回転子鉄心の外周に永久磁石を貼り付けた表面磁石型永久磁石式回転電機と、永久磁石を回転子鉄心の中に埋め込んだ埋め込み型永久磁石式回転電機である。可変速駆動用モータとしては、埋め込み型永久磁石式回転電機が適している。
永久磁石式回転電機では、永久磁石の鎖交磁束が常に一定で発生しているので、永久磁石による誘導電圧は回転速度に比例して高くなる。そのため、低速から高速まで可変速運転する場合、高速回転では永久磁石による誘導電圧(逆起電圧)が極めて高くなる。永久磁石による誘導電圧がインバータの電子部品に印加されてその耐電圧以上になると、電子部品が絶縁破壊する。そのため、永久磁石の磁束量が耐電圧以下になるように削減された設計を行うことが考えられるが、その場合には永久磁石式回転電機の低速域での出力及び効率が低下する。
低速から高速まで定出力に近い可変速運転を行う場合、永久磁の鎖交磁束は一定であるので、高速回転域では回転電機の電圧が電源電圧上限に達して出力に必要な電流が流れなくなる。その結果、高速回転域では出力が大幅に低下し、さらには高速回転まで広範囲に可変速運転できなくなる。
最近では、可変速範囲を拡大する方法として、非特許文献1に記載されているような弱め磁束制御が適用され始めている。電機子巻線の総鎖交磁束量はd軸電流による磁束と永久磁石による磁束とから成る。弱め磁束制御では、負のd軸電流による磁束を発生させることによって、この負のd軸電流による磁束で全鎖交磁束量を減少させる。また、弱め磁束制御においても高保磁力の永久磁石は磁気特性(B−H特性)の動作点が可逆の範囲で変化するようにする。このため、永久磁石は弱め磁束制御の滅磁界により不可逆的に滅磁しないように高保磁力のNdFeB磁石を適用する。
弱め磁束制御を適用した運転では、負のd軸電流による磁束で鎖交磁束が減少するので、鎖交磁束の減少分が電圧上限値に対する電圧の余裕分を作る。そして、トルク成分となる電流を増加できるので高速域での出力が増加する。また、電圧余裕分だけ回転速度を上昇させることができ、可変速運転の範囲が拡大される。
しかし、出力には寄与しない負のd軸電流を常時流し続けるため銅損が増加して効率は悪化する。さらに、負のd軸電流による滅磁界は高調波磁束を生じ、高調波磁束等で生じる電圧の増加は弱め磁束制御による電圧低減の限界を作る。これらより、埋め込み型永久磁石式回転電機に弱め磁束制御を適用しても基底速度の3倍以上の可変速運転は困難である。さらに、前述の高調波磁束により鉄損が増加し、中・高速域で大幅に効率が低下する問題がある。また、高調波磁による電磁力で振動を発生する可能性もある。
ハイブリッド自動車用駆動電動機に埋め込み型永久磁石電動機を適用した場合、エンジンのみで駆動される状態では電動機は連れ回される。中・高速回転では電動機の永久磁石による誘導電圧が上昇するので、電源電圧以内に抑制するため、弱め磁束制御で負のd軸電流を流し続ける。この状態では、電動機は損失のみを発生するので総合運転効率が悪化する。
電車用駆動電動機に埋め込み型永久磁石電動機を適用した場合、電車は惰行運転する状態があり、上と同様に永久磁石による誘導電圧を電源電圧以下にするために弱め磁束制御で負のd軸電流を流し続ける。その場合、電動機は損失のみを発生するので総合運転効率が悪化する。
このような問題点を解決する技術として、特許文献1や特許文献2には、固定子巻線の電流で作る磁界により不可逆的に磁束密度が変化する程度の低保磁力の永久磁石と、低保磁力の永久磁石の2倍以上の保磁力を有する高保磁力の永久磁石を配置し、電源電圧の最大電圧以上となる高速回転域では低保磁力の永久磁石と高保磁力の久磁石による全鎖交磁束が減じるように、電流による磁界で低保磁力の久磁石を磁化させて全鎖交磁束量を調整する技術が記載されている。
この特許文献1の永久磁石式回転電機は、図7に記載のような構成の回転子1を備えている。すなわち、回転子1は、回転子鉄心2、8個の低保磁力永久磁石3及び8個の高保磁力永久磁石4から構成されている。回転子鉄心2は珪素鋼板を積層して構成され、低保磁力永久磁石3はアルニコ磁石またはFeCrCo磁石であり、高保磁力磁石4はNdFeB磁石である。
低保磁力永久磁石3は回転子鉄心2の中に埋め込まれ、低保磁力永久磁石3の両端部には第1の空洞5が設けられている。低保磁力永久磁石3は磁極間の中心軸になるq軸と一致する回転子の半径方向に沿って配置され、半径方向に対して直角方向に磁化される。高保磁力永久磁石4は回転子鉄心2内に埋め込まれ、高保磁力永久磁石4の両端部には第2の空洞6が設けられている。高保磁力永久磁石4は、2個の低保磁力永久磁石3により回転子1内周側で挟まれるように回転子1のほぼ周方向に配置されている。高保磁力永久磁石4は回転子1の周方向に対してほぼ直角方向に磁化されている。
回転子鉄心2の磁極部7は2個の低保磁力永久磁石3と1個の高保磁力永久磁石4で取り囲まれるようにして形成されている。回転子鉄心2の磁極部7の中心軸方向がd軸、磁極間の中心軸方向がq軸となる。この回転子1を採用した特許文献1の永久磁石式回転電機では、固定子巻線に通電時間が極短時間(100μs〜1ms程度)となるパルス的な電流を流して磁界を形成し、低保磁力永久磁石3に磁界を作用させる。着磁磁界を250kA/mとすると、理想的には低保磁力永久磁石3には十分な着磁磁界が作用し、高保磁力永久磁石4には着磁による不可逆減磁はない。
その結果、特許文献1の永久磁石式回転電機では、回転子1のd軸電流により低保磁力永久磁石3の鎖交磁束量を最大から0まで大きく変化でき、また磁化方向も正逆の両方向にできる。すなわち、高保磁力永久磁石4の鎖交磁束を正方向とすると、低保磁力永久磁石3の鎖交磁束を正方向の最大値から0、さらには逆方向の最大値まで広範囲に調整することができる。したがって、本実施の形態の回転子では、低保磁力永久磁石3をd軸電流で着磁することにより低保磁力永久磁石3と高保磁力永久磁石4を合わせた全鎖交磁束量を広範囲に調整することができる。
例えば、低速域では低保磁力永久磁石3は高保磁力永久磁石4の鎖交磁束と同方向(初期状態)で最大値になるようにd軸電流で磁化することにより、永久磁石によるトルクは最大値になるので、回転電機のトルク及び出力は最大にすることができる。中・高速域では、低保磁力永久磁石3の磁束量を低下させ、全鎖交磁束量を下げることにより、回転電機の電圧は下がるので、電源電圧の上限値に対して余裕ができ、回転速度(周波数)をさらに高くすることが可能となる。
特開2006−280195号公報 特開2008−48514号公報
前記のような構成を有する特許文献1の永久磁石式回転電機は、回転子1のd軸電流により、低保磁力永久磁石3の鎖交磁束量を最大から0まで大きく変化でき、また磁化方向も正逆の両方向にできるという優れた特性を有する。その反面、低保磁力永久磁石3を増磁させる場合に大きな磁化電流が必要となり、電動機を駆動するためのインバータの大型化を招くことになる。
特に、永久磁石の特性上、減磁の場合よりも増磁の場合に大きな磁化電流が要求されるが、特許文献1の永久磁石式回転電機は、2種類の磁石が磁気的に並列に配置された構成のため、高保磁力永久磁石4の鎖交磁束の影響で、低保磁力永久磁石3の増磁に大きな磁界が必要となる。
図8(A)から(D)は、そのことを説明する模式図である。特許文献1の永久磁石式回転電機では、図8(A)のように、2つの低保磁力永久磁石3と1つの高保磁力永久磁石4とが、d軸を中心としてU字形に配置されている。電動機の通常の運転状態では、各永久磁石3,4の磁束の方向は、中心の磁極部7の方を向いている。この状態で、d軸電流をパルス的に流して、減磁用の磁界を発生すると、その磁束は図8(B)のように、回転子1の外周側から各永久磁石3,4を貫くように発生し、それによって、低保磁力永久磁石3は減磁される。このとき、高保磁力永久磁石4は、保磁力が高いため、減磁されることはない。
この減磁の場合、図8(C)のように、高保磁力永久磁石4の磁束は、d軸方向と共に低保磁力永久磁石3の内側から外側に向かって、低保磁力永久磁石3の当初の磁束の向きとは逆に流れるので、d軸電流の作る磁界による減磁作用を補助する。そのため、低保磁力永久磁石3の極性を反転させるまでの減磁が可能である。
一方、増磁の場合には、d軸電流を再びパルス的に印加することで、前記とは逆方向の磁界を発生させ、その磁界を構成する逆方向の磁束によって、減磁した低保磁力永久磁石3の鎖交磁束を前記(A)の通常運転時の状態に戻す。しかし、本来、減磁に比較して増磁のためのエネルギーが大きく必要な上、図8(C)のように、低保磁力永久磁石3には高保磁力永久磁石4の磁束が減磁方向に加わっているため、これに打ち勝つだけの大きな磁界を生成することのできる磁化電流が必要となる。
このように、特許文献1の永久磁石式回転電機は、2種類の磁石を磁気的に並列に配置したため、低保磁力永久磁石3の減磁量を大きくとることができ、磁力の変化幅を0〜100%のように大きくすることができる利点はあるものの、増磁時に必要とする磁化電流が大きいという問題があった。
一方、特許文献1の永久磁石式回転電機のような大幅な鎖交磁束量の変化は要求されないが、インバータの大型化を極力避けたい用途にも、特許文献1のような技術を適用することが期待されている。例えば、鎖交磁束の変化幅が70〜100%の範囲で、インバータは現状の電動機に使用されているものをそのまま使用したい場合などである。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、低保磁力永久磁石の増磁時における磁化電流を減少させることで、インバータの大型化を必要とすることなく、低速から高速までの広範囲で可変速運転を可能とし、低速回転域の高トルク化と中・高速回転域での高出力化、効率の向上可能とした永久磁石式回転電機を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明の永久磁石式回転電機は、保磁力と磁化方向厚の積が異なる2種類以上の永久磁石を、磁気的に直列となるように配置して磁極を形成し、この磁極を回転子鉄心内に複数個配置して回転子を構成し、この回転子の外周にエアギャップを介して固定子を配置し、この固定子に電機子鉄心と電機子巻線を設け、この電機子巻線の電流が作る磁界により前記回転子の磁極を構成する永久磁石の少なくとも1個を磁化させて、永久磁石の磁束量を不可逆的に変化させ、前記保磁力と磁化方向厚の積が異なる2種類以上の永久磁石は、磁化方向に重ねて前記回転子鉄心に設け、且つ前記回転子鉄心内を通過する磁束が、これら永久磁石の部分をその厚さ方向に通過するように配置したことを特徴とする。
特に、永久磁石の鎖交磁束を減少させる場合は、保磁力と磁化方向厚の積が小さい永久磁石に、電機子巻線の電流による前記永久磁石の磁化方向と逆方向の磁界を作用させて不可逆的に変化させ、永久磁石の鎖交磁束を増加させる場合は、保磁力と磁化方向厚の積が小さい永久磁石に、電機子巻線の電流による前記磁石磁化方向と同方向の磁界を作用させて不可逆的に変化させることが好ましい。
このように、本発明では、保磁力と磁化方向厚の積が異なる2種類以上の永久磁石を、磁気的に直列となるように配置したので、永久磁石の鎖交磁束を増加させる場合に、保磁力と磁化方向厚の積が小さい永久磁石に、電機子巻線の電流による前記磁石磁化方向と同方向の磁界を作用させると共に、保磁力と磁化方向厚の積が大きい永久磁石の磁界も保磁力と磁化方向厚の積が小さい永久磁石の磁化方向に作用させることができ、これにより磁化電流の増加を抑止できる。
また、磁気特性を不可逆変化させる永久磁石をバイアス的な磁界が作用するように配置すること、磁極を構成する2種類以上の永久磁石を重ねて配置すること、磁極を構成する2種類以上の永久磁石を磁化方向がほぼd軸方向になるように配置すること、磁極を構成する2種類以上の永久磁石をV字、またはU字状に配置すること、磁極を構成する2種類以上の永久磁石をq軸近傍に配置してその磁化方向をほぼ周方向とすることも、本発明の一態様である。
更に、磁極を構成する2種類以上の永久磁石を磁性部を間に挟んで配置すること、q軸方向の磁気抵抗を磁石部を除くq軸方向の磁気抵抗よりも大きくすること、q軸方向のエアギャップ長をd軸方向のエアギャップ長よりも大きくすることも、本発明の一態様である。
以上のような構成を有する本発明によれば、増磁時の磁化電流の増加を抑止できるので、永久磁石式回転電機駆動用インバータの大型化を図ることなく、回転機の効率化を達成することができる。
以下、本発明に係る永久磁石式回転電機の実施の形態について、図面を参照して説明する。本実施の形態の回転電機は4極の場合で説明しており、他の極数でも同様に適用できる。なお、前記図7に示した永久磁石式回転電機と同一の部分については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(1.第1の実施の形態)
(1−1.構成)
本発明の第1の実施の形態について図1及び図2を用いて説明する。
本発明の第1の実施の形態の回転子1は、図1に示すように回転子鉄心2、保磁力と磁化方向厚みの積が小となる永久磁石3、保磁力と磁化方向厚の積が大となる永久磁石4から構成される。回転子鉄心2は珪素鋼板を積層して構成し、前記の永久磁石3,4は回転子鉄心2内に埋め込まれる。この場合、回転子鉄心2内を通過する磁束が、これら永久磁石3,4の部分をその厚さ方向に通過するように、各永久磁石3,4の端部に空洞5を設ける。
本実施の形態では、保磁力と磁化方向厚みの積が小となる永久磁石3はアルニコ磁石とし、保磁力と磁化方向厚の積が大となる永久磁石4は、NdFeB磁石とする。アルニコ磁石及びNdFeB磁石の磁化方向はほぼ半径方向とし、アルニコ磁石とNdFeB磁石を磁化方向に重ねて回転子鉄心2内に埋め込む。すなわち、本実施の形態では、2種類の永久磁石3,4が、その磁化方向を同じくして、磁気的に直列に配置されていることを特徴とする。
前記アルニコ磁石の保磁力は50kA/mとし、NdFeB磁石の保磁力は1000kA/mとする。アルニコ磁石の厚みはNdFeB磁石の厚みと同じとするが、厚みの比率を要求されるモータ特性に応じて変更してよい。
また、このようにして構成される本実施の形態の回転子1を固定子に挿入して回転電機を組み立てる時は、保磁力と磁化方向厚の積が小さな永久磁石3を減磁した状態とすることが好ましい。すなわち、保磁力と磁化方向厚の積が小さな永久磁石(可変磁力用磁石3)を減磁、または極性を反転した状態とすると、保磁力と磁化方向厚の積が大きい永久磁石(固定磁力用磁石4)の磁力と可変磁力用磁石3の磁力の合計が回転子の発生する磁気吸引力となる。
一方、可変磁力用磁石3を減磁すると全磁力は減少する。さらに可変磁力用磁石3の極性を反転させると、固定磁力用磁石4と可変磁力用磁石3は相殺することになるので合計磁力は僅かになってしまう。そのため、モータを組み立てる時にロータをステータに挿入する場合、ロータの磁石の磁力が強いと、ロータをステータに吸い込もうとする過大な磁気吸引力に耐えながら徐々に挿入する作業になる。しかし、前記のようにロータの磁力が弱いと、磁気吸引力が僅かであり組立が容易になる。
これらの永久磁石3,4に対しては、永久磁石式回転電機の運転時において、d軸電流による磁界で永久磁石3を磁化させて永久磁石3の磁束量を不可逆的に変化させる。その場合、永久磁石3を磁化するd軸電流を流すと同時にq軸電流により回転電機のトルクを制御する。
また、d軸電流で生じる磁束により、電流(q軸電流とd軸電流とを合成した全電流)と永久磁石3,4とで生じる電機子巻線の鎖交磁束量、すなわち、回転電機の全電流によって電機子巻線に生じる磁束と、回転子側の2種類以上の永久磁石によって生じる磁束とから構成される電機子巻線全体の鎖交磁束量をほぼ可逆的に変化させる。
特に、本実施の形態では、瞬時の大きなd軸電流による磁界で可変磁力用永久磁石3を不可逆変化させる。この状態で不可逆減磁がほとんど生じないか、僅かの不可逆減磁が生じる範囲のd軸電流を連続的に流して運転する。このときのd軸電流は電流位相を進めて端子電圧を調整するように作用する。
また、大きなd軸電流で可変磁力用磁石3の極性を反転させ、電流位相を進める運転制御方法を行う。このようにd軸電流で可変磁力用磁石3の極性を反転させているので、端子電圧を低下させるような負のd軸電流を流しても、可変磁力用磁石3にとっては減磁界ではなく増磁界となる。すなわち、負のd軸電流で可変磁力用磁石3は減磁することなく、端子電圧の大きさを調整することができる。
一般の磁石モータでは磁石の極性は反転していないので電流位相を進めることによりd軸電流が増加すると、磁石が不可逆減磁する問題があるが、本実施の形態においては、可変磁力用磁石3の極性を反転させて位相を進めることが可能である。
(1−2.基本的な作用)
つぎに、本実施の形態の作用について説明する。
本実施の形態において、磁化に要する起磁力は、磁化に要する磁界と永久磁石の厚みの積で概算する。アルニコ8の永久磁石は250kA/mの磁界で100%近くまで着磁できる。着磁磁界と磁石の厚みの積は、250kA/m×3mm×10−3=750Aとなる。
一方、NdFeB磁石は1500kA/mの磁界で100%近くまで着磁できる。着磁磁界と磁石の厚みの積は、1500kA/m×2mm×10−3=3000Aとなる。つまり、アルニコ磁石3はNdFeB磁石4の約1/4の磁界で着磁できる。
本実施の形態では、固定子の電機子巻線に通電時間が極短時間(0.1ms〜100ms程度)となるパルス的な電流を流して磁界を形成し、アルニコ磁石3に磁界を作用させる。永久磁石を磁化するための磁界を形成するパルス電流は固定子の電機子巻線のd軸電流成分とする。
磁石の厚みは同じにしたので、保磁力で作用磁界による影響を評価できる。初めに磁石の磁化方向とは逆方向の磁界を発生する負のd軸電流を電機子巻線にパルス的に通電させる。負のd軸電流によって変化した磁石内の磁界が50kA/mになったとすると、アルニコ磁石の保磁力が50kA/mなのでアルニコ磁石の磁力は不可逆的に大幅に低下する。一方、NdFeB磁石の保磁力が1000kA/mなので磁力は不可逆的に低下しない。その結果、パルス的なd軸電流が0になるとアルニコ磁石のみが減磁した状態となり、全体の磁石による鎖交磁束量を減少することができる。
つぎに、永久磁石の磁化方向と同方向の磁界を発生する正のd軸電流を電機子巻線に通電する。アルニコ磁石が着磁するために必要な磁界を発生させる。100kA/mとすると、減磁していたアルニコ磁石は着磁されて最大に磁力を発生する。一方、NdFeB磁石の保磁力が1000kA/mなので磁力は不可逆的に変化しない。その結果、パルス的な正のd軸電流が0になるとアルニコ磁石のみが増磁した状態となり、全体の磁石による鎖交磁束量を増加することができる。これにより元の最大の鎖交磁束量に戻すことが可能となる。
以上のようにd軸電流による瞬時的な磁界をアルニコ磁石とNdFeB磁石に作用させることにより、アルニコ磁石の磁力が不可逆的に変化させて、永久磁石の全鎖交磁束量を任意に変化させることが可能となる。
この場合、永久磁石式回転電機の最大トルク時には磁極の永久磁石の磁束が加え合わせになるように保磁力と磁化方向厚みの積が他よりも小さな永久磁石を磁化させ、トルクの小さな軽負荷時や、中速回転域と高速回転域では、前記の保磁力と磁化方向厚みの積が他よりも小さな永久磁石は、電流による磁界で磁化させて磁束を減少させる。
また、磁極の磁石を不可逆変化させて鎖交磁束を最小にした状態で回転子が最高回転速度になったときに、永久磁石による誘導起電圧が、回転電機の電源であるインバータ電子部品の耐電圧以下とする。
(1−3.直列配置の作用)
特に、本実施の形態では、2種類の磁石を磁気的に直列に配置しているので、保磁力と磁化方向厚みの積が小となる永久磁石3の減磁及び増磁の際に、前記特許文献1の永久磁石式回転電機とは異なる作用を有する。この点を図2により説明する。
図2(A)は、減磁前の最大の鎖交磁束量を得ている場合の図である。この場合、2種類の永久磁石3,4の磁化方向は同一であるため、両方の永久磁石の磁束が加え合わせになって、最大の磁束量が得られる。
図2(B)は、減磁時の状態を示すもので、d軸方向から両方の永久磁石3,4の磁化方向と反対方向の磁界が作用して、保磁力と磁化方向厚みの積が小となる永久磁石3を減磁している。この場合、保磁力と磁化方向厚みの積が小となる永久磁石3には、それに積層した保磁力と磁化方向厚の積が大となる永久磁石4からの磁界が加わっており、これが減磁のためのd軸方向から加わる磁界と打ち消し合うことになるため、その分大きな磁化電流が必要となるが、減磁のための磁化電流は増磁時に比較して少なくて済むので、磁化電流の増加は少ない。
図2(C)は、減磁後の永久磁石3,4の磁束を示すもので、保磁力と磁化方向厚みの積が小となる永久磁石3は、0に近くまで減磁されているのに対して、保磁力と磁化方向厚の積が大となる永久磁石4は、磁化電流の作る磁界ではその保磁力は変化しない。従って、永久磁石3,4全体としてみれば、永久磁石3の保磁力を反転させるまでの変化が可能な特許文献1の発明ほどは、磁力の変化幅は少ない。
図2(D)は、永久磁石3の増磁の状態を示すものである。この状態では、d軸電流による磁界が、減磁時とは逆方向に作用して、永久磁石3を増磁し、元の磁化方向に戻す。このとき、永久磁石3に積層されている保磁力と磁化方向厚の積が大となる永久磁石4からの磁界が磁化電流による磁界と加え合わせになる(永久磁石4からバイアス的な磁界が永久磁石3に作用する)ため、永久磁石3の増磁が容易に行われる。そのため、通常は大きな磁化電流を必要とする増磁時においても、保磁力と磁化方向厚の積が大となる永久磁石4の作用により、磁化電流の増大を抑止できる。
(1−4.効果)
以上のような構成並びに作用を有する本実施の形態においては、次の効果が得られる。
(1) 増磁時の磁化電流の増加を抑止できるので、永久磁石式回転電機を駆動するためのインバータの大型化を必要とせず、現状のインバータをそのまま使用して、運転の効率化が可能となる。
(2) d軸電流でアルニコ磁石を不可逆的に変化させることにより、アルニコ磁石とNdFeB磁石を合わせた全鎖交磁束量を広範囲に調整することができる。
(3) 永久磁石の全鎖交磁束量の調整は回転電機の電圧を広範囲に調整することを可能とし、また、着磁は極短時間のパルス的な電流で行うので常時弱め磁束電流を流し続ける必要もないので損失を大幅に低減できる。また、従来のように弱め磁束制御を行う必要がないので高調波磁束による高調波鉄損も発生しない。以上により、本実施の形態の回転電機は、高出力で低速から高速までの広範囲の可変速運転を可能とし、広い運転範囲において高効率も可能となる。
(4) 永久磁石による誘導電圧に関しては、アルニコ磁石3を負のd軸電流で着磁して永久磁石の全鎖交磁束量を小さくできるので、永久磁石の誘導電圧によるインバータ電子部品の破損がなくなり、信頼性が向上する。
(5) 回転電機が無負荷で連れ回される状態では、アルニコ磁石3を負のd軸電流で着磁して永久磁石の全鎖交磁束量を小さくできる。これより、誘導電圧は著しく低くなり、誘導電圧を下げるための弱め磁束電流を常時通電する必要がほとんどなくなり、総合効率が向上する。特に惰行運転時間が長くなる通勤電車に本発明の回転電機を搭載して駆動すると、総合運転効率は大幅に向上する。
(2.第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について、図3を用いて説明する。
本実施の形態は、保磁力と磁化方向厚の積が異なる2種類の永久磁石3,4を磁化方向に貼り合せて、回転子鉄心2に設けられたV字状の穴に埋め込む。保磁力と磁化方向厚の積が小の永久磁石3はフェライト磁石かアルニコ磁石を使用する。保磁力と磁化方向厚の積が大の永久磁石4には、NdFeB磁石を適用する。貼り合せた2種類の磁石をV字状に配置したが、U字状に配置してもよい。
この場合、回転子鉄心2に対して、V字の谷の部分がd軸に、V字の両端部分がq軸に位置するように、積層した永久磁石3,4をV字状(またはU字状)に埋め込む。また、永久磁石3,4の両端の空洞5は、d軸またはq軸と一致する位置に設け、この方向から磁束が積層した永久磁石3,4に入り込まないようにする。すなわち、d軸方向からの磁束が積層した永久磁石3,4に対して垂直に入り込み、保磁力と磁化方向厚の積が小の永久磁石3の減磁及び増磁が効果的に行われるようにする。
以上のような構成を有する本実施の形態では、前記の実施の形態と同様な作用効果に加えて、積層した2種類の永久磁石3,4をV字状に配置することにより、回転子鉄心2内で配置できる磁石の面積を直線状に配置したものより大きくできる。その結果、永久磁石3,4による磁束を増加できるので磁石によるトルクを大きくできる。さら、V字間にデルタ形状の鉄心が形成されるの、デルタ形状部分を通るq軸磁束が増加する。これによりリラクタンストルクが大きくなり、磁石によるトルクを合計した全モータトルクも大きくなる。
(3.第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態について、図4を用いて説明する。
本実施の形態は、保磁力と磁化方向厚の積が異なる2種類の永久磁石3,4を磁化方向に貼り合せて、d軸に直角に配置する点は、前記第1の実施の形態と同様である。それに加えて、本実施の形態では、回転子鉄心2のq軸近傍の位置に、同じく積層した2種類の永久磁石3a,4aをq軸と一致する方向に埋め込む。これにより、回転子1の磁極部7が、3個の積層体によって凹形に取り囲まれた構成となる。
この場合、q軸近傍に配置する永久磁石3a,4aの磁化方向はほぼ周方向(q軸と直交する方向)とし、q軸側磁永久磁石3a,4a間に埋め込まれた磁極部7中央の永久磁石3,4はd軸方向を磁化方向とする。また、磁極部7中央の永久磁石3,4の両端、及びq軸近傍に配置する永久磁石3a,4aの鉄心中央側の端部には、空洞5を設けて、d軸方向から加わる減磁または増磁用の磁界が、積層した各磁石3,4または3a,4aに対してその表面と直交する方向から加わるようにする。
このような構成を有する本実施形態においては、前記の実施の形態と同様な作用効果に加えて、q軸方向に配置され永久磁石3a,4aはトルクを発生させるq軸電流により生じる磁界の影響を受け難く、減磁し難い。したがって、q軸近傍に配置された永久磁石3a,4aは磁化方向厚みを薄くできる。または、保磁力と磁化方向厚の積が大きい磁石4の厚みを薄くして、保磁力と磁化方向厚の積が小さい磁石3の厚みを厚くできる。この場合の利点は、永久磁石の全鎖交磁束の変化幅を大きくできることである。
(4.第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態について、図5(A)を用いて説明する。本実施の形態では、保磁力と磁化方向厚の積が異なる2種類の永久磁石3,4を磁化方向に積層して配置させるにあたり、前記2種類の永久磁石3,4間には鉄などの磁性層8を設ける。
前記各実施の形態のように、永久磁石3,4を積層した場合、互いの磁石が磁気抵抗になる。そのため、保磁力と磁化方向厚の積が大の永久磁石4による強い磁界が、その上に積層された保磁力と磁化方向厚の積が小の永久磁石3による磁気抵抗で弱められその磁束密度が低下する可能性がある。
本実施の形態では、2種類の永久磁石3,4間に磁性層5があるので、磁気的に並列な磁気回路が構成される。すなわち、保磁力と磁化方向厚の積が大の永久磁石4からの磁束は、その上に積層された保磁力と磁化方向厚の積が小の永久磁石3を貫通する方向で作用するだけでなく、磁性層5の部分から永久磁石3の側方に漏れ出て、結果として、永久磁石3を貫通する磁束とその側方に漏れ出た磁束とが並列にd軸方向に作用する。このように並列に磁気回路が構成されることにより、磁気抵抗部分を回避して磁束が分布することになり、保磁力と磁化方向厚の積が大の磁石4の磁束密度を高くできる。
なお、図5(B)に示すように、2種類の永久磁石3,4間に磁性層5を設けるにあたり、外周側の永久磁石3は内周側の永久磁石4よりも周方向の幅を狭くすることもできる。このようにすると、永久磁石3,4の幅の差の部分には回転子鉄心が接することになるので、この鉄心部分から内周側の磁石の一部の磁束がエアギャップを貫くことになる。
(5.第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態について、図6を用いて説明する。本実施の形態では、回転子鉄心2の形状を、永久磁石の磁束の中心軸となるd軸近傍のエアギャップ長L1が、磁極間部のq軸近傍のエアギャップ長L2よりも大きくする。
本実施の形態では、d軸電流による磁界は永久磁石3,4に作用させることを目的としているが、漏れ磁界も生じる。本実施の形態ではq軸近傍のエアギャップ長L2をd軸近傍のエアギャップ長L1よりも大きくしている。したがって、磁石を磁化させるためのd軸電流による磁界は、d軸部に配置された永久磁石3,4に効果的に作用させることができる。また、q軸方向の磁気抵抗を大きくするような非磁性部分を回転子鉄心内に設けてもよい。
(6.他の実施の形態)
本発明は、前記の各実施の形態に限定されるものではなく、つぎのような他の実施の形態も包含する。
(1) 前記各実施の形態では4極の回転電機を示したが、8極等の多極の回転電機も本発明を適用できるのは当然である。極数に応じて永久磁石の配置位置、形状が幾分変ることはもちろんであり、作用と効果は同様に得られる。
また、磁極を形成する永久磁石において、保磁力と磁化方向の厚みの積をもって永久磁石を区別する定義をしている。したがって、磁極には同じ種類の永久磁石で形成し、磁化方向厚みを異なるように形成しても同様な作用と効果が得られる。
(2) 図3のように、q軸方向とd軸方向の両方に積層した永久磁石3,4を配置する代わりに、q軸方向にのみ、放射状に積層した永久磁石3,4を配置することも可能である。その場合、磁石の使用量が減るのみで、トルクも減ってしまうので、q軸方向の永久磁石3,4単独ではなく、q軸方向に積層した永久磁石3,4を配置し、d軸とほぼ直角の位置に積層していない固定磁力の磁石を配置することが考えられる。そのようにすれば、最大磁力は大きくなる。但し、磁力の可変幅は少し小さくなる。
(3) 運転時に極短時間のパルス的なd軸電流による磁界で永久磁石を磁化させて永久磁石の磁束量を不可逆的に変化させ、かつ、全磁石の誘起電圧に対して位相を進めた電流を連続的に通電させて、電流と永久磁石で生じる電機子巻線の鎖交磁束量を変化させる。
すなわち、パルス電流で永久磁石の磁束量を減少させ、さらに電流位相を進めると、磁石磁束に対して逆方向の電流で生じる磁束が発生するので、これを相殺して、全鎖交磁束を減少でき、端子電圧を低下させることができる。なお、電流位相を進めることは負のd軸電流成分を流していることと等価である。
このような電流位相進み制御においては、電流位相を進めるとd軸電流が流れて磁石は減磁して幾分磁束量は減る。しかし、パルス電流で大きく減磁させているので、磁束量の低下は比率的には小さい利点がある。
本発明の第1の実施の形態の回転子の断面図。 第1の実施の形態の作用を示す模式図。 本発明の第2の実施の形態の回転子の断面図。 本発明の第3の実施の形態の回転子の断面図。 本発明の第4の実施の形態の回転子の断面図。 本発明の第5の実施の形態の回転子の断面図。 特許文献1に記載の回転子の断面図。 特許文献1に記載の回転子の作用を示す模式図。
符号の説明
1…回転子
2…回転子鉄心
3…保磁力と磁化方向厚の積が小となる永久磁石
4…保磁力と磁化方向厚の積が大となる永久磁石
5,6…永久磁石端の空洞
7…磁極部
8…磁性層

Claims (18)

  1. 保磁力と磁化方向厚の積が異なる2種類以上の永久磁石を、磁気的に直列となるように配置して磁極を形成し、
    この磁極を回転子鉄心内に複数個配置して回転子を構成し、
    この回転子の外周にエアギャップを介して固定子を配置し、
    この固定子に電機子鉄心と電機子巻線を設け、
    この電機子巻線の電流が作る磁界により前記回転子の磁極を構成する永久磁石の少なくとも1個を磁化させて、永久磁石の磁束量を不可逆的に変化させ
    前記保磁力と磁化方向厚の積が異なる2種類以上の永久磁石は、磁化方向に重ねて前記回転子鉄心に設け、且つ前記回転子鉄心内を通過する磁束が、これら永久磁石の部分をその厚さ方向に通過するように配置したことを特徴とする永久磁石式回転電機。
  2. 請求項1に記載の永久磁石式回転電機において、
    前記磁極を形成する2種類以上の永久磁石をその磁束が加え合わせになるように回転子鉄心内に配置し、電機子巻線の電流が作る磁界により前記少なくとも1個の永久磁石を磁化させて永久磁石による鎖交磁束量を不可逆的に減少させ、かつ、減少後に電機子巻線の電流による磁界を前記減少時と逆方向に発生させて前記少なくとも1個の永久磁石を磁化させて永久磁石による鎖交磁束量を不可逆的に増加させることを特徴とする永久磁石式回転電機。
  3. 請求項2に記載の永久磁石式回転電機において、
    永久磁石の鎖交磁束量を減少させる場合は、保磁力と磁化方向厚の積が小さい永久磁石に、電機子巻線の電流による前記永久磁石の磁化方向と逆方向の磁界を作用させて不可逆的に変化させ、永久磁石の鎖交磁束を増加させる場合は、保磁力と磁化方向厚の積が小さい永久磁石に、電機子巻線の電流による前記磁石磁化方向と同方向の磁界を作用させて不可逆的に変化させることを特徴とする永久磁石式回転電機。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の永久磁石式回転電機において、
    d軸電流による磁界で永久磁石を磁化させて永久磁石の磁束量を不可逆的に変化させ、永久磁石を磁化するd軸電流を流すと同時にq軸電流によりトルクを制御することを特徴とする永久磁石式回転電機。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の永久磁石式回転電機において、
    運転時にd軸電流による磁界で永久磁石を磁化させて永久磁石の磁束量を不可逆的に変化させ、かつ、d軸電流で生じる磁束により電流と永久磁石で生じる電機子巻線の鎖交磁束量をほぼ可逆的に変化させることを特徴とする永久磁石式回転電機。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の永久磁石式回転電機において、最大トルク時には磁極の永久磁石の磁束が加え合わせになるように保磁力と磁化方向厚みの積が小さな永久磁石を磁化させ、トルクの小さな軽負荷時および中速回転域と高速回転域では、前記の保磁力と磁化方向厚みの積が小さな永久磁石は、電流による磁界で磁化させて磁束を減少させることを特徴とする永久磁石式回転電機。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の永久磁石式回転電機において、
    磁気特性を不可逆変化させる永久磁石はバイアス的な磁界が作用するように配置されることを特徴とする永久磁石式回転電機。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の永久磁石式回転電機において、
    磁極を構成する2種類以上の永久磁石は重ねて配置することを特徴とする永久磁石式回転電機。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の永久磁石式回転電機において、
    磁極を構成する2種類以上の永久磁石は磁化方向がほぼd軸方向になるように配置されることを特徴とする永久磁石式回転電機。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の永久磁石式回転電機において、磁極を構成する2種類以上の永久磁石はV字状、またはU字状に配置されることを特徴とする永久磁石式回転電機。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の永久磁石式回転電機において、
    磁極を構成する2種類以上の永久磁石はq軸近傍に配置されて磁化方向はほぼ周方向とすることを特徴とする永久磁石式回転電機。
  12. 請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の永久磁石式回転電機において、磁極を構成する2種類以上の永久磁石は磁極部を間に挟んで配置することを特徴とする永久磁石式回転電機。
  13. 請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の永久磁石式回転電機において、q軸方向の磁気抵抗を磁石部を除くd軸方向の磁気抵抗よりも大きくすることを特徴とする永久磁石式回転電機。
  14. 請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の永久磁石式回転電機において、
    q軸方向のエアギャップ長はd軸方向のエアギャップ長よりも大きくすることを特徴とする永久磁石式回転電機。
  15. 請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の永久磁石式回転電機において、
    磁極の磁石を不可逆変化させて鎖交磁束を最小にした状態で回転子が最高回転速度になったときに、永久磁石による誘導起電圧を、回転電機の電源であるインバータ電子部品の耐電圧以下とすることを特徴とする永久磁石式回転電機。
  16. 請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の永久磁石式回転電機において、
    回転子を固定子に挿入して組み立てる時は保磁力と磁化方向厚の積が小さな永久磁石を不可逆変化させて、永久磁石による鎖交磁束量を減少させた状態とすることを特徴とする永久磁石式回転電機。
  17. 請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の永久磁石式回転電機において、
    保磁力と磁化方向厚の積が小さな永久磁石をその極性が反転するまで減磁した状態において、電流位相を進める運転を行うことを特徴とする永久磁石式回転電機。
  18. 請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の永久磁石式回転電機において、
    運転時に極短時間のパルス的なd軸電流による磁界で永久磁石を磁化させて永久磁石の磁束量を不可逆的に変化させ、かつ、全磁石の誘起電圧に対して位相を進めた電流を連続的に通電させて、電流と永久磁石で生じる電機子巻線の鎖交磁束量を変化させることを特徴とする永久磁石式回転電機。
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