以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。図1〜図8は本発明による一実施の形態を説明するための図である。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1に示すように、表示装置10は、液晶表示パネル15と、液晶表示パネル15の背面側に配置され液晶表示パネル15を背面側から面状に照らす面光源装置20と、液晶表示パネル15および面光源装置20を制御する制御装置18と、を備えている。表示装置10は、表示面11を有し、表示面11に像を表示するように構成されている。
図示された液晶表示パネル15は、出光側に配置された上偏光板13と、入光側に配置された下偏光板14と、上偏光板13と下偏光板14との間に配置された液晶セル12と、を有している。このうち、液晶セル12は、ガラス等からなる一対の支持板と、支持板間に配置された液晶と、液晶分子の配向を一つの画素を形成する領域毎に電場によって制御する電極と、を有する部材である。制御装置18は、画素毎の液晶分子の配向を制御するように構成されている。この結果、液晶表示パネル15は、面光源装置20からの光の透過および遮断を画素毎に制御するシャッターとして機能し、面光源装置20からの面状光を選択して透過させることにより、画像を形成するようになる。液晶表示パネル15の詳細については、種々の公知文献(例えば、「フラットパネルディスプレイ大辞典(内田龍男、内池平樹監修)」2001年工業調査会発行)に記載されており、ここではこれ以上の詳細な説明を省略する。
次に、面光源装置20について説明する。面光源装置20は、面状に光を発光する発光面21を有し、液晶表示パネル15を背面側から照明する装置である。図1に示すように、面光源装置20は、エッジライト型の面光源装置として構成され、導光板30と、導光板30の側方に配置された光源24a,24bと、導光板30にそれぞれ対向して配置されたプリズムシート60および反射シート22と、を有している。導光板30は、液晶表示パネル15側の主面によって構成された出光面31と、出光面31に対向するもう一方の主面からなる裏面32と、出光面31および裏面32の間を延びる側面と、を有している。そして、導光板30の側面の一部分によって少なくとも一つの入光面が形成され、この入光面に対向して光源24a,24bが配置されている。また、側面の一部分によって一つの入光面33に対向する反対面34も形成され、当該一つの入光面33から導光板30に入射した光は、概ね、当該一つの入光面33と、当該一つの入光面33に対向する反対面34と、を結ぶ第1方向(導光方向)に沿って導光板30内を導光されるようになる。プリズムシート60は、導光板30の出光面31に対向するようにして配置されており、プリズムシート60の出光面が面光源装置20の出光面21を構成している。反射シート22は、導光板30の裏面32に対向するようにして配置され、導光板30を裏面側から覆っている。
なお、図示する例において、液晶表示装置10の表示面11、面光源装置20の発光面21および導光板30の出光面31は、四角形形状に形成されている。この結果、プリズムシート60は、全体的に、四角形板状の部材として構成されている。同様に、導光板30は、全体的に、一対の主面(出光面31および裏面32)を有する四角形板状の部材として構成されており、一対の主面間に画成される側面は四つの面を含んでいる。そして、図1に示すように、側面のうちの第1方向に対向する二つの面が、入光面33,34をなしている。言い換えると、上述した一つの入光面が第1入光面33として機能し、この一つの入光面に対向する反対面が第2入光面34として機能するようになっている。図1に示すように、第1入光面33に対向して第1光源24aが設けられ、第2入光面34に対向して第2光源24bが設けられている。また、本実施の形態における導光板30は、第1方向に沿った各位置において、一定の断面形状を有するようになっている。
第1光源24aおよび第2光源24bは、例えば、線状の冷陰極管等の蛍光灯や、点状のLED(発光ダイオード)や白熱電球等の種々の態様で構成され得る。本実施の形態において、第1光源24aおよび第2光源24bの各々は、対応する入光面33,34の長手方向に沿って、並べて配置された多数の点状発光体、具体的には、多数の発光ダイオード(LED)によって、構成されている。なお、図3には、第1光源24aをなす多数の点状発光体25の配置位置が示されている。制御装置18は、各点状発光体25の出力、すなわち、各点状発光体25の点灯および消灯、及び/又は、各点状発光体25の点灯時の明るさを、他の点状発光体の出力から独立して調節し得るように構成されている。
反射シート22は、導光板30の裏面32から出射した光を反射して、再び導光板30内に入射させるための部材である。反射シート22は、白色の散乱反射シート、金属等の高い反射率を有する材料からなるシート、高い反射率を有する材料からなる薄膜(例えば金属薄膜)を表面層として含んだシート等から、構成され得る。
なお、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。また、本明細書において、「プリズム」や「レンズ」という用語は、入射光に対して種々の光学的作用(例えば、反射や屈折)を及ぼし得る形状要素(光学要素)を意味するものである。また、「プリズム」および「レンズ」等の用語は、形状要素(光学要素)として、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
さらに、本明細書において「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面のことを指す。そして、本実施の形態においては、導光板30の板面、プリズムシート60のシート面、反射シート22のシート面、液晶表示パネルのパネル面、表示装置10の表示面11、および、面光源装置20の発光面21は、互いに平行となっている。さらに、本明細書において「正面方向」とは、面光源装置20の発光面21に対する法線の方向nd(例えば、図2および図4参照)であり、本実施の形態においては、表示装置10の表示面11への法線方向、導光板30の板面への法線方向、プリズムシート60のシート面への法線方向、全体的かつ大局的に見た場合におけるプリズムシート60の入光面や導光板30の出光面31への法線方向等にも一致する。
次に、図2〜図4を主に参照して、導光板30についてさらに詳述する。図3および図2によく示されているように、導光板30は、板状に形成された基部40と、基部40の一側の面(出光側面)41上に形成された複数の単位形状要素(単位光学要素、単位プリズム、単位レンズ)50と、を有している。基部40は、一対の平行な主面を有する平板状の部材として構成されている。そして、プリズムシート60に対面しない側に位置する基部40の他側の面42によって、導光板30の裏面32が構成されている。
図1および図2に示すように、基部40は、主部44と、主部44中に分散された光散乱剤(光拡散性粒子)45と、を有している。光散乱剤45は、基部40内を進む光に対し、反射や屈折等によって、当該光の進路方向を変化させる作用を及ぼすようになっている。このような光散乱剤45の光拡散機能(光散乱機能)は、例えば、主部44をなす材料とは異なる屈折率を有した材料から光散乱剤45を構成することにより、あるいは、光に対して反射作用を及ぼし得る材料から光散乱剤45を構成することにより、付与することができる。なお、図1および図2以外の図面においては、光散乱剤45を省略している。
次に、基部40の一側の面41上に設けられた単位形状要素50について説明する。図2によく示されているように、複数の単位形状要素50は、第1方向に交差し且つ基部40の一側の面41と平行な第2方向に並べて、基部40の一側の面41上に、配列されている。各単位形状要素50は、基部40の一側の面41上を、第2方向と交差するようにして線状に延びている。
とりわけ本実施の形態において、複数の単位形状要素50は、基部40の一側の面41上に、第2方向に隙間無く並べて配列されている。したがって、導光板40の出光面41は、単位形状要素50の表面によってなされる傾斜面37,38として、構成されている。また、各単位形状要素50は、第2方向と直交する第1方向に沿って、直線状に延びている。さらに、各単位形状要素50は、柱状に形成され、その長手方向に沿って同一の断面形状を有するようになっている。また、本実施の形態において、複数の単位形状要素50は、互いに同一に構成されている。
図4に示す断面、つまり、単位形状要素の配列方向(第2方向)および基部40の一側の面41(導光板30の板面)への法線方向ndの両方向に平行な断面(以下においては、単に「導光板の主切断面」とも呼ぶ)において、各単位形状要素50は、基部40の一側の面41上に一辺が位置する三角形形状、又は、この三角形形状の基部40から突出した頂角が面取りされてなる形状を有している。図示する例において、各単位形状要素50の主切断面における断面形状は、基部40から突出する三角形の頂角56を面取りした形状となっている(図4参照)。
図示する例においては、正面方向輝度を効果的に上昇させること、および、第2方向に沿った面内での輝度の角度分布に対称性を付与することを目的として、単位形状要素50の主切断面における断面形状は、正面方向ndを中心として、対称性を有している。したがって、主切断面における断面三角形形状の二つの底角θ1,θ2は互いに等しい角度となっている。
なお、本件明細書における「三角形形状」とは、厳密な意味での三角形形状のみでなく、製造技術における限界や成型時の誤差等を含む略三角形形状を含む。また同様に、本明細書において用いる、その他の形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、「平行」や「直交」等の用語も、厳密な意味に縛られることなく、同様の光学的機能を期待し得る程度の誤差を含めて解釈することとする。
以上のような構成を有した導光板30の寸法は、一例として、以下のように設定され得る。まず、単位形状要素50の具体例として、導光板30の板面に沿った幅Wa(図4参照)を0.05mm以上0.5mm以下とすることができ、導光板30の板面への法線方向に沿った単位形状要素50の基部40の一側の面41からの高さHaを0.01mm以上0.3mm以下とすることができる。また、単位形状要素50の断面形状が三角形形状からなる場合には、頂角56の角度を90°以上160°以下とすることができる。単位形状要素50の断面形状が三角形形状の頂角56を面取りしてなる形状となっている場合、主切断面において、単位形状要素50の頂部52は、曲率半径の値が単位形状要素50の幅Waの値以下となっている曲線として、形成されていることが好ましい。一方、基部40の厚みは、0.5mm〜6mmとすることができる。
また、以上のような構成を有した導光板30は、一例として、押し出し成型によって作製され得る。押し出し成型で作製された導光板30においては、基部40と、基部40の一側の面41上の複数の単位形状要素50と、が一体的に形成され得る。また、押し出し成型によって導光板30を作製する場合、単位形状要素50が、基部40の主部44をなす材料と同一の樹脂材料と、基部40の光散乱剤45をなす粒子と、から構成されてもよい。あるいは、いわゆる共押し出しにより導光板30が作製され、基部40が、樹脂材料からなる主部44と、主部44中に分散された光散乱剤45と、から構成され、その一方で、単位形状要素50が、基部40の主部44をなす材料と同一の樹脂材料と、基部40の光散乱剤45とは別途の機能を有した粒子と、から構成されてもよいし、または、基部40の主部44をなす材料と同一の樹脂材料のみから構成されてもよい。
次に、図2および図6〜図8を主に参照して、プリズムシート60についてさらに詳述する。プリズムシート60は、入光側から入射した光の進行方向を変化させて出光側から出射させ、正面方向の輝度を集中的に向上させるためのシート状部材である。図2および図6によく示されているように、プリズムシート60は、板状に形成された本体部65と、本体部65の入光側面66上に形成された複数の単位プリズム(単位形状要素、単位光学要素、単位レンズ)70と、を有している。本体部65は、一対の平行な主面を有する平板状の部材として構成されている。そして、導光板30に対面しない側に位置する本体部65の出光側面67によって、面光源装置20の発光面21をなすプリズムシート60の出光面が構成されている。
次に、本体部65の入光側面66上に設けられた単位プリズム70について説明する。図6によく示されているように、複数の単位プリズム70は、本体部65の入光側面66上に並べて配置されている。各単位プリズム70は、線状に形成され、その配列方向と交差する方向に延びている。
本実施の形態において、複数の単位プリズム70は互いに同一に構成されている。そして、図示する例において、各単位プリズム70は直線状に延びている。また、各単位プリズム70は、柱状に形成され、その長手方向に沿って同一の断面形状を有するようになっている。さらに、複数の単位プリズム70は、その長手方向に直交する方向に沿って、本体部65の入光側面66上に隙間無く並べられている。
なお、上述してきたように、プリズムシート60は、導光板30に重ねられるようにして配置され、プリズムシート60の単位プリズム70が導光板30の出光面31に対面するようになっている。また、図1および図2に示すように、プリズムシート60は、単位プリズム70の長手方向が導光板30による導光方向(導光板30の入光面と当該入光面に対向する反対面とを結ぶ第1方向)と交差するように、導光板30に対して位置決めされている。より厳密には、単位プリズム70の長手方向が導光板30による導光方向と直交するとともに、単位プリズム70の配列方向が導光板30による導光方向と平行になるように、プリズムシート60が導光板30に対して位置決めされている。
各単位プリズム70は、本体部65のシート面と平行な方向に互いに対向して配置された第1面71および第2面72を有するようになっている。後述するように、第2面72は、主として、第1光源24aから発光された光であって、導光板30内を進み、その後、第1面71を介してプリズムシート60へ入射する光に対し、偏向作用を及ぼす。一方、第1面71は、主として、第2光源24bから発光された光であって、導光板30内を進み、その後、第2面72を介してプリズムシート60へ入射する光に対し、偏向作用を及ぼす。
図7および図8によく示されているように、第1面71および第2面72は、それぞれ本体部65から延び出るとともに互いに接続されている。第1面71および第2面72が本体部65にそれぞれ接続する位置において、単位プリズム70の基端部74が画成されている。また、第1面71および第2面72が互いに接続する位置において、本体部65から最も入光側に突出した単位プリズム70の頂部(先端部)75が画成されている。また、光源24a,24bおよび導光板24が導光方向における中心位置Pcを中心として対称的な構成を有していることに対応し、単位プリズム70をなす第1面71および第2面72は、頂部75を通過してプリズムシート60の法線方向ndに延びる面を中心として、対称的に形成されている。
上述したように、また図6に示すように、プリズムシート60のシート面への法線方向ndおよび複数の単位プリズム70の配列方向の両方に平行な断面(プリズムシートの主切断面)における各単位プリズム70の断面形状は、当該単位プリズム70の長手方向(直線状に延びている方向)に沿って一定となっている。以下において、プリズムシート60の主切断面における単位プリズム70の断面形状についてさらに詳細に説明する。なお、図1および図2では、プリズムシートの主切断面と平行な断面において、面光源装置20(表示装置10)が示されている。
図7に示すように、本実施の形態においては、プリズムシートの主切断面における各単位プリズム70の断面形状は、入光側(導光板の側)に向けて先細りしていく形状となっている。つまり、主切断面において、本体部65のシート面と平行な単位プリズム70の幅は、本体部65の法線方向ndに沿って本体部65から離間するにつれて小さくなっていく。
また、図7に示すように、プリズムシートの主切断面において、単位プリズム70の外輪郭は、つなぎ合わされた複数の弧(円弧または楕円弧)によって構成されている。図示する例においては、第1面71および第2面72をそれぞれ構成するようになる二つの楕円弧A1,A2によって、単位プリズム70の主切断面における外輪郭が構成されている(図7参照)。
ただし、この例に限られず、さらに単位プリズム75の頂部75に面取りを施すことにより、三つの弧から単位プリズム70の主切断面における外輪郭が構成されるようにしてもよい。また、図示する例とは異なり、互いにつなぎ合わされた隣り合う二つ弧が、つなぎ合わせ部分において、共通する接線を有する、すなわち、隣り合う二つの弧が連続的に接続するようにしてもよい。この場合、より安定して、プリズムシート60の出光面21における輝度の角度分布をなだらかに変化させること、および、観察方向を変化させた際に明るさが急激に変化すること(カットオフが発生すること)を防止することが可能となる。
さらに、図7に示すように、単位プリズム70の第1面71または第2面72への接線TLが、つまり、単位プリズム70の外輪郭への接線TLが、主切断面において本体部65のシート面への法線方向ndに対してなす角度(「接線角度」とも呼ぶ)θは、接線TLの単位プリズム70への接点TPが、本体部65の法線方向ndにおいて本体部65から最も離間した単位プリズム70の頂部75の側から、本体部65の法線方向ndにおいて本体部65に最も接近する単位プリズム70の基端部74の側へ向かうにつれて、小さくなっていく。なおここでいう、接線角度θが「小さくなっていく」とは、接線角度θが常に大きく変化していくこと(図7および図8によく示されている本実施の形態における態様)だけでなく、少なくとも一部の領域において接線角度θが変化しない場合も含む概念である。すなわち、ここでいう、接線角度θが「小さくなっていく」とは、接点TPが単位プリズム70の頂部75の側から基端部74の側へ向かう際に、接線角度θが「大きくなることがない」ことを意味している。
また、図7によく示された単位プリズム70の主切断面における断面形状は、本件発明者らの研究結果に基づき、次のように設計されている。一つの単位プリズム70へ向けてプリズムシートの主切断面と平行な面内を本体部65の法線方向ndに対してα°傾斜して進む光のうち、当該一つの単位プリズム70と隣り合う他の単位プリズムに接する光路(図7における光L71〜L74の光路)をとり当該一つの単位プリズム70へ第1面71を介して入射した光が到達する当該一つの単位プリズム70の第2面72上の位置(つまり、プリズムシートの主切断面と平行な面内を本体部65の法線方向ndに対してα°傾斜して進んでプリズムシート60に入射する光が到達し得る第2面72上における最も単位プリズム70の基端部74(本体部65)の側の位置)での接線角度をθαとし、且つ、単位プリズム70の頂部75の側における第2面72の端部での接線角度をθeとした場合に、以下の二つの式が満たされるようになっている。
θe−θ80>θ80−θ70 ・・・ 式(1)
θ85−θ80>θ80−θ75 ・・・ 式(2)
なお、上述したように、本実施の形態によれば、第1面71および第2面72は対称的な構成を有している。したがって、一つの単位プリズム70へ向けてプリズムシートの主切断面と平行な面内を本体部65の法線方向ndに対してα°傾斜して進む光のうち、当該一つの単位プリズム70と隣り合う他の単位プリズムに接する光路をとり当該一つの単位プリズム70へ第2面72を介して入射した光が到達する当該一つの単位プリズム70の第1面71上の位置(つまり、プリズムシートの主切断面と平行な面内を本体部65の法線方向ndに対してα°傾斜して進んでプリズムシート60に入射する光が到達し得る第1面71上における最も単位プリズム70の基端部74(本体部65)の側の位置)での接線角度をθαとし、且つ、単位プリズム70の頂部75の側における第1面71の端部での接線角度をθeとした場合にも、上述した二つの式(1)および(2)が満たされるようになっている。
さらに、正面方向輝度を向上させるといった観点からは、θ80およびθ85は30°以上40°以下となっていることが好ましい。θ80およびθ85は、上述したように、プリズムシートの主切断面と平行な面内を本体部65の法線方向ndに対して80°および85°傾斜して進んでプリズムシート60に入射する光が到達し得る第2面72上における最も単位プリズム70の基端部74(本体部65)の側の位置での接線角度θαとなる。そして、θ80およびθ85が測定される位置は、単位プリズム70の頂部75近傍に位置し、この位置には種々の傾斜角度の光が大量に入射する。そして一般的に、導光板30から出射する光には、60°以上80°以下の角度だけ正面方向に対して傾斜した方向に進む光が最も多く含まれる。このため、正面方向に対して60°〜80°傾斜した方向に進む光を効果的に正面方向へ偏向することができるよう、θ80およびθ85は30°以上40°以下となっていることが好ましい。
以上の構成からなるプリズムシート60の寸法は、一例として、以下のように設定され得る。まず、単位プリズム70の具体例として、プリズムシート60のシート面に沿った幅W(図8参照)を0.02mm以上0.3mm以下とすることができ、プリズムシート60のシート面への法線方向ndに沿った単位プリズム70の本体部65の入光側面66からの高さH(図8参照)を0.02mm以上0.25mm以下とすることができる。一方、本体部65の厚みは、0.1mm〜0.6mmとすることができる。
以上のような構成からなるプリズムシート60は、例えば、本体部65をなすようになる基材を用意し、この基材の一方の面上に、電離放射線硬化型樹脂を硬化して単位プリズム70を形成することによって、作製され得る。この製造方法を採用する場合、本体部65が、基材と、基材上で硬化される電離放射線硬化型樹脂の一部からなるランド部と、によって構成されるようにしてもよい。ここで、本体部65をなす基材用の材料としては、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等の一以上を主成分とする透明樹脂を用いることができる。また、単位プリズム70をなす材料として、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、エポキシ系等の単量体(モノマー)、プレポリマー、或いは、これらの混合系から成る紫外線(UV)硬化性樹脂、或いは、電子線(EB)硬化性樹脂を用いることができる。
次に、以上のような構成からなる表示装置10の作用について説明する。
まず、図2に示すように、光源24b,24bをなす発光体25で発光された光は、入光面33,34を介し、導光板30に入射する。図2には、一例として、第1光源24aから第1入光面33を介して導光板30に光が入射する例が示されている。以下、この図2に示された例に基づいて面光源装置20および表示装置10の作用について説明する。ただし、導光板30は、第1方向における中央位置Pcを中心として対称的な構成を有している。また、第1光源24aおよび第2光源24bは、第1方向に導光板30を挟んで、対称的に構成されている。さらに、その他の面光源装置20の構成要素、および、透過型表示部15も、同様に対称性を有している。このような構成の対称性にともない、第2光源24bから第2入光面34を介して導光板30に入射する光に対しても、以下の説明が同様に当てはまる。
図2に示すように、導光板30へ入射した光L21,L22は、導光板30の出光面31および裏面32において、反射、とりわけ導光板30をなす材料と空気との屈折率差に起因して全反射を繰り返し、導光板30の入光面33と反対面(他方の入光面)34とを結ぶ第1方向(導光方向)へ進んでいく。
ただし、導光板30の基部40内には光散乱剤45が分散されている。このため、図2に示すように、導光板30内を進む光L21,L22は、光散乱剤45によって進行方向を不規則に変更され、全反射臨界角未満の入射角度で出光面31および裏面32に入射することもある。この場合、当該光は、導光板30の出光面31および裏面32から、出射し得るようになる。出光面31から出射した光L21,L22は、導光板30の出光側に配置されたプリズムシート60へと向かう。一方、裏面32から出射した光は、導光板30の背面に配置された反射シート22で反射され再び導光板30内に入射して導光板30内を進むことになる。
導光板30内を進行する光と、導光板30内に分散された光散乱剤45と、の衝突は、導光板30内の導光方向に沿った各区域において、生じる。このため、導光板30内を進んでいる光は、少しずつ、出光面31から出射するようになる。これにより、導光板30の出光面31から出射する光の導光方向(第1方向)に沿った光量分布を均一化させることができる。
とりわけ、図示する導光板30の出光面31は複数の単位形状要素50によって構成され、各単位形状要素50の主切断面における断面形状は、三角形形状または三角形形状の頂角56を面取りしてなる形状となっている。すなわち、出光面31、導光板30の裏面32に対して傾斜した傾斜面37,38として、構成されている。そして、この傾斜面37,38で全反射して導光板30内を進む光およびこの傾斜面37,38を通過して導光板30から出射する光は、この傾斜面37,38から、以下に説明する作用を及ぼされるようになる。まず、傾斜面37,38で全反射して導光板30内を進む光に対して及ぼされる作用について説明する。
図4には、出光面31および裏面32において全反射を繰り返しながら導光板30内を進む光L41,L42の光路が、導光板の主切断面内に示されている。上述したように、導光板30の出光面31をなす傾斜面37,38は、三角形形状の頂角を面取りしてなる形状を断面形状として有している単位形状要素50の外表面によって形成され、基部40の一側の面41への法線方向ndを挟んで互いに逆側に傾斜した二種類の面を含んでいる。また、互いに逆側に傾斜した二種類の傾斜面37,38は、第2方向に沿って、交互に並べられている。そして、図4に示すように、導光板30内を出光面31に向けて進み出光面31に入射する光L41,L42は、多くの場合、二種類の傾斜面37,38のうちの、主切断面において基部40の一側の面41への法線方向ndを基準として当該光の進行方向とは逆側に傾斜した傾斜面へ入射する。
この結果、図4に示すように、導光板30内を進む光L41,L42は、出光面31の傾斜面37,38で全反射する多くの場合、主切断面においてその進行方向と正面方向ndがなす角度θaが小さくなるように、進行方向を変化させるようになる。このような現象から、図5中に一例を示すように、出光面31および裏面32において全反射を繰り返しながら導光板30内を進む光L51は、出光面51のうちの傾斜面37,38において全反射した際に、その進行方向が導光板30の板面への法線方向ndからの視野において第1方向(導光方向)に対してなす角度θbが小さくなるように、進行方向を変化させる傾向が現れる。
なお、図5中における光L51の光路のうち、導光板30内を出光面31に向けて進み出光面31で全反射される迄の光の光路を実線で示し、導光板30内を裏面32に向けて進み裏面32で全反射される迄の光の光路を点線で示している。本実施の形態においては、導光板30裏面32は導光板30の板面と平行となっている。したがって、図5に点線で示すように、導光板30内を進む光L51が導光板30の裏面32で全反射された場合、導光板30の板面への法線方向ndからの視野において、当該光L21の進行方向は、全反射前後で変化しない。
このようなことから、導光板30内を第1方向(導光方向)に誘導される光(図5のL51参照)は、その進行方向が導光板30の板面への法線方向ndからの視野において第1方向に対してなす角度θbが小さくなるように、進行方向を変化させていく、傾向を有するようになる。すなわち、導光板30内に入射した光は、第2方向への移動を規制されながら、第1方向へ進むようになる。これにより、導光板30の出光面31から出射する光の第2方向に沿った光量分布を、光源24a,24bをなす発光体25の構成や、発光体25の出力によって、調節することが可能となる。
次に、傾斜面37,38を通過して導光板30から出射する光に対して、傾斜面37,38から及ぼされる作用について説明する。図4に示すように、単位形状要素50を介して導光板30を出射する光L41,L42は、導光板30の出光面31をなす単位形状要素50の出光側面(傾斜面)37,38において屈折する。この屈折により、主切断面において正面方向ndから傾斜した方向に進む光L41,L42の進行方向(出射方向)は、主として、導光板30内を通過している際における光の進行方向と比較して、正面方向ndに対してなす角度が小さくなるように、曲げられる。このような作用により、単位形状要素50は、導光方向と直交する第2方向に沿った光の成分について、透過光の進行方向を正面方向nd側に絞り込むことができる。すなわち、単位形状要素50は、導光方向と直交する第2方向に沿った光の成分に対して、集光作用を及ぼすようになる。
以上のようにして、光源24a,24bの発光体25から導光板30の入射した光が、導光板30の出光面31の導光方向に沿った各位置から出射していき、また、導光板30からの出射光量は、導光方向に沿って均一化されるようになる。
導光板30の出光面31から出射した光L21,L22は、図2に示すように、プリズムシート60へ入射するようになる。なお、第1光源24aで発光された光L21,L22は、導光板30内を第1入光面33の側から第2入光面34の側へ向けて進んでいる途中に、導光板30の出光面31から出射する。このため、第1光源24aで発光された光L21,L22の導光板30からの出射方向は、正面方向ndと導光方向(第1方向)との両方向に沿った図2の断面において、正面方向ndから第2入光面34の側に傾斜するようになる。通常使用されている導光板30においては、導光板30をなす材料と空気との屈折率差にも影響を受け、導光板30の出光面31から出射する第1光源24aからの光の第1方向成分の出射角度(出射光の第1方向成分と導光板30の板面への法線方向ndとがなす角度)θcは、45°〜85°の範囲内に偏る、傾向がある。同様に、第2光源24bからの光の第1方向成分の導光板30からの出射角度θcは、第1光源24aからの光とは正面方向ndを挟んで逆側に45°〜85°傾斜した角度範囲内に偏る、傾向がある。
また、上述したように、このプリズムシート60は、導光板30の側へ向けて頂部75が突出する単位プリズム70を有している。図2によく示されているように、単位プリズム70の長手方向は、導光板30による導光方向(第1方向)と交差する方向、とりわけ本実施の形態では導光方向と直交する第2方向と、平行になっている。
この結果、第1光源24aで発光され導光板30を介してプリズムシート30へ向かう光L21,L22は、互いに接続された第1面71および第2面72のうちの、第1面71を介して単位プリズム70へ入射する。図2に示すように、この光L21,L22は、その後、第2面72で全反射する。これに対して第2光源24bから導光板30を介してプリズムシート60へ向かう光は、互いに接続された第1面71および第2面72のうちの、第2面72を介して単位プリズム70へ入射し、その後、第1面71で全反射してその進行方向を変化させるようになる。
そして、単位プリズム70のプリズム面71,72での全反射により、図2の断面(第1方向(導光方向)と正面方向ndとの両方向に平行な断面)において正面方向ndから傾斜した方向に進む光L21,L22は、その進行方向が正面方向ndに対してなす角度が小さくなるように、曲げられる。このような作用により、単位プリズム70は、第1方向(導光方向)に沿った光の成分について、透過光の進行方向を正面方向nd側に絞り込むことができる。すなわち、プリズムシート60は、第1方向に沿った光の成分に対して、集光作用を及ぼすようになる。
なお、このようにプリズムシート60の単位プリズム70によってその進行方向を大きく変化させられる光は、主として、単位プリズム70の配列方向である第1方向に進む成分であり、導光板30の単位形状要素50の傾斜面37,38によって集光させられる第2方向に進む成分とは異なる。したがって、プリズムシート60の単位プリズム70での光学的作用によって、導光板30の単位形状要素50によって上昇させられた正面方向輝度を害すことなく、さらに、正面方向輝度を向上させることができる。
以上のように、面光源装置20では、第1方向(導光方向)に沿った出射光量の分布を均一化させ、さらに、正面方向輝度を向上させ、発光面21から光を面状に発光する。面光源装置20を出射した光は、その後、液晶表示パネル15に入射する。液晶表示パネル15は、面光源装置20からの光を画素毎に選択的に透過させる。これにより、液晶表示装置10の観察者が、映像を観察することができるようになる。
また、上述したように、導光板30内に入射した光は、傾斜面37,38によって第2方向への移動を規制されながら、第1方向へ進むようになる。すなわち、光源24a,24bをなす多数の発光体25の各々で発光された光は、導光板30の出光面31のうちの、第2方向における所定の位置に位置し且つ第1方向に延びる特定の領域内から、主として出射することになる。したがって、表示装置10の表示面11に表示される映像に対応して、制御装置18が、各発光体25の出力を調節するようにしてもよい。
例えば、表示装置10の表示面11内のある領域に何も表示しない場合、言い換えると、表示装置10の表示面11内のある領域に黒を表示する場合、表示面10の当該領域に対応する導光板30の出光面31の領域に光を供給する点状発光体25を消灯させるようにしてもよい。この場合、面光源装置20からの照明光を表示パネル15で完全に遮断できないことに起因するコントラストの低下といった従来の不具合を解消することができる。また、電気使用量を節約することができ、省エネルギーの観点からも好ましい。
さらに、黒を表示する例に限られず、表示面11に表示される映像に対応して各点状発光体25の出力の程度を調節することにより、表示パネル15のみに依存することなく、表示される映像の各領域における明るさを調節するようにしてもよい。このような例においても、表示される像のコントラストを向上させることができるとともに、省エネルギーを実現することができる。
ところで、上述したように、入光側に突出する単位プリズムを有するプリズムシートを組み込まれた従来の表示装置では、特定方向からの観察において色再現性が著しく低下することがあった。すなわち、このような従来の表示装置では、観察方向を変化させていくと、特定の観察方向において、突然、表示画像の色味が著しく変化するといった現象が生じていた。本件発明者らが鋭意調査したところ、このような色再現性の局所的な劣化が生じる原因は、極めて大きな角度でプリズムシートに入射する光の波長分散にあると考えられた。より詳細に説明すると以下の通りである。
正面方向に対して80°以上傾斜して進む光は、単位プリズムの頂部近傍における極めて狭い領域のみに入射するようになる。この結果、プリズムシートによって入射光に対して及ぼされる光学的作用が単位プリズムでの屈折及び反射のみである場合には、80°以上の入射角度で逆プリズムシートへ入射した光は、逆プリズムシートから概ね同一の方向に出射するようになる。とりわけ、単位プリズムの第1面のうち、80°以上の入射角度の入射光が透過するようになる領域が、平らな面として形成されている場合、並びに、単位プリズムの第2面のうち、80°以上の入射角度の入射光が到達して反射されるようになる領域が、平らな面として形成されている場合、80°以上の入射角度でプリズムシートに入射した光は、概ね特定の方向のみに向けて、プリズムシートから出射するようになる。
その一方で、一般的に、導光板から出射する光は、正面方向に対して60°〜80°だけ傾斜した方向を中心とする或る程度限られた角度範囲内の方向に進む。そして、導光板から出射する光には、法線方向ndに対して80°以上傾斜した方向に進む光も多く含まれている。
このような状況においては、80°以上の入射角度でプリズムシートに入射した光が、プリズムシート内での色分散現象(第1面での屈折時における色分散現象および第2面での反射時における色分散現象)により、各色の光毎に極わずかにずれた方向から別個に視認され得るものと考えられる。この場合、80°以上の入射角度でプリズムシートに入射した光が出射するようになる特定方向において、観察される表示画像の色味が変化するようになる。結果として、当該特定の方向のみからの観察において色再現性が局所的に低下していたと考えられる。
これに対して本実施の形態によれば、第1光源24aから導光板30を介してプリズムシート60へ入射した光L21,L22が全反射されるようになる単位プリズム70のプリズム面(第1面71および第2面72)は、主切断面において、当該プリズム面71,72への接線TLが前記本体部65の法線方向ndに対してなす接線角度θが、接線TLのプリズム面71,72への接点TPが単位プリズム70の頂部75の側から基端部74の側へ向かうにつれて、しだいに小さくなるように、曲面として構成されている。
そして、本実施の形態においては、プリズムシート60の単位プリズム70が、上述した式(1)を満たすように、構成されている。すなわち、主切断面において、80°以上90°未満の角度だけ正面方向ndに対して傾斜した方向からプリズムシート60へ入射する光が到達し得る単位プリズム70のプリズム面71,72上の領域での接線角度θの変化が、正面方向に対して70°以上傾斜した方向からプリズムシート60へ入射する光が到達し得るが、80°を超える角度で正面方向ndに対して傾斜した方向からプリズムシート60へ入射する光が到達することができないプリズム面71,72上の領域での接線角度θの変化よりも、大きくなっている。つまり、主切断面において80°以上90°未満の入射角度でプリズムシート60へ入射する光が到達し得る単位プリズム70のプリズム面71,72上の領域での接線角度θの変化量が、プリズム面71,72上の当該領域に隣接する他の領域での接線角度θの変化量よりも大きくなっている。
このような式(1)を満たす本実施の形態によれば、80°を超えて正面方向ndに対して傾斜した方向からプリズムシート60へ入射する光は、単位プリズム70のプリズム面71,72上のどの位置に入射するかによって、プリズムシート60からのその出射方向が大きく異なるようになる。すなわち、図8に示すように、80°を超えて正面方向ndに対して傾斜した方向からプリズムシート60へ入射する光L81,L82,L83は、単位プリズム70のプリズム面71,72上での全反射により、効果的に拡散されるようになる。したがって、特定の観察方向において、色分散によって各色の光が個別に取り出されて視認されることが効果的に防止され、これにより、当該観察方向において、色再現性が局所的に低下してしまうことを防止することができる。
また、本実施の形態においては、プリズムシート60の単位プリズム70が、上述した式(2)を満たすように、構成されている。すなわち、正面方向ndに対して80°以上傾斜した方向からプリズムシート60へ入射する光が到達し得るが、85°を超えて正面方向ndに対して傾斜した方向からプリズムシート60へ入射する光が到達することができないプリズム面71,72上の領域での接線角度θの変化が、正面方向ndに対して75°以上傾斜した方向からプリズムシート60へ入射する光が到達し得るが、80°を超えて正面方向ndに対して傾斜した方向からプリズムシート60へ入射する光が到達することができないプリズム面71,72上の領域での接線角度θの変化よりも、大きくなっている。つまり、80°以上の入射角度でプリズムシート60へ入射する光が到達し得るが、85°を超える入射角度でプリズムシート60へ入射する光が到達することができないプリズム面71,72上の領域での接線角度θの変化量が、当該領域に隣接するプリズム面71,72上の領域での接線角度θの変化量、詳細には、75°以上の入射角度でプリズムシート60へ入射する光が到達し得るが、80°を超える入射角度でプリズムシート60へ入射する光が到達することができないプリズム面71,72上の領域での接線角度θの変化率よりも大きくなっている。
上述したように、導光板30から出射する光は、正面方向に対して60°〜70°だけ傾斜した方向を中心とする或る程度限られた角度範囲内の方向に進む。そして、導光板30から出射する光には、法線方向ndに対して80°以上90°未満の角度で傾斜した方向に進む光も多く含まれている。ただし、導光板30の板面への法線方向ndおよび導光板30による導光方向(第1方向)の両方に沿った導光板30の切断面(図2に示す切断面)と平行な面において、導光板の出光面における輝度の角度分布を測定した場合、法線方向に対して85°を超えて傾斜した方向の輝度は、ピーク輝度に対して大幅に低下している。すなわち、85°を超える入射角度でプリズムシート60に入射する光の光量はわずかであり、上述した色再現性を局所的に低下させてしまうのは、法線方向に対して80°以上85°以下の入射角度でプリズムシート60に入射する光である。したがって、式(2)を満たす本実施の形態によれば、局所的な色再現性の低下を引き起こし得る光をより効果的に拡散させながら、局所的な色再現性の低下に大きな影響を及ぼさない光に対して悪影響を及ぼすことを防止することができる。
また、このような式(2)を満たす本実施の形態によれば、単位プリズム70の頂部75の形状を自由に設計することが可能となる。これにより、例えば、耐擦傷性に優れた形状を単位プリズム70の頂部75に付与することも可能となる。
さらに、本実施の形態によれば、各単位プリズム70において、第1面71および第2面72が互いに接続する位置に単位プリズム70の頂部75が画成され、主切断面において、第1面71および第2面72は頂部75を通過して本体部65の法線方向ndに延びる軸線を中心として線対称性となっている。そして、上述したように、主切断面において80°以上90°未満の角度だけ正面方向ndに対して傾斜した方向からプリズムシート60へ入射する光が到達し得る単位プリズム70の例えば第2面72(または第1面71)上の領域での接線角度θの変化率が、当該第2面72(または第1面71)上の領域に隣接する他の領域での接線角度θの変化率よりも大きくなっている。この場合、主切断面において80°以上90°未満の角度だけ正面方向ndに対して傾斜した方向からプリズムシート60へ入射する光が通過するようになる第1面71(または第2面72)上の領域での接線角度θの変化率も大きくなる。すなわち、80°を超えて正面方向ndに対して傾斜した方向からプリズムシート60へ入射する光は、単位プリズム70の第1面71上での屈折によっても、効果的に拡散されるようになる。したがって、特定の観察方向において、色分散によって各色の光が個別に取り出されて視認されることが効果的に防止され、これにより、当該観察方向において、色再現性が局所的に低下してしまうことよりを防止することができる。
以上のように本実施の形態によれば、全反射によって光の進行方向を正面方向へ向けて偏向きさせる第2面72が、プリズムシートの主切断面と平行な面内を本体部65の法線方向ndに対してα°傾斜して進んでプリズムシート60に入射する光が到達し得る第2面72上における最も本体部65の側の位置での接線角度をθαとし、且つ、単位プリズム70の頂部75の側における第2面72の端部での接線角度をθeとした場合に、以下の二つの式が満たされるようになっている。
θe−θ80>θ80−θ70 ・・・式(1)
θ85−θ80>θ80−θ75 ・・・式(2)
したがって、第1光源24aから大きな入射角度でプリズムシート60へ入射する光が、単位プリズム70の第2面72上での全反射により、効果的に拡散されるようになる。
また、第2面72とともに単位プリズム70の外輪郭(プリズム面)を構成する第1面71が、第2面と対称的に構成されている。したがって、第1光源24aと対称的に構成された第2光源24bから大きな入射角度でプリズムシート60へ入射する光が、単位プリズム70の第1面71上での全反射により、効果的に拡散されるようになる。これらにより、特定の観察方向において、色再現性が局所的に低下してしまうことを防止することができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いており、重複する説明を省略する。
(変形例1)
例えば、上述した実施の形態において、プリズムシート60の主切断面における単位プリズム70の断面形状が、上述した式(1)および式(2)の両方を満たすように設計されている例を示したが、これに限られず、式(1)および式(2)のいずれか一方のみを満たすように構成されていてもよい。上述してきたように、プリズムシートの主切断面における単位プリズム70の断面形状が、上述した式(1)および式(2)のいずれか一方のみを満たす場合においても、上述した実施の形態と同様に、特定の観察方向において、色再現性が局所的に低下してしまうことを防止することができる。
(変形例2)
また、上述した実施の形態においては、本体部65のシート面と平行な方向に対向して配置された第1面71および第2面72であって、互いに接続し合う位置に単位レンズ70の頂部75を画成する第1面71および第2面72によって、単位レンズ70が画成されている例を示したが、これに限られない。例えば、単位レンズ70の外輪郭(すなわち、プリズム面)が、本体部65のシート面と平行な方向に対向して配置された第1面71および第2面72と、第1面71および第2面72との間に配置されプリズムシート60のシート面と平行に延びる平坦部と、によって画成されるようにしてもよい。この場合、第1面71および第2面72を連結する平坦部によって、単位プリズム70の頂部75が画成されるようになる。この例において、第1面71および第2面72への接線角度θが、接線TLの接点TPが単位プリズム70の頂部75の側から基端部74の側に向かうにつれて、小さくなっていき、且つ、第1面71または第2面72が上述した式(1)および式(2)の少なくとも一方を満たす場合には、上述した実施の形態と同様に、特定の観察方向において、色再現性が局所的に低下してしまうことを防止することができる。
(変形例3)
さらに、上述した実施の形態において、導光板30の側面のうちの対向する二つの面33,34が入光面を構成する例を示したが、これに限られない。例えば、図9に示す変形例のように、導光板30の側面のうちの一つの面33のみが入光面として機能するようにしてもよい。
なお、このような変形例では、面光源装置20の発光面21への法線方向ndおよび第1方向の両方向に平行な断面における、導光板30から出射する出射光の出射方向は、正面方向ndに対して、一方の側のみに傾斜するようになる。このため、プリズムシート60の単位プリズム70は、プリズムシート60のシート面への法線方向ndおよび単位プリズム70の配列方向の両方向に平行な断面において対称的な形状を有する必要はない。すなわち、図9に示す変形例にように、導光板30からの光を透過させる透過面としての第1面71は、この第1面71を介して導光板30内に入射した光を全反射させる反射面としての第2面72と、対称的に構成される必要はない。図9に示す単位プリズム70において、反射面としての第2面72は正面方向ndに対して傾斜しているのに対し、透過面としての第1面71は概ね正面方向ndと平行に延びている。
(変形例4)
さらに、上述した実施の形態において、基部40内に光散乱剤45を分散させることによって、導光板30に入射した光が導光板30から出射し得るようにした例を示したが、この例に限られない。
一例として、図9に示すように、導光板30の出光面31および裏面32を互いに対して傾斜させるようにしてもよい。図9に示す例では、導光板30の裏面32は、入光面33から反対面34に向かうにつれて、出光面32に対して接近するように傾斜した複数の傾斜面32aと、隣り合う二つの傾斜面32aを連結する段差面32bと、を有している。このうち段差面32bは、導光板30の板面の法線方向ndに延びている。したがって、導光板30内を入光面33の側から反対面34の側へと進む光の多くは、裏面32のうち、段差面32bに入射することなく、傾斜面32aにて反射するようになる。このため、図9に示すように、出光面31および裏面32にて反射して導光板30内を光L91が進む場合、当該光L91の出光面31および裏面32への入射角度は、裏面32で反射する度に小さくなり、全反射を繰り返した後に全反射臨界角未満となる。この結果、導光板30内を進む光L91は、基部40内で光散乱剤45に衝突しなくとも、入光面33から離間した領域において、導光板30内から出射するようになる。これにより、第1方向に沿った出射光量の均一化を図ることができる。
さらに、上述した実施の形態での例や図9に示す例に限られず、導光板30に入射した光を導光板30から出射させるための別の構成(別の光取り出し構成)を、既述の構成と代えて又は既述の構成に加えて、採用することができる。光散乱剤45を分散させる構成および出光面31および裏面32を互いに対して傾斜させる構成以外の、光取り出し構成としては、例えば、出光面31および裏面32の少なくとも一方を粗面とする構成や、裏面32上に白色散乱層のパターンを設ける構成等が、挙げられる。また、図9に示す例において、導光板30の裏面32が傾斜面32aと段差面32bとを有しているが、これに限られず、段差面32bを省き、導光板30の裏面32が一つの連続した平坦な傾斜面や一つの連続した曲面として構成されていてもよい。
(変形例5)
さらに、上述した実施の形態において、導光板30の単位形状要素50が、例えば基部40の主部45をなす材料と同一の樹脂材料のみからなり、光散乱剤45等の粒子を含んでいない例を示したが、これに限られない。一例として、単位形状要素50が、光散乱剤45を含んでいてもよく、このような導光板30は押し出し成型により極めて容易に作製され得る。
(変形例6)
さらに、上述した実施の形態において、光源24a,24bが、導光板30の入光面33,34の長手方向(第2方向)に沿って並べて配置された複数の点状発光体(LED)25から構成される例を示したが、これに限られず、エッジライト型の面光源装置に用いられ得る種々の光源、例えば、導光板30の入光面33,34の長手方向と平行に延びるように配置された冷陰極管から、光源24a,24bが構成されてもよい。
(変形例7)
さらに、上述した面光源装置20および表示装置10の構成は、単なる例示に過ぎず、種々の変更が可能である。例えば、透過光を拡散させる機能を有した光拡散シートや、特定の偏光成分のみを透過し、それ以外の偏光成分を反射する偏光分離機能を有した偏光分離シート等を、プリズムシート60の出光側に設けるようにしてもよい。
(変形例8)
なお、以上において、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
以下に説明する実施例1および実施例2に係る透過型表示装置、並びに、比較例1および比較例2に係る透過型表示装置を作製した。得られた透過型表示装置について、表示画像の色再現性を比較した。
〔透過型表示装置の構成〕
面光源装置および液晶表示パネルを有した透過型表示装置を作製した。面光源装置は、導光板と、光源と、反射シートと、プリズムシートとが、上述した実施の形態での態様と同様の位置関係で配置されてなる装置とした。プリズムシート以外の構成要素、すなわち、液晶表示パネル、並びに、面光源装置の導光板、光源および反射シートは、市販されている液晶表示装置に組み込まれているものを使用した。そして、透過型表示装置間において、プリズムシートのみを互いに異なるものを使用し、液晶表示パネル、並びに、面光源装置の導光板、光源および反射シートついては同一のものを使用した。
(プリズムシート)
プリズムシートは、シート状の本体部と、本体部の入光側面に突出する多数の直線状単位プリズムと、を有するようにした。多数の単位プリズムは、その長手方向に直交する方向に隙間無く並べられていた。各単位プリズムの断面形状は、単位プリズムの長手方向に沿って一定とした。各透過型表示装置に組み込まれたプリズムシート間において、単位プリズムの主切断面における断面形状の外輪郭を変更した。ただし、各透過型表示装置に組み込まれたプリズムシート間において、単位プリズムの幅W(図8参照)および高さH(図8参照)は同一とした。
図10には、各透過型表示装置に組み込まれたプリズムシートの単位プリズムの主切断面における断面形状を示している。実施例1および実施例2に係る透過型表示装置並びに比較例1に係る透過型表示装置に組み込まれたプリズムシートにおいて、単位プリズムは、上述した実施の形態と同様に、弧状の第1面および弧状の第2面とを有するようにした。弧状の第1面および弧状の第2面は、接線角度が、単位プリズムの頂部の側から基端部の側へ向けて小さくなっていくようにした。また、第1面および第2面は、単位プリズムの頂部を通り正面方向へ延びる軸線を中心として、対称的に構成した。
一方、比較例2に係る透過型表示装置に組み込まれたプリズムシートの単位レンズは、主切断面において三角形形状となるようにした。すなわち、この単位プリズムは接線角度が一定となる直線状の第1面および第2面を有するようにした。
一つの単位プリズムへ向けて主切断面と平行な面内を本体部の法線方向に対してα°傾斜して進む光のうち、当該一つの単位プリズムと隣り合う他の単位プリズムに接する光路をとり当該一つの単位プリズムへ前記第1面を介して入射した光が、到達する当該一つの単位プリズムの前記第2面上の位置での接線角度をθαとして、各透過型表示装置のプリズムシートについて、θ85、θ80、θ75およびθ70を測定した。また、単位プリズムの頂部の側における第2面の端部での接線角度をθeとして、各透過型表示装置のプリズムシートについて、θeを測定した。測定結果を表1に示す。また、表1において、以下の式(1)および(2)を満たす透過型表示装置について○を付し、以下の式(1)および(2)を満たさない透過型表示装置について×を付した。
θe−θ80>θ80−θ70 ・・・式(1)
θ85−θ80>θ80−θ75 ・・・式(2)
(導光板)
導光板は、上述した実施の形態と同様に、基部と、基部の一側面上に隙間無く第2方向に並べて配列された複数の単位形状要素と、を含んでいた。単位形状要素の主切断面における断面形状は、二等辺三角形形状の頂角を面取りした形状となっていた。一つの導光板に含まれる複数の単位形状要素は、互いに同一に構成されていた。基部は、厚さが一定の平板状に形成された主部と、主部内に分散された光散乱剤と、を有する矩形状の板材として形成した。導光板は、対向する一対の側面がそれぞれ入光面をなすようにした。すなわち、一対の側面に対向して、それぞれ、後述する光源が配置されるようにした。
(光源)
上述した実施の形体での態様と同様に、点状発光体から光源を構成した。具体的には、導光板の第1入光面(入光面)および第2入光面(反対面)にそれぞれ対向する位置に、第2方向に沿って、LEDチップを2mmの間隔で配列してなる構成を採用した。
(反射シート)
反射シートは、鏡面シートを採用した。
<評価結果>
透過型表示装置の表示面に表示される画像を種々の方向から観察し、色再現性を評価した。結果を表1に示す。或る特定の方向において、その他の方向とは異なる色で、表示画像が観察された透過型表示装置について、表1で×を付した。一方、いずれの方向からも同一の色で表示画像が観察された透過型表示装置について、表1で○を付した。