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JP5355585B2 - ピンボス及び、ピンボスを備えた内燃機関用のピストン - Google Patents

ピンボス及び、ピンボスを備えた内燃機関用のピストン Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関用のピストンのためのピンボスであって、該ピンボスが、ボス内面及びボス外面と、ピストンピンを受容するためのボス孔とを備えている形式のものに関する。本発明はさらに、このようなピンボスを備えた、内燃機関用のピストンに関する。
ピンボスを構成する場合に考慮すべきことは、運転時に、ピストン頂部に作用するガス力がピンボスを介してピストンピンに伝達される、ということである。この場合、部分的に著しく大きな応力が発生し、このような応力によって例えばピンボスに亀裂が形成されてしまうことがある。ガス力によってピストン頂部に発生する応力は、オットー機関において使用される、小さなコンプレッションハイトを有するピストンでは、許容可能な値を上回ることがある。このような応力を減じるために、例えばDE102004008097A1に開示されているように、ピストン頂部に向かって高さ方向における楕円形状の連続(Hochovalitaet)をボス孔に設けることが提案されている。これによってしかしながら、特に横方向における楕円形状の連続(Querovalitaet)を備えたピストンボスに比べて、ボス強度が減じられてしまう。さらに、片側に高さ方向における楕円形状の連続を備えたピンボスは、ピストンピンの運動によって惹起される不都合なノイズを生ぜしめることが判明した。
ゆえに本発明の課題は、冒頭に述べた形式のピンボスを改良して、ボス強度を改善すると共に、ピストン頂部の領域における応力が減じられ、不都合なノイズが回避され、しかもピンボスにおける強度がほとんど低下することのないようにすることである。
この課題を解決するために、請求項1記載の本発明によるピンボス、及びピンボスを備えた内燃機関用のピストンでは、冒頭に述べた形式のものにおいて、ボス孔がボス頂部にポケットを有していて、該ポケットの深さが、ボス輪郭に沿ってボス外面に向かって連続的に減少しているようにした。
当業者にとっても驚くべきことであるが、ボス孔を本発明のように構成することによって、本発明によるピンボスの強度は著しく高まり、かつ同時に頂部応力は効果的に減じられる、ということが判明した。本発明によるピンボスの強度上昇は、ボス頂部において負荷成分として作用する半径方向における流体力学的な押し退け圧がなくなり、これによって本発明によるピンボスの耐負荷能力が著しく高まることに基づく。頂部応力の減少は、ピストンピンの周方向において負荷の再分配が行われることに起因するものと見なすことができ、この負荷再分配は、ピストンピンの変形特性ひいては局部的な膨張もしくは延伸及び応力に対してポジティブな影響を及ぼす。さらにまた、従来技術において述べた高さ方向における楕円形状の連続を備えたボス孔に比べて、運転中に発生するノイズを減じることができる。それというのは、基本的なボス輪郭(つまりボス孔の横断面輪郭)は、本発明において設けられたポケットの形状及び構成とは無関係に任意に選択することができるからである。これによって、個々の事例の要求に対するボス輪郭の適合性が改善される。付加的に、本発明におけるポケットは、ボス孔の改善された潤滑のためにオイルリザーバとしても働く。以上述べたことから明らかなように、本発明の構成によって、前記課題は僅かな手間及びコストで解決することができる。
本発明の有利な実施形態は、請求項2以下に記載されている。
本発明の有利な実施形態では、ポケットは、ピンボスの長さの50%〜90%にわたって延在しており、特にピンボスの長さの60%〜80%にわたって延在していると、有利である。このように構成されていると、本発明によるピンボスの個々の構成に対して付加的な余地もしくは余裕が与えられ、例えばピンボスはボス外面の領域及びボス内面の領域又はその何れか一方の領域に、成形孔を有することができる。
本発明の有利な実施形態では、ポケットの幅が、ボス内面において例えばピストンピンの直径の少なくとも20%であり、特にピストンピンの直径の25%〜40%である。これによって本発明によるピンボスの強度をさらに最適化することができ、例えば汎用のピンボスの強度に対して120%以上にすることができる。
本発明におけるポケットは、本発明によるピンボスの強度を最適化するために、ボス内面においてポケットの縁部の終端点が、ピストンピンの中心軸に対して、30°〜50°の角度を成していると、有利である。
本発明の別の有利な実施形態では、ポケットの縁部の横断面輪郭が、ボス孔に重ねられた楕円形状の連続によって得られる形状を有している。このように構成されていると、本発明におけるポケットもしくはその縁部は、ゆるやかに延びる連続した移行部をもってボス孔に移行することができる。そしてこれにより、運転中におけるポケットの縁部の機械的な負荷が減じられ、ピン又はボスの摩耗もしくはピン又はボスの食い付きのおそれが回避される。
個々の事例における要求に応じて、楕円形状の連続は、正又は負のダブル楕円形状の連続、楕円率の大きな楕円形状の連続又は局部的な正弦形の変形形状として、形成されていることができる。本発明の有利な実施形態では、重ねられた楕円形状の連続の楕円直径が、ボス外面に向かって連続的に減少していて、もしくは、ボス孔の、連続的に減じられた周囲領域において延びており、このように構成されていると、この実施形態において本発明によるピンボスの個々の構成に対する付加的な余地もしくは余裕が与えられている。
また本発明におけるポケットは、円筒形のピンボス内に形成されていても、又は横方向における楕円形状の連続を有するピンボス内に形成されていてもよい。特に横方向における楕円形状の連続を有するピンボスでは、特に高いボス強度が得られる。
さらに別の有利な実施形態では、ボス孔に、少なくともその周囲の一部にわたって延びている潤滑溝が設けられていて、該潤滑溝はポケットに開口している。このように構成されていると、潤滑作用をさらに改善することができる。
次に図面を参照しながら本発明の1実施形態を説明する。
本発明によるピンボスを備えたピストンの1実施形態を、部分的に断面して示す図である。 図1のII−II線に沿って断面した図である。 図1のIII−III線に沿って断面した図である。 図3のIV−IV線に沿って断面した拡大図である。
図1及び図2には、一体的なピストン10の実施形態が示されている。このピストン10はピストンヘッド11を有していて、このピストンヘッド11は、ピストン頂部12と環状の火炎ウェブ13と、図示されていないピストンリングのためのリング溝15を備えた環状のリング部分14とを備えている。ピストンヘッド11の下には、ピストンスカート16とピンボス17とが設けられていて、ピンボス17はそれぞれ、ピストンピン(図示せず)を受容するためのボス孔18を備えており、これらのボス孔18は周面18aを有している。ピンボス17はそれぞれボス内面17aとボス外面17bとを有している。
ピンボス17は本発明によれば、ボス孔18がボス天頂部にそれぞれ1つのポケット20を有するように構成されている。これらのポケット20は、例えばフライス工具によってボス孔18に形成されることができる。各ポケット20は図示の実施形態では、円弧形状の横断面輪郭を有しており(図4参照)、この円弧の深さは、頂部側のボス表面内にボス輪郭に沿ってボス外面17bに向かって連続的に減少している。言い換えれば、ポケット20はボス外面17bに向かって徐々に平らになっていて、最終的にボス孔18の周面18aにおいて終わっている。図1に示されているように、図示の実施形態ではさらに潤滑溝22がボス孔18の表面に設けられており、これらの潤滑溝22は少なくともボス孔18の周囲の一部にわたって延びている。潤滑溝22は図示の実施形態ではほぼボス頂部に配置されていて、有利には0.01〜1mmの深さを有している。潤滑溝22は、オイル分配及びボス潤滑をさらに改善するために働く。
特に図3から分かるように、図示の実施形態ではポケット20の全長は、該ポケット20を備えたボス孔の長さの約80%であるので、ボス外面17bの領域においては、任意の構成もしくは形状を備えた成形孔(図示せず)設けることが可能である。個別事例の要求に応じて、ボス内面17aの領域においても成形孔(Formbohrung)を設けることができる。成形孔は当業者にとってそれ自体公知である。
特に図4から分かるように、ボス内面17aにおけるポケット20の縁部21の終端点21a,21bは、ピンボスの中心軸線Mとの間に、図示の実施形態では約45°の角度αを成している。この開放角αは有利には約30°〜50°である。
図示の実施形態では、特に図3及び図4から分かるように、ポケット20の環状の縁部21は、ボス孔18に重ねられた楕円形状の連続(Ovalitaet)23として形成される。ボス孔18に重ねられたこの楕円形状の連続23は、ピストンピンに基づく負荷をポケット20の領域において減じるために働く。この楕円形状の連続23は特に自体公知の形式で、ポケット20の縁部21の横断面輪郭に、正又は負のダブル楕円形状の連続、楕円率の大きな楕円形状の連続又は局部的な正弦形の変形形状として、重ねられる。このような楕円形状の連続の計算は、当業者にとって自体公知である。上に述べた重ねられた楕円形状の連続は、例えばボス孔18の真円度加工の枠内において、特に3D制御された機械を用いて形成されることができる。
図示の実施形態では、ボス孔18は、純粋に円筒形のボス孔として示されている(図2参照)。しかしながらボス孔18は、ボス強度を改善するために自体公知の横方向における楕円形状の連続を有していると有利である。それとは択一的に又はそれに加えて、ボス孔18はポケット20の外側に、ボス外面17bの領域及び/又はボス内面17aの領域に、任意形式の成形孔(図示せず)を有することができる。

Claims (14)

  1. 内燃機関用のピストン(10)のためのピンボス(17)であって、該ピンボス(17)が、ボス内面(17a)及びボス外面(17b)と、ピストンピンを受容するためのボス孔(18)とを備えている形式のものにおいて、ボス孔(18)がボス頂部にポケット(20)を有していて、該ポケット(20)の深さが、ボス輪郭に沿ってボス外面(17b)に向かって連続的に減少しており、
    前記ボス内面(17a)において該ポケット(20)の縁部(21)の終端点(21a,21b)が、前記ピストンピンの中心軸(M)に対して、30°〜50°の角度(α)を成していることを特徴とする、内燃機関用のピストンのためのピンボス。
  2. ポケットが、ピンボス(17)の長さの50%〜90%にわたって延在している、請求項1記載のピンボス。
  3. ポケット(20)が、ピンボス(17)の長さの60%〜80%にわたって延在している、請求項2記載のピンボス。
  4. ピンボス(17)が、ボス外面(17b)の領域及びボス内面(17a)の領域又はその何れか一方の領域に、成形孔を有している、請求項2又は3記載のピンボス。
  5. ボス内面(17a)におけるポケット(20)の幅が、ピストンピンの直径の少なくとも20%である、請求項1から4までのいずれか1項記載のピンボス。
  6. ボス内面(17a)におけるポケット(20)の幅が、ピストンピンの直径の25%〜40%である、請求項5記載のピンボス。
  7. ポケット(20)の、ピストンピンの中心軸線(M)に垂直な面における横断面輪郭が、楕円形状を形成しており、前記ポケットは、該楕円形状を、前記ピストンピンの中心軸線(M)に沿って、該ピストンピンの中心軸線(M)に垂直に連続的に重ねていくことにより形成される輪郭形状を有する、請求項1からまでのいずれか1項記載のピンボス。
  8. 重ねられる楕円形状のそれぞれは、正又は負のダブル楕円形状、楕円率の大きな楕円形状又は局部的な正弦形の変形形状として形成されている、請求項記載のピンボス。
  9. 重ねられる前記楕円形状の楕円直径が、ボス外面(17b)に向かって連続的に減少している、請求項又は記載のピンボス。
  10. 重ねられる前記楕円形状の楕円直径が、ボス孔(18)の、連続的に減じられた周囲領域において延びている、請求項からまでのいずれか1項記載のピンボス。
  11. ポケット(20)が円筒形のピンボス(17)内に形成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載のピンボス。
  12. ポケット(0)が、楕円形を有するピンボス(17)内に形成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載のピンボス。
  13. ボス孔(18)に、少なくともその周囲の一部にわたって延びている潤滑溝(22)が設けられていて、該潤滑溝(2)がポケット(20)に開口している、請求項1から12までのいずれか1項記載のピンボス。
  14. 内燃機関用のピストン(10)であって、該ピストン(10)が請求項1から13までのいずれか1項記載のピンボス(17)を有していることを特徴とする、内燃機関用のピストン。
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