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JP5238242B2 - 放射線治療用線量分布測定装置及び放射線治療用線量分布測定プログラム - Google Patents

放射線治療用線量分布測定装置及び放射線治療用線量分布測定プログラム Download PDF

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Description

本発明は、患者の体外から病変部に向けて放射線を照射して治療を行う放射線治療において、X線外照射治療(患者の体外から、病変部に向けてX線を照射する治療)において、実際に患者に照射された部位、線量を実測し、その結果を所定の形態で提供することで、病変部への過剰照射や正常組織への過剰照射を防ぐことを可能とする放射線治療用線量分布測定装置及び放射線治療用線量分布測定プログラムに関する。
X線外照射治療に代表される放射線治療では、治療前に、患者画像上で照射計画(病変部に対してどの方向から、どれだけの線量を照射するか)が立案され、これに基づいて患者への照射行われる。しかし、現在のところ実際に計画通りの位置、線量が患者に照射されているか否かを確認する手段がなく、病変部への過少照射や正常組織への過剰照射が起こっても気づかれないのが現状である。照射前にファントムとX線検出器を用いて、計画通りの照射が行えることが確認されることもあるが、簡便に持ち運びができ、自由に位置を調整できるファントムと異なり、患者を寝台上の、照射計画どおりの位置に置くことは困難であり、これらの照射前確認は、患者への計画通りの照射を完全に保証するものではない。
なお、本願に関連する公知文献としては、例えば次のようなものがある。
特開平5−146426号公報 この特許文献が開示する技術は、X線被写体の散乱X線を検出し、被写体の断層像を得るものである。ペンシル状ビームを走査することにより被写体の3次元散乱線像を再構成して得ることが特徴である。すなわち、本技術はペンシル状ビームのみを想定しており、X線治療で用いられる、有限の幅をもったビームが通過した領域の散乱像(治療ビームによる線量の空間分布)を得るものではない。また、エネルギーの高い治療ビーム(数MeV)の被写体内での散乱は前方散乱が優位となるため、入射X線方向に検出器を配置すると散乱線と透過線の区別が難しく、散乱線の検出に補正処理を必須としている。
医療過誤に対して社会的関心が高まる中、放射線治療においても、患者への過剰照射が報告され問題となった。患者のどの部位にどれだけの線量が照射されたかという、行われた医療行為の“事実”を記録することは、今後ますます重要になると予測される。また昨今、X線外照射治療の分野では、呼吸等による患者体内での腫瘍の動きに同期・追従して照射する方法や、腫瘍形状に合わせて治療X線ビームをコリメートして照射する方法など、病変部に対してより精密に照射する試みが行われつつある。これらの精密照射は、病変部に線量を集中させることを目的としている。このため、万一、治療X線ビームが照射目標から外れた場合には、正常組織に甚大な損傷を与える。そのため、照射の精密化に伴って、計画通りの照射が行われている否かを確認することが重要となる。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、X線外照射治療において、実際に患者のどの部位に、どれだけの線量が照射されたかを実際に計測し、その結果を所定の形態で提供することで、病変部への過剰照射や正常組織への過剰照射を防ぐことを可能とする放射線治療用線量分布測定装置及び放射線治療用線量分布測定プログラムを提供することを目的としている。
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段を講じている。
請求項1に記載の発明は、被検体に対して治療用放射線ビームを照射する照射手段と、前記治療用放射線ビームに基づいて発生する前記被検体内からの所定の散乱角θの散乱線を複数の位置で検出し散乱線データを発生する検出手段と、前記検出された複数の位置についての散乱線データに基づいて、前記被検体内における散乱線発生密度の三次元的分布を示す散乱線ボリュームデータを再構成する画像再構成手段と、前記散乱線ボリュームデータに基づいて、前記被検体内における散乱発生に関する画像を生成する画像生成手段と、前記散乱発生に関する画像を表示する表示手段と、を具備することを特徴とする放射線治療用線量分布測定装置である。
請求項10に記載の発明は、コンピュータに、被検体に対して照射された治療用放射線ビームに基づいて発生する前記被検体内からの所定の散乱角θの散乱線を複数の位置で検出することで散乱線データを発生させる検出機能と、前記検出された複数の位置についての散乱線データに基づいて、前記被検体内における散乱線発生密度の三次元的分布を示す散乱線ボリュームデータを再構成させる画像再構成機能と、前記散乱線ボリュームデータに基づいて、前記被検体内における散乱発生に関する画像を生成させる画像生成機能と、前記散乱発生に関する画像を表示させる表示機能と、を実現させるための放射線治療用線量分布測定プログラムである。
以上本発明によれば、X線外照射治療において、実際に患者のどの部位に、どれだけの線量が照射されたかを実際に計測し、その結果を所定の形態で提供することで、病変部への過剰照射や正常組織への過剰照射を防ぐことを可能とする放射線治療用線量分布測定装置及び放射線治療用線量分布測定プログラムを実現することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
[原理と方法]
本実施形態に係る放射線治療用線量分布測定装置は、被検体に対して照射した放射線に基づく当該被検体からの散乱線を計測し、これに基づいて被検体のどの部位に、どれだけの線量が照射されたかを客観的に示す情報を取得するものである。その原理と方法は、次の様である。
図1は、本放射線治療用線量分布測定装置の治療用放射線に基づく被検体からの散乱線計測の原理、方法を説明するための図である。
外照射X線照射による治療効果は、主として患者体内で起こるX線の散乱によってもたらされる。すなわち、治療X線ビームが患者体内の電子によって散乱される際、エネルギーを受け取った電子は組織内を飛行したのち、停止する。このとき、電子は停止するまでに、組織内の分子をラジカル化し、細胞内のDNAに損傷を与える。そして、損傷を受け、修復することができなかった細胞は最終的に死に至る。これがX線照射による治療効果である。反跳電子が多く発生すればするほど組織を構成する細胞が死に至る確率が高くなるため、治療効果は、散乱反応が起こる回数に比例する。
上述から、組織内で起こった散乱の回数が分かれば、治療効果(=組織がどれだけ損傷を受けたか)を知ることができる。そして起こった散乱の回数は、散乱線の数を測定することで知ることができる。散乱されたX線の多くは、電子に進行方向を変えられた後、患者体外に出てくるため、患者体外に設置したX線検出器で測定することができる。
本実施形態に係る放射線治療用線量分布測定装置では、治療X線ビームに対して特定の角度をなす位置にコリメータを備えた検出器を設置し、その方向に来た散乱線のみを選択的に検出する。コンプトン散乱で、どの角度に、どれだけX線が散乱されるかは理論的に分かるため、ある角度での散乱線を検出できれば、他の角度への散乱線の数も推定できる。さらに、患者体内の、散乱の起こった場所の分布を3次元的に得るために、照射中に検出器を回転させ、すべての方向から散乱線の測定を行う(例えば、図3参照)。その後、再構成処理を行い、被検体内部の散乱線の発生分布を3次元的に画像化する。再構成法式としては、例えば、コリメータの方向がスキャン軸と直交していればCTの再構成手法を、一方直交していなければ、断層撮影の再構成手法を用いる。
[構成]
図2は、本実施形態に係る放射線治療用線量分布測定装置1のブロック構成図を示している。また、図3は、本放射線治療用線量分布測定装置1の散乱線の測定形態を示した図である。同図に示すように、本放射線治療用線量分布測定装置1は、放射線照射システム2、散乱線検出システム3、データ取得制御部4、データ処理システム5、表示部6、記憶部7、操作部8、ネットワークI/F9を具備している。放射線照射システム2及び散乱線検出システム3は架台(ガントリ)に設置され、架台を移動、回転させることで、被検体に対して任意の位置に配置することができる。また、データ取得制御部4、データ処理システム5、表示部6、記憶部7、操作部8、ネットワークI/F9は、例えば放射線治療用線量分布測定装置1の本体(筐体)に設置される。
[放射線照射システム]
放射線照射システム2は、電力供給部201、照射部203、タイミング制御部205、ガントリ制御部207を有している。
電力供給部201は、データ取得制御部4からの制御に従って照射部203に電力を供給する。
照射部203は、例えば線形加速器(ライナック)等の機構を有する放射線照射装置である。当該照射部203では、加速管の一端に設けられた電子銃により、陰極から放射された熱電子は数100keVになるまで加速される。次に、クライストロンで発生したマイクロ波は導波管を使って加速管まで導かれ、そこでこの熱電子は数MeVのエネルギーに達するまで加速される。この加速された熱電子は磁石によってその方向を変えられ、透過型ターゲットに衝突する。このとき制動放射により、数MeVのエネルギーのX線が発生する。照射部203は、コリメータによってこのX線を所定の形状(例えば、円錐形状)に成形し、寝台上に配置された被検体の三次元領域に照射する。
タイミング制御部205は、データ取得制御部4からの制御に従って所定のタイミングで照射部203に電力が供給されるように、電力供給部201を制御する。
ガントリ制御部207は、例えば操作部8やデータ取得制御部4からの制御指示に従って、ガントリの移動位置・回転位置を制御する。
[散乱線検出システム]
散乱線検出システム3は、検出器301、コリメータ303、移動機構部305、位置検出部307を有している。
検出器301は、数100keVのX線を検出できる半導体検出器や、イメージング・プレート等であり、被検体に対して照射した放射線に基づく当該被検体からの散乱線を検出する。この検出器の好ましいサイズ、照射ビーム軸に対する配置角度、画素数等については、後述する。
コリメータ303は、特定の方向に来た散乱線のみを選択的に検出するための絞り装置である。このコリメータ303の好ましい形状、グリッドサイズ等については、後述する。
移動機構部305は、照射部203の照射ビーム軸に対する検出器301の検出面の角度(すなわち、照射ビーム軸と検出器301の検出面の法線との角度)、放射線ビーム軸を中心とした検出器301の回転角、被検体と検出器301の検出面との距離等を制御するために、検出器301の位置や角度を移動させるための移動機構部である。
位置検出部307は、検出器301の位置を検出するためのエンコーダである。
<検出器301のサイズ>
図4、図5、図6、図7、図8は、検出器301のサイズを説明するための図である。検出器301のサイズは、患者体内から散乱線が出てくる範囲をカバーできるサイズであることが望ましい。このサイズは、図4、図5に示すように、治療ビームの幅 2a、回転角度(照射システムのガントリーの回転角度)φ、検出器301の配置角度 θ、患者の体の厚さ(幅) 2L、で決まる。これらの値を用いて、検出器301の(検出面の)長さL1は、次式(1)で表すことができる。
Figure 0005238242
ただし、ここで、治療X線ビームを平行ビームと仮定し、また、患者体厚さの真ん中を中心に回転すると仮定した。治療ビームの幅を4cm、回転角度を35°、検出器301の配置角度を120°(60°でも同じ)、患者の体の厚さを30cmとすると、L1=36.1cmである。この値は、主として検出器301の配置角度に依存する。例えば、155°(25°でも同じ)の位置に配置した場合はL1=20.3cmとなり、90°から離れるほど、コンパクトにできる。
患者の体の幅を2wとすると、検出器301の長さL1は、次式(2)で表すことができる。
Figure 0005238242
ただし、ここでも、治療X線ビームを平行ビームと仮定している。治療ビームの幅を4cm、検出器301の配置角度を120°(60°でも同じ)、患者の体の幅を40cmとすると、L2=36.6cm(25°では20.5cm)である。
実際には両方向に、同時に傾けることがある。例えば、図4、図7に示すような角度に同時に傾けると120°の位置では、約57cm(155°では、約31cm)となる。実際の検出器301のサイズL1は、照射システムの傾けられる角度に応じて決定する必要がある。
検出器301のもう一方のサイズL2は、図8に示すように治療X線ビームの幅で決まる。治療X線ビームの広がりが無いと仮定した場合には、2aで良いが、実際には広がるため、これ以上のサイズが必要である。通常、治療X線ビーム・コリメータのところでのビーム幅が患者中心付近では3倍程度になることが知られている。そのため、コリメータのところでのビーム幅を基準とすると、少なくともその3倍より大きくする必要があり、実際的には4倍程度とする。ターゲットサイズを基準に考えると、根治を狙った治療ではターゲットの大きさは3cm程度であるため、4cm程度のサイズが必要になる。症状緩和を狙った照射では、10cm程度の広範囲に照射するため、13.3cm程度のサイズが必要となる。
上述のように、検出器301の配置角度や、治療ビームの幅(ターゲットの大きさ、照射範囲)、回転角度、患者の体の大きさを想定してすべて散乱線を検出できる検出器301のサイズを決定する。照射システムや患者との干渉のために、こうしたサイズを実現できないシステムにおいては、カバーできる範囲のみの散乱線データを再構成する。
<検出器301の配置角度>
上述した検出器301のサイズの決定において、散乱が起こる領域をカバーできる検出器のサイズは配置角度によって大きく変化することを示した。一方、散乱の起こりやすさも角度によって異なり、配置角度によって検出できる散乱線のカウント数が異なる。角度ごとの散乱の起きやさ(角度微分散乱断面積)は、次の式(3)に示すクライン-仁科の式で表されることが知られている。
Figure 0005238242
ここで、αは、X線の入射エネルギーと電子の静止エネルギーの比、rは電子の古典的な半径で2.82×10-15[m]、θはX線の散乱角である。
図9は、クライン-仁科の式を、5°ごとに計算し、グラフにしたものである。入射エネルギーは、通常のX線外照射で使用される治療X線ビームとほぼ同じ5 MeV である。角度の単位はdeg、断面積の単位はb(10E-24*m2)である。同図から分かる通り、散乱によってわずかしか進行方向を変えられない前方散乱が優位であることが分かる。そのため、よりカウント数を増やし、S/N比を向上させるには、治療ビームX線(入射X線)に対して浅い角度の位置で検出する方が有利と言える。最終的には、検出器を配置した角度θでの測定値を基に、図9に示した値(クライン-仁科の式で計算された値)を用いて、他の角度に散乱されたx線の数を推定する処理が必要となるため、ここでのS/N比は結果に影響を及ぼす。
最も散乱数の多い、0度(つまり、電子との散乱後も、進行方向が変わらない)では、患者体内で散乱を起こさなかった透過線と区別するための補正処理が必要となるが、例えば図10(a)、(b)のような配置角度にすると、この補正処理の必要はなくなる。すなわち、図10(a)は、できるだけθを小さくすることで多くのカウント数が得られ、かつ、透過線と散乱線を区別するための補正処理が不要な角度配置である。カウント数は患者と検出間の距離にも依存し、この距離が小さいほど有利である。図10(b)では、θが若干大きくなるが、距離は左図に比べて小さくすることができる。しかし、検出器の配置角度が90°より小さい場合(すなわち、前方散乱の場合)は、散乱線が寝台を通過して検出器に入る。寝台の材質が炭素繊維(密度1.9g/cm3)で、厚さが2cmと仮定した場合、およそ10%の散乱線が寝台通過中で散乱され、進行方向が変わってしまう。そのため、正確な散乱線データを収集するためには、あらかじめ寝台による散乱データを収集しておき、補正するなどの追加処理が必要となる短所がある。
上述では、カウント数を重視する考えに基づく検出器の配置例を示したが、治療の効果を正確に見積もるためには、あらゆる方向への散乱の中でも、特に治療により大きな寄与をした散乱線を正確に計測できることがのぞましい。こうした散乱線を正確にカウントするには、θを大きくした方がよい。[原理と方法]で記した通り、X線照射による治療効果は、主に散乱の際にX線からエネルギーを受け取った電子によってもたらされる。より多くのエネルギーを電子に渡したX線は、大きく角度を変えられるため、散乱角は大きくなる。
図11は、コンプトン散乱の様子を示した図である。散乱後の、散乱線、電子のエネルギーhν’、Teは、X線の入射エネルギーhν、散乱角θを用いて次式(4)で表される。
Figure 0005238242
図12は、コンプトン散乱後の光子のエネルギーと散乱角θとの関係を示したグラフである。同図に示した通り、散乱角の大きな散乱線は起こりにくくカウント数は少なくなるが、電子に多くのエネルギーを与えており、したがって、治療に対して大きな寄与をしたx線であることが分かる。 入射治療X線ビームが持つエネルギーの90%以上が電子に受け渡されて、最終的に生体組織に付与されるのは、散乱角θが85°<θ<180°を満たす場合である。治療への寄与の大きな散乱線を正確に測定するには、こうした検出器配置角度であることが望ましい。
図13は、治療に大きな寄与をした散乱線をより正確に検出するための検出器配置の一例を示した図である。このような配置によれば、寝台による散乱補正処理が必要なく、また、検出器のサイズが小さくできる利点もある。
なお、検出器の配置精度によっても、誤差が生じうる。機械的なたわみ等を考慮すると意図した位置に全く誤差なく配置することは不可能である(また、検出器が、機械的なたわみ等によりどれくらいのズレが生じているかを測定することは極めて難しい)。図9に示したように、散乱断面積の角度変化の大きさは、角度によって異なる。この角度変化の大きさが大きい角度に検出器を配置した場合、誤差が大きくなってしまう。
図14は、検出器の配置位置のずれΔdと散乱角のずれΔθとの対応関係を説明するための図である。同図において、検出器の配置位置のずれΔdによって生じる散乱角のずれΔθは、散乱が起こった場所と検出器の距離をlとしたとき、次式(5)で表される。
Figure 0005238242
例えばlが500mmの時、Δdが1mmずれた場合、Δθは約0.1°となる。これに生じるカウント数の誤差は、散乱角が18°付近で約0.6%と最も大きく、散乱角が大きくなるにつれて、単調に減少し、180°では、0.0001%以下となる。実際の検出器配置では、治療X線ビームとの干渉を避けることを考慮すると、180°に配置することは難しいが、たとえば誤差が0.05%以下となる、140°≦θ<180°の範囲に配置することが望ましい。
検出器配置角度は、再構成される画像の空間分解能にも影響をおよぼす。図15は、再構成される物体の幅、検出器配置角度(すなわち、再構成処理時の投影方向)、再構成される物体の広がりRの関係を示したものである。同図よりRの大きさは次式で表せること分かる。
Figure 0005238242
式(6)より、90°の検出器配置のとき、最も空間分解能を小さくすることができ、90°から離れるほど、大きくなってしまう。90°とその近傍は、患者や寝台と干渉してしまうため、実現することは極めて困難であるが、なるべく90°に近い配置角度であることが望ましい。
以上に述べた、治療への寄与の大きさ、カウント数に生じる誤差、再構成後の空間分解能の観点から、検出器の配置角度θは、140°≦θ<180°の範囲の中で、なるべく小さな値であることが望ましい。
<検出器の数>
本実施形態では、検出器301を照射する放射線ビームの軸を中心として、当該ビーム軸に対してその検出面を所定の角度に保ちながら回転させることで(言わば散乱線を用いて被検体を走査することで)、複数の位置における散乱線データ(すなわち、同一散乱角についての多方向のデータ)を取得する。しかしながら、これに拘泥されず、同一散乱角についての多方向のデータを取得するために、散乱角を同一とする散乱線を検出するように、異なる回転角度(すなわち、ビーム軸と中心とした円周上の複数の位置)に配置された複数の検出器を用いるようにしてもよい。また、このように異なる回転角度に配置された複数の検出器位置を放射線ビームの軸を中心として回転させ、同一散乱角についての多方向のデータを取得するようにしてもよい。これらの様に複数の検出器を用いることにより、カウント数が増加し、S/N比を向上できるメリットがある。
<コリメータの形状>
図16(a)は、検出器301の検出面に設けられたコリメータ303を示した図である。図16(b)は、検出器301及びコリメータ303の側面図である。各図に示すように、検出器301は、配置角度方向に来た散乱線のみを検出できるように(すなわち、散乱角がθとなる散乱線のみを検出できるように)、グリッド状のコリメータ303を備える。
<コリメータのグリッドサイズ>
グリッドサイズが、そのまま再構成される3次元分布の分解能を決める。グリッドサイズが小さいほど空間分解能は向上するが、散乱線のカウント数が減るため、S/N比が落ちる。
通常の根治的治療の場合、ターゲットに対して総計60 〜 70 Gy程度の線量が30日程度に分割して照射される。すなわち、1日当たりのターゲットに対する照射線量はおよそ2Gy程度である。2Gyの照射に必要な治療X線ビームのフォトン数は、次の式(7)で計算でき(出典:空気の電離量から分かる人体の吸収線量、荒木不次男)、1.3×1011 photons/cm2である。ただし、治療X線のエネルギーEは5 MeVとし、また、ターゲットは水と仮定し、μen/ρは0.0191とした。
Figure 0005238242
よって、1cm3当たりの散乱数(=散乱線の数)は、次の式(8)の様に計算できる。
Figure 0005238242
例えば、グリッドサイズを1cmとし、検出器をターゲットから50cm離れた場所に設置すると、1グリッドのカウント数N1cm2は、次の式(9)となる。
Figure 0005238242
ただし、ここでは散乱の角度依存性を無視した場合の平均的な値であり、散乱角の大きな位置では二桁近く小さな値となる。なお、診断用のX線透視(10mR)の場合、およそ2.4×105[counts/cm2]程度である。しかしX線透視の空間分解能0.2mm程度と高い。もし1cmの空間分解能とするなら、2500分の1のカウント数(〜102程度)で足りる。それ対し、上記で散乱角の大きな位置に検出器を配置した場合でも103程度と、X線透視を1桁上回るカウント数を得ることができる。
また、グリッドサイズは、検出器の画素サイズの整数倍または整数分の1でなければならない。ただし、カウント数にロスが生じないよう、検出器の画素サイズは、グリッドサイズよりも小さいことが望ましい。たとえば、グリッドサイズが1cmのとき、検出器画素サイズは1cm、0.5cm、0.2cm、0.1cmなどとなっていればよい。
[データ取得制御部]
データ取得制御部4は、放射線治療時における散乱線計測に関する総合的な制御を行う。例えば、データ取得制御部4は、放射線照射システム2のタイミング制御部205からの信号を得て、散乱線検出システム3に対して散乱線計測開始トリガーや検出データの伝送トリガーを送信する等、放射線照射、散乱線計測、データ処理、画像表示、ネットワーク通信等について、本放射線治療用線量分布測定装置1を静的又は動的に制御する。また、データ取得制御部4は、必要に応じて、ネットワークを介して放射線治療計画装置から受け取った治療計画に基づいて、各照射の照射時間に合わせてスキャン時間を最適化する。
[データ処理システム]
データ処理システム5は、補正処理部501、再構成処理部503、変換処理部505、画像処理部507を有している。
補正処理部501は、必要に応じてデータのキャリブレーション処理やノイズを除去するための補正処理等を行う。当該補正処理501が実行する補正処理の内容については、後で詳しく説明する。
再構成処理部503は、散乱線検出システム3において検出された散乱線画像データと各散乱線画像データを検出した位置を示す位置情報とを用いて画像再構成処理を実行し、散乱イベント回数(散乱発生回数)の密度の三次元的分布を示す散乱線ボリュームデータを取得する。再構成法式としては、例えば、コリメータの方向がスキャン軸と直交していればCTの再構成手法を、一方直交していなければ、断層撮影の再構成手法を用いる。
変換処理部505は、画像再構成処理によって得られた三次元画像データを、吸収された放射線量(吸収線量)の三次元分布を示す吸収線量ボリュームデータに変換する。
画像処理部507は、吸収線量ボリュームデータ等を用いて、被検体の所定部位に関する吸収された放射線量(吸収線量)の分布を示す吸収線量画像データを生成する。また、吸収線量画像をフュージョン(Fusion)して表示する場合には、画像処理部507は、吸収線量ボリュームデータ等を用いて画像合成処理を行う。
[表示部、記憶部、操作部、ネットワークI/F]
表示部6は、吸収線量画像データを用いて吸収線量画像を所定の形態で表示する。例えば、表示部6は、必要に応じて、吸収線量画像を計画画像や照射直前、照射中に得た画像とフュージョンして表示を行う。
記憶部7は、照射する放射線ビームの軸を中心として検出器301を回転させながら散乱線データを取得(スキャン)するための所定のスキャンシーケンス、補正処理、画像再構成処理、変換処理、表示処理等を実行するための制御プログラムや、治療計画を当該システムで表示、編集するための専用プログラム、当該放射線治療用線量分布測定装置1によって取得された散乱線ボリュームデータ、吸収線量ボリュームデータ、吸収線量画像データ、X線コンピュータ断層撮影装置等の他のモダリティによって取得された画像データ等を記憶する。当該記憶部7に記憶されているデータは、ネットワークI/F90を経由して外部装置へ転送することも可能となっている。
操作部8は、オペレータからの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を装置本体11にとりこむための各種スイッチ、ボタン、トラックボール13s、マウス13c、キーボード13d等を有している。
ネットワークI/F9は、当該放射線治療用線量分布測定装置1によって得られた吸収線量画像データ等をネットワーク経由で他の装置に転送し、また、例えば放射線治療計画装置において作成された治療計画等をネットワーク経由で取得する。
(動作)
次に、本放射線治療用線量分布測定装置1の放射線治療時における動作について説明する。
図17は、本放射線治療用線量分布測定装置1の動作を含む放射線治療時における処理の流れを示したフローチャートである。以下、各ステップの処理内容について説明する。
[被検体の配置等:ステップS1]
まず、データ取得制御部4は、例えばネットワークを介して当該被検体に関する治療計画情報を取得し、表示部6に表示する。術者は、表示された治療計画に従って寝台上に被検体を配置すると共に、操作部8を介して、放射線照射時間の設定、散乱線計測を行う回転角度の設定、スキャンシーケンスの選択等を行う(ステップS1)。なお、放射線照射時間の設定等については、取得した治療計画情報に基づいて、自動的に行うようにしてもよい。
[放射線照射/多方向における散乱線画像データの取得:ステップS2]
次に、放射線照射システム2は被検体に対して、三次元領域を照射するための治療用放射線を所定のタイミングで発生する。また、散乱線検出システム2は、当該照射放射線に基づいて被検体外に出てくる散乱線を照射される放射線ビームの軸を中心とした複数の回転角において検出する(ステップS2)。例えば、ある1つの方向から3分間照射が行える場合、1方向につき10秒ずつ、18方向のデータを収集する。このとき、18方向はビーム軸を中心として等角度間隔であることが好ましい。検出器303が各方向で検出した散乱線のカウント数及び位置検出部307で計測した散乱線検出時における検出器303の位置情報は、データ処理システム5に伝送される。
なお、本実施形態では、検出器301の配置角度を、散乱角θが120°≦θ≦165°の範囲のいずれか(例えば、155°)である後方散乱線を検出するように、検出器301の配置角度を設定するものとする。
また、上記の例において、例えば2Gyの照射が3方向から行われる場合、1方向あたりのカウント数は、1.24×105× 1/3≒4×104[counts/cm2]である。1方向あたり180秒で照射されるとして10秒間測定すると、4×104×10/180=2×103[counts/cm2]となるが、S/N比に問題はない。
また、散乱線の検出は、少なくとも2つ以上の方向が必要であるが、現実にはできる限り多くの方向において検出することが好ましい。また、各検出位置は、照射ビームの軸を中心として等角度間隔に配置されていることが好ましい。
[前処理(補正処理等):ステップS3]
収集されたデータは、検出器設置角度方向に散乱されたX線のみカウントしている。しかし実際には、図9に示すように、X線はあらゆる方向への散乱が起こっている。最終的に、組織で吸収された線量[Gy]を算出するためには、検出器のカウント値を補正し、すべての方向への散乱数を求める必要がある。
あるグリッドでのカウントをncount、検出器設置角度θへの散乱断面積をσθ0、全ての方向への散乱断面積(全断面積)をΣとすると、全ての方向への散乱を考慮した補正値Nは、次式(10)で求まる。
Figure 0005238242
[画像再構成処理:ステップS4]
次に、データ処理システム5の画像再構成処理部503は、多方向の投影データを用いて画像再構成処理を実行し、散乱線ボリュームデータを取得する(ステップS4)。このとき、検出器301の回転軸とコリメータの方向が直交しており、180度(+α)以上の角度範囲で画像を撮影する場合はCTの再構成方法を用いればよいが、その他の場合は断層撮影の再構成方法を用いる。断層撮影の手法として、例えば投影画像にフィルタ処理を適用した後バックプロジェクション処理を行うfiltered backprojection法を用いる。filterの構成方法としては古典的なShepp-Logan filterや、特願2006−284325, 特願2007−269447に開示されているフィルタを用いる。特に、特願2006−284325, 特願2007−269447に記載されている方法を用いれば、物理的意味が明確な散乱源分布画像を生成することができる。
検出器画像にフィルタ処理を施し、バックプロジェクションを行って得られる画像は、単位体積あたりの散乱線発生密度(単位体積あたりの散乱回数)である。上記の再構成処理の全ステップ(各種補正処理、フィルタ処理、バックプロジェクション処理)をとおして、治療用放射線が被検体を通過する近傍での散乱線発生密度の3次元分布(散乱線ボリュームデータ)を取得することができる。
[変換処理:ステップS5]
次に、データ処理システム5の変換処理部507は、ボクセル(voxel)ごとに算出された単位体積あたりの散乱回数nを、吸収線量に換算することで、散乱線ボリュームデータを吸収された放射線量(吸収線量)の三次元分布を示す吸収線量ボリュームデータに変換する(ステップS5)。
散乱によって電子が受け取るエネルギーT(=組織に吸収されたエネルギー)は、次式(11)のように表せる。
Figure 0005238242
ここで、hνは、治療X線ビームのエネルギー[eV]であり、治療計画時に設定されている。よって、i番目のvoxelの値(=単位体積あたりの散乱回数)をnとすると、このvoxelでの吸収エネルギーEab,i[J]は式(12)で表せる。
Figure 0005238242
ゆえに、i番目のvoxelでの吸収線量D[Gy]=[J/kg](=単位質量当たりの吸収エネルギー)は、voxel内に存在する生体組織の平均密度をd[g/cm3]、voxelの体積をv[cm3]とすると、式(13)のように表せる。
Figure 0005238242
ここで、voxel内に存在する生体組織の平均密度d[g/cm3]については、人体が100%水から成ると近似的考えて、1[g/cm3]として良い。
[吸収線量画像データの生成/画像データの表示:ステップS6、S7]
次に、画像処理部507は、吸収線量ボリュームデータ等を用いて、被検体の所定部位に関する吸収された放射線量(吸収線量)の分布を示す吸収線量画像データを生成し、例えばフュージョン表示するためにCT画像と合成する(ステップS6)。表示部6は、所定の形態にて吸収線量画像を表示する(ステップS7)。
図18は、吸収線量画像の表示の一形態(フュージョン表示)を示した図である。治療中、或いは治療前後の任意のタイミングにおいて、同図に示すような吸収線量画像を表示することができる。術者は、表示された画像を観察することで、実際に患者のどの部位に、どれだけの線量が照射されたかを、視覚的且つ定量的に把握することができる。
(効果)
以上述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。治療X線ビームに対して特定の角度(散乱角)をなす位置にコリメータを備えた検出器を設置し、その方向に来た散乱線のみを選択的に検出し、この検出を同一散乱角について多方向で実行する。得られた所定の散乱角に関する多方向の散乱線データを用いて、散乱線ボリュームデータを再構成すると共に、当該散乱線ボリュームデータを吸収された放射線量の三次元分布を示す吸収線量ボリュームデータに変換し、吸収線量画像を生成する。生成された吸収線量画像は、例えば形態画像等(CT画像等)と合成され表示される。表示される吸収線画像は、実測によって得られた客観的なデータである多方向の散乱線データに基づいて生成されたものである。従って、術者は、この吸収線量画像を観察することで、現実に放射線が照射された位置及び量を、視覚的且つ定量的に把握することができる。これにより、計画通りに放射線治療が行われているか否かを客観的な基準を用いて判定することができ、放射線の治療部位やその周辺領域に対する過剰照射や過少照射を防ぐことができる。その結果、放射線治療の効果を向上、被検体への余分な被曝量を低減を実現することができ、放射線治療の質の向上に寄与することができる。
また、本放射線治療用線量分布測定装置1によれは、吸収線量画像を、治療中にリアルタイムで観察することができる。また、予め取得された散乱線ボリュームデータや吸収線量ボリュームデータを用いて再構成処理や所定の画像処理を行うことで、吸収線量画像を任意のタイミングで観察することができる。従って、治療中であれば、現在照射されている放射線の位置や強度をリアルタイムで迅速且つ簡単に視覚的に確認することができ、また、例えば治療経過途中段階であれば、今までの治療において放射線が照射された位置や累積放射線量を迅速且つ簡単に視覚的に確認することができる。すなわち、術者は、所望の状況で吸収線量画像を観察することで、現在の治療や今までの治療の妥当性を客観的基準に基づいて判定することができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
例えば、本実施形態に係る制御機能、信号処理機能、表示機能等は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
以上本発明によれば、X線外照射治療において、実際に患者のどの部位に、どれだけの線量が照射されたかを実際に計測し、その結果を所定の形態で提供することで、病変部への過剰照射や正常組織への過剰照射を防ぐことを可能とする放射線治療用線量分布測定装置及び放射線治療用線量分布測定プログラムを実現することができる。
図1は、本放射線治療用線量分布測定装置の治療用放射線に基づく被検体からの散乱線計測の原理、方法を説明するための図である。 図2は、本実施形態に係る放射線治療用線量分布測定装置1のブロック構成図を示している。 図3は、本放射線治療用線量分布測定装置1の散乱線の測定形態を示した図である。 図4は、検出器301のサイズを説明するための図である。 図5は、検出器301のサイズを説明するための図である。 図6は、検出器301のサイズを説明するための図である。 図7は、検出器301のサイズを説明するための図である。 図8は、検出器301のサイズを説明するための図である。 図9は、クライン-仁科の式をグラフにしたものである。 図10(a)、(b)は、それぞれ検出器の配置角度例を示した図である。 図11は、コンプトン散乱の様子を示した図である。 図12は、コンプトン散乱後の光子のエネルギーと散乱角θとの関係を示したグラフである。 図13は、散乱線をより正確に検出するための検出器配置の一例を示した図である。 図14は、検出器の配置位置のずれΔdと散乱角のずれΔθとの対応関係を説明するための図である。 図15は、検出器の配置角度、物体の大きさ、再構成される物体の空間的広がりを説明するための図である。 図16(a)は、検出器301の検出面に設けられたコリメータ303を示した図である。図16(b)は、検出器301及びコリメータ303の側面図である。 図17は、本放射線治療用線量分布測定装置1の動作を含む放射線治療時における処理の流れを示したフローチャートである。 図18は、吸収線量画像の表示の一形態(フュージョン表示)を示した図である。
符号の説明
1…放射線治療用線量分布測定装置、2…放射線照射システム、3…散乱線検出システム、4…データ取得制御部、5…データ処理システム、6…表示部、7…記憶部、8…操作部、9…ネットワークI/F、201…電力供給部、203…照射部、205…タイミング制御部、207…ガントリ制御部、301…検出器、303…コリメータ、305…移動機構部、307…位置検出部、501…補正処理部、503…再構成処理部、505…変換処理部、507…画像処理部

Claims (10)

  1. 被検体に対して治療用放射線ビームを照射する照射手段と、
    前記治療用放射線ビームに基づいて発生する前記被検体内からの所定の散乱角θの散乱線を複数の位置で検出し散乱線データを発生する検出手段と、
    前記検出された複数の位置についての散乱線データに基づいて、前記被検体内における散乱線発生密度の三次元的分布を示す散乱線ボリュームデータを再構成する画像再構成手段と、
    前記散乱線ボリュームデータに基づいて、前記被検体内における散乱発生に関する画像を生成する画像生成手段と、
    前記散乱発生に関する画像を表示する表示手段と、
    を具備することを特徴とする放射線治療用線量分布測定装置。
  2. 前記検出手段は、散乱角θを140≦θ<180°のいずれかとする散乱線を検出するように設置されていることを特徴とする請求項1記載の放射線治療用線量分布測定装置。
  3. 前記検出手段は、前記治療用放射線ビームの軸に対する検出面の角度を制御する制御手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の放射線治療用線量分布測定装置。
  4. 前記検出手段は、前記治療用放射線ビームの軸を中心として検出面を回転させることで、前記複数の位置についての散乱線データを検出する回転手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の放射線治療用線量分布測定装置。
  5. 前記検出手段は、前記治療用放射線ビームの軸を中心とする円周上の複数の位置に配置された複数の検出器を有することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の放射線治療用線量分布測定装置。
  6. 前記再構成手段は、前記検出された複数の位置についての散乱線データを用いて、X線コンピュータ断層撮影において用いられる画像再構成を実行することで、前記散乱線ボリュームデータを再構成することを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の放射線治療用線量分布測定装置。
  7. 前記再構成手段は、前記検出された複数の位置についての散乱線データを用いて、フィルタ処理後にバックプロジェクション処理を実行することで、前記散乱線ボリュームデータを再構成することを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の放射線治療用線量分布測定装置。
  8. 前記画像生成手段は、
    前記散乱線ボリュームデータを吸収された放射線量の三次元分布を示す吸収線量ボリュームデータに変換し、
    前記吸収線量ボリュームデータを用いて、前記散乱発生に関する画像としての吸収線量画像を生成すること、
    を特徴とする請求項2乃至7のうちいずれか一項記載の放射線治療用線量分布測定装置。
  9. 前記表示手段は、前記散乱発生に関する画像を、形態画像と合成して表示することを特徴とする請求項2乃至8のうちいずれか一項記載の放射線治療用線量分布測定装置。
  10. コンピュータに、
    被検体に対して照射された治療用放射線ビームに基づいて発生する前記被検体内からの所定の散乱角θの散乱線を複数の位置で検出することで散乱線データを発生させる検出機能と、
    前記検出された複数の位置についての散乱線データに基づいて、前記被検体内における散乱線発生密度の三次元的分布を示す散乱線ボリュームデータを再構成させる画像再構成機能と、
    前記散乱線ボリュームデータに基づいて、前記被検体内における散乱発生に関する画像を生成させる画像生成機能と、
    前記散乱発生に関する画像を表示させる表示機能と、
    実現させるための放射線治療用線量分布測定プログラム。
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