JP5233031B2 - 凍結治療計画装置及び凍結治療装置 - Google Patents
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Description
この凍結療法は、先端が鋭利な二重管(コアキシャルニードル)を患者の体表面に当てた状態で、二重管の中心軸に沿って長く細い誘導針を挿入し、誘導針を患部まで穿刺したら、誘導針に沿って二重管を患部まで進行させ、さらに患部に貫通させる。また、コアキシャルニードルを直接貫通させることもある。
その後誘導針を抜いて、代りに凍結端子(プローブ)を二重管内の中空軸に沿って挿通装填、凍結用ガス(気体、液体両者ある)と解凍用ガス(気体、液体両者ある)とを供給して、短時間で患部の凍結と解凍(融解)を繰り返すことにより、患部を壊死させて治療を行う方法である。
更に本発明は、凍結プローブにより、治療部の凍結を行わせる凍結期間とその解凍を行わせる解凍期間とで、凍結と解凍とを行わせることを可能にする凍結治療装置において、上記凍結期間及び解凍期間は、凍結プローブの断面サイズと治療部位の組織と病巣治療サイズとに基づいて設定するものとした凍結治療計画装置を開示する。
更に本発明は、凍結プローブの径サイズとそれに基づいて定まる凍結限界サイズとから、凍結プローブの径の種類と病巣治療サイズとの関係をデータとして、記憶しておき、このデータを用いて使用する凍結プローブと病巣治療サイズとを決定するものとした凍結治療計画装置を開示する。
更に本発明は、凍結プローブの径サイズとそれに基づいて定まる凍結限界サイズ並びに凍結限界サイズに近づく時間幅との関係をデータとして記憶しておき、このデータを用いて使用する凍結プローブと病巣治療サイズと凍結時間とを決定するものとした凍結治療計画装置を開示する。
更に本発明は、凍結プローブの径サイズとそれに基づいて定まる凍結限界サイズ並びに凍結限界サイズに近づく時間幅との関係をデータとして記憶しておき、このデータを用いて使用する凍結プローブと病巣治療サイズと凍結時間と解凍期間と及び又はその凍結と解凍との繰り返しサイクルを決定するものとした凍結治療計画装置を開示する。
更に本発明は、yを凍結サイズ、cを凍結限界サイズとするとき、凍結プローブの径によって定まる方程式、
y=a exp(bt)+c
但し、expは指数関数、係数のa、b、cは治療部位とプローブの径によって定まる係数であってa<0、b<0、c>0であってcが凍結限界サイズとする、
によって律せられるものとした凍結治療計画装置を開示する。
更に本発明は、凍結プローブと、凍結期間中、この凍結プローブへ治療部位の凍結用の凍結ガスを送り、解凍期間中その解凍用の解凍ガスを送るガス制御手段と、を有する凍結治療装置であって、凍結プローブの径サイズとそれに基づいて定まる凍結限界サイズ並びに凍結限界サイズに近づく時間幅との関係をデータとして記憶しておき、このデータを用いて使用する凍結プローブと病巣治療サイズと凍結時間T1と解凍時間T2と、を設定する設定手段と、
この設定された凍結時間T1で凍結を行わせるべく、且つ解凍時間T2で解凍を行わせるべく、上記ガス制御手段へ制御指令を与える指令手段と、
を備えた凍結治療装置を開示する。
本発明は、yを凍結サイズ、cを凍結限界サイズとするとき、凍結プローブの径によって定まる方程式、
y=a exp(bt)+c
但し、expは指数関数、係数a、b、cは治療部位とプローブの径によって定まる係数であってa<0、b<0、c>0であってcが凍結限界サイズとする、
によって律せられるものとした凍結治療装置を開示する。
凍結ガスにより凍結プローブ周囲の治療部位の凍結を行わせる凍結期間T1は、A、Bを治療部位の組織によって定まる定数、yを病巣治療サイズとしたとき方程式
y=Aln(t)+B(但し、lnは自然対数)
を解いて得られる時間tに基づいて設定し、解凍期間T2は、Zを解凍サイズ、C、Dを治療部位の組織によって定まる定数としたとき方程式
Z=C−Dln(t)
を解いて得られる時間tに基づいて設定するとした凍結治療期間計画装置を開示する。
治療部位の組織によって定まる定数A、B、病巣治療サイズyをもとに、方程式
y=Aln(t)+B(lnは自然対数)
を解いて得られる時間tに基づいて定めた凍結期間T1と、解凍サイズZ、治療部位の組織によって定まる定数C、Dをもとに、方程式
Z=C−Dln(t)(lnは自然対数)
を解いて得られる時間tに基づいて定めた解凍期間T2と、を設定する設定手段と、
この設定された凍結期間T1で凍結を行わせるべく、且つ解凍期間T2で解凍を行わせるべく、上記ガス制御手段へ制御指令を与える指令手段と、
を備えた凍結治療装置を開示する。
ジュールトムソン効果は、常温等の一定温度の気体を所定の圧力から急激に圧力を低下させたときの熱現象を指し、気体の種類によって、低温化する事例と高温化する事例とがあり、それを凍結と解凍とに利用する。例えば、30MPの高圧常温アルゴンガス(Arガス)とヘリウム(Heガス)とをプローブの先端に導き、プローブの先端で急激に膨張させるようなプローブ構造としておくことで実現する。Arガスでは−125℃の凍結温度が得られ、Heガスでは+20℃の解凍温度が得られる。
1回ないし複数回のサイクルで、1つの凍結プローブにて治療を行う部位を、病巣治療部位と呼び、この病巣治療部位のサイズを病巣治療サイズと呼ぶことにする。病巣治療部位には以下の如きものがある。
(1)スポット的な小さなサイズの病巣又はそれらが分散的に複数個発生している事例。この場合は、スポット的なサイズの病巣そのものが病巣治療部位となる。そして各病巣のサイズが病巣治療サイズとなる。
(2)大きな体積や面積サイズの病巣である第1の事例。この場合は、大径サイズのプローブを使って治療を行うやり方があり、そのときにはこの病巣全体が病巣治療部位であり、その大きさが病巣治療サイズとなる。
(3)大きな体積や面積サイズの病巣である第2の事例。この場合、この病巣を連続する区分化して、各区分毎に小径サイズのプローブを使って治療を行うやり方があり、そのときには、各区分が病巣治療部位であり、その大きさが病巣治療サイズとなる。
ある病巣治療部位を凍結する場合、ある凍結温度で、ある時間をかけて、凍結を行う。然るに、凍結温度が定まると最大凍結サイズは、この凍結温度によって定まり、どんなに凍結時間をかけても、それ以上の大きさの凍結サイズに拡大しない。且つその最大凍結サイズに達するまでの途中の凍結時間にあっては、その凍結時間とある関数関係をもって凍結サイズが定まる。
これをスポット的凍結源に適用する。スポット的凍結源とは、凍結源がスポット的な大きさの凍結源のことであり、本件に関しては、凍結プローブの先端が、このスポット的凍結源となる。このスポット的凍結源の径サイズが微少で無視できる程の大きさとすると、凍結サイズδは、
〔数1〕 δ≦δmax
となる。ここで、凍結サイズδは、凍結時間の大きさによって定まる。
凍結プローブの径サイズr0 を考慮する場合は、
〔数2〕 δ−r0≦δmax
となる。
高圧ガス源51は、ジュールトムソン効果に基づく極低温化(アルゴンでは−125℃程度)凍結のためのガス源として機能し、高圧ガス源52は、ジュールトムソン効果に基づく凍結状態からの高温化(ヘリウムでは+25℃程度)解凍のためのガス源として機能する。
ガス安定器53、54は、ガス源51、52からの高圧ガスのガス圧一定化をはかるものである。
ガス切換・圧力計器部55は、ガス源51、52からのガス流路切換及びそのための切替手段としての電磁弁や分岐パイプ、これらの切り換えのための各種の監視計器類を含む部位である。
分配・切替部56は、プローブ類60が複数プローブを有することから、使用するプローブの選択、それへの供給ガスの選択のためのガス分配と切替えの手段である。
ガス排気制御部57は、プローブ類60からの使用済みガスの排気手段であり、これは後述する液体ガスを凍結用に使用した気化現象を利用した治療装置でのパージ手段を含む。
制御用計算機59は、各種のデータと治療プログラムとを有して、治療実行の指示及び監視を行う。治療実行は、ガス切換及び圧力計類55の制御、ガス分配・切替部56の制御、排気部57の制御、を行うことで達成する。そのためのそれらの制御に必要な制御指令を制御用計算機59が作り出して制御・計測部58へ送る。
制御・計測部58は、制御用計算機59からの制御指令をもとに各部55、56、57へ制御信号を発生し具体的な治療手段の制御を行う。更に制御・計測部58は、各部55、56、58の各種計器類データや状態データである計測信号を取り込み、制御監視及び動作監視を行う。例えば、監視データはプローブ内に装着された熱電対等のセンサーより、分配切換部を介して送信され、計算機59がこれを取り込む。
制御用計算機59の持つ各種データは、この他に患者のID情報、治療履歴、病名、臓器名を含む治療個所及びその位置並び病巣サイズ、血圧や血糖値その等の生理データ、患部の撮影画像データ、等を含む。
治療プログラムは、凍結治療の実行プロセスを含むソフトウェアであり、治療計画及び上記各種データを用いて形成される。
治療プログラムは、治療手順、凍結・解凍シーケンス(凍結と解凍とを1サイクルとするサイクル数n、1サイクルの時間幅T)、治療のリスク管理、治療遂行と監視のためのX線CT装置・心電装置・血圧計などを含む各種生体監視計器・装置類等のモニタ管理、等を含む処理内容を持つ。
排気に関する負圧系を説明する。
プローブ系300、プローブ類60へは分配切換機構を通して高圧ガスが送られジュールトムソン効果によりプローブ内で拡張し、負圧の排気系を介して排出される。この排気系では排気制御系57内に設置された負圧発生機構により、負圧が保持され、すみやかな、排出をしている。負圧発生機構の内部には負圧監視センサを具え、このセンサ出力が計算機59に送られる。計算機59は負圧を監視する。負圧が正に転ずるとプローブは送出高圧ガスにみたされ、極めて危険な状態にいたる。この負圧が正圧又は高い正圧に転じたと判断したときには計算機59は、制御系57の緊急停止を行う。
かかる実施例を図12に示す。この排気系は、排気サージタンク70、負圧発生機構71、負圧センサ72、とを持つ。プローブ排路の排気ガスは排気サージタンク70に入る。排気サージタンク70は負圧発生機構71により、負圧に保たれる。負圧センサー72はプローブ帰路排気系が負圧が保たれ吸引状態にあることを検出する。センサー出力は計算機59に常時入力され正常であることを監視され、それに反する状態となったとき直ちに制御系57の停止を行い、高圧ガス送出をとめる。
以下では、治療プログラムの実行の中で、凍結・解凍シーケンスの実行に限定して本発明の諸特徴並びに作用効果を説明する。図1もこうした趣旨に沿った構成のみを示してある。
〔数3〕 y=Aln(t)+B
ここで、A、Bは肺や肝臓などの臓器の部位の種類(組織)や状態やサイズ、使用する凍結ガス等で定まる凍結温度、並びにプローブ径によってほぼ定まる値、lnは自然対数、を示す。図2、図3での関数の立上り時の時間φ(=exp(−B/A))はプローブの径に対応する。
図13、図14は、図2、図3を別スケールで表現した事例である。但し、図13、図14では実験データ(ドット)は省略している。図2、図3を左側にシフトすると共に時間を充分に大きくした図が図13、図14であり、横軸t=0でのy軸交点y=y0(c1−|a1|)、(c2−|a2|)は、プローブの径を示す。即ち、プローブの径y0を凍結初期値とした。ここで時間を充分に大きくとは、凍結サイズがそれ以上進行できない程の凍結限界以上の時間軸をとったことを指す。
図13、図14の最小自乗法に基づく近似関数例は次式となる。
〔数4〕y=a exp(bt)+c
ここで、a、b、cは肺や肝臓などの臓器の部位の種類(組織)や状態やサイズ、使用する凍結ガス等で定まる凍結温度、並びにプローブの径によってほぼ定まる値であり、a<0、b<0、c>0である。
即ち、係数A、B、a、b、cは、病巣部位の種類や状態、並びに凍結温度が定まると、プローブの径の大きさによって一義的に定まるものと考えられる。
数3と数4との違いは以下となる。
(1)数4は、凍結限界サイズを考慮した式である。凍結限界サイズとは、プローブを病巣に穿刺したときにその周囲に発生する最大凍結領域サイズである。病巣臓器が特定されたときに、凍結限界サイズを決めるのはプローブの径となる。径が大きくなればそのサイズも大きくなり、小さくなればそのサイズも小さくなる。
数4で、t=∞としたときのyの値はy=cとなる。かかる数値cが凍結限界サイズとなる。実際上は、t=∞ではなく、3分とか7分とかの有限で短い時間幅でyはほぼ飽和して凍結限界サイズc(図13のc1、図14のc2)に達する。それ故に、長時間の凍結時間幅は不要である。
数4で、t=0でのyの値c+aはプローブの径を示す。a<0である故に、c−|a|がプローブ径となる。
(2)数3は、数式上、t=∞でy=∞となり、飽和しない。従って、飽和するような時間幅の凍結時間には採用できない。逆に、凍結が飽和しない、凍結時間の決定に利用する。
次に、数3と数4とのそれぞれの意義及び利用法を説明する。
(1)数3は、凍結限界サイズに達しない凍結サイズへの、凍結時間の決定に利用できるとの意義がある。その利用例は後述する。
(2)数4は、凍結限界サイズに近いサイズの凍結を行うときに利用できるとの意義がある。具体的には以下の如き考え方となる。
i.適正な治療を可能にできるとの意義がある。治療サイズは、凍結限界サイズに対応させればよく、治療病巣周辺の正常な組織を損傷させることなく、病巣のみの適正な治療が可能になる。更に、凍結限界サイズへは3分とか5分とかでほぼその飽和になる故に、長時間の凍結時間が不要となり、迅速な治療が可能になる。
ii.適正な凍結プローブ径の凍結プローブを選択できるとの意義がある。凍結限界サイズを基本的に決めるのは、凍結プローブの径である。従って、治療サイズが定まれば、それに合致した径の凍結プローブを選択でき、より適切な治療を可能にできる。例えば、プローブの径サイズは、1mm、2mm、3mm、・・とか種々である。例えば、上記各径サイズの凍結限界サイズをc1、c2、c3・・・とすれば、病巣治療サイズがc1であれば1mm、c2であれば2mmのプローブを選ぶ。また、正確に一致しない場合もある。例えばc1とc2との中間のサイズであればc1即ち1mmサイズを一部領域を重複させながら2回にわけて使うとかのやり方をとればよい。
iii.凍結限界サイズ以下で凍結サイズを押えたい事例もある。
その時に凍結限界サイズが一応の目安となり、それ以下の凍結サイズになるように凍結時間(期間)を選べばよい。
iv.凍結時間tの決定法を述べる。
凍結限界サイズcに近いサイズまで凍結させるときには、値cに略達する(即ち曲線上の飽和状態に達する)ような時間幅を選ぶ。凍結限界サイズcに近くないサイズに設定するときには、図3と同様に数4を解くやり方もある。
数3で病巣サイズは目標凍結サイズy0でもある故に、A、B、y=y0が固定値となり、数3を解くことで時間tが求まる。一方、数4で凍結限界サイズcまで凍結させるときには飽和に達するような実益的な時間を求めておく。この求めた時間tが凍結時間幅T1に相当する。この関係を模擬的に示すと、図4の如くなる。δmaxが数4の最大限界凍結サイズcであり、曲線的には飽和状態の値である。解凍時間T2も同様な考え方で求めておく。
尚、図2、図3、図13、図14の実験データは、凍結ガスの種類、凍結ガスの送出速度、プローブの径によっても異なる。従って、凍結ガスの種類、及びその送出速度、プローブの径、臓器部位によって、種々のA、Bを求めておき、これを計算機59のメモリに格納しておき、治療時に、対応する該当値A、Bを読み出し、且つ病巣サイズyを入力し、数3により時間幅tを求める。
0〜t1…第1回凍結区間
t1〜t2…第1回解凍区間
t2〜t3…第2回凍結区間
t3〜t4…第2回解凍区間
t4〜t5…第3回凍結区間
t5〜t6…第3回解凍区間
0〜t2が第1回サイクル、 t2〜t4が第2回サイクル、t4〜t6が第3回サイクルとなる。図ではサイクル幅を、第1回>第2回>第3回とした。これは、第1回の凍結・解凍にて凍結効果が発揮され、第2回、第3回ではそれ以下のエネルギーで凍結効果が継続できるためである。勿論、同一時間幅の例もある。
解凍は、数3を利用する例にあっては、数3の逆の関係であって、例えば数5の如き関係式となる。
〔数5〕 Z=C−Dln(t)
この解凍数式にあっても、C、DがA、Bの如く事前に求めた値(通常はC=B、D=A)、Zが解凍サイズ(これは凍結サイズでもある)であり、数5を解くことで、時間t、即ち前述のT2が求まる。また解凍ガスの流入速度によってもC、Dが変化する故に、こうした種々のパラメータ(病巣部位、流入速度、解凍ガスの種類)に基づくC、Dを定め、メモリに格納しておく。治療シーケンスの決定時に、読み出して解凍サイズに応じて、解凍時間幅を定める。
サイクル数nは、患者の負担なく治療効果を達成するように選ぶ。患者の負担とは治療時間が長くかかることであり、治療効果とは病巣治療部位を壊死できることである。n=1以上の数値の中で、n=2〜5が実用的な値であった。n=1に比べて治療時間は長くなるが、壊死効果を充分に発揮できた。これは本件出願の発明者岩田完成等の実験によって確認できた。以下n=2の事例で説明する。
第1回の凍結は、病巣治療部位が生体組織(これは、腫瘍や通常細胞を問わず、また肺であれば気室を取り囲む細胞の集まりとしての生体組織)を対象とし、第2回の凍結は、第1回の解凍結果に対しての処置である。生体組織への凍結を行う第1回凍結では、凍結本体(氷塊)とその周囲の外側の準凍結状態部とが出現する。この準凍結状態部は本体に比して大きな拡大領域である。準凍結状態部の外側は正常な生体状態にある。
かかる凍結に対して解凍を行うと、凍結本体が液状化し、併せて準凍結状態部もそれに準じて液状化する。こうした液状化した所では同時に出血を伴う。
第2回の凍結では、液状化の強い凍結本体が迅速に凍結すると共に、液状化の弱い準凍結状態部も順次凍結する。即ち、第1回の凍結は、凍結本体が主たる凍結であったが、第2回の凍結ではその周囲の拡大された準凍結状態部をも凍結する。かくして、準凍結状態部を含めて生体組織の壊死が行われる。凍結完了後に解凍を行う。
第2回目では、準凍結状態を無視し第1回目と同じ係数の凍結関数を使用することもある。しかし、準凍結状態を考慮する場合には、凍結本体と準凍結状態とへの凍結を考慮して係数を設定しておく。この場合、数3を利用する事例による、治療計画にあっては、n=2とした場合、係数A、B、C、Dを各サイクルに応じて定めるものとし、病巣治療部位も、第1サイクルでの拡大した準凍結状態のサイズと設定することが好ましい。
勿論、n=1の事例でも壊死効果の発揮する事例がある。また、n=3〜5は、第3〜5サイクルが更なる壊死効果を発揮させる事例である。
図15は、凍結本体とその周囲の準凍結状態との説明図である。この図は、3サイクルの事例での、凍結中心からの同心円上の各部位位置dでの温度TMと時間tとの実験確認例図である。各部位位置dとは、d1<d2<d3<d4なる関係の4つの同心円上の径を示し、例えばd1=4mm、d2=6mm、d3=8mm、d4=10mmである。かかる4つの同心円上の各点での温度TMを3サイクルの行程で実測して示したのが図15である。例えば、温度TM1=20℃、TM2=40℃、−TM1=−20℃、−TM2=−40℃、−TM3=−60℃、−TM4=−80℃としたが、径及び温度はあくまで一例である。
図15からわかる点を列挙する。
(1)0℃より若干低い温度−TM0を永結温度とみたこと。
(2)第1サイクルに比べて、第2サイクルの区間は長いこと。
(3)小さい径d1ほど迅速に凍結し、第1サイクルで温度−TM2に達する。大きい径d4ほど凍結は遅れ、第1サイクルでは凍結せず、第2サイクルで初めて凍結する。第3サイクルでは更に凍結温度が低くなる。径d2、d3はその中間的な動きをしている。
(4)かくして、図15から凍結中心に近い程、凍結は迅速に進み、遠い程凍結に時間のかかることがわかる。第1サイクルで凍結する部位が前述した凍結本体であり、その周囲に存在する未凍結部位が準凍結状態となる。尚、第1サイクルに比べて第2サイクルでの凍結塊は大きく、場合によっては2倍以上になることもある。
(5)尚、治療部位は基本的には、通常、患者の体温(36℃とか種々)維持されているが、動脈に近い部位では比較的高いとか、身体の部位によって種々通常温度が異なる。従って、こうした部位に応じて凍結及び解凍状態が変り、それ故に、凍結関数、解凍関数の各係数も種々の値をとる。
(1)治療シーケンス(凍結・解凍シーケンス)を含む治療計画データの生成。
図6が数3を利用しての治療計画データの生成フローを示す。フローF1では、肺や肝臓などの臓器、プローブの径、ガスの種類等対応に、数3の方程式、及び定数A、B(C、Dも含む)を求めて、これを計算機59のメモリに格納する。フローF2では、患者の診断データ(病巣臓器、病巣位置、病巣サイズ、病巣の種別等)を入力する。
フローF3では、使用する凍結ガス、解凍ガスの種類、各入力流量、プローブの口径等の治療用の各機械系の物理的データを入力する。フローF4では、フローF2、F3のデータを用いてメモリからA、B、方程式などを読出し、治療シーケンスを含む治療計画データを生成する。この治療シーケンスとは、狭義には、凍結・解凍を1サイクルとする凍結・解凍シーケンスであり、そのサイクル回数n、凍結時間幅T1、解凍時間幅T2 より成り、T1とT2とは数3、数5により求める。回数nは、経験値、又はT1、T2 に関連して定める。広義には、凍結・解凍シーケンスの前後の治療工程を含む。例えば、凍結・解凍シーケンスに入る前の、各種の監視機器(ディスプレイ、心電計、X線装置等)の初期化や取付などの各作業を含む。
他の治療計画データとしては、治療開始から終了までの治療手順データ、治療での注意事項データ(例えば近くに他の臓器があるとか)、その一部である凍結・解凍のためのガス供給系(51〜56)と排気系(57)との操作手順データを含む。
(2)治療の実行
上記生成した治療計画データをもとに、治療を実行する。治療全体の流れは省略するが、本発明に係わるものは凍結・解凍シーケンスの実行である。
計算機59からの凍結・解凍シーケンスへの移行に従って、制御部58を介して、凍結であれば51→53→55→56→60(その中の1つ又は2つ以上)の凍結ガスの流入を行って凍結治療をする。解凍であれば制御部58を介して、52→54→55→56→60(1つ又は2つ以上)の解凍ガスの流入を行って解凍を行う。
治療の実行に際しての各種のやり方を示す。
(1)プローブにマニプレータをつけておき、ほぼ完全自動化で行うやり方がある。
(2)プローブにマニプレータをつけておき、画面に治療シーケンスによって表示される手順に従って、術者がマニプレータを介してプローブの操作、ガス流入・流出の制御を行う。このやり方は、治療シーケンスは治療作業のために必要な操作データを画面に表示させるだけであり、術者がその操作データに従って治療を行うことになる。
(3)上記(1)と(2)との中間的なやり方、即ち、一部自動化、一部手動化のやり方もある。
(4)数4による事例を説明する。
数4による事例では、治療部位が定まり、治療サイズが定まると、その治療サイズに相当する凍結限界サイズのプローブを選ぶ。勿論、使用するガスの種類も定まることが前提となる。凍結サイクルに関しては、治療効果を加味して設定する。その他は、数3と同様である。
液化ガス、例えば液体窒素ガス(例えば−195℃)を流入させて凍結を行う凍結治療装置では、解凍時に凍結用の液化ガスがプローブ内に残ることがある。この状態で解凍ガス(液体含む)を流入すると一気に気化し爆発する恐れがあるため、液化ガスを流入させての凍結治療装置の実現は難しかった。そこで、こうした問題を解決する実施例を以下に示す。この実施例は凍結期間に、液化ガスをバージするパージ期間を付加させると共に、パージには当該液化ガスの気化ガスを使用するとしたものである。
以下、かかる観点の実施例を説明する。
図7に示す凍結治療装置は、凍結治療器具を構成するプローブ1と、治療時プローブ1に凍結ガスと解凍ガスを交互に供給するガス切り換え手段2及びガス切り換え手段2や、複数の開閉弁3、4、5を制御する制御手段6とからなるガス切り換え制御手段7と、ガス切り換え制御手段7に接続された凍結ガス供給源となる凍結ガス貯蔵手段8と、凍結ガス貯蔵手段8内を所定圧に加圧する加圧手段9と、ガス切り換え制御手段7の第1切り換え弁3に接続された解凍ガス供給手段10とから構成されており、ガス切り換え制御手段7とプローブ1の間は、可撓性を有するガス給排気管11により接続されている。
この凍結治療装置は機械系であり、図示していないが図1で示したコンピュータ等の制御部58により制御されるようになっている。
また制御は作業者(術者)の指示に従って、画面を通じての対話式のマンマシン方式の制御によって実現可能であり、制御の主要なものは治療処理である凍結・解凍シーケンスであり後述する。
プローブ本体1aは、外径が例えば2mm〜3mmのステンレス管により形成されていて、プローブ本体1a内には、先端側に気化チャンバ1cが設けられており、この気化チャンバ1cの中心部に、液化凍結ガスを気化させる気化手段1dが設けられている。
気化手段1dは、例えば外径が0.6mm程度のステンレス細管の周面に、液化凍結ガスをチャンバ1c内に噴出する多数の小孔が穿設された多孔管により形成されていて、プローブ本体1aの軸線と平行するようチャンバ1cの中心部に設けられており、一端側はプローブ本体1aの穿刺部1bに達していると共に、他端側はプローブ本体1aの基端側に設けられたガス往路1eの一端側に接続されている。
ガス給排気管11は、プローブ1を患部へ穿刺する作業の妨げとならないように、チューブのような軟質の可撓管よりなる内管11cと外管11dとより図9に示すような2重管構造となっている。
そして内管11cの内部がガス往路11aに、内管11cと外管11dの管がガス復路1bとなっており、ガス給排気管6の他端側は、ガス切り換え制御手段7に設けられたガス切り換え手段2に接続されている。
第1、第2、第3開閉弁3、4、5及びガス切り換え手段2は、予め制御手段6にプログラムされた開閉動作タイミングにより開閉制御されるようになっており、ガス切り換え制御手段7の第1切り換え弁3には、例えばヘリウムガスのような解凍ガスを供給する解凍ガス供給手段10が解凍ガス供給管12を介して接続されている。
凍結ガス貯蔵手段8は、図8に示すように箱状のケース8a内に凍結ガス(例えばCO2液化ガス)を貯蔵する密閉構造の貯蔵タンク8bが収容されており、ケース8aと貯蔵タンク8bの間には断熱材8cが充填されていて、貯蔵タンク8b内が常に所定温度に維持されている。
貯蔵タンク8b内には、液化された凍結ガスが下部側に全容量のほぼ1/2程度充填されており、貯蔵タンク8bの上部側には、気化した凍結ガスが全容量のほぼ1/2程度溜められている。
貯蔵タンク8bの上部には、凍結ガス供給管13とパージガス供給管14が設けられている。
凍結ガス供給管13の下端側は、貯蔵タンク8bの底部付近に達して凍結ガスの液化部分に浸漬されていて、液化された解凍ガスのみが供給できるようになっており、パージガス供給管14の下端は、貯蔵タンク8bの上面に開口された開口部8eに接続されていて、パージガスのみが供給できるようになっている。
加圧手段9は例えばポンプより構成されていて、貯蔵タンク8bの下部に溜まった凍結ガスを吸入する吸入管16により貯蔵タンク8bの下部と加圧手段9が接続されており、加圧手段9により所定圧に加圧された凍結ガスは、吐出管15により貯蔵タンク8bの上部に溜められたパージガス内へ吐出されるようになっている。
パージガス供給管14には、貯蔵タンク8b内の圧力が予め設定された上限圧力に達した際、貯蔵タンク8b内のパージガスが排気管17より大気へ放出されて、貯蔵タンク8b内が上限圧力より高くなるのを防止する安全弁18が設けられている。
なお図7中20は、凍結ガスや解凍ガス、パージガスを大気に排出する排気弁よりなる排気手段で、ガス切り換え手段2に接続されている。
まず凍結治療器具であるプローブ1の先端が悪性腫瘍組織に達するようにプローブ1を患者の体内へ穿刺し、プローブ1の先端部を患者の患部へ貫通させる。
次にガス切り換え制御手段7を凍結治療モードに切り換えて凍結治療を開始すると、制御手段6に予めプログラムされた動作タイミングにより第1開閉弁3が閉、第2開閉弁4が開、第3開閉弁5が閉にされた後、ガス切り換え手段2が第2開閉弁4とプローブ1を連通する方向へ切り換えられるため、加圧手段9により例えば最大で150Kg/cm2に加圧された状態で貯蔵タンク8bの上部に溜められたパージガスが、ガス給排気管11のガス往路11aを通ってプローブ1へ供給されて、パージ工程が実施される。
これによってガス給排気管11やプローブ1内に溜まっていた空気がパージされ、空気のパージ工程が終了する。
プローブ1へ供給された凍結ガスは、プローブ本体1a内のガス往路1eを通って多孔管よりなる気化手段1dに達し、気化手段1dの周面に穿設された小孔より気化チャンバ1c内へ霧状に噴出されて、気化チャンバ1c内で気化されるため、このときの気化熱により周囲の熱が奪われてプローブ1dが冷却され、患部の凍結が開始される。
その後予めプログラムされた時間が経過して凍結工程が終了すると、凍結工程から解凍工程に切り換えられるが、凍結工程から解凍工程へ移行する間に凍結ガスのパージ工程が実施される。
即ち患部の凍結工程が終了すると、制御手段6は第1開閉弁3を閉、第2開閉弁4を開、第3開閉弁5を閉にした後、ガス切り換え手段2を第2開閉弁4とプローブ1が連通するよう方向を切り換える。
さらにプローブ本体1a内のガス復路1f及びガス給排気管11のガス復路11bを通ってガス切り換え手段2に達し、ガス切り換え手段2より排気手段20を経て大気へ放出されるため、プローブ1の多孔管1d内に気化されずに残留する液化凍結ガスや、気化チャンバ1c内に残留する気化凍結ガスがパージガスとともに排気手段20より大気へ放出されるため、プローブ1内に残留する凍結ガスは全て排出される。
プローブ1内に残留する凍結ガスの排出が排出されてパージ工程が終了すると、解凍工程に移行して制御手段6により第1開閉弁3が開、第2、第3開閉弁4、5が閉にされた後、ガス切り換え手段2が第1開閉弁3とプローブ1を連通する方向へ切り換えられるため、第1開閉弁3に接続された解凍ガス供給手段10よりヘリウムのような解凍ガスがガス給排気管11のガス往路11aを通ってプローブ1へ供給され、解凍工程が実施される。
気化チャンバ1c内で気化された解凍ガスは、プローブ本体1a内のガス復路1f及びガス給排気管11のガス復路11bを通ってガス切り換え手段2に達し、ガス切り換え手段2より排気手段20を経て大気へ放出される。
凍結ガスにより患部に加えられた入熱量は、理論式により算出することができ、凍結された患部を解凍ガスにより解凍するためには、解凍ガスにより凍結時と同等の熱量を患部に加えることになるが、理論式については、ここでは省略する。
以下凍結ガスとパージガス及び解凍ガスの供給を交互に繰り返して、凍結工程と解凍工程を繰り返すことにより、患部の悪性腫瘍組織が壊死し、凍結療法による治療効果が得られるようになる。
また凍結工程と解凍工程の間にパージ工程を入れることにより、患部の凍結と解凍が短時間で効率よく行えるようになるため、治療時間の短縮と患者への負担を軽減することができる。
また用済みとなった凍結ガスや、パージガス、解凍ガスを排気手段20から大気へ排出するようにしたが、凍結ガス及びパージガスを貯蔵タンク8bへ、そして解凍ガスを解凍ガス供給手段10へ戻すようにしてもよい。
またプローブを悪性腫瘍の凍結療法に適用した例について説明したが、凍結療法が有効な疾患に使用する凍結治療装置全般に適用できるものである。
例えば以下の如きやり方をとる。
治療処理シーケンスは、凍結処理時間T1と解凍処理時間T2とを1サイクルとして、複数サイクル(2回とか5回とか)繰り返す処理である。T1=T2、T1≠T2のいずれもある。各サイクル毎に、T1とT2とが変わることもある。例えば第1サイクルでのT1、T2に比して、第2、第3サイクルはそれよりも小さくする。これは第1サイクルで凍結と解凍とが行われ、第2サイクル以降では、より少ない凍結エネルギー並びにそれに伴うより少ない解凍エネルギーでよいためである。
解凍処理時間T2は、パージ終了とともに開始し、第1開閉弁3を開にして解凍ガスがプローブ1の先端に解凍ガスが送り込まれ、解凍を実際に行う期間(実解凍期間)T21、解凍ガスをプローブ1内から外部へ強制的にパージするパージ期間T22、との合計値である。
凍結処理時間T1での凍結は、基本的には、実凍結期間T11によって定まるが、その他にパージ期間T12にあっても、凍結ガスが一気にパージしにくいため、パージ途中の残凍結ガスが影響し、これにより凍結が継続する。
(1)パージ速度や凍結ガスの総量から定まるパージ期間T12を定めておくと共に、その期間T12で成長する氷結サイズy0を経験的に又は理論的に求めておき、数2に加算するやり方。即ち、
〔数6〕 y=Aln(t)−B+y0
この式でyを治療対象の病巣サイズS0と置換してtを求める。この求めたtが期間T11である。
(2)プローブに滞留する凍結ガスの量をCとし、単位時間に送出するパージガスの量をDとし、数6に加算するやり方。即ち、y=S0として
〔数7〕 y=Aln(t)−B+(C/D)・t
から時間幅tを求めるやり方である。
(3)実際の治療では、y=S0でない例もあり、その場合は、yとS0との関係を事前に求めておき、その関係下にあるS0をyに置換して解く。また、氷結サイズyよりも大きめにS0を設定、例えばS0=ky(但し、k>1)の如くして解くやり方もある。また、実際の病巣サイズよりもS0を大きく設定して、病巣の周囲近傍での疑わしい部分を含めてS0を設定する例もある。
(4)数4の事例でも同様である。
1a プローブ本体
1c 気化チャンバ
1d 気化手段
2 ガス切り換え手段
6 制御手段
8 凍結ガス貯蔵手段
9 加圧手段
10 解凍ガス供給手段
11 ガス給排気管
100 ガス給排気系
200 制御系
300 プローブ系
Claims (15)
- 所定断面サイズの凍結プローブにより、治療部の凍結を行わせる凍結期間とその解凍を行わせる解凍期間とを1サイクルとして所定サイクル数繰り返し凍結と解凍とを行わせると共に上記凍結期間及び解凍期間を治療部位の組織と病巣治療サイズとに基づいて設定した凍結治療計画装置であって、
前記凍結プローブの径サイズとそれに基づいて定まる凍結限界サイズとから、前記凍結プローブの径の種類と病巣治療サイズとの関係をデータとして、記憶しておき、このデータを用いて使用する凍結プローブと病巣治療サイズとを決定するものとした凍結治療計画装置。 - 所定断面サイズの凍結プローブにより、治療部の凍結を行わせる凍結期間とその解凍を行わせる解凍期間とを1サイクルとして所定サイクル数繰り返し凍結と解凍とを行わせると共に上記凍結期間及び解凍期間を治療部位の組織と病巣治療サイズとに基づいて設定した凍結治療計画装置であって、
前記凍結プローブの径サイズとそれに基づいて定まる凍結限界サイズ並びに凍結限界サイズに近づく時間幅との関係をデータとして記憶しておき、このデータを用いて使用する凍結プローブと病巣治療サイズと凍結時間とを決定するものとした凍結治療計画装置。 - 所定断面サイズの凍結プローブにより、治療部の凍結を行わせる凍結期間とその解凍を行わせる解凍期間とを1サイクルとして所定サイクル数繰り返し凍結と解凍とを行わせると共に上記凍結期間及び解凍期間を治療部位の組織と病巣治療サイズとに基づいて設定した凍結治療計画装置であって、
前記凍結プローブの径サイズとそれに基づいて定まる凍結限界サイズ並びに凍結限界サイズに近づく時間幅との関係をデータとして記憶しておき、このデータを用いて使用する凍結プローブと病巣治療サイズと凍結時間と解凍期間と及び又はその凍結と解凍との繰り返しサイクルを決定するものとした凍結治療計画装置。 - 上記関係は、yを凍結サイズ、cを凍結限界サイズとするとき、凍結プローブの径によって定まる方程式、
y=a exp(bt)+c
但し、expは指数関数、係数のa、b、cは治療部位とプローブの径によって定まる係数であってa<0、b<0、c>0であってcが凍結限界サイズとする、
によって律せられるものとした請求項3記載の凍結治療計画装置。 - 所定断面サイズの凍結プローブにより、治療部の凍結を行わせる凍結期間とその解凍を行わせる解凍期間とを1サイクルとして所定サイクル数繰り返し凍結と解凍とを行わせると共に上記凍結期間及び解凍期間を治療部位の組織と病巣治療サイズとに基づいて設定した凍結治療装置であって、
前記凍結プローブと、
凍結期間中、この凍結プローブへ治療部位の凍結用の凍結ガスを送り、解凍期間中その解凍用の解凍ガスを送るガス制御手段と、
前記凍結プローブの径サイズとそれに基づいて定まる凍結限界サイズ並びに凍結限界サイズに近づく時間幅との関係をデータとして記憶しておき、このデータを用いて使用する凍結プローブと病巣治療サイズと凍結時間T1と解凍時間T2と、を設定する設定手段と、
この設定された凍結時間T1で凍結を行わせるべく、且つ解凍時間T2で解凍を行わせるべく、上記ガス制御手段へ制御指令を与える指令手段と、を備えた凍結治療装置。 - 上記関係は、yを凍結サイズ、cを凍結限界サイズとするとき、凍結プローブの径によって定まる方程式、
y=a exp(bt)+c
但し、expは指数関数、係数a、b、cは治療部位とプローブの径によって定まる係数であってa<0、b<0、c>0であってcが凍結限界サイズとする、
によって律せられるものとした請求項5記載の凍結治療装置。 - 所定断面サイズの凍結プローブにより、治療部の凍結を行わせる凍結期間とその解凍を行わせる解凍期間とを1サイクルとして所定サイクル数繰り返し凍結と解凍とを行わせると共に上記凍結期間及び解凍期間を治療部位の組織と病巣治療サイズとに基づいて設定した凍結治療計画装置であって、
前記凍結プローブにより治療部位の凍結を行わせる凍結期間T1とその解凍とを行わせる解凍期間T2とを求め、
凍結ガスにより凍結プローブ周囲の治療部位の凍結を行わせる凍結期間T1は、A、Bを治療部位の組織によって定まる定数、yを病巣治療サイズとしたとき方程式
y=Aln(t)+B(但し、lnは自然対数)
を解いて得られる時間tに基づいて設定し、解凍期間T2は、Zを解凍サイズ、C、Dを治療部位の組織によって定まる定数としたとき方程式
Z=C−Dln(t)
を解いて得られる時間tに基づいて設定するとした凍結治療計画装置。 - 上記凍結期間に凍結ガスパージ用のパージ期間とを付加するものとした請求項1〜4,7のいずれかに記載の凍結治療計画装置。
- 上記凍結期間に凍結ガスパージ用のパージ期間とを付加するものとした請求項5または6に記載の凍結治療装置。
- 所定断面サイズの凍結プローブにより、治療部の凍結を行わせる凍結期間とその解凍を行わせる解凍期間とを1サイクルとして所定サイクル数繰り返し凍結と解凍とを行わせると共に上記凍結期間及び解凍期間を治療部位の組織と病巣治療サイズとに基づいて設定した凍結治療装置であって、
前記凍結プローブと、凍結期間中、この凍結プローブへ治療部位の凍結用の凍結ガスを送り、解凍期間中その解凍用の解凍ガスを送るガス制御手段と、
治療部位の組織によって定まる定数A、B、病巣治療サイズyをもとに、方程式
y=Aln(t)+B(lnは自然対数)
を解いて得られる時間tに基づいて定めた凍結期間T1と、解凍サイズZ、治療部位の組織によって定まる定数C、Dをもとに、方程式
Z=C−Dln(t)(lnは自然対数)
を解いて得られる時間tに基づいて定めた解凍期間T2と、を設定する設定手段と、
この設定された凍結期間T1で凍結を行わせるべく、且つ解凍期間T2で解凍を行わせるべく、上記ガス制御手段へ制御指令を与える指令手段と、を備えた凍結治療装置。 - 上記設定手段は、更に、凍結期間と解凍期間とを1サイクルとしての繰り返しサイクル数を設定するものとし、上記指令手段は、このサイクルに合わせて、上記ガス制御手段に凍結と解凍のための制御指令を与えるものとした請求項5、6、10のいずれかに記載の凍結治療装置。
- 上記設定手段は、上記凍結期間に液体凍結ガスを使用した場合での液体凍結ガスパージ用のパージ期間を付加するものとし、上記指令手段は、この期間に合わせて凍結と解凍とパージのための制御指令を与えるものとした請求項5、6、10のいずれかに記載の凍結治療装置。
- 上記パージ期間でのパージガスは、上記液体凍結ガス源内で発生する気化ガスを用いるものとした請求項12の凍結治療装置。
- 上記ガス制御手段は、ガス排気のための負圧系を有するものとした請求項5、6、10〜13のいずれかに記載の凍結治療装置。
- 上記負圧系に、負圧監視センサを設け、このセンサが負圧から正圧を検出したとき、ガス制御手段を停止せしめる請求項14記載の凍結治療装置。
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