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JP5220866B2 - 半導体圧力センサ - Google Patents

半導体圧力センサ Download PDF

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JP5220866B2
JP5220866B2 JP2010537732A JP2010537732A JP5220866B2 JP 5220866 B2 JP5220866 B2 JP 5220866B2 JP 2010537732 A JP2010537732 A JP 2010537732A JP 2010537732 A JP2010537732 A JP 2010537732A JP 5220866 B2 JP5220866 B2 JP 5220866B2
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Description

本発明は、気圧等の圧力を測定する半導体圧力センサに関する。
従来、自動車のタイヤ空気圧などを測定する半導体圧力センサとして、ダイヤフラム型の半導体圧力センサが知られている。このダイヤフラム型は一般に、圧力検出用のダイヤフラム及びキャビティを表裏面に形成した半導体基板と、キャビティを閉じるようにして該半導体基板に接合したベース基板とを備え、キャビティが半導体基板の表面を垂直に削って形成された断面矩形状をなしている。ダイヤフラムの各辺上には複数のピエゾ抵抗(圧力感応抵抗)が配置されており、この複数のピエゾ抵抗からなるブリッジ回路の中点電位が圧力測定電圧として出力される。例えば、半導体基板のダイヤフラム側から圧力が加えられると、ダイヤフラムが歪み、この歪み度合に応じてピエゾ抵抗の抵抗値が変化し、ブリッジ回路の中点電位が変化することから、中点電位変化に基づいて圧力を測定できる。
このような半導体圧力センサでは、半導体基板のダイヤフラム側の面がピエゾ抵抗への回路配線部や電極パッド等を含む回路面となり、この回路面を絶縁保護する保護膜のダイヤフラム上の厚みを小さくすることで素子感度を調整できることが知られている。特許文献1には、保護膜としての表面酸化膜7の厚みをゲージ抵抗5上で小さくした構成が記載されている。
特開2000−356560号公報
しかしながら、保護膜の厚みを調整しようとして保護膜全体をミリングやエッチング等により全面的に削ると、耐圧特性及び温度特性が劣化してしまうことが判明した。また、保護膜が全面的に削られると、回路面に形成した電極パッドが削られて薄くなることから接続不良が生じたり、電極パッド周囲の保護膜が薄くなりすぎて信頼性が低下したりするおそれもある。
本発明は、耐圧特性及び温度特性に優れ、センサ感度を向上可能な半導体圧力センサを得ることを目的とする。
本発明は、保護膜のダイヤフラム上の厚みを小さくする凹部を該保護膜に設け、平面的に見てこの凹部による段差(凹部エッジ)をダイヤフラムエッジより外側に、より望ましくはピエゾ抵抗より外側に位置させれば、センサ感度の向上が図れるだけでなく、均一膜厚の保護膜を備える場合よりも耐圧及び温度特性が向上することを見出して、完成されたものである。
すなわち、本発明は、シリコン基板の表裏面の一方に設けたキャビティによってダイヤフラムを形成し、ダイヤフラムエッジに複数のピエゾ抵抗を配置した半導体圧力センサであって、シリコン基板のダイヤフラム側の表面全体を覆う保護膜を有すること、この保護膜に、前記ダイヤフラムの平面形状より大面積であって、かつその全エッジが前記ダイヤフラムエッジの平面エッジより平面的に見て外側に位置する凹部を形成したこと、及び上記凹部は、ダイヤフラム側の表面全体を覆う上記保護膜の厚さを部分的に薄くすることによって形成されていること、を特徴としている。
上記凹部のエッジは、より望ましくは、平面的に見て複数のピエゾ抵抗より外側に位置させるのがよい。
凹部の平面形状は、ダイヤフラムの平面形状と相似形とすることができる。あるいは、シリコン基板に形成されたピエゾ抵抗用のボンディングパッドに重複する位置を除いて形成されていてもよい。
また本発明は、保護膜のダイヤフラム上の厚みを小さくする凹部を該保護膜に設ける構造の半導体圧力センサにおいて、ダイヤフラム上に残す保護膜がSiO2で構成されていればセンサ感度が飛躍的に向上することを見出した。
ダイヤフラム上に残す保護膜をSiO2とするには、具体的には、保護膜を、例えばピエゾ抵抗を覆うSiO2膜と、該SiO2膜上に配置したピエゾ抵抗の回路配線部を覆うSiN膜とにより形成し、SiN膜を除去しSiO2膜を露出させる深さで凹部を形成することができる。別の態様では、ピエゾ抵抗を覆う第1のSiO2膜と、該第1のSiO2膜上に配置したピエゾ抵抗の回路配線部を覆う第2のSiO2膜と、該第2のSiO2膜を覆うSiN膜とにより保護膜を形成し、SiN膜を除去し第2のSiO2膜を露出させる深さで凹部を形成することもできる。さらに別の態様では、ピエゾ抵抗を覆う第1のSiO2膜と、該第1のSiO2膜上に配置したピエゾ抵抗の回路配線部を覆う第2のSiO2膜とにより保護膜を形成し、この第2のSiO2膜に凹部を形成する態様も可能である。
本発明の半導体圧力センサによれば、保護膜に形成した凹部によってダイヤフラム上の保護膜の厚みが小さくなり、また、該凹部によって生じる段差が平面的に見て少なくともダイヤフラムエッジの外側に位置するので、センサ感度が向上するだけでなく、優れた耐圧特性及び温度特性が得られる。また本発明の半導体圧力センサは、ダイヤフラム上の保護膜をSiO2から構成することにより、ダイヤフラム上の保護膜がSiNを含む場合よりも大幅にセンサ感度が向上する。
本発明を適用した半導体圧力センサの実施形態の要部を示す平面図である。 同実施形態の主要部を図1の切断線II−IIに沿って示す断面図である。 ダイヤフラムエッジから凹部エッジまでの距離を異ならせて凹部を形成した複数の半導体圧力センサの耐圧特性を示すグラフである。 ダイヤフラムエッジから凹部エッジまでの距離を異ならせて凹部を形成した複数の半導体圧力センサの温度特性を示すグラフである。 凹部の変形例を示す平面図である。 第2実施形態による半導体圧力センサの主要部を示す断面図である。 半導体圧力センサの感度変化量とダイヤフラム上の保護膜のミリング量の関係を示すグラフである。 第3実施形態による半導体圧力センサの主要部を示す断面図である。 第4実施形態による半導体圧力センサの主要部を示す断面図である。
図1及び図2は、本発明を適用した半導体圧力センサ1の主要部を示す平面図及び断面図である。半導体圧力センサ1は、ダイヤフラム型の絶対圧センサであって、圧力検出用のダイヤフラム21とキャビティ20を表裏面に有する半導体基板10と、この半導体基板10のキャビティ20側の面に、該キャビティ20内を真空状態で密閉するようにして接合されたベース基板31とを備えている。
半導体基板10は、シリコン酸化膜(SiO2)13を介して第1シリコン基板11と第2シリコン基板12を貼り合わせてなるSOI(シリコン・オン・インシュレータ)基板である。第1シリコン基板11の回路面(図1の上面)には、ブリッジ回路を構成する複数のピエゾ抵抗22が埋設形成されている。複数のピエゾ抵抗22の周囲はシリコン酸化膜(不図示)で埋められており、該シリコン酸化膜上に、各ピエゾ抵抗22に接続する回路配線部23及びボンディングパッド24が形成されている。この回路面は、シリコンナイトライドSi3N4などからなるパッシベーション膜15(保護膜)で全面的に覆われ、該パッシベーション膜15を介してピエゾ抵抗22、回路配線部23及び第1シリコン基板11の絶縁性が確保されている。ボンディングパッド24は、パッシベーション膜15から露出している。
この半導体基板10には、第2シリコン基板12とシリコン酸化膜13の一部を第2シリコン基板12側から除去することによってキャビティ(凹部)20が形成され、このキャビティ20の上面を構成するシリコン酸化膜13及び第1シリコン基板11によってダイヤフラム21が形成されている。
本実施形態のダイヤフラム21は平面視矩形(正方形)であり、その矩形の輪郭をダイヤフラムエッジ21aとして図1に破線で示した。本明細書において、ダイヤフラムエッジ21aは、キャビティ20の輪郭を示すキャビティエッジと実質的に同意である。ピエゾ抵抗22は、ダイヤフラムエッジ21aの各辺にかかるように形成されており、全体がキャビティ20の上方に位置してある。ダイヤフラム21(ダイヤフラムエッジ21a)の外周領域は、圧力変化によって変形しない固定領域25になっている。
ダイヤフラム21が外面に付加される圧力に応じて歪むと、その歪みに応じてピエゾ抵抗22の抵抗値が変化し、このピエゾ抵抗22によって構成されたブリッジ回路の中点電位が変化する。このようにピエゾ抵抗22の抵抗値の変化によって変動する中点電位が、センサ出力として公知の測定装置に出力される。
上記構成の半導体圧力センサ1において、パッシベーション膜15には、ダイヤフラム21上のパッシベーション膜15の厚みを小さくする凹部41が形成されている。パッシベーション膜15のダイヤフラム21上の厚みを小さくすることで、ピエゾ抵抗22の感度を高めることができる。図1において、凹部41はハッチングを付して示した。この凹部41の平面形状は、ダイヤフラム21と相似形で該ダイヤフラム21よりも大面積の正方形であって、そのエッジ(内周面)41aのすべてが平面的に見てピエゾ抵抗22よりもさらに外側に位置する寸法である。すなわち、凹部エッジ41aは、ダイヤフラムエッジ21a及びピエゾ抵抗22よりも外側に位置し、パッシベーション膜15は、その断面においてダイヤフラムエッジ21aよりも外側で段差を有する形状となっている。
凹部41は、パッシベーション膜15に、凹部41となる部分を囲むようにその外周部分をマスキングしてミリングまたはエッチングすることにより形成できる。
本実施形態は、ダイヤフラムエッジ21aの各辺を700μmとし、凹部41の各辺を740μmとしたもので、ダイヤフラムエッジ21aから凹部エッジ41aまでの距離は20μmである。また、パッシベーション膜15の厚さは、例えば、凹部41では0.3〜1.1μm、固定領域25では0.7〜1.5μmである。
図3は、ダイヤフラムエッジ21aから凹部エッジ41aまでの距離を異ならせて凹部41を形成した複数の半導体圧力センサについて、それぞれの耐圧を測定した結果を示している。測定に用いた半導体圧力センサは、ダイヤフラムエッジ21aの各辺が700μmである。
図3において、プロット◆は凹部深さ0.0mm(凹部なし)、プロット■は凹部深さ0.1μm、プロット▲は凹部深さ0.3μmを示している。また図3において、ダイヤフラムエッジ21aからの距離[μm]は、ダイヤフラム内側を正、ダイヤフラム外側を負で示した。ピエゾ抵抗22の端部位置はダイヤフラムエッジ21aからの距離0μmである。図3の右端のプロットは凹部加工前の状態を示し、図3の左端のプロットはパッシベーション膜15の全面を均等に削った状態を示している。
図3から明らかなように、凹部エッジ41aをダイヤフラムエッジ21aより外側に位置させると、その耐圧は7.0MPaを超え、外側に位置するほど、凹部加工前の状態及び凹部エッジ41aをダイヤフラムエッジ21aの内側に位置させた場合よりも高くなる。凹部加工前の耐圧は6.2〜6.4MPaであるから、10%以上も上昇している。この傾向は、凹部深さが0.1μmの場合も0.3μmの場合も同様である。また、パッシベーション膜15の全面が均等に削られた状態でも、ダイヤフラムエッジ21aからの距離−20μmとした場合と同程度の耐圧が得られている。一方、凹部エッジ41aをダイヤフラムエッジ21aより内側に位置させると、凹部深さ0.1μmの場合には凹部加工前と同等の耐圧が得られるが、凹部深さ0.3μmの場合は凹部加工前よりも耐圧が低くなる。特に、ピエゾ抵抗22と重複する、キャビティエッジ21aからの距離が約0〜+15μmの範囲では耐圧低下が大きい。
凹部エッジ41aがダイヤフラムエッジ21aより内側に位置していると、凹部エッジ41aの段差に応力が集中しやすく、ダイヤフラム21のたわみ応力に耐え切れず破壊されてしまうおそれがある。これに対し、本実施形態のように凹部エッジ41aがダイヤフラムエッジ21aより外側に位置していると、ダイヤフラム21のたわみ応力の影響が小さくなり、ゆえに耐圧が向上する。
図4は、ダイヤフラムエッジ21aから凹部エッジ41aまでの距離を異ならせて凹部41を形成した複数の半導体圧力センサについて、それぞれの温度特性を測定した結果を示している。この測定は、温度を−10、25、70℃と変化させて、高圧状態での出力値H-10℃、H25℃、H70℃と、低圧状態での出力値L-10℃、L25℃、L70℃を取得したものである。図4は高圧状態でのグラフであり、横軸を温度とし、縦軸を各温度での出力値と25℃での出力値の差分をスパン電圧(H25℃−L25℃)で割算したオフセット温度特性[%FS]をプロットしたものである。測定に用いた半導体圧力センサは、ダイヤフラムエッジ21aの各辺が700μmである。
図4において、プロット▲は、凹部エッジ41aをダイヤフラムエッジ21aから外側10μmに位置させた実施例(凹部41の各辺720μm)を示している。プロット◆は凹部加工前の状態である第1比較例(パッシベーション膜1.2μm)、プロット■はパッシベーション膜15の全面を均等に削った第2比較例(パッシベーション膜0.9μm)、プロット×は凹部エッジ41aをダイヤフラムエッジ21aと一致させた第3比較例(凹部41の各辺700μm)をそれぞれ示している。また、プロット◇は凹部エッジ41aをダイヤフラムエッジ21aから内側に20μm位置させた第4比較例(凹部41の各辺660μm)、プロット□は凹部エッジ41aをダイヤフラムエッジ21aから内側に50μm位置させた第5比較例(凹部41の各辺600μm)、プロット△は凹部エッジ41aをダイヤフラムエッジ21aから内側に80μm位置させた第6比較例(凹部41の各辺540μm)を示している。凹部深さは一定(0.3μm)である。
図4を見ると、パッシベーション膜15の全面を均等に削った場合(第2比較例;プロット■)、凹部エッジ41aをダイヤフラムエッジ21aより外側に位置させた場合(実施例;プロット▲)及びダイヤフラムエッジ21aと一致させた場合(第3比較例;プロット×)は、凹部加工前の状態(第1比較例;プロット◆)と同様なオフセット温度特性を有している。つまり、オフセット温度特性の変化がない。これに対し、凹部エッジ41aをダイヤフラムエッジ21aより20μm以上内側に位置させた場合(第4〜6比較例;プロット◇□△)は、凹部加工前の状態(第1比較例;プロット◆)に比べて対称性が崩れ、オフセット温度特性が変化している。凹部41がダイヤフラムエッジ21aからより大きく内側に位置するほど、オフセット温度特性の変動が大きく、その傾きもばらついている。
以上のように図3と図4によれば、パッシベーション膜15に形成した凹部41(凹部エッジ41a)がダイヤフラムエッジ21aより外側に位置することで、優れた耐圧特性及び温度特性を得られることが明らかである。
なお、パッシベーション膜15の全面を均等に削った場合は、上述のように耐圧特性及び温度特性は良好であるが、ボンディングパッド24やその周辺が削られて導通不良や信頼性低下のおそれがあるため、好ましくない。
本実施形態では、凹部41の平面形状をダイヤフラム21と相似形としたが、図5に示されるように、ボンディングパッド24を除いて形成されるようにしてもよい。また凹部41の平面形状は、実施例に限定されない。例えば、凹部41の形状は、第1シリコン基板11の結晶方位より2度程度ずらすことで、結晶方位に沿った亀裂の進行を抑制できる。
また本実施形態では、凹部エッジ41aと凹部底面41b、凹部エッジ41aとダイヤフラム21の表面は角を成しているが、丸みをつけるか、凹部エッジ41aを斜面にしてもよい。凹部底面41bは平坦としてあるが、中央に向かって徐々に深くなる、つまりダイヤフラム21の中心に向かってパッシベーション膜15が徐々に薄くなるように形成してもよい。
次に、図6〜図9を参照し、シリコン基板の回路面を覆う保護膜に凹部を形成することによって、ダイヤフラム上にSiO2からなる保護膜のみを残した第2〜第4実施形態について説明する。
図6は、第2実施形態による半導体圧力センサの主要部を図1のII−II線に対応する断面で示す断面図である。第1シリコン基板11の回路面には、基板表面全体を覆う保護膜50が形成されている。保護膜50は、該回路面に埋設形成された複数のピエゾ抵抗22を覆うSiO2膜51と、このSiO2膜51上に配置した回路配線部23を覆うSiN膜52とを有する積層膜である。この保護膜50には、ダイヤフラム21上において、SiN膜52を除去してSiO2膜51に達する深さの凹部41が形成されており、該凹部41にSiO2膜51が露出している。この凹部41の平面形状は、第1の実施形態と同じく、ダイヤフラム21と相似形で該ダイヤフラム21よりも大面積の正方形であって、そのエッジ(内周面)41aのすべてが平面的に見てピエゾ抵抗22よりもさらに外側に位置する寸法である。よって、ダイヤフラム21上にはSiO2膜51のみが存在し、ピエゾ抵抗22よりも外側の回路配線部23ではSiN膜52とSiO2膜51がその上下に存在する。この第2実施形態は、上述の第1実施形態においてダイヤフラム21上のパッシベーション膜15をすべて削って凹部41を形成したものであり、SiO2膜51が図1では不図示のシリコン酸化膜に、SiN膜52がパッシベーション膜15にそれぞれ相当している。具体的に、ダイヤフラム21上のSiO2膜51の厚さは100〜350nm程度、回路配線部23側において、SiO2膜51の厚さは400nm程度、SiN膜52の厚さは700〜1500nm程度である。
図7は、保護膜50のミリング量[nm]とセンサ感度変化量[mV]の関係を測定した結果を示している。この測定は、上述の第2実施形態の半導体圧力センサにおいて約400nmのSiO2膜51と約800nmのSiN膜52を成膜し、所定のミリング量で凹部41を形成したときの感度変化量を測定したものである。ミリング量が約800nmに達するまでは凹部41にSiN膜52が露出し(ダイヤフラム21上にSiO2膜51とSiN膜52が存在し)、約800nmを超えると凹部41にSiO2膜51が露出する(ダイヤフラム21上にSiO2膜51のみが存在する)こととなる。
周知のように、ミリング量が大きくなるほど、ダイヤフラム21上の保護膜50は薄くなり、センサ感度が向上する。図7を参照すると、凹部41にSiN膜52が露出している状態では、ミリング量と感度変化量が比例関係をとっている。しかし、ミリング量が約800nmを超えて凹部41にSiO2膜51が露出すると、図7の直線で示される比例関係を外れて、センサ感度が大幅に高くなった。ダイヤフラム21上の保護膜をSiO2のみで構成することで、SiN膜を残した状態で保護膜の厚さを薄くする場合よりも、飛躍的に感度が向上することが明らかである。
図8は、第3実施形態による半導体圧力センサの主要部を図1のII−II線に対応する断面で示す断面図である。この第3実施形態では、保護膜60を、第1シリコン基板11の回路面に埋設形成された複数のピエゾ抵抗22を覆う第1のSiO2膜61と、この第1のSiO2膜61上に配置した回路配線部23を覆う第2のSiO2膜62と、この第2のSiO2膜62を覆うSiN膜63とにより形成し、SiN膜63を除去し第2のSiO2膜62を露出させる深さで凹部41を形成した。この凹部41の平面形状は、第1、第2の実施形態と同じく、ダイヤフラム21と相似形で該ダイヤフラム21よりも大面積の正方形であって、そのエッジ(内周面)41aのすべてが平面的に見てピエゾ抵抗22よりもさらに外側に位置する寸法である。よって、ダイヤフラム21上には第1のSiO2膜61と第2のSiO2膜62が存在し、ピエゾ抵抗22よりも外側の回路配線部23ではSiN膜63及び第2のSiO2膜62と第1のSiO2膜61とがその上下に存在する。回路配線部23を覆う保護膜を第2のSiO2膜62とSiN膜63で形成することで、SiN膜63を除去する(ダイヤフラム21上の保護膜をSiO2のみとする)のに必要なミリング量が減り、製造容易となる。この実施形態においても、ダイヤフラム21上の保護膜はSiO2のみで構成されるので、第2実施形態と同様に、ダイヤフラム21上の保護膜にSiNを含む場合よりもセンサ感度を大幅に向上させることができる。具体的に、ダイヤフラム21上の保護膜60の厚さは400〜1300nm程度、回路配線部23側において、第1のSiO2膜61の厚さは400nm程度、第2のSiO2膜62の厚さは50〜1400nm程度、SiN膜63の厚さは100〜1450nm程度である。この第3実施形態では、第2実施形態と同様に、ピエゾ抵抗22を覆う第1のSiO2膜61を露出させる深さで凹部41を形成してもよい。
図9は、第4実施形態による半導体圧力センサの主要部を図1のII−II線に対応する断面で示す断面図である。この第4実施形態では、保護膜70を、第1シリコン基板11の回路面に埋設形成された複数のピエゾ抵抗22を覆う第1のSiO2膜71と、この第1のSiO2膜71上に配置した回路配線部23を覆う第2のSiO2膜72とにより形成し、この第2のSiO2膜72を削って凹部41を形成した。この凹部41の平面形状は、第1ないし第3の実施形態と同じく、ダイヤフラム21と相似形で該ダイヤフラム21よりも大面積の正方形であって、そのエッジ(内周面)41aのすべてが平面的に見てピエゾ抵抗22よりもさらに外側に位置する寸法である。このように保護膜70をSiO2のみで構成すれば、第2実施形態と同様に、ダイヤフラム21上の保護膜にSiNを含む場合よりもセンサ感度を大幅に向上させることができる。また、少ないミリング量で凹部41を形成でき、製造工程が容易になる。具体的に、ダイヤフラム21上の保護膜70の厚さは400〜1450nm程度、回路配線部23側において、第1のSiO2膜71の厚さは400nm程度、第2のSiO2膜72の厚さは700〜1500nm程度である。この第4実施形態では、第2実施形態と同様に、ピエゾ抵抗22を覆う第1のSiO2膜71を露出させる深さで凹部51を形成してもよい。
以上では、キャビティ20を真空とした絶対圧センサに本発明を適用した実施形態について説明したが、本発明は、ベース基板31に圧力導入口を形成して、キャビティ20を外部と連通させた差圧またはゲージ圧センサにも適用できる。
本願発明は、車載用の半導体圧力センサに適用することができる。
10 半導体基板(SOI基板)
11 第1シリコン基板(他方のシリコン基板)
12 シリコン酸化膜(酸化膜)
13 第2シリコン基板(一方のシリコン基板)
15 パッシベーション膜(保護膜)
20 キャビティ
21 ダイヤフラム
21a ダイヤフラムエッジ
22 ピエゾ抵抗
23 回路配線部
24 ボンディングパッド
31 ベース基板
41 凹部
41a 凹部エッジ
41b 凹部底面
50 保護膜
51 SiO2
52 SiN膜
60 保護膜
61 第1のSiO2
62 第2のSiO2
63 SiN膜
70 保護膜
71 第1のSiO2
72 第2のSiO2

Claims (8)

  1. シリコン基板の表裏面の一方に設けたキャビティによってダイヤフラムを形成し、ダイヤフラムエッジに複数のピエゾ抵抗を配置した半導体圧力センサであって、
    前記シリコン基板のダイヤフラム側の表面全体を覆う保護膜を有すること、
    この保護膜に、前記ダイヤフラムの平面形状より大面積であって、かつその全エッジが前記ダイヤフラムエッジの平面エッジより平面的に見て外側に位置する凹部を形成したこと、及び
    上記凹部は、ダイヤフラム側の表面全体を覆う上記保護膜の厚さを部分的に薄くすることによって形成されていること、を特徴とする半導体圧力センサ。
  2. 請求項1に記載の半導体圧力センサにおいて、前記凹部のエッジは、平面的に見て前記複数のピエゾ抵抗より外側に位置している半導体圧力センサ。
  3. 請求項1または2に記載の半導体圧力センサにおいて、前記凹部の平面形状は、前記ダイヤフラムの平面形状と相似形である半導体圧力センサ。
  4. 請求項1または2に記載の半導体圧力センサにおいて、前記凹部は、前記シリコン基板に形成されたピエゾ抵抗用のボンディングパッドに重複する位置を除いて形成されている半導体圧力センサ。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の半導体圧力センサにおいて、前記ダイヤフラム上に位置する保護膜がSiO2からなる半導体圧力センサ。
  6. 請求項5に記載の半導体圧力センサにおいて、前記保護膜は、前記ピエゾ抵抗を覆うSiO2膜と、該SiO2膜上に配置した前記ピエゾ抵抗の回路配線部を覆うSiN膜とを有しており、前記SiO2膜を露出させる深さで前記凹部を形成した半導体圧力センサ。
  7. 請求項5に記載の半導体圧力センサにおいて、前記保護膜は、前記ピエゾ抵抗を覆う第1のSiO2膜と、該第1のSiO2膜上に配置した前記ピエゾ抵抗の回路配線部を覆う第2のSiO2膜と、該第2のSiO2膜を覆うSiN膜とを有しており、前記第2のSiO2膜を露出させる深さで前記凹部を形成した半導体圧力センサ。
  8. 請求項5に記載の半導体圧力センサにおいて、前記保護膜は、前記ピエゾ抵抗を覆う第1のSiO2膜と、該第1のSiO2膜上に配置した前記ピエゾ抵抗の回路配線部を覆う第2のSiO2膜とを有しており、この第2のSiO2膜に前記凹部を形成した半導体圧力センサ。
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