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JP5220593B2 - Maldiレーザーの波長で光開裂可能なリンカーを備えたコンジュゲートを用いて組織切片中のターゲット分子のマップを決定する方法 - Google Patents

Maldiレーザーの波長で光開裂可能なリンカーを備えたコンジュゲートを用いて組織切片中のターゲット分子のマップを決定する方法 Download PDF

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Description

本発明は、少なくとも1種類の(A−X)−B接合体(conjugate)(式中、Aは既知分子量のタグ分子であり、Xは試料の脱離/イオン化の際に開裂するリンカーであり、nは少なくとも1の整数であり、Bは上記タグ分子に特異的に結合する結合分子である)を用いて、組織切片における少なくとも1種類のターゲット分子マップを決定する方法に関する。MALDI質量分析法を用いるときには、上記リンカー分子Xは、上記MALDIレーザーの波長で光開裂可能であるときには、試料のレーザー照射の際の光解離によって開裂することができる。あるいは、UV−MALDI、IR−MALDI、SIMSまたはDESI質量分析法を用いるときには、上記リンカー分子Xは、試料の脱離/イオン化の際に断片化によって開裂することができる。
最近、トランスクリプトームおよびプロテオームの研究により、幾つかの種類の癌等の多種多様な疾患に関与する多くのタンパク質が同定されてきた。
しかしながら、これらの結果のほとんどは精製されて抽出された核酸またはタンパク質試料について得られたものであり、病因とされるタンパク質の組織部位についての情報は生理学的過程の理解に決定的なものであるが、この種の情報を生じるものではない。利用可能なデータのほとんどのもう一つの欠点は、目的とする分子のmRNAおよびタンパク質発現を同時に分析した研究はほんの僅かに過ぎないことであるが、これは特定のタンパク質の発現パターンを明らかにする上で重要である。従って、mRNAとタンパク質発現マップとを組み合わせたデータを有することは、極めて有用なことである。
mRNAの組織発現マッピングの最新の技術は、通常はin situハイブリダイゼーション(ISH)の後に放射性、蛍光または化学発光マーカーにカップリングした核酸プローブに依存している。組織切片でのタンパク質発現マッピングについては、通常の手法としては免疫組織化学および免疫蛍光が挙げられる。
組織切片発現マッピングのこれら総ての手法の主要な欠点は、同時に分析することができるターゲッティング分子の数が、同一実験では僅かに3または4個の異なるターゲット分子しか検討することができないので、蛍光プローブまたは抗体を用いても限定されていることである。
これに反して、質量分析法では、分子量によって生体分子の複雑な混合物の同時マルチプレックス分析を行うことができる。特に、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)質量分析法は生物学的研究の分野において強力な手段となってきており、複雑な混合物由来の核酸、ペプチドおよびタンパク質の検出、同定および特性決定に用いられている。
特に、 Olejnikと共同研究者らは、光開裂可能なペプチド−DNA接合体の合成および特性決定を、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)質量分析法による固定した合成ターゲットDNAを検出するための光開裂可能な質量マーカー(PCMM)ハイブリダイゼーションプローブとしてのそれらの使用と共に報告している(Olejnik et al. Nucleic Acids Res. 1999 Dec 1;27(23):4626-31)。
WO 98/26095号には、生体分子ターゲットと特異的に相互作用するための質量標識化合物(mass−labeled compounds)の合成および使用が記載されている。WO 00/68434号には、ターゲット分子をシグナルでコード化した後コード化シグナルを解読することに基づく単一分析法で試料中の複数の検体を検出する方法が記載されている。
しかしながら、従来技術分野では、組織切片に含まれる核酸のMALDI質量分析法(MALDI−MS)による分析の方法は報告されていない。
本発明者らは、ターゲット分子に特異的に結合する残基(moiety)、既知分子量の残基(「タグ」残基)とイオン化過程中にMALDIレーザーによって直接切断される光開裂可能なリンカーとから構成される接合体を用いて、MALDI−MSによって組織切片中の生体分子、特にmRNA、を検出する新規な方法を組み立てた(図1参照)。この新規な方法により、組織切片中のmRNAの容易かつ正確な間接マッピングを行うことができ、広汎に分散した分子量のタグ残基を用いて多数の異なる生体分子を同時に分析することができる。
更に、この新規な方法を用いてmRNAの組織発現をマッピングするときには、2個の連続した組織切片でmRNAおよび対応するタンパク質発現の共通画像を得ることができる。実際に、幾つかの文献では、MALDI−MSが組織切片におけるペプチドおよびタンパク質の直接分析の有効な手段となり得ることが示されている(Caprioli, R.M.; Farmer, T.B.; Gile, J. Anal. Chem. 1997, 69, 4751-4760; Stoeckli, M.; Farmer, T.B.; Caprioli, R.M. Nat. Med. 2001, 7, 493-496; Chaurand, P.; Schwartz,. S.A.; Caprioli, R.M. Anal Chem. 2004, 87A-93A)。
最後に、本発明者らは、光開裂可能なリンカーが、試料の脱離/イオン化の際の断片化によって開裂されるリンカーに置換される場合には、このような方法は質量分析法に置き換えることも可能であることを見出した。この場合には、MALDI(UV−MALDIまたはIR−MALDI)、SIMS(二次イオン質量分析法)またはDESI (脱離エレクトロスプレーイオン化)質量分析法、好ましくはUV−MALDIのみをMALDIの代わりに用いることができる。更に、本発明者らは、選択された光開裂可能なリンカーは試料の脱離/イオン化の際の断片化によっても開裂するので、UV−MALDI分析に適する光開裂可能なリンカーとの接合体は他の質量分析法の手法と共に用いることもできる。従って、本発明者らによって組み立てられた特定の接合体は、組織切片分析に適する任意の質量分析法による手法、特にMALDI(UV− MALDIまたはIR−MALDI)、SIMS(二次イオン質量分析法)またはDESI(脱離エレクトロスプレーイオン化)質量分析法と共に用いることができる。
従って、本発明は、組織切片における少なくとも1種類のターゲット分子マップを決定する方法であって、
a) 上記組織切片を少なくとも1種類の(A−X)−B接合体
(上記式中、
Aは、既知分子量のタグ分子であり、
Xは、試料の脱離/イオン化中に開裂されるリンカーであり、
nは、少なくとも1の整数であり、
Bは、上記ターゲット分子に特異的に結合する結合分子であり、かつ
それぞれ異なるB分子が異なるAタグ分子に連結される)
とハイブリダイズさせること;
b) 組織切片表面を走査し、それぞれの隣接スポットを質量分析計で分析すること(ここで、上記リンカーXは試料のイオン化中に開裂し、それぞれのスポットで得られるデータは保存される);および
c) それぞれの異なるタグ分子の分子質量ウインドウで得られたデータを解析して、異なる検討したターゲット分子の数と同じ数の組織切片のマップを作製すること
を含んでなる、方法に関する。
本発明によれば、「組織切片」は、好ましくは下記の特性を有しており、すなわち、それを凍結またはパラフィン包埋することができ、その厚みは好ましくは哺乳類細胞直径、従って5−20μmのオーダーである。クライオスタットを用いて凍結組織から得られる凍結切片の場合には、OCT(最適切断温度ポリマー)は好ましくは組織の固定のみに用いられるが凍結組織はOCTに包埋されず、組織切片はOCTと接触しないようにする。次に、組織切片を、金属、無機または有機材料、例えば金、鋼、ガラス繊維、ガラス、ナイロン6/6、シリコン、プラスチック、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、またはニッケルまたはITOのような透明性を保つ伝導性金属でコーティングした任意の厚みのガラススライスなどの更なるMALDI分析に適する任意の材料から構成されるMALDIプレートに移すことができる。
本発明によれば、「ターゲット分子」とは、「結合分子」と呼ばれる別の分子に特異的に結合することができる目的の分子を意味する。このような直列の(タンデム)ターゲット/結合分子は、組織切片で特異的ハイブリダイゼーションを生じることができる場合には、任意の化学構造を示すことができる。多種多様なタンデムターゲット/結合分子並びにタンデム結合/ターゲット分子は、本発明の範囲に包含され、核酸/核酸、核酸/ペプチド、核酸/タンパク質、核酸/抗体、ペプチド/ペプチド、ペプチド/タンパク質、ペプチド/抗体、タンパク質/タンパク質(特に、リガンド/受容体)、タンパク質/糖質、抗原/抗体、ハプテン/抗体、有機化合物/受容体(図2のいずれかの例を参照)が挙げられる。
特に、ターゲット核酸配列は、一本鎖のターゲット核酸または二本鎖のターゲット核酸の鎖の一本に相補的である核酸配列を有する一本鎖核酸プローブを用いて特異的に検出することができる(図1参照)。ターゲットmRNA分子の場合には、mRNA配列に相補的な核酸プローブを、結合分子として用いることができる。このような核酸プローブは、好ましくは250−550、更に好ましくは300−500、350−450、最も好ましくは約400のヌクレオチド長を有する。
特定の核酸配列は、例えば転写因子、または特定のDNA配列に特異的な抗体もしくは抗体断片のようなターゲット配列に特異的に結合するタンパク質またはタンパク質断片(ペプチド)を用いて検出することができる。例えば、自己免疫抗DNA抗体を用いることができる。
ペプチドおよびタンパク質の場合には、当該技術分野で知られている総てのペプチドリガンド/ペプチド受容体のタンデム分子は、本発明の範囲に包含される。これらのペプチドリガンド/ペプチド受容体のタンデム分子としては、ペプチド抗原/抗体または抗体断片、並びに任意のホルモン/ホルモン受容体、サイトカイン/サイトカイン受容体タンデム、ケモカイン/ケモカイン受容体、アプタマー/ペプチド、アプタマー/タンパク質が挙げられる。細胞移動に関与する膜糖質およびそれらのタンパク質受容体も、本発明の範囲にある。
また、任意の種類の抗原(例えば、核酸、ハプテン、ペプチドまたはタンパク質)およびそれらの特異抗体は、本発明によるタンデムターゲット/結合および結合/ターゲット分子に包含される。特に、接合体における結合分子として抗体または抗体断片を使用することによって、MALDI−MS分析を、抗体に光開裂可能に結合したタグ分子により明らかにする手法として用いる、組織切片における新規な種類の免疫細胞化学が可能になる。
有機化合物は、本発明による方法を用いてマッピングすることもできる。特に、投与した有機薬剤のイン・ビボでの分布は、本発明による方法を用いて観察することができる。
本発明による上記方法の特定の態様では、それぞれのターゲット分子は、核酸、特にmRNA分子、ペプチド、タンパク質、特に受容体およびリガンド、抗体、抗原、ハプテン、および有機化合物から構成される群から独立して選択される。好ましい態様では、少なくとも1つのターゲット分子はmRNA分子である。もう一つの好ましい態様では、少なくとも1つのターゲット分子はペプチド、タンパク質、抗原またはハプテンから選択される。
本発明による任意の上記方法の特定の態様では、ターゲット分子に特異的に結合する各結合B分子は、核酸、特にオリゴヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、特に受容体およびリガンド、抗体、抗原、ハプテン、アプタマーおよび有機化合物から構成される群から独立して選択される。好ましい態様では、少なくともターゲット分子がmRNA分子であるときには、ターゲット核酸に特異的に結合する各B分子は、上記ターゲットmRNA配列に相補的な配列を有する核酸プローブである。もう一つの好ましい態様では、少なくともターゲット分子がペプチド、タンパク質、抗原またはハプテンであるときには、ターゲットペプチド、タンパク質、抗原またはハプテンに特異的に結合する各B分子は、そのペプチド、タンパク質、抗原またはハプテンに対して向けられた抗体である。特に、抗体または抗体断片を結合分子Bとして用いるときには、上記抗体またはその断片が特異的に向けられたターゲット分子は、IgM、IgD、IgGまたはIgEなどの特定の抗体サブクラスのフレームワーク領域となることができる。あるいは、抗体または抗体断片が結合分子Bとして用いられるときには、抗体またはその断片が特異的に向けられるターゲット分子は、例えば、ウサギ、マウス、ラット、ヤギ、ハムスター、ヒツジおよびヒトのような特定の種に生じた抗体のフレームワーク領域となることができる。これらの2つの場合には、任意の所望のターゲット分子に対して向けられる特定のサブクラスの一次未修飾抗体であって、次に本発明による抗体−タグ接合体によって認識される一次抗体を用いて、2段階間接検出を行うことができる(実施例2および図3参照)。このような接合体は、任意の抗原特異性を有する任意の一次抗体が接合体の抗体によって認識されるサブクラスに属する場合には、この一次抗体と共に用いることができるので、極めて有利である。
本発明によれば、「タグ分子」は、MALDI(UV/IR)、SIMSおよびDESIを用いる質量分析法によって検出可能な既知分子量の分子を表す。MALDI質量分析計では、通常は広範囲のm/z比で化合物を検出することができる。例えば、MALDI−飛行時間(TOF)型分析装置は、1,000,000までのm/z比の化合物を検出することができる。適当なタグ分子は、ターゲットおよび結合分子の特異的結合を妨げる必要がない。従って、好ましくは、適当なタグ分子は、ターゲットおよび結合分子の結合の立体障害を回避するような立体容積に制限される。従って、これら上記の理由により、適当なタグ分子は、好ましくは、m/z比は10,000を下回る。適当なタグ分子としては、ペプチド、核酸、糖類、ポリマー、脂質および有機化合物が挙げられる。これらの中、ターゲット分子と結合分子との間の複合体形成を明らかにするのに用いられる標識分子、例えば、通常のフルオレセインイソチオシアネート(FITC)、R−フィコエリトリン(PE)、Cy3、Cy5、Cy7、PerCP、アロフィコシアニン(APC)、テキサスレッド(Texas Red)、TRITC、PE−Cy5接合体、PE−Cy7接合体またはAPC−Cy7接合体のような蛍光色素;アルカリホスファターゼまたはペルオキシダーゼのような酵素;ビオチン;金;または総てのMALDIマトリックス、または純粋なレーザー脱離モードで分析することができる総ての化合物、および例えば予備イオン化分子を、タグ分子として用いることもできる。極めて小さな分子の検出に適する質量分析法の手法を用いるときには、原子をタグ分子として用いることもできる。
上記した総てのタグ分子は本発明で用いることができ、いかなる場合にも、用いられる質量分析法の手法によっては、質量分析法による分析の技術にある程度習熟した者であれば、どの種類のタグ分子を選択して検出段階を最適にするかが分かるであろう。例えば、MALDI質量分析法を用いるときには、タグ分子は好ましくはm/z比が<5000である。あるいは、SIMSを用いるときには、タグ分子は好ましくはm/z比が<500であり、DESIを用いるときには、タグ分子は好ましくはm/z比が<5000である。
本発明による任意の上記方法の特定の態様では、各Aタグ分子は、ペプチド、核酸、糖類、および有機化合物から構成される群から選択される。好ましい態様では、少なくとも1種類のAタグ分子はペプチドである。
本発明による上記方法の好ましい態様では、ターゲット分子はmRNA分子であり、結合B分子はmRNA配列に相補的な配列を有する核酸プローブであり、Aタグ分子はペプチドである。本発明による上記方法の好ましい態様では、ターゲット分子は、ペプチド、タンパク質(抗体など)、抗原またはハプテンであり、結合分子は抗体または抗体断片であり、タグ分子はペプチドである。本発明による上記方法のもう一つの好ましい態様では、ターゲット分子は、ペプチド、タンパク質(抗体など)、抗原またはハプテンであり、結合分子は抗体または抗体断片であり、タグ分子は、通常の抗体標識分子であり、例えばフルオレセインイソチオシアネート(FITC)、R−フィコエリトリン(PE)、Cy3、Cy5、Cy7、PerCP、アロフィコシアニン(APC)、テキサスレッド、TRITC、PE−Cy5接合体、PE−Cy7接合体またはAPC−Cy7接合体のような蛍光色素;アルカリホスファターゼまたはペルオキシダーゼのような酵素;またはビオチンまたは金;または総てのMALDIマトリックス、または純粋なレーザー脱離モードで分析することができる総ての化合物、および例えば予備イオン化分子である。
本発明によれば、「上記組織切片を少なくとも1種類の(A−X)−B接合体とハイブリダイズさせる」とは、組織切片と接合体を、接合体の結合B分子が組織切片におけるそのターゲット分子に特異的に結合することができる条件で接触させる反応を意味する。結合およびターゲット分子の性質によっては、当業者は周知のハイブリダイゼーションプロトコルを利用することができる。実際に、結合分子が核酸プローブであるときには、組織切片におけるin situハイブリダイゼーションは詳細に報告されており、従って当該技術に熟練した者には容易に利用することができる。組織切片での抗体染色も、当該技術に熟練した者には容易に利用することができるごく普通の技術である。
本発明による方法を用いると、組織切片における少なくとも1種類のターゲット分子のマップを得ることができる。組織切片におけるターゲット分子の「マップ」とは、この組織切片における上記ターゲット分子の発現を二次元的に表したものを意味する。この二次元的表現は、組織切片表面をMALDI分析装置を用いて画定したスポット密度で走査し、それぞれの連続スポットについてMALDI分析を行い、得られたデータとそれぞれのスポットの座標の両方を蓄積することによって得られる。スポット密度が高くなれば、得られるマップの精度は一層高くなる。MALDIレーザーの直径は、一般的には系の焦点形成に応じて50−200μmであるので、2個の隣接する照射スポットはレーザー光線の直径(すなわち、50−200μm)で離れているのが好ましい。精確なターゲット分子マップを得るには、隣接スポットは好ましくは最大で300μm、最大で200μm、更に好ましくは最大で100μm、最大で80μm、最大で60μm、最大で50μm、最大で40μm、最も好ましくはMALDIレーザーの直径だけ離れている。
次に、それぞれのスポットのデータをタグ分子の分子ウインドウで分析し、タグ分子のシグナル強度をスポット座標に記録する。このようなイメージ再構築は、当該技術分野で知られているまたは市販されている任意の適当なイメージ再構築ソフトウェアを用いて自動的に行うことができる。適当なソフトウェアの例は、RSI(RSI Corporate Headquarters. 4990 パール・イースト・サークル. ボールダー,コロラド 80301)によって商品化されているIDL (Interactive Data Language)ソフトウェア、flexImaging(Bruker Daltonics,ブレンメン,デラウェア)、MIT(M. Stoeckli, Novartis,バーゼル,スイス国)である。
組織切片における少なくとも1種類のターゲット分子マップを決定するための本発明による方法では、数個の異なるターゲット分子を同時にマッピングすることができる。実際に、幾つかの異なるターゲット分子の検出を行うには、異なるタグA分子を有し、よって異なる分子量を示す、幾つかの接合体を用いることで十分である。広く分散した分子量を有するタグ分子を用いることによって、本発明による任意の上記方法を用いて、同一組織切片における多数の異なるターゲット分子の発現を同時にマッピングすることができる。特定の態様では、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75または少なくとも100個の異なるターゲット分子を、同時にマッピングすることができる。特に、mRNAターゲット分子の場合には、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75または少なくとも100個の異なるターゲットmRNA分子を、同一組織切片で同時にマッピングすることができる。
ターゲット分子がmRNA分子である任意の上記方法の特定の態様では、この方法は、更に、組織切片のそれぞれ対応するタンパク質発現マップを作製するためのそれぞれのmRNA分子に対応するタンパク質の分子質量ウインドウで得られたデータを分析することからなる工程d)を含んでなることがある。
第一の好ましい態様では、MALDI質量分析法を用い、Xリンカー分子はMALDIレーザーの波長で光開裂可能である。従って、本発明は、組織切片における少なくとも1個のターゲット分子マップを決定する方法であって、
a) 上記組織切片を少なくとも1種類の(A−X)−B接合体
(上記式中、
Aは、既知分子量のタグ分子であり、
Xは、MALDIレーザーの波長で光開裂可能なリンカーであり、
nは、少なくとも1の整数であり、
Bは、上記ターゲット分子に特異的に結合する結合分子であり、
それぞれの異なるB分子は異なるAタグ分子に連結している)
とハイブリダイズさせること;
b) 組織切片表面を走査し、それぞれの隣接スポットを質量分析計で分析すること(ここで、MALDIレーザーは、タグ分子Aを放出し、かつ試料のイオン化を誘発するのに用いられ、それぞれのスポットで得られるデータは保存される);および
c) それぞれの異なるタグ分子の分子質量ウインドウで得られたデータを解析して、異なる検討したターゲット分子の数と同じ数の組織切片のマップを作製すること
を含んでなる、方法に関する。
本発明によれば、「MALDIレーザーの波長で光開裂可能なリンカー」とは、2つの他の化学残基(chemical moiety)を分離し、MALDIレーザーへの暴露下で少なくとも1つの部位で開裂することができる化合物を表す。大抵のMALDIレーザーは、通常は300−500nmの紫外(UV: 500nmより短波長)波長を有する。例えば、多くのUV−MALDI分析装置は、337nmの波長のパルス窒素レーザーを有する。従って、本発明によるリンカーは、特定の態様では、250−500nmの波長、好ましくは320−360nmまたは320−350nmの波長、更に好ましくは337nmの波長への暴露下で少なくとも1つの部位で効率的に開裂するので、UV−MALDIレーザーはリンカーを開裂し、かつ試料をイオン化するという両方の作用をする。他のMALDI分析装置は、赤外(IR: 770nmより長波長)レーザーを示す。例えば、Nd:YAGレーザー(波長=1060nm)、Er:YAGレーザー(波長=2940nm)、中赤外光パラメトリック発振器(OPO)(波長=2940nm)またはTEA−COレーザー (波長=10600nm)をIR−MALDIレーザーとして用いることができる。他の特定の態様では、本発明によるリンカーは、従って1000−1100nmの波長、好ましくは1060nmの波長、または2900−3000nmの波長、好ましくは2940nmの波長、または10500−10700nmの波長、好ましくは10600nmの波長への暴露下で少なくとも1つの部位で効率的に開裂し、それぞれNd:YAC、Er:YAGまたはTEA−CO IR−MALDIレーザーはリンカーを開裂し、かつ試料をイオン化するという両方の作用をする。
UV−MALDIレーザーの場合には、幾つかのリンカーが報告されており(Olejnik et al. Nucleic Acids Res. 1999 Dec 1;27(23):4626-31; BaiX, et al. Nucleic Acids Res. 2004 Jan 26;32(2):535-41; Wenzel T et al. Nucleosides Nucleotides Nucleic Acids. 2003 May-Aug;22(5-8): 1579-81)、有機分子に光開裂可能なリンカーを導入するのに有用な幾つかの試薬が、特に、AmberGen(登録商標)(1106 コモンウェルスアベニュー ボストン,マサチューセッツ 02215,米国)、Link Technologies(3 マラードウエイ,ストラスサイクル・ビジネス・パーク,ベルシル,ラナークシアMLA 3BF,スコットランド)、Integrated DNA Technologies (1710 コマーシャル・パーク°コーラルビル,アイオワ 52241,米国)、Glen Research(22825 デービス・ドライブ,スターリング,バージニア 20164,米国)、Eurogentec(EUROGENTEC s.a. Headquarters. リエージュ・サイエンス・パーク. リュ・ボア・サン・ジァン5. 4102 セライング. ベルギー国)などから市販されている。
MALDI質量分析法とMALDIレーザーの波長で光開裂可能なリンカー分子Xとを用いる本発明による任意の上記方法の特定の態様では、Xリンカー分子は、
Figure 0005220593
(上記式中、RはC1−C6アルキル基であり、mは1−4の整数である)
からなる群から選択される残基である。
あるいは、MALDIレーザーの波長で光開裂可能な上記リンカー分子Xを用いる態様では、Xリンカー分子は、
Figure 0005220593
からなる群から選択される残基である。
タグ分子Aと結合分子Bを連結するリンカー分子Xは、このような残基を含んでなる市販のリンカーを用いてAとBの間で得ることができる。例えば、本発明による方法で用いるための光開裂可能なリンカーとの接合体を調製するのに適したリンカーは、
PCリンカー(製品番号10−4920−02)、
PCスペーサーホスホルアミダイト(製品番号10−4913−02)、および
PCアミノ修飾因子(製品番号10−4906−02)
などをGlen Research Corporation(22825 デービス・ドライブ, スターリング, バージニア 20164,米国)から、または
例えば、リンカー Sulfo−KMUS (製品番号#21111)をPierce (Pierce Biotechnology, Inc. Customer Service Department P.O. Box 117 ロックフォード, イリノイ. 61105 米国)から、または
商標Novabiochem(登録商標)、例えば、リンカー
Figure 0005220593
(製品番号01−60−0042)をMerck Biosciences Ltd (ブールバード・インダストリアル・パーク, パッジ・ロード. ビーストン, ノッティンガム NG9 2JR, 英国)から、または
Chromalink Biotin 354Sという名称の製品番号B1001であって、354nmの波長で開裂可能であるものをSolulinkから得ることができる。
ターゲット分子がmRNA分子であり、結合B分子がmRNA配列に相補的な配列を有する核酸プローブであり、Aタグ分子がペプチドである、もう一つの好ましい態様では、nが1であり、(A−X)−B接合体、および得られる(A−X)−B接合体が下記の構造
Figure 0005220593
を有する。
このような接合体は、例えば、下記の構造
Figure 0005220593
のフォワード(5’)プライマーを用いて所望の核酸配列を増幅することによって得ることができる。
ターゲット分子がmRNA分子であり、結合B分子がmRNA配列に相補的な配列を有する核酸プローブであり、Aタグ分子がペプチドである、もう一つの好ましい態様では、nは1であり、(A−X)−B接合体、および得られる(A−X)−B接合体は下記の構造
Figure 0005220593
を有する。
このような接合体は、例えば、下記の構造
Figure 0005220593
を有するフォワード(5’)プライマーを用いて所望の核酸配列を増幅することによって得ることができる。
あるいは、ターゲット分子がmRNA分子であり、結合B分子がmRNA配列に相補的な配列を有する核酸プローブであり、Aタグ分子がペプチドである、もう一つの好ましい態様では、nは1より大きく、核酸プローブは、下記の構造:
Figure 0005220593
(上記式中、「dNTP」はdATP、dCTP、dGTP、dTTPおよびdUTPなどの任意のデオキシヌクレオチド三リン酸を意味する)
の少なくとも1種類の修飾塩基を含んでなる。好ましい態様では、修飾したdUTP塩基が用いられる。
ターゲット分子がmRNA分子であり、結合B分子がmRNA配列に相補的な配列を有する核酸プローブであり、Aタグ分子がペプチドである、もう一つの好ましい態様では、nは1より大きく、核酸プローブは、下記の構造:
Figure 0005220593
(上記式中、「dNTP」はdATP、dCTP、dGTP、dTTPおよびdUTPなどの任意のデオキシヌクレオチド三リン酸を意味する)
の少なくとも1種類の修飾塩基を含んでなる。好ましい態様では、修飾したdUTP塩基が用いられる。
このような修飾ペプチドタグ付きdUTPを用いると、ペプチドタグ付き核酸ハイブリダイゼーションプローブは、dATP、dCTP、dGTPおよびペプチドタグ付きdUTPの存在下にて簡単なPCR増幅を用いて極めて簡単に生成させることができる。この方法により、特異的ハイブリダイゼーションプローブを任意のターゲットmRNA配列について容易に合成することができる。
更に、修飾ペプチドタグ付きdUTPを用いて合成した所定のハイブリダイゼーションプローブはその配列にU塩基の数と同数のタグペプチドを有するので、これによりシグナル増幅を行うことができる。
最後に、修飾ペプチドタグ付きdUTPを用いて合成したハイブリダイゼーションプローブを用いると、組織切片におけるmRNA発現を定量的に分析することができる。実際に、1または数個の検討したmRNAの対応するタグによって生じるシグナルを、参照mRNA配列(例えば、HPRTのアクチンのようなハウスキーピング遺伝子)について得られたものと比較することができる。それぞれのハイブリダイゼーションプローブにおけるU塩基の数は知られているので、それぞれの検討したmRNA配列と参照mRNA配列との間の発現比を計算することができる。
ターゲット分子がmRNA分子であり、結合B分子がmRNA配列に相補的な配列を有する核酸プローブであり、Aタグ分子がペプチドである方法では、上記接合体を用いて、幾つかの異なるターゲットmRNA分子を同時にマッピングすることができる。実際に、幾つかの異なるターゲット分子の検出を行うには、異なる核酸プローブと異なる分子量を示す異なるタグペプチドを有する幾つかの接合体を用いることで十分である。広く分散した分子量を有するタグペプチドを用いることによって、任意の上記接合体を用いて同一組織切片における多数の異なるターゲットmRNA分子の発現を同時にマッピングすることができる。特定の態様では、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75、または少なくとも100個の異なるターゲットmRNA分子を、同時にマッピングすることができる。
更に、保管されたスペクトルデータは、組織切片の直接ペプチド/タンパク質分析も示し、上記接合体を用いるターゲットmRNA分子の組織切片分析法は、更に、組織切片のそれぞれに対応するタンパク質発現マップを作製するためのそれぞれのmRNA分子に対応するタンパク質の分子質量ウインドウで得られたデータを分析することからなる最終工程d)を含んでなることがある。
ターゲット分子がペプチド、タンパク質(抗体など)、またはハプテンである好ましい態様では、結合B分子は上記ターゲット分子に対して向けられた抗体であり、Aタグ分子はペプチドであり、nは1であり、(A−X)−B接合体は下記の構造:
Figure 0005220593
を有する。
MALDI質量分析法を用いる本発明による任意の方法では、MALDI−MS分析に用いるマトリックスは、任意の古典的MALDIマトリックス(例えば、CHCA、2,5− DHB、SA、HABA、3−HPAなど)または2,4−DNPHでよい。
「マトリックス」とは、検体と混合するとき、レーザー照射によって良好に脱離され固相結晶から気相または蒸気相にイオン化され、分子イオンとして加速される、結晶性のマトリックス包埋検体分子を生じる任意の材料を意味する。一般に用いられるMALDI−MSマトリックスは、通常はレーザー波長で吸収する小さな酸性化合物であり、ニコチン酸、桂皮酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(2,5−DHB)、α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸(CHCA)、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸(シナピン酸またはSA)、3−メトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸(フェルラ酸)、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸(カフェイン酸)、2−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)安息香酸(HABA)、3−ヒドロキシピコリン酸(HPA)、2,4,6−トリヒドロキシアセトフェノン(THAP)および2−アミノ−4−メチル−5−ニトロピリジンが挙げられる。これらのマトリックスを調製するためのプロトコルは当該技術分野で周知であり、これらのマトリックスの大半は市販されている。ペプチド/タンパク質分析に現在一般に用いられるマトリックスとしては、α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸(CHCA)、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(2,5−DHB)およびシナピン酸(SA)が挙げられる。DNPHは2,4−ジニトロフェニルヒドラジンであり、アルデヒドおよびケトンの検出に用いられる。
本発明の第二の好ましい態様では、試料の脱離/イオン化の際に断片化によって開裂するリンカー分子Xを用い、その分析はMALDI質量分析法に限定されないが、一般的には組織切片分析に適する任意の質量分析法の技術に換えることができる。特に、UV−MALDI、IR−MALDI、SIMSまたはDESI質量分析法を用いることができる。
実際に、化合物の間接的検出には、装置の線源における脱離およびイオン生成のごく初期にタグ分子を放出する必要がある。マトリックス分子によるエネルギー吸収を介したイオン脱離/イオン化の目的でレーザーを用いるMALDI質量分析法を用いるときには、タグ分子の放出を誘発する幾つかの方法を考えることができる。第一の最も簡潔な方法は、MALDIレーザー照射によるタグ分子の光解離を用いることである(図1および図3参照)。これは極めて特異的な放出を意味するが、必然的に一層複雑な構造および合成も意味する。
しかしながら、タグ分子を放出する方法として、迅速断片化を考えることもできる。この現象は一般に質量分析法の技術に存在しており、従ってその使用はMALDIおよび他の質量分析法の線源と両立する。特に、この断片化現象を、線源が一次イオンビームであるSIMS(二次イオン質量分析法)またはDESI(脱離エレクトロスプレーイオン化)と称される最近に報告された技術のような他の質量分析法の技術と共に利用することができる。更に、MALDI/MSについては、これら2種類の技術を、組織切片の直接分析に用いることができる(Touboul, D.; Kolmer, F.; Niehis, E.; Brunelle, A.; Laprevote, O.. Journal of the American Society for Mass Spectrometry, (JASMS) 2005, 15, 1608-1618) ( Cooks, R.G.M.; Ouyang, Z. Takats, Z.; Wiseman, J.M.; Science, 17 March 2006, VoI 311, 1566-1570)。
従って、リンカー分子を介してタグ分子に連結した特異的結合分子の接合体を用いる本発明のコンセプトは、迅速断片化によって開裂されるリンカーを用いることにより、タグ分子の迅速断片化放出を生じるという条件で、SIMSまたはDESIのようなMALDI以外の質量分析法の技術に取り換えることができる。この現象を考えると、迅速断片化によって開裂さえされれば、光開裂可能である必要はないので、更に単純なリンカーなしの接合体をデザインすることができ、これは容易に得ることができる。実際に、あらゆる種類のリンカーを断片化によって開裂することができ、任意のリンカーの能力を容易に試験することができる。
更に、MALDIレーザーの波長で光開裂可能であると上記したリンカーは、迅速断片化によっても開裂されることが本発明者によって見出された。あるいは、このようなリンカーは、MALDI以外の質量分析法の技術を用いるときなどの上記の本発明による任意の方法、特にSIMSまたはDESI質量分析法、についての接合体で用いることができる。
しかしながら、迅速断片化現象を利用することによって用いることができる(A−X)−B接合体は、光解離および断片化によって開裂することができる上記の特定の適当なリンカーに限定されないことを明確に理解しなければならない。実際に、Aタグ分子とB結合分子を容易に連結することができる任意のリンカーの迅速断片化によって開裂する能力は、単に合成した接合体を溶液中で分析し、開裂したAタグ分子の存在を観察することによって容易に試験される。この方法により、任意の可能性のあるリンカーは、本発明での使用について容易に試験し、承認しまたは拒絶することができる。更に、質量分析法の技術に熟練した者であれば、可能性のあるリンカーの大多数について、それらの化学構造から断片化により開裂されるかされないか分かるので、容易な上記試験を行うことはほとんどの場合に一層必要なくなるであろう。
特に、迅速断片化を用いてリンカーを開裂するときには、通常の販売さえされている標識抗体を接合体として用いることができる。例えば、蛍光接合抗体を用いることができ、蛍光分子は、タグ分子として用いられる。特に、FITC接合、PE接合、PerCP接合、APC−接合、Cy3接合、Cy5接合、Cy7接合、テキサスレッド接合、TRITC接合、PE−Cy5接合、PE−Cy7接合、またはAPC−Cy7接合抗体を用いることができる。あるいは、酵素アルカリホスファターゼまたはペルオキシダーゼのような他の分子に接合した抗体を用いることもでき、酸素はタグ分子として用いられる。この可能性は、極めて広い範囲の抗原特異性を有するあらゆる種類の抗体が標識抗体として市販されているという決定的な利点を有する。更に、標識分子を通常のリンカーを介して任意の抗体に結合させる技術は、周知の日常的技術である。この方法により、組織切片に存在する生体分子の間接質量分析法を、本発明による方法を用いて非常に多数の異なる生体分子について行うことができる。
従って、好ましい態様では、迅速断片化を用いるときには、ターゲット分子はペプチド、タンパク質(抗体など)、抗原、またはハプテンであり、結合分子は抗体または抗体断片であり、nは1であり、タグ分子は蛍光色素、酵素、ビオチンまたは金である。特にSIMS質量分析法を用いるときには、Brのような原子を抗体に接合させることもできる(実施例4参照)。この場合には、Sigmaから製品番号リンカーE1769で市販されているEDACと称するリンカーを用いて、抗体をBr原子に接合させることができる(実施例4参照)。
更に、迅速断片化によって開裂されるこのようなリンカー分子Xを用いるときには、潜在的に任意の質量分析法の技術を、組織切片分析に適しているという条件で(これはいかなる熟練者にとっても直ちに明らかである)用いて、本発明による方法を実行することができる。特に、UV−MALDIまたはIR−MALDI以外の幾つかの追加の質量分析法の技術、例えば、SIMSまたはDESI質量分析法を用いることができる。従って、迅速断片化によって開裂されるリンカー分子Xを用いる方法の好ましい態様では、UV−MALDI、IR−MALDI、SIMSまたはDESI質量分析法が用いられる。
本発明は、更に本発明による任意の方法での使用に適する接合体に関し、上記接合体は
Figure 0005220593
Figure 0005220593
から選択される。
上記接合体のそれぞれは、個別的に本発明による接合体として好ましい。
本発明を概略的に説明してきたが、本発明の特徴と利点は、例示のためにのみ本明細書に提供されかつ特に断らない限り制限するものとは解釈されないある種の具体例および図を参照することによって一層の理解を深めることができる。
実施例1
MALDI−MSによる組織切片におけるmRNAの間接検出のための光開裂可能なリンカーを有するオリゴペプチド接合体の使用
光開裂可能なリンカーを有するオリゴペプチド接合体について、MALDI−MSによる組織切片における特異的mRNAを間接検出することができる能力を試験した。
1.1 材料および方法
1.1.1 オリゴペプチド接合体
構造
検討を行ったオリゴペプチド接合体は、下記の構造を示した。
Figure 0005220593
異なるペプチド残基を有する5種類のオリゴペプチド接合体を合成した。それぞれの接合体のオリゴヌクレオチドのペプチドアミノ酸配列、単一同位体(Mmono)および平均(Mavg)分子量、および核酸配列を、表2に示す。
Figure 0005220593
合成
オリゴペプチド接合体は、下記のプロトコルを用いて合成した。
ペプチドはSymphony(Protein Technologies Inc)上で合成し、Delta−Pak C 18 15μm 100Aカラム(Waters)上で精製する。
オリゴヌクレオチドは、Expedite(ABI)上で3’から5’へ合成する。光開裂可能なリンカーを有するアミノ官能基を5’に付加した後、開裂と脱保護を行う。これらの工程は、28%NHOH溶液を用いて暗所で24時間行う。次に、アミノオリゴヌクレオチドをDelta−Pak C18 15μm 300Aカラム(Waters)上で精製する。オリゴヌクレオチドのアミノ官能基を、マレイミド官能基を含んでなるヘテロ二官能性試薬にカップリングさせる。マレイミドオリゴヌクレオチドを水に可溶化し、溶液中のペプチド1.2当量に加える。混合物を16時間攪拌する。
次に、オリゴペプチド接合体をDelta−Pak C18 15μm 300Aカラム(Waters)上で精製し、質量分析法によって特性決定する。
1.1.2 MALDI−MS前の試料調製
幾つかの一般に用いられるマトリックスを、区別せずMALDI−MS分析に用いた: α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸 (CHCA)、3−ヒドロキシピコリン酸 (HPA)およびシナピン酸 (SA)。
CHCAについては、マトリックス10mgをアセトニトリル/水(2:1, v/v, 0.1%TFA/HO)1mlに溶解した。SAについては、マトリックス20mgを同じ溶媒に溶解した。
SAについては、マトリックス20mgを同じ溶媒に溶解した。
HPAについては、マトリックス50mg/mlを水に溶解した。
場合によっては、添加剤(クエン酸または酢酸アンモニウム)をマトリックスに加えた。
MALDI−MS分析の前に、試料溶液1μlとマトリックス溶液1μlを乾燥小滴製剤の手順に従ってMALDIプレート上で混合した(Karas, M.; Hillenkamp, F.; Anal.Chem. 1998, 60, 2299-2301)。
3種類の異なるMALDIプレート材料であるステンレススチール、金およびテフロンを試験した。
1.1.3 MALDI−MS分析
MALDI−TOF質量スペクトルは、遅延引き出し(DE)を有し、かつ337nmのパルスド窒素レーザーで操作するVoyager−DE STR質量分析計(Applied Biosystems, フラミンガム, マサチューセッツ, 米国)で行った。
リニアモードでの分析
イノックス(inox)MALDIプレートについては、取得パラメーターを下記のように設定した: 加速電圧:20kV;第1のグリッド電圧:94%;ガイドワイヤー電圧:0.05%;引出遅延時間:100−250ナノ秒。
金MALDIプレートについては、取得パラメーターを下記のように設定した: 加速電圧:25kV;第1のグリッド電圧:96%;ガイドワイヤー電圧:0.05%;引出遅延時間:600ナノ秒。
リフレクターモードでの分析
加速電圧:20kV,第1のグリッド電圧:70%,ガイドワイヤー電圧:0.05%,引出遅延時間:200ナノ秒。
1.1.4 イメージ再構築のためのソフトウェア
イメージ再構築(image reconstruction)には、ソフトウェア flexImaging (Bruker daltonics,ブレーメン,ドイツ国)を用いた。
1.1.5 オリゴペプチド接合体を用いるPCR増幅
プロエンケファリンのPCR増幅は、タグ付き(ペプチド−光開裂可能なリンカー−オリゴヌクレオチド)または通常の(光開裂可能なリンカーおよびペプチド残基のない)フォワード(5’−CAG−GAC−TCC−CCA−AAG−GAG−AAC−AGG−A−3’,配列番号:9,表2参照)およびリバーズ(5’−GA−CGT−ACC−AGG−CGG−TAG−CTG−CAT−TT−3’,配列番号:10,表2参照)プライマーを用いて得た。
次に、増幅生成物を2%アガロースゲル中の電気泳動によって分析した。
1.1.6 光開裂可能なリンカーを用いるdUTP−ペプチド接合体の合成
下式を有する修飾ペプチドタグ付きdUTPを合成した:
Figure 0005220593
合成には、下記の合成工程図に従った。
Figure 0005220593
この三リン酸塩を調製するには、Fmocで保護したCPG樹脂が必要であった。前駆体は入手することができなかったので、GT115A(100mg)からスクシニレート(succinylate)を調製した。試料は比較的純粋であったが、高流動性の非トリチル化化合物(Sonogashira反応に由来し、以後の反応を妨げず、試料のnmrスペクトルでは確認されない)を少量(TLCによる)含んでいた。このスクシネートを精製することはできなかったので、反応を若干変更した。定量的収率を得るには、通常は無水コハク酸2当量を反応に加えるが、これが完全に除去されないときには、cpg樹脂のアミノ残基を官能化の際にブロックすることができる。従って、生成物の精確な純度が決定されないので、1.5当量を用いた。反応は完結しなかった(TLCからは、これはUV(254nm)によるTLC上の成分の強度と発煙HClで処理したときのDMTカチオンの強度を比較することによって50%を上回った)。スクシニル化されていない生成物は反応しないので、樹脂をこの混合物を用いて官能化した。樹脂は調製したが、装填量(loading)は極めて低く、5.4μmol/g(180mg)であった。
樹脂をDCMで洗浄した2% TCA/DCMを用いて脱トリチル化し、DMTカチオンによる橙色が見られなくなるまでこの工程を繰り返した。
次いで、これを(アルゴン下にて吸引して)乾燥し、樹脂をピリジン/DMF 1:3 (0.4ml)に5分間浸漬した後、0.1M Eckstein試薬をジオキサンに溶解したものを加えた(0.1ml)。反応を15分間放置した後、樹脂を洗浄し(ジオキサン,MeCN)、乾燥した(アルゴン下にて吸引)。
次に、樹脂を0.5Mビス−(トリブチルアンモニウム)ピロホスフェートを無水DMFとトリ−n−ブチルアミンに溶解したものに20分間浸漬し、樹脂を洗浄し(DMF, MeCN)、乾燥した(アルゴン下にて吸引)。
生成物を酸化し(ヨウ素/水/ピリジン/THF、30分間)、洗浄し(MeCN)、乾燥した(アルゴン下にて吸引)。
Fmoc保護基を除去し(20%ピペリジン/DMF,0.5ml,20分間)、樹脂を十分に洗浄し(DMF,MeCN)、乾燥した(アルゴン下にて吸引)。これを次にDCIで洗浄し、DCI/光解離性アミノリンカーCEP (1:1,0.5ml)の溶液を加え、反応を20分間放置した。溶液を除去し、樹脂を洗浄し(MeCN)、乾燥した(アルゴン下にて吸引)。キャップA/キャップBの混合物(1:1,0.5ml)を加え、樹脂を5分間浸漬した後、キャッピング試薬を除去し、上記の通りに樹脂を洗浄し、乾燥した。生成物を酸化し(I/THF/ピリジン/HO,5分間)、樹脂を上記の通りに樹脂を洗浄し、乾燥した。これを樹脂からcNHOHを用いて室温にて30分間開裂させた後、Dionex NucleoPac100 HPLCカラム上でのアニオン交換HPLCによって下記の溶媒系である緩衝液A:10%アセトニトリルを含む0.1M NHClおよび緩衝液B: 10%アセトニトリルを含む1M NHClを用いて、流速2.5ml/分にて6Triphos.mthを用いて精製した。これにより、3画分(A:−7分,B:−7.9分およびC:−10.3分)を得た。3画分総てを一晩凍結乾燥した後、逆相HPLC(緩衝液A:水;緩衝液B:アセトニトリル; 流速4ml/分)によって脱塩した。3画分を再度一晩凍結乾燥した後、水200μlに懸濁した。M.S.は、CMM661A pk 1は確かに三リン酸塩ではないが、CMM661pk 2または3である可能性があることを示した(M.S.プロフィールが極めて類似)。(CMM662Aは、CMM661A pk 2から形成され、CMM663Aは、CMM661A pk 3から形成された。)
次に、これらの試料を、以後の反応に用いた。重炭酸塩緩衝液(10μl)およびマレイミドNHSエステル(50μl)をそれぞれの試料に加え、反応を一晩攪拌した。試料をmilliQ水(500μl)で希釈し、濾過した。試料をRP−HPLC (緩衝液A: 0.1M TEAA,緩衝液B: MeCN,流速 4ml/分)によりMeCN50.mthを用いて精製し、ペプチドのカップリングをこれらの画分で行った。
1.1.7 修飾ペプチドタグ付きdUTPを組込んでいるプロエンケファリン核酸プローブ(400bp)の合成
上記で合成した修飾ペプチドタグ付きdUTPを組込んでいるプロエンケファリン核酸プローブ(400bp)(1.1.6項参照)を、1.1.5項に記載の通常のフォワードおよびリバースプライマーを用いるRT−PCRによって合成した。
1.2 結果
1.2.1 様々な分析モードでの1個または多数のオリゴペプチド接合体の検出
3種類のオリゴペプチド接合体を、様々な分析モードで別々にまたは同時に分析した(図4)。
リニア正モード(図4A)、リニア負モードおよびリフレクター正モードでの別々のオリゴペプチド接合体の分析は、様々なMALDI分析モードで容易に検出することができる。
感度試験も行い、様々なMALDI分析モードにおける検出閾値を評価した。観察閾値は、リニア正モードでは100fmolでありシグナル/ノイズ比は8であり(図4B)、リフレクター正モードでは1pmolでありシグナル/ノイズ比は5であった。
オリゴペプチド1、2および3を、更にリニア正モード、リニア負モードおよびリフレクター正モードで同時に分析した(図4C)。図4Cにおいて、それぞれのオリゴペプチド接合体について、異なるm/z比の2本のピークが観察された。高い方のm/z比のピーク(ペプチド1、3および2について、それぞれm/z 1346.95、1603.74および1891.72)は、予想開裂部位(光開裂可能なリンカーを含む)での光開裂ペプチドに対応する。低い方のm/z比のピーク(ペプチド3および2について、それぞれm/z 1161.87および1449.88)は、続いて気相で開裂してペプチドのみのプロトン化イオンを形成するものに対応すると思われる(光開裂可能なリンカーを含まない)。
いずれの場合にも、これらの結果は3種類の異なるオリゴペプチドを容易に同時検出することができることを示している。
MALDIプレート材料の、分解能、感度およびシグナル/ノイズ比に対する影響を、ステンレススチール、金およびテフロンMALDIプレートを用いてクエン酸または酢酸アンモニウムからなる添加剤の有無で検討した。
結果は、どのような材料を用いても、クエン酸または酢酸アンモニウムがあってもなくても、光開裂可能なリンカーの開裂が可能であることを示している。
更に、シグナル/ノイズ比およびシグナル強度が金のMALDIプレートで一層高くなると思われる(図4D)。
1.2.2 固体支持体上でのオリゴペプチド接合体のマッピング
表面でのオリゴペプチド接合体のマッピングの可能性を評価するため、オリゴペプチド3からなるX文字のイメージをMALDIプレート上にマルチピペットを用いて描いた。
次いで、対応する範囲をMALDI−MSによってスポット毎に分析し、ナトリウムカチオン化形態MNaでのオリゴペプチド3の光開裂断片に対応するイオンm/z1626.37の配分をイメージ構築ソフトウェアを用いて再構築した。
図5は得られた再構築イメージを示し、直接開裂から簡単なイメージを得ることができることを立証している。
1.2.3 オリゴペプチド接合体をプライマーとして用いるペプチドタグ付きプロエンケファリンin situハイブリダイゼーションプローブの合成
オリゴペプチド接合体をフォワードおよび/またはリバースプライマーとして用いて一層大きなハイブリダイゼーションプローブを合成することが可能であることを確かめるために、タグ付き(ペプチド−光開裂可能なリンカー−オリゴヌクレオチド)または通常の(光開裂可能なリンカーおよびペプチド残基のない)フォワード(5’−CAG−GAC−TCC−CCA−AAG−GAG−AAC−AGG−A−3’)およびリバース(5’−GA−CGT−ACC−AGG−CGG−TAG−CTG−CAT−TT−3’)プライマーを用いてPCR増幅を行った。
生成された増幅生成物を、図6Aに示す。得られた結果は、フォワードおよび/またはリバースペプチドタグ付きプライマーの使用が増幅を阻害せず、約400bpのプロエンケファリンin situハイブリダイゼーションプローブが生じることを示している。
シリカカラム精製の後、増幅されなかったプライマー二量体を除去し、純粋なPCR増幅生成物を得た(図6B)。
精製したPCR増幅生成物のMALDI分析を行った。タグ付きフォワードおよびリバースプライマー(図6C)およびタグ付きフォワードおよび通常のリバースプライマー(図6D)で得られた結果は、かなりの量のPEGが含まれていても、ペプチドタグは開裂し、検出することができることを示している。実際に、開裂したペプチドのm/z比(m/z=1704)は幾つかの場合にはPEGシグナルに帰因することがあるが、m/z比が1720の特徴的イオン(M−NHは容易に検出することができる。
1.2.4 ペプチドタグ付きハイブリダイゼーションプローブを用いる、パラフィン除去したラット脳切片におけるプロエンケファリンmRNA分析
in situハイブリダイゼーションは、上記のようにパラフィンを除去したラット脳切片上でペプチドタグ付きハイブリダイゼーションプローブを用いて行った。
次に、MALDI分析を異なる組織部位で行い、生成されるスペクトルを分析した。
図7は、2箇所の異なる脳切片部位における得られたスペクトル(図7AおよびB)並びに非ペプチドタグ付きハイブリダイゼーションプローブを用いてハイブリダイズしたコントロール脳切片の分析によって得られたコントロールスペクトルを示す。
コントロールスペクトルは、非ペプチドタグ付きハイブリダイゼーションプローブを用いるときには、開裂ペプチド(m/z=1704)または特徴的イオン(m/z=1720)のm/z比でシグナルが検出されないことを示している。
対照的に、プロエンケファリンmRNA発現は、図7Aの脳切片部位で明確に確認することができるが(m/z=1704および1720のピーク参照)、プロエンケファリンmRNA発現は、第二の異なる部位では検出することができない(図7B、m/z=1704または1720にはピークがない)。
プロエンケファリンのmRNA発現は、このように組織切片の異なるスポットで明確に観察することができるので、組織切片プロエンケファリンmRNA発現のイメージを更に再構築することができる。
1.2.5 光開裂可能なリンカーを有するdUTP−ペプチド接合体の合成およびマルチペプチドタグ付きプロエンケファリンプローブ (400bp)を生成するための上記修飾ペプチドタグ付きdUTPの使用
材料および方法の節に記載の合成プロトコルを用いて、図8Aに示した式を有する修飾ペプチドタグ付きdUTPヌクレオチドを合成した。
修飾ペプチドタグ付きdUTPをMALDI分析によって分析し、ペプチドタグの検出を確認した。図8Bに示されるように、ペプチドタグは予想される1163.23 M+Hに明確に検出される。
このような修飾ペプチドタグ付きdUTPを用いることによって、プロエンケファリンについてのマルチペプチドタグ付き核酸ハイブリダイゼーションプローブが、dATP、dCTP、dGTPおよび図8Aに示される修飾ペプチドタグ付きdUTPの存在下で簡単なRT−PCR増幅を用いて極めて簡単に生成した。この方法により、特異的ハイブリダイゼーションプローブを、任意の他のターゲットmRNA配列について容易に合成することができた。
修飾ペプチドタグ付きdUTPは容易にプロエンケファリンプローブに組込まれることを確認するため、修飾ペプチドタグ付きdUTPまたはタグなしの非修飾dUTPを用いて増幅したプロエンケファリンの精製したPCR生成物をMALDI分析を用いて分析した。
図8で示されるように、ペプチドタグは修飾ペプチドタグ付きdUTPで増幅したプロエンケファリンの試料において予想された1163.06 M+H(図8C)で容易に検出されるが、タグを持たない非修飾dUTPで増幅したプロエンケファリンの試料では、予想されたM+Hにシグナルは検出されない(図8D)。
更に、修飾ペプチドタグ付きdUTPで合成した所定のハイブリダイゼーションプローブはその配列におけるU塩基の数と同数のタグペプチドを有するので、修飾ペプチドタグ付きdUTPの使用によりシグナル増幅が可能である。
最後に、修飾ペプチドタグ付きdUTPで合成したハイブリダイゼーションプローブを用いて組織切片におけるmRNA発現を定量的に分析することができる。実際に、1または数個の検討したmRNAの対応するタグによって生成したシグナルを、参照mRNA配列(例えば、HPRTのアクチンのようなハウスキーピング遺伝子)について得たものと比較することができる。それぞれのハイブリダイゼーションプローブにおけるU塩基の数は知られているので、それぞれの検討したmRNA配列と参照mRNA配列との間の発現比を計算することができる。
1.3 結論
これらの結果は、ペプチドタグ付きプライマーで合成したハイブリダイゼーションプローブを用いて、核酸−光開裂可能なリンカー−ペプチド接合体を使用することにより組織切片中の多数のmRNAターゲット分子の間接的同時検出が可能であることを明確に示している。
更に、任意のターゲットmRNA特異性を有するペプチドタグ付きハイブリダイゼーションプローブを一層容易に合成し、タグシグナルの増幅により検出閾値を下げ、および組織切片における定量的mRNA発現分析を行うことができる修飾ペプチドタグ付きdUTPを合成した。
従って、MALDI−MS分析を用いる組織切片における幾つかの異なるmRNAターゲット分子の間接的同時マッピングが低い検出閾値で可能であり、マルチプレックス分析および定量分析さえも可能である。
実施例2
MALDI−MSによる組織切片におけるタンパク質の間接検出のための光開裂可能なリンカーを有する抗体−ペプチド接合体の使用
光開裂可能なリンカーを有する抗体−ペプチド接合体を合成し、MALDI−MSを用いる組織切片における特異的なタンパク質を間接検出するその能力について試験した。
2.1 抗体−ペプチド接合体の合成
ウサギ抗体の枠組構造領域に特異的なヤギ抗体(ヤギ抗ウサギ抗体)を用いて、UV−MALDIレーザー波長で光開裂可能なリンカーを有する抗体−ペプチド接合体を合成した。この方法では、この接合体は、一次ウサギ抗体が利用可能な任意のペプチド、タンパク質、抗原またはハプテンの間接分析に対する二次抗体として適している。更に、下記の合成プロトコルは任意のペプチド、タンパク質、抗原、またはハプテンなどの任意の特異性を有する任意の抗体に応用可能であるので、抗体が別の種類の抗体または任意の所望なペプチド、タンパク質、抗原もしくはハプテンに特異的である他の接合体を下記のプロトコルを用いて容易に合成することができる点に留意しなければならない。
タグ分子分子としては、式DSPEGLNRKQKPA(配列番号:11)を示すペプチドを用いた。しかしながら、この場合にも、下記のプロトコルはタグ分子として所望なことがある任意の他のペプチドに応用可能である。
ペプチドは固相で合成して光開裂可能なリンカーに直接カップリングし、式:
Figure 0005220593
のペプチド−光開裂可能な化合物を生成した。
抗体−ペプチド接合体は、下記の反応工程を用いて合成した。
1. 光開裂可能なリンカーを用いる固相ペプチド合成(古典的Fmoc法)
2. 水/アセトニトリル+0.5% TFAを用いるRP−HPLC(C18)によるペプチドの精製
3. MBS 0.5mgをDMF 300μlに溶解
4. IgG(ヤギ抗ウサギ)4mgをPBS 2mlに溶解
5. 生成物3および4をゆっくり混合。反応は、20℃で30分間攪拌下で起こる
6. PD10を用いて50mMリン酸緩衝液 pH 6により塩を除去
7. ペプチド1mgをDMF 300μlに溶解した後、PBS 1mlを加えた。
8. このペプチド溶液を活性抗体溶液に添加すると、反応が暗所にて20℃にて3時間攪拌下で起こる
9. PBSを一晩透析によって除去。
光開裂可能なリンカーを用いる抗体−ペプチド接合体の合成の主反応を、図9に示す。得られた抗体−ペプチド接合体は、下式:
Figure 0005220593
を有し、図10に省略した形態で示されている。
2.2 得られた抗体−ペプチド接合体の溶液中でのMALDI分析
次に、光開裂可能なリンカーを用いて得られた抗体−ペプチド接合体を、最初に溶液中で試験して、タグペプチドのUV−MALDIレーザーによって誘発される光解離によって効率的に開裂される能力を確かめた。
結果は図10に示されており、光開裂可能なリンカーPCに連結したままのペプチドタグ(ペプチド+PC, m/z=1703)は、MALDI脱離/イオン化工程の後に容易に検出されることを明らかに示している。
更に、タグペプチド、光開裂可能なリンカー、および最初は抗体に属するシステインを含んでなる迅速断片化による断片(図11参照)(ペプチド+PC+システイン, m/z=1822)も検出され、得られた抗体−ペプチド接合体は、組織切片の他の型の質量分析法(例えば、SIMSまたはDESI)による分析にも適していることを明確に示している。
2.3 得られた抗体−ペプチド接合体を用いるラット脳組織切片のMALDI直接分析
光開裂可能なリンカーを用いて得られた抗体−ペプチド接合体を、次にラット脳組織切片における膜タンパク質カルボキシペプチダーゼD (180 kDa)の間接UV−MALDI分析について試験した。
ラット脳組織切片を、最初にカルボキシペプチダーゼDに特異的な一次ウサギ抗体とハイブリダイズした。第二工程では、光開裂可能なリンカーを有する抗体−ペプチド接合体を加えて、組織切片上に存在する一次抗体とハイブリダイズさせた。
生成する着色組織切片を、次にUV−MALDIを用いて分析した。
典型的なスペクトルを図12に示す。これは、光開裂可能なリンカーPCに連結したままのペプチドタグ(ペプチド+PC,m/z=1703.23)は、間接UV−MALDI組織切片分析を用いて容易に検出されることを明らかに示している。タグペプチドに対応するもう一つの断片(ペプチド+PC+O,m/z=1686.43)も、容易に検出される。
本発明による方法を用いて、ラット脳組織切片を走査し、それぞれのスペクトルデータを保存し、カルボキシペプチダーゼDの発現マップのイメージを構築した。結果を図13に示されており、光開裂可能なリンカーを有する抗体−ペプチド接合体を用いる本発明による方法を用いて発現マップを構築することができることを明らかに示している。
更に、発現マップを構築する本発明による方法の信頼性を更に明らかにするため、ラット脳組織切片をカルボキシペプチダーゼDに特異的なウサギ一次抗体で染色し、古典的な市販の二次抗体上に固定した後にT−クロロナフトールを色原体として用いて顕色した。得られた染色はカルボキシペプチダーゼDのMALDI検出と共存し(データは示さず)、従って、本発明による方法とMALDIイメージングの信頼性は古典的方法より感度が高いことを示している。
これらの結果は、光開裂可能なリンカーを用いて合成した抗体−ペプチド接合体は組織切片におけるタンパク質の間接検出並びに発現マップの構築を行うことができることを示している。
実施例3
組織切片に存在する生体分子の間接質量分析法による分析に、光解離の代わりに迅速断片化を用いることができることの証明
迅速断片化は、通常は有害であるが避け難い現象と考えられている。
本発明の場合には、本発明者らは、(A−X)−B接合体であって、リンカーXが迅速断片化によって開裂されるものを用いて、組織切片における少なくとも1種類のターゲット分子マップを決定する方法を行うのに、この必要な現象を利用することができることを見出した。
3.1 リンカーがUV−MALDIレーザーの波長で光開裂可能な接合体を用いる組織切片に存在する生体分子の間接質量分析法による分析のための迅速断片化
このコンセプトはSIMSまたはDESI質量分析法のような他の質量分析法の技術に置き換えることができるが、本発明者らは、MALDI質量分析法と、リンカーがUV−MALDIレーザーの波長で光開裂可能な接合体を用いるこのコンセプトの使用が可能であることを最初に明らかにした。
実際に、オリゴペプチド接合体または抗体−ペプチド接合体を、光開裂可能なリンカー(PC)と共に用いると、予想された(ペプチド+PC)断片の他に、ペプチドタグを含んでなる他の断片が観察され、これらの断片は接合体の迅速断片化による断片に対応している。
更に正確には、3種類の異なるオリゴペプチド接合体を光開裂可能なリンカーと共に用いるときには(これらの接合体の更に精確な定義については、実施例1を参照)、タグペプチド1、ペプチド2またはペプチド3に対応する断片が、図4Cで明確に示されているように、予想された断片(ペプチド1、2または3+PC)の他に観察される。例えば、ペプチド2タグ分子を用いる接合体2については、光解離断片と迅速断片化による断片の両方が観察される:
予想された光解離断片=(ペプチド2+PC),m/z=1892;および
迅速断片化による断片=ペプチド2のみ,m/z=1450。
同じ現象は、図4Cで接合体3について観察される:
予想された光解離断片=(ペプチド3+PC),m/z=1604;および
迅速断片化による断片=ペプチド3のみ,m/z=1162。
例2に記載の抗体−ペプチド接合体を用いるときにも、予想された光解離断片と迅速断片化による断片との両方が図11に示されるように観察される:
予想された光解離断片=(ペプチド+PC),m/z=1702;および
迅速断片化による断片=ペプチド+PC+システイン,m/z=1822。
3.2 FITC標識抗体を用いる組織切片に存在する生体分子の間接質量分析法による分析のための迅速断片化
本発明者らは、通常の、特に市販の標識抗体を用いる組織切片に存在する生体分子の間接質量分析法による分析のために迅速断片化を用いる可能性についても分析した。
実際に、通常の標識分子は一定の分子量を有しており、従ってタグ分子として用いることができる。更に、極めて広範囲の抗原特異性を有するあらゆる種類の抗体は、標識抗体として市販されている。最後に、従来のリンカーを介して標識分子を任意の抗体に結合する技術は周知の日常的技術であり、従って組織切片に存在する生体分子の間接質量分析法による分析に通常の標識抗体を用いることができることにより、本発明による方法を用いてマッピングすることができる異なる生体分子の数を確実に増やすことができる。
FITC標識抗体を用いて、CHCAマトリックスを用いるFITC標識抗体の溶液MALDI分析を行った。
結果は図14に示されており、FITC分子の特徴的シグナルが容易に検出されることを示している(m/z=365.18)。抗体とFITC分子との間のリンカーは、MALDIレーザー波長で光開裂可能でないので、迅速断片化が、抗体とその標識分子との間の結合を開裂することができることを明らかに示している。
これらの結果は更に組織切片で確かめなければならないが、溶液で得られた総ての上記結果はさらに組織切片上で確かめられている。従って、これらの結果は、MALDI質量分析法だけでなく、迅速断片化を含む他の質量分析法の技術、特にSIMSまたはDESI質量分析法、を用いる組織切片におけるターゲット分子の間接検出に、迅速断片化および通常の標識抗体を用いることができることを強く支持している。
3.3 結論
得られた結果は、様々な質量分析法の技術、特にMALDI、SIMSまたはDESI質量分析法を用いる、組織切片におけるターゲット分子の間接検出に、通常は有害な迅速断片化の現象を利用することができることを明らかに示している。
実施例4
抗体とBr原子との間のリンカー分子を開裂するための断片化を用いて組織切片の質量分析法による分析に用いるための抗体−Br接合体の合成
抗体−Br接合体は、SIGMAから製品番号E1769で発売されているEDACリンカー
Figure 0005220593
を用い、下記のプロトコル
Figure 0005220593
を用いて合成することができる。
このようなプロトコルは任意の抗体または抗体断片を用いて適用され、これをBr原子と接合させることができる。このような接合体を、断片化を用いて抗体とBr原子との間のリンカーを開裂する本発明による方法で用いることができる。
MALDI脱離/イオン化工程中のタグ分子放出および免疫細胞化学技術による間接検出のために特異的にデザインされた標識プローブを組み合わせるMALDIによるmRNA特異的マルチプレックスイメージングの模式的原理。 異なる標識プローブ(オリゴヌクレオチド、抗体、レクチン、アプタマー)を用いる異なるターゲット(ペプチド、タンパク質、mRNA、糖質、薬剤)の可能な特異的イメージングの概略図。 MALDI脱離/イオン化工程中のタグ分子放出および免疫細胞化学技術による間接検出のために特異的にデザインされた標識プローブを組み合わせる、MALDIによるペプチド/タンパク質マルチプレックス特異的イメージングの模式的原理。 A.リニア正モードでのオリゴペプチド3、B.リニア正モードでの100fmolオリゴペプチド1、C.リフレクター正モードでのオリゴペプチド1、2および3の同時の、およびD.金製のMALDI支持プレート上のオリゴペプチド3、のペプチド残基の検出。 固体支持体上のオリゴペプチド3のマッピング。オリゴペプチド3を固体支持体上にマルチピペットで沈着させ、X文字のイメージを描いた。次に、オリゴペプチド3の存在をMALDI−MS分析によってマッピングし、イメージをIDLソフトウェアを用いて再構築した。生成するイメージを示す。 ペプチドタグ付きプロエンケファリンのin situハイブリダイゼーションプローブの合成。A.タグ付き(ペプチド−光開裂可能なリンカー−オリゴヌクレオチド)または通常の(光開裂可能なリンカーおよびペプチド残基のない)フォワード(5’−CAG−GAC−TCC−CCA−AAG−GAG−AAC−AGG−A−3’)およびリバース(5’−GA−CGT−ACC−AGG−CGG−TAG−CTG−CAT−TT−3’)オリゴヌクレオチドを用いて得たプロエンケファリンのPCR増幅生成物。ライン1:通常のフォワードおよびリバースプライマー。ライン2:タグ付きフォワードおよび通常のリバースプライマー。ライン3:通常のフォワードおよびタグ付きリバースプライマー。ライン4:タグ付きフォワードおよびタグ付きリバースプライマー。ライン5:負コントロール:水コントロール。ライン6:分子量マーカー。B.シリカカラム上での精製後の対応する増幅生成物。ライン1:通常のフォワードおよびリバースプライマー。ライン2:タグ付きフォワードおよび通常のリバースプライマー。ライン3:通常のフォワードおよびタグ付きリバースプライマー。ライン4:タグ付きフォワードおよびタグ付きリバースプライマー。ライン5:負のコントロール:水コントロール。ライン6:分子量マーカー。C.およびD.タグ付きフォワードおよびリバースプライマー(C)、またはタグ付きフォワードおよび通常のリバースプライマー(D)を用いた精製PCR増幅生成物のMALDI分析。 ペプチドタグ付きプロエンケファリンin situハイブリダイゼーションプローブのハイブリダイゼーション後のパラフィンを除去したラット脳切片の直接MALDI分析。A.第一の組織切片局在。B.第二の異なる組織切片局在。C.非ペプチドタグ付きプロエンケファリンin situハイブリダイゼーションプローブによるコントロール分析。 修飾ペプチドタグ付きdUTPを組込んでいる核酸プローブの合成およびMALDI分析。A.修飾ペプチドタグ付きdUTPの構造および修飾ペプチドタグ付きdUTPを組み込んでいるプロエンケファリン核酸プローブ(400bp)のRT−PCR合成の略図。B.修飾ペプチドタグ付きdUTPのMALDI分析。C.修飾ペプチドタグ付きdUTPを組込んでいるプロエンケファリン核酸プローブのMALDI分析。D.ペプチドタグのない通常の非修飾dUTPを組込んでいるプロエンケファリン核酸プローブのMALDI分析。 光開裂可能なリンカーXを用いる抗体−ペプチド接合体の合成反応。 光開裂可能なリンカーXを有する抗体−ペプチド接合体の構造。MALDI質量分析法によって検出された2個の主要断片(光開裂可能なリンカーの開裂を介するタグの光解離によって得られた第一の断片、および分子の迅速断片化によって得られた第二の断片)を示す。 光開裂可能なリンカーXを用いる抗体−ペプチド接合体の溶液MALDI分析中に得られる典型的な質量スペクトル(マトリックス シナピン酸 SA)。 接合体を用いない場合(A,ラット脳コントロール)と光開裂可能なリンカーを有する抗体−ペプチド接合体を用いる場合(B)の、ラット脳組織切片の直接分析中に得られる典型的な質量スペクトル。 膜タンパク質カルボキシペプチダーゼD(180kDa)に対して向けられたウサギ一次抗体と、光開裂可能なリンカーを有する抗体−ペプチド接合体とによって検出された該タンパク質の発現マップ。このイメージは、ペプチドタグに対応する検出シグナルから再構築されている。 CHCAマトリックスを用いるFITC標識抗体の溶液MALDI分析中に得られる典型的な質量スペクトル。A.FITC標識抗体なし(CHCAマトリックスのみ)。B.FITC標識抗体あり。

Claims (4)

  1. 組織切片における少なくとも1種類のターゲット分子マップを決定する方法であって、 a) 上記組織切片を少なくとも1種類の接合体:
    Figure 0005220593
    (ここで、それぞれの異なる抗体がターゲット分子に特異的に結合するものであり、かつ、異なるタグ分子であるペプチドに連結される)とハイブリダイズさせること;
    b) 組織切片表面を走査し、それぞれの隣接スポットをMALDI質量分析計で分析すること(ここで、MALDIレーザーは、タグ分子であるペプチドを放出し、かつ試料のイオン化を誘発するために用いられ、それぞれのスポットで得られるデータは保存される);および
    c) それぞれの異なるタグ分子であるペプチドの分子質量ウインドウで得られたデータを解析して、異なる検討したターゲット分子の数と同じ数の組織切片のマップを作製すること
    を含んでなる、方法。
  2. 各ターゲット分子が、ペプチド、タンパク質、抗原、およびハプテンからなる群から独立して選択される、請求項1に記載の方法。
  3. ターゲットペプチド、タンパク質、抗原またはハプテンに特異的に結合する抗体が、上記ペプチド、タンパク質、抗原またはハプテンに対して向けられた抗体である、請求項2に記載の方法。
  4. 下記式:
    Figure 0005220593
    で表される、請求項1に記載の方法での使用に適した接合体。
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