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JP5218913B2 - 筒内圧センサの劣化判定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関に、筒内圧力を検出するために設けられた筒内圧センサの劣化判定装置に関する。
特許文献1には、筒内圧力を検出する筒内圧センサを含む内燃機関の制御装置において、吸気行程中の所定の1点における筒内圧センサの検出値と、吸気行程中の所定の1点に対応した時点における吸入空気の圧力と、圧縮行程中または膨張行程中の少なくとも所定の2点における筒内圧センサの検出値および筒内容積とに基づいて、筒内圧センサの感度の推定値を算出することが開示されている。そして、その推定値が閾値以上になっていると判断された場合、筒内圧センサの感度劣化がある程度進行していることになることが記載されている。
特開2005−351146号公報
上記特許文献1に記載の装置では、上記したように、一旦、筒内圧センサの感度の推定値が算出された後、その推定値を用いて筒内圧センサの感度劣化が判断される。そして、その筒内圧センサの感度の推定値の算出には、吸気行程中の所定の1点における筒内圧センサの検出値と、その所定の1点に対応した時点における吸入空気の圧力と、圧縮行程中または膨張行程中の少なくとも所定の2点における筒内圧センサの検出値が用いられる。したがって、その判断に要する演算をより簡易化することが期待される。
そこで、本発明は、かかる点に鑑みて創案されたものであり、その目的は、より簡易に、内燃機関に設けられた筒内圧センサの劣化を判定することにある。
上記目的を達成するため、本発明の筒内圧センサの劣化判定装置は、筒内圧力を検出するために内燃機関に設けられた筒内圧センサの劣化判定装置において、吸入空気量と、圧縮行程中の所定の2つの時点における筒内圧力の差分との比が所定の閾値を超えるか否かを判定する判定手段と、該判定手段による判定結果に基づいて、前記筒内圧センサが劣化しているか否かを決定する劣化決定手段とを備えることを特徴とする。
好ましくは、上記筒内圧センサの劣化判定装置は、内燃機関に設けられた外部EGR装置と、該外部EGR装置によってEGRガスが気筒内に導入されているとき、判定手段の作動を禁止する第1禁止手段とをさらに備える。
また、好ましくは、上記筒内圧センサの劣化判定装置は、吸気弁あるいは排気弁のリフト量を可変とする可変動弁機構と、リフト量が所定値を越えていないとき、判定手段の作動を禁止する第2禁止手段とをさらに備える。
そして、好ましくは、上記筒内圧センサの劣化判定装置は、ノック発生を抑制するべく、点火プラグによる点火時期を遅角させる点火時期遅角手段と、該点火時期遅角手段による点火時期遅角量が所定量以上のとき、判定手段の作動を禁止する第3禁止手段とをさらに備える。
本発明の第1実施形態が適用された内燃機関の概略構成図である。 吸入空気量と筒内圧力との関係例をクランク角度に対して概念的に表したグラフである。 圧縮圧と吸入空気量との関係例を概念的に表したグラフである。 本発明の第1実施形態に係るフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係るフローチャートである。 点火遅角量、筒内圧力、圧縮比の変化例を、時間に対して概念的に表したグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。まず、第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態が適用された内燃機関を示す概略構成図である。同図に示される内燃機関10は、シリンダブロック12に形成された燃焼室14の内部で燃料および空気の混合気を燃焼させ、気筒16内でピストン18を往復移動させることにより動力を発生するものである。なお、図1には1気筒のみが示されるが、内燃機関10は多気筒エンジンとして構成されると好ましく、本実施形態の内燃機関10は、例えば4気筒エンジンとして構成される。
各燃焼室14に臨む吸気ポートは、吸気マニホールド20に接続されている。この吸気マニホールド20上流側には、順に、サージタンク22および吸気管24が接続されている。吸気管24は、エアクリーナ26を介して図示されない空気取入口に接続されている。そして、吸気管24の中途(サージタンク22とエアクリーナ26との間)には、スロットルバルブ(本実施形態では、電子制御式スロットルバルブ)28が組み込まれている。それら、例えば、吸気ポート、吸気マニホールド20、吸気管24のそれぞれは、吸気通路29の一部を区画形成する。
他方、各燃焼室14に臨む排気ポートは、排気マニホールド30に接続され、この排気マニホールド30には下流側に排気管32が接続されている。排気管32には、三元触媒を含む前段触媒装置34およびNOx吸蔵還元触媒を含む後段触媒装置36が接続されている。それら、例えば、排気ポート、排気マニホールド30、排気管32のそれぞれは、排気通路37の一部を区画形成する。なお、本第1実施形態の内燃機関10には、排気通路37を流れる排気ガスの一部を吸気通路29に導く排気ガス還流(EGR)装置(外部EGR装置)は設けられていない。
内燃機関10のシリンダヘッドには、吸気ポートを開閉する吸気弁Viと、排気ポートを開閉する排気弁Veとが燃焼室14ごとに配設されている。各吸気弁Viおよび各排気弁Veは、可変バルブタイミングおよび/または可変リフト機能を有する動弁機構(図示省略)によって開閉させられる。更に、内燃機関10は、気筒数に応じた数の点火プラグ40を有し、点火プラグ40は、対応する燃焼室14に臨むようにシリンダヘッドに配設されている。
更に、内燃機関10は、図1に示されるように、インジェクタ42を有し、インジェクタ42は、対応する燃焼室14に臨むようにシリンダヘッドに配設されている。そして、内燃機関10では、各燃焼室14に空気を吸入させた状態で、各インジェクタ42から各燃焼室14内のピストン18の凹部18aに向けてガソリン等の燃料が直接噴射される。これにより、内燃機関10では、点火プラグ40の近傍に燃料と空気との混合気の層を周囲の空気層と分離された状態で形成(成層化)することが可能となり、極めて希薄な混合気を用いて安定した成層燃焼を実行することができる。
上述のスロットルバルブ28、各点火プラグ40、各インジェクタ42および動弁機構等は、内燃機関10の制御装置として実質的に機能するECU50に電気的に接続されている。ECU50は、何れも図示されないCPU、ROM、RAM、入出力ポートおよび記憶装置等を含むものである。ECU50には、各種センサ類がA/D変換器等を介して電気的に接続されていて、例えば吸入空気量を検出するためのエアフローメータ52が接続されている。ECU50は、記憶装置に記憶されている各種マップ等を用いると共に各種センサの検出値等に基づいて、所望の出力が得られるように、スロットルバルブ28、点火プラグ40、インジェクタ42、動弁機構等を制御する。
図1に示されるように、ECU50に接続されるセンサ類には、クランク角センサ54が含まれる。クランク角センサ54は、クランクシャフトに固定されるロータプレート(シグナルプレート)等を含む磁気センサまたは光電式センサ等であり、クランクシャフトの回転角度を示すパルス信号を微小時間ごとにECU50に与える。また、内燃機関10は、半導体素子、圧電素子あるいは光ファイバ検出素子等を含む筒内圧センサ56を気筒数に応じた数だけ有している。各筒内圧センサ56は、対応する燃焼室14に受圧面が臨むようにシリンダヘッドに配設されており、それぞれ、図示されないA/D変換器を介してECU50に電気的に接続されている。各筒内圧センサ56は、燃焼室14の圧力すなわち筒内圧力に応じた電気信号を出力する。各筒内圧センサ56からの出力信号は、所定時間(所定クランク角)おきにECU50に順次与えられ、圧力値(例えば絶対圧力)にされた上で、クランク角と関連付けて、ECU50の所定の記憶領域(バッファ)に所定量ずつ格納保持される。さらに、吸気通路の吸気圧を検出するために吸気圧センサ58が設けられている。ここでは、吸気圧センサ58はサージタンク22に設けられている。
内燃機関10が作動されている状態で、本第1実施形態に係る筒内圧センサ56の劣化判定が行われる。それを以下に説明するが、まず、その技術思想について図2および図3を用いて説明する。
図2は、任意の1の気筒における、筒内圧力の変化例を、クランク角度に対して概念的に表したグラフである。図2において、クランク角度0°とは、ピストン18が圧縮上死点にあるときに対応し、クランク角度-60°とは、ピストン18が圧縮上死点前、クランク角度で60°分下降しているときに対応する。
図2から明らかなように、エアフローメータ52からの出力信号に基づいて得られる吸入空気量KLが40%のとき、吸入空気量KLが20%のときに比べて、圧縮行程および燃焼・膨張行程を通じて、筒内圧力がより高く上昇する。これは、周知の通りである。
しかし、圧縮行程での所定の2点間での筒内圧力の変化幅(圧縮圧)ΔPは、吸入空気量KLと比例関係にあり、その比例係数は、吸入空気量に関わらず一定である。例えば、図3には、残留ガスつまり内部EGRガス量が少ないあるいは零のときの吸入空気量KLと筒内圧力の変化幅ΔPとの関係が点線で表され、内部EGRガス量等がそれよりも多いときのそれらの関係が実線で表されている。この両線は平行であり、その傾きは同じである。そして、このような関係は、筒内圧センサ56の感度が同じときに成立する。換言すると、筒内圧センサ56の感度が変化すると、具体的には筒内圧センサ56の感度劣化が進むと、その吸入空気量KLと圧縮圧ΔPとの比例関係における比例係数は変化する。
そこで、本発明では、この比例係数の変化に着目して、筒内圧センサ56の劣化を判定する。本第1実施形態での、その判定を、以下に図4のフローチャートに基づいて説明する。ここでは、図4のフローチャートは、所定時期に行われる。しかし、図4のフローチャートが、種々の期間、例えば所定期間のみ、繰り返されてもよい。なお、ECU50の一部は判定手段(第1判定手段)に含まれ、ECU50の一部は劣化決定手段(第2判定手段)に含まれる。ただし、判定手段には、以下の説明から明らかなように、吸入空気量と、圧縮行程中の所定の2つの時点における筒内圧力の差分との比を算出する算出手段と、該算出手段によって算出されたその比と所定の閾値とを比較してその比が所定の閾値を超えるか否かを判定する比判定手段とが含まれる。
ECU50は、所定の条件を満たすとき、ステップS401へ進む。なお、所定の条件とは、如何なるものであってもよいが、例えば、機関運転状態が内部EGR量が零となる機関運転状態であること、吸排気弁Vi、Voのバルブオーバーラップがないこと、燃料カットが行われていること、の内の1つあるいは任意の組み合わせであり得る。
まず、ステップS401では、吸入空気量KLが検出される。この吸入空気量KLは、エアフローメータ52からの出力信号に基づいて所定の演算をすることで検出される。
次に、ステップS403で、圧縮圧ΔP(=Pθ2−Pθ1)が算出される。この圧縮圧ΔPは、圧縮行程での所定の2点(2つの時点)間での筒内圧力の変化である。そして、ここでは、所定の2点は、筒内ガス量の変化のない状態での所定の2点とされる。また、ここでは、所定の2点は、吸気弁Viの閉弁や点火プラグでの点火によるノイズが実質的にない状態での所定の2点とされる。具体的には、図2に基づいて説明すると、クランク角度θ1は、吸気弁Vi閉弁時のクランク角度よりも所定角度進んだクランク角度であり、例えば、吸気弁Vi閉弁時のクランク角度から5°遅れたクランク角度である。そして、クランク角度θ2は、点火プラグ40による点火時のクランク角度よりも所定角度前のクランク角度であり、例えば、点火時のクランク角度から5°前のクランク角度である。なお、内燃機関10が圧縮着火式機関である場合、クランク角度θ2は、圧縮着火時のクランク角度よりも所定角度前のクランク角度であり得る。ECU50は、クランク角度θ1での筒内圧力Pθ1を例えば記憶装置から読み出すと共に、クランク角度θ2での筒内圧力Pθ2を同様に読み出して、圧縮圧ΔPを算出する。
次ぐステップS405では、ステップS401で検出された吸入空気量KLと圧縮圧ΔPとの比(KL/ΔP)が所定の閾値β以下か否かが判定される。この所定の閾値βは、システム補償値と称され得、筒内圧センサ56に対する要求精度に基づいて定められる。
そして、ステップS405で肯定されると、つまり、吸入空気量KLと圧縮圧ΔPとの比(KL/ΔP)が所定の閾値β以下であるとき、ステップS407でその比に応じた感度補正が行われるようになる。この感度補正は、例えば、その比に基づいて、予め記憶装置に記憶されているデータを検索することで得られる補正値を用いて、筒内圧センサ56からの出力信号に基づいて得られた筒内圧力を補正することで行われる。
他方、ステップS405で否定判定されると、つまり、吸入空気量KLと圧縮圧ΔPとの比(KL/ΔP)が所定の閾値βを超えるとき、ステップS409で、筒内圧センサに感度劣化が生じたので異常であると判定される(決定される)。この結果、例えば、運転席のフロントパネルに設けられるなどした警告灯(不図示)が点灯される。
なお、ステップS401とステップS403とは入れ替えられても、並列にされてもよい。
以上、本第1実施形態を説明したように、吸入空気量KLと、圧縮行程中の所定の2つの時点における筒内圧力の差分ΔPとの比が所定の閾値βを超えるか(換言するとその比が閾値β以下か)否かの判定結果に基づいて、筒内圧センサ56の感度劣化判定が行われる。したがって、わずかこれだけの演算で、つまりより簡易な演算で、内燃機関10に設けられた筒内圧センサ56の劣化を判定することが可能になる。
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。ただし、本第2実施形態が適用された内燃機関10Aは、上記内燃機関10と、外部EGR装置が設けられている点で相違する構成を有する。しかし、他の構成においては、概ね、内燃機関10Aと内燃機関10とは同じである。そこで、内燃機関10Aの図示を省略すると共に、以下の説明において内燃機関10Aの構成要素には対応する内燃機関10の構成要素と同じ符号を付して、内燃機関10Aの構成の説明を省略する。ただし、内燃機関10Aに備えられている外部EGR装置は、排気通路37を流れる排気ガスの一部を吸気通路29に導くようにEGR管によって区画形成されたEGR通路と、EGR通路に設けられたEGR弁(ここでは電子制御式EGR弁)とを備える。なお、ECU50の一部は第1禁止手段に含まれ、ECU50の一部は第2禁止手段に含まれる。
内燃機関10Aでは、内燃機関10と同様に、上記比例係数の変化に着目して、筒内圧センサ56の劣化が判定される。本第2実施形態での、その判定を、以下に図5のフローチャートに基づいて説明する。ここでは、図5のフローチャートは、所定時期に行われる。ここでの所定時期は、吸入新気量や残留ガス量の違いに起因する、圧縮圧ΔPの気筒間バラツキの影響を実質的に排除可能な時期である。しかし、図5のフローチャートが、種々の期間、例えば所定期間のみ、繰り返されてもよい。なお、図5のフローチャートのステップS505〜ステップS513は、図4のフローチャートのステップS401〜ステップS409に対応するので、それらステップの重複説明を省略して、ステップS501およびステップS503のみ以下で説明する。
本第2実施形態のステップS501、S503は、圧縮圧ΔPの気筒間バラツキの影響を実質的に排除可能な時期であるか否かを判定するべく設けられている。圧縮圧ΔPの気筒間バラツキの影響を実質的に排除するためには、バルブリフト量を所定値L以上にすると共に、バルブオーバーラップを零かつEGR弁開度(EGR開度)を零にすることが望まれる。
ステップS501では、バルブリフト量が所定値L以上か否かが判定される。このバルブリフト量には、動弁機構の制御値を読み込んで算出された値が用いられる。なお、機関運転状態からバルブリフト量が導き出されてもよい。
ステップS501で肯定判定されると、ステップS503でEGRガス量が零であるか否かが判定される。ここでいうEGRガスには、バルブオーバーラップに由来する内部EGRガスと、上記外部EGR装置経由の外部EGRガスとが含まれる。それ故、ステップS503での判定は、バルブオーバーラップが零であるか否かの判定と、EGR開度が零であるか否かの判定との二つから構成され得る。この場合、バルブオーバーラップが零でありかつEGR開度が零であるとき、EGRガス量が零であると判定される。なお、バルブオーバーラップやEGR開度が機関運転状態に基づいて制御される場合、機関運転状態がそれらが共に零になる所定機関運転状態であるか否かが判定され、ここで肯定判定されるときステップS503で肯定判定されてもよい。
そして、ステップS503で肯定判定されると、ステップS505へ進む。なお、ステップS501あるいはステップS503で否定判定されるとき、ステップS505へは進まない。つまり、吸気弁Viなどのリフト量が所定値を越えていないときや、外部EGR装置を介したEGRガスが気筒内に導入されているとき、筒内圧センサ56の劣化判定は行われない(禁止される)。
本第2実施形態では、上記第1実施形態と同様の効果が奏されると共に、気筒間バラツキの実質的にない状態で筒内圧センサ56の劣化を判定することが可能になる。なお、本第2実施形態での筒内圧センサの劣化判定は、例えば、アイドル運転時に行われてもよい。
なお、上記第1および第2実施形態では、吸入空気量KLはエアフローメータ52からの出力信号に基づいて検出されたが、吸気圧センサ58からの出力信号に基づいて検出されてもよい。つまり、吸入空気量KLは、吸気圧センサ58からの出力信号に基づいて推定されてもよい。これは以下に説明される本発明に係る第3実施形態に対しても同様に適用され得る。
次に、本発明に係る第3実施形態について説明する。ただし、本第3実施形態が適用された内燃機関10Bは、上記内燃機関10Aと同様の構成を有する。そこで、内燃機関10Bの図示を省略すると共に、以下の説明において内燃機関10Bの構成要素には内燃機関10の対応する構成要素の符号を付して、内燃機関10Bの構成の説明を省略する。なお、ECU50の一部は点火時期遅角手段に含まれ、ECU50の一部は第3禁止手段に含まれる。
しかし、本第3実施形態の筒内圧センサ56の劣化判定が行われる時期は、上記第2実施形態でのその時期よりもさらに制限される。本第3実施形態のその時期を、図6に基づいて説明する。
図6では、横軸に内燃機関10Bが搭載された車両の総走行時間をとり、この横軸に対して、点火時期の遅角量、各サイクルでの筒内圧力の最大値の増大量、圧縮比の増大量の各変化が、それぞれ概念的に重ねて示されている。内燃機関10Bでは機関作動時間が長くなるに連れて、燃焼室を定めるシリンダブロック内壁面等にデポジットが堆積するようになる。これに伴って、燃焼室容積が減少するので、内燃機関10Bの圧縮比が増大するようになり(一点破線参照)、また、各サイクルでの筒内圧力の最大値も増大するようになる(点線参照)。これに対して、ノッキング発生を抑制するべく、点火時期のノック遅角量も、機関作動時間が長くなるに連れて、多くなるようになる(実線参照)。したがって、このようなデポジット形成による圧縮比変化によって、筒内圧センサ56の劣化が判定されるような自体が生ずることを防ぐ必要がある。
そこで、本第3実施形態では、ノック遅角量が遅角側に推移する前までの間の所定時期において、筒内圧センサ56の劣化判定が行われる。具体的には、図6における、時間t0-t1の間、筒内圧センサ56の劣化判定が行われ得、点火時期遅角量が所定量以上となるt1時を過ぎた後は、その劣化判定は禁止される。なお、時間t0-t1は、内燃機関10Bの使用開始時から、点火時期遅角量が所定量未満の間である。
そして、点火時期遅角量が所定量未満のとき、上記した第2実施形態での筒内圧センサ56の劣化判定が行われ得る。
本第3実施形態では、上記第1、2実施形態と同様の効果が奏されると共に、より適切に筒内圧センサ56の劣化を判定することが可能になる。
以上、本発明を3つの実施形態およびそれらの変形例に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されない。本発明は、上記3つの実施形態等の一部あるいは全ての種々の組み合わせを許容する。また、上記説明では、筒内圧センサ56の劣化判定が行われる時期を限定したが、任意に定めることができ、連続して行われてもよい。また、圧縮圧ΔPを得るためのクランク角度θ1、θ2の各々は、吸気弁Vi閉弁時から燃焼開始時までの間であれば、種々の時期に定められ得るが、クランク角度θ1はクランク角度θ2よりも進角側の角度である。
また、上記3つの実施形態では、内燃機関を火花点火式機関としたが、それは圧縮点火式機関であってもよい。あるいは、本発明が適用される内燃機関は、ポート噴射形式の内燃機関であってもよく、本発明は種々の内燃機関に適用可能である。
以上、本発明を実施形態等に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明には、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が含まれる。したがって本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
10 内燃機関
12 シリンダブロック
14 燃焼室
16 気筒
18 ピストン
20 吸気マニホールド
22 サージタンク
24 吸気管
26 エアクリーナ
28 スロットルバルブ
30 排気マニホールド
32 排気管
34 前段触媒装置
36 後段触媒装置
40 点火プラグ
42 インジェクタ
54 クランク角センサ
56 筒内圧センサ
58 吸気圧センサ
Vi 吸気弁
Ve 排気弁

Claims (3)

  1. 筒内圧力を検出するために内燃機関に設けられた筒内圧センサの劣化判定装置において、
    吸入空気量と、圧縮行程中の所定の2つの時点における筒内圧力の差分との比が所定の閾値を超えるか否かを判定する判定手段と、
    該判定手段による判定結果に基づいて、筒内圧センサが劣化しているか否かを決定する劣化決定手段と、
    ノック発生を抑制するべく、点火プラグによる点火時期を遅角させる点火時期遅角手段と、
    該点火時期遅角手段による点火時期遅角量が所定量以上のとき、前記判定手段の作動を禁止する第1の禁止手段と、
    を備えることを特徴とする筒内圧センサの劣化判定装置。
  2. 前記内燃機関に設けられた外部EGR装置と、
    該外部EGR装置によってEGRガスが気筒内に導入されているとき、前記判定手段の作動を禁止する第2の禁止手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の筒内圧センサの劣化判定装置。
  3. 吸気弁あるいは排気弁のリフト量を可変とする可変動弁機構と、
    前記リフト量が所定値を越えていないとき、前記判定手段の作動を禁止する第3の禁止手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の筒内圧センサの劣化判定装置。
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