JP5212173B2 - 車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、片流れ抑制制御に用いる入力値の異常を検知して、片流れの抑制を適正に行うことができる車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法を提供することを課題としている。
《第1の実施の形態》
《構成》
図1は、本実施形態における車両用操舵制御装置の構成を示す図である。
前輪2FL・2FRは、タイロッド3、ラック&ピニオン4、ステアリングシャフト5を順に介してステアリングホイール(以下、ハンドルと称す)6に連結する。ハンドル6の回転運動は、ラック&ピニオン4によってタイロッド3の左右の直線運動に変換する。これにより、前輪2FL・2FRを、キングピン軸を中心に転舵する。
トルクセンサ11は、操舵状態として操舵トルクTを検出する。車速センサ14は、車速Vを検出する。ヨーレートセンサ15は、車両のヨーレートYを検出する。これらの検出信号は、コントローラ9に入力する。
なお、ここではヨーレートセンサ15によってヨーレートγを検出しているが、左右輪の車輪速差からヨーレートYを推定したり、車両モデルにより車速と舵角からヨーレートYを推定したりすることもできる。
そして、コントローラ9は、運転者の操舵力を補助するアシストトルクTaを生成する。さらに、当該アシストトルクTaに応じた電動モータ8の電流指令値Iaを算出する。このとき、低速走行では路面反力つまりハンドル6を操作するときの抵抗が大きいので、アシストトルクTaを強く設定する。また、高速走行ではふらつきを防ぐためにアシストトルクTaを弱く設定する。
具体的には、コントローラ9は、運転者がハンドル6を把持している状態で車両が直進走行しているときに、運転者の操舵力(操舵トルク)が零となるように、上記電流指令値Iaを補正する(以下、「操舵トルク→0制御」と称す)。さらに、コントローラ9は、運転者がハンドル6に手を添えている状態で車両が直進走行していないときに、車両の偏向量(ヨーレート)が零となるように、上記電流指令値Iaを補正する(以下、「ヨーレート→0制御」と称す)。
また本実施形態では、コントローラ9で、トルクセンサ11で検出した操舵トルクT及びヨーレートセンサ15で検出したヨーレートYの異常を検知する。ここで、異常が発生している状態とは、センサ検出値と真値とにずれが生じている状態のことをいう。そして、センサ検出値の異常を検知した場合には、これを解消するための補正処理を行う。
図2は、コントローラ9の構成を示す制御ブロック図である。
コントローラ9は、センサ検出値の異常検知および補正処理を行う入力値異常検知・補正部21と、通常の操舵補助制御を行う操舵補助制御部22と、車両の片流れ抑制制御を行う片流れ抑制制御部23と、電流指令値補正部24と、を備える。
入力値異常検知・補正部21は、操舵トルクT、ヨーレートY、車速V及び片流れ抑制制御部23で出力する電流指令値Ibを入力する。そして、操舵トルクT、ヨーレートY及び電流指令値Ibの推移に基づいて、片流れ抑制制御の入力値である操舵トルクT及びヨーレートYの異常を検知する。異常を検知した場合には、これを解消するための補正処理を行う。この異常検知処理及び補正処理については後述する。
操舵補助制御部22は、操舵トルクTcおよび車速Vに基づいて、電流指令値Iaを算出する。算出した電流指令値Iaは、電流指令値補正部24に出力する。
片流れ抑制制御部23は、操舵トルクTc、ヨーレートYcおよび電流指令値Iに基づいて、電流指令値Iaを補正するための電流指令値Ibを算出する。算出した電流指令値Ibは、電流指令値補正部24に出力する。
片流れ抑制制御部23は、制御切り替え部231と、第1の片流れ抑制制御部232と、第2の片流れ抑制制御部233と、第3の片流れ抑制制御部234と、電流指令値出力部235と、を備える。
制御切り替え部231は、入力値異常検知・補正部21で出力した操舵トルクTcおよびヨーレートYcを入力し、切り替えフラグSを出力する。
Ib1=−a・Ib+KA(b・Tp+c・Tp前回値) ………(1)
Tp=T+KM×I ………(2)
ここで、KMは電流指令値Iを操舵補助トルクに換算するための係数である。
また、上記(1)式において、a,b,cは時定数に応じた定数、KAはゲインである。
そして、第1の片流れ抑制制御部232は、S≠2であるときには、電流指令値Ib1=0を出力する。
これにより、車両が直進走行しているとき、車両が直進するのに必要な操舵トルクは結果的に“0”となり、運転者の操舵負担が軽減する。
Ib2=I前回値−KAP・Y−KAI・Y積算値 ………(3)
ここで、KAPは比例動作のゲイン、KAIは積分動作のゲインである。
そして、第2の片流れ抑制制御部233は、S≠3であるときには、電流指令値Ib2=0を出力する。
これにより、運転者が片流れ抑制制御に任せてハンドル手放し状態であるとき、車両は直進走行し、運転者の操舵負担が軽減する。
Ib3=Ib ………(4)
そして、第3の片流れ抑制制御部234は、S≠1であるときには、電流指令値Ib3=0を出力する。
これにより、片流れ抑制制御が十分働き、電流指令値Ibをこれ以上変化させる必要がない場合や、片流れ抑制制御の対象としているシーンでなく、電流指令値Ibを変化させると違和感につながる場合に、直前の制御状態を維持することができる。
電流指令値補正部24は、操舵補助制御部22で算出した電流指令値Iaと、片流れ抑制制御部23で算出した電流指令値Ibとを加算し、最終的な電流指令値Iを算出する。算出した電流指令値Iは電動モータ8へ出力する。
S=1のときは、運転者がハンドル6に手を添えている又は手放ししており、且つ車両が直進走行している状態(車両は片流れしていない状態)であるか、運転者がハンドル6を把持しており、且つ車両が直進走行していない状態(運転者の意思で車両が旋回走行している状態)である。この場合、制御量(電流指令値Ib)を更新しない制御を行う。
さらに、S=3のときは、運転者がハンドル6に手を添えている又は手放ししており、且つ車両が直進走行していない状態である。すなわち、直進走行したいのに車両が直進しない状態である。この場合、ヨーレートYを“0”に近づける制御(ヨーレート→0制御)を行う。
次に、入力値異常検知・補正部21の具体的構成について説明する。
図4は、入力値異常検知・補正部21の具体的構成を示す制御ブロック図である。
入力値異常検知・補正部21は、オフセット補正値出力部211と、操舵トルク補正部212と、ヨーレート補正部213と、を備える。
オフセット補正値出力部211は、操舵トルクT及びヨーレートYの異常検知を行う。本実施形態では、この異常を解消するための補正処理として、操舵トルクT及びヨーレートYを補正するオフセット補正を採用する。このオフセット補正値出力部211は、上記オフセット補正を行うためのオフセット補正値として、操舵トルク補正値ΔT及びヨーレート補正値ΔYを出力する。
先ずステップS1で、オフセット補正値出力部211は、操舵トルクT、ヨーレートY、電流指令値Ib及び車速Vを取得し、ステップS2に移行する。
ステップS2では、オフセット補正値出力部211は、前記ステップS1で取得した操舵トルクTを時間微分し、操舵トルクの微分値dTを算出する。また、オフセット補正値出力部211は、算出した操舵トルクの微分値dTをメモリに記憶する。メモリには、過去Nステップ(N制御周期)の微分値dTを記憶するものとする。
次にステップS5で、オフセット補正値出力部211は、カウント値time1が設定値time1th以上であるか否かを判定する。そして、time1≧time1thであるときにはステップS6に移行する。ここで、設定値time1thは、定常的にヨーレートYの方向と操舵トルクTの方向とが不一致であると判断できる時間に相当する値に設定する。
一方、前記ステップS5でtime1<time1thであると判定したときには、そのまま図6のステップS21に移行する。
実ヨーレートとヨーレート検出値とに誤差(ずれ)が生じている場合、実ヨーレートとヨーレート検出値との方向が逆向きになるタイミングが存在する。本実施形態では、操舵トルクTとヨーレートYとの向きを監視することで、ヨーレートYの異常を検知する。
また、ステップS7では、オフセット補正値出力部211は、カウント値time1をクリアしてステップS8に移行する。
一方、前記ステップS8で|Ib|<T2thであると判定すると、ステップS10に移行する。
上述した図3に示すように、本実施形態における片流れ抑制制御は、自身の出力をフィードバックする構成である。したがって、実操舵トルクと操舵トルク検出値(トルクセンサ11で検出した操舵トルクT)とに誤差(ずれ)が生じていると、この測定誤差を積算してしまう。
そのため、図8に示すように電流指令値Ibが増大し続け、制御量閾値T2th以上となり得る。そこで、本実施形態では、電流指令値Ibが制御量閾値T2th以上となるのを監視することで、操舵トルクTの異常を検知する。
ここで、操舵トルク閾値T3thは、運転者が意図的に操舵操作(修正操舵)を行ったと判断できる程度の値に設定する。また、カウント値time3は、前回の修正操舵からの経過時間を計測するためのものである。
ステップS12では、オフセット補正値出力部211は、運転者が修正操舵した回数を示すカウント値N3をインクリメントすると共に、カウント値time3をクリアしてステップS13に移行する。
ここで、パターンフラグP3Yは、ヨーレートYのオフセット補正が必要であるときに“1”となり、正常時には“0”となるフラグである。また、パターンフラグP3Tは、操舵トルクTのオフセット補正が必要であるときに“2”となり、操舵トルクTのオフセット補正が必要である可能性があるときに“1”となり、正常時には“0”となるフラグである。
また、ステップS18では、オフセット補正値出力部211は、カウント値time3をインクリメントしてステップS19に移行する。
すなわち、前記ステップS19では、前回の修正操舵から所定時間time3thが経過したか否かを判定している。そして、前回の修正操舵から所定時間time3thが経過しているときには、頻繁な修正操舵でないと判断し、カウント値N3及びカウント値time3を初期化する。
運転者がハンドル6に手を添えて直進走行したいときに(片流れ抑制制御に任せて直進走行したいときに)車両が片流れすると、これを回避するために運転者は頻繁に修正操舵を行う。すなわち、頻繁に修正操舵とハンドル手放しとを繰り返す。したがって、所定時間time3th未満の間隔で操舵トルク|T|が所定値T3th以上となる状態が所定回数N3th以上発生する。そこで、本実施形態では、これを監視することで、操舵トルクT及び/又はヨーレートYの異常を検知する。
ステップS22では、オフセット補正値出力部211は、車両が停止状態であるか否かを判定する。ここでは、車速V=0である状態が所定時間継続していること、及び運転者がブレーキペダルを所定以上の力で踏んでいることから車両停止状態を判定する。これにより、車両が確実に停止している状態であるか否かを判定することができる。
ステップS23では、オフセット補正値出力部211は、この時点で、ヨーレートセンサ15で検出したヨーレートYをヨーレート補正値ΔYとして設定し、これをヨーレート補正部213に出力する。
ステップS25では、オフセット補正値出力部211は、パターンフラグP2が“1”にセットしてあるか否かを判定する。そして、P2=1であると判定するとステップS26に移行し、P2≠1であると判定すると後述するステップS30に移行する。
ステップS27では、オフセット補正値出力部211は、メモリに記憶した過去Nステップの操舵トルクの微分値dTが全て“0”であるか否かを判定する。そして、全てdT=0であると判定するとステップS28に移行し、少なくとも1つがdT≠0であると判定すると後述するステップS30に移行する。
ステップS28では、オフセット補正値出力部211は、この時点で、トルクセンサ11で検出した操舵トルクTを操舵トルク補正値ΔTとして設定し、これを操舵トルク補正部212に出力する。
次にステップS29で、オフセット補正値出力部211は、操舵トルクTの補正処理が終了したものとしてパターンフラグP2及びP3Tをクリアし、ステップS30に移行する。
ステップS31では、オフセット補正値出力部211は、車両が停止状態であるか否かを判定する。そして、車両が停止状態にあると判定するとステップS32に移行し、車両が走行状態にあると判定すると後述するステップS39に移行する。
ステップS32では、オフセット補正値出力部211は、この時点で、ヨーレートセンサ15で検出したヨーレートYをヨーレート補正値ΔYとして設定し、これをヨーレート補正部213に出力する。
ステップS34では、オフセット補正値出力部211は、パターンフラグP3Tが“2”にセットしてあるか否かを判定する。そして、P3T=2であると判定するとステップS35に移行し、P3T≠2であると判定すると後述するステップS39に移行する。
ステップS36では、オフセット補正値出力部211は、メモリに記憶した過去Nステップの操舵トルクの微分値dTが全て“0”であるか否かを判定する。そして、全てdT=0であると判定するとステップS37に移行し、少なくとも1つがdT≠0であると判定すると後述するステップS39に移行する。
次にステップS38で、オフセット補正値出力部211は、操舵トルクTの補正処理が終了したものとしてパターンフラグP3Tをクリアし、ステップS39に移行する。
このように、運転者の修正操舵を監視することにより、操舵トルクT及び/又はヨーレートYに異常が生じていると判断すると、先ずヨーレートYのオフセット補正を行う。そして、その後も修正操舵を繰り返す場合には、操舵トルクTのオフセット補正を行う。
また、ヨーレート補正部213は、ヨーレートセンサ15で検出したヨーレートYからオフセット補正値出力部211で出力したヨーレート補正値ΔYを差し引き、その結果をオフセット補正後のヨーレートYcとする。算出したヨーレートYcは、片流れ抑制制御部23に出力する。
次に、本実施形態の動作について、図10を参照しながら説明する。
図10は、ヨーレートYに異常(測定誤差)が発生している場合の動作を説明する図である。
今、運転者が操舵操作をしており、トルクセンサ11が、図10(b)に示すような操舵トルクTを検出しているものとする。このとき、運転者の操舵操作に応じて車両のヨーレートが発生する。そして、ヨーレートセンサ15は、図10(a)の実線で示すようなヨーレートYを検出する。このヨーレート検出値Yは、破線で示す実ヨーレートに対して測定誤差分だけオフセットしたものとなる。
ヨーレートYに異常が発生している場合、ヨーレートYの向きと操舵トルクTの向きとが不一致となる期間が存在する。ここでは、時刻t1から時刻t2までの間、ヨーレートYの向きと操舵トルクTの向きとが不一致となる。
その後、片流れ抑制制御に頼って直進走行するために、運転者が操舵操作を終了したものとする。すると、時刻t3で、制御切り替え部231は、運転者がハンドル6に手を添えている状態で車両が直進走行していない状態であると判断し、切り替えフラグS=3を出力する。
しかしながら、ヨーレート検出値Yと実ヨーレートとには誤差が生じていることから、ヨーレート検出値Yを“0”に近づけると実ヨーレートは“0”にならない。その結果、車両は片流れしてしまう。
これにより、その後は補正後のヨーレートYc(=実ヨーレート)を用いて片流れ抑制制御を行うことになる。したがって、その後のヨーレート→0制御では、補正後のヨーレートYcを“0”に近づける制御を行うことができる。つまり、ヨーレート→0制御により実ヨーレートを“0”に近づける制御を行うことができ、適正に車両の片流れを抑制することができる。
また、本実施形態では、車両が停止状態にあれば実ヨーレートは必ず0になることを用い、車両が停止状態にあると判断したときのヨーレート検出値をヨーレート補正値ΔYとして設定する。そして、このヨーレート補正値ΔYでヨーレート検出値をオフセット補正する。これにより、その後の片流れ抑制制御では、実ヨーレートが目標値である0に収束することになる。したがって、運転者が片流れ抑制制御に任せて走行しているときに車両が適正に直進走行するという関係を成立することができる。
今、運転者が操舵操作を行っていない状態で車両が直進走行している(片流れしていない)ものとする。このとき、トルクセンサ11は、図11(a)の実線で示すような操舵トルクTを検出する。この操舵トルク検出値Tは、破線で示す実操舵トルクに対して測定誤差分だけオフセットしたものとなる。
すると、第1の片流れ抑制制御部232が出力した操舵トルク→0制御を行うための電流指令値Ib1が、片流れ抑制制御の電流指令値Ibとなって電動モータ8を駆動制御する。
その後、時刻t12で、車両が完全に停止したものとする。このとき、運転者は所定時間ハンドル6を操作していない状態であり、過去NステップのdT=0であるため、図6のステップS26でYes、ステップS27でYesと判定する。そのため、この時刻t12での操舵トルク検出値Tを操舵トルク補正値ΔTとして設定する。そして、操舵トルク補正部212は、操舵トルク検出値Tを操舵トルク補正値ΔTでオフセット補正する。
このように、片流れ抑制制御の電流指令値Ibが所定の制御量閾値T2th以上であるか否かを監視するので、適正に操舵トルクの異常を検知することができる。
今、運転者が片流れ抑制制御に頼って直進走行したいために、ハンドル6に手を添えている状態であるものとする。このとき、操舵トルクTに異常が発生していることにより車両が片流れすると、その度に運転者は片流れを回避するための修正操舵を行う。すなわち、所定時間time3th未満の間隔で操舵トルクTが所定値T3th以上となる状態が所定回数N3th以上発生する。
その後、時刻t21で、車両が停止状態となると、図6のステップS30でYes、ステップS31でYesと判定する。そのため、この時刻t21でのヨーレート検出値Y=0をヨーレート補正値ΔYとして設定する。つまり、ヨーレート補正部213で補正した補正後のヨーレートYcは、ヨーレート検出値Yと等しくなる。そして、ステップS33で、パターンフラグP3Y=0とする。
このように、片流れ抑制制御を実施しているときに、運転者が頻繁に修正操舵を行っているか否かを監視するので、操舵トルクT及び/又はヨーレートYの異常を適正に検知することができる。
また、操舵トルクT及び/又はヨーレートYの異常を検知したときは、先にヨーレートYの補正処理を行い、その後も運転者が頻繁な修正操舵を行っている場合に操舵トルクTの補正処理を行う。
現在主流の車速Vの計測方法は、停止状態と極低速走行状態との区別がつきにくい特性がある。そのため、極低速走行状態であるにもかかわらず停止状態であると誤判断する場合がある。この場合、実際はヨーレートが発生している可能性があるにもかかわらず、その時点のヨーレートを0と補正してしまうことになり、逆にヨーレート検出値を狂わせてしまう。
なお、図1において、電動モータ8が操舵アクチュエータを構成し、トルクセンサ11が操舵状態検出手段を構成し、ヨーレートセンサ15がヨーレート検出手段を構成している。また、図2の片流れ抑制制御部22が片流れ抑制制御手段を構成している。
また、図5において、ステップS3〜S20が誤差判定手段を構成している。さらに、図6において、ステップS21〜S38が誤差補正手段を構成し、ステップS22、S26、S31及びS35が停止状態検出手段を構成し、ステップS23及びS32がヨーレート補正値設定手段を構成し、ステップS28及びS37が操舵量補正値設定手段を構成している。またステップS2、S27及びS36が操舵状態変化検出手段を構成している。
(1)操舵状態検出手段は、運転者の操舵状態を検出する。ヨーレート検出手段は、車両のヨーレートを検出する。片流れ抑制制御手段は、操舵状態検出手段で検出した操舵状態及びヨーレート検出手段で検出したヨーレートに基づいて、直進走行時の運転者の操舵力が零となる操舵補助力を発生するべく操舵アクチュエータを駆動制御すると共に、運転者がステアリングホイールに手を添えた状態であるときの車両の偏向量が零となる操舵補助力を発生するべく操舵アクチュエータを駆動制御する。
(3)誤差判定手段は、操舵状態検出手段で検出した操舵方向とヨーレート検出手段で検出したヨーレートの方向とが所定の判断時間以上不一致であるとき、ヨーレート検出手段の検出値に誤差が含まれていると判定する。
したがって、片流れ抑制制御で用いるヨーレート検出値の異常を適正に検知することができる。また、ヨーレート検出値を補正するので、運転者が片流れ抑制制御に頼ってハンドル手放し状態であるとき、適切に車両の片流れを抑制し直進性を向上することができる。
したがって、片流れ抑制制御で用いる操舵状態検出値の異常を適正に検知することができる。また、操舵状態検出値を補正するので、運転者が直進走行するためにハンドルを把持しているときの操舵反力を零とすることができる。
したがって、片流れ抑制制御で用いる操舵状態検出値及び/又はヨーレート検出値の異常を適正に検知することができる。また、操舵状態検出値及びヨーレート検出値を補正するので、適切に車両の片流れ抑制制御を実施することができる。
このように、実ヨーレートが零となる状態を検出し、その時点でのヨーレート検出値をオフセット補正値として設定する。これにより、適正にヨーレート検出値を補正することができる。
このように、実操舵状態が零となる状態を検出し、その時点での操舵状態検出値をオフセット補正値として設定する。これにより、適正にヨーレート検出値を補正することができる。
このように、操舵状態検出値及び/又はヨーレート検出値の異常を検知した場合には、ヨーレート検出値の補正を行う。これにより、操舵状態検出値の補正処理より判断条件の少ないヨーレート検出値の補正処理を先に行うことができ、検出値異常の補正処理の確実性を増すことができる。
このように、ヨーレート検出値の補正処理を行った後に操舵状態検出値の補正処理を行うので、検出値異常の補正処理を適正に行うことができる。
これにより、片流れ抑制制御に用いる操舵状態検出値及びヨーレート検出値に誤差が含まれている場合であっても、それを補正処理して適切に車両の片流れを抑制することができる。その結果、運転者の望む車両挙動を実現することができる。
(1)上記実施形態においては、操舵状態として操舵トルクを検出する場合について説明したが、これに代えて操舵角を検出することもできる。この場合、車両用操舵制御装置の構成は、図13に示すようになる。図13に示すように、操舵状態検出手段としてのエンコーダ12で操舵角θを検出する。
そして、操舵角θの方向(符号)とヨーレートYの方向(符号)とが不一致であるとき、ヨーレートYに異常が発生していると判断する。また、電流指令値Ibの推移に基づいて操舵トルクTに異常が発生していると判断したときには、車両が停止状態で且つ操舵角θに変動がないときに、操舵トルクTのオフセット補正を行う。さらに、操舵角θの局所的変化を監視することで運転者の頻繁な修正操舵を検出し、ヨーレートY及び/又は操舵トルクTの異常を検知する。
この場合にも、片流れ抑制制御に用いる入力値と真値とのずれが生じている状態を検知することができると共に、それを補正処理して適切に車両の片流れを抑制することができる。
Ib1=I前回値−KAP・T−KAI・T積算値 ………(5)
この場合にも、上述した各実施形態と同様に、操舵トルクTを“0”に近づける制御を行うことができる。
3 タイロッド
4 ラック&ピニオン
5 ステアリングシャフト
6 ステアリングホイール(ハンドル)
7 減速機
8 電動モータ
9 コントローラ
11 トルクセンサ
12 エンコーダ
14 車速センサ
15 ヨーレートセンサ
Claims (10)
- 操舵系に操舵補助力を付与する操舵アクチュエータと、
運転者の操舵状態を検出する操舵状態検出手段と、
車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
前記操舵状態検出手段で検出した操舵状態及び前記ヨーレート検出手段で検出したヨーレートに基づいて、直進走行時の運転者の操舵力が零となる操舵補助力を発生するべく前記操舵アクチュエータを駆動制御すると共に、運転者がステアリングホイールに手を添えた状態であるときの車両の偏向量が零となる操舵補助力を発生するべく前記操舵アクチュエータを駆動制御する片流れ抑制制御手段と、
前記操舵状態検出手段で検出した操舵状態、前記ヨーレート検出手段で検出したヨーレート、及び前記片流れ抑制制御手段による前記操舵アクチュエータの駆動制御量に基づいて、前記操舵状態検出手段及び前記ヨーレート検出手段で夫々検出した検出値に誤差が含まれているかを判定する誤差判定手段と、
前記誤差判定手段で前記検出値に誤差が含まれていると判定したとき、前記操舵状態検出手段及び前記ヨーレート検出手段で夫々検出した検出値を補正する誤差補正手段と、を備えることを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 前記操舵状態検出手段は、前記操舵状態として、操舵トルク及び操舵角の少なくとも一方を検出することを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵制御装置。
- 前記操舵状態検出手段は、前記操舵状態として少なくとも操舵方向を検出し、
前記誤差判定手段は、前記操舵状態検出手段で検出した操舵方向と前記ヨーレート検出手段で検出したヨーレートの発生方向とが所定の判断時間以上不一致であるとき、前記ヨーレート検出手段の検出値に誤差が含まれていると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用操舵制御装置。 - 前記誤差判定手段は、前記片流れ抑制制御手段による前記操舵アクチュエータの駆動制御量が所定の制御量閾値以上となったとき、前記操舵状態検出手段の検出値に誤差が含まれていると判定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
- 前記操舵状態検出手段は、前記操舵状態として少なくとも操舵量を検出し、
前記誤差判定手段は、前記操舵状態検出手段で検出した操舵量が所定の操舵量閾値以上となる局所的変化を、所定時間未満の間隔で所定回数検出したとき、前記操舵状態検出手段及び前記ヨーレート検出手段の少なくとも一方の検出値に誤差が含まれていると判定することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。 - 車両の停止状態を検出する停止状態検出手段を備え、
前記誤差補正手段は、
前記誤差判定手段で前記ヨーレート検出手段の検出値に誤差が含まれていると判定した後に、前記停止状態検出手段で車両が停止状態にあることを検出したとき、前記ヨーレート検出手段で検出したヨーレートを当該ヨーレート検出手段の検出値のオフセット補正値として設定するヨーレート補正値設定手段と、
前記ヨーレート補正値設定手段で設定したオフセット補正値に基づいて、前記ヨーレート検出手段で検出したヨーレートをオフセット補正するヨーレート誤差補正手段と、を備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。 - 車両の停止状態を検出する停止状態検出手段と、前記操舵状態検出手段で検出した操舵状態の変化を検出する操舵状態変化検出手段と、を備え、
前記誤差補正手段は、
前記誤差判定手段で前記操舵状態検出手段の検出値に誤差が含まれていると判定した後に、前記停止状態検出手段で車両が停止状態にあることを検出し、且つ前記操舵状態変化検出手段で前記操舵状態に変化がないことを検出したとき、前記操舵状態検出手段で検出した操舵量を当該操舵状態検出手段の検出値のオフセット補正値として設定する操舵量補正値設定手段と、
前記操舵量補正値設定手段で設定したオフセット補正値に基づいて、前記操舵状態検出手段で検出した操舵量をオフセット補正する操舵量誤差補正手段と、を備えることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。 - 車両の停止状態を検出する停止状態検出手段を備え、
前記誤差補正手段は、
前記誤差判定手段で、前記操舵状態検出手段及び前記ヨーレート検出手段の少なくとも一方の検出値に誤差が含まれていると判定した後に、前記停止状態検出手段で車両が停止状態にあることを検出したとき、前記ヨーレート検出手段で検出したヨーレートを当該ヨーレート検出手段の検出値のオフセット補正値として設定するヨーレート補正値設定手段と、
前記ヨーレート補正値設定手段で設定したオフセット補正値に基づいて、前記ヨーレート検出手段で検出したヨーレートをオフセット補正するヨーレート誤差補正手段と、を備えることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。 - 前記誤差判定手段は、前記ヨーレート誤差補正手段で、前記ヨーレート検出手段で検出したヨーレートをオフセット補正した後に、前記操舵状態検出手段で検出した操舵量が所定の操舵量閾値以上となる局所的変化を、所定時間未満の間隔で所定回数検出したとき、前記操舵状態検出手段の検出値に誤差が含まれていると判定することを特徴とする請求項8に記載の車両用操舵制御装置。
- 操舵状態検出値及びヨーレート検出値に基づいて、直進走行時の運転者の操舵力が零となる操舵補助力を発生するように操舵アクチュエータを駆動制御すると共に、運転者がステアリングホイールに手を添えた状態であるときの車両の偏向量が零となる操舵補助力を発生するように操舵アクチュエータを駆動制御する片流れ抑制制御を実施し、前記操舵状態検出値、前記ヨーレート検出値、及び前記片流れ抑制制御による操舵アクチュエータの駆動制御量に基づいて、前記操舵状態検出値及び前記ヨーレート検出値の少なくとも一方に誤差が含まれているか否かを判定し、誤差が含まれていると判定したとき、前記操舵状態検出値及び前記ヨーレート検出値を補正することを特徴とする車両用操舵制御方法。
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