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JP5211824B2 - Euvリソグラフィ用反射型マスクブランクの製造方法 - Google Patents

Euvリソグラフィ用反射型マスクブランクの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、EUVリソグラフィ用反射型マスクブランクの製造方法に関する。
従来から、リソグラフィ技術においては、ウェハ上に微細な回路パターンを転写して集積回路を製造するための露光装置が広く利用されている。集積回路の高集積化、高速化および高機能化に伴い、集積回路の微細化が進み、露光装置には深い焦点深度で高解像度の回路パターンをウェハ面上に結像させることが求められ、露光光源の短波長化が進められている。露光光源は、従来のg線(波長436nm)、i線(波長365nm)やKrFエキシマレーザ(波長248nm)から更に進んでArFエキシマレーザ(波長193nm)が用いられ始めている。また、回路の線幅が45nm以下となる次世代の集積回路に対応するため、露光光源としてボトムレンズとウェハの間の空間を従来の不活性ガスに代り屈折率の高い水で満たした液浸リソグラフィ(光源はArFエキシマレーザ)を用いることが有力視されているが、これも線幅が45nm世代あるいは32nm世代までしかカバーできないとみられている。
このような技術動向にあって、次の世代の露光光源として極紫外(Extreme UltraViolet:略してEUV)光を使用したリソグラフィ技術が、45nm以降の複数の世代にわたって適用可能と見られ注目されている。EUV光とは軟X線領域または真空紫外域の波長帯の光を指し、具体的には波長が0.2〜100nm程度の光のことである。現時点では、リソグラフィ光源として波長約13.5nmの光の使用が検討されている。このEUVリソグラフィ(以下、「EUVL」と略する)の露光原理は、投影光学系を用いてマスクパターンを転写する点では、従来のリソグラフィと同じであるが、EUV光のエネルギー領域では光を透過する材料がないために屈折光学系を用いることができず、反射光学系を用いることとなる。
マスクブランクは、フォトマスク製造に用いられるパターニング前の積層体である。一般的なEUVマスクブランクの概略断面図を図1に示す。図1に示すように、EUVマスクブランク1の場合、ガラス基板等の基板11上にEUV光を反射する反射膜12と、EUV光を吸収する吸収膜14とがこの順で成膜された構造を有している。反射膜12としては、高屈折率膜と低屈折率膜とを交互に積層することで、EUV光の波長域の光線を膜表面に照射した際の、EUV波長域のピーク反射率が高められた多層反射膜が通常使用される。吸収膜には、EUV光に対する吸収係数の高い材料、具体的にはたとえば、CrやTaを主成分とする材料が用いられる。
EUVL用マスクブランクは、反射膜および吸収膜のみを有するものであってもよいが、通常はこれら以外の膜を有している。例えば、反射膜表面の酸化を防止するための保護膜が反射膜上に成膜される場合もある。また、エッチング処理の際に反射膜12がダメージを受けるのを防止するため、エッチングストッパーとしての役割を果たすバッファー膜13が反射膜12上に設けられる場合もある。ここで、保護膜がバッファー膜の役割を果たすことができる場合は、バッファー膜を兼ねた保護膜として一つの膜を設ければよい。(例えば、特許文献1参照。)
また、マスクパターンの検査時のコントラスト、すなわち、反射膜(反射膜上に保護膜が成膜されている場合は保護膜)と吸収膜との反射率の差を高めるために、マスクパターンの検査に用いる検査光に対する反射率が低い反射防止膜15が吸収体膜14上に成膜されている場合もある。
国際公開03/85709号パンフレット
EUVL用マスクブランクにおいて、多層反射膜の表面におけるEUV波長域のピーク反射率に面内分布が生じることが問題である。多層反射膜の表面におけるEUV波長域の反射率スペクトルを測定すると、測定する波長により反射率の値は異なり、極大値を有する。この極大値のことを本明細書において、EUV波長域のピーク反射率という。多層反射膜の表面におけるEUV波長域のピーク反射率に面内分布(つまり、ピーク反射率が、多層反射膜の場所により異なる状態)が生じると、該EUVL用マスクブランクから作成したEUVL用マスクを用いてEUVLを実施した際に、ウェハ上レジストへ照射されるEUV露光量の面内分布を生じ、露光フィールド内におけるパターン寸法のばらつきの原因となり、問題である。
ここで多層反射膜の表面でのEUV波長域の反射率とは、厳密には、入射光強度に対する多層反射膜の最表面でのみ反射された光の強度の比率ではなく、入射光強度に対する最表面およびその下に積層されている高屈折率膜と低屈折率膜との間の各界面から反射される光の累積強度の比率である。以下便宜上、「膜表面での反射率」という表現を用いるが、この表現は、入射光に対する最表面からの反射光の強度比を意味することに加えて、入射光に対する最表面およびその下層からの累積反射光の強度比を意味する場合もある。
多層反射膜表面でのEUV波長域のピーク反射率の面内分布の原因としては種々考えられる。例えば、(1)基板表面粗さに面内分布が存在すること、(2)反射膜として用いる多層反射膜を構成する各層、すなわち、高屈折率膜および低屈折率膜の膜厚に面内分布が存在すること、(3)反射膜として用いる多層反射膜を構成する各膜の界面、すなわち、高屈折率膜と低屈折率膜との界面で拡散層が生じ、該拡散層の厚みに面内分布が存在すること、(4)多層反射膜と保護膜との界面で拡散層が生じ、該拡散層の厚みに面内分布が存在する等が挙げられる。ここで、拡散層とは、界面で接し合う層の構成材料が、互いに反対側の層へと拡散して、界面で接し合う層の構成材料同士が反応して化合物を形成することによって生じる層を指す。例えば、多層反射膜がMo膜とSi膜とが交互に積層されたMo/Si多層反射膜である場合、Mo膜を構成するMoと、Si膜を形成するSiとが、Mo膜/Si膜界面で反応して化合物(MoSix)を形成することで生じる層である。
上記した従来技術の問題点を解決するため、本発明は、多層反射膜の表面でのEUV波長域のピーク反射率の面内均一性に優れるEUVL用マスクブランクを製造する方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、基板上に、高屈折率層と低屈折率層を交互に積層させEUV光を反射する多層反射膜を成膜し、該多層反射膜表面におけるEUV波長域のピーク反射率分布を求め、得られた該多層反射膜表面のEUV波長域のピーク反射率分布に基づいて、EUV波長域のピーク反射率が最も低い部位よりもEUV波長域のピーク反射率が高い部位の少なくとも一部を局所加熱することにより、該多層反射膜の表面におけるEUV波長域のピーク反射率の面内分布平均ピーク反射率に対して±0.25%以内となるように、該多層反射膜の表面におけるEUV波長域のピーク反射率分布を補正し、該多層反射膜上にEUV光を吸収する吸収膜を成膜することを特徴とするEUVリソグラフィ(EUVL)用反射型マスクブランクの製造方法を提供する。
ここで、前記EUV波長域のピーク反射率が最も低い部位よりもEUV波長域のピーク反射率が高い部位の少なくとも一部を局所加熱することが、前記EUV波長域のピーク反射率が高い部位の温度が前記多層反射膜表面の他の部位の温度に比べて相対的に高くなるように前記多層反射膜表面全体を加熱することによって達成されてもよい。
また、本発明は、基板上に、高屈折率層と低屈折率層を交互に積層させEUV光を反射する多層反射膜を成膜し、該多層反射膜上に保護膜を成膜し、該保護膜の表面におけるEUV波長域のピーク反射率分布を求め、得られた該保護膜表面のEUV波長域のピーク反射率分布に基づいて、EUV波長域のピーク反射率が最も低い部位よりもEUV波長域のピーク反射率が高い部位の少なくとも一部を局所加熱することにより、該保護膜の表面におけるEUV波長域のピーク反射率の面内分布平均ピーク反射率に対して±0.25%以内となるように、該保護膜表面におけるEUV波長域のピーク反射率分布を補正し、該保護膜上にEUV光を吸収する吸収膜を成膜することを特徴とするEUVL用反射型マスクブランクの製造方法を提供する。
本発明のマスクブランク製造方法において、前記吸収膜上に、マスクパターンの検査に使用する検査光における反射防止膜をさらに成膜してもよい。
本発明のマスクブランク製造方法において、前記局所加熱を加熱温度180℃以下で実施することが好ましく、加熱温度180℃以下、加熱時間1〜10分で実施することがより好ましい。
本発明のマスクブランク製造方法において、前記局所加熱に、光線または電子線の照射を用いることが好ましい。
また、本発明のマスクブランク製造方法において、前記局所加熱に、微小な発熱部材を用いることが好ましい。
また、本発明のマスクブランク製造方法において、前記局所加熱に、予め加熱された気体を局所的に吹き付けることを用いることが好ましい。
本発明のマスクブランクの製造方法によれば、多層反射膜の表面におけるEUV波長域のピーク反射率の面内分布を解消することができる。この結果、得られたEUVL用マスクブランクから作製したEUVL用マスクを用いてEUVLを実施した際に、ウェハ上に形成されたレジストへ照射されるEUV露光量に面内分布が生じることがなく、露光フィールド内におけるパターン寸法のばらつきがない。したがって、パターン寸法精度の高いEUVL用マスクを実現することができる。
以下、本発明のマスクブランクの製造方法について説明する。
本発明のマスクブランクの製造方法を以下に順に示す。
(1)基板を準備する。
(2)基板上にEUV光を反射する多層反射膜を成膜する。
(3)所定のピーク反射率分布を満足するように多層反射膜の表面におけるEUV波長域のピーク反射率の修正を行う。
(4)多層反射膜上に吸収膜を成膜する。
ここで、多層反射膜として要求される特性を長期に渡り安定的に維持するために、多層反射膜上に保護膜を成膜する工程(5)を、上記工程(2)と上記工程(3)の間に追加してもよい。この場合、上記工程(3)では、所定のピーク反射率分布を満足するように保護膜の表面におけるEUV波長域のピーク反射率の修正を行う。
また、吸収膜を部分的にエッチングしてパターンを形成する際に、エッチングストッパーとしての役割を果たすバッファー膜を、多層反射膜上あるいは保護膜上に成膜する工程(6)を、上記工程(3)と上記工程(4)の間に追加してもよい。
また、マスクパターンの検査を可能にするため、吸収膜上に反射防止膜を成膜する工程(7)を上記工程(4)の後に追加してもよい。
また、各工程間に、各工程で膜表面に付着したパーティクルや膜表面に吸着された汚染物質を除去するために洗浄工程を追加してもよい。
以下に各工程について、順にその詳細を説明する。
[基板]
基板は、EUVL用マスクブランクの基板としての特性を満たすことが要求される。そのため、基板は、露光時の温度において、低熱膨張係数(0±1.0×10-7/℃であることが好ましく、より好ましくは0±0.3×10-7/℃、さらに好ましくは0±0.2×10-7/℃、さらに好ましくは0±0.1×10-7/℃、特に好ましくは0±0.05×10-7/℃)を有し、平滑性、平坦性、およびマスクブランクまたはパターン形成後のフォトマスクの洗浄等に用いる洗浄液への耐性に優れたものが好ましい。基板としては、具体的には低熱膨張係数を有するガラス、例えばSiO2−TiO2系ガラス等を用いるが、これに限定されず、β石英固溶体を析出した結晶化ガラスや石英ガラスやシリコンや金属などの基板を用いることもできる。また、基板上に応力補正膜のような膜を成膜してもよい。
基板は、0.15nm rms以下の平滑な表面と100nm以下の平坦度を有していることが、製造後のEUVL用マスクにおいて高反射率および高い転写精度が得られるために好ましい。
基板の大きさや厚みなどは、製造されるEUVL用マスクの設計値等により適宜決定されるものである。例えば、一例を挙げると、外形6インチ(152.4mm)角で、厚さ0.25インチ(6.3mm)基板である。
基板の多層反射膜が成膜される側の表面(成膜面)には欠点が存在しないことが好ましい。しかし、存在している場合であっても、凹状欠点および/または凸状欠点によって位相欠点が生じないように、凹状欠点の深さおよび凸状欠点の高さが2nm以下であり、かつこれら凹状欠点および凸状欠点の半値幅(FWHM(full width of half maximum))が60nm以下であることが好ましい。
[多層反射膜]
EUVL用マスクブランクの反射膜としては、EUV波長域において高反射率を達成できることから、高屈折率膜と低屈折率膜を交互に複数回積層させた多層反射膜が用いられる。
多層反射膜は、EUVL用マスクブランクの反射膜として所望の特性を有するものである限り特に限定されない。ここで、多層反射膜に特に要求される特性は、EUV波長域のピーク反射率が高いことである。具体的には、EUV光の波長域の光線を多層反射膜表面に入射角度6〜8度で照射した際に、EUV波長域のピーク反射率が60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましい。
多層反射膜において、高屈折率膜にはSi(波長13.5nmにおける屈折率=0.999)が広く使用され、低屈折率膜にはMo(同屈折率=0.924)が広く使用される。すなわち、Mo/Si多層反射膜が最も一般的である。但し、多層反射膜はこれに限定されず、Ru/Si多層反射膜、Mo/Be多層反射膜、Rh/Si多層反射膜、Pt/Si多層反射膜、Mo化合物/Si化合物多層反射膜、Si/Mo/Ru多層反射膜、Si/Mo/Ru/Mo多層反射膜、Si/Ru/Mo/Ru多層反射膜なども用いることができる。
多層反射膜を構成する各層の膜厚および層の繰り返し単位の数は、使用する膜材料および多層反射膜に要求されるEUV波長域のピーク反射率に応じて適宜選択することができる。Mo/Si多層反射膜を例にとると、EUV波長域のピーク反射率が60%以上の多層反射膜とするには、膜厚4.5±0.1nmのSi層と、膜厚2.3±0.1nmのMo層と、を繰り返し単位数が30〜60になるようにこの順に積層させればよい。
なお、多層反射膜を構成する各層は、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法など、周知の成膜方法を用いて所望の膜厚になるように成膜すればよい。例えば、イオンビームスパッタリング法を用いてMo/Si多層反射膜を成膜する場合、ターゲットとしてSiターゲットを用い、スパッタガスとしてArガス(ガス圧1.3×10-2Pa〜2.7×10-2Pa)を使用して、イオン加速電圧300〜1500V、成膜速度0.03〜0.30nm/secで膜厚4.5nmとなるようにSi膜を成膜し、次に、ターゲットとしてMoターゲットを用い、スパッタガスとしてArガス(ガス圧1.3×10-2Pa〜2.7×10-2Pa)を使用して、イオン加速電圧300〜1500V、成膜速度0.03〜0.30nm/secで膜厚2.3nmとなるようにMo膜を成膜することが好ましい。これを1周期として、Si膜およびMo膜を40〜50周期積層させることによりMo/Si多層反射膜が成膜される。
[保護膜]
多層反射膜表面およびその近傍が、保管時に自然酸化されたり洗浄時に酸化されたりするのを防止するため、多層反射膜上に保護膜を設けることができる。保護膜としては、Si、Ru、Rh、C、SiC、あるいはこれら元素の混合物、あるいはこれら元素に窒素やボロンなどを添加したものなどを用いることができる。保護膜としてRuを用いた場合、後述するバッファー膜の機能を兼ねることができるため特に好ましい。また保護膜としてSiを用いた場合は、多層反射膜がMo/Siから成る場合、最上層をSi膜とすることによって、該最上層を保護膜として機能させることができる。その場合保護膜としての役割も果たす最上層のSi膜の膜厚は、通常の4.5nmより厚い、5〜15nmであることが好ましい。また、保護膜としてSi膜を成膜した後、該Si膜上に保護膜とバッファー膜とを兼ねるRu膜を成膜してもよい。
なお、多層反射膜や保護膜などの膜は、必ずしも1層である必要はなく、2層以上であってもよい。
多層反射膜上に保護膜を設けた場合、保護膜におけるEUV波長域のピーク反射率が上記範囲を満たす必要がある。
[ピーク反射率の修正]
次いで基板上に成膜された多層反射膜の表面におけるEUV波長域のピーク反射率の面内分布を求める。なお、多層反射膜上に保護膜を設けた場合、保護膜の表面におけるEUV波長域のピーク反射率の面内分布を求める。
ピーク反射率は[発明が解決しようとする課題]で定義したようにEUV波長域における反射率の極大値であることから、EUV波長域における反射率の波長依存性を表す図、いわゆる反射率スペクトルを測定することにより求めることができる。次に説明するいずれかの方法によって多層反射膜(または保護膜)上の異なる複数の点で反射率スペクトルを順次測定し、複数の測定点における反射率スペクトルの極大値の分布、すなわちピーク反射率の面内分布を求めることができる。
反射率スペクトルの測定方法として、一つ目は、EUV波長域の光線を分光した後、入射角度6〜8度で多層反射膜(多層反射膜上に保護膜を設けた場合は保護膜。以下、これらをまとめて多層反射・保護膜という。)に照射し、その反射光強度をフォトダイオード、電荷結合素子(Charged Coupled Device:CCD)などにより直接測定する方法。二つ目は、EUV波長域の光線を分光した後、入射角度6〜8度で多層反射・保護膜に照射し、そのEUV波長域の反射光をシンチレーターなどを用いて他の波長域の光(たとえば可視光や紫外光など)に変換しその強度を光電子倍増管などにより測定する間接的な方法。三つ目として、EUV波長域の光線を分光した後、入射角度6〜8度で多層反射・保護膜に照射した際の反射光を分光し、各波長に分光された各反射光強度をマルチチャンネルフォトダイオードアレイやマルチチャンネルCCDアレイを使って測定するなどの方法により求めることができる。これらの方法ではいわゆる分光光度計を用いて実際に測定することで反射率スペクトルを得ることができる。
分光光度計としては、具体的には、一つめの方法を採用した米EUV technology社製EUV反射率計、三つめの方法を採用した独AIXUV社製EUV−maskblank reflectometer(MBR)などを挙げることができる。またEUV波長域の光線を放射する光源としては、キセノンガスや錫などのターゲットにYAGレーザ光を照射して生成されるプラズマから放射される光、あるいはキセノンガスや錫などの存在下でキャピラリ放電やピンチ放電などによって放電することにより生成されるプラズマから放射される光などを用いることができる。
これらの方法では分光光度計を用いることで、多層反射・保護膜表面の反射率スペクトルの分布を測定することができ、その結果を用いることで多層反射・保護膜表面におけるピーク反射率分布を得ることができる。
以下に具体例として独AIXUV社製EUV−maskblank reflectometer(MBR)を用いて反射率スペクトルを測定する方法を述べる。
キセノンガスピンチ放電によって放電することにより生成されるプラズマから放射されるEUV光を、スリットを通して多層反射・保護膜およびリファレンスミラー(EUV波長域における反射率(=Rref(λ))が既知の、多層反射膜を基板上に成膜したミラー)の表面へそれぞれ入射角6〜8度で照射する。多層反射・保護膜およびリファレンスミラーからの反射光をそれぞれグレーティングミラーで分光した後、マルチチャンネルCCD(電荷結合素子:Charged Coupled Device)アレイに投影し、各波長における多層反射・保護膜およびリファレンスミラーからの反射光強度(I(λ)、Iref(λ))を測定し、式(1)により、多層反射・保護膜の反射率スペクトルR(λ)を求める。
R(λ)=Rref(λ)×I(λ)/Iref(λ) 式(1)
上記一連の手順により得られた反射率スペクトルの例を図2に示す。図2において、縦軸は反射率(Reflectivity)(%)であり、横軸は波長(Wavelength)(nm)である。なお、図2は基板(SiO2−TiO2系ガラス製)上にSi膜(膜厚4.5nm)とMo膜(膜厚2.3nm)とをこの順に交互に50層積層して多層反射膜を成膜した後、該多層反射膜上に保護膜としてSi膜(膜厚4.5nm)を成膜し、該Si膜上に保護膜とバッファー膜とを兼ねるRu膜(膜厚2.5nm)を成膜した多層反射膜および保護膜付き基板の保護膜表面に入射角6度でEUV光を照射した場合のEUV波長域(12.5〜14.5nm)の反射率スペクトルである。図2に示すように、反射率スペクトルは波長に依存し、極大値を有する。この極大値がピーク反射率である。
次に、得られた多層反射・保護膜表面におけるEUV波長域のピーク反射率分布に基づいて、EUV波長域のピーク反射率が最も低い部位(以下、最低反射率部位という。)よりもEUV波長域のピーク反射率が高い部位(以下、高反射率部位という。)を局所加熱することにより、該多層反射・保護膜表面におけるEUV波長域のピーク反射率分布を補正する。
本願発明者らは、多層反射膜または保護膜を加熱した場合に、これらの膜表面におけるEUV波長域のピーク反射率が低下するという知見を得た。
具体的には、多層反射膜を加熱した場合、多層反射膜を形成する高屈折材料と低屈折材料が互いに拡散し反応することで拡散層が形成され、EUV波長域のピーク反射率およびEUV波長域の反射光の中心波長が変化する。なお、EUV波長域の反射光の中心波長とは、EUV波長域の反射率スペクトルにおいて、ピーク反射率の半値幅(FWHM(full width of half maximum))に対応する波長をλ1およびλ2とするとき、これらの波長の中央値((λ1+λ2)/2)となる波長である。
保護膜を加熱した場合、多層反射膜の表層を形成する材料と保護膜を形成する材料とが互いに拡散し反応することで拡散層が形成されて、および/または保護膜の下にある多層反射膜を形成する高屈折材料と低屈折材料が互いに拡散し反応することで拡散層が形成されて、EUV波長域のピーク反射率およびEUV波長域の反射光の中心波長が変化する。
図3および図4に、基板(SiO2−TiO2系ガラス製)上にSi膜(膜厚4.5nm)とMo膜(膜厚2.3nm)とをこの順に交互に40層積層して多層反射膜を成膜した後、該多層反射膜上に保護膜としてSi膜(膜厚4.5nm)を成膜し、該Si膜上に保護膜とバッファー膜とを兼ねるRu膜(膜厚2.5nm)を成膜した多層反射膜および保護膜付き基板を大気雰囲気下、ホットプレートを用いて10分間加熱した場合の中心波長低下量およびピーク反射率低下量の加熱温度依存性をそれぞれ示す。図3において、縦軸は中心波長低下量(Decrease in CWL)(nm)であり、横軸は1000/T(ベーク温度)(1/K)である。図4において、縦軸はピーク反射率低下量(Decrease in Peak %R)であり、横軸は1000/T(ベーク温度)(1/K)である。
まず図3に示す中心波長低下量の加熱温度依存性において、多層反射膜は一種のブラッグ反射ミラーであるため、中心波長低下量は生成する拡散層の厚みにほぼ一次的に依存し、その加熱温度依存性は一般的な反応速度の温度依存性であるアレニウスの式に従う。また拡散層の厚みは反応時間(=加熱時間)に比例して増加するため、中心波長低下量の加熱温度、加熱時間依存性は、次式(2a)に従う。なお、図3に示した例の場合、式(2a)は、式(2b)で表される。
中心波長低下量 ∝ 拡散層の厚み
∝ 加熱時間 × exp(a+b/加熱温度(K))
(ここでa,bは定数) 式(2a)
中心波長低下量(nm)=4120×加熱時間(min)
×exp(−6380/加熱温度(K))
式(2b)
一方、ピーク反射率低下量は、生成する拡散層の厚みに対する依存性が比較的複雑であるため中心波長低下量に比べて単純ではないと思われるが、図4にて明確に示されるように、結果的にアレニウスの式に従い、ピーク反射率低下量の加熱温度、加熱時間依存性は次式(3a)に従う。なお、図4に示した例の場合、式(3a)は、式(3b)で表される。
ピーク反射率低下量 ∝ 拡散層の厚み
∝ 加熱時間 × exp(a+b/加熱温度(K))
(ここでa,bは定数) 式(3a)
ピーク反射率低下量(%)= 9130×加熱時間(min)
×exp(−4370/加熱温度(K))
式(3b)
表1に図3、図4より得られた加熱によるピーク反射率および中心波長の変化量(低下量)の温度依存性を整理して示す。
図4および表1から明らかなように、多層反射膜または保護膜を加熱することにより、これら膜表面におけるEUV波長域のピーク反射率を低下させることができる。この際、EUV波長域のピーク反射率が低下するだけでなく、その中心波長が短波長側にシフトするが、ピーク反射率の低下に比べて中心波長の変化は僅かであり、問題を生じることはない。たとえば、110℃で10分間加熱した場合、ピーク反射率の低下量は約1%程度とピーク反射率の面内分布要求値(±0.25%)に比べて大きく変化するが、中心波長の低下量は0.002nmであり、EUVL用マスクブランクの多層反射・保護膜表面における中心波長の面内分布要求値(±0.03nm)に比べて僅かである。なお、中心波長の面内均一性に関する要求値とは、中心波長を多層反射・保護膜表面全体にわたって測定した場合に、最も大きい中心波長と最も小さい中心波長の差の許容値である。露光時の波長は一定であるため、中心波長の面内分布もできるだけ均一であることが好ましい。中心波長の面内均一性に関する要求値は、±0.03nm以内であることが好ましく、さらには±0.01nm以内であることが好ましい。
上記のとおり、多層反射・保護膜を加熱することにより、これら膜表面におけるEUV波長域のピーク反射率を低下させることができるため、その加熱の方法を工夫することで、多層反射・保護膜表面全体のピーク反射率を、面内分布ができるだけ少なくなるように調整することが可能となる。
一方、EUVL用マスクブランクの多層反射・保護膜表面におけるEUV波長域のピーク反射率の面内均一性に関する要求値は±0.25%であり、±0.125%であることが好ましい。なお、ピーク反射率の面内均一性に関する要求値とは、ピーク反射率を多層反射・保護膜全体にわたって複数点測定した場合に、最も大きいピーク反射率と最も小さいピーク反射率の差に関する許容値である。露光時の光量の分布はできるだけ少ないほうが好ましいことから、ピーク反射率の面内分布もできるだけ均一であることが好ましく、上記の要求値を満たすことが求められる。表1に示す結果は、多層反射膜および保護膜付き基板の保護膜表面全体を加熱した場合の結果ではあるが、この結果から、多層反射・保護膜表面におけるEUV波長域のピーク反射率に上記の要求値を超える面内分布が存在する場合に、高反射率部位を局所加熱することで、該部位のEUV波長域のピーク反射率を下げることにより、ピーク反射率の面内分布を改善して、上記の要求値を満たすようにすることができると考えられる。
ここで、高反射率部位を局所加熱する方法の一態様として、最低反射率部位は加熱せず、高反射率部位を選択的に局所加熱する方法が挙げられる。
但し、本発明において、「高反射率部位を局所加熱する」と言った場合、高反射率部位の温度が他の部位の温度に比べて相対的に高くなる限り、高反射率部位(すなわち、他の部位)も加熱することも含まれる。この場合、高反射率部位の温度が他の部位の温度に比べて相対的に高くなる限り、多層反射・保護膜表面全体を加熱するものであってもよい。したがって、EUV波長域のピーク反射率の面内分布に応じて各部位の加熱条件を変えて多層反射・保護膜表面全体を加熱する方法(以下、加熱方法Aという。)は、高反射率部位を局所加熱する方法の別の一態様である。
局所加熱に用いる加熱方法は特に限定されず、前段落に記載の前者の方法の場合、多層反射・保護膜表面のうち、EUV波長域のピーク反射率を下げたい部位のみを選択的に局所加熱できる方法である限り特に限定されない。一方、前段落に記載の加熱方法Aの場合、EUV波長域のピーク反射率の面内分布に応じて各部位の加熱条件を変えて、多層反射・保護膜表面全体を加熱できる方法である限り特に限定されない。
多層反射膜および保護膜の成膜には、通常マグネトロンスパッタリング法やイオンビームスパッタリング法などが用いられ、膜厚分布がどの程度の周期で変動するかを示す、膜厚分布の空間波長(横軸に位置、縦軸に膜厚をプロットしたグラフを作成した場合、いくつかの位置において膜厚は極値をとる。この隣り合う極大値、極小値の間隔の2倍が膜厚分布空間波長)は少なくとも10mm以上、大抵30mm以上であり、たとえば中心から外周にかけて連続的に変化する。
したがって、前段落に記載の前者の方法の場合、局所加熱する部位の大きさは、10mm×10mm以下、あるいは、30mm×30mm以下であることが好ましい。
また、前段落に記載の方法Aの場合、中心の温度が最も高く、外周にかけて温度が低くなるように、各部位の加熱条件を変えて多層反射・保護膜表面全体を加熱すればよい。
図5に基板(SiO2−TiO2系ガラス製)上にSi膜(膜厚4.5nm)とMo膜(膜厚2.3nm)とをこの順に交互に40層積層して多層反射膜を成膜した後、該多層反射膜上に保護膜としてSi膜(膜厚4.5nm)を成膜し、該Si膜上に保護膜とバッファー膜とを兼ねるRu膜(膜厚2.5nm)を成膜した多層反射膜および保護膜付き基板について、保護膜表面におけるEUV波長域のピーク反射率分布を測定した結果の一例を示す。なお、図5は、保護膜の中央132nm□の領域内の49点でピーク反射率を測定した結果である。
局所加熱に用いる好適な加熱方法の一例としては、多層反射・保護膜表面のEUV波長域のピーク反射率を下げたい部位に、レーザやランプを光源とする高エネルギーの光線を局所照射したり、電子線を局所照射することにより局所加熱を行う直接的な加熱方法、あるいは多層反射・保護膜表面のEUV波長域のピーク反射率を下げたい部位に予め加熱した気体を吹き付け、気体から多層反射・保護膜への熱伝導を利用して局所加熱を行う間接的な加熱方法などが挙げられる。レーザやランプを光源とする光線を照射する場合、多層反射・保護膜を構成する材料に吸収を有する波長域の光線を選択する必要があるが、F2レーザ(波長約157nm)、ArFエキシマレーザ(同約193nm)、KrFエキシマレーザ(同約248nm)、YAGレーザ4倍高調波(同約266nm)、XeClエキシマレーザ(同約308nm)、Arレーザ(同約488nm)、YAGレーザ(同1064nm)、CO2レーザ(同10.6um)などのレーザ光源、キセノンアークランプ(同約300〜約1000nm)、ハロゲンランプ(同約600〜約6000nm)などのランプ光源が挙げられる。また予め加熱した気体を吹き付ける方法の場合、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガス、空気や水素ガスあるいはこれらの混合ガスを用いることができるが、特に熱容量、取扱い性の点からヘリウムガスが好ましい。
局所加熱に用いる好適な加熱方法の別の一例としては、抵抗加熱や誘導加熱などによる微小な発熱部材を多層反射・保護膜表面のEUV波長域のピーク反射率を下げたい部位に近接させ、輻射または気体を介した熱伝導により局所加熱する方法が挙げられる。具体的には、タングステンやカーボンなどのフィラメントを用いた抵抗加熱による発熱部材や、カーボンや鉄やステンレスなどの磁性体を用いた誘導加熱による発熱部材などを挙げることがそれぞれできる。また加熱可能な探針を有する原子間力顕微鏡(AFM)、走査型トンネル顕微鏡(STM)または触針式段差計が挙げられ、市販品としては、米国Anasys Instruments社のnano−TAの局所熱解析システムなどがある。
なお、上記した加熱方法は前述した加熱方法Aにも、好ましく適用することができる。
局所加熱の条件、すなわち、加熱温度および加熱時間は、多層反射・保護膜の構成、すなわち、多層反射膜の構成材料、繰り返し層数や各層の膜厚、あるいは保護膜の構成材料や膜厚等と、改善したいEUV波長域のピーク反射率の度合い、すなわち、ピーク反射率の低下させたい量に応じて適宜選択すればよい。但し、多層反射・保護膜を局所加熱すると、これら膜表面のEUV波長域のピーク反射率が低下するだけでなく、その中心波長が短波長側にシフトするため、加熱による中心波長のシフト量が、該中心波長の面内均一性に関する要求値(±0.03nm)よりも大きくならないように留意する必要がある。上記した表1および後述する実施例に示す結果から、対象がMo/Si多層反射膜の上に保護膜としてRu膜を成膜した多層反射膜および保護膜付きの基板で加熱時間が10minの場合、加熱温度は180℃以下であることが好ましく、170℃以下であることがより好ましく、150℃以下であることがさらに好ましい。また、加熱温度は、110℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましい。
ピーク反射率を改善する効果を発揮しつつ、中心波長のシフト量を面内均一性に関する要求値未満に抑えるためには、加熱温度は180℃以下であることが好ましく、170℃以下であることがより好ましく、150℃以下であることがさらに好ましい。また、加熱温度は110℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましい。
なお、前述の加熱方法Aの場合、多層反射・保護膜表面のうち、最も温度が高くなる部位の加熱温度が上記の範囲を満たすようにすることが好ましい。
加熱時間は、加熱温度にもよるが、加熱温度が180℃以下の場合、1〜10分であることが好ましい。
なお、局所加熱を実施する環境は特に限定されず、大気中で実施してもよく、希ガスや窒素ガスのような不活性ガス中で実施してもよい。但し、表面酸化による表面粗さの増加を防ぐため、希ガスや窒素ガスのような不活性ガス中で実施することが好ましい。
局所加熱の実施後、再度多層反射・保護膜表面におけるEUV波長域のピーク反射率分布を再度測定し、ピーク反射率分布が改善されたことを確認した後、該多層反射・保護膜上に吸収膜を成膜することが好ましい。多層反射・保護膜表面におけるEUV波長域のピーク反射率分布の改善が不十分であった場合、新たに求めたピーク反射率分布に基づいて、高反射率部位を選択的に局所加熱することにより、該多層反射・保護膜表面におけるEUV波長域のピーク反射率分布をさらに修正してもよい。
[吸収膜]
吸収膜に特に要求される特性は、EUV波長域の反射率がある程度低いことである。具体的には、EUV光の波長域の光線を吸収膜表面に入射角度6〜8度で照射した際に、EUV波長域の反射率が5%以下であることが好ましい。
吸収膜は、EUV光に対する吸収係数の高い材料で構成され、具体的には、CrやTaを含有する膜、例えば、CrやTaの窒化物を含有する膜や、TaおよびHfを含有する膜(TaBN膜やTaHf膜)などが挙げられる。
吸収膜の膜厚は、吸収膜からの反射光と多層反射・保護膜からの反射光の強度比が確保できるよう適宜調整すればよく、10〜100nmであることが好ましい。
吸収膜としては、上記特性を満たす限り特に限定されないが、中でも、Taを含む膜、好ましくはTaHf膜またはTaN膜が、膜の結晶状態がアモルファスとなり、吸収膜表面の平滑性に優れることから好ましい。吸収膜表面の表面粗さが大きいと、吸収膜に形成されるパターンのエッジラフネスが大きくなりパターンの寸法精度が悪くなるだけでなく、散乱光(通称フレアー)を生じEUVリソグラフィにおけるパターンコントラストを低下させる。この問題は、パターンが微細になるに従い顕著になるため、吸収膜表面は平滑であることが要求される。
吸収膜がTaを含む膜(例えばTaHf膜、TaN膜など)であれば、アモルファス構造または微結晶構造の膜となるため、吸収膜表面の表面粗さが0.5nm rms以下と吸収膜表面が十分平滑であるため、エッジラフネスの影響によってパターンの寸法精度が悪化するおそれがないばかりか、フレアーも問題ない程度に抑えることができる。吸収膜表面の表面粗さは0.4nm rms以下であることがより好ましく、0.3nm rms以下であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、「結晶状態がアモルファスである」と言った場合、全く結晶構造を持たないアモルファス構造となっているもの以外に、微結晶構造のものを含む。吸収膜が、アモルファス構造または微結晶構造の膜であれば、吸収膜表面が平滑性に優れている。
なお、吸収膜の結晶状態がアモルファスであること、すなわち、アモルファス構造であることまたは微結晶構造であることは、X線回折(XRD)法によって確認することができる。吸収膜の結晶状態がアモルファス構造または微結晶構造であれば、XRD測定により得られる回折ピークにシャープなピークが見られない。
吸収膜がTaHf膜である場合、TaおよびHfを以下に記載する特定の割合で含有することが好ましい。
吸収膜のHfの含有率が20〜60at%であることが、吸収膜の結晶状態がアモルファスとなりやすく、吸収膜表面が平滑性に優れるので好ましい。また、より薄い膜厚でEUV波長域の反射率およびパターン検査光の波長域の反射率を比較的低くすることができる等、EUVL用マスクブランクとして優れた特性を有している。
吸収膜のHfの含有率は、30〜50at%であることがより好ましく、30〜45at%であることがさらに好ましい。
吸収膜において、Hfを除いた残部はTaであることが好ましい。したがって、吸収膜におけるTaの含有率は、40〜80at%であることが好ましい。吸収膜におけるTaの含有率は50〜70at%であることがより好ましく、55〜70at%であることがさらに好ましい。
吸収膜において、TaとHfの組成比は、7:3〜4:6であることがより好ましく、6.5:3.5〜4.5:5.5であることがさらに好ましく、6:4〜5:5であることがさらに好ましい。
TaHf膜は、不活性ガス雰囲気下で、TaHf化合物ターゲットを用いたスパッタリング法、例えば、マグネトロンスパッタリング法またはイオンビームスパッタリング法を実施することにより成膜することができる。
TaHf化合物ターゲットは、その組成がTa=30〜70at%、Hf=70〜30at%であることが、所望の組成の吸収膜を得ることができ、かつ膜の組成や膜厚のばらつきを回避できる点で好ましい。
上記した方法でTaHf膜を成膜するには、具体的には以下の成膜条件で実施すればよい。
スパッタガス:Arガス(ガス圧1.0×10-1Pa〜50×10-1Pa、好ましくは1.0×10-1Pa〜40×10-1Pa、より好ましくは1.0×10-1Pa〜30×10-1Pa)
投入電力:30〜1000W、好ましくは50〜750W、より好ましくは80〜500W
成膜速度:2.0〜60nm/min、好ましくは3.5〜45nm/min、より好ましくは5〜30nm/min
吸収膜がTaN層である場合、Ta、Nを以下に述べる特定の比率で含有することが好ましい。
TaN膜のNの含有率は10at%以上50at%未満であることが好ましい。本発明では、TaN膜がTaおよびNを特定の比率で含有することにより、結晶状態がアモルファスとなる。
[バッファー膜]
本発明のマスクブランクの製造方法において、エッチングプロセス、通常はドライエッチングプロセスによってEUVL用マスクブランクの吸収膜にパターン形成する際に、多層反射膜がダメージを受けるのを防止するため、エッチングストッパーとしての役割を果たすバッファー膜を保護膜と、吸収膜と、の間に設けてもよい。したがってバッファー膜の材質としては、吸収膜のエッチングプロセスによる影響を受けにくい、つまりこのエッチング速度が吸収膜よりも遅く、しかもこのエッチングプロセスによるダメージを受けにくい物質が選択される。この条件を満たす物質としては、たとえばCr、Al、Ru、Ta及びこれらの窒化物、ならびにSiO2、Si34、Al23やこれらの混合物が例示される。これらの中でも、Ru、CrNおよびSiO2が好ましく、CrNおよびRuがより好ましく、保護膜とバッファー膜の機能を兼ね備えるため特にRuが好ましい。
バッファー膜の膜厚は1〜60nmであることが好ましい。
バッファー膜は、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法など周知の成膜方法を用いて成膜する。マグネトロンスパッタリング法によりRu膜を成膜する場合、ターゲットとしてRuターゲットを用い、スパッタガスとしてArガス(ガス圧1.0×10-1Pa〜10×10-1Pa)を使用して投入電力30W〜500W、成膜速度5〜50nm/minで膜厚2〜5nmとなるように成膜することが好ましい。
[反射防止膜]
本発明のマスクブランクの製造方法において、吸収膜上にはマスクパターンの検査に使用する検査光に対する反射率が低い反射防止膜を設けてもよい。
EUVL用マスクの製造後、マスクパターンが設計通りに形成されているかどうか検査される。このマスクパターンの検査では、検査光として現在通常波長257nmの紫外光、将来的には波長190〜200nmの紫外光を使用した検査機が使用されると予想される。つまり、この検査光の波長における反射率の差異、具体的には、吸収体膜がエッチング処理により除去されて露出した多層反射膜表面(吸収膜下に保護膜が成膜されている場合は保護膜表面、吸収膜下にバッファー膜が成膜されている場合はバッファー膜表面)と、エッチング処理により除去されずに意図して残した吸収体膜表面と、の反射率の差異を利用して検査される。したがって、多層反射膜表面(若しくは保護膜表面若しくはバッファー膜表面)と吸収体膜表面との検査光の波長における反射率の差が小さいと、検査時のコントラストが悪くなり、正確な検査が出来ないことになる。
Taを含んだ吸収膜は、EUV波長域の反射率が比較的低く、EUVマスクブランクの吸収膜として優れた特性を有しているが、検査光の波長域における反射率は必ずしも十分低いとは言えない。この結果、検査光の波長域での吸収膜表面の反射率と多層反射膜表面(吸収膜下に保護膜が成膜されている場合は保護膜表面、吸収膜下にバッファー膜が成膜されている場合はバッファー膜表面)の反射率との差異が小さくなり、検査時のコントラストが十分得られない可能性がある。
従い、Taを含んだ吸収膜上に反射防止膜を成膜することが好ましい。反射防止膜を成膜すれば、検査光の波長域での反射防止膜表面の反射率が極めて低くなり、検査時のコントラストが良好となる。具体的には、検査光の波長域の光線を入射角度約10度で照射した際に、多層反射膜表面(吸収膜下に保護膜が成膜されている場合は保護膜表面、吸収膜下にバッファー膜が成膜されている場合はバッファー膜表面)の検査光の波長における反射率は、その材質にもよるが、60〜70%程度であるため、反射防止膜の該検査光の波長域の反射率が20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。この場合、該検査時のコントラストが良好となり、具体的には、多層反射膜表面(多層反射膜上に保護膜が成膜されている場合は保護膜表面、吸収膜下にバッファー膜が成膜されている場合はバッファー膜表面)における検査光の波長の反射光と反射防止膜表面における検査光の波長の反射光とのコントラストが30%以上となる。
本明細書において、コントラストは下記式を用いて求めることができる。
コントラスト(%)=((R2−R1)/(R2+R1))×100
ここで、検査光の波長域におけるR2は多層反射膜表面(吸収膜下に保護膜が成膜されている場合は保護膜表面、吸収膜下にバッファー膜が成膜されている場合はバッファー膜表面)での反射率であり、R1は反射防止膜表面での反射率である。なお、上記R1は、基板上に成膜された多層反射膜表面に吸収膜、反射防止膜がこの順に成膜された状態で、R2は基板上に多層反射膜(場合によっては、保護膜、バッファー膜)が成膜された状態で、それぞれ反射率を測定する。あるいはまたEUVマスクブランクの吸収膜および反射防止膜をパターニングした状態でR1およびR2を測定しても良い。
本発明において、上記式で表されるコントラストが45%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが特に好ましい。
吸収膜上に反射防止膜が成膜されている場合、吸収膜と反射防止膜との合計膜厚が20〜100nmであることが好ましい。但し、反射防止膜の膜厚が吸収膜の膜厚よりも大きいと、吸収膜のEUV光吸収特性が低下するおそれがあり、また一般に反射防止膜のエッチング速度は吸収膜のエッチング速度より遅く、パターニング工程において反射防止膜のエッチングは律速となるので、反射防止膜の膜厚は吸収膜の膜厚よりも小さく、できるだけ薄いことが好ましい。このため、反射防止膜の膜厚は1〜30nmであることが好ましく、2〜10nmであることがより好ましい。
反射防止膜は、上記の特性を達成するため、Taを含んだ膜よりも検査光の波長域の屈折率が高い材料で構成され、その結晶状態がアモルファスであることが好ましい。
Taを含んだ吸収膜上に成膜する反射防止膜は、その酸化物膜、酸窒化物膜、窒化物膜であることが好ましい。具体的には吸収膜としてTaHf膜を用いた場合は、その反射防止膜としてTaHfO膜を用いることが好ましく、Ta、HfおよびOを以下に述べる特定の比率で含有することが好ましい。
TaHfO膜は、TaおよびHfの合計含有率が30〜80at%であり、TaとHfの組成比が8:2〜4:6であることが好ましい。TaおよびHfの合計含有率が30at%未満であると、TaHfO膜の導電性が低下し、電子線描画する際にチャージアップの問題が生じる可能性がある。TaおよびHfの合計含有率が80at%超であると、パターン検査光の波長域のピーク反射率を十分低くすることができない。また、Hfが上記組成比より低い場合、結晶状態がアモルファスとなりにくい。Hfが上記組成比より高い場合、エッチング特性が悪化し、要求されるエッチング選択比を満足することができない可能性がある。
TaHfO膜におけるOの含有率が20〜70at%であることが好ましい。Oの含有率が20at%より低い場合、パターン検査光の波長域のピーク反射率を十分低くすることができない可能性がある。Oの含有率が70at%より高い場合、耐酸性が低下し、低反絶縁性が増し電子線描画する際にチャージアップが起こる等の問題が生じる可能性がある。
TaHfO膜におけるTaおよびHfの合計含有率は、35〜80at%であることがより好ましく、35〜75at%であることがさらに好ましい。また、TaとHfの組成比は、Ta:Hf=7:3〜4:6であることがより好ましく、6.5:3.5〜4.5:5.5であることがさらに好ましく、6:4〜5:5であることがさらに好ましい。Oの含有率は、20〜65at%であることがより好ましく、25〜65at%であることがさらに好ましい。
なお、TaHfO膜は、必要に応じてTa、HfおよびO以外の元素を含んでいてもよい。この場合、TaHfO膜に含める元素は、EUV光線の吸収特性等のマスクブランクとしての適性を満たす必要がある。
TaHfO膜に含めることができる元素の一例として、Nが挙げられる。この場合、TaHfO膜がNを含有することにより、表面の平滑性が向上すると考えられる。
TaHfO膜がNを含有する場合(すなわち、TaHfON膜である場合)、TaおよびHfの合計含有率は30〜80at%であり、TaとHfの組成比がTa:Hf=8:2〜4:6であり、NおよびOの合計含有率は20〜70at%であり、NとOの組成比が9:1〜1:9であることが好ましい。TaおよびHfの合計含有率が30at%未満であると、導電性が低下し、電子線描画する際にチャージアップの問題が生じる可能性がある。TaおよびHfの合計含有率が80at%超であると、パターン検査光の波長域のピーク反射率を十分低くすることができない。Hfが上記組成比より低い場合、結晶状態がアモルファスとならない可能性がある。Hfが上記組成比より高い場合、エッチング特性が悪化し、要求されるエッチング選択比を満足することができない可能性がある。また、NおよびOの含有率が20at%より低い場合、パターン検査光の波長域のピーク反射率を十分低くすることができない可能性がある。NおよびOの含有率が70at%より高い場合、耐酸性が低下し、絶縁性が増し電子線描画する際にチャージアップが起こる等の問題が生じる可能性がある。
TaHfON膜において、TaおよびHfの合計含有率は、35〜80at%であることがより好ましく、35〜75at%であることがさらに好ましい。また、TaとHfの組成比は、Ta:Hf=7:3〜4:6であることがより好ましく、6.5:3.5〜4.5:5.5であることがさらに好ましく、6:4〜5:5であることがさらに好ましい。NおよびOの合計含有率は、20〜65at%であることがより好ましく、25〜65at%であることがさらに好ましい。
TaHfON膜は、上記の構成であることにより、その結晶状態はアモルファスであり、その表面が平滑性に優れている。具体的には、表面粗さ(rms)が0.5nm以下である。
上記したように、エッジラフネスの影響によってパターンの寸法精度の悪化が防止するため、吸収膜表面は平滑であることが要求される。吸収膜上に反射防止膜として成膜されるTaHfON膜は、その表面が平滑であることが要求される。
TaHfON膜表面の表面粗さ(rms)が0.5nm以下であれば、表面が十分平滑であるため、エッジラフネスの影響によってパターンの寸法精度が悪化したり散乱光が増加するおそれがない。TaHfON層表面の表面粗さ(rms)は0.4nm以下であることがより好ましく、0.3nm以下であることがさらに好ましい。
なお、TaHfON膜の結晶状態がアモルファスであること、すなわち、アモルファス構造であること、または微結晶構造であることは、X線回折(XRD)法によって確認することができる。TaHfON膜の結晶状態がアモルファス構造であるか、または微結晶構造であれば、XRD測定により得られる回折ピークにシャープなピークが見られない。
TaHfO膜およびTaHfON膜は、TaHf化合物ターゲットを用いたスパッタリング法、例えば、マグネトロンスパッタリング法またはイオンビームスパッタリング法を実施することにより成膜することができる。
なお、TaHfO膜の場合、例えばアルゴン、で希釈した酸素(O2)雰囲気中でTaHf化合物ターゲットを放電させることによって成膜する。または、不活性ガス雰囲気中でTaHf化合物ターゲットを放電させてTaおよびHfを含有する膜を成膜した後、例えば酸素プラズマ中にさらしたり、酸素を用いたイオンビームを照射することによって、成膜された膜を酸化することにより、TaHfO膜としてもよい。
一方、TaHfON膜の場合、アルゴンで希釈した酸素(O2)・窒素(N2)混合ガス雰囲気中でTaHf化合物ターゲットを放電させることによって成膜する。または、アルゴンで希釈した窒素(N2)雰囲気中でTaHf化合物ターゲットを放電させることによってTa、HfおよびNを含有する膜を成膜した後、例えば酸素プラズマ中にさらしたり、酸素を用いたイオンビームを照射することによって、成膜された膜を酸化することにより、TaHfON膜としてもよい。
TaHf化合物ターゲットは、その組成がTa=30〜70at%、Hf=70〜30at%であることが、所望の組成のTaHfO膜およびTaHfON膜を得ることができ、かつ膜の組成や膜厚のばらつきを回避できる点で好ましい。TaHf化合物ターゲットは、Zrを0.1〜5.0at%含有してもよい。
上記した方法でTaHfO膜およびTaHfON膜を成膜するには、具体的には以下の成膜条件で実施すればよい。
TaHfO膜を成膜する場合
スパッタガス:ArとO2の混合ガス(O2ガス濃度3〜80vol%、好ましくは5〜60vol%、より好ましくは10〜40vol%;ガス圧1.0×10-1Pa〜50×10-1Pa、好ましくは1.0×10-1Pa〜40×10-1Pa、より好ましくは1.0×10-1Pa〜30×10-1Pa)
投入電力:30〜1000W、好ましくは50〜750W、より好ましくは80〜500W
成膜速度:2.0〜60nm/min、好ましくは3.5〜45nm/min、より好ましくは5〜30nm/min
TaHfON膜を成膜する場合
スパッタガス:ArとO2とN2の混合ガス(O2ガス濃度5〜40vol%、N2ガス濃度5〜40vol%、好ましくはO2ガス濃度6〜35vol%、N2ガス濃度6〜35vol%、より好ましくはO2ガス濃度10〜30vol%、N2ガス濃度10〜30vol%;ガス圧1.0×10-1Pa〜50×10-1Pa、好ましくは1.0×10-1Pa〜40×10-1Pa、より好ましくは1.0×10-1Pa〜30×10-1Pa)
投入電力:30〜1000W、好ましくは50〜750W、より好ましくは80〜500W
成膜速度:2.0〜60nm/min、好ましくは3.5〜45nm/min、より好ましくは5〜30nm/min
本発明のEUVマスクブランクの製造方法では、多層反射膜、保護膜、バッファー膜、吸収膜、反射防止膜以外に、EUVマスクブランクの分野において公知の機能膜をEUVL用マスクブランクに設けてもよい。このような機能膜の具体例としては、例えば、特表2003−501823号公報に記載されているものように、基板の静電チャッキングを促すために、基板の裏面側(成膜面に対して)に施される高誘電性コーティングが挙げられる。このような目的で基板の裏面に施す高誘電性コーティングは、シート抵抗が100Ω/□以下となるように、構成材料の電気伝導率と厚さを選択する。高誘電性コーティングの構成材料としては、公知の文献に記載されているものから広く選択することができる。例えば、特表2003−501823号公報に記載の高誘電率のコーティング、具体的には、シリコン、窒化チタン、モリブデン、クロム、タンタルシリサイドからなるコーティングを適用することができる。高誘電性コーティングの厚さは、例えば10〜1000nmとすることができる。
高誘電性コーティングは、公知の成膜方法、例えば、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法といったスパッタリング法、CVD法、真空蒸着法、電解メッキ法を用いて成膜することができる。
上記の手順で得られたEUVL用マスクブランクの吸収膜にフォトリソグラフィプロセスを用いて所望のパターンを形成することによりEUVL用マスクを得ることができる。
<反射ミラー基板の作製およびピーク反射率測定>
合成石英ガラス基板(SiO2−TiO2系ガラス製、サイズ152.4×152.4×6.3mm)上に、イオンビームスパッタリング装置(Veeco社製NexusLDD)を用いてSi膜(膜厚4.5nm)とMo膜(膜厚2.3nm)と、をこの順に交互に40層積層して多層反射膜を成膜した後、該多層反射膜上に保護膜としてSi膜(4.5nm厚)を成膜し、該Si膜上に保護膜とバッファー膜とを兼ねるRu膜(2.5nm厚)を成膜して、波長13.5nm付近にピーク反射率を有する反射ミラー基板(多層反射膜および保護膜付き基板)を作製する。得られる反射ミラー基板上、より具体的には、反射ミラー基板のRu膜の中央132mm□内のピッチ22mmの格子点上の波長13〜14nmにおける反射率をEUV反射率計(AIXUV社製MBR)を用いて測定し、同波長域のピーク反射率分布を測定する。その結果を図5に示す。なお、図中の凡例はピーク反射率を示しており、単位は%である。平均ピーク反射率は63.7%、ピーク反射率分布は1.2%であり、中心部のピーク反射率が高く、外周部のピーク反射率が低い分布である。
<実施例1>
実施例では、ハロゲンランプヒーター(ガラス管外径11mm)を形成した反射ミラー基板上に設置し、図5のx印における表面温度が約100℃と最も高く、外周部における表面温度が約20℃となるように、図6に示した温度分布を有するように、10分間加熱処理を実施する。なお、図6中の凡例は温度を示しており、単位は℃である。
加熱処理後の反射ミラー基板のピーク反射率分布を上記と同様の方法で測定する。その結果を図7に示す。なお、図中の凡例はピーク反射率を示しており、単位は%である。加熱処理後の反射ミラー基板は、平均ピーク反射率が63.6%であり、ピーク反射率分布が0.8%であり、平均ピーク反射率を殆ど損なうことなく、ピーク反射率分布を約33%改善できる。
<比較例1>
実施例1と同じ反射ミラー基板を準備する。図5のx印における表面温度を約185℃と最も高く、外周部における表面温度が約20℃となるように、図8に示した温度分布を有するように、実施例と同じ反射ミラー基板をハロゲンランプヒーターを用いて10分間加熱処理を実施する。なお、図8中の凡例は温度を示しており、単位は℃である。
加熱処理後の反射ミラー基板のピーク反射率分布を上記と同様の方法で測定する。その結果を図9に示す。なお、図中の凡例はピーク反射率を示しており、単位は%である。加熱処理後の反射ミラー基板は、平均ピーク反射率が62.7%であり、ピーク反射率分布が6.3%であり、ピーク反射率分布が悪化するだけでなく、平均ピーク反射率も損なわれている。
図1は、一般的なEUVマスクブランクの概略断面図である。 図2は、多層反射膜(Mo/Si多層反射膜)および保護膜(Si膜、Ru膜)付き基板の保護膜表面にEUV光を照射した場合のEUV波長域の反射率スペクトルである。 図3は、多層反射膜(Mo/Si多層反射膜)および保護膜(Si膜、Ru膜)付き基板を大気雰囲気下、ホットプレートを用いて10分間加熱した場合の中心波長低下量の加熱温度依存性を示したグラフである。 図4は、多層反射膜(Mo/Si多層反射膜)および保護膜(Si膜、Ru膜)付き基板を大気雰囲気下、ホットプレートを用いて10分間加熱した場合のピーク反射率低下量の加熱温度依存性を示したグラフである。 図5は、実施例1の反射ミラー基板の加熱処理前のピーク反射率分布を示した図である。 図6は、実施例1の反射ミラー基板の加熱処理時の温度分布を示した図である。 図7は、実施例1の反射ミラー基板の加熱処理後のピーク反射率分布を示した図である。 図8は、比較例1の反射ミラー基板の加熱処理時の温度分布を示した図である。 図9は、比較例1の反射ミラー基板の加熱処理後のピーク反射率分布を示した図である。
符号の説明
1:EUVマスクブランク
11:基板
12:反射膜(多層反射膜)
13:バッファー膜
14:吸収膜
15:反射防止膜

Claims (13)

  1. 基板上に、高屈折率層と低屈折率層を交互に積層させEUV光を反射する多層反射膜を成膜し、該多層反射膜表面におけるEUV波長域のピーク反射率分布を求め、得られた該多層反射膜表面のEUV波長域のピーク反射率分布に基づいて、EUV波長域のピーク反射率が最も低い部位よりもEUV波長域のピーク反射率が高い部位の少なくとも一部を局所加熱することにより、該多層反射膜の表面におけるEUV波長域のピーク反射率の面内分布平均ピーク反射率に対して±0.25%以内となるように、該多層反射膜の表面におけるEUV波長域のピーク反射率分布を補正し、該多層反射膜上にEUV光を吸収する吸収膜を成膜することを特徴とするEUVリソグラフィ(EUVL)用反射型マスクブランクの製造方法。
  2. 基板上に、高屈折率層と低屈折率層を交互に積層させEUV光を反射する多層反射膜を成膜し、該多層反射膜上に保護膜を成膜し、該保護膜の表面におけるEUV波長域のピーク反射率分布を求め、得られた該保護膜表面のEUV波長域のピーク反射率分布に基づいて、EUV波長域のピーク反射率が最も低い部位よりもEUV波長域のピーク反射率が高い部位の少なくとも一部を局所加熱することにより、該保護膜の表面におけるEUV波長域のピーク反射率の面内分布平均ピーク反射率に対して±0.25%以内となるように、該保護膜表面におけるEUV波長域のピーク反射率分布を補正し、該保護膜上にEUV光を吸収する吸収膜を成膜することを特徴とするEUVL用反射型マスクブランクの製造方法。
  3. 前記EUV波長域のピーク反射率が最も低い部位よりもEUV波長域のピーク反射率が高い部位の少なくとも一部を局所加熱することが、前記EUV波長域のピーク反射率が高い部位の温度が前記多層反射膜表面の他の部位の温度に比べて相対的に高くなるように前記多層反射膜表面全体を加熱することによって達成されることを特徴とする請求項1に記載のEUVL用反射型マスクブランクの製造方法。
  4. 前記EUV波長域のピーク反射率が最も低い部位よりもEUV波長域のピーク反射率が高い部位の少なくとも一部を局所加熱することが、前記EUV波長域のピーク反射率が高い部位の温度が前記保護膜表面の他の部位の温度に比べて相対的に高くなるように前記保護膜表面全体を加熱することによって達成されることを特徴とする請求項2に記載のEUVL用反射型マスクブランクの製造方法。
  5. 前記吸収体膜上に、マスクパターンの検査に使用する検査光における反射防止膜をさらに成膜する請求項1〜4のいずれかに記載のEUVL用反射型マスクブランクの製造方法。
  6. 前記局所加熱を加熱温度180℃以下で実施することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のEUVL用反射型マスクブランクの製造方法。
  7. 前記局所加熱を加熱時間1〜10分で実施することを特徴とする請求項6に記載のEUVL用反射型マスクブランクの製造方法。
  8. 前記局所加熱に、光線または電子線の照射を用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のEUVL用反射型マスクブランクの製造方法。
  9. 前記局所加熱に、微小な発熱部材を用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のEUVL用反射型マスクブランクの製造方法。
  10. 前記局所加熱に、予め加熱された気体を局所的に吹き付けることを用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のEUVL用反射型マスクブランクの製造方法。
  11. 前記多層反射膜の表面におけるEUV波長域の反射光の中心波長の面内分布が±0.03nm以内となるように、前記多層反射膜の表面におけるEUV波長域のピーク反射率分布を補正する請求項1または3に記載のEUVL用反射型マスクブランクの製造方法。
  12. 前記保護膜の表面におけるEUV波長域の反射光の中心波長の面内分布が±0.03nm以内となるように、前記保護膜の表面におけるEUV波長域のピーク反射率分布を補正する請求項2または4に記載のEUVL用反射型マスクブランクの製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載のEUVL用反射型マスクブランクをさらにパターニングしてなるEUVL用反射型マスクの製造方法。
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