以下、本発明について詳細に説明する。
ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について若干説明する。
ハメット則はベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年 L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。なお、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。本発明の一般式(1)〜(8)で表される化合物はベンゼン誘導体ではないが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明においては今後、σp値をこのような意味で使用する。
〔アゾ顔料〕
本発明におけるアゾ顔料は前記一般式(1)で表される。
以下、一般式(1)で表されるアゾ顔料、その塩、水和物及びそれらの互変異性体について詳細に説明する。
一般式(1):
(一般式(1)中、R1、P1、Q1はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。Gは5〜6員ヘテロ環が縮環している芳香族炭化水素環を構成する事ができる原子団を表す。Wは、Gが構成するヘテロ環が縮環している芳香族炭化水素環上に結合可能な置換基を表す。tは0〜5の整数を表す。Het.1は、下記一般式(2)で表される芳香族へテロ環基群から選ばれる基を表す。*は、一般式(1)中のアゾ基との結合部位を表す。nは1〜3の整数を表す。n=2の場合は、R1、P1、Q1、W、G又はHet.1を介した2量体を表す。n=3の場合はR1、P1、Q1、W、G又はHet.1を介した3量体を表す。)
一般式(2):
(一般式(2)中、X、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
以下に、前記一般式(1)について更に詳しく説明する。
一般式(1)中、R1、P1、Q1はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
nは1〜3の整数を表す。n=2の場合は、R1、P1、Q1、W、G又はHet.1を介した2量体を表す。n=3の場合はR1、P1、Q1、W、G又はHet.1を介した3量体を表す。nが1の時は、R1、P1、Q1、W、W0、X、Y、Z、Gは一価の基を表すことが好ましい。nが2の時は、R1、P1、Q1、W、W0、X、Y、Z、Gは一価または2価の置換基を表し、少なくとも1つは2価の置換基を表すことが好ましい。nが3の時は、R1、P1、Q1、W、W0、X、Y、Z、Gは一価、2価または3価の置換基を表し、少なくとも二つが2価の置換基を表すかまたは少なくとも1つが3価の置換基を表すことが好ましい。
nで表される1〜3の整数は、n=1〜2の整数が好ましく、特にn=1が最も好ましい。
Gは5〜6員ヘテロ環が縮環している芳香族炭化水素環を構成する事ができる原子団を表す。
Wは、Gが構成するヘテロ環が縮環している芳香族炭化水素環上に結合可能な置換基を表す。
一般式(1)中の、好ましいGは、5〜6員ヘテロ環としては芳香族炭化水素環に縮環可能なものであれば特に限定されるものでない。その中でも、−NHCO−、−NHCONH−、−CONH2、−NHCO−CO−NH−、−CO−NH−CO−を含有するヘテロ環が縮環した芳香族炭化水素環が好ましく、特に−NHCO−、−NHCONH−、−NHCO−CO−NH−を含有するヘテロ環が縮環した芳香族炭化水素環が好ましく、その中でも特に好ましい5〜6員ヘテロ環が縮環している芳香族炭化水素環は、下記一般式(7)及びまたは一般式(8)で表されるものが挙げられる。式中、*は一般式(1)中のN原子との結合部位を表す。
(一般式(7)、(8)中、W11、W12、W13、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
前記一般式(7)、(8)中、W11、W12、W13、R2及びR3が置換基を表す場合の置換基の例としては、下記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。
tはへテロ環基に結合可能な基の数(0〜5の整数)を表し、好ましくは0〜4の整数であり、特に0〜3が好ましい、その中でも0〜2が最も好ましい。
Het.1は、上記一般式(2)で表される芳香族へテロ環基群(1)〜(15)から選ばれる基を表す。*は、一般式(1)中のアゾ基との結合部位を表す。
ヘテロ環基の例としては、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)が好ましく、更に(2)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)が好ましく、特に(2)、(5)、(6)、(7)、(10)が好ましく、その中でも(2)、(6)、(7)が最も好ましい。
一般式(2)における、X、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
前記R1、P1、Q1、X、Y、Z、W、W0、W1、W2、W3、W4で表される基が置換基を表す場合の置換基の例としては、それぞれ独立に炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数7〜18の直鎖又は分岐鎖アラルキル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルケニル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルケニル基(例えばメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メチルスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルボニルフェノキシ、3−メトキシカルボニルフェニルオキシ、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、p−トルエンスルホニルアミノ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル、オクチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基)が挙げられる。
本発明のアゾ顔料がイオン性親水性基を置換基として含有する場合は、多価金属カチオンとの塩(例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム)であることが好ましく、レーキ顔料であることが特に好ましい。
一般式(2)中、X及びW0の好ましい置換基例は、それぞれ独立に電子求引性基である。特に、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子求引性基であり、より好ましくは、σp値が0.30以上の電子求引性基であることが好ましい。上限としては1.0以下の電子求引性基である。
σp値が0.20以上の電子求引性基であるXの具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、σp値が0.20以上の他の電子求引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、又はセレノシアネート基が挙げられる。
X及びW0の好ましい例としては、それぞれ独立に炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアシルオキシ基、炭素数1〜12のカルバモイル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜18のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキルスルフイニル基、炭素数6〜18のアリールスルフイニル基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数0〜12のスルファモイル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルオキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルチオ基、炭素数7〜18のハロゲン化アリールオキシ基、2つ以上のσp0.20以上の他の電子求引性基で置換された炭素数7〜18のアリール基、及び窒素原子、酸素原子、またはイオウ原子を有する5〜8員環で炭素数1〜18のヘテロ環基を挙げることができる。
更に好ましくは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基である。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜8のアルキルスルホニル基、炭素数6〜12のアリールスルホニル基、または炭素数0〜8のスルファモイル基であり、その中でもシアノ基、メタンスルホニル基、フェニルスルホニル基、スルファモイル基が好ましく、更にシアノ基、メタンスルホニル基が好ましく、シアノ基が最も好ましい。
一般式(2)中、Zの好ましい例は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基またはアシル基を示す。特に好ましい置換基は置換もしくは無置換のアリール基、置換基もしくは無置換のへテロ環基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基またはアシル基であり、その中でも特に置換基は置換もしくは無置換のアリール基、置換基もしくは無置換のへテロ環基が好ましい。置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。
一般式(2)中、Y及びW1〜W4の好ましい例は、それぞれ独立に水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、水素原子、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基及びまたは分岐のアルキル基が好ましく、特に水素原子、またはC1〜C8のアルキル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
一般式(1)中、R1、P1、Q1及びWの好ましい例を詳細に説明する。
Wは、複数存在する場合はそれぞれ独立に置換基を表す。
R1、P1及びQ1は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
R1、P1、Q1及びWが一価の置換基を示す場合、一価の置換基の例としては、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基)、アシルアミノ基(アミド基)、アミノカルボニルアミノ基(ウレイド基)、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、アゾ基、イミド基またはホスホリル基を挙げることができ、各々はさらに置換基を有していてもよい。
中でも特に好ましいWは、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基であり、特に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環基またはアルコキシカルボニル基が好ましく、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシカルボニル基が最も好ましい。
R1、P1及びQ1は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基であり、特に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環基またはアルコキシカルボニル基が好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシカルボニル基が最も好ましい。
以下に、前記R1、P1、Q1及びWを更に詳しく説明する。
R1、P1、Q1及びWで表されるハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を表す。中でも塩素原子、または臭素原子が好ましく、特に塩素原子が好ましい。
R1、P1、Q1及びWで表されるアルキル基は、置換もしくは無置換のアルキル基が含まれる。置換又は無置換のアルキル基は、炭素原子数が1〜30のアルキル基が好ましい。置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。中でも、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基、およびハロゲン原子、スルホ基(塩の形でもよい) またはカルボキシル基(塩の形でもよい)が好ましい。前記アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、ヒドロキシエチル、シアノエチルまたは4−スルホブチルを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるシクロアルキル基は、置換もしくは無置換のシクロアルキル基が含まれる。置換基又は無置換のシクロアルキル基は、炭素原子数が5〜30のシクロアルキル基が好ましい。置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記シクロアルキル基の例にはシクロヘキシル、シクロペンチル、または4−n−ドデシルシクロヘキシルを挙げることができる。
R1、P1、Q1及びWで表されるアラルキル基は、置換もしくは無置換のアラルキル基が含まれる。置換もしくは無置換のアラルキル基としては、炭素原子数が7〜30のアラルキル基が好ましい。置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記アラルキルの例にはベンジルおよび2−フェネチルを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるアルケニル基は、直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。好ましくは炭素数2−30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル、2−シクロペンテンー1−イル、2−シクロヘキセンー1−イルなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるアルキニル基は、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキニル基であり、例えば、エチニル、またはプロパルギルを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるアリール基は、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、またはo−ヘキサデカノイルアミノフェニルである。置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。
R1、P1、Q1及びWで表されるヘテロ環基は、5又は6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、それらは更に縮環していてもよい。更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記ヘテロ環基の例には、置換位置を限定しないで例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、などが挙げられる。
R1、P1、Q1及びWで表されるアルコキシ基は、置換もしくは無置換のアルコキシ基が含まれる。置換もしくは無置換のアルコキシ基としては、炭素原子数が1〜30のアルコキシ基が好ましい。置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−オクチルオキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシおよび3−カルボキシプロポキシなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるアリールオキシ基は、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基が好ましい。置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記アリールオキシ基の例には、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるシリルオキシ基は、炭素数3から20のシリルオキシ基が好ましく、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるで表されるヘテロ環オキシ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基が好ましい。置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記ヘテロ環オキシ基の例には、例えば、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるアシルオキシ基は、ホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記アシルオキシ基の例には、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるカルバモイルオキシ基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記カルバモイルオキシ基の例には、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるアルコキシカルボニルオキシ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記アルコキシカルボニルオキシ基の例には、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるアリールオキシカルボニルオキシ基は、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるアミノ基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記アミノ基の例には、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N-メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、ヒドロキシエチルアミノ、カルボキシエチルアミノ、スルフォエチルアミノ、3,5−ジカルボキシアニリノなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるアシルアミノ基は、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記アシルアミノ基の例には、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるアミノカルボニルアミノ基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記アミノカルボニルアミノ基の例には、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるアルコキシカルボニルアミノ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記アルコキシカルボニルアミノ基の例には、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるアリールオキシカルボニルアミノ基は、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるスルファモイルアミノ基は、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記スルファモイルアミノ基の例には、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるアルキル及びアリールスルホニルアミノ基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基の例には、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるアルキルチオ基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記アルキルチオ基の例には、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるアリールチオ基は炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記アリールチオ基の例には、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるヘテロ環チオ基は、炭素数2から30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記ヘテロ環チオ基の例には、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるスルファモイル基は、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記スルファモイル基の例には、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)などを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるアルキル及びアリールスルフィニル基は、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記アルキル及びアリールスルフィニル基の例には、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニルなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるアルキル及びアリールスルホニル基は、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルホニル基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記アルキル及びアリールスルホニル基の例には、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニルなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるアシル基は、ホルミル基、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記アシル基の例には、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニルなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるアリールオキシカルボニル基は、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記アリールオキシカルボニル基の例には、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニルなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるアルコキシカルボニル基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記アルコキシカルボニル基の例には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニルなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるカルバモイル基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記カルバモイル基の例には、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイルなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるホスフィノ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記ホスフィノ基の例には、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるホスフィニル基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記ホスフィニル基の例には、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニルなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるホスフィニルオキシ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記ホスフィニルオキシ基の例には、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるホスフィニルアミノ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記ホスフィニルアミノ基の例には、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるシリル基は、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基が好ましく、置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。前記シリル基の例には、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリルなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるアゾ基は、例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるイミド基は、例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミドなどを挙げることが出来る。
R1、P1、Q1及びWで表されるホスホリル基には、置換基を有するホスホリル基および無置換のホスホリル基が含まれる。ホスホリル基の例には、フェノキシホスホリル基およびフェニルホスホリル基が含まれる。
R1、P1、Q1及びWで表されるイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基等が含まれる。イオン性親水性基としては、カルボキシル基およびスルホ基が好ましい。カルボキシル基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、カルシュウムイオン、バリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルグアニジウムイオン)が含まれる。
R1、P1、Q1及びWが二価の基を示す場合、二価の基としては、アルキレン基(例、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン)、アルケニレン基(例、エテニレン、プロぺニレン)、アルキニレン基(例、エチニレン、プロピニレン)、アリーレン基(例、フェニレン、ナフチレン)、二価のヘテロ環基(例、6ークロロー1、3、5ートリアジンー2、4ージイル基、ピリミジン−2、4−ジイル基、ピリミジン−4、6−ジイル基、キノキサリンー2、3ージイル基、ピリダジンー3,6−ジイル)、−O−、−CO−、−NR’−(R’は水素原子、アルキル基又はアリール基)、−S−、−SO2−、−SO−又はこれらの組み合わせ(例えば−NHCH2CH2NH−、−NHCONH−等)であることが好ましい。
アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、二価のヘテロ環基、Rのアルキル基又はアリール基は、置換基を有していてもよい。
置換基の例としては、前記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。
上記R’のアルキル基およびアリール基は、上記R1、P1、Q1及びWがアルキル基またはアリール基の場合に挙げた置換基例と同義である。
さらに好ましくは、炭素数10以下のアルキレン基、炭素数10以下のアルケニレン基、炭素数10以下のアルキニレン基、炭素数6以上10以下のアリーレン基、二価のヘテロ環基、−S−、−SO−、―SO2−又はこれらの組み合わせ(例えば−SCH2CH2S−、−SCH2CH2CH2S−等)であることがさらに好ましい。
二価の連結基の総炭素数は0乃至50であることが好ましく、0乃至30であることがより好ましく、0乃至10であることが最も好ましい。
R1、P1、Q1及びWが三価の基を示す場合、三価の基としては、3価の炭化水素基、三価のヘテロ環基、>N−、又はこれと2価の基の組み合わせ(例えば>NCH2CH2NH−、>NCONH−等)であることが好ましい。
三価の連結基の総炭素数は0乃至50であることが好ましく、0乃至30であることがより好ましく、0乃至10であることが最も好ましい。
本発明の一般式(1)で表される顔料の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明の一般式(1)で表されるアゾ顔料として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ヲ)を含むものである。
(イ)Gは、芳香族炭化水素環に結合可能な5〜6員含窒素ヘテロ環が好ましく、特に好ましいGは、−NHCO−、−NHCONH−、−CONH2、−NHCO−CO−NH−、−CO−NH−CO−を含有するヘテロ環が縮環した芳香族炭化水素環が好ましく、特に−NHCO−、−NHCONH−、−NHCO−CO−NH−を含有するヘテロ環が縮環した芳香族炭化水素環が好ましく、その中でも特に好ましい5〜6員ヘテロ環が縮環している芳香族炭化水素環は、下記一般式(7)及びまたは一般式(8)で表されるものが挙げられる。式中、*は一般式(1)中のN原子との結合部位を表す。
(一般式(7)、(8)中、
W11、W12、W13、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
(ロ)Wは、水酸基、シアノ基、置換または無置換のカルバモイル基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリールオキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアリールチオ基、カルボニル基(−CO−)が好ましく、特に水酸基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、カルボニル基が好ましく、その中でも水酸基、置換アミノ基が最も好ましい。
(ハ)W11、W12、W13、R1、R2の好ましい例はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、シアノ基、置換または無置換のカルバモイル基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリールオキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアリールチオ基、カルボニル基(−CO−)が好ましく、特に水素原子、水酸基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、カルボニル基が好ましく、その中でも水素原子、水酸基、置換アミノ基が最も好ましい。
(ニ)tはへテロ環基に結合可能な基の数(0〜5の整数)を表し、好ましくは0〜4の整数であり、特に0〜3が好ましい、その中でも0〜2が最も好ましい。
(ホ)R1は置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特にメチル基、2級または3級アルキル基が好ましく、メチル基、t−ブチル基が最も好ましい。
(ヘ)P1及びQ1はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、または置換もしくは無置換のアリールスルホニル基が好ましく、特に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアシル基が好ましく、その中でも特に水素原子が好ましい。
(ト)Het.1は、上記一般式(2)で表される芳香族ヘテロ環基群(1)〜(15)から選ばれる基が好ましく、その中でも(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)が好ましく、特に(2)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)が好ましく、更に(2)、(5)、(6)、(7)、(10)が好ましく、その中でも(2)、(6)、(7)が最も好ましい。
(チ)Xとして特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基であり、その中でも、シアノ基、または炭素数1〜12のアルキルスルホニル基が好ましく、最も好ましいものは、シアノ基である。
(リ)Yは水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、水素原子、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特に水素原子、またはC1〜C8のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基が最も好ましい。
(ヌ)Zは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、特に好ましい置換基は置換もしくは無置換のへテロ環基であり、その中でも特に置換もしくは無置換の含窒素ヘテロ環基が好ましい。
(ル)W0として特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基であり、その中でも、シアノ基、またはメタンスルホニル基、フェニルスルホニル基が好ましく、最も好ましいものは、シアノ基である。
(ヲ)W1〜W4は、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、水素原子、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特に水素原子、またはC1〜C8のアルキル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
上記一般式(1)で表されるアゾ顔料は、下記一般式(3)で表されるアゾ顔料であることが好ましい。
以下、一般式(3)について詳細に説明する。
一般式(3)
一般式(3)中、W11、W12、W13、R1、はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。G’は芳香族炭化水素環に縮環可能な5〜6員ヘテロ環を構成する事ができる非金属原子団を表す。Wは、G’が構成するヘテロ環上に結合可能な置換基を表す。tは0〜4の整数を表す。Het.1は、前記記載の一般式(2)で表される芳香族へテロ環基群から選ばれる基を表す。前記一般式(2)における*は、一般式(3)中のアゾ基との結合部位を表す。nは1〜3の整数を表す。n=2の場合は、R1、R2、R3、W、W11、W12、W13又はHet.1を介した2量体を表す。n=3の場合はR1、R2、R3、W、W11、W12、W13又はHet.1を介した3量体を表す。
以下に、前記R1、G、W、t及びHet.1を更に詳しく説明する。
R1の置換基例は、上記一般式(1)中のR1の例と同義であり、好ましい例も同じである。
Wの置換基例は、上記一般式(1)中のWの例と同義であり、好ましい例も同じである。
tの例は、上記一般式(1)中のtの例と同義であり、好ましい例も同じである。
G’が表す非金属原子団としては、芳香族炭化水素環に縮環可能な5〜6員ヘテロ環であれば特に限定されるものでない。その中でも、−NHCO−、−NHCONH−、−CONH2、−NHCO−CO−NH−、−CO−NH−CO−を含有するヘテロ環が好ましく、特に−NHCO−、−NHCONH−、−NHCO−CO−NH−を含有するヘテロ環が好ましく、その中でも特に好ましい5〜6員ヘテロ環は、下記一般式(9)及びまたは一般式(10)で表されるものが挙げられる。式中、*は一般式(3)中の芳香族炭化水素環との縮合部位を表す。
(一般式(9)、(10)中、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
前記一般式(9)、(10)中、R2及びR3が置換基を表す場合の置換基の例としては、上記記一般式(2)におけるX、Y、Z、W0、W1、W2、W3、W4で挙げた置換基と同じものを挙げることができる。
Het.1の表すヘテロ環基は、上記一般式(1)中のHet.1の例と同義であり、好ましい例も同じである。
本発明の一般式(3)で表される顔料の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明の一般式(3)で表されるアゾ顔料及びヒドラゾン顔料として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ヲ)を含むものである。
(イ)G’は、芳香族炭化水素環に縮環可能な5〜6員ヘテロ環であれば特に限定されるものでない。その中でも、−NHCO−、−NHCONH−、−CONH2、−NHCO−CO−NH−、−CO−NH−CO−を含有するヘテロ環が好ましく、特に−NHCO−、−NHCONH−、−NHCO−CO−NH−を含有するヘテロ環が好ましく、その中でも特に好ましい5〜6員ヘテロ環は、下記一般式(9)及びまたは一般式(10)で表されるものが挙げられる。式中、*は一般式(3)中の芳香族炭化水素環との縮合部位を表す。
(一般式(9)、(10)中、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
(ロ)Wは、水酸基、シアノ基、置換または無置換のカルバモイル基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリールオキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアリールチオ基、カルボニル基(−CO−)が好ましく、特に水酸基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、カルボニル基が好ましく、その中でも水酸基、置換アミノ基が最も好ましい。
(ハ)W11、W12、W13、R1、R2の好ましい例はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、シアノ基、置換または無置換のカルバモイル基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリールオキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアリールチオ基、カルボニル基(−CO−)が好ましく、特に水素原子、水酸基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、カルボニル基が好ましく、その中でも水素原子、水酸基、置換アミノ基が最も好ましい。
(ニ)tはへテロ環基に結合可能な基の数(0〜4の整数)を表し、好ましくは0〜3の整数であり、特に0〜2が好ましい、その中でも0〜1が最も好ましい。
(ホ)R1は置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特にメチル基、2級または3級アルキル基が好ましく、メチル基、t−ブチル基が最も好ましい。
(ヘ)Het.1は、上記一般式(2)で表される芳香族ヘテロ環基群(1)〜(15)から選ばれる基が好ましく、その中でも(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)が好ましく、特に(2)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)が好ましく、更に(2)、(5)、(6)、(7)、(10)が好ましく、その中でも(2)、(6)、(7)が最も好ましい。
(ト)Xとして特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基であり、その中でも、シアノ基、または炭素数1〜12のアルキルスルホニル基が好ましく、最も好ましいものは、シアノ基である。
(チ)Yは水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、水素原子、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特に水素原子、またはC1〜C8のアルキル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
(リ)Zは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、特に好ましい置換基は置換もしくは無置換のへテロ環基であり、その中でも特に置換もしくは無置換の含窒素ヘテロ環基が好ましい。
(ヌ)W0として特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基であり、その中でも、シアノ基、またはメタンスルホニル基、フェニルスルホニル基が好ましく、最も好ましいものは、シアノ基である。
(ル)W1〜W4は、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、水素原子、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特に水素原子、またはC1〜C8のアルキル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
(ヲ)顔料母核としては、アゾ顔料及びまたはヒドラゾン顔料のうち主成分がアゾ顔料である事が好ましく、特にアゾ顔料母核の中でもアゾ顔料母核の単一の結晶型が最も好ましい。
上記一般式(1)及び(3)で表されるアゾ顔料は、下記一般式(4)または(5)で表されるアゾ顔料であることが好ましい。
以下、一般式(4)により表されるアゾ顔料、その互変異性体、それらの塩または水和物について詳細に説明する。
一般式(4):
(一般式(4)中、W11、W12、W13、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。Het.1は、請求項1に記載の一般式(2)で表される芳香族へテロ環基群から選ばれる基を表す。前記一般式(2)における*は、一般式(4)中のアゾ基との結合部位を表す。nは1〜3の整数を表す。n=2の場合は、R1、R2、R3、W、W11、W12、W13又はHet.1を介した2量体を表す。n=3の場合はR1、R2、R3、W、W11、W12、W13又はHet.1を介した3量体を表す。)
以下に、前記R1、R2、R3、W11、W12、W13及びHet.1を更に詳しく説明する。
R1の置換基例は、上記一般式(3)中のR1の例と同義であり、好ましい例も同じである。
W11、W12の置換基例は、上記一般式(3)中のWの例と同義であり、好ましい例も同じである。
Het.1の表すヘテロ環基は、上記一般式(3)中のHet.1の例と同義であり、好ましい例も同じである。
本発明の一般式(4)で表される顔料の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明の一般式(4)で表されるアゾ顔料として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(リ)を含むものである。
(イ)W11、W12、W13、R 2 、R 3 の好ましい例はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、シアノ基、置換または無置換のカルバモイル基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリールオキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアリールチオ基、カルボニル基(−CO−)が好ましく、特に水素原子、水酸基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、カルボニル基が好ましく、その中でも水素原子、水酸基、置換アミノ基が最も好ましい。
(ロ)R1は置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特にメチル基、2級または3級アルキル基が好ましく、メチル基、t−ブチル基が最も好ましい。
(ハ)Het.1は、上記一般式(2)で表される芳香族ヘテロ環基群(1)〜(15)から選ばれる基が好ましく、その中でも(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)が好ましく、特に(2)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)が好ましく、更に(2)、(5)、(6)、(7)、(10)が好ましく、その中でも(2)、(6)、(7)が最も好ましい。
(ニ)Xとして特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基であり、その中でも、シアノ基、または炭素数1〜12のアルキルスルホニル基が好ましく、最も好ましいものは、シアノ基である。
(ホ)Yは水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、水素原子、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特に水素原子、またはC1〜C8のアルキル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
(ヘ)Zは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、特に好ましい置換基は置換もしくは無置換のへテロ環基であり、その中でも特に置換もしくは無置換の含窒素ヘテロ環基が好ましい。
(ト)W0として特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基であり、その中でも、シアノ基、またはメタンスルホニル基、フェニルスルホニル基が好ましく、最も好ましいものは、シアノ基である。
(チ)W1〜W4は、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、水素原子、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特に水素原子、またはC1〜C8のアルキル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
(リ)顔料母核としては、アゾ顔料及びまたはヒドラゾン顔料のうち主成分がアゾ顔料である事が好ましく、特にアゾ顔料母核の中でもアゾ顔料母核の単一の結晶型が最も好ましい。
以下、一般式(5)により表されるアゾ顔料、その互変異性体、それらの塩または水和物について詳細に説明する。
一般式(5):
(一般式(5)中、W11、W12、W13、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。Het.1は、請求項1に記載の一般式(2)で表される芳香族へテロ環基群から選ばれる基を表す。前記一般式(2)における*は、一般式(5)中のアゾ基との結合部位を表す。nは1〜3の整数を表す。)n=2の場合は、R1、R2、R3、W11、W12、W13又はHet.1を介した2量体を表す。n=3の場合はR1、R2、R3、W、W11、W12、W13又はHet.1を介した3量体を表す。
以下に、前記R1、R2、R3、W11、W12、W13及びHet.1を更に詳しく説明する。
R1の置換基例は、上記一般式(3)中のR1の例と同義であり、好ましい例も同じである。
W11、W12の置換基例は、上記一般式(3)中のWの例と同義であり、好ましい例も同じである。
Het.1の表すヘテロ環基は、上記一般式(3)中のHet.1の例と同義であり、好ましい例も同じである。
本発明の一般式(5)で表される顔料の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明の一般式(5)で表されるアゾ顔料として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(リ)を含むものである。
(イ)W11、W12、W13、R1、R2の好ましい例はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、シアノ基、置換または無置換のカルバモイル基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリールオキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアリールチオ基、カルボニル基(−CO−)が好ましく、特に水素原子、水酸基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、カルボニル基が好ましく、その中でも水素原子、水酸基、置換アミノ基が最も好ましい。
(ロ)R1は置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特にメチル基、2級または3級アルキル基が好ましく、メチル基、t−ブチル基が最も好ましい。
(ハ)Het.1は、上記一般式(2)で表される芳香族ヘテロ環基群(1)〜(15)から選ばれる基が好ましく、その中でも(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)が好ましく、特に(2)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)が好ましく、更に(2)、(5)、(6)、(7)、(10)が好ましく、その中でも(2)、(6)、(7)が最も好ましい。
(ニ)Xとして特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基であり、その中でも、シアノ基、または炭素数1〜12のアルキルスルホニル基が好ましく、最も好ましいものは、シアノ基である。
(ホ)Yは水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、水素原子、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特に水素原子、またはC1〜C8のアルキル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
(ヘ)Zは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、特に好ましい置換基は置換もしくは無置換のへテロ環基であり、その中でも特に置換もしくは無置換の含窒素ヘテロ環基が好ましい。
(ト)W0として特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基であり、その中でも、シアノ基、またはメタンスルホニル基、フェニルスルホニル基が好ましく、最も好ましいものは、シアノ基である。
(チ)W1〜W4は、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、水素原子、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特に水素原子、またはC1〜C8のアルキル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
(リ)顔料母核としては、アゾ顔料及びまたはヒドラゾン顔料のうち主成分がアゾ顔料である事が好ましく、特にアゾ顔料母核の中でもアゾ顔料母核の単一の結晶型が最も好ましい。
上記一般式(1)〜(5)で表されるアゾ顔料その互変異性体、それらの塩または水和物のうち、最も好ましくはHet.1で表される芳香族へテロ環基が下記一般式(6)で表される顔料である。
以下、一般式(6)について詳細に説明する。
一般式(6):
(一般式(6)中、Yは水素原子または置換基を表す。Xはハメットのσp値が0.2以上の電子求引性基を表す。G’は、5〜6員の含窒素ヘテロ環を構成する事ができる非金属原子群を表し、ヘテロ環は無置換であっても、置換基を有していてもよい。また、それぞれのヘテロ環は単環であっても縮環していてもよい。*はアゾ基との結合部位を表す。)
以下に、前記X、Y、及びGを更に詳しく説明する。
Xの置換基例は、上記一般式(2)中のXの例と同義であり、好ましい例も同じである。
Yの置換基例は、上記一般式(2)中のYの例と同義であり、好ましい例も同じである。
G’の表す5〜6員の含窒素ヘテロ環を構成する事ができる非金属原子群の好ましい例は、下記一般式(11)中の(G−1)〜(G−13)である。一般式(G−1)〜(G−13)中の*は、該ピラゾール環のN原子との結合部位を表す。Z11〜Z14は水素原子または置換基を表す。(G−13)におけるG’は5〜6員ヘテロ環を構成する事ができる非金属原子群を表し、G’で表されるヘテロ環は無置換であっても、置換基を有していてもよく、ヘテロ環は単環であっても縮環していてもよい。式(G−1)〜(G−13)は置換基と共に互変異性体構造であっても良い。
一般式(11):
上記一般式(11)中の(G−1)〜(G−13)で表される*はピラゾリル基上のN原子との結合部位を表す。
上記一般式(11)中、G’が表す5〜6員の含窒素ヘテロ環を構成する事ができる非金属原子群の好ましい例は、(G−1)、(G−2)、(G−3)、(G−4)、(G−5)、(G−6)、(G−7)、(G−10)、(G−11)、(G−12)が好ましく、更に(G−1)、(G−2)、(G−3)、(G−4)、(G−5)、(G−6)が好ましく、特に(G−1)、(G−3)、(G−4)、(G−6)が好ましく、その中で(G−1)、(G−3)、(G−4)が最も好ましい。
本発明の一般式(6)で表される芳香族へテロ環基の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明の一般式(6)で表される芳香族へテロ環基として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ハ)を含むものである。
(イ)Xとして特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基であり、その中でも、シアノ基、または炭素数1〜12のアルキルスルホニル基が好ましく、最も好ましいものは、シアノ基である。
(ロ)Yは水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、水素原子、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特に水素原子、またはC1〜C8のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基が最も好ましい。
(ハ)G’が表す5〜6員の含窒素ヘテロ環を構成する事ができる非金属原子群の好ましい例は、(G−1)、(G−2)、(G−3)、(G−4)、(G−5)、(G−6)、(G−7)、(G−10)、(G−11)、(G−12)が好ましく、更に(G−1)、(G−2)、(G−3)、(G−4)、(G−5)、(G−6)が好ましく、特に(G−1)、(G−3)、(G−4)、(G−6)が好ましく、その中で(G−1)、(G−3)、(G−4)が最も好ましい。
本発明は、一般式(1)〜(6)で表されるアゾ顔料の互変異性体もその範囲に含むものである。一般式(1)〜(6)は、化学構造上取りうる数種の互変異性体の中から極限構造式の形で示しているが、記載された構造以外の互変異性体であってもよく、複数の互変異性体を含有した混合物として用いても良い。
例えば、一般式(3)で表される顔料には、下記一般式(3’)で表されるアゾ−ヒドラゾンの互変異性体が考えられる。
本発明は、一般式(3)で表されるアゾ顔料の互変異性体である以下の一般式(3’)で表される化合物もその範囲に含むものである。
以下、一般式(3)及び(3’)について詳細に説明する。
(一般式(3’)中、R1、G’、W、W11、W12、W13、t、Het.1及びnは一般式(3)で定義したものと同じである。)
本発明において、前記一般式(1)〜(6)で表されるアゾ顔料は、例えば、上記の極限構造式で表される互変異性体を含有していてもよいが、本発明のアゾ顔料、その塩、水和物及びそれらの互変異性体より選ばれる1種を主成分とすることが好ましい。すなわち、単一の極限構造式で表されるアゾ顔料を主成分とし、異なる極限構造で表されるアゾ顔料の含有量は少ないことが好ましく、主成分となるアゾ顔料の含有量はアゾ顔料全体に対し70%〜100%、好ましくは80%〜100%、より好ましくは90%〜100%、更に好ましくは95%〜100、特に好ましくは100%である。単一の極限構造式で表されるアゾ顔料を主成分とすることで、色素分子の配列に対して規則性が向上し、分子内・分子間相互作用が強まり高次な3次元ネットワークを形成しやすくなり、色相の向上・光堅牢性・熱堅牢性・湿度堅牢性・酸化性ガス堅牢性及び耐溶剤性等、顔料に要求される性能の点で好ましい。
アゾ顔料、その塩、水和物及びそれらの互変異性体の混合比は、単結晶X線結晶構造解析、粉末X線回折(XRD)、結晶の顕微鏡写真(TEM)、IR(KBr法)等の固体の物理化学的測定値から確認できる。
上記一般式(1)〜(6)で表されるアゾ顔料において多数の互変異性体が考えられる。一般式(1)〜(6)で表されるアゾ顔料のうち、前述したように特に好ましいアゾ顔料の一般式の例としては、下記一般式(12)または(13)で表されるアゾ顔料を挙げることができる。
この構造が好ましい要因としては、一般式(12)または(13)で示すようにアゾ顔料構造に含有するヘテロ環を構成する窒素原子、水素原子およびヘテロ原子(カルボニル基の酸素原子またはアミノ基の窒素原子)が少なくとも1個以上の分子内の交叉水素結合(分子内水素結合)を容易に形成し易いことが挙げられる。その結果、分子の平面性が上がり、更に分子内・分子間相互作用が向上し、一般式(12)または(13)で表されるアゾ顔料の結晶性が高くなり(高次構造を形成し易くなり)、顔料としての要求性能である、光堅牢性、熱安定性、湿熱安定性、耐水性、耐ガス性及びまたは耐溶剤性が大幅に向上するため、最も好ましい例となる。
一般式(12):
一般式(13):
(一般式(12)及び(13)中、X、Y、R1、及びG’は一般式(3)で定義したものと同義である。)
前記一般式(1)〜(6)で表されるアゾ顔料の具体例を以下に示すが、本発明に用いられるアゾ顔料は、下記の例に限定されるものではない。
また、以下の具体例の構造は化学構造上取りうる数種の互変異性体の中から極限構造式の形で示されるが、記載された構造以外の互変異性体構造のものであっても良いことは言うまでもない。
本発明の一般式(1)〜(6)で表される顔料は、化学構造式が一般式(1)〜(6)あるいはその互変異性体であれば良く、多形とも呼ばれるいかなる結晶形態の顔料であっても良い。
結晶多形は、同じ化学組成を有するが、結晶中におけるビルディングブロック(分子又はイオン)の配置が異なることを言う。結晶構造によって化学的及び物理的性質が決定され、各多形は、レオロジー、色、及び他の色特性によってそれぞれ区別することができる。また、異なる多形は、X-Ray Diffraction(粉末X線回折測定結果)やX-Ray Analysis(X線結晶構造解析結果)によって確認することもできる。
本発明の一般式(1)〜(6)で表される顔料に結晶多形が存在する場合、どの多形であってもよく、また2種以上の多形の混合物であっても良いが、結晶型が単一のものを主成分とすることが好ましい。すなわち結晶多系が混入していないものが好ましく、単一の結晶型を有するアゾ顔料の含有量はアゾ顔料全体に対し70%〜100%、好ましくは80%〜100%、より好ましくは90%〜100%、更に好ましくは95%〜100、特に好ましくは100%である。単一の結晶型を有するアゾ顔料を主成分とすることで、色素分子の配列に対して規則性が向上し、分子内・分子間相互作用が強まり高次な3次元ネットワークを形成しやすくなる。その結果として色相の向上・光堅牢性・熱堅牢性・湿度堅牢性・酸化性ガス堅牢性及び耐溶剤性等、顔料に要求される性能の点で好ましい。
アゾ顔料における結晶多形の混合比は、単結晶X線結晶構造解析、粉末X線回折(XRD)、結晶の顕微鏡写真(TEM)、IR(KBr法)等の固体の物理化学的測定値から確認できる。
また、本発明において一般式(1)〜(6)で表されるアゾ顔料は、酸基のある場合には、酸基の一部あるいは全部が塩型のものであってもよく、塩型の顔料と遊離酸型の顔料が混在していてもよい。上記の塩型の例としてNa、Li、K等のアルカリ金属の塩、アルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニウムの塩、又は有機アミンの塩が挙げられる。有機アミンの例として、低級アルキルアミン、ヒドロキシ置換低級アルキルアミン、カルボキシ置換低級アルキルアミン及び炭素数2〜4のアルキレンイミン単位を2〜10個有するポリアミン等が挙げられる。これらの塩型の場合、その種類は1種類に限られず複数種混在していてもよい。
更に、本発明で使用する顔料の構造において、その1分子中に酸基が複数個含まれる場合は、その複数の酸基は塩型あるいは酸型であり互いに異なるものであってもよい。
本発明において、前記一般式(1)〜(6)で表されるアゾ顔料は、結晶中に水分子を含む水和物であっても良い。
上記一般式(1)で表されるアゾ顔料は以下の方法により製造できる。すなわち、下記一般式(14)で表されるヘテロ環アミンをジアゾニウム化し、
一般式(14):
Het−NH2
(式中、Hetは上記一般式(2)で表される芳香族へテロ環群から選ばれるへテロ環基と同義である。一般式(2)における*は、一般式(14)中のアミノ基との結合部位を表す。)
続いて、下記一般式(15)で表される化合物とカップリング反応を行うことで、上記一般式(1)で表されるアゾ顔料を製造することができる。
一般式(15):
(式中、R1、P1、Q1はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。Gは5〜6員ヘテロ環で縮環している芳香族炭化水素環を構成する事ができる非金属原子団を表す。Wは、Gが構成するヘテロ環で縮環している芳香族炭化水素環に結合可能な置換基を表す。tは0〜5の整数を表す。)
一般式(15)中、R1、P1、Q1は、上記一般式(1)で表されるR1、P1、Q1と同義であり、好ましい例も同じである。
Gの置換基例は、上記一般式(1)中のGの例と同義であり、好ましい例も同じである。
Wは、上記一般式(1)中のWの例と同義であり、好ましい例も同じである。
tは、上記一般式(1)中のtの例と同義であり、好ましい例も同じである。
本発明の一般式(14)、一般式(15)で表されるアゾ顔料の中間体の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明の一般式(14)、一般式(15)で表されるアゾ顔料の中間体として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ヲ)を含むものである。
(イ)Gは、芳香族炭化水素環に結合可能な5〜6員含窒素ヘテロ環が好ましく、特に好ましいGは、−NHCO−、−NHCONH−、−CONH2、−NHCO−CO−NH−、−CO−NH−CO−を含有するヘテロ環が縮環した芳香族炭化水素環が好ましく、特に−NHCO−、−NHCONH−、−NHCO−CO−NH−を含有するヘテロ環が縮環した芳香族炭化水素環が好ましく、その中でも特に好ましい5〜6員ヘテロ環が縮環している芳香族炭化水素環は、下記一般式(7)及びまたは一般式(8)で表されるものが挙げられる。式中、*は一般式(1)中のN原子との結合部位を表す。
(一般式(7)、(8)中、W11、W12、W13、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
(ロ)Wは、水酸基、シアノ基、置換または無置換のカルバモイル基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリールオキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアリールチオ基、カルボニル基(−CO−)が好ましく、特に水酸基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、カルボニル基が好ましく、その中でも水酸基、置換アミノ基が最も好ましい。
(ハ)W11、W12、W13、R1、R2の好ましい例はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、シアノ基、置換または無置換のカルバモイル基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリールオキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、置換または無置換のアリールチオ基、カルボニル基(−CO−)が好ましく、特に水素原子、水酸基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアルキルチオ基、カルボニル基が好ましく、その中でも水素原子、水酸基、置換アミノ基が最も好ましい。
(ニ)tはへテロ環基に結合可能な基の数(0〜5の整数)を表し、好ましくは1〜4の整数であり、特に2〜3が好ましい、その中でも3が最も好ましい。
(ホ)R1は置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特にメチル基、2級または3級アルキル基が好ましく、メチル基、t−ブチル基が最も好ましい。
(ヘ)P1、Q1はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、または置換もしくは無置換のアリールスルホニル基が好ましく、特に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアシル基が好ましく、その中でも特に水素原子が好ましい。
(ト)Hetは、上記一般式(2)で表される芳香族ヘテロ環基群(1)〜(15)から選ばれる基が好ましく、その中でも(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)が好ましく、特に(2)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)が好ましく、更に(2)、(5)、(6)、(7)、(10)が好ましく、その中でも(2)、(6)、(7)が好ましく、(2)が最も好ましい。
(チ)Xとして特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基であり、その中でも、シアノ基、または炭素数1〜12のアルキルスルホニル基が好ましく、最も好ましいものは、シアノ基である。
(リ)Yは水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、水素原子、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特に水素原子、またはC1〜C8のアルキル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
(ヌ)Zは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、特に好ましい置換基は置換もしくは無置換のへテロ環基であり、その中でも特に置換もしくは無置換の含窒素ヘテロ環基が好ましい。
(ル)W0として特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基であり、その中でも、シアノ基、またはメタンスルホニル基、フェニルスルホニル基が好ましく、最も好ましいものは、シアノ基である。
(ヲ)W1〜W4は、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、水素原子、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特に水素原子、またはC1〜C8のアルキル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
以下に、本発明のアゾ顔料の合成に関して詳細に説明する。
本発明のアゾ顔料は、例えば、一般式(14)のジアゾ成分を既知の方法により調製したジアゾニウム塩を一般式(15)のカップリング成分とアゾカップリング反応させることにより合成できる。
ジアゾニウム塩調製及びカップリング反応は、慣用法によって実施できる。
一般式(14)のジアゾニウム塩調製は、例えば酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等)含有反応媒質中で、ニトロソニウムイオン源、例えば亜硝酸、亜硝酸塩またはニトロシル硫酸を用いる慣用のジアゾニウム塩調整方法が適用できる。
より好ましい酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸、リン酸、硫酸を単独または併用して用いる場合が挙げられ、その中でリン酸、または酢酸と硫酸の併用系が特に好ましい。
反応媒質(溶媒)の好ましい例としては、有機酸、無機酸を用いることが好ましく、特にリン酸、硫酸、酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸が好ましく、その中でも酢酸及びまたはプロピオン酸が好ましい。
好ましいニトロソニウムイオン源の例としては、上記の好ましい酸含有含有反応媒質中でニトロシル硫酸を用いることが安定に且つ効率的にジアゾニウム塩を調製できる。
一般式(14)のジアゾ成分に対する溶媒の使用量は、0.5〜50質量倍が好ましく、より好ましくは1〜20質量倍であり、特に3〜10質量倍が好ましい。
本発明において、一般式(14)のジアゾ成分は溶媒に分散している状態であっても、ジアゾ成分の種類によっては溶解液の状態になっていてもどちらでも良い。
ニトロソニウムイオン源の使用量はジアゾ成分に対して0.95〜5.0当量が好ましく、より好ましくは1.00〜3.00当量であり、特に1.00〜1.10当量であることが好ましい。
反応温度は、−15℃〜30℃が好ましく、より好ましくは−10℃〜10℃であり、更に好ましくは−5℃〜5℃である。−10℃未満では反応速度が顕著に遅くなり合成に要する時間が著しく長くなるため経済的でなく、また30℃を超える高温で合成する場合には、副生成物の生成量が増加するため好ましくない。
反応時間は、30分から300分が好ましく、より好ましくは30分から200分であり、更に好ましくは30分から150分である。
カップリング反応は、酸性反応媒質中〜塩基性反応媒質中で実施することができるが、本発明のアゾ顔料は酸性〜中性反応媒質中で実施することが好ましく、特に酸性反応媒質中で実施することがジアゾニウム塩の分解を抑制し効率良くアゾ顔料に誘導することができる。
反応媒質(溶媒)の好ましい例としては、有機酸、無機酸、有機溶媒を用いることができるが、特に有機溶媒が好ましく、反応時に液体分離現象を起こさず、溶媒と均一な溶液を呈する溶媒が好ましい。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブチルアルコール、アミルアルコール等のアルコール性有機溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系有機溶媒、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール等のジオール系有機溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系有機溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル等が挙げられる、これらの溶媒は2種類以上の混合液であってもよい。
好ましくは、極性パラメータ(ET)の値が40以上の有機溶媒である。なかでも溶媒分子中に水酸基を2個以上有するグリコール系の溶媒、あるいは炭素原子数が3個以下のアルコール系溶媒、好ましくは炭素原子数が2以下のアルコール溶媒(例えば、メタノール、エチレングリコール)が好ましい。またこれらの混合溶媒も含まれる。
溶媒の使用量は上記一般式(15)で表されるカップリング成分の1〜100質量倍が好ましく、より好ましくは1〜50質量倍であり、更に好ましくは2〜10質量倍である。
本発明において、一般式(15)のカップリング成分は溶媒に分散している状態であっても、カップリング成分の種類によっては溶解液の状態になっていてもどちらでも良い。
カップリング成分の使用量は、アゾカップリング部位あたり、ジアゾ成分が0.95〜5.0当量が好ましく、より好ましくは1.00〜3.00当量であり、特に1.00〜1.50当量であることが好ましい。
反応温度は、−30℃〜30℃が好ましく、より好ましくは−15℃〜10℃であり、更に好ましくは−10℃〜5℃である。−30℃未満では反応速度が顕著に遅くなり合成に要する時間が著しく長くなるため経済的でなく、また30℃を超える高温で合成する場合には、副生成物の生成量が増加するため好ましくない。
反応時間は、30分から300分が好ましく、より好ましくは30分から200分であり、更に好ましくは30分から150分である。
本発明のアゾ顔料の合成方法においては、これらの反応によって得られる生成物(粗アゾ顔料)は通常の有機合成反応の後処理方法に従って処理した後、精製してあるいは精製せずに供することができる。
すなわち、例えば、反応系から遊離したものを精製せずに、あるいは再結晶、造塩等にて精製する操作を単独、あるいは組み合わせて行ない、供することができる。
また、反応終了後、反応溶媒を留去して、あるいは留去せずに水、又は氷にあけ、中和してあるいは中和せずに、遊離したものをあるいは有機溶媒/水溶液にて抽出したものを、精製せずにあるいは再結晶、晶析、造塩等にて精製する操作を単独に又は組み合わせて行なった後、供することもできる。
更に詳細に本発明のアゾ顔料の合成方法について説明する。
本発明のアゾ顔料の製造方法は、下記一般式(14)で表されるヘテロ環アミンをジアゾニウム化したジアゾニウム化合物と、下記一般式(15)で表される化合物とのカップリング反応において、該一般式(15)の化合物を有機溶媒に溶解させた後カップリング反応を行うことができる。
上記一般式(14)で表されるヘテロ環アミンのジアゾニウム化反応は例えば、硫酸、リン酸、酢酸などの酸性溶媒中、亜硝酸ナトリウム、ニトロシル硫酸等の試薬と15℃以下の温度で10分〜6時間程度反応させることで行うことができる。カップリング反応は、上述の方法で得られたジアゾニウム塩と上記一般式(15)で表される化合物とを40℃以下、好ましくは15℃以下で10分〜12時間程度反応させることで行うことが好ましい。
上述した互変異性および/または結晶多形の制御は、カップリング反応の際の製造条件で制御することができる。より好ましい形態である結晶を製造する方法としては、例えば、上記一般式(15)で表される化合物を有機溶媒に一度溶解させた後カップリング反応を行う本発明の方法を用いるのが好ましい。このとき使用できる有機溶媒としては、例えば、アルコール溶媒が挙げられる。アルコール溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等が好ましく、その中でもメタノールが特に好ましい。
本発明の別のアゾ顔料の製造方法は、前記一般式(14)で表されるヘテロ環アミンをジアゾニウム化したジアゾニウム化合物と、前記一般式(15)で表される化合物とのカップリング反応において、極性非プロトン性溶媒の存在下カップリング反応を行うことができる。
極性非プロトン性溶媒の例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、およびこれらの混合溶媒等が挙げられる。これらの溶媒を用いる場合、上記一般式(15)の化合物は溶媒に完溶していても完溶していなくてもよい。
上記の製造方法によって、上記一般式(1)〜(6)で表される化合物は粗アゾ顔料(クルード)として得られるが、本発明の顔料として用いる場合、後処理を行うことが望ましい。この後処理の方法としては、例えば、ソルベントソルトミリング、ソルトミリング、ドライミリング、ソルベントミリング、アシッドペースティング等の磨砕処理、溶媒加熱処理などによる顔料粒子制御工程、樹脂、界面活性剤および分散剤等による表面処理工程が挙げられる。
本発明の一般式(1)〜(6)で表される化合物は後処理として溶媒加熱処理および/またはソルベントソルトミリングを行うことが好ましい。
溶媒加熱処理に使用される溶媒としては、例えば、水、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の極性非プロトン性有機溶媒、氷酢酸、ピリジン、またはこれらの混合物等が挙げられる。上記で挙げた溶媒に、さらに無機または有機の酸または塩基を加えても良い。溶媒加熱処理の温度は所望する顔料の一次粒子径の大きさによって異なるが、40〜150℃が好ましく、60〜100℃がさらに好ましい。また、処理時間は、30分〜24時間が好ましい。
ソルベントソルトミリングとしては、例えば、粗アゾ顔料と、無機塩と、それを溶解しない有機溶剤とを混練機に仕込み、その中で混練磨砕を行うことが挙げられる。上記無機塩としては、水溶性無機塩が好適に使用でき、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を用いることが好ましい。また、平均粒子径0.5〜50μmの無機塩を用いることがより好ましい。当該無機塩の使用量は、粗アゾ顔料に対して3〜20質量倍とするのが好ましく、5〜15質量倍とするのがより好ましい。有機溶剤としては、水溶性有機溶剤が好適に使用でき、混練時の温度上昇により溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から高沸点溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、例えばジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングルコール、液体ポリプロピレングリコール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2ー(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールまたはこれらの混合物が挙げられる。当該水溶性有機溶剤の使用量は、粗アゾ顔料に対して0.1〜5質量倍が好ましい。混練温度は、20〜130℃が好ましく、40〜110℃が特に好ましい。混練機としては、例えばニーダーやミックスマーラー等が使用できる。
〔顔料分散物〕
本発明の顔料分散物は、一般式(1)〜(6)で表されるアゾ顔料を少なくとも1種を含むことを特徴とする。これにより、色彩的特性、耐久性および分散安定性に優れた顔料分散物とすることができる。
本発明の顔料分散物は、水系であっても非水系であってもよいが、水系の顔料分散物であることが好ましい。本発明の水系顔料分散物において顔料を分散する水性の液体は、水を主成分とし、所望により親水性有機溶剤を添加した混合物を用いることができる。前記親水性有機溶剤としては,例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等の他価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールものブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートトリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコール誘導体、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン等のアミン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
さらに、本発明の水系顔料分散物には水性樹脂を含んでいてもよい。水性樹脂としては,水に溶解する水溶解性の樹脂,水に分散する水分散性の樹脂,コロイダルディスパーション樹脂、またはそれらの混合物が挙げられる。水性樹脂として具体的には,アクリル系,スチレン−アクリル系,ポリエステル系,ポリアミド系,ポリウレタン系,フッ素系等の樹脂が挙げられる。
さらに,顔料の分散および画像の品質を向上させるため,界面活性剤および分散剤を用いてもよい。界面活性剤としては、アニオン性,ノニオン性,カチオン性,両イオン性の界面活性剤が挙げられ、いずれの界面活性剤を用いてもよいが、アニオン性、または非イオン性の界面活性剤を用いるのが好ましい。アニオン性界面活性剤としては,例えば、脂肪酸塩,アルキル硫酸エステル塩,アルキルベンゼンスルホン酸塩,アルキルナフタレンスルホン酸塩,ジアルキルスルホコハク酸塩,アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩,アルキルリン酸塩,ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩,ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩,ナフタレンスルホン酸フォルマリン縮合物,ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩,グリセロールボレイト脂肪酸エステル,ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては,例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル,ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー,ソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル,グリセリン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンアルキルアミン,フッ素系,シリコン系等が挙げられる。
非水系顔料分散物は、前記一般式(1)で表される顔料を非水系ビヒクルに分散してなるものである。非水系ビヒクルに使用される樹脂は、例えば、石油樹脂、カゼイン、セラック、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、環化ゴム、塩化ゴム、酸化ゴム、塩酸ゴム、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、乾性油、合成乾性油、スチレン/マレイン酸樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂塩素化ポリプロピレン、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。非水系ビヒクルとして、光硬化性樹脂を用いてもよい。
また、非水系ビヒクルに使用される溶剤としては、例えば、トルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物のようなカルバミン酸エステル等が挙げられる。
本発明において、顔料の体積平均粒子径は10nm以上250nm以下であることが好ましい。なお、顔料粒子の体積平均粒子径とは、顔料そのものの粒子径、又は色材に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒子径をいう。本発明において、顔料の体積平均粒子径の測定装置には、ナノトラックUPA粒度分析計(UPA−EX150;日機装社製)を用いた。その測定は、顔料分散体3mlを測定セルに入れ、所定の測定方法に従って行った。尚、即提示に入力するパラメーターとしては、粘度にはインク粘度を、分散粒子の密度には顔料の密度を用いた。
より好ましい体積平均粒子径は、20nm以上250nm以下であり、更に好ましくは30nm以上230nm以下である。顔料分散物中の粒子の数平均粒子径が10nm未満である場合には、保存安定性が確保できない場合が存在し、一方、250nmを超える場合には、光学濃度が低くなる場合が存在する。
本発明の顔料分散物に含まれる顔料の濃度は、1〜35質量%の範囲であることが好ましく、2〜25質量%の範囲であることがより好ましい。濃度が1質量%に満たないと、インクとして顔料分散物を単独で用いるときに十分な画像濃度が得られない場合がある。濃度が35質量%を超えると、分散安定性が低下する場合がある。
本発明の顔料分散物は、上記のアゾ顔料及び水系または非水系の媒体とを、分散装置を用いて分散することで得られる。分散装置としては、簡単なスターラーやインペラー攪拌方式、インライン攪拌方式、ミル方式(例えば、コロイドミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ペイントシェイカー、アジテーターミル等)、超音波方式、高圧乳化分散方式(高圧ホモジナイザー;具体的な市販装置としてはゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、DeBEE2000等)を使用することができる。
本発明のアゾ顔料の用途としては、画像、特にカラー画像を形成するための画像記録材料が挙げられ、具体的には、以下に詳述するインクジェット方式記録材料を始めとして、感熱記録材料、感圧記録材料、電子写真方式を用いる記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等があり、好ましくはインクジェット方式記録材料、感熱記録材料、電子写真方式を用いる記録材料であり、更に好ましくはインクジェット方式記録材料である。
また、CCDなどの固体撮像素子やLCD、PDP等のディスプレーで用いられるカラー画像を記録・再現するためのカラーフィルター、各種繊維の染色の為の染色液にも適用できる。
本発明のモノアゾ顔料は、その用途に適した耐溶溶剤性、分散性、熱移動性などの物性を、置換基で調整して使用する。また、本発明のモノアゾ顔料は、用いられる系に応じて乳化分散状態、さらには固体分散状態でも使用する事が出来る。
〔着色組成物〕
本発明の着色組成物は、少なくとも一種の本発明のアゾ顔料を含有する着色組成物を意味する。本発明の着色組成物は、媒体を含有させることができるが、媒体として溶媒を用いた場合は特にインクジェット記録用インクとして好適である。本発明の着色組成物は、媒体として、親油性媒体や水性媒体を用いて、それらの中に、本発明のアゾ顔料を分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。本発明の着色組成物には、媒体を除いたインク用組成物も含まれる。本発明の着色組成物は、必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有しうる。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤(特開2003−306623号公報に記載)が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性インクの場合には、アゾ顔料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
〔インク〕
次に、本発明のインクについて説明する。
本発明のインクは、上記で説明した本発明の顔料分散物を含み、好ましくは水溶性溶媒、水等を混合して調製される。ただし、特に問題がない場合は、前記本発明の顔料分散物をそのまま用いてもよい。
本発明のインクは本発明の顔料分散物を含み、インクジェット記録用インクとして用いることもできる。
また、本発明の顔料を含有する着色組成物はインクジェット記録用インクとして好ましく用いることができる。
本発明のインクは、上記で説明した顔料分散物を用いる。好ましくは、水溶性溶媒、水等を混合して調製される。ただし、特に問題がない場合は、前記本発明の顔料分散物をそのまま用いてもよい。
〔インクジェット記録用インク〕
次に、本発明のインクジェット記録用インクについて説明する。
本発明のインクジェット記録用インク(以下、「インク」という場合がある)は、上記で説明した顔料分散物を用いる。好ましくは、水溶性溶媒、水等を混合して調製される。ただし、特に問題がない場合は、前記本発明の顔料分散物をそのまま用いてもよい。
本発明のインク中の顔料分散物の含有割合は、記録媒体上に形成した画像の色相、色濃度、彩度、透明性等を考慮すると、1〜100質量%の範囲が好ましく、3〜20質量%の範囲が特に好ましく、その中でも3〜10質量%の範囲がもっとも好ましい。
本発明のインク100質量部中に、本発明のアゾ顔料を0.1質量部以上20質量部以下含有するのが好ましく、0.2質量部以上10質量部以下含有するのがより好ましく、1〜10質量部含有するのがさらに好ましい。また、本発明のインクには、本発明のアゾ顔料とともに、他の顔料を併用してもよい。2種類以上の顔料を併用する場合は、顔料の含有量の合計が前記範囲となっているのが好ましい。
本発明のインクは、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができ、また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。
さらに、本発明におけるインクは、上記本発明におけるアゾ顔料の他に別の顔料を同時に用いることが出来る。適用できるイエロー顔料としては、例えば、C.I.P.Y.−74、C.I.P.Y.−128、C.I.P.Y.−155、C.I.P.Y.−213が挙げられ、適用できるマゼンタ顔料としては、C.I.P.V.−19、C.I.P.R.−122が挙げられ、適用できるシアン顔料としては、C.I.P.B.−15:3、C.I.P.B.−15:4が挙げられ、これらとは別に、各々任意のものを使用する事が出来る。適用できる黒色材としては、ジスアゾ、トリスアゾ、テトラアゾ顔料のほか、カーボンブラックの分散体を挙げることができる。
本発明のインクジェット記録用インクに用いられる水溶性溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が使用される。
具体例としては、多価アルコール類では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等が挙げられる。
前記多価アルコール類誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
また、前記含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が、アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が、含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が各々挙げられる。その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を用いることもできる。
本発明に使用される水溶性溶媒は、単独で使用しても、2種類以上混合して使用しても構わない。水溶性溶媒の含有量としては、インク全体の1質量%以上60質量%以下、好ましくは、5質量%以上40質量%以下で使用される。インク中の水溶性溶媒量が1質量%よりも少ない場合には、十分な光学濃度が得られない場合が存在し、逆に、60質量%よりも多い場合には、液体の粘度が大きくなり、インク液体の噴射特性が不安定になる場合が存在する。
本発明のインクジェット記録用インクの好ましい物性は以下の通りである。
インクの表面張力は、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上35mN/m以下である。表面張力が20mN/m未満となると記録ヘッドのノズル面に液体が溢れ出し、正常に印字できない場合がある。一方、60mN/mを超えると、印字後の記録媒体への浸透性が遅くなり、乾燥時間が遅くなる場合がある。
なお、上記表面張力は、前記同様ウイルヘルミー型表面張力計を用いて、23℃、55%RHの環境下で測定した。
インクの粘度は、1.2mPa・s以上8.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは1.5mPa・s以上6.0mPa・s未満、更に好ましくは1.8mPa・s以上4.5mPa・s未満である。粘度が8.0mPa・sより大きい場合には、吐出性が低下する場合がある。一方、1.2mPa・sより小さい場合には、長期噴射性が悪化する場合がある。
なお、上記粘度(後述するものを含む)の測定は、回転粘度計レオマット115(Contraves社製)を用い、23℃でせん断速度を1400s-1として行った。
インクには、前記各成分に加えて、上記の好ましい表面張力及び粘度となる範囲で、水が添加される。水の添加量は特に制限は無いが、好ましくは、インク全体に対して、10質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは、30質量%以上80質量%以下である。
さらに必要に応じて、吐出性改善等の特性制御を目的とし、ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、多糖類及びその誘導体、その他水溶性ポリマー、アクリル系ポリマーエマルション、ポリウレタン系エマルション、親水性ラテックス等のポリマーエマルション、親水性ポリマーゲル、シクロデキストリン、大環状アミン類、デンドリマー、クラウンエーテル類、尿素及びその誘導体、アセトアミド、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等を用いることができる。
また、導電率、pHを調整するため、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の含窒素化合物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属類の化合物、硫酸、塩酸、硝酸等の酸、硫酸アンモニウム等の強酸と弱アルカリの塩等を使用することができる。
その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、等も添加することができる。
〔インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びインクジェット記録用インクタンク〕
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録用インクを用い、記録信号に応じて記録ヘッドから記録媒体表面にインクを吐出して、記録媒体表面に画像を形成する方法である。
また、本発明のインクジェット記録装置は、本発明のインクジェット記録用インクを用い、インク(必要により処理液)を記録媒体表面に吐出する記録ヘッドを備え、記録媒体表面に前記インクを記録ヘッドから吐出することにより、画像を形成する装置である。なお、本発明のインクジェット記録装置は、記録ヘッドに、インクを供給することができ、かつ、インクジェット記録装置本体に対して脱着可能なインクジェット記録用インクタンク(以下、「インクタンク」と称す場合がある)を備えていてもよい。この場合、このインクジェット記録用インクタンクには、本発明のインクが収納される。
本発明のインクジェット記録装置としては、本発明のインクジェット記録用インクを用いることが可能な印字方式を備えた通常のインクジェット記録装置が利用でき、この他にも、必要に応じてインクのドライングを制御するためのヒーター等を搭載していたり、中間体転写機構を搭載し、中間体にインク及び処理液を吐出(印字)した後、紙等の記録媒体に転写する機構を備えたものであってもよい。
また、本発明のインクジェット記録用インクタンクは、記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置に対して脱着可能であり、インクジェット記録装置に装着した状態で、記録ヘッドにインクを供給できる構成を有するものであれば、従来公知のインクタンクが利用できる。
本発明のインクジェット記録方法(装置)は、滲み及び色間滲みの改善効果という観点から熱インクジェット記録方式、または、ピエゾインクジェット記録方式を採用することが好ましい。
熱インクジェット記録方式の場合、吐出時にインクが加熱され、低粘度となっているが、記録媒体上でインクの温度が低下するため、粘度が急激に大きくなる。このため、滲み及び色間滲みに改善効果がある。一方、ピエゾインクジェット方式の場合、高粘度の液体を吐出することが可能であり、高粘度の液体は記録媒体上での紙表面方向への広がりを抑制することが可能となるため、滲み、及び、色間滲みに改善効果がある。
本発明のインクジェット記録方法(装置)において、インクの記録ヘッドへの補給(供給)は、インク液体が満たされたインクタンク(必要により処理液タンクを含む)から行われることがよい。このインクタンクは、装置本体に脱着可能なカートリッジ方式であることがよく、このカートリッジ方式のインクタンクを交換することで、インクの補給が簡易に行われる。
〔カラートナー〕
本発明のカラートナー100質量部中の本発明のモノアゾ顔料の含有量は特に制限がないが、0.1質量部以上含有するのが好ましく、1〜20質量部がより好ましく、2〜10質量部含有するのが最も好ましい。本発明のモノアゾ顔料を導入するカラートナー用バインダー樹脂としては一般に使用される全てのバインダーが使用出来る。例えば、スチレン系樹脂・アクリル系樹脂・スチレン/アクリル系樹脂・ポリエステル樹脂等が挙げられる。
トナーに対して流動性向上、帯電制御等を目的として無機微粉末、有機微粒子を外部添加しても良い。表面をアルキル基含有のカップリング剤等で処理したシリカ微粒子、チタニア微粒子が好ましく用いられる。なお、これらは数平均一次粒子径が10〜500nmのものが好ましく、さらにはトナー中に0.1〜20質量%添加するのが好ましい。
離型剤としては、従来使用されている離型剤は全て使用することができる。具体的には、低分子量ポリプロピレン・低分子量ポリエチレン・エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィン類、マイクロクリスタリンワックス・カルナウバワックス・サゾールワックス・パラフィンワックス等があげられる。これらの添加量はトナー中に1〜5質量%添加することが好ましい。
荷電制御剤としては、必要に応じて添加しても良いが、発色性の点から無色のものが好ましい。例えば4級アンモニウム塩構造のもの、カリックスアレン構造を有するものなどがあげられる。
キャリアとしては、鉄・フェライト等の磁性材料粒子のみで構成される非被覆キャリア、磁性材料粒子表面を樹脂等によって被覆した樹脂被覆キャリアのいずれを使用してもよい。このキャリアの平均粒径は体積平均粒径で30〜150μmが好ましい。
本発明のトナーが適用される画像形成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば感光体上に繰り返しカラー画像を形成した後に転写を行い画像を形成する方法や、感光体に形成された画像を逐次中間転写体等へ転写し、カラー画像を中間転写体等に形成した後に紙等の画像形成部材へ転写しカラー画像を形成する方法等があげられる。
〔感熱記録(転写)材料〕
感熱記録材料は、支持体上に本発明のモノアゾ顔料をバインダーとともに塗設したインクシート、及び画像記録信号に従ってサーマルヘッドから加えられた熱エネルギーに対応して移行してきた顔料を固定する受像シートから構成される。インクシートは、本発明のモノアゾ顔料をバインダーと共に溶媒中に微粒子状に分散させることによってインク液を調製し、該インクを支持体上に塗布して適宜に乾燥することにより形成することができる。支持体上のインクの塗布量は特に制限するものではないが、好ましくは30〜1000mg/m2である。好ましいバインダー樹脂、インク溶媒、支持体、更には受像シートについては、特開平7−137466号に記載されたものを好ましく用いることができる。
該感熱記録材料をフルカラー画像記録が可能な感熱記録材料に適用するには、シアン画像を形成することができる熱拡散性シアン色素を含有するシアンインクシート、マゼンタ画像を形成することができる熱拡散性マゼンタ色素を含有するマゼンタインクシート、イエロー画像を形成することができる熱拡散性イエロー色素を含有するイエローインクシートを支持体上に順次塗設して形成する事が好ましい。また、必要に応じて他に黒色画像形成物質を含むインクシートがさらに形成されていても良い。
〔カラーフィルター〕
カラーフィルターの形成方法としては、初めにフォトレジストによりパターンを形成し、次いで染色する方法、或いは特開平4−163552号、特開平4−128703号、特開平4−175753号公報で開示されているように色素を添加したフォトレジストによりパターンを形成する方法がある。本発明の色素をカラーフィルターに導入する場合に用いられる方法としては、これらのいずれの方法を用いても良いが、好ましい方法としては、特開平4−175753号や特開平6-35182号に記載されたところの、熱硬化性樹脂、キノンジアジド化合物、架橋剤、色素及び溶剤を含有してなるポジ型レジスト組成物、並びに、それを基体上に塗布後、マスクを通して露光し、該露光部を現像してポジ型レジストパターンを形成させ、上記ポジ型レジストパターンを全面露光し、次いで露光後のポジ型レジストパターンを硬化させることからなるカラーフィルターの形成方法を挙げる事ができる。又、常法に従いブラックマトリックスを形成させ、RGB原色系あるいはY、M、C補色系カラーフィルターを得ることができる。カラーフィルターの場合も本発明のモノアゾ顔料の使用量の制限はないが0.1〜50質量%が好ましい。
この際使用する熱硬化性樹脂、キノンジアジド化合物、架橋剤、及び溶剤とそれらの使
用量については、前記特許文献に記載されているものを好ましく使用することができる。