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JP5200499B2 - 輸液装置 - Google Patents

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JP5200499B2 JP2007298796A JP2007298796A JP5200499B2 JP 5200499 B2 JP5200499 B2 JP 5200499B2 JP 2007298796 A JP2007298796 A JP 2007298796A JP 2007298796 A JP2007298796 A JP 2007298796A JP 5200499 B2 JP5200499 B2 JP 5200499B2
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Description

本発明は、輸液ポンプによって押圧されることで送液が行われる輸液チューブの途中部位に設けられるクランプを装着可能な輸液装置である。
輸液チューブ内を通る液を移送するために輸液チューブを押圧するポンプ機構を備えた輸液装置としては、個別に駆動される複数のフィンガにより輸液チューブを順次押圧する蠕動式ポンプ機構を備えた輸液装置が知られている。蠕動式ポンプ機構を備えた輸液装置は、一般的にはフィンガとフィンガを駆動する駆動手段とからなるポンプ機構を備えたハウジング、およびハウジングに開閉自在に係止されたドアから構成されている。輸液を開始する際には、ドアが開かれた状態で、輸液チューブの途中部位をハウジングに設けられた溝部内に装着した後、ドアを閉じてハウジングとドアとの係止状態を固定する。このとき、輸液チューブは、ハウジングに備えられた複数のフィンガと、ドアに固定された押圧板との間で不動状態に挟持される。次いで駆動手段を作動させることにより、フィンガが蠕動運動を開始し、前記フィンガにより輸液チューブがしごかれて内部の液を移送させることで輸液が行われる。
このような輸液装置により輸液を行った後、輸液チューブ内または輸液チューブの上流に接続された輸液バッグ内に残留液が存在している場合がある。この場合、輸液装置から輸液チューブを取り外す際に輸液チューブの一部が閉塞されていないと、残留液が重力により落下し患者に急速に投与されるフリーフローと呼ばれる現象が発生するおそれがあり問題視されている。フリーフローの発生により、残留液の種類によっては患者に悪影響を及ぼすこともあり、輸液チューブには輸液チューブの一部を閉塞するために手動で操作するローラークランプ等が予め取り付けられている。しかし、輸液装置の操作者がクランプを閉め忘れた状態で輸液チューブを輸液ポンプから取り外してしまうおそれもあり、フリーフロー対策としては十分ではない。
また、輸液装置には、ドアが開放されている状態では輸液チューブを閉塞し、ドアが閉鎖されている状態では輸液チューブの閉塞を解除するクランプ機構も設けられている。しかし、このようなクランプ機構は輸液チューブを取り外す際に輸液チューブの閉塞を手動で解除する必要があり、やはりフリーフローを防止するためにはローラークランプを閉鎖しなければならない。そこで、輸液装置の操作者の過失によらず、輸液チューブを取り外す際には自動的にチューブの一部が閉鎖されるアンチフリーフロー機構の開発が進んでいる。
例えば、輸液チューブの外径よりも大径の孔部と輸液チューブの外径よりも小径の孔部が連続して形成されたスライドクランプを利用したアンチフリーフロー機構が公知である(例えば、特許文献1参照。)。前記アンチフリーフロー機構は、スライドクランプの小径孔部に輸液チューブを配置させて輸液チューブを閉塞した状態で、輸液チューブをスライドクランプごと輸液装置に装着する。輸液装置のドアが閉鎖されると、スライドクランプがスライドして輸液チューブはスライドクランプの大径孔部に配置され、輸液チューブの閉塞が解除されて輸液が開始される。輸液終了後に輸液装置のドアを開放すると、スライドクランプが再びスライドして輸液チューブはスライドクランプの小径孔部に配置されるため、輸液チューブを閉塞した状態で輸液装置から取り外すことができる。このような機構により、操作者の過失によらず輸液チューブを取り外す際のフリーフローを防止することが可能である。しかし、スライドクランプはチューブとの相対運動を生じるためにチューブが摩耗し、チューブの破裂や輸液の漏出を生じるおそれがある。
そこで、スライドクランプを利用しないアンチフリーフロー機構が開発されている(例えば、特許文献2参照)。このアンチフリーフロー機構は、可撓性樹脂から一体成形された係合手段を有するクランプを利用している。前記クランプは、内部空間に輸液チューブを挿通した後に、係合手段により輸液チューブが閉塞された状態を維持することができ、係合手段を解除する押圧面を押圧することで輸液チューブの閉塞を解除することができるものである。輸液を行う際には、前記クランプにより輸液チューブを閉塞した状態で、輸液チューブをクランプごと輸液装置に装着する。輸液装置のドアを閉鎖すると、ドアによってクランプの押圧面が押圧され、輸液チューブの閉塞が解除されて輸液が開始される。輸液終了後は、輸液装置のドアを開放することにより再度係合手段が輸液チューブを閉塞し、輸液チューブの輸液装置からの取り外しが可能となる。しかし、前記クランプは、スライドクランプのようなチューブの破裂や輸液漏出のおそれはないが、クランプの押圧面が外周面に存在するため、クランプの落下等によって輸液チューブの閉塞が容易に解除されてしまうおそれがある。
前記クランプをさらに改良したものとして、押圧面が外周面よりも奥側に存在しするクランプを装填可能な輸液装置も提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、このようなクランプを装填した輸液装置も、輸液装置のドアを閉鎖することによって、クランプによる輸液チューブの閉塞を解除する構成を有しているため、クランプの押圧面はクランプを輸液装置に装着する際に操作者による把持部の上下面に設けられている。したがって、クランプの落下時にチューブの閉塞が解除されてしまう危険性が完全には排除されておらず、また操作者が誤って不必要な状況でチューブの閉塞を解除してしまうおそれもあった。
特開2001−25505号公報 特開2004−73822号公報 特開2006−115915号公報
本発明の目的は、上記問題を解決するために、クランプの落下時や操作者の過失によって不必要に輸液チューブの閉塞が解除されるおそれのないクランプを装着可能で、このクランプを利用したアンチフリーフロー機構を備えた輸液装置を提供することを目的としている。
本発明者は、鋭意検討を行った結果、輸液チューブの閉塞を解除するための押圧面を操作者による把持部から離間した位置に設け、なおかつ必要に応じて容易に解除可能な形状を有するクランプを採用し、このクランプを輸液チューブを閉塞する閉塞状態と輸液チューブを閉塞しない解除状態の間で変形可能に装着させる機構を設けたことにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1) 輸液チューブを押圧して輸液チューブ内を通る液を移送させるポンプ機構を備えたハウジングと、ハウジングとの間でチューブを狭持しうるハウジングに開閉自在に係止されるドア部材とを有してなり、輸液チューブの中間部位に配置され、輸液チューブを閉塞する閉塞状態と輸液チューブを閉塞しない解除状態の間で変形しうるクランプを装着可能な輸液装置であって、
前記クランプは、輸液チューブを閉塞するためのチューブ閉塞面が設けられた第1脚部と、前記チューブ閉塞面と協働して輸液チューブを閉塞するためのチューブ閉塞突部が設けられた第2脚部と、一端が第1脚部と連続的に形成され他端が第2脚部と連続的に形成され第2脚部を第1脚部に近づけるよう弾性変形しうる第1弾性部とを有してなり、クランプの閉塞状態を維持するための係合手段として、第2脚部には係合突起が設けられ、第1脚部の中間部には前記係合突起の先端部を貫通させてその後部面を係合しうる係合孔が設けられてなり、
前記ハウジングには、前記クランプを装着可能なクランプ装着部が設けられてなり、クランプ挿着部は、クランプの第1脚部を保持するクランプガイドと、クランプの第2脚部を第1脚部に近づけるよう押圧するクランプ部材を備えてなり、
前記ドア部材には、ドア部材が閉鎖された状態でクランプを閉塞状態と解除状態の間で変形しうるクランプ操作部が設けられてなり、クランプ操作部は、クランプの第1脚部の係合孔から突出した第2脚部の係合突起の先端部を押圧しうる押圧端と、クランプ装着部のクランプ部材を第2脚部から離間するよう押圧しうる押圧片とを備えてなることを特徴とする輸液装置、
(2) 前記クランプ装着部のクランプ部材は、ハウジングに回動可能に設けられ、バネ部材によってクランプの第2脚部を押圧するよう付勢されうる(1)記載の輸液装置、
(3) 前記クランプ操作部は、ドア部材に設けられたドア部材が閉鎖された状態を保持するためのロック機構と連動するものであり、ロック機構に押圧されて回動する第1回動部材と、第1回動部材の回動により回動する第2回動部材とからなり、第2回動部材の端部に前記押圧端が設けられてなる(1)または(2)記載の輸液装置、
(4) 前記クランプ操作部の第2回動部材は、回動を抑制するバネ部材が設けられてなる(1)〜(3)のいずれかに記載の輸液装置、
(5) 前記クランプは、第1脚部の係合孔から突出する係合突起を覆うための保護カバーが設けられてなる(1)〜(4)のいずれかに記載の輸液装置、
(6) 前記クランプの第2脚部に設けられる係合突起は、第1脚部に設けられる係合孔に向かって突出する基部と、基部の先端部外周面に設けられる先端から基端に向かって外方向へ突出する傾斜部と、傾斜部の基端側に基部の長さ方向に対して垂直に設けられる後部面とからなり、前記基部は基端が第2弾性部を介して第2脚部に接続されており、前記後部面が係合孔の縁部と係合することによりクランプは輸液チューブを閉塞した状態を維持するものである(1)〜(5)のいずれかに記載の輸液装置
に関する。
本発明の輸液装置は、輸液チューブが閉塞された状態を維持するための係合手段が、第2脚部に設けられた係合突起と、第1脚部の中間部に設けられた係合突起を貫通させてその後部面を係合しうる係合孔とからなるクランプを装着するものであり、前記クランプは係合突起の先端はクランプを操作する操作者が把持しない部分に配置されるため、操作者が操作時に誤ってクランプによる閉塞を解除してしまうおそれがない。
また、本発明の輸液装置は、クランプ部材を回動させるバネ部材を設けることにより、ドア部材の開閉により速やかにクランプが閉塞状態に変形されるため、輸液装置から輸液チューブが取り外される際にフリーフローが発生する恐れがない。
また、本発明の輸液装置は、クランプ操作部をドア部材のロック機構と連動させることにより、ドアを閉鎖する操作の途中でクランプによる輸液チューブの閉塞が解除されてフリーフローが発生するおそれがない。
また、本発明の輸液装置は、クランプ操作部にロック機構と連動する回動部材を抑制するバネ部材を設けることにより、押圧端をクランプが閉塞状態に変形可能な状態に速やかに移動させることができ、クランプにかかる負荷を小さくすることができる。
また、本発明の輸液装置は、装着されるクランプの第1脚部に係合孔から突出する係合突起の先端部を覆うための保護カバーを設けることにより、クランプの落下等によりクランプによる輸液チューブの閉塞が不必要に解除されるおそれがない。
また、本発明の輸液装置は、装着されるクランプ係合突起が傾斜部と後部面とを有し、前記後部面が係合孔の縁部と係合する形状とすることにより、クランプの落下等によりクランプによる輸液チューブの閉塞が解除される可能性をより低減させることができる。
以下、図面を用いて本発明の好ましい実施態様を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、本発明の輸液装置に装着されるクランプについて説明する。図1および図2は本発明の輸液装置に設けられるクランプ1の一実施例を二つの方向から見た斜視図であり、図3はクランプ1の解除状態の上部平面図、図4はクランプ1の閉塞状態の上部平面図である。また、図5は本発明の輸液装置に設けられるクランプ1の他の実施例の閉塞状態の上部平面図である。
図1に示されるように、クランプ1は、平板状の第1脚部21および第2脚部22と、弓状に反った平板状の第1弾性部23とを有してなる。前記第1脚部21、第2脚部22および第1弾性部23は、いずれもその長さ方向の全長が幅方向の長さよりも長く設定されている。第1弾性部23の長さ方向の一端には第1脚部21の長さ方向の一端が、他端には第2脚部22の長さ方向の一端が連続的に形成されている。第1脚部21の長さ方向の軸と第2脚部22の長さ方向の軸とは同一平面上に配置されており、前記第1脚部21、第2脚部22および第1弾性部23とで内部空間24を形成している。内部空間24は、図4に示されるように第1弾性部23が弾性変形して第2脚部22が第1脚部21に近づくことにより小さくなり、図3に示されるように第1弾性部23が自然状態に戻って第2脚部22が第1脚部21から遠ざかることにより大きくなる。
前記第1脚部21の内部空間24側の面には、図2に示されるように、後述するチューブ閉塞突部221と協働することによって輸液チューブの一部を閉塞するためのチューブ閉塞面251が形成されている。チューブは、後述するチューブ挿通部252に挿通された輸液チューブの長さ方向の軸と平行に配置される平面である。
前記チューブ閉塞面251上には、さらに内部空間24に向かって突出するチューブ挿通部252が設けられる。チューブ挿通部252は、図6に示すようにクランプ1を輸液セット3に装着する際、輸液チューブを挿通するためのものである。
チューブ挿通部252は輸液チューブの外径と同じか、あるいは外径よりもわずかに大きい径を有する貫通する孔部253を有し、その孔部253に輸液チューブがクランプ1の使用に先立って挿通される。前記チューブ挿通部252の孔部253は、輸液チューブが孔部253に挿通させられたときに、輸液チューブが第1脚部21の長さ方向の軸と第2脚部22の長さ方向の軸とで形成される平面に対して垂直な方向に配置されるように設けられていることが好ましい。
前記チューブ挿通部252は、輸液チューブの側面を完全に包囲し、輸液チューブが輸液チューブの長さ方向軸に対して垂直な方向に脱落しない形状であれば特に限定されない。チューブ挿通部252としては、例えば図1に示されるように、4つの側壁から構成される四角形のリング状のものや、輸液チューブの外周面に沿う円形リングが採用される。リングを構成する側壁うち第1脚部21側の側壁は、チューブ閉塞面251の一部であってもよいし、側壁全てがチューブ閉塞面251とは別に第1脚部21に形成されていてもよい。
通常、輸液装置では輸液を精度良く行うために、予めセットされる専用輸液チューブの寸法がインプットされている。したがって、専用輸液チューブ以外のチューブをセットして輸液を行う場合は、輸液流量やスピード、輸液チューブの閉塞検知圧、気泡検知などに誤差が生じ、患者に危険を及ぼすおそれがある。本発明で用いられるクランプ1は、前記チューブ挿通部252を設けたことにより、輸液セットの組み立て時に予め専用輸液チューブをチューブ挿通部252の孔部253に挿通させておくものである。これにより、クランプ1は輸液セットに専用輸液チューブ以外のチューブをセットして使用されるおそれがなく、また輸液セットの使用時に輸液チューブがクランプ1から脱落するおそれもない。また、使用者がクランプを別の輸液セットに取り付けて再利用した場合に考えられる、クランプの変形や輸液セットへの不完全な装着などの問題も未然に防ぐことができる。
前記第2脚部22の内部空間24側の面には、前述したチューブ閉塞突部221が内部空間24に向かって突出するよう設けられている。チューブ閉塞突部221は、前記第1弾性部23が付勢されて第2脚部22が第1脚部21に近づくことにより、第1脚部21に設けられるチューブ閉塞面251と協働することによって、チューブ挿通部252に挿通された輸液チューブを閉塞するためのものである。チューブ閉塞突部221は、チューブを確実に閉塞できるものであれば形状は限定されないが、好ましくは図示されるようにチューブの外径よりも長い頂部を有するくさび形突起が、頂部が第2脚部22の長さ方向の軸と平行に配置されるよう形成されたものである。
チューブ閉塞突部221とチューブ閉塞面251とは、図4に示されるように、第1弾性部23の弾性変形により最大限近づいた時に、チューブ挿通部252に挿通される輸液チューブの肉厚の2倍の距離、あるいはその距離よりも若干短い距離を隔てた状態に配置されることが、輸液チューブを破損することなく確実に閉塞できて好ましい。
このように本発明で用いられるクランプ1は、図4に示される輸液チューブを閉塞する閉塞状態と、図3に示される輸液チューブを閉塞しない解除状態の間で変形可能であるが、前記第2脚部22には、図4に示されるクランプ1の閉塞状態を維持するための係合手段が設けられる。前記係合手段としては、例えば、図1に示されるように第2脚部22の長さ方向の端部であって、第1弾性部23が連続的に形成される端部とは反対側の端部より延設された係合突起26と、第1脚部21の中間部に設けられた係合孔27とから構成される係合手段があげられる。
前記係合突起26は、第1脚部21の長さ方向の軸と第2脚部22の長さ方向の軸とで形成される平面内であって、第1脚部21の係合孔27に向かって突出する基部261と、基部261の先端部であって内部空間24とは反対側の面に設けられる先端から基端に向かって外方向へ突出する傾斜部262と、傾斜部262の基端側に基部261の長さ方向に対して垂直に設けられる後部面263とから構成される。基部261の基端部は、弓状に反った平板状の第2弾性部264を介して第2脚部22に接続されている。第2弾性部の弾性変形により、係合突起26は第1脚部21の長さ方向の軸と第2脚部22の長さ方向の軸とで形成される平面内で、内部空間24側へ撓むことが可能である。一方、係合孔27は係合突起26を貫通させることができる径を有する孔であり、前記係合突起26の後部面263が係合可能な縁部を有している。
図3に示されるように、第1弾性部23が弾性変形していないクランプ1の自然状態では、チューブ閉塞突部221とチューブ閉塞面251とは離間しており、チューブ閉塞突部221は輸液チューブの外周面に接しない位置に配置される。この状態では、係合突起26もまた係合孔27から離れた位置に配置されている。第1弾性部23が弾性変形されて第2脚部22が第1脚部21に近づいていくと、係合突起26の傾斜部262は係合孔27の縁部に当接する。さらに第2脚部が第1脚部に近づくと、第2弾性部264の弾性変形により係合突起26が内部空間24側へ撓むことで傾斜部262が完全に係合孔27を通過する。そして、図4に示されるように係合突起26の後部面263が係合孔27を通過すると、第2弾性部264は弾性変形していない自然状態に戻り、後部面263が係合孔27の縁部と係合して、クランプ1は閉塞状態を維持するよう係止される。
クランプ1が図3に示される解除状態から図4に示される閉塞状態まで変形する間、チューブ挿通部252に挿通された輸液チューブが位置ずれすることなくチューブ閉塞突部221とチューブ閉塞面251とで閉塞されるよう、チューブ閉塞面251には、さらにチューブ案内板254が設けられてもよい。チューブ案内板254は、チューブ挿通部252に挿通された輸液チューブの外周面に接するよう、チューブ閉塞面251上に第1脚部21の長さ方向の軸に対して垂直に立設される。チューブ案内板254は、図2および図3に示されるように、チューブ挿通部252に挿通される輸液チューブの両側に配置されるよう二つ設けられることが好ましい。さらに、図4に示されるように、クランプ1の閉塞状態では、一方はチューブ閉塞突部221よりも上部に配置され、他方はチューブ閉塞突部221よりも下部に配置されるよう設けられることが、輸液チューブの位置ずれを効果的に防止できより好ましい。
クランプ1の閉塞状態を維持するための係合手段は、クランプ1の落下や操作者の誤操作によって係合が解除されず、輸液装置にセットされて輸液を行う際や操作者が輸液チューブ内の気泡を排出するなどの操作を行う際には係合が解除される必要がある。前記係合手段は、図4に示されるクランプ1の閉塞状態で、係合孔27から突出する係合突起26の傾斜部262が第1脚部21の長手方向に第1弾性部23側へ押圧されることにより、弾性変形した第1弾性部23が自然状態に戻ることによって図3に示されるクランプ1の解除状態に戻り、係合が解除される。傾斜部262の傾斜角度を大きくし、後部面263の面積を拡大することにより、その係合は強固になり、係合を解除するために必要な押圧力も大きくなる。したがって、不必要な係合解除を容易に防止することが可能である。
さらに、不必要な係合解除をより確実に防止しうるよう、第1脚部21の係合孔27の周囲には、第1脚部21の内部空間24とは反対側の面、すなわち外側の面に立設される保護カバー28が設けられてもよい。保護カバー28は、図4に示されるクランプ1の閉塞状態で係合孔27から突出する係合突起26を、係合解除のトリガーとなる傾斜部262の先端部のみが突出するように覆うものであるか、あるいは図5に示されるように傾斜部262が突出しないように完全に覆うものであることが好ましい。また、前記保護カバー28は、必要時の係合解除操作を容易にするためには、係合孔27の周縁全部に設けられるものではなく、係合孔27の周縁の一部に設けられることが好ましい。具体的には、図1に示されるように係合孔27の第1脚部21幅方向両側縁部にのみ立設される、対向する2枚の板部材からなる保護カバー28がより好ましい。
また、前記第1脚部21の第1弾性部23が形成される端部とは反対側の端部に、操作者が把持しうる把持部29を形成してもよい。前記把持部29が第1脚部21の保護カバー28から離間した位置に設けられることにより、その操作の際に操作者が誤って保護カバー28内に配置される係合突起26の傾斜部262を押圧してクランプ1の係合手段の係合を解除してしまうおそれがない。把持部29の表面には、滑り止めのリブ291等を設けてもよい。
前記把持部29は、クランプ1が後述するように輸液装置に装着され、アンチフリーフロークランプとして機能する場合は、輸液装置に設けられる部材によってクランプ1の係合手段の係合を解除する操作を阻止することのないよう、可能な限り薄い部材であることが好ましい。
前記第1脚部21および第2脚部22には、撓み防止部211および222が設けられてもよい。第1脚部21に設けられる撓み防止部211は、第1脚部21の内部空間24側の面であってチューブ閉塞面251よりも第1曲げ弾性部23側に立設される。また第2脚部22に設けられる撓み防止部222は、第2脚部22の内部空間24側の面であってチューブ閉塞突部221よりも第1曲げ弾性部23側に立設される。前記撓み防止部211および222は、図3に示されるクランプ1の解除状態では、互いに当接することなく離間しており、図4に示されるクランプ1の閉塞状態では、互いに摺接しながら接近し、重なった状態で配置される。これにより、クランプ1は第1脚部21と第2脚部22が互いに輸液チューブの長手方向に位置ずれして、クランプ閉塞手段や係合手段の動作を阻害することなく、輸液チューブを確実に閉塞し、またその状態を維持することができる。
前記クランプ1は、全体がポリアセタール、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABSなどの合成樹脂等から構成されるものであり、射出成形等により一体成形して形成されることが好ましい。
本発明で用いられるクランプ1の操作方法について以下に説明する。
まず、クランプ1は使用される前に、あらかじめチューブ挿通部252に専用の輸液チューブ31が挿通され、図6に示されるような輸液セット3の一部品として準備される。一般的な輸液セット3は、輸液チューブ31の一端に輸液バッグ(図示せず)に接続する接続針32(図6では保護キャップが装着されている)が設けられ、輸液チューブ31の中程には点滴筒33およびローラークランプ34が、輸液チューブ31の他端には注射針や三方活栓、延長チューブ等に接続されるためのコネクター35が設けられて構成される。さらに輸液セット3には、輸液容器内の圧変化を抑制するためのエアフィルター36や、図示されないが異物除去フィルターや混注管などの付属部品が必要に応じて設けられる。本発明で用いられるクランプ1は、輸液チューブ31の中間部位で、点滴筒33とローラークランプ34の間に配置されることが好ましい。このとき、クランプ1は図3に示される解除状態で配置されるため、輸液セット3を長期保存した場合も輸液チューブ31が変形したり、破損したりするおそれがない。
クランプ1によって輸液チューブを閉塞する際には、操作者が第1脚部21の内部空間24側とは反対側、すなわち外側の面と、第2脚部22の外側の面とを保持し、両者を接近させるように押圧する。この押圧により、第1弾性部23が弾性変形して第2脚部22は第1脚部21へと近づき、それと同時に係合突起26が係合孔27を通過する。係合突起26の後部面263が係合孔27を通過して係合孔27の縁部と係合すると、弾性変形していた第2弾性部264が自然状態に戻り、その際に発生する小さな衝撃がクランプ1を通じて操作者に伝達される。操作者が直接クランプ1を押圧する場合は、その小さな衝撃を感じた時点で押圧を中止することで、クランプ1は図4に示される閉塞状態を維持される。この状態では、輸液チューブはチューブ閉塞面251とチューブ閉塞突部221とで完全に閉塞されるため、輸液は流通し得ない。
クランプ1による輸液チューブの閉塞を解除する場合は、操作者が係合突起26の傾斜部262を第1脚部21長さ方向の第1弾性部23側へ押圧する。係合突起26の後部面263と係合孔27の縁部との係合が外れると、第2脚部22は弾性変形した第1弾性部23が自然状態に戻ることによって第1脚部21から離間し、係合突起26と係合孔27との係合は解除され、クランプ1は図3に示される解除状態になる。これにより、チューブ閉塞面251とチューブ閉塞突部221とによる輸液チューブの閉塞も解除される。
操作者はクランプ1の第1脚部21および第2脚部22の外側の面を把持部29を把持した状態で操作することになるが、前記把持部29は係合突起26を覆う保護カバー28から離間しているため、輸液チューブの閉塞解除を意図しない場合に、操作者が誤って傾斜部262に触れて係合突起26と係合孔27との係合が解除されるおそれはない。
前記クランプ1の押圧は、後述する本発明の輸液装置に設けられる押圧端によって、機械的に行われる。その際、クランプ1が輸液装置内に装着された状態を保持するために、第1脚部21の長さ方向側面には、長さ方向に伸びるリブ212が形成されていることが好ましい。
次に、本発明の輸液装置の実施例について説明する。前記クランプ1は、本発明の輸液装置に装着することにより、輸液チューブを取り外す際に自動的に輸液チューブの一部を閉鎖するアンチフリーフロークランプとして機能させることが可能である。
図7は、クランプ1を装着可能な本発明の輸液装置4の一実施例を示す説明図である。図7に示されるように、輸液装置4はハウジング41とドア部材42により構成されており、ドア部材42はヒンジ421等によりハウジング41に開閉自在に係止されている。ハウジング41には、溝等で構成されるチューブ装着部411が設けられており、このチューブ装着部411に輸液チューブを装着してからドア部材42を閉鎖することによって、輸液チューブをハウジング41とドア部材42とで狭持する。ハウジング41およびドア部材42には、輸液チューブが装着されてドア部材42が閉鎖された状態を保持するため、ドアレバー422とフック412からなるロック機構が設けられている。
前記ハウジング41には、複数のフィンガと、フィンガを蠕動運動させるべく駆動させるための駆動手段とを備えたポンプ機構413が備えられてなる。ポンプ機構413の詳細については説明を省略するが、公知のフィンガポンプのポンプ機構を採用することができる。輸液装置4にはこの他にも、例えばポンプ機構413の上流側に輸液チューブ内の気泡検知を行う気泡センサー414を、ポンプ機構413の上流側および/または下流側に閉塞検知手段415とチューブ押さえ部材423とから構成され輸液チューブの閉塞状態を検知のするための閉塞センサーを、ポンプ機構413の下流側にドア部材42が開放された状態では自動的に輸液チューブを閉塞しうるクランプ機構416を設けることができる。また、前記ドア部材42には、ポンプ機構413のフィンガとの間で輸液チューブを狭持し、フィンガから受ける過負荷を逃がす機構を備えた押圧板424が設けられる。
これらの各機構の個数や位置については、適宜変更することが可能であるし、さらに一般的な輸液ポンプに設けられる種々の機構を設けることもできる。
本発明の輸液装置4には、ハウジング41にクランプ1を装着可能なクランプ装着部5が設けられ、ドア部材42にクランプ装着部5に装着されたクランプ1を閉塞状態と解除状態の間で変形させるための、ドアレバー422と連動するクランプ操作部6が設けられている。クランプ1は、クランプ装着部5に装着され、ドア部材42が閉鎖された後、クランプ操作部6を操作することによって、クランプ1を閉塞状態と解除状態の間で変形させることが可能である。
図8は、本発明の輸液装置4のクランプ装着部5およびクランプ操作部6を説明するための斜視図である。図8では、本発明の輸液装置4に設けられるクランプ装着部5およびクランプ操作部6以外の機構については、説明のために記載を省略している。
クランプ装着部5は、輸液装置4のハウジング41の台座43上に設けられており、クランプ1の第1脚部21を保持するためのクランプガイド51、クランプ1の第2脚部22を第1脚部21に近づけるように押圧するためのクランプ部材52、およびクランプ部材52が第2脚部を押圧するよう付勢しうるバネ部材53を備えてなる。
一方、クランプ操作部6は、ドア部材42の下部に設けられており、ドアレバー422の一部に設けられた押圧面61、押圧面61により回動させられる第1回動部材62、第1回動部材62と連動し、第1回動部材62の回動により回動する第二回動部材63、第二回動部材63の回動を抑制するバネ部材64、およびドア部材42が閉鎖された状態で、クランプ部材52をクランプ1の第2脚部22から離間するよう押圧するための押圧片65を備えてなる。
図9は、本発明の輸液装置4に設けられるクランプ装着部5とクランプ操作部6のみを示す斜視図である。クランプ装着部5を構成するクランプガイド51は、薄板状部材であり、ハウジング41の台座43上に、一端がハウジング41のドア部材42側の面に面一あるいはわずかにドア部材42側に突出するよう配置され、他端はハウジング41の内部に配置される。
クランプガイド51はクランプ装着部5にクランプ1が装着される際に、クランプ1の第1脚部21を案内し、支持するためのものである。したがって、クランプガイド51には、装着されるクランプ1の第1脚部21の下部を支えるための底面部511、第1脚部21の外側面を支えるための側面部512、第1脚部21の上部を支えるための天面部513が構成される。
さらに、クランプガイド51のクランプ1が配置される側には、クランプ1がクランプ装着部5内で位置ずれすることを防止するために、クランプ1を確実に保持するための保持板514が設けられてもよい。保持板514は、前記天面部513のクランプが配置される側の面に設けられ、側面部512との間に、クランプ1の第1脚部21に設けられるリブ212を保持するための溝515を形成する。この溝515により、クランプ1の装着操作がより容易になり、またクランプ1を正しい位置に保持することが可能である。前記溝515が設けられる位置は、第1脚部21に設けられるリブ212の位置に応じて適宜変更される。
さらに、クランプガイド51のドア部材42側端部には、クランプ1の第1脚部21に設けられた保護カバー28を配置可能な開口部516が形成される。クランプ1はクランプ装着部5に装着される際、保護カバー28が開口部516の奥側面に当接するまでハウジング41内に挿入される。これにより、クランプ1を容易に挿入方向における正しい位置に配置させることができる。
クランプ装着部5を構成するクランプ部材52は棒状部材であり、ハウジング41の台座43上にカム軸521により回動可能に設けられる。クランプ部材52の一端はハウジング41のドア部材42側面からわずかに突出し、他端はハウジング41の内部に配置される。クランプ1が装着される前の状態で、クランプ部材52は、クランプガイド51と一定の距離だけ離間した状態で平行に配置されている。クランプ部材52のハウジング41から突出した一端は、クランプガイド51から離れる方向に回動することができる。
クランプ部材52はクランプ装着部5にクランプ1が装着される際に、クランプ1の第2脚部22を支持し、第2脚部22を第1脚部21に近づくように押圧するためのものである。したがって、クランプ部材52には、装着されるクランプ1の第2脚部22の下部を支えるための底面部522、第2脚部22の外側面を支えるための側面部523、第2脚部22の上部を支えるための天面部524が構成される。さらに、クランプ部材52のクランプ1が配置される側には、クランプ1の第2脚部22に設けられる第2弾性部264を配置可能な開口部525が形成される。これにより、クランプ部材52は、第2弾性部264を押圧することなく、第2脚部22の外側の面を押圧することが可能になり、クランプ1の係合手段が不必要に解除されることを防止する。
前記クランプ部材52のクランプ1が配置される側とは反対側には、バネ部材53が配置されている。バネ部材53は、硬鋼、ピアノ線、炭素鋼、ステンレス鋼等で形成されたコイルバネや圧縮バネであり、一端がクランプ部材52に接続され、他端がハウジング41の台座43に配設されたバネ固定部材531に接続されている。バネ部材53は、自然状態ではクランプ部材52をクランプ1がクランプ装着部5に装着される前の状態、すなわちクランプガイド51と平行に配置されている。クランプ1がクランプガイド51とクランプ部材52の間に装着され、ドア部材42が閉められると、クランプ部材52はドア部材42に設けられた押圧片65によって押圧され、カム軸521を支点としてクランプ1の第2脚部から離間するよう回動させられる。このときバネ部材53は圧縮され、クランプ部材52が第2脚部を押圧するよう付勢するため、ドア部材42を開放すると再びクランプ部材52はクランプ1の第2脚部22を押圧する。これにより、クランプ1はドア部材42の開放により速やかに閉塞状態に変形されるため、操作者が輸液装置3から輸液チューブを取り外す際には、確実にクランプ1は閉塞されており、フリーフローが発生する恐れがない。
図10は、本発明の輸液装置4に設けられるクランプ装着部5の、クランプ1が装着された状態を示す斜視図である。クランプ1は、クランプガイド51の溝515に第1脚部21のリブ212を挿入しながら、クランプガイド51とクランプ部材52との間隙に第1弾性部23を奥にした状態で挿入される。装着時にクランプ1は図4に示されるような閉塞状態であり、操作者によって把持部29が把持された状態で装着される。保護カバー28がクランプガイド51の開口部516に挿入され、保護カバー28が開口部516の奥側面に当接すると、クランプ1の装着は完了する。この状態で、クランプ部材52の側面部523は、クランプ1の第2脚部22の外側面に接触していても良いが、第2脚部22を押圧することはない。
図11は、本発明の輸液装置4に設けられるドア部材42とクランプ操作部6を示す斜視図である。図9および図11に示されるように、ドアレバー422はドア部材42に回動可能に設けられており、一端はドア部材42のハウジング41側に、他端はドア部材42のハウジング41側とは反対側、すなわち輸液装置1の外側に配置されている。ドアレバー422のハウジング41側に配置される一端には、鉤部425が形成されており、ドア部材42が閉められた状態でドアレバー422を回動させ、前記鉤部425をハウジング41に設けられたフック412に係合させることで、ドア部材42は閉鎖された状態を保持される。
ドアレバー422の輸液装置1の外側に配置される他端には、操作時に把持する把持部426とは別に、クランプ操作部6を操作するための押圧面61がドアレバー422と一体的に形成される。ドアレバー422の把持部426がドア部材42をロックするためにドア部材42に向かって回動させられるとき、ドアレバー422に設けられた押圧面61もまた回動し、ドア部材42に設けられた開口部427を通過する。前記押圧面61は、ドアレバー422の鉤部425がハウジング41のフック412に係合した時に、ドア部材42のハウジング41側に配置されるものであれば、その形状は限定されない。
ドア部材42のハウジング41側下部には、前記ドア部材42の開口部427に面する位置に第1回動部材62が設けられる。第1回動部材62は、中心付近がカム軸621によってドア部材42に回動可能に設けられたL字状に折れ曲がった部材であり、一端622が開口部427付近に、他端623がドア部材42から離れた位置に配置される。ドアレバー422がフック412に係合し、押圧面61が開口部427を通過することにより、押圧面61は第1回動部材62の一端622を押圧し、第1回動部材62は回動する。このとき他端623はドア部材42に近づくように回動し、第1回動部材62に隣接するようドア部材42に設けられた第2回動部材63を押圧する。
前記第2回動部材63もまた、第1回動部材62と同様L字状に折れ曲がった部材であり、中心付近がカム軸631によってドア部材42に回動可能に設けられている。第2回動部材63の一端632はドア部材42側に、他端の押圧端633はドア部材から離れた位置に配置される。第1回動部材62が回動することにより、第1回動部材62の他端623がドア部材42側に移動すると、他端623は第2回動部材63の一端632をドア部材42側に押圧する。これにより第2回動部材63もまた回動し、押圧端633はドア部材42から離れる方向に移動する。
第2回動部材63には、一端が押圧端633に、他端がドア部材42に固定されたバネ部材64が設けられる。前記バネ部材64には、上述したクランプ部材52に設けられるバネ部材53と同様の素材からなるコイルバネまたは圧縮バネが用いられる。バネ部材64は、自然状態では第2回動部材63が回動する前、すなわち押圧端633が最もドア部材42側に位置する状態で配置されている。ドアレバー422の回動により第2回動部材63が回動すると、押圧端633はドア部材42から離れる方向に移動し、このときバネ部材64は伸長し、押圧端633をドア部材42側に移動させるよう付勢する。したがって、ドアレバー422がフック412との係合を解除するよう回動すると、直ちに第2回動部材63は押圧端633がドア部材42側に移動するよう回動させられる。このようにバネ部材64により回動を抑制されることにより、第2回動部材の押圧端633を、ドア部材42のロック機構の解除とともにクランプ1が閉塞状態に変形可能な状態に速やかに移動させることができる。したがって、クランプ部材52の第2脚部22に対する押圧力が小さくなり、クランプ1にかかる負荷を小さくすることができる。
前記第2回動部材63の押圧端633には、上下方向の中間部分に切り欠き部634が設けられる。この切り欠き部634は、ドア部材42が閉じられたときに、押圧端633がクランプ1の把持部29および保護カバー28を押圧することなく、かつ係合突起26の傾斜部262を押圧することができるように設けられているものである。
クランプ操作部6を構成する押圧片65は、第2回動部材よりもドア部材42のヒンジ421側に設けられたくさび形片であり、その先端はドア部材42からハウジング41側へ突出するよう配置されている。押圧片65はその先端から、ドア部材42のヒンジ421側へと傾斜する傾斜面651を備えてなる。押圧片65は、ドア部材42が閉められる際に、傾斜面651がクランプ装着部5のクランプ部材52に当接し、クランプ部材52を第2脚部22から離間するよう押圧するものである。これにより、クランプ1の傾斜部262が押圧端633によって閉塞状態から解除状態に変形する際に、第2脚部22が第1脚部から離間する動作をクランプ部材52が阻止することを防止できる。
押圧片65には、先端部から傾斜面651にかけて上下方向の中間部分に切り欠き部652が設けられる。この切り欠き部652は、ドア部材42が閉じられたときに、押圧片65がクランプ1の把持部29を押圧することを防ぐために設けられるものである。
次に、本発明の輸液装置4にクランプ1を装着してアンチフリーフロークランプとして使用する際の操作方法を説明する。図12〜図15は、本発明の輸液装置4に設けられたクランプ装着部5およびクランプ操作部6部分の動作説明図である。図中では、クランプ1の動作を説明するために、クランプ装着部5およびクランプ操作部6を構成する部品の一部は記載が省略されている。
クランプ1は、図6に示されるように、予め輸液セット3の輸液チューブ31をチューブ挿通部252に挿通した状態で提供され、使用前の状態ではクランプ1は図3に示されるように解除状態で配置されている。輸液セット3の使用に当たって、操作者はクランプ1の第1脚部21の外側面と第2脚部22の外側面とを保持し、両者を接近させるように押圧させる。これにより、係合突起26の後部面263が係合孔27の縁部と係合して、クランプ1は図4に示される閉塞状態になる。
輸液準備段階で閉塞状態のクランプ1を配置した輸液セット3は、ドア部材42が開放された状態の輸液装置4のハウジング41に装着され、クランプ1はクランプ装着部5に装着される。このとき、操作者はクランプ1の把持部29を把持し、第1弾性部23を奥にした状態で、クランプガイド51の溝515に第1脚部21のリブ212を挿入し、図12に示すクランプ装着完了状態になる。クランプ1の閉塞状態を維持するための係合手段による係合の解除は、係合突起26の傾斜部262を押圧することにより行われるが、この傾斜部262は把持部29から離間しているため、クランプ1をクランプ装着部5に装着する際に誤ってクランプ1の係合が解除されるおそれはない。
この状態では、クランプ1は閉塞状態を維持しており、クランプ装着部5のクランプ部材52は、閉塞状態のクランプ1の第2脚部22を支持するよう、クランプガイド51と平行に配置されているが、第2脚部22を押圧することはない。
クランプ1の装着が完了すると、ドア部材42が閉鎖される。ドア部材42がハウジング41に近づくと、図13に示されるように、最初にクランプ操作部6の押圧片65の先端部がクランプ部材52のハウジング41から突出した一端に接する。さらにドア部材42がハウジング41に近づくと、押圧片65の先端部はクランプ部材52を押圧し、クランプ部材52はバネ部材53が圧縮することでクランプ1の第2脚部22から離間するよう回動させられる。このとき、押圧片65には切り欠き部652が設けられているため、押圧片65がクランプ1の把持部29を押圧することはない。また、クランプ操作部6の第2回動部材63の押圧端633にも切り欠き部635が設けられているため、押圧端633がクランプ1の把持部29や保護カバー28を押圧することはない。ドア部材42が完全に閉鎖されると、図14に示されるドア閉鎖状態になる。
図14に示されるドア閉鎖状態では、クランプ1は閉塞状態を維持している。輸液装置4により輸液を開始する際には、クランプ1は開放状態にならなければならない。そこで、ドアレバー422を回動してドア部材42をロックすることにより、クランプ1を閉塞状態から解除状態に変形させる。具体的には、図15に示されるように、ドアレバー422が回動することにより、ドアレバー422に設けられた押圧面61がドア部材42の開口部427を通過して第1回動部材62の一端622を押圧し、第1回動部材62を回動させる。回動した第1回動部材62の他端623は第2回動部材63の一端632を押圧し、第2回動部材63を回動させる。第2回動部材63の回動により、押圧端633がドア部材42から離れる方向に移動し、クランプ1の係合突起26に設けられた傾斜部262を押圧する。これにより、クランプ1の係合突起26と係合孔27との係合は解除され、クランプ1は解除状態になる。
本発明の輸液装置は、クランプ1を解除状態に変形させるクランプ操作部6をドア部材のロック機構と連動させることにより、ドアを閉鎖する操作の途中でクランプによる輸液チューブの閉塞が解除されてフリーフローが発生するおそれがない。
図15に示されるドアロック状態で輸液が行われ、輸液終了後に輸液セット3を輸液装置4から取り外す操作は、輸液準備操作と逆の手順により行われる。図15に示されるドアロック状態では、クランプ操作部6のバネ部材64は伸長し、第2回動部材63の押圧端633をドア部材42側に移動させるよう付勢されている。この状態でドアレバー422を回動させてドアのロックを解除すると、バネ部材64は直ちに押圧端633がドア部材42側へ移動するよう第2回動部材63を回動させる。このとき、クランプ1はいまだ解除状態のままである。
ドア部材42が開放されると、クランプ操作部6の押圧片65によるクランプ装着部5のクランプ部材52の押圧は解除され、圧縮されたバネ部材53によりクランプ部材52はクランプ1の第2脚部22を押圧するよう付勢され、クランプ1は係合突起26と係合孔27が係合することにより閉塞状態に変形する。その後、操作者はクランプ機構416によるチューブの閉塞を解除し、再びクランプ1の把持部29を把持してクランプ1をクランプ装着部5から引き抜いて輸液セット3を輸液装置4から取り外す。輸液セット3の輸液チューブ31は、ドア部材42の開放と同時にクランプ1によって閉塞されているため、アンチフリーフローが発生するおそれはない。ここでもまた、クランプ1の閉塞状態を維持するための係合手段による係合を解除する傾斜部262は、操作者が把持する把持部29から離間しているため、クランプ1をクランプ装着部5から引き抜く際に操作者が誤ってクランプ1の係合を解除するおそれはない。
以上のように、本発明の輸液装置は、クランプの落下や誤操作によって輸液チューブの閉塞を解除してしまうおそれがなく、必要に応じて容易に閉塞を解除することが可能なクランプを装着可能であり、アンチフリーフロー機構を備えた輸液装置を提供するものである。
本発明の輸液装置に装着されるクランプの一実施例を示す斜視図である。 図1に示されるクランプを別の角度から見た斜視図である。 図1に示されるクランプの解除状態を示す上部平面図である。 図1に示されるクランプの閉塞状態を示す上部平面図である。 本発明の輸液装置に装着されるクランプの他の実施例の閉塞状態を示す上部平面図である。 本発明の輸液装置に装着される輸液セットの概略図である。 本発明の輸液装置の一実施例を示す説明図である。 図7に示される輸液装置の部分斜視図である。 図7に示される輸液装置の部分斜視図である。 図7に示される輸液装置に設けられるクランプ装着部の斜視図である。 図7に示される輸液装置に設けられるクランプ操作部の斜視図である。 図7に示される輸液装置のクランプ装着完了状態を示す動作説明図である。 図7に示される輸液装置のドア閉鎖開始直後の状態を示す動作説明図である。 図7に示される輸液装置のドア閉鎖状態を示す動作説明図である。 図7に示される輸液装置のドアロック状態を示す動作説明図。
符号の説明
1 クランプ
21 第1脚部
212 リブ
22 第2脚部
221 チューブ閉塞突部
23 第1弾性部
24 内部空間
251 チューブ閉塞面
252 チューブ挿通部
253 孔部
254 チューブ案内板
26 係合突起
261 基部
262 傾斜部
263 後部面
264 第2弾性部
27 係合孔
28 保護カバー
29 把持部
3 輸液セット
31 輸液チューブ
4 輸液装置
41 ハウジング
412 フック
42 ドア部材
422 ドアレバー
425 鉤部
426 把持部
427 開口部
43 台座
5 クランプ装着部
51 クランプガイド
515 溝
516 開口部
52 クランプ部材
521 カム軸
525 開口部
53 バネ部材
531 バネ固定部材
6 クランプ操作部
61 押圧面
62 第1回動部材
621 カム軸
63 第2回動部材
631 カム軸
633 押圧端
634 切り欠き部
64 バネ部材
65 押圧片
651 傾斜面
652 切り欠き部

Claims (6)

  1. 輸液チューブを押圧して輸液チューブ内を通る液を移送させるポンプ機構を備えたハウジングと、ハウジングとの間でチューブを狭持しうるハウジングに開閉自在に係止されるドア部材とを有してなり、輸液チューブの中間部位に配置され、輸液チューブを閉塞する閉塞状態と輸液チューブを閉塞しない解除状態の間で変形しうるクランプを装着可能な輸液装置であって、
    前記クランプは、輸液チューブを閉塞するためのチューブ閉塞面が設けられた第1脚部と、前記チューブ閉塞面と協働して輸液チューブを閉塞するためのチューブ閉塞突部が設けられた第2脚部と、一端が第1脚部と連続的に形成され他端が第2脚部と連続的に形成され第2脚部を第1脚部に近づけるよう弾性変形しうる第1弾性部とを有してなり、クランプの閉塞状態を維持するための係合手段として、第2脚部には係合突起が設けられ、第1脚部の中間部には前記係合突起の先端部を貫通させてその後部面を係合しうる係合孔が設けられてなり、
    前記ハウジングには、前記クランプを装着可能なクランプ装着部が設けられてなり、クランプ挿着部は、クランプの第1脚部を保持するクランプガイドと、クランプの第2脚部を第1脚部に近づけるよう押圧するクランプ部材を備えてなり、
    前記ドア部材には、ドア部材が閉鎖された状態でクランプを閉塞状態と解除状態の間で変形しうるクランプ操作部が設けられてなり、クランプ操作部は、クランプの第1脚部の係合孔から突出した第2脚部の係合突起の先端部を押圧しうる押圧端と、クランプ装着部のクランプ部材を第2脚部から離間するよう押圧しうる押圧片とを備えてなることを特徴とする輸液装置。
  2. 前記クランプ装着部のクランプ部材は、ハウジングに回動可能に設けられ、バネ部材によってクランプの第2脚部を押圧するよう付勢されうる請求項1記載の輸液装置。
  3. 前記クランプ操作部は、ドア部材に設けられたドア部材が閉鎖された状態を保持するためのロック機構と連動するものであり、ロック機構に押圧されて回動する第1回動部材と、第1回動部材の回動により回動する第2回動部材とからなり、第2回動部材の端部に前記押圧端が設けられてなる請求項1または2記載の輸液装置。
  4. 前記クランプ操作部の第2回動部材は、回動を抑制するバネ部材が設けられてなる請求項3に記載の輸液装置。
  5. 前記クランプは、第1脚部の係合孔から突出する係合突起を覆うための保護カバーが設けられてなる請求項1〜4のいずれかに記載の輸液装置。
  6. 前記クランプの第2脚部に設けられる係合突起は、第1脚部に設けられる係合孔に向かって突出する基部と、基部の先端部外周面に設けられる先端から基端に向かって外方向へ突出する傾斜部と、傾斜部の基端側に基部の長さ方向に対して垂直に設けられる後部面とからなり、前記基部は基端が第2弾性部を介して第2脚部に接続されており、前記後部面が係合孔の縁部と係合することによりクランプは輸液チューブを閉塞した状態を維持するものである請求項1〜5のいずれかに記載の輸液装置。
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